JP2019199519A - 塗膜形成組成物 - Google Patents
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特許文献2には、ヒドロカルビルシリケート、塩基性触媒、特定構造のリチウム塩あるいはオニウム塩から選ばれるイオン性化合物を含有する、親水性および帯電防止性に優れた塗膜を形成する組成物が開示されている。
(A)アルコキシシリル基を含有するシリコーンオリゴマー、
(B)加水分解触媒、
(C)下記式(1)または(2)で示されるオニウム塩
ここでR1〜R3はそれぞれ独立して、炭素数が1〜6のアルキル基を示し、R4は炭素数が1〜4のアルキル基を示し、n=1〜4の整数を意味する。[R1R2R3Q−(CH2)n−Si(OR4)3]+はオニウムカチオンであり、QはP(リン)またはN(窒素)のいずれかである。X−は含フッ素アニオンである。
ここでR5は炭素数1〜6のアルキル基、R6は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。R4及びnは式(1)に同じ。Cはピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環またはピリジン環を示し、Cがピリジン環であるときR5は存在しない。X−は式(1)に同じ。
<(A)成分>
本発明で使用することができる(A)成分とは、アルコキシシリル基を含有するシリコーンオリゴマーであれば特に限定されるものではなく、例えば式(3)で示すような構造式を有するものや、式(3)は直鎖構造だが、その側鎖に式(3)の繰り返し単位を有するもの等が挙げられる。
(−ORはアルコキシ基でRは炭素数が1〜4のアルキル基、Zはメチル基、フェニル基、反応性官能基(エポキシ基、メタクリル基、メルカプト基等)、mは2以上の整数を表す。尚、RおよびZがそれぞれ複数ある場合、それらは全て独立して存在するものとする。)
アルコキシ基としては例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、などが挙げられる。非加熱条件での硬化のしやすさといった観点からはメトキシ基を有するオリゴマーであることが好ましい。ここでいうオリゴマーとは、2量体以上のもので、重量平均分子量を550〜10000の間にもつものをいう。重量平均分子量を550〜10000程度の間にもつオリゴマーであれば、塗膜の被着体に対する密着性や反応性、ハンドリング性等が良好であり、塗膜形成組成物にとっては好ましい。
また、(A)成分としては、メチル基を1つ以上有するものが好ましい。メチル基を有する場合、シリコーンオリゴマーが加水分解性に優れ、反応性が良くなる。
本発明で使用することができる(B)成分とは、加水分解触媒であり、(A)成分または(C)成分について加水分解し、脱水縮合や脱アルコール縮合を促進させることができる触媒であれば特に限定されるものではない。例えば、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクチレート、ジブチル錫ジラウレートなどの有機錫化合物、アルミニウムトリス(アセチルアセトン)、アルミニウムトリス(アセトアセテートエチル)、アルミニウムジイソプロポキシ(アセトアセテートエチル)などの有機アルミニウム化合物、ジルコニウム(アセチルアセトン)、ジルコニウムトリス(アセチルアセトン)、ジルコニウムテトラキス(エチレングリコールモノメチルエーテル)、ジルコニウムテトラキス(エチレングリコールモノエチルエーテル)、ジルコニウムテトラキス(エチレングリコールモノブチルエーテル)などの有機ジルコニウム化合物、チタニウムテトラキス(エチレングリコールモノメチルエーテル)、チタニウムテトラキス(エチレングリコールモノエチルエーテル)、チタニウムテトラキス(エチレングリコールモノブチルエーテル)などの有機チタニウム化合物などといった有機金属化合物や、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸などの鉱酸類や、ギ酸、酢酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸類などの酸や、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基や、エチレンジアミン、アルカノールアミンなどの有機塩基などのアルカリ、例えば、アミノ変性シリコーン、アミノシラン、シラザン、アミン類などのアミノ化合物などが挙げられる。これらのうち好ましくは、有機錫化合物、有機アルミニウム化合物、有機チタニウム化合物、鉱酸類、アミノ化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、また、二種類以上を併用することもできる。
本発明で使用することができる(C)成分とは、下記式(1)または(2)で示されるオニウム塩であれば特に限定されるものではないが、特に好ましくは式(1)で示されるオニウム塩である。
ここでR1〜R3はそれぞれ独立して、炭素数が1〜6のアルキル基を示し、R4は炭素数が1〜4のアルキル基を示し、n=1〜4の整数を意味する。[R1R2R3Q−(CH2)n−Si(OR4)3]+はオニウムカチオンであり、QはP(リン)またはN(窒素)のいずれかである。X−は含フッ素アニオンである。
ここでR5は炭素数1〜6のアルキル基、R6は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。R4及びnは式(1)に同じ。Cはピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環またはピリジン環を示し、Cがピリジン環であるときR5は存在しない。X−は式(1)に同じ。
1,1,1−トリプロピル−1−(トリメトキシシリルエチル)アンモニウムカチオン、1,1,1−トリエチル−1−(トリメトキシシリルエチル)アンモニウムカチオン、
1,1,1−トリメチル−1−(トリメトキシシリルエチル)アンモニウムカチオン、1,1,1−トリブチル−1−(トリメトキシシリルメチル)アンモニウムカチオン、
1,1,1−トリプロピル−1−(トリメトキシシリルメチル)アンモニウムカチオン、1,1,1−トリエチル−1−(トリメトキシシリルメチル)アンモニウムカチオン、
1,1,1−トリメチル−1−(トリメトキシシリルメチル)アンモニウムカチオン、
4−tert−ブチル−4−(トリメトキシシリルメチル)モルホリニウムカチオン、4−ペンチル−4−(トリメトキシシリルメチル)モルホリニウムカチオン、4−ヘキシル−4−(トリメトキシシリルメチル)モルホリニウムカチオン、4−メチル−4−(トリメトキシシリルプロピル)モルホリニウムカチオン、4−エチル−4−(トリメトキシシリルプロピル)モルホリニウムカチオン、4−プロピル−4−(トリメトキシシリルプロピル)モルホリニウムカチオン、4−イソプロピル−4−(トリメトキシシリルプロピル)モルホリニウムカチオン、4−ブチル−4−(トリメトキシシリルプロピル)モルホリニウムカチオン、4−イソブチル−4−(トリメトキシシリルプロピル)モルホリニウムカチオン、4−sec−ブチル−4−(トリメトキシシリルプロピル)モルホリニウムカチオン、4−tert−ブチル−4−(トリメトキシシリルプロピル)モルホリニウムカチオン、
(C)成分の添加量が上記の範囲内であれば、優れた撥水性、滑水性および帯電防止性が得られることになる。(C)成分を入れる目的としては主に帯電防止性を付与することであり、(C)成分の組成物中での反応原理としては、次のことが考えられる。
本発明で使用することができる(D)成分とは、(A)成分および(B)成分および(C)成分を分散あるいは相溶できる溶剤であれば特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、s−ブタノール、t−ブタノールなどのアルコール系溶剤、例えば、ミネラルスピリットなどの石油系溶剤、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、ノナン、イソノナン、デカン、ウンデカン、ドデカンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、例えば、揮発性ジメチルポリシロキサンなどのシリコーン系溶剤などを用いることができる。これらは単独で用いてもよく、また、二種類以上を併用することもできる。
本発明において特に好ましくは、以下手順での施工工程である。本発明の塗膜形成組成物を、乾燥したスポンジやウエス等の繊維物に適量含浸させ、これを手で基材表面に薄く塗り広げ、自然乾燥または乾燥機等を用いた強制乾燥により揮発成分を揮散させる。次に、別の乾燥した布巾またはマイクロファイバーウエス等により塗布面を拭き上げ平滑に均すことで仕上げを行う、という手順での施工工程である。
塗膜形成組成物を調製するために下記成分を準備した。
・KR−500(反応性官能基なし・メトキシ基およびメチル基含有、Mw:1695、信越化学工業株式会社製)
・X−40−9225(反応性官能基なし・メトキシ基およびメチル基含有、Mw:6790、信越化学工業株式会社製)
・X−40−9250(反応性官能基なし・メトキシ基およびメチル基含有、Mw:4701、信越化学工業株式会社製)
・KR−401N(反応性官能基なし・メトキシ基およびメチル基およびフェニル基含有、Mw:963、信越化学工業株式会社製)
ここで、Mwは分子量測定結果の微分分布値のグラフにおいて最も面積が大きいピークにおける重量平均分子量を示す。
<(B)成分>
・DX−9740(アルミニウム系加水分解触媒、信越化学工業株式会社製)
・D−25(チタニウム系加水分解触媒、信越化学工業株式会社製)
<(C)成分>
・C−1:1,1,1−トリブチル−1−(トリメトキシシリルプロピル)ホスホニウム−ビス−トリフルオロメタンスルホニルイミド(広栄化学工業株式会社)
・C−2:1,1,1−トリブチル−1−(トリメトキシシリルプロピル)アンモニウム−ビス−トリフルオロメタンスルホニルイミド(広栄化学工業株式会社)
<(C’)成分>
・C’−1:1−メチルピリジニウムテトラフルオロボレート(広栄化学工業株式会社)
<(D)成分>
キョーワゾールC900(イソノナン、KHネオケム株式会社)
25℃、50%RH環境下でガラス製容器中に上記各成分を投入し、スリーワンモータ(新東科学株式会社)で10分間、攪拌した。
[接触角および滑落角の測定]
各組成物を約2mlスポイトで取り、ティッシュペーパーの表面半分に染み込ませたものを、基材である黒色電着塗装板(寸法:50mm×20mm×5mm)の表面に手で薄く塗り拡げる。25℃、50%RHの室内で10分間静置した後、乾いたマイクロファイバー布で余剰分を拭き取り、試験片を作成した。この際の組成物の膜厚は、1〜50μm程度の範囲である。
この試験片表面にイオン交換水をスポイトで1滴(約0.005〜0.05ml程度)滴下して、水の接触角を接触角計(DM−500、協和界面科学株式会社製)を用いて測定し、接触角の値より撥水性の評価を行った。本発明の塗膜形成組成物における撥水性として望ましい接触角は94°以上の値、より望ましくは98°以上の値、更に望ましくは100°以上の値である。
また、前記試験片を平らな面に置き、その表面にイオン交換水をスポイトで1滴(約0.005〜0.05ml程度)滴下した状態から平らな面に対して試験片に徐々に傾斜をつけて行き、水滴が流れ始めた角度つまりは滑落角を測定し、滑落角の値より滑水性を評価した。本発明の塗膜形成組成物における滑水性として望ましい滑落角は31°以下の値、より望ましくは29°以下の値、更に望ましくは26°以下の値である。
基材を透明なPET板(寸法:80mm×80mm×2.0mm)とした他は、前記接触角・滑落角測定にて作成したものと同じ条件で表面抵抗評価用試験片を作成した。主電極の外径(外径φ50)とリング電極の内径の間が5mmとなるようにスクリーン印刷されたガラスエポキシ板を、試験片のコーティング面に接触させて表面抵抗値を測定した。(電極の材質は銅である。)尚、この測定方法はJISK6271−1に準じたものである。本発明のコーティング剤組成物における望ましい表面抵抗値は、1.0×1012Ω/□以下、より好適には5.0×1011Ω/□以下の値、さらに好適には1.0×1011Ω/□以下の値であることが最も望ましい。尚、用いた測定器は「4339B High Resistance Meters」で、印加セルは「Agilent 16008B ResistivityCell」であり、どちらもアジレント・テクノロジー株式会社製のものである。
[耐久表面抵抗値の測定]
表面抵抗値の測定に用いた試験片に、揺動試験機にて500gの荷重をかけながらマイクロファイバークロスにてから拭きを400回行った後、表面抵抗値を上記と同様の方法で測定した。
前記耐久表面抵抗値測定で用いた試験片で評価を行った。仮想的なダストとして、発泡スチロールブロック約10gを細かく砕き、直径が5mm以下程度の破片を多量に作成した。これを、2Lのペットボトル中に詰め、上下に激しく摺動して摩擦をかけることにより帯電させた。静電気防止手袋を装着した状態で速やかに当該ペットボトルをカッターナイフにより縦に半分に切り裂き、発泡スチロールの破片近傍15cmの距離まで前記試験片の塗膜形成組成物処理面を近づけて行き、前記発泡スチロール破片の試験片への付着個数で耐久ダスト付着性を評価した。
評価基準としては、試験片表面への付着した個数が0〜5個であるものは耐久ダスト付着性が非常に低いとして「○」、6〜20個であるものは耐久ダスト付着性が低いとして「△」、21個以上であるものは耐久ダスト付着性が高いとして「×」とした。本発明の塗膜形成組成物における耐久ダスト付着性は望ましくは○または△であり、特に望ましくは○である。
Claims (6)
- (A)成分〜(C)成分を含み、(A)成分1.0質量部に対し、(C)成分が0.02〜0.2質量部である塗膜形成組成物。
(A)アルコキシシリル基を含有するシリコーンオリゴマー、
(B)加水分解触媒、
(C)下記式(1)または(2)で示されるオニウム塩
ここでR1〜R3はそれぞれ独立して、炭素数が1〜6のアルキル基を示し、R4は炭素数が1〜4のアルキル基を示し、n=1〜4の整数を意味する。[R1R2R3Q−(CH2)n−Si(OR4)3]+はオニウムカチオンであり、QはP(リン)またはN(窒素)のいずれかである。X−は含フッ素アニオンである。
ここでR5は炭素数1〜6のアルキル基、R6は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。R4及びnは式(1)に同じ。Cはピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環またはピリジン環を示し、Cがピリジン環であるときR5は存在しない。X−は式(1)に同じ。
- (D)成分として溶剤を含む、請求項1に記載の塗膜形成組成物。
- 前記(C)成分におけるカチオン部がホスホニウムカチオンまたはアンモニウムカチオンから選ばれるものである、請求項1または2のいずれかに記載の塗膜形成組成物。
- 前記塗膜形成組成物の被着体がプラスチック、繊維強化プラスチック(FRP)、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)から選ばれるものである、請求項1〜3のいずれかに記載の塗膜形成組成物。
- 請求項1か4のいずれかに記載の塗膜形成組成物を基材に塗布し、硬化塗膜を得る工程。
- 前記の基材が自動車、鉄道車両、重機、船舶、航空機、農作業機械、建機のうちいずれか一部剤である、請求項5に記載の工程を含む塗膜形成方法。
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