JP2019196118A - タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】 レール摩耗(偏摩耗)を抑制しながら、操縦安定性を向上させる。【解決手段】 周方向溝3の溝壁面5のうち、少なくとも車両内側となる溝壁面5iは、溝底6からのびる下側壁面部7と、下側壁面部7に連なりかつ溝基準線Xよりも溝内側に張り出す突出端8Eを有する突出部8とを具える。突出部8は、突出端8Eからトレッド踏面2Sまで傾斜してのびる傾斜面部11を具える。【選択図】図2

Description

本発明は、偏摩耗を抑制しながら操縦安定性を向上させうるタイヤに関する。
図5に示すように、従来より、周方向溝aの溝壁面a1とトレッド踏面bとが交わる交差部jに、面取り部cを設けることが提案されている(例えば特許文献1参照)。この面取り部cにより、摩耗の起点となる交差部jの交点が切り取られることで、例えばレール摩耗等の偏摩耗が抑制される。
しかし前記面取り部cは、一方では、路面との接地面積の減少を招き、操縦安定性を低下させるという問題がある。
特開2009−40156号公報
そこで本発明は、上記の偏摩耗を抑制しながら、特にコーナリング時(レーンチェンジを含む)における操縦安定性を向上させうるタイヤを提供することを目的としている。
本発明は、車両への装着の向きが指定されたトレッド部を有するタイヤであって、
前記トレッド部に、タイヤ周方向にのびる周方向溝を具え、かつ前記周方向溝の溝壁面のうち、少なくとも車両装着時に車両内側となる溝壁面は、
溝幅方向断面において、
溝底からのびる下側壁面部と、
前記下側壁面部に連なり、かつこの下側壁面部を延長した溝基準線よりも溝内側に張り出す突出端を有する突出部とを具え、
前記突出部は、前記突出端からトレッド踏面まで傾斜してのびる傾斜面部を具える。
本発明に係るタイヤでは、前記傾斜面部が前記トレッド踏面と交わる交点は、前記溝基準線よりも溝外側に位置するのが好ましい。
本発明に係るタイヤでは、前記トレッド踏面から前記突出端までのタイヤ半径方向の距離LAは、前記周方向溝の溝深さHの2%〜40%の範囲であるのが好ましい。
本発明に係るタイヤでは、前記周方向溝の溝壁面のうち、車両内側となる溝壁面のみに前記突出部が配されるのが好ましい。
本発明に係るタイヤでは、前記傾斜面部は、セレーションを具えるのが好ましい。
本発明は、周方向溝の溝壁面のうちで、少なくとも車両装着時に車両内側となる溝壁面に、溝基準線よりも溝内側に張り出す突出部が形成される。又前記突出部には、その突出端からトレッド踏面まで傾斜してのびる傾斜面部が配されている。
この傾斜面部により、偏摩耗が抑制される。
またコーナリング時、タイヤに横Gが加わり、路面から車両内側に向く横力が作用する。この横力により、陸部が車両内側に変形し、前記傾斜面部が新たに接地する。これにより、接地面積を増加でき、グリップ性がアップすることで操縦安定性を向上しうる。
ここで、前記溝基準線は、従来的な溝壁面の形状に相当するもので、前記突出部が溝基準線よりも溝内側に張り出すことにより、従来的な溝壁面の場合よりも、接地面積を確実に増加しうる。なお従来的な溝壁面(溝基準線に沿う溝壁面)に、面取り部を設けた場合、この面取り部を形成した時点で、接地面積が減少している。そのため、たとえコーナリング時の横力によって面取り部が接地したとしても、面取り部を形成する前の接地面積に戻ったに過ぎず、操縦安定性の向上は達成しがたい。
本発明の一実施形態のタイヤのトレッド部の断面図である。 周方向溝を拡大して示す溝幅方向断面図である。 (A)、(B)は、突出部の機能を説明する線図である。 傾斜面部におけるセレーションを示す斜視図である。 従来の周方向溝の面取り部を示す溝幅方向断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本実施形態のタイヤ1は、例えば、乗用車用や重荷重用の空気入りタイヤ、及び、タイヤの内部に加圧された空気が充填されない非空気式タイヤ等の様々なタイヤに用いることができる。本例では、タイヤ1が、乗用車用の空気入りタイヤとして形成される場合が示される。
タイヤ1のトレッド部2には、例えば、車両への装着の向きが指定されたトレッドパターンが配される。車両への装着の向きは、例えば、サイドウォール部(図示しない。)等に文字やマークで表示されている。
図1に示されるように、トレッド部2には、タイヤ周方向にのびる少なくとも1本の周方向溝3が設けられ、これによりトレッド部2が複数の陸部4に区分される。本例では、トレッド部2に複数本(例えば4本)の周方向溝3が配され、これによりトレッド部2が5本の陸部4に区分されている。なお陸部4は、タイヤ周方向に連続してのびるリブであってもよく、又ブロック列であってもよい。
周方向溝3として、本例では、タイヤ周方向に直線状にのびるストレート溝である場合が示される。しかし、周方向溝3として、タイヤ周方向にジグザグ状にのびるジグザグ溝を採用することもでき、又ストレート溝とジグザグ溝とを混在させることもできる。
周方向溝3の溝幅及び溝深さは、慣例に従い適宜設定しうる。
図2に、周方向溝3の溝幅方向断面(溝の長さ方向と直角な断面図。)が示される。図2に示されるように、周方向溝3は、タイヤ軸方向両側の溝壁面5と、この溝壁面5、5間を継ぐ溝底6とを具える。本例の溝底6は、その両端部に円弧部6Aを有し、溝壁面5は、円弧部6Aに滑らかに接続されている。
両側の溝壁面5、5のうち、少なくとも車両内側となる溝壁面5i(以下、内側の溝壁面5iと言う場合がある。)は、突出部8を有して形成される。本例では、車両外側となる溝壁面5o(以下、外側の溝壁面5oと言う場合がある。)は、突出部8を有することなく、溝底6から、トレッド踏面2Sまで一定の角度θoで傾斜してのびる傾斜面9として形成されている。
これに対して、内側の溝壁面5iは、前記溝底6からのびる下側壁面部7と、この下側壁面部7の上端に連なる突出部8とを具える。本例の下側壁面部7は、溝底6の前記円弧部6Aから一定の角度θiで傾斜してのびる。前記角度θo、θiは、トレッド踏面2Sの法線に対する角度として定義される。
突出部8は、下側壁面部7を延長した溝基準線Xよりも溝内側(溝幅中心J側)に張り出す突出端8Eを具える。溝基準線Xは、従来的な溝壁面に相当する。本例では、溝基準線Xは、溝幅中心Jを中心として外側の溝壁面5o(傾斜面9)と略線対称をなす。なお略線対称とは、線対称に加え、角度差|θi−θo|が5度以下の場合を含む。
突出部8は、下側壁面部7の上端から突出端8Eまでの間、溝内側に中心を有する凹円弧状の曲線10で形成されるのが好ましい。しかし、一定角度で傾く直線で形成することもできる。
突出部8は、前記突出端8Eからトレッド踏面2Sまで傾斜してのびる傾斜面部11を具える。本例では、傾斜面部11がトレッド踏面2Sと交わる交点P1は、溝基準線Xよりも溝外側に位置している。言い換えると、傾斜面部11は、溝基準線Xにより、この溝基準線Xよりも溝外側の面領域11oと、溝内側の面領域11iとに仮想区分される。
なお溝基準線Xがトレッド踏面2Sの延長線に交わる交点をP2としたとき、交点P2と突出端8Eとの間のタイヤ軸方向距離L2は、前記交点P1と突出端8Eとの間のタイヤ軸方向距離L1よりも小であり、この距離L2は距離L1の0.2〜08倍の範囲が好ましい。
又トレッド踏面2Sから突出端8Eまでのタイヤ半径方向の距離LAは、周方向溝3の溝深さHの2%〜40%の範囲が好ましい。
図3(A)に示すように、本実施形態のタイヤ1では、直進走行時、タイヤ1に負荷される縦荷重によって陸部4が撓み、傾斜面部11の一部、特には前記面領域11oが接地する。これにより、溝壁面が溝基準線Xに沿って形成された場合の従来的な周方向溝と同等の接地面積を確保できる。このとき、面領域11o付近では、接地圧が相対的に低くなるため、陸部4の接地面圧を均一化でき、偏摩耗を抑制しうる。
図3(B)に示すように、コーナリング時には、タイヤ1に横Gが加わり、路面から車両内側に向く横力Fが、さらに作用する。この横力Fにより、陸部4が車両内側に変形し、面領域11iがさらに接地する。これにより、接地面積を増加でき、グリップ性がアップすることで操縦安定性を向上しうる。又面領域11o、11i付近では、接地圧が相対的に低くなるため、陸部4の接地面圧を均一化でき、偏摩耗を抑制しうる。
タイヤ1では、正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填されたタイヤに、正規荷重が負荷された基準状態において、前記面領域11oが接地することが好ましい。そのために、前記距離LA、L1、L2は、トレッドゴムの物性、溝深さH等に応じて適宜設定するのが好ましい。限定的ではないが、乗用車用空気入りタイヤの場合、前記距離LA、L1、L2は、上記の範囲が好適に採用しうる。
なお前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば "Design Rim" 、或いはETRTOであれば "Measuring Rim"を意味する。「正規内圧」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE"を意味するが、乗用車用タイヤの場合には180kPaとする。「正規荷重」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY"である。
溝幅方向断面において、前記傾斜面部11は、本例では、一定角度で傾く直線で形成される。しかしこれ以外にも、タイヤ内側に中心を有する凸円弧状の曲線で形成することができ、又前記直線と曲線とを組み合わせた複合曲線で形成することもできる。
図4に示されるように、前記傾斜面部11の表面に、セレーション15を設けることが好ましい。セレーション15は、並列された複数のリッジ15Aから形成される。リッジ15Aは、溝長さ方向に沿ってのびるのが好ましい。しかし、溝長さ方向に対して傾斜させることもできる。このような、セレーション15は、外観性の向上に役立つ。
なお車両外側となる溝壁面5oも、溝壁面5iと同様の構造を採用することができる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図1のリブパターンを有する乗用車用空気入りタイヤ(タイヤサイズ:215/60R16)が、表1の仕様に基づき試作された。各テストタイヤの操縦安定性能及び偏摩耗がテストされた。比較例1は、溝壁面が、溝基準線に沿った傾斜面のみで形成されている。各タイヤの共通仕様は以下のとおりである。
周方向溝の溝深さH:10mm
陸部(リブ)の幅:20mm
トレッドゴム硬度は、JIS−K6253に基づいて23℃の環境下で測定したデュロメータA硬さである。
<操縦安定性>
テストタイヤを、リム(16×7.0J)、内圧(250kPa)の条件にて、テスト車両(ミニバン:排気量2400cc)の全輪に装着した。そしてドライアスファルト路面を高速走行したときのレーンチェンジ時(横Gは0.2G相当)の操縦安定性が、運転者の官能により評価された。結果は、比較例1を100とする指数で表され、数値が大きいほど操縦安定性能が優れている。
<偏摩耗>
上記車両を用い、トライアスファルト路面のテストコースを合計3000km走行させ、周方向溝の溝壁面とトレッド踏面の交差部における偏摩耗(レール摩耗)の有無を肉眼により観察した。
Figure 2019196118
実施例では、レール摩耗(偏摩耗)を抑制しながら、操縦安定性を向上しうるのが確認できる。又実施例1、2から、トレッドゴムのコード硬度が相違する場合にも距離LA、L1、L2を調整することで、同様の効果を発揮しうるのが確認できる。
1 タイヤ
2 トレッド部
2S トレッド踏面
3 周方向溝
5、5i 溝壁面
6 溝底
7 下側壁面部
8 突出部
8E 突出端
11 傾斜面部
15 セレーション
P1 交点
X 溝基準線

Claims (5)

  1. 車両への装着の向きが指定されたトレッド部を有するタイヤであって、
    前記トレッド部に、タイヤ周方向にのびる周方向溝を具え、かつ前記周方向溝の溝壁面のうち、少なくとも車両装着時に車両内側となる溝壁面は、
    溝幅方向断面において、
    溝底からのびる下側壁面部と、
    前記下側壁面部に連なり、かつこの下側壁面部を延長した溝基準線よりも溝内側に張り出す突出端を有する突出部とを具え、
    前記突出部は、前記突出端からトレッド踏面まで傾斜してのびる傾斜面部を具えるタイヤ。
  2. 前記傾斜面部が前記トレッド踏面と交わる交点は、前記溝基準線よりも溝外側に位置する請求項1記載のタイヤ。
  3. 前記トレッド踏面から前記突出端までのタイヤ半径方向の距離LAは、前記周方向溝の溝深さHの2%〜40%の範囲である請求項1又は2記載のタイヤ。
  4. 前記周方向溝の溝壁面のうち、車両内側となる溝壁面のみに前記突出部が配される請求項1〜3の何れかに記載のタイヤ。
  5. 前記傾斜面部は、セレーションを具える請求項1〜4の何れかに記載のタイヤ。
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