JP2019199534A - 着色剤マスターバッチ用ベース樹脂、着色剤マスターバッチ、着色剤マスターバッチの製造方法およびトナー - Google Patents

着色剤マスターバッチ用ベース樹脂、着色剤マスターバッチ、着色剤マスターバッチの製造方法およびトナー Download PDF

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【課題】着色剤の分散性に優れ、かつ、得られるトナーの融着を抑制できる着色剤マスターバッチを実現できる着色剤マスターバッチ用ベース樹脂を提供する。【解決手段】本発明の着色剤マスターバッチ用ベース樹脂は、着色剤およびベース樹脂を含むトナー用着色剤マスターバッチに用いられる上記ベース樹脂であって、上記ベース樹脂はビニル樹脂を含み、周波数1Hz、振り角γ1%、測定温度110℃の条下、動的粘弾性測定により求められる、110℃における貯蔵弾性率(G’)が10Pa以上10,000Pa以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、着色剤マスターバッチ用ベース樹脂、着色剤マスターバッチ、着色剤マスターバッチの製造方法およびトナーに関する。
一般的に、感光体上に形成したトナー画像を記録紙に転写するPPC(Plain Paper Copy)複写機やプリンターにおける電子写真法は、以下のような手順で行われる。まず、光感光体上に静電気的潜像を形成する。次いで、該潜像をトナーを用いて現像し、紙等の被定着シート上にトナー画像を転写した後、熱ロールやフィルムで加熱定着する。この方法は、熱ロールやフィルムと被定着シート上のトナーが直接接触した状態で加熱下にて定着が行われるので、迅速でしかも熱効率が極めて良好である。したがって、定着効率が非常によい。
このような電子写真法に使用されるトナーの製造方法としては、いわゆる粉砕法や重合法などが知られており、粉砕法では着色剤と樹脂とをマスターバッチ化して製造する場合がある(例えば特許文献1〜3参照)。
特開2017−181572号公報 特開2017−156563号公報 特開2009−210701号公報
本発明者らの検討によれば、着色剤マスターバッチは、着色剤の分散性に劣る場合や、着色剤の分散性に優れていても、得られるトナーの融着が生じてしまう場合があることを見出した。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、着色剤の分散性に優れ、かつ、得られるトナーの融着を抑制できる着色剤マスターバッチを実現できる着色剤マスターバッチ用ベース樹脂、および着色剤の分散性に優れ、かつ、得られるトナーの融着を抑制できる着色剤マスターバッチを提供するものである。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討した。その結果、110℃における貯蔵弾性率(G’)が特定の範囲にあるベース樹脂を用いることにより、着色剤の分散性に優れ、かつ、得られるトナーの融着を抑制できる着色剤マスターバッチが得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明によれば、以下に示す着色剤マスターバッチ用ベース樹脂、着色剤マスターバッチ、着色剤マスターバッチの製造方法およびトナーが提供される。
[1]
着色剤およびベース樹脂を含むトナー用着色剤マスターバッチに用いられる上記ベース樹脂であって、
上記ベース樹脂はビニル樹脂を含み、
周波数1Hz、振り角γ1%、測定温度110℃の条下、動的粘弾性測定により求められる、110℃における貯蔵弾性率(G’)が10Pa以上10,000Pa以下である着色剤マスターバッチ用ベース樹脂。
[2]
上記[1]に記載の着色剤マスターバッチ用ベース樹脂において、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により求められる、単分散標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が100,000以下である、着色剤マスターバッチ用ベース樹脂。
[3]
上記[1]または[2]に記載の着色剤マスターバッチ用ベース樹脂において、
上記ビニル樹脂がスチレン系重合体を含む着色剤マスターバッチ用ベース樹脂。
[4]
上記[3]に記載の着色剤マスターバッチ用ベース樹脂において、
上記スチレン系重合体が、ポリスチレンおよびスチレン・(メタ)アクリル系共重合体から選択される少なくとも一種を含む着色剤マスターバッチ用ベース樹脂。
[5]
上記[1]乃至[4]のいずれか一つに記載の着色剤マスターバッチ用ベース樹脂において、
示差走査熱量計(DSC)によって測定されるガラス転移温度(Tg)が30℃以上80℃以下である着色剤マスターバッチ用ベース樹脂。
[6]
上記[1]乃至[5]のいずれか一つに記載の着色剤マスターバッチ用ベース樹脂と、着色剤とを含む、着色剤マスターバッチ。
[7]
上記[6]に記載の着色剤マスターバッチにおいて、
上記着色剤マスターバッチ中の上記着色剤マスターバッチ用ベース樹脂の含有量(X)に対する上記着色剤の含有量(Y)の比(Y/X)が質量比で10/90以上90/10以下である着色剤マスターバッチ。
[8]
上記[6]または[7]に記載の着色剤マスターバッチを製造するための製造方法であって、
上記着色剤マスターバッチ用ベース樹脂と上記着色剤の混合物を、80℃以上150℃以下で混錬する工程を含む着色剤マスターバッチの製造方法。
[9]
上記[6]または[7]に記載の着色剤マスターバッチと、バインダー樹脂と、を含むトナー。
[10]
上記[9]に記載のトナーにおいて、
上記バインダー樹脂がスチレン・(メタ)アクリル系共重合体を含むトナー。
[11]
電子写真用である上記[9]または[10]に記載のトナー。
本発明によれば、着色剤の分散性に優れ、かつ、得られるトナーの融着を抑制できる着色剤マスターバッチを実現できる着色剤マスターバッチ用ベース樹脂、および着色剤の分散性に優れ、かつ、得られるトナーの融着を抑制できる着色剤マスターバッチを提供することができる。
以下に、本発明の実施形態について説明する。なお、数値範囲の「A〜B」は特に断りがなければ、A以上B以下を表す。また、本実施形態において、重合という語を共重合の意味で使うことがあり、重合体という語を共重合体の意味で使うことがある。
[着色剤マスターバッチ用ベース樹脂]
以下、本実施形態に係る着色剤マスターバッチ用ベース樹脂について説明する。
本実施形態に係る着色剤マスターバッチ用ベース樹脂(以下、ベース樹脂とも呼ぶ。)は、着色剤およびベース樹脂を含むトナー用着色剤マスターバッチに用いられるベース樹脂であって、ベース樹脂はビニル樹脂を含み、周波数1Hz、振り角γ1%、測定温度110℃の条下、動的粘弾性測定により求められる、110℃における貯蔵弾性率(G’)は、得られるトナーの融着を抑制する観点から、10Pa以上、好ましくは15Pa以上であり、得られる着色剤マスターバッチ中の着色剤の分散性を良好にする観点から、10,000Pa以下、好ましくは4,500Pa以下、より好ましくは3,000Pa以下、さらに好ましくは2,500Pa以下である。
前述したように、本発明者らの検討によれば、着色剤マスターバッチは、着色剤の分散性に劣る場合や、着色剤の分散性に優れていても、得られるトナーの融着が生じてしまう場合があることを見出した。
ここで、トナーのベース樹脂には主にポリエステル系樹脂が用いられている。トナーの製造方法には重合法と粉砕法があり、重合法は製造工程が多く、製造コストがかかる。一方、粉砕法は製造工程が少ないことから生産性に優れる。しかし、ポリエステル系樹脂は粉砕しにくい。これに対して、ビニル樹脂は粉砕が容易である。粉砕法では、着色剤と樹脂とをマスターバッチ化して製造する方法が知られている。着色剤マスターバッチ中に着色剤が分散性よく存在すると、トナー中でも着色剤がよく分散した状態にできる。しかし、着色剤マスターバッチ中の着色剤の分散性が悪いと、トナーにして印字した時に、印字画像の色相がずれてしまう。
粉砕法では、着色剤マスターバッチとバインダー樹脂とを混合してから粉砕して製造する方法と、着色剤とバインダー樹脂を混合し、混練してから粉砕して製造する方法がある。着色剤マスターバッチを用いる方法は、よりいっそう着色剤を分散した状態にできる。バインダー樹脂にビニル樹脂を用いる場合、着色剤マスターバッチ用ベース樹脂もビニル樹脂であることが好ましい。しかし、ビニル樹脂を着色剤マスターバッチ用ベース樹脂として用いた場合、着色剤を分散性良く混合することが困難である場合があった。特に、黒の着色剤(カーボンブラック等)以外の着色剤を用いたカラートナーの場合、印字画像の色相を設計と一致させるため、よりいっそう着色剤を分散性良く混合することが要求される。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討した。その結果、110℃における貯蔵弾性率(G’)が上記範囲にあるベース樹脂を用いることにより、着色剤の分散性に優れ、かつ、得られるトナーの融着を抑制できる着色剤マスターバッチが得られることを見出した。
すなわち、本実施形態に係る着色剤マスターバッチ用ベース樹脂は、110℃における貯蔵弾性率(G’)が上記範囲内であることにより、着色剤の分散性に優れ、かつ、得られるトナーの融着を抑制できる着色剤マスターバッチを実現できる。
この理由については必ずしも明らかではないが、本実施形態に係る着色剤マスターバッチ用ベース樹脂の110℃における貯蔵弾性率(G’)が上記上限値以下であると、着色剤マスターバッチ用ベース樹脂と着色剤とを混練する際に、混練物の粘度が低くなり、着色剤の凝集体が崩れやすくなり、その結果、得られる着色剤マスターバッチ中の着色剤の分散性が良好になると考えられる。また、本実施形態に係る着色剤マスターバッチ用ベース樹脂の110℃における貯蔵弾性率(G’)が上記下限値以上であると、ベース樹脂と着色剤とを含む着色剤マスターバッチとバインダー樹脂とを混合した際に軟化しにくく、得られるトナー粉末同士が粉砕工程で発生する熱によって結着することが抑制され、その結果、得られるトナーの融着を抑制できると考えられる。
したがって、本実施家形態に係る着色剤マスターバッチ用ベース樹脂によれば、110℃における貯蔵弾性率(G’)が上記範囲内であることにより、着色剤の分散性に優れ、かつ、得られるトナーの融着を抑制できる着色剤マスターバッチを実現できると考えられる。
また、本実施形態に係る着色剤マスターバッチ用ベース樹脂を用いて得られる着色剤マスターバッチは、着色剤の分散性に優れているため、得られるトナー中の着色剤の分散性を良好にすることができる。そのため、本実施形態に係る着色剤マスターバッチ用ベース樹脂を用いたトナーによれば、印字画像の色相と、設計の色相とのずれを小さくできるとともに耐オフセット性を良好にすることが可能である。
本実施形態に係るベース樹脂としては、トナーに要求される各種特性をバランスよく向上させることができ、さらに得られるトナーの粉砕性に優れ、トナーの生産性を向上できる点から、ビニル樹脂を含む。ここで、本実施形態におけるビニル樹脂とは、単量体として、ビニル化合物を重合して得られる樹脂をいう。
本実施形態において、例えば、着色剤マスターバッチ用ベース樹脂の重量平均分子量やガラス転移温度、着色剤マスターバッチ用ベース樹脂を構成する単量体の種類や、それらの含有割合等を調整することにより、着色剤マスターバッチ用ベース樹脂の110℃における貯蔵弾性率(G’)を上記範囲内に制御することが可能である。
本実施形態に係る着色剤マスターバッチ用ベース樹脂において、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により求められる、単分散標準ポリスチレン換算の重量平均分子量の上限は100,000以下であることが好ましく、60,000以下であることが好ましく、40,000以下であることがさらに好ましく、20,000以下であることが特に好ましい。また、上記重量平均分子量の下限は1,000以上であることが好ましく、2,000以上であることがより好ましい。
着色剤マスターバッチ用ベース樹脂の重量平均分子量が上記範囲内であると、着色剤マスターバッチ用ベース樹脂の110℃における貯蔵弾性率(G’)を上記範囲内に調整しやすくなる。
本実施形態に係る着色剤マスターバッチ用ベース樹脂において、示差走査熱量計(DSC)によって測定されるガラス転移温度(Tg)は、30℃以上80℃以下であることが好ましく、40℃以上65℃以下であることがより好ましく、42℃以上58℃以下であることがさらに好ましい。ベース樹脂のガラス転移温度が上記下限値以上であれば、輸送時や保管時、トナー製造工程時での、着色剤の凝集をより一層抑制することができる。
ベース樹脂のガラス転移温度が上記上限値以下であれば、着色剤マスターバッチをバインダー樹脂と混合してトナーとした際に、トナーの定着性がより一層良好になる。
本実施形態に係るビニル樹脂としては、トナーに要求される各種特性をバランスよく向上させる観点から、単量体としてスチレン系単量体を含むスチレン系重合体が好ましく、ポリスチレンおよびスチレン・(メタ)アクリル系共重合体から選択される少なくとも一種のスチレン系重合体がより好ましい。
本実施形態に係るスチレン・(メタ)アクリル系共重合体は、構成単量体としてスチレン系単量体および(メタ)アクリル系単量体を含む樹脂であり、少なくとも1種のスチレン系単量体と少なくとも1種の(メタ)アクリル系単量体とを用いて公知の重合方法を用いることによって得られる。また、本実施形態に係るスチレン・(メタ)アクリル系共重合体は、構成単量体としてスチレン系単量体、(メタ)アクリル系単量体およびカルボキシル基含有単量体を含む樹脂であり、少なくとも1種のスチレン系単量体と、少なくとも1種の(メタ)アクリル系単量体と、少なくとも1種のカルボキシル基含有単量体とを用いて公知の重合方法を用いることによって得られる重合体であってもよい。
本実施形態に係るスチレン・(メタ)アクリル系共重合体において、スチレン系単量体の含有量は、スチレン・(メタ)アクリル系共重合体の全体を100質量%としたとき、50質量%以上100質量%未満が好ましく、55質量%以上99質量%以下がより好ましく、60質量%以上97質量%以下がさらに好ましい。
また、本実施形態に係るスチレン・(メタ)アクリル系共重合体において、(メタ)アクリル系単量体の含有量は、スチレン・(メタ)アクリル系共重合体の全体を100質量%としたとき、0質量%を超えて50質量%以下が好ましく、0.5質量%以上40質量%以下がより好ましく、2質量%以上35質量%以下がさらに好ましい。
また、本実施形態に係るスチレン・(メタ)アクリル系共重合体において、カルボキシル基含有単量体の含有量は、スチレン・(メタ)アクリル系共重合体の全体を100質量%としたとき、0質量%以上15質量%以下が好ましく、0質量%以上10質量%以下がより好ましい。
ここで、本実施形態に係るスチレン系単量体としては、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等が挙げられる。これらの中でもスチレンが好ましい。
本実施形態に係る(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フルフリル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸ジメチルアミノメチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フルフリル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ジメチルアミノメチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N置換アクリルアミド、N置換メタクリルアミド等のアミド;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。これらのうち、好ましくはアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリルであり、より好ましくはアクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ヒドロキシエチルである。
本実施形態に係るカルボキシル基含有単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、ケイヒ酸、フマル酸メチル、フマル酸エチル、フマル酸プロピル、フマル酸ブチル、フマル酸オクチル、マレイン酸メチル、マレイン酸エチル、マレイン酸プロピル、マレイン酸ブチル、マレイン酸オクチル等の不飽和二塩基酸のモノエステル類等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、フマル酸メチル、フマル酸エチル、フマル酸プロピル、フマル酸ブチル、フマル酸オクチルであり、特に好ましくはアクリル酸、メタクリル酸である。
本実施形態に係るスチレン・(メタ)アクリル系共重合体は上記単量体の他に、フマル酸ジメチル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル等の不飽和二塩基酸のジエステル類も単量体として使用することができる。
本実施形態において、ビニル樹脂の製造方法としては、溶液重合、塊状重合、懸濁重合、乳化重合等の公知の重合方法およびそれらの組み合わせが採用できる。分子量分布の調整の簡便さから溶液重合が好適に採用される。
溶液重合に用いられる溶剤としては、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、キュメン等の芳香族炭化水素が挙げられ、これら単独またはこれらの混合物が使用され、好ましくはキシレンが好適である。
重合は、重合開始剤を用いて行ってもよいし、重合開始剤を用いずに、いわゆる熱重合を行ってもよい。重合開始剤としては通常、ラジカル重合開始剤として使用可能なものを使用することができる。例えば2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート、1,1'−アゾビス(1−シクロヘキサンカーボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチル−プロパン)等のアゾ系開始剤;メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール類;t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α'−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン等のジアルキルパーオキサイド類;イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド等のスルホニルパーオキサイド類;t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、クミルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソブロピルカーボネート、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート等のパーオキシエステル類等が例示できる。これらの開始剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤の種類や量は反応温度、単量体濃度等により適宜選んで使用でき、通常、用いる単量体100質量部に対して0.01〜10質量部使用される。
[着色剤マスターバッチ]
次に、本実施形態に係る着色剤マスターバッチについて説明する。
本実施形態に係る着色剤マスターバッチは、着色剤マスターバッチ用ベース樹脂と、着色剤とを含む。
着色剤マスターバッチ中の着色剤マスターバッチ用ベース樹脂の含有量(X)に対する着色剤の含有量(Y)の比(Y/X)は特に限定されないが、着色剤の濃度を高めつつ、着色剤の凝集を抑制する観点から、質量比で10/90以上90/10以下であることが好ましく、25/75以上85/15以下であることが好ましく、40/60以上75/25以下であることが好ましく、40/60以上65/35以下であることがさらに好ましい。
本実施形態に係る着色剤マスターバッチは、ベース樹脂として、本実施形態に係る着色剤マスターバッチ用ベース樹脂を用いることによって、着色剤の含有量を高めても着色剤の分散性を良好に保つことができる。
着色剤としては、従来公知の顔料および染料を使用することができる。
顔料としては、例えば、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、クロムグリーン、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等が挙げられる。マゼンタ用着色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、49、50、51、52、53、54、55、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、202、206、207、209、238、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35等が挙げられる。シアン用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー2、3、15、15:1、15:2、15:3、16、17、C.I.アシッドブルー6、C.I.アシッドブルー45またはフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料等が挙げられる。イエロー用着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、65、73、74、83、93、97、155、180、185、C.I.バットイエロー1、3、20等が挙げられる。黒色顔料としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック等が挙げられる。染料としては、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6、ソルベントイエロー162等が挙げられる。
これらの着色剤は単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、着色剤としては顔料が好ましい。
[着色剤マスターバッチの製造方法]
次に、本実施形態に係る着色剤マスターバッチの製造方法の一例について説明する。
本実施形態に係る着色剤マスターバッチの製造方法の一例としては、着色剤マスターバッチ用ベース樹脂と、着色剤とを混練する方法がある。
このような方法は、例えば二軸混練機、オープンロール混練機、加圧ニーダー等のバッチ式混練機に着色剤マスターバッチ用ベース樹脂および着色剤を仕込み、加熱しながら混練する方法を採用できる。
また、混練物を得た後に、三本ロールミル等によってさらに混練することが好ましい。これによって、着色剤マスターバッチ中に着色剤の凝集体を効果的に崩すことができ、その結果、着色剤マスターバッチ中に着色剤をより一層良好に分散させることができる。
着色剤マスターバッチ用ベース樹脂および着色剤を含む混合物の混練時の温度は、着色剤マスターバッチ用ベース樹脂の分子量等によって異なるため特に限定されないが、80℃以上150℃以下が好ましく、80℃以上130℃がより好ましく、100℃以上130℃以下が特に好ましい。混練時の温度を上記下限値以上にすることで、混練物にかかるシェアが適度になり、着色剤マスターバッチ中に着色剤をより一層良好に分散させることができる。
混練時の温度を上記上限値以下にすることで、着色剤が分解して、退色や変色してしまうことを低減することができる。
[トナー]
次に、本実施形態に係るトナーについて説明する。
本実施形態に係るトナーは、本実施形態に係る着色剤マスターバッチと、バインダー樹脂と、を含む。さらに、離型剤、荷電制御剤、磁性体、バインダー樹脂や着色剤マスターバッチ用ベース樹脂以外の樹脂、および表面処理剤等から選択される一種または二種以上をさらに含んでもよい。
<バインダー樹脂>
本実施形態に係るバインダー樹脂は、トナーに要求される各種特性をバランスよく向上させる観点から、スチレン・(メタ)アクリル系共重合体およびポリエステル系樹脂から選択される少なくとも一種を含むことが好ましく、トナーの粉砕性、帯電環境での安定性、離型剤の分散性、保存性、感光体を汚染しづらいことから、スチレン・(メタ)アクリル系共重合体を含むことがより好ましい。
また、本実施形態に係るバインダー樹脂は、着色剤マスターバッチ用ベース樹脂と同じ種類の樹脂であってもよいし、異なった種類の樹脂であってもよいが、バインダー樹脂と着色剤マスターバッチ用ベース樹脂との相溶性が良好になり、トナー中の着色剤の分散状態がより一層良好になる点から、本実施形態に係るバインダー樹脂は、着色剤マスターバッチ用ベース樹脂と同じ種類の樹脂であることが好ましく、本実施形態に係るバインダー樹脂および着色剤マスターバッチ用ベース樹脂がともにビニル樹脂であることがより好ましい。
スチレン・(メタ)アクリル系共重合体は構成単量体としてスチレン系単量体および(メタ)アクリル系単量体を含む樹脂であり、少なくとも1種のスチレン系単量体と少なくとも1種の(メタ)アクリル系単量体とを用いて公知の重合方法を用いることによって得られる。
ここで、本実施形態に係るスチレン系単量体としては、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等が挙げられる。これらの中でもスチレンが好ましい。
本実施形態に係る(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フルフリル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシブチル、アクリル酸ジメチルアミノメチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フルフリル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ジメチルアミノメチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N置換アクリルアミド、N置換メタクリルアミド等のアミド;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。これらのうち、好ましくはアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリルであり、より好ましくはアクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ヒドロキシエチルである。
本実施形態において上記単量体の他に、フマル酸ジメチル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル等の不飽和二塩基酸のジエステル類も単量体として使用することができる。
ポリエステル系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、トナー用バインダー樹脂として一般的に使用される公知のポリエステル系樹脂を用いることができる。
スチレン・(メタ)アクリル系共重合体が高分子量スチレン・(メタ)アクリル系共重合体(H)と低分子量スチレン・(メタ)アクリル系共重合体(L)から構成される場合、その比率(H/L)は、トナーの定着性、耐オフセット性、耐久性等の総合バランスの観点から、10/90〜90/10であることが好ましく、20/80〜80/20であることがより好ましい。
高分子量スチレン・(メタ)アクリル系共重合体(H)の比率を上記下限値以上とすることで、耐久性や耐オフセット性により優れたトナーを得ることができる。また、高分子量スチレン・(メタ)アクリル系共重合体(H)の比率を上記上限値以下にすることで、定着性や生産性により優れたトナーを得ることができる。
(高分子量スチレン・(メタ)アクリル系共重合体(H))
本実施形態において高分子量ビニル樹脂(H)は、THF可溶分がGPCにより測定される分子量分布において分子量5.0×10以上5.0×10以下の領域にメインピークを有することが好ましく、より好ましくは1.0×10以上3.5×10以下にピークを有することが、優れた定着性、耐オフセット性、耐久性のバランスを実現する上で好ましい。
高分子量スチレン・(メタ)アクリル系共重合体(H)のメインピークの分子量(以下、ピーク分子量という)を上記下限値以上とすることで、樹脂の強度が向上し、耐久性により優れたトナーを得ることができる。また、ピーク分子量を上記上限値以下にすることで、高分子量ビニル樹脂が未反応の状態で残っても、定着時のトナーの粘度が上がりにくくなり、定着性により優れたトナーが得られる。また、樹脂の強度も適度になり、生産性にもより優れたトナーとすることができる。
高分子量スチレン・(メタ)アクリル系共重合体(H)は、必ずしも単独の重合体である必要はなく、2種以上の高分子量スチレン・(メタ)アクリル系共重合体を使用してもよい。その場合、高分子量スチレン・(メタ)アクリル系共重合体(H)全体として上記特性を満たしていることが好ましい。また、単独の重合体を生成する際に、スチレン系単量体や(メタ)アクリル系単量体を重合途中に添加、若しくは重合初期と後期に分けて添加することも可能である。
(低分子量スチレン・(メタ)アクリル系共重合体(L))
本実施形態において低分子量スチレン・(メタ)アクリル系共重合体(L)は、THF可溶分がGPCにより測定される分子量分布において分子量1.0×10以上5.0×10未満にメインピークを有することが好ましく、定着性、耐久性およびトナーの生産性の観点から、分子量2.0×10以上3.0×10以下にメインピークを有することがより好ましい。ピーク分子量を上記下限値以上にすることで、耐久性により優れたトナーとすることができる。ピーク分子量が上限値以下にすることで、定着性や生産性により優れたトナーとすることができる。
低分子量スチレン・(メタ)アクリル系共重合体(L)は、必ずしも単独の重合体である必要はなく、2種以上の低分子量スチレン・(メタ)アクリル系共重合体を使用しても構わない。そのときには、低分子量スチレン・(メタ)アクリル系共重合体(L)全体として、上述の特性を満たしていることが好ましい。また、単独の重合体を生成する際に、スチレン系単量体や(メタ)アクリル系単量体を重合途中に添加、若しくは重合初期と後期に分けて添加することも可能である。
本実施形態において、スチレン・(メタ)アクリル系共重合体の製造方法としては、溶液重合、塊状重合、懸濁重合、乳化重合等の公知の重合方法およびそれらの組み合わせが採用できる。分子量分布の調整や、高分子量スチレン・(メタ)アクリル系共重合体(H)と低分子量スチレン・(メタ)アクリル系共重合体(L)の混合性から溶液重合が好適に採用される。
本実施形態に係るスチレン・(メタ)アクリル系共重合体は、高分子量スチレン・(メタ)アクリル系共重合体(H)と低分子量スチレン・(メタ)アクリル系共重合体(L)を、それぞれあらかじめ単独で重合し、それらを溶融状態もしくは溶液状態で混合して得ることができる。また、高分子量スチレン・(メタ)アクリル系共重合体(H)もしくは低分子量スチレン・(メタ)アクリル系共重合体(L)の一方を単独で重合した後、そのスチレン・(メタ)アクリル系共重合体の存在下に他方のスチレン・(メタ)アクリル系共重合体を重合して得ることもできる。
溶液重合に用いられる溶剤としては、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、キュメン等の芳香族炭化水素が挙げられ、これら単独またはこれらの混合物が使用され、好ましくはキシレンが好適である。
重合は、重合開始剤を用いて行ってもよいし、重合開始剤を用いずに、いわゆる熱重合を行ってもよい。重合開始剤としては通常、ラジカル重合開始剤として使用可能なものを使用することができる。例えば2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート、1,1'−アゾビス(1−シクロヘキサンカーボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチル−プロパン)等のアゾ系開始剤;メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール類;t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α'−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン等のジアルキルパーオキサイド類;イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド等のスルホニルパーオキサイド類;t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、クミルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソブロピルカーボネート、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート等のパーオキシエステル類等が例示できる。これらの開始剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤の種類や量は反応温度、単量体濃度等により適宜選んで使用でき、通常、用いる単量体100質量部に対して0.01〜10質量部使用される。
スチレン・(メタ)アクリル系共重合体は、エチレン系炭化水素および/または共役ジエン系炭化水素由来の構成単位の連鎖からなるブロックと、スチレン由来の連鎖からなるブロックとからなるブロック共重合体、並びにこれらの水素添加物である水素添加ブロック共重合体から選択される少なくとも一種をさらに含有してもよい。
これらのブロック共重合体および水素添加ブロック共重合体の含有量は、スチレン・(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上1.5質量部以下であり、より好ましくは0.1質量部以上1.0質量部以下である。
これらのブロック共重合体を得るために、一般に、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、2−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、1−ヘキセン、2,3−ジメチル−2−ブテン等のエチレン系炭化水素、およびブタジエン、イソプレン等の共役ジエン系炭化水素から選択される1種以上を使用してよい。これらを用いて公知のリビングアニオン重合やリビングカチオン重合により生成させたブロック共重合体の反応性基を利用し、さらにこれにスチレンをブロックさせる等の方法で製造される。しかしながら、製造方法に制限を受けるものではなく、従来公知のその他の製造方法により製造されたものを使用してもよい。さらに、上記のブロック共重合体の中には不飽和二重結合を有するものもある。これらは公知の方法により不飽和二重結合と水素とを反応させ、水素添加物として使用してもよい。
上記ブロック共重合体としては、市販のものとして、クレイトンポリマー社のクレイトン(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン系ブロック共重合体(SEBS)、スチレン−ブタジエン−スチレン系ブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン系ブロック共重合体、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン系ブロック共重合体、スチレン−エチレン/プロピレン系ブロック共重合体)、株式会社クラレ製セプトン(スチレン−エチレン/プロピレン系ブロック共重合体、スチレン−イソプレン系ブロック共重合体の水添物)、旭化成株式会社製タフプレン(スチレン−ブタジエン系ブロック共重合体)等が挙げられる。
(ポリエステル系樹脂)
本実施形態に係るバインダー樹脂として使用するポリエステル系樹脂としては特に限定されないが、トナー用バインダー樹脂として一般的に用いられているポリエステル系樹脂が好ましい。
ポリエステル系樹脂としては、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合または共縮重合によって得られるものを用いることができる。アルコール成分およびカルボン酸成分としては、例えば、以下のものが挙げられる。
アルコール成分としては、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のビスフェノール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオール類;ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の2価又は3価以上のアルコール類等が挙げられる。
カルボン酸成分としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸等の2価のカルボン酸;1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸等の3価以上のカルボン酸等が挙げられる。
また、これらのカルボン酸の酸無水物又は低級アルキルエステル等も使用ことができる。
本実施形態に係るトナーは、より良好な定着性能や耐オフセット性能を発現させるために離型剤をさらに含有してもよい。
離型剤としては従来公知のものを使用することができる。例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合体、ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスのような脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ライスワックス、ホホバろうのような植物系ワックス;蜜蝋、ラノリン、鯨ろうのような動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラタムのような鉱物系ワックス;モンタン酸エステル、カスターワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス;脱酸カルナバワックスのような脂肪酸エステルの一部または全部を脱酸化したワックス;パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、またはさらに長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類のような飽和直鎖脂肪酸;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸のような不飽和脂肪酸;ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、またはさらに長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコールのような飽和アルコール;ソルビトールのような多価アルコール;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドのような脂肪酸アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドのような飽和脂肪酸ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N'−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N'−ジオレイルセバシン酸アミドのような不飽和脂肪酸アミド;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N'−ジステアリルイソフタル酸アミドのような芳香族系ビスアミド;脂肪族炭化水素系ワックスにスチレン系単量体や(メタ)アクリル系単量体、カルボキシル基含有単量体、グリシジル基含有単量体のようなビニル系単量体を用いてグラフト化させたワックス;ベヘニン酸モノグリセリドのような脂肪族と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することにより得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物;メタロセン触媒によって合成されたポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン、ポリヘキセン、ポリヘプテン、ポリオクテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、ブテン−プロピレン共重合体や、長鎖アルキルカルボン酸と多価アルコールを縮合したり長鎖アルキルカルボン酸のハロゲン化物と多価アルコールを反応したりして得られるエステル基含有ワックス等が挙げられる。さらには、水酸基やエステル基やカルボキシル基等の官能基を有するワックスが挙げられる。
これらの離型剤は、単独または2種以上組み合わせて使用してもよい。
本実施形態において、離型剤の含有量は、耐オフセット性、保存性のバランスの観点から、バインダー樹脂およびベース樹脂の合計100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下が好ましく、2質量部以上8質量部以下がより好ましい。離型剤の含有量を上記下限値以上にすることで、耐オフセット性により優れたトナーとすることができ、上記上限値以下にすることで保存性の悪化や、耐感光体汚染性の悪化を抑制することができる。また、離型剤が偏在しにくくなるため、離型剤がトナーから抜け落ちるのを抑制し、耐久性により優れたトナーとすることができる。
トナー中の着色剤の含有量は、バインダー樹脂およびベース樹脂の合計100質量部に対して、0.05〜20質量部が好ましく、より好ましくは0.1〜15質量部、さらに好ましくは0.2〜10質量部である。
また、着色剤は、着色剤マスターバッチ中の着色剤の他に、別途トナー中に含有させてもよい。
また、トナー中の着色剤マスターバッチの含有量は、トナー中の着色剤の含有量が好ましい範囲になるように適宜調整する。
着色剤の代わりとして磁性体を使用することもできる。磁性体としては、鉄、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、ケイ素等の元素を含む金属酸化物等が挙げられ、具体的には四三酸化鉄、三二酸化鉄、酸化鉄亜鉛、酸化鉄イットリウム、酸化鉄カドミウム、酸化鉄ガドリニウム、酸化鉄銅、酸化鉄鉛、酸化鉄ニッケル、酸化鉄ネオジム、酸化鉄バリウム、酸化鉄マグネシウム、酸化鉄マンガン、酸化鉄ランタン、鉄粉、コバルト粉、ニッケル粉等が挙げられる。これらの磁性体は必要に応じて2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、その形状としては、球形、八面体、六面体のものを使用することが好ましく、さらには球形のものを使用することが磁性体をトナー中に均一に分散させる点で好ましい。
磁性体の含有量は、バインダー樹脂およびベース樹脂の合計100質量部に対して4〜200質量部が好ましく、より好ましくは10〜170質量部、さらに好ましくは20〜150質量部である。
また、本実施形態に係るトナーは、必要に応じて本実施形態の効果を阻害しない範囲において、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、ポリアミド、ポリスチレン、ロジン、重合ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、芳香族石油樹脂、塩ビ樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、スチレン−(メタ)アクリル共重合体、クロマン−インデン樹脂、メラミン樹脂等の樹脂を一部添加して使用してもよい。
本実施形態に係るトナーは、正帯電性または負帯電性を保持させるために荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤としては従来公知のものを使用できる。
正帯電性の荷電制御剤としては、例えば、ニグロシンおよび脂肪酸金属塩等による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートのような四級アンモニウム塩、およびこれらの類似体であるホスホニウム塩のようなオニウム塩およびこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料およびこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、燐タングステン酸、燐モリブデン酸、燐タングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物等);高級脂肪酸の金属塩;ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、ジシクロヘキシル錫オキサイドのようなジオルガノ錫オキサイド;ジブチル錫ボレート、ジオクチル錫ボレート、ジシクロヘキシル錫ボレートのようなジオルガノ錫ボレート類;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;イミダゾリウム塩類;さらにはジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートとスチレン系単量体と必要により(メタ)アクリル系単量体を共重合した後にパラトルエンスルホン酸アルキルエステルで四級化する等の手法によって得られる四級アンモニウム塩基含有共重合体が挙げられる。
負帯電性の荷電制御剤としては、例えば、有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ヒドロキシカルボン酸金属錯体、芳香族ジカルボン酸金属錯体、芳香族ヒドロキシカルボン酸や芳香族モノカルボン酸や芳香族ポリカルボン酸およびその金属塩や無水物やエステル類、ビスフェノールのようなビスフェノール誘導体があり、さらには配位中心金属がSc、Ti、V、Cr、Co、Ni、Mn、Feから選択され、かつ、カチオンが水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンから選択されるアゾ系金属化合物や、配位中心金属がCr、Co、Ni、Mn、Fe、Ti、Zr、Zn、Si、B、Alから選択され、かつ、カチオンが水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、脂肪族アンモニウムから選択される芳香族ヒドロキシカルボン酸誘導体や芳香族ポリカルボン酸誘導体の金属化合物(芳香族ヒドロキシカルボン酸誘導体および芳香族ポリカルボン酸は置換基としてアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、水酸基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、カルバモイル基を有していてもよい)、スルホン酸基含有アクリルアミド系単量体とスチレン系単量体と(メタ)アクリル系単量体の共重合体のようなスルホン酸基含有単量体を構成成分とする重合体等が挙げられる。これらの荷電制御剤は単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
カラートナーにおいては、トナー画像の色調や透光性に影響の与えない無色や白色または淡色の荷電制御剤が好ましい。
負帯電性の荷電制御剤としては、例えば、サリチル酸誘導体金属、カリックスアレーン系化合物、有機ホウ素化合物、含フッ素4級アンモニウム塩系化合物等がある。
正帯電性の荷電制御剤としては、例えば、官能基として4級アンモニウム塩、カルボン酸塩、又はカルボキシル基を有する樹脂等がある。
荷電制御剤のトナーへの含有量は、帯電量とトナーの流動性のバランスから、バインダー樹脂およびベース樹脂の合計100質量部に対して、0.05〜10質量部が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量部、さらに好ましくは0.2〜3質量部である。また、添加方法としては、トナー内部に添加する方法と外添する方法やそれらを組み合わせたものが適用できる。
本実施形態に係るトナーは、トナーの表面に対して表面処理剤を添加することによって、トナーとキャリア、あるいはトナー相互の間に該表面処理剤を存在させることが好ましい。表面処理剤を添加することにより、粉体流動性、保存性、帯電安定性、および環境安定性が向上され、かつさらに現像剤の寿命をも向上させることができる。
表面処理剤としては、従来公知のものを使用することができる。例えば、シリカ微粉体、酸化チタン微粉体、およびそれらの疎水化物等が挙げられる。シリカ微粉体は、湿式シリカ、乾式シリカ、乾式シリカと金属酸化物の複合体等が使用でき、さらに、これらを有機ケイ素化合物等で疎水化処理されたものが使用できる。疎水化処理は、例えば、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉体をシラン化合物で処理し、有機ケイ素化合物で処理する方法等が挙げられる。疎水化処理に用いられるシラン化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α―クロルエチルトリクロルシラン、β―クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1、3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1、3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン等が挙げられる。疎水化処理に用いられる有機ケイ素化合物としては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等のシリコーンオイル類が挙げられる。また、酸化チタン微粉末にオイル処理したものや、0.03μm〜1μmのビニル樹脂の微粒子等も使用してもよい。
これら以外の表面処理剤として、ポリフッ化エチレン、ステアリン酸亜鉛、ポリフッ化ビニリデンのような滑剤、酸化セリウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム、磁性粉、アルミナ等の研磨剤、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化錫等の導電性付与剤等も使用してもよい。さらには、表面処理剤の形状として、粒径が100nm以下の小粒径の粒子、粒径が100nm以上の大粒径の粒子、八面体状、六面体状、針状、繊維状等様々な形状のものを使用してもよい。表面処理剤は単独または2種以上を組み合わせて使用してよい。
該表面処理剤の添加量は、トナー100質量部中、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部である。
本実施形態に係るトナーを二成分現像剤として使用する場合、キャリアとして従来公知のものを使用できる。例えば、表面酸化または未酸化の鉄、コバルト、マンガン、クロム、銅、亜鉛、ニッケル、マグネシウム、リチウム、希土類のような金属およびそれらの合金または酸化物からなる個数平均粒径15〜300μmの粒子が使用できる。これらのキャリアはスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂等により表面コートされているものを使用してもよい。さらには、樹脂に磁性微粒子が分散されてなる磁性微粒子分散型コアと該磁性微粒子分散型コアの表面を被覆する被覆樹脂を含有する被覆層を有する磁性キャリアを使用してもよい。
本実施形態に係るトナーは、公知の種々の現像プロセスに用いることができる。例えば、特に限定されないが、カスケード現像法、磁気ブラシ法、パウダー・クラウド法、タッチダウン現像法、キャリアとして粉砕法によって製造された磁性トナーを用いる所謂マイクロトーニング法、磁性トナー同士の摩擦帯電によって必要なトナー電荷を得る所謂バイポーラー・マグネチックトナー法等が挙げられる。また、本実施形態に係るトナーは、従来公知のファーブラシ法、ブレード法等の種々のクリーニング方法にも用いることができる。また、本実施形態に係るトナーは、従来公知の種々の定着方法に用いることができる。具体的には、オイルレスヒートロール法、オイル塗布ヒートロール法、熱ベルト定着法、フラッシュ法、オーブン法、圧力定着法等が例示される。また、電磁誘導加熱方式を採用した定着装置に使用してもよい。さらには中間転写工程を有する画像形成方法に用いてもよい。
[トナーの製造方法]
次に、本実施形態に係るトナーの製造方法について説明する。
本実施形態に係るトナーの製造方法は、本実施形態に係る着色剤マスターバッチとバインダー樹脂とを混合する工程を含む。着色剤マスターバッチとバインダー樹脂とを混合する工程において、着色剤マスターバッチおよびバインダー樹脂以外のトナー部材も混合してもよい。
本実施形態に係るトナーは、本実施形態に係る着色剤マスターバッチとバインダー樹脂とを混合して製造される。混合する方法は、従来公知の方法でよい。例えば、着色剤マスターバッチと、バインダー樹脂と、必要に応じて荷電制御剤等のトナー部材とをヘンシェルミキサー等の粉体混合機により充分に混合した後、2軸混練機、オープンロール混練機等の混練機を用いて溶融混練して各構成成分を充分に混合する。これを冷却後、粉砕、分級を行って、通常4〜15μmの範囲の粒子を集め、粉体混合法により表面処理剤をまぶしてトナーを得る方法が挙げられる。
また、表面処理装置等により、トナーを球形化処理してもよい。表面処理の方法としては、例えば、高温空気噴流中に流入させトナーを球形化する方法や機械的な衝撃によりトナーの角を取る方法が挙げられる。画質の向上等を目的として、これらの表面処理を行って、フロー式粒子像測定装置(例えばシスメックス社製 FIPA−3000)によって測定される平均円形度を0.960以上に調整してもよい。
また、高温空気噴流中に流入させトナーを球形化する方法では、粒子状のトナーを熱風で加熱処理する。このときの温度は200℃以上400℃以下であることが好ましい。
本実施形態に係るトナーは、電子写真、静電記録、静電印刷等における、静電荷像を現像するための電子写真用トナーに好適に用いることができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが本発明はこれに限定されるものではない。また、データの測定法および判定法は次の通りである。さらに、表中、Stはスチレン、Macはメタクリル酸、BAはアクリル酸n−ブチルを表す。
<樹脂の分析>
(1)粘弾性
ベース樹脂の110℃での貯蔵弾性率は、下記の条件で測定した。
装置:粘弾性測定装置MCR302(アントンパール社製)
試料:1g
プレート:φ20mm
ギャップ:1mm
振り角γ:1%
周波数:1Hz
昇温速度:2℃/分
ステージの温度を150℃に保った状態で樹脂をステージに載せて4分間加熱した後にプレートで挟み込み、プレートの外にはみ出た余分な樹脂を取り除いた。次いで、50℃までステージの温度を下げてから、再度昇温させて110℃のときの貯蔵弾性率を測定した。
(2)重量平均分子量Mw
ベース樹脂の重量平均分子量Mwは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法により求めたものであり、単分散標準ポリスチレンで検量線を作成した換算分子量である。測定条件は下記の通りである。
GPC装置:SHODEX(登録商標) GPC SYSTEM−21(昭和電工株式会社製)
検出器:SHODEX(登録商標) RI SE−31 (昭和電工株式会社製)
カラム:SHODEX(登録商標) GPC KF−Gを1本、 GPC KF−807Lを3本、およびGPC KF−800Dを1本(昭和電工株式会社製)、をこの順番に直列に連結して用いた。
溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.2ml/分
サンプル濃度:0.002g−resin/ml−THF
注入量:100μL
(3)ガラス転移温度(Tg)
ベース樹脂のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(DSC−7000X、日立ハイテクサイエンス)を用いて、試料10mgをアルミパンに入れて200℃で溶融させた後に0℃に冷却して固化させ、次いで、10℃/minで昇温させたときの熱量変化から求めた。
<マスターバッチの評価>
(1)マスターバッチの着色剤の分散凝集観察
着色剤の分散凝集観察は以下の方法でおこなった。アルミ箔(厚み12μm)をスペーサーとて着色剤マスターバッチをプレパラートに挟み込み、150℃、3MPaでプレスして作製したマスターバッチの薄膜を光学顕微鏡で観察した。0.5mm×0.7mmの範囲で着色剤の凝集体の個数を数え、以下の評価基準で評価した。
(評価基準)
○:10μm以上の着色剤の凝集体が0〜1個観察された
△:10μm以上の着色剤の凝集体が2〜5個観察された
×:10μm以上の着色剤の凝集体が6個以上観察された
<トナーの評価>
(1)色彩測定
カラー複写機(IPSiO SP C820、リコー社製)に作製したシアントナーを入れ、シアントナー単色でJBMIAの複写機用カラーテストチャートを出力した。
得られた画像の色彩を蛍光分光濃度計(FD−7、コニカミノルタ)で測定し、得られたL*、a*、b*の値からIPSiO SP C820の純正トナー(ポリエステル系重合トナー)で出力した画像との色差ΔEを算出し、以下の評価基準で評価した。
Figure 2019199534
(評価基準)
○:ΔEが2以下である
△:ΔEが2より大きく、3.2以下である
×:ΔEが3.2より大きい
(2)耐オフセット性評価
市販の電子写真複写機を改造した複写機に作製したシアントナーを入れてトナー付着量0.45mg/cmの未定着画像を作製した。その後、この未定着画像を市販の複写機の定着部を改造した熱ローラー定着装置に、熱ローラーの速度を125mm/secとして未定着画像を通し、非画像部分にトナーオフセットによるトナー汚れが生ずるか否かを観察した。上記熱ローラー定着装置の熱ローラーの設定温度を100℃から5℃ずつ順次200℃まで上昇させた状態で繰り返し、トナー汚れの生じない設定温度の幅をもって耐オフセット温度幅とした。また、上記複写機の雰囲気は、温度22℃、相対湿度55%とした。
(評価基準)
○ : 60℃<耐オフセット温度幅
△ : 50℃≦耐オフセット温度幅≦60℃
× : 耐オフセット温度幅<50℃
[着色剤マスターバッチ用ベース樹脂の製造例]
着色剤マスターバッチ用ベース樹脂として、下記表1に記載の樹脂A〜Iを製造した。
Figure 2019199534
以下、樹脂A〜Iの具体的な製造方法について説明する。
(樹脂A)
窒素置換したフラスコにキシレン100質量部を仕込み昇温し、キシレン還流下において、予め表1に記載の単量体100質量部にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10質量部を混合溶解しておいた混合液を5時間かけて連続添加し、さらに1時間還流を行った。その後、内温を98℃に保持し、さらにt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.5重量部を加えて1時間反応させ、さらにt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.5重量部を加えて2時間反応させ、重合液を得た。得られた重合液を、190℃、1.33kPaのベッセル(容器)中にフラッシュして溶剤等を留去して樹脂Aを得た。得られた樹脂Aの物性を表2に示す。
(樹脂B)
窒素置換したフラスコにキシレン100質量部を仕込み昇温し、キシレン還流下において、予め表1に記載の単量体100質量部にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート2.5質量部を混合溶解しておいた混合液を5時間かけて連続添加し、さらに1時間還流を行った。その後、内温を98℃に保持し、さらにt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.5重量部を加えて1時間反応させ、さらにt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.5重量部を加えて2時間反応させ、重合液を得た。得られた重合液を、190℃、1.33kPaのベッセル(容器)中にフラッシュして溶剤等を留去して樹脂Bを得た。得られた樹脂Bの物性を表2に示す。
(樹脂C)
窒素置換したフラスコにキシレン100質量部を仕込み昇温し、キシレン還流下において、予め表1に記載に記載の単量体100質量部にジ−t−ブチルパーオキサイド0.5質量部を混合溶解しておいた混合液を5時間かけて連続添加し、さらに1時間還流を行った。その後、内温を130℃に保持し、さらにジ−t−ブチルパーオキサイド0.5重量部を加えて1時間反応させ、さらにジ−t−ブチルパーオキサイド0.5重量部を加えて2時間反応させ、重合液を得た。得られた重合液を、190℃、1.33kPaのベッセル(容器)中にフラッシュして溶剤等を留去して樹脂Cを得た。得られた樹脂Cの物性を表2に示す。
(樹脂D)
窒素置換したフラスコにキシレン100質量部を仕込み昇温し、キシレン還流下において、予め表1に記載に記載の単量体100質量部にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート1.8質量部を混合溶解しておいた混合液を5時間かけて連続添加し、さらに1時間還流を行った。その後、内温を98℃に保持し、さらにt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.5重量部を加えて1時間反応させ、さらにt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.5重量部を加えて2時間反応させ、重合液を得た。得られた重合液を、190℃、1.33kPaのベッセル(容器)中にフラッシュして溶剤等を留去して樹脂Dを得た。得られた樹脂Dの物性を表2に示す。
(樹脂E)
窒素置換したフラスコにキシレン100質量部を仕込み昇温し、キシレン還流下において、予め表1に記載に記載の単量体100質量部にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート2.5質量部を混合溶解しておいた混合液を5時間かけて連続添加し、さらに1時間還流を行った。その後、内温を98℃に保持し、さらにt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.5重量部を加えて1時間反応させ、さらにt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.5重量部を加えて2時間反応させ、重合液を得た。得られた重合液を、190℃、1.33kPaのベッセル(容器)中にフラッシュして溶剤等を留去して樹脂Eを得た。得られた樹脂Eの物性を表2に示す。
(樹脂F)
窒素置換したフラスコにキシレン100質量部を仕込み昇温し、キシレン還流下において、予め表1に記載に記載の単量体100質量部にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10質量部を混合溶解しておいた混合液を5時間かけて連続添加し、さらに1時間還流を行った。その後、内温を98℃に保持し、さらにt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.5重量部を加えて1時間反応させ、さらにt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.5重量部を加えて2時間反応させ、重合液を得た。得られた重合液を、190℃、1.33kPaのベッセル(容器)中にフラッシュして溶剤等を留去して樹脂Fを得た。得られた樹脂Fの物性を表2に示す。
(樹脂G)
窒素置換したフラスコにキシレン100質量部を仕込み昇温し、キシレン還流下において、予め表1に記載に記載の単量体100質量部にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート1.8質量部を混合溶解しておいた混合液を5時間かけて連続添加し、さらに1時間還流を行った。その後、内温を98℃に保持し、さらにt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.5重量部を加えて1時間反応させ、さらにt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.5重量部を加えて2時間反応させ、重合液を得た。得られた重合液を、190℃、1.33kPaのベッセル(容器)中にフラッシュして溶剤等を留去して樹脂Gを得た。得られた樹脂Gの物性を表2に示す。
(樹脂H)
窒素置換したフラスコにキシレン100質量部を仕込み昇温し、キシレン還流下において、予め表1に記載に記載の単量体100質量部にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート3質量部を混合溶解しておいた混合液を5時間かけて連続添加し、さらに1時間還流を行った。その後、内温を98℃に保持し、さらにt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.5重量部を加えて1時間反応させ、さらにt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.5重量部を加えて2時間反応させ、重合液を得た。得られた重合液を、190℃、1.33kPaのベッセル(容器)中にフラッシュして溶剤等を留去して樹脂Hを得た。得られた樹脂Hの物性を表2に示す。
(樹脂I)
窒素置換したフラスコにキシレン100質量部を仕込み昇温し、キシレン還流下において、予め表1に記載に記載の単量体100質量部にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート2.5質量部を混合溶解しておいた混合液を5時間かけて連続添加し、さらに1時間還流を行った。その後、内温を98℃に保持し、さらにt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.5重量部を加えて1時間反応させ、さらにt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.5重量部を加えて2時間反応させ、重合液を得た。得られた重合液を、190℃、1.33kPaのベッセル(容器)中にフラッシュして溶剤等を留去して樹脂Iを得た。得られた樹脂Iの物性を表2に示す。
Figure 2019199534
[トナー用バインダー樹脂の製造例]
窒素置換したフラスコにキシレン100質量部を仕込み昇温し、キシレン還流下において、スチレン単量体77.5質量部、アクリル酸n−ブチル21.5質量部、メタクリル酸1質量部にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート1.8質量部を混合溶解しておいた混合液を5時間かけて連続添加し、さらに1時間還流を継続した。その後、内温98℃に保ち、更にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.5質量部を加えて1時間反応を継続し、更にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.5質量部を加えて2時間反応を継続し、ピーク分子量21,000の低分子ポリマー溶液を得た。
次に窒素置換したフラスコにスチレン単量体74質量部、アクリル酸n−ブチル23.5質量部、メタクリル酸2.5質量部を仕込み、内温120℃に昇温後同温度に保ち、バルク重合を8時間行った。ついで、キシレン50重量部を加え、テトラエチレングリコールジアクリレート0.2質量部を加えた後、110℃に昇温した。予め混合溶解しておいた1、1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンの0.35重量部、キシレン60重量部を110℃に保ちながら9時間かけて連続添加した後、1時間反応を継続し、1、1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.21質量部を加え2時間反応を継続し、更に1、1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.52質量部を加え2時間反応を継続して重合を完結し、ピーク分子量300,000の高分子ポリマー溶液を得た。
この両者の溶液を固形分質量比で低分子ポリマー:高分子ポリマーを8:2で混合し、これを190℃、1.33kPaのベッセル(容器)中にフラッシュして溶剤等を留去し、Mwが110,000、Mw/Mnが16、Tgが57℃であるトナー用バインダー樹脂を得た。
[実施例1]
(1)着色剤マスターバッチの製造
着色剤であるシアン顔料(ECB−303、大日精化工業)と、ベース樹脂である樹脂Aとを、表3に記載の割合で水蒸気を熱源とする加圧ニーダーに投入し、20分間混練した。
得られた混練物を80℃まで冷却した後に、加圧ニーダーから混練物を取り出し、三本ロールミル(フロントロール温度:100℃、センターロール温度:130℃、バックロール温度:130℃)に5回通し、粉砕機で3mmパンチ網を通るサイズに粉砕して着色剤マスターバッチを作製した。得られた着色剤マスターバッチについて、着色剤の分散状態を観察した。得られた結果を表3に示す。
(2)トナーの製造
次いで、上記トナー用バインダー樹脂100重量部に、得られた着色剤マスターバッチを18.75重量部、ワックス(HNP−9、日本精鑞)を6.25重量部加えてヘンシェルミキサーで混合した。次いで、90℃に設定した二軸押出機で混練して作製した混練物を衝突板式ジェット粉砕機で粉砕し、気流分級機で分級して中位径が8μmの着色粒子を作製した。
この着色粒子100重量部にシリカ(R976s、日本アエロジル)を1重量部、二酸化チタン(ST550、チタン工業)を0.2重量部、シリカ(X24−9600A−100、信越化学)を0.5重量部加えてヘンシェルミキサーで混合して実施例1のシアントナーを作製した。得られたトナーについて、色彩測定および耐オフセット性評価をおこなった。得られた結果を表3に示す。
[実施例2〜6および比較例1〜3]
使用したベース樹脂の種類を表3に示す樹脂とし、さらに着色剤とベース樹脂との混合割合を表3に記載の割合に変更した以外は実施例1と同様にして着色剤マスターバッチおよびトナーをそれぞれ作製し、実施例1と同様の評価をおこなった。得られた結果を表3にそれぞれ示す。
ここで、比較例3では、混練物の粉砕工程において粉砕機内部で混練物が融着してしまい、目標サイズ(中位径8μm)のトナーを作製できなかった。
[実施例7]
着色剤とベース樹脂との混合割合を表3に記載の割合に変更した以外は実施例1と同様にして着色剤マスターバッチを作製し、実施例1と同様の評価をおこなった。また、着色剤マスターバッチの混合量を14.46重量部に、ワックスの混合量を6.02重量部に変更した以外は実施例1と同様にしてトナーを作製し、実施例1と同様の評価をおこなった。
[実施例8]
着色剤とベース樹脂との混合割合を表3に記載の割合に変更した以外は実施例1と同様にして着色剤マスターバッチを作製し、実施例1と同様の評価をおこなった。また、着色剤マスターバッチの混合量を9.92重量部に、ワックスの混合量を5.79重量部に変更した以外は実施例1と同様にしてトナーを作製し、実施例1と同様の評価をおこなった。
Figure 2019199534
実施例のトナーの印字画像の色相は純正トナー(ポリエステル系重合トナー)と同程度であった。一方、ベース樹脂の110℃における貯蔵弾性率が10000Paを超える比較例1および2のトナーは、顔料マスターバッチ中での顔料の分散が悪く、印字画像の色相がずれてしまった。また、比較例3では、混練物の粉砕工程において粉砕機内部で混練物が融着してしまい、目標サイズ(中位径8μm)のトナーを作製できなかった。

Claims (11)

  1. 着色剤およびベース樹脂を含むトナー用着色剤マスターバッチに用いられる前記ベース樹脂であって、
    前記ベース樹脂はビニル樹脂を含み、
    周波数1Hz、振り角γ1%、測定温度110℃の条下、動的粘弾性測定により求められる、110℃における貯蔵弾性率(G’)が10Pa以上10,000Pa以下である着色剤マスターバッチ用ベース樹脂。
  2. 請求項1に記載の着色剤マスターバッチ用ベース樹脂において、
    ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により求められる、単分散標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が100,000以下である、着色剤マスターバッチ用ベース樹脂。
  3. 請求項1または2に記載の着色剤マスターバッチ用ベース樹脂において、
    前記ビニル樹脂がスチレン系重合体を含む着色剤マスターバッチ用ベース樹脂。
  4. 請求項3に記載の着色剤マスターバッチ用ベース樹脂において、
    前記スチレン系重合体が、ポリスチレンおよびスチレン・(メタ)アクリル系共重合体から選択される少なくとも一種を含む着色剤マスターバッチ用ベース樹脂。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の着色剤マスターバッチ用ベース樹脂において、
    示差走査熱量計(DSC)によって測定されるガラス転移温度(Tg)が30℃以上80℃以下である着色剤マスターバッチ用ベース樹脂。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の着色剤マスターバッチ用ベース樹脂と、着色剤とを含む、着色剤マスターバッチ。
  7. 請求項6に記載の着色剤マスターバッチにおいて、
    前記着色剤マスターバッチ中の前記着色剤マスターバッチ用ベース樹脂の含有量(X)に対する前記着色剤の含有量(Y)の比(Y/X)が質量比で10/90以上90/10以下である着色剤マスターバッチ。
  8. 請求項6または7に記載の着色剤マスターバッチを製造するための製造方法であって、
    前記着色剤マスターバッチ用ベース樹脂と前記着色剤の混合物を、80℃以上150℃以下で混錬する工程を含む着色剤マスターバッチの製造方法。
  9. 請求項6または7に記載の着色剤マスターバッチと、バインダー樹脂と、を含むトナー。
  10. 請求項9に記載のトナーにおいて、
    前記バインダー樹脂がスチレン・(メタ)アクリル系共重合体を含むトナー。
  11. 電子写真用である請求項9または10に記載のトナー。
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