JP2019194422A - 既設杭の引抜装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】、既設杭の引抜作業における作業性及び作業効率が高く且つ作業上の信頼性に優れた既設杭の引抜装置を提案する。【解決手段】内方へ張出可能な掛止爪31を設けたケーシング1を備え、ケーシング1の外周側に油圧シリンダ21に連結された連結ロッド21を配置する一方、掛止爪31を、ガイド長穴35に係入された状態でロッド21の下端に連結された枢支軸32に枢支するとともに、カム体33と係合するガイド部31a,31bを設け、ロッド21が降下するとき、掛止爪31はそのガイド部31a,31bがカム体33と係合することで枢支軸32周りに傾動されてその先端側がケーシング1の内部空間16側へ張出すように構成する。係る構成によれば、既設杭4に対する掛止状態が安定且つ確実となり、延いては既設杭4の引抜作業における信頼性が向上する。【選択図】図2

Description

本願発明は、地中に埋設された既設杭を破壊することなく引き抜くための既設杭の引抜装置に関するものである。
一般に、建物の建て替え工事に際しては、解体される古い建物においてその基礎固めとして埋設されていた杭(即ち、既設杭)を除去することが必要であり、この既設杭の除去方法としては、大きく分けて二つあり、その一つは埋設状態にある既設杭を順次破砕して除去する方法であり、他の一つは既設杭を破壊することなく地中から引き抜いて除去する方法である。そして、この後者の除去方法に関しては、従来から種々の提案がされている(例えば、特許文献1、2 参照)。
特許文献1に示される既設杭の引抜装置は、既設杭より大きい内径をもつとともにその先端部に掘削刃を備えたケーシングの下部周面に、該周面を厚さ方向に貫通して内部に張り出し可能な持ち上げ爪を設けており、上記ケーシングを、上記既設杭を取り囲んで地中に打ち込み、上記持ち上げ爪を上記既設杭の下端側において張り出して該下端に掛止させ、この状態で上記ケーシングと共に上記既設杭を持ち上げて引き抜くものである。
特許文献2に示される既設杭の引抜装置は、打込機に連結され、既設杭に対して打込まれる円筒状のケーシングと、このケーシングの下部に、油圧シリンダによる駆動でケーシング内の既設杭の下端よりも下方に突出するように取付けられたチャック爪とを備え、上記ケーシングを、既設杭を取り囲んで該既設杭の下端側まで打ち込み、ここで上記油圧シリンダの駆動力で上記チャック爪を内方へ張り出させて該既設杭の下端に掛止させ、この状態で上記ケーシングと共に上記既設杭を持ち上げて引き抜くものである。
特開2004−339892号公報 特開2000−154541号公報
ところが、特許文献1に示される引抜装置では、上記持ち上げ爪がケーシング壁に対して上下方向に搖動可能に枢支され、常時自重により張出方向へ付勢されており、ケーシングの打ち込み時には、該持ち上げ爪は既設杭の頂部とか外周面によって上方へ回動されてケーシングに対する上記既設杭の相対移動を許容する一方、該持ち上げ爪が既設杭の下端を超えて下動すると該既設杭による回動規制が解除され、自重によってケーシング内方へ張り出して該既設杭の下端と掛止可能となるものである。
したがって、ケーシングを既設杭の下端深さまで打ち込んで該下端に上記持ち上げ爪を掛止させて該ケーシングとともの既設杭を引き抜くことはできるものの、上記持ち上げ爪を上記既設杭の中間部分に掛止させて引き抜くことは構造上不可能であり、このため例えば既設杭の周囲の土壌が比較的軟質で、既設杭の下端側が周囲の土壌にある程度埋まったままの状態でも、該土壌の接触抵抗に拘らず既設杭を引き抜くことができるような場合でも、上記ケーシングを既設杭の下端近傍まで打ち込む必要があり、作業性及び作業効率という点からして不利であった。
また、特許文献2に示される引抜装置によれば、上記チャック爪は円弧状のカム溝を有し、且つこのカム溝を上記ケーシングの下端側に設けた軸に挿通することにより、ケーシングの外側上方に略垂直に添う退出姿勢と、該ケーシング内に向けて略水平に突出する突出姿勢とにわたって上記軸を中心にして垂直方向に進退動自在とされている。そして、上記油圧シリンダが縮小動作すると上記チャック爪がケーシング外に略垂直姿勢に退出し、該油圧シリンダが伸長するとチャック爪が連結ロッドで押し下げられてケーシング内に略水平姿勢に突出し、上記既設杭の下端に掛止されるようになっている。
このため、該既設杭の下端が尖頭状形体である場合には特に、上記ケーシングと共に上記既設杭を引き上げるとき、該チャック爪には上記カム溝に沿ってこれをケーシング外方へ押し出す力が作用し、この結果、上記連結ロッドにはケーシングの径方向外側への曲げ作用が発生し、しかもこの曲げ作用は既設杭に作用する引抜抵抗の増加とともに大きくなることから、特に上記既設杭の周囲の地盤が硬質である場合には看過できない状態となり、延いては既設杭の引抜作業の信頼性を維持することが困難になる恐れがある。
そこで本願発明は、既設杭の引抜作業における作業性及び作業効率が高く且つ作業上の信頼性に優れた既設杭の引抜装置を提案することを目的としてなされたものである。
本願発明ではかかる課題を解決するための具体的手段として次のような構成を採用している。
本願の第1の発明では、支持基台に吊下支持されるとともに既設杭より大きい内径を有し且つその下端部には掘削刃と内方へ張出可能な掛止爪を設けたケーシングを備え、該ケーシングを、上記既設杭を内包した状態で該既設杭の先端近傍まで打ち込み、上記掛止爪を上記既設杭に掛止させて該既設杭を上記ケーシングと共に引き抜くようにした既設杭の引抜装置において、上記ケーシングの外周側に、該ケーシングに沿って上下方向に延出し且つその上端が上記ケーシングの上端部に配置した油圧シリンダに連結されたロッドを配置する一方、上記掛止爪は、上記ケーシングに設けた開口に臨んでその外方側に配置し且つその上端部を上下方向に延びる直状のガイド長穴に係入された状態で上記ロッドの下端に連結された枢支軸に枢支するとともに、その先端側には上記開口の下端部に設けたカム体と係合するガイド部を設け、上記ロッドがその上昇状態から降下するとき、上記掛止爪は上記ガイド部が上記カム体と係合することで上記枢支軸周りに傾動されてその先端側が上記開口を通して上記ケーシングの内部空間側へ張出すように構成したことを特徴としている。
本願の第2の発明では、上記第1の発明において、上記カム体に上下方向に二つのカム部を備える一方、上記掛止爪の上記ガイド部を、該掛止爪がその下動に伴って次第に上記ケーシングの内部空間側へ傾動して張出すとき該ガイド部が上記二つのカム部に同時に係合するようにその形状を設定したことを特徴としている。
本願の第3の発明では、上記第1又は第2の発明に係る既設杭の引抜装置において、上記掛止爪と該掛止爪と油圧シリンダを連動可能に連結するロッドを備えて構成される掛止機構を、上記ケーシングの周方向に等間隔で2個又は3個以上備えたことを特徴としている。
(a)本願の第1の発明
本願の第1の発明に係る既設杭の引抜装置によれば、以下のような効果が得られる。
(a−1)上記掛止爪は、上記ロッドの降下に伴って次第にその下端側から上記ケーシングの内部空間内へ延出する構成であることから、例えば、上記ケーシングを上記既設杭の下端近傍の深さまで打ち込んで、上記掛止爪を上記既設杭の下端より下方において内部空間内に延出させて該既設杭の下端に掛止し、これをケーシングと共に引き抜くこと(即ち、深度引抜形態)のみならず、上記ケーシングを上記既設杭の中間位置の深さまで打ち込んで、上記掛止爪を上記既設杭の中間部分の外周面に掛止させてケーシングと共に引き抜くこと(即ち、浅度引抜形態)もでき、例えば、特許文献1に記載の既設杭の引抜装置のように引抜作業形態として深度引抜形態しか採り得ないものに比して、既設杭の引抜作業における高い作業性及び作業効率を得ることができる。
(a−2)
上記掛止爪が、上記ケーシングに設けた開口に臨んでその外方側に配置され且つその上端部が上下方向に延びる直状のガイド長穴に係入された状態で上記ロッドの下端に連結された枢支軸に枢支されるとともに、その先端側には上記開口の下端部に設けたカム体と係合するガイド部が設けられ、上記ロッドがその上昇状態から降下するとき、上記掛止爪は上記ガイド部が上記カム体と係合することで上記枢支軸周りに傾動されてその先端側が上記開口を通して上記ケーシングの内部空間側へ張り出すように構成されているので、上記ケーシングの内部空間側へ張出された上記掛止爪を既設杭に掛止し、該既設杭を上記ケーシングと共に引き抜く場合、上記既設杭の引抜抵抗によって上記掛止爪に掛かる回転力は、上記カム体と上記掛止爪との係合部分における接触力と上記枢支軸とこれが係入された上記ガイド長穴の端部との係合部における接触力とによる偶力モーメントとして支持され、上記ロッドには上記掛止爪の張り出し時の圧縮力が残存するものの、これをケーシングの径方向外方へ曲げ変形させる力は作用しない。この結果、例えば、特許文献2に示される引抜装置のように、既設杭の引き抜き作業に伴ってチャック爪に作用する力が、該チャック爪が連結されたロッドに対して曲げ力として作用するような場合に比して、既設杭に対する掛止状態が安定且つ確実となり、延いては既設杭の引抜作業における信頼性が向上する。
(b)本願の第2の発明
本願の第2の発明に係る既設杭の引抜装置によれば、上記第1の発明における上記(a−1)及び(a−2)に記載の効果に加えて以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明においては、上記カム体に上下方向に二つのカム部を備える一方、上記掛止爪の上記ガイド部を、該掛止爪がその下動に伴って次第に上記ケーシングの内部空間側へ傾動して張出すとき該ガイド部が上記二つのカム部に同時に係合するようにその形状を設定したので、上記掛止爪のガイド部と上記カム体のカム部の間の接触圧を低く抑えることができ、この結果、該掛止爪の耐久性が向上し、延いては該掛止爪による既設杭の安定した掛止作用を長期に亘って維持することができる。
(c)本願の第3の発明
本願の第3の発明では、上記第1又は第2の発明に係る既設杭の引抜装置において、上記掛止爪と該掛止爪と油圧シリンダを連動可能に連結するロッドを備えて構成される掛止機構を、上記ケーシングの周方向に等間隔で2個又は3個以上備えているので、例えば、上記掛止爪ユニットを2個備えたものにおいては、上記掛止爪による掛止力が比較的小さいことから、比較的小形且つ軽量の既設杭の引き抜きに使用するに最適であり、上記掛止爪ユニットを3個以上備えたものにおいては、上記掛止爪による掛止力が比較的大きいことから、比較的大形且つ重量の既設杭の引き抜きに使用するに最適であり、したがって、これら複数種類の引抜装置を、引抜対象の既設杭の大きさ、重さ等の条件に対応させて選択することで、常に効率的な引抜作業を実現することができる。
本願発明の第1の実施形態に係る既設杭の引抜装置の全体図である。 図1のA部の一部断面拡大図である。 図1のB部の拡大断面図であって、掛止機構部分の待機状態を示している。 上記掛止機構部分の作動開始状態を示す拡大断面図である。 上記掛止機構部分の杭先端部への掛止可能状態を示す拡大断面図である。 上記掛止機構部分の杭中間部への掛止状態を示す拡大断面図である。 図3のC−C断面図である。 本願発明の第2の実施形態に係る既設杭の引抜装置の全体図である。
A:第1の実施形態
「既設杭の引抜装置の全体構成」
図1には、本願発明の第1の実施形態に係る既設杭の引抜装置Zを示している。この引抜装置Zは、リーダ等の支持基台に吊下支持されるアースオーガー3の下側にスイベルジョイント2を介してケーシング1を連結して構成される。
上記ケーシング1は、引抜対象の既設杭よりも所定寸法だけ大きい内径寸法(例えば、500mm〜600mm程度)を有する管体で構成されるもので、この実施形態では、順次同軸上に連結される上部ケーシング11と中間ケーシング12及び下部ケーシング13から成る三分割構造としており、上記上部ケーシング11の上端が上記スイベルジョイント2の下側に連結される。
そして、このケーシング1は、上記アースオーガー3により回転させられながら、既設杭を内包した状態でこれに沿って土中に打ち込まれて該既設杭の周囲の土壌を縁切りするものであって、最下端に位置する上記下部ケーシング13の下端には、図3及び図7にも拡大図示するように、該下端周壁に取り付けられた複数の先端掘削刃14と、下端外周よりも径方向外側に突出状態で取り付けられた複数の外側掘削刃15が備えられている。
そして、上記各先端掘削刃14によって上記既設杭4の外周に接した土壌が該外周から適宜離間した位置で切断され、縁切りが行われる。さらに、上記縁切り部分の外側部分が上記複数の外側掘削刃15によって所定幅の円環状に掘削され、該下部ケーシング13の下端外周に設けられた後述の爪カバー34の進行隙間が形成される。
なお、ここでは図示していないが、実際には、上記下部ケーシング13の先端側には噴流ノズルが設けられ、該上記ケーシング1の上端側から供給される水を該噴流ノズルから下部ケーシング13の先端近傍に噴射して土壌の崩壊を促進させながら、上記先端掘削刃14及び外側掘削刃15による掘削作業が行われる。
さらに、上記ケーシング1には、該ケーシング1を既設杭4の周囲に打ち込んだ後、該4を該ケーシング1側に掛止させて該ケーシング1と共に上記既設杭4を引き上げる(引き抜く)ために、次述する本願発明の要旨たる掛止機構30が備えられている。以下、この掛止機構30についてこれを詳述する。
「掛止機構30」
この掛止機構30は、図3に示すように上記下部ケーシング13の下端近傍の外周面に取り付けられた掛止爪31と、該掛止爪31と係合可能に取り付けられたカム体33と、図2に示すように上記上部ケーシング11の上端側に取り付けられた油圧シリンダ20と該油圧シリンダ20と上記掛止爪31を連動可能に連結するロッド21を備えて構成される。なお、この実施形態では、上記ロッド21を、丸棒で構成される上部ロッド22と角棒で構成される下部ロッド23の2分割構造としている。また、上記掛止機構30は、上記下部ケーシング13の軸心を挟んで対向する二位置にそれぞれ配置されている。
図3及び図7に示すように、上記下部ケーシング13の下端部の周壁には、矩形状の開口18が設けられるとともに、該開口18をその外側から覆うようにして、爪カバー34が取り付けられている。また、この爪カバー34の左右の側壁には、上下方向に延びるガイド長穴35が形成されている。
上記掛止爪31は、図3及び図7に示すように、略長矩形の厚板体で一体構成され、その上端部には上記爪カバー34の左右のガイド長穴35に跨って係入された枢支軸32が該上端部を幅方向に貫通した状態で枢着される一方、その下端部は表面31A側から裏面31B側へ削り込まれた薄肉の先端部31aとされている。そして、この表面31Aには、上記先端部31aに連続する肩部31bと、肩部31bから次第に高さが漸増するように傾斜した傾斜ガイド部31cと、該傾斜ガイド部31cに連続して裏面31Bと略平行に延びる直状ガイド部31dが設定されている。一方、上記掛止爪31の裏面31Bは、平坦状の掛止面31eとされている。
上記掛止爪31は、その裏面31Bを上記下部ケーシング13の表面に対向させた姿勢で、上記枢支軸32を介して上記爪カバー34側に取り付けられている。したがって、この状態では、上記掛止爪31は上記爪カバー34のガイド長穴35に沿って上下方向に昇降可能とされるとともに、該枢支軸32を中心として表裏方向に傾動し得るようになっている。
この掛止爪31の昇降駆動は、上記油圧シリンダ20によって行われる。即ち、図3及び図7に示すように、上記掛止爪31が枢着された上記枢支軸32には、先端材36を介して上記下部ロッド23の下端が連結されている。また、図2に示すように、上記上部ロッド22の上端はスライダ24を介して上記油圧シリンダ20に連結されている。したがって、上記油圧シリンダ20の伸縮動作が上記ロッド21を介して上記掛止爪31に伝達され、該掛止爪31は、上記ガイド長穴35の長さの範囲内で昇降駆動されることになる。
なお、上述のように上記油圧シリンダ20はスライダ24を介して上記上部ロッド22に連結されているが、この場合、上記スライダ24はケーシング1側に固定したケース25内を摺動可能とされ、且つこのスライダ24の一端に連結ピン26を介して上記油圧シリンダ20が連結され、該スライダ24の他端には連結ピン27を介して上記上部ロッド22が連結されているので、上記油圧シリンダ20の伸縮力は的確に上記ロッド21にその軸力として伝達され、上記掛止爪31の昇降動が円滑且つ的確に行われる。
一方、上記掛止爪31の傾動動作は、上記掛止爪31が上記カム体33に係合することで実現される。即ち、この実施形態においては、図3及び図7に示すように、上記カム体33を略L形の断面形状をもつ形材で構成し、その両縁部をそれぞれ第1カム部33aと第2カム部33bとしている。そして、このカム体33を、その第1カム部33aが上側に位置し、且つ上記第2カム部33bが上記内部空間16に指向するように姿勢を設定した上で、これを上記ケーシング1に設けた上記開口18の下端縁に固定している。
なお、この場合における上記掛止爪31と上記カム体33の位置関係は次の通りである。即ち、図3に示すように、上記油圧シリンダ20によって上記掛止爪31がその上限位置(上記枢支軸32が上記ガイド長穴35の上端に位置した状態)にあるときには、上記掛止爪31は上記枢支軸32から自然垂下し、その先端部31aは上記カム体33の第1カム部33aと非係合状態で対向し、該掛止爪31全体が上記下部ケーシング13の外周面の外側において待機している。この待機姿勢においては、上記掛止爪31の下部側は上記内部空間16を通して上記ケーシング1の内部空間16に臨んでいる。
図3に示す状態から上記油圧シリンダ20が伸長動して上記ロッド21を介して上記掛止爪31が降下方向に移動されると、先ず図4に示すように、上記掛止爪31の肩部31bが上記カム体33の第1カム部33aに係合し、該掛止爪31は該第1カム部33aからのカム作用を受けてその下端側が上記開口18側へ移動するように傾動が開始される。
図4に示す状態から上記油圧シリンダ20がさらに伸長動して上記ロッド21を介して上記掛止爪31が降下方向に移動されると、上記掛止爪31の傾斜ガイド部31cと直状ガイド部31dがそれぞれ上記カム体33の第1カム部33a及び第2カム部33bと係合し、次第に上記ケーシング1の内部空間16側に張り出される。そして、図5に示すように、上記枢支軸32が上記ガイド長穴35の下端に達してそれ以上の降下が規制された状態において、上記掛止爪31は上記内部空間16内に大きく下降傾斜状態に張り出され、上記ケーシング1の軸心部に位置する既設杭4の下端面4aに対してその下方側から掛止し得る状態となる。
なお、この実施形態では、上記掛止爪31の傾斜ガイド部31cと直状ガイド部31dの形状、及び上記カム体33の第1カム部33aと第2カム部33bの位置を、常時上記傾斜ガイド部31cと直状ガイド部31dが上記第1カム部33aと第2カム部33bに係合する(即ち、常時2点で係合するように)ように設定し、この係合点に掛かる面圧を低下させるようにしているが、本願発明の他の実施形態においては常時1点で係合させるとか、特定の位置においてのみ2点で係合し、それ以外では1点で係合するように設定することも可能である。
図5に示すように上記掛止爪31の掛止面31eが上記既設杭4の下端側に掛止した状態で、上記ケーシング1を引き上げると、上記掛止爪31に掛止された上記既設杭4が該ケーシング1と共に、土中から引き上げられる(引き抜かれる)ことになる。
このような上記既設杭4の引抜時においては、上記既設杭4の引抜抵抗によって上記掛止爪31に掛かる回転力(即ち、既設杭4が上記掛止爪31の掛止面31eに当接係合して発生する接触圧による該掛止爪31の上記枢支軸32回りの回転力)は、上記カム体33と上記掛止爪31との係合部分における接触力と上記枢支軸32とこれが係入された上記ガイド長穴35の端部との係合部における接触力とによる偶力モーメントとして支持される。したがって、上記ロッド21には上記掛止爪31の張り出し時の圧縮力が残存するものの、これをケーシング1の径方向外方へ曲げ変形させるような力は作用しない。この結果、例えば、特許文献2に示される引抜装置のように、既設杭の引き抜き作業に伴ってチャック爪に作用する力が、該チャック爪が連結されたロッドに対して曲げ力として作用するような場合に比して、既設杭4に対する上記掛止爪31の掛止状態が安定且つ確実となり、延いては既設杭4の引抜作業における信頼性が向上することになる。
以上は、上記掛止爪31を上記既設杭4の下端に掛止させてケーシング1とともの上記既設杭4を土中から引き抜く場合であるが、既設杭の引抜作業の形態としては、上記掛止爪31を上記既設杭4の下端に掛止させて引き抜きを行うのではなく、該掛止爪31を既設杭4の中間位置に掛止させて引抜作業を行うこともある。
このような作業形態時には、図6に示すように、上記ケーシング1の下端部の上記掛止機構30が上記既設杭4の下端に達する前に、上記油圧シリンダ20によって上記掛止爪31を降下させ、上記掛止爪31を内部空間16側に張り出させてその先端部31a部分を上記既設杭4の外周面に押し付けてこれに掛止させる。この際、上記油圧シリンダ20による上記掛止爪31の降下方向への押付力を保持させる。すると、上記既設杭4の外周面と上記掛止爪31の先端部31aとの接触により発生する掛止力(即ち、この両者間に作用する摩擦力)が、上記掛止爪31の傾斜ガイド部31c及び直状ガイド部31dと上記カム体33の第1カム部33a及び第2カム部33bとの間に作用する接触力による偶力として保持され、上記掛止爪31を上記既設杭4の下端側に掛止させた場合と同様に、上記既設杭4を確実に引き抜くことができる。
B:第2の実施形態
図8には、本願発明の第2の実施形態に係る既設杭の引抜装置Zを示している。この実施形態の引抜装置Zは、比較的大型且つ重量の既設杭の引き抜に使用するに好適な引抜装置Zであって、例えば、内径が800mm〜1000mmのケーシング1を備えるとともに、上記下部ケーシング13の下端近傍の外周面に取り付けられた掛止爪31と、該掛止爪31と係合可能に取り付けられたカム体33と、上記上部ケーシング11の上端側に取り付けられた油圧シリンダ20と、該油圧シリンダ20と上記掛止爪31を連動可能に連結するロッド21を備えて構成される掛止機構30を、上記ケーシング1の周方向に等間隔で3個備えて構成される。
このように上記掛止機構30を上記ケーシング1の周方向に等間隔で3個備えた引抜装置Zにおいては、上記掛止爪31による掛止力が、該掛止爪31を2個備えた上記第1の実施形態に係る引抜装置Zの場合よりも大きいことから、例えば、大型且つ重量の既設杭の引き抜きに使用するに好適で、信頼性の高い引抜作業が可能となる。
ここでは、上記掛止機構30を3個備えた引抜装置Zを示したが、本願発明は係る構成に限定されるものではなく、他の実施形態では上記掛止機構30を3個以上備えて構成することもできる。
なお、上記以外の構成については、上記第1の実施形態における引抜装置Zの場合と同じであるため、ここでは該第1の実施形態の各図面に記載の部材と同一部材には同じ符号を付すとともに、該第1の実施形態の該当説明を援用することで、ここでの説明は省略する。
本願発明に係る既設杭の引抜装置は、土木、建設工事における既設杭の除去作業に広く利用できるものである。
1 ・・ケーシング
2 ・・スイベルジョイント
3 ・・アースオーガー
4 ・・既設杭
4a ・・尖頭面
4b ・・側周面
11 ・・上部ケーシング
12 ・・中間ケーシング
13 ・・下部ケーシング
18 ・・開口
20 ・・油圧シリンダ
21 ・・ロッド
22 ・・上部ロッド
23 ・・下部ロッド
24 ・・スライダ
30 ・・掛止機構
31 ・・掛止爪
31a ・・先端部
31b ・・肩部
31c ・・傾斜ガイド部
31d ・・直状ガイド部
31e ・・掛止面
32 ・・枢支軸
33 ・・カム体
33a ・・第1カム部
33b ・・第2カム部
34 ・・爪カバー
35 ・・ガイド長穴
Z ・・引抜装置

Claims (3)

  1. 支持基台に吊下支持されるとともに既設杭より大きい内径を有し且つその下端部には掘削刃と内方へ張出可能な掛止爪を設けたケーシングを備え、該ケーシングを、上記既設杭を内包した状態で該既設杭の先端近傍まで打ち込み、上記掛止爪を上記既設杭に掛止させて該既設杭を上記ケーシングと共に引き抜くようにした既設杭の引抜装置であって、
    上記ケーシングの外周側には、該ケーシングに沿って上下方向に延出し且つその上端が上記ケーシングの上端部に配置した油圧シリンダに連結されたロッドが配置される一方、
    上記掛止爪は、上記ケーシングに設けた開口に臨んでその外方側に配置され且つその上端部は上下方向に延びる直状のガイド長穴に係入された状態で上記ロッドの下端に連結された枢支軸に枢支されるとともに、その先端側には上記開口の下端部に設けたカム体と係合するガイド部が設けられ、
    上記ロッドがその上昇状態から降下するとき、上記掛止爪は上記ガイド部が上記カム体と係合することで上記枢支軸周りに傾動されてその先端側が上記開口を通して上記ケーシングの内部空間側へ張出すように構成されたことを特徴とする既設杭の引抜装置。
  2. 請求項1において、
    上記カム体は上下方向に二つのカム部を備える一方、
    上記掛止爪の上記ガイド部は、該掛止爪がその下動に伴って次第に上記ケーシングの内部空間側へ傾動して張出すとき、該ガイド部が上記二つのカム部に同時に係合するようにその形状が設定されていることを特徴とする既設杭の引抜装置。
  3. 請求項1又は2において、
    上記掛止爪と該掛止爪と油圧シリンダを連動可能に連結するロッドを備えて構成される掛止機構が、上記ケーシングの周方向に等間隔で2個又は3個以上備えられていることを特徴とする既設杭の引抜装置。
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