以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
図1に示す本実施形態の冷却装置10は、電気自動車やハイブリッド車などの電動車両に搭載される。そして、本実施形態では、冷却装置10は、その電動車両に搭載される二次電池12を冷却する。すなわち、冷却装置10が冷却する被冷却対象は二次電池12である。
冷却装置10を搭載する電動車両(以下、単に「車両」とも呼ぶ)では、二次電池12を主要構成部品として含む蓄電装置(言い換えれば、電池パック)に蓄えた電力がインバータなどを介してモータに供給され、それによって車両は走行する。二次電池12は、電力をインバータを介してモータに出力する際に自己発熱する。
そして、二次電池12が過度に高温になると、その二次電池12を構成する電池セル121の劣化が促進されることから、自己発熱が少なくなるように電池セル121の出力および入力に制限を設ける必要がある。
そのため、電池セル121の出力および入力を確保するためには、二次電池12を所定の温度以下に維持するための冷却装置が必要となる。
また、車両走行中だけでなく夏季の駐車放置中などにも電池温度は上昇する。また、蓄電装置は車両の床下やトランクルーム下などに配置されることが多く、二次電池12に与えられる単位時間当たりの熱量は小さいものの、長時間の放置により電池温度は徐々に上昇する。二次電池12を高温状態で放置すると二次電池12の寿命が大幅に低下するので、車両の放置中も二次電池12を冷却するなど電池温度を低温に維持することが望まれている。
更に、二次電池12は、複数の電池セル121を含む組電池として構成されているが、各電池セル121の温度にばらつきがあると電池セル121の劣化に偏りが生じ、蓄電装置の性能が低下してしまう。これは、最も劣化した電池セル121の特性に合わせて蓄電装置の入出力特性が決まることによる。そのため、長期間にわたって蓄電装置に所望の性能を発揮させるためには、複数の電池セル121相互間の温度ばらつきを低減させる均温化が重要となる。
また、二次電池12を冷却する他の冷却装置として、これまでブロワによる送風や、冷凍サイクルを用いた空冷、水冷、あるいは冷媒直接冷却方式が一般的となっているが、ブロワは車室内の空気を送風するだけなので、ブロワの冷却能力は低い。
また、ブロワによる送風では空気の顕熱で二次電池12を冷却するので、空気流れの上流と下流との間で温度差が大きくなり、電池セル121間の温度ばらつきを十分に抑制できない。また、冷凍サイクル方式では冷却能力は高いが、電池セル121との熱交換部は空冷または水冷の何れでも顕熱冷却であるので、同じく、電池セル121間の温度ばらつきを十分に抑制できない。
更には、駐車放置中に冷凍サイクルのコンプレッサや冷却ファンを駆動させることは、電力消費の増大や騒音などの原因となるので好ましくない。
これらの背景から、本実施形態の冷却装置10では、コンプレッサを用いず冷媒の自然循環で二次電池12を冷却するサーモサイフォン方式が採用されている。
具体的に、冷却装置10は、図1に示すように、蒸発器14、凝縮器16、液冷媒配管18、ガス冷媒配管20、液冷媒捕獲部22、および連通配管24を備える。そして、その凝縮器16と液冷媒配管18と蒸発器14とガス冷媒配管20は環状に連結され、冷却装置10の冷媒としての冷媒が循環するサーモサイフォン回路26を構成する。
すなわち、サーモサイフォン回路26は、冷媒の蒸発および凝縮により熱移動を行うサーモサイフォンを構成する。そして、サーモサイフォン回路26は、気相冷媒が流れる流路と液相冷媒が流れる流路とが分離されたループ型のサーモサイフォン(言い換えれば、冷媒の循環回路)となるように構成されている。
なお、図1の矢印DR1は、車両進行方向および車幅方向が水平方向に平行である状態で車両に冷却装置10を搭載した状態の重力方向を示すものである。矢印DR1において上矢印は車両の上下方向DR1の上側を示し、下矢印は車両の上下方向DR1の下側を示している。
サーモサイフォン回路26内には冷媒が封入充填されている。そして、サーモサイフォン回路26内はその冷媒で満たされている。
その冷媒はサーモサイフォン回路26を蒸発と凝縮により自然循環し、冷却装置10は、その冷媒の液相と気相との相変化によって二次電池12の温度を調整する。詳細には、その冷媒の相変化によって二次電池12を冷却する。
サーモサイフォン回路26内に充填されている冷媒は、例えば、HFO−1234yfまたはHFC−134aなどのフロン系冷媒である。或いは、冷媒として、水、アンモニア等のフロン系冷媒以外の各種の作動流体を用いても良い。
図1に示すように、蒸発器14は、二次電池12および冷媒の間で熱交換して二次電池12から冷媒へ熱を移動させることにより二次電池12を冷却する熱交換器である。蒸発器14は、例えば熱伝導性の高い金属製である。
具体的には、蒸発器14は、タンク14d、14e、および熱交換コア14fを備える。
タンク14dは、液冷媒配管18から流入される液相冷媒を熱交換コア14fに供給する。熱交換コア14fは、二次電池12と液相冷媒との間の熱交換によって二次電池12を液相冷媒によって冷却する。タンク14eは、熱交換コア14fからの冷媒をガス冷媒配管20に導く。
図2の二次電池12は、複数の電池セル121を備える。複数の電池セル121は、それぞれ蒸発器14の側面141a、141bに並べて配置されている。そして、複数の電池セル121はそれぞれ、蒸発器14の熱交換コア14fの側面141a、141bとの間で熱伝導可能なようにその側面141a、141bに接続されている。
これにより、蒸発器14の側面141a、141bは、二次電池12を冷却する電池冷却面として機能する。
蒸発器14のタンク14dには、入口14bが形成されている。入口14bは、液冷媒配管18の内部に形成された液冷媒流通路を蒸発器14のタンク14d内へ連通させている。従って、サーモサイフォン回路26を冷媒が循環すると、液冷媒流通路の冷媒は、入口14bを介して蒸発器14のタンク14d内部に流入する。
その液冷媒流通路は、凝縮器16から蒸発器14へ冷媒を流通させる冷媒の流路である。蒸発器14の入口14bは、例えば、電池積層方向DR2における蒸発器14の一方側の端部に設けられている。
また、蒸発器14のタンク14eには出口14cが形成されている。蒸発器14の出口14cは、ガス冷媒配管20に形成されたガス冷媒流通路を蒸発器14内へ連通させている。従って、サーモサイフォン回路26を冷媒が循環すると、蒸発器14内の冷媒はタンク14eから出口14cを通してガス冷媒流通路へ出る。
そのガス冷媒流通路は、蒸発器14から凝縮器16へ冷媒を流す冷媒流路である。蒸発器14の出口14cは例えば、電池積層方向DR2における蒸発器14の他方側の端部に設けられている。
なお、蒸発器14は、気相冷媒を入口14bと出口14cとのうち専ら出口14cから出させる不図示の構造を備えている。
凝縮器16は、凝縮器16内の冷媒および受熱流体の間で熱交換して冷媒から受熱流体へ放熱させる熱交換器である。詳細に言えば、凝縮器16にはガス冷媒配管20から入口16aを通して気相冷媒が流入し、凝縮器16は、冷媒から受熱流体に放熱させることによりその冷媒を凝縮させる。
凝縮器16内の冷媒と熱交換させられる受熱流体としては、例えば空気(すなわち、車室外の空気)、或いは水などである。
また、凝縮器16は蒸発器14よりも上下方向DR1の上側に配置されている。そして、凝縮器16のうち上下方向DR1の下側の出口16bに液冷媒配管18が接続され、凝縮器16のうち上下方向DR1の上側の入口16aにガス冷媒配管20が接続されている。
要するに、液冷媒配管18は、ガス冷媒配管20よりも上下方向DR1の下側にて凝縮器16に接続されている。
このため、凝縮器16で凝縮した液相冷媒は、重力によって、凝縮器16内から液冷媒流通路へと流れる。
液冷媒捕獲部22は、ガス冷媒配管20のうち蒸発器14の出口14cおよび凝縮器16の入口16aの間の途中に設けられている。以下、ガス冷媒配管20のうち液冷媒捕獲部22に対して蒸発器14側に位置する配管を下側ガス配管20aとし、ガス冷媒配管20のうち液冷媒捕獲部22に対して凝縮器16側に位置する配管を上側ガス配管20bとする。
液冷媒捕獲部22は、下側ガス配管20aに連通される入口22aと、上側ガス配管20bに連通されるガス冷媒出口22bと、連通配管24の入口に連通される液冷媒出口22cとを備える。ここで、連通配管24の出口は、液冷媒配管18のうち最も上下方向DR1下側に連通されている。
液冷媒捕獲部22は、蒸発器14の出口14cから上側ガス配管20bから流入される液相冷媒、気相冷媒を分離して液相冷媒を捕獲し、液相冷媒を連通配管24に導くとともに、気相冷媒を上側ガス配管20bに導く。すなわち、液冷媒捕獲部22は、蒸発器14の出口14cから上昇した液相冷媒が凝縮器16に到達する前に液相冷媒を捕獲する。
具体的には、液冷媒捕獲部22は、下側ガス配管20aに比べて冷媒流路の断面積が大きいタンクを構成する。このため、液冷媒捕獲部22は、下側ガス配管20a内の冷媒の流速よりも、冷媒の流速を減速させて液相冷媒、気相冷媒を分離する役割を果たす。
ここで、ガス冷媒出口22bは、液冷媒捕獲部22のうち上下方向DR1上側に位置する。液冷媒出口22cは、液冷媒捕獲部22のうち上下方向DR1下側に位置する。入口22aは、液冷媒捕獲部22のうち上下方向DR1においてガス冷媒出口22bおよび液冷媒出口22cの間に位置する。
本実施形態では、連通配管24のうち液冷媒捕獲部22に接続される接続部24aは、連通配管24のうち液冷媒配管18に接続される接続部24bに対して上下方向DR1上側に位置する。液冷媒捕獲部22は、ガス冷媒配管20の一部を構成している。このため、連通配管24のうち液冷媒捕獲部22に接続される接続部24aは、連通配管24のうちガス冷媒配管20に接続される接続部を構成することになる。
このことにより、連通配管24のうちガス冷媒配管20に接続される接続部24aは、連通配管24のうち液冷媒配管18に接続される接続部24bに対して上下方向DR1上側に位置することになる。
次に、本実施形態の冷却装置10の作動について説明する。
まず、二次電池12の温度が蒸発器14内の液相冷媒の温度と同一であるとき、二次電池12および蒸発器14の内部の液相冷媒の間の熱交換が停止される。
この際に、蒸発器14の熱交換器コア14f内部もしくはその上に液面が位置するように、サーモサイフォン回路26内には冷媒が封入充填されている。液冷媒配管18内の液相冷媒の液面Haは、蒸発器14内の液相冷媒の液面Hbよりも上下方向DR1上側に位置する。ここでいう蒸発器14内の液相冷媒の液面Hbに関して、蒸発器14内部では液相冷媒がガス化して吹き上がっており、実際には液面を観察することができない。ここでいう液相冷媒の液面Hbとは、圧力バランスより規定される理論上の等価液面のことを示す。
その後、二次電池12が発熱して二次電池12の温度が高くなると、電池セル121の
側面を通じて蒸発器14の側面141a、141bへ熱が伝わり、その熱によって蒸発器14内の液相冷媒が沸騰する。
このことにより、蒸発器14内の液相冷媒の内部から冷媒が蒸発することになる。このため、液相冷媒の内部より気泡が発生し、成長しながら後流へ(本実施形態の場合には天地方向上側へ)流れる。そして、その気泡はある大きさまで成長した後、気相冷媒として蒸発器14の内部から出口14cを通してガス冷媒配管20のガス冷媒流通路内に移動する。
この際に、蒸発器14内およびガス冷媒配管20内において、気泡を含む液相冷媒の体積は、熱交換の停止時における気泡を含まない液相冷媒の体積に比べて、大きくなる。このため、蒸発器14内においてみかけの液相冷媒の液面を停止時液面から上昇させる。停止時液面とは、蒸発器14内において熱交換が停止された状態の液相冷媒の液面を意味する。また、気相冷媒が上昇する際に、押し上げられた液相冷媒の一部は、タンク14eに流れ込み、その後ガス冷媒配管20へと流入する。
つまり、ガス冷媒配管20のガス冷媒流通路では、ガス冷媒と気泡を含む液相冷媒が気液混合流として上昇する。
このとき、気液混合流が下側ガス配管20aおよび入口22aを通して液冷媒捕獲部22の内部に流入する。
この際に、気液混合流が液冷媒捕獲部22に流入すると、液冷媒捕獲部22内の気液混合流の流速が下側ガス配管20a内を気液混合流が流れる場合に比べて減速する。このため、液冷媒捕獲部22において気液混合流が液相冷媒と気相冷媒とが分離される。
このとき、図3に示すように、気相冷媒は、上昇して、ガス冷媒出口22bおよび上側ガス配管20bを通してを通して凝縮器16に移動する。図3において気相冷媒を“ガス“と示す。
凝縮器16内では、気相冷媒が受熱流体へ放熱するため、気相冷媒が凝縮する。この凝縮した液相冷媒は、重力により、液冷媒配管18の液冷媒流通路に流れる。
一方、液冷媒捕獲部22内において液相冷媒が重力により落下して液冷媒出口22cから連通配管24の連通流路を通して液冷媒配管18の液冷媒流通路に流れる。図3において液相冷媒を“液“と示す。
このように凝縮器16から液相冷媒と液冷媒捕獲部22から連通配管24の連通流路を通して流れる液相冷媒とが液冷媒配管18の液冷媒流通路で合流して蒸発器14に流れる。
このように、本実施形態の冷却装置10では、これらの作動がコンプレッサ等の駆動装置を必要とせずに、サーモサイフォン回路26に封入された冷媒の自然循環により行われる。
自然循環は、凝縮器16と蒸発器14との温度差によって生じる沸騰および凝縮により、サーモサイフォン回路26内を冷媒が循環することである。
以上の通り、蒸発器14内の冷媒が激しく沸騰すると、蒸発器14から上昇した気相冷媒、液相冷媒のうち液相冷媒が液冷媒捕獲部22で捕獲されて、この捕獲される液相冷媒が連通配管24の連通流路および液冷媒配管18の液冷媒流通路を通して蒸発器14に戻される。
その後、蒸発器14内の冷媒の沸騰が停止すると、ガス冷媒配管20のガス冷媒流通路内の液相冷媒が下側ガス配管20aおよび出口14cを通して蒸発器14に戻る。
以上説明した本実施形態では、冷却装置10は、冷媒が循環し、冷媒の液相と気相との相変化によって二次電池12を冷却する冷却装置である。冷却装置10は、二次電池12から液相冷媒へ熱を移動させることにより液相冷媒を沸騰させる蒸発器14と、気相冷媒から熱を放出させることにより気相冷媒を凝縮させる凝縮器16とを備える。
冷却装置10は、凝縮器16から蒸発器14へ液相冷媒を流通させる液冷媒配管18と、蒸発器14から凝縮器16へ気相冷媒を流通させるガス冷媒配管20とを備える。
冷却装置10は、液相冷媒の沸騰に伴って蒸発器14内の液相冷媒の内部から発生する気泡が液相冷媒を凝縮器16側に移動させる際に、この移動した液相冷媒が凝縮器16に到達する前に液相冷媒を捕獲する液冷媒捕獲部22と連通配管24とを備える。
連通配管24のうち液冷媒捕獲部22に接続される接続部24aは、連通配管24のうち液冷媒配管18に接続される接続部24bに対して上下方向DR1上側に位置する。
以上により、気泡によって蒸発器14から上昇した液相冷媒が凝縮器16bに到達する前に液相冷媒を液冷媒捕獲部22で捕獲する。連通配管24は、液冷媒捕獲部22で捕獲された液相冷媒を接続部24a側から接続部24b側に移動させることができる。このことにより、液冷媒捕獲部22で捕獲した液相冷媒を蒸発器14に戻すことができる。
サーモサイフォン回路26では、冷媒を循環させるためには、液冷媒配管18内の液相冷媒の液面Haが蒸発器14内の液相冷媒の液面Hbよりも上下方向DR1上側に位置することが必要である。
液冷媒配管18内の液相冷媒の液面Haと蒸発器14内の液相冷媒の液面Hbとの差であるヘッド差(=Ha−Hb)は、サーモサイフォン回路26を冷媒が循環される際に生じる圧力損失によって決まる。
ここでいう蒸発器14内の液相冷媒の液相冷媒の液面Hbに関して、蒸発器14内部では、液相冷媒がガス化して吹き上がっており、実際には液面を観察することができない。ここでいう液相冷媒の液面Hbとは、圧力バランスより規定される理論上の等価液面のことを示す。
ここで、サーモサイフォン回路26の圧力損失が大きいほど、ヘッド差を大きくする必要がある。サーモサイフォン回路26の圧力損失が小さいほど、ヘッド差を小さくすることができる。
例えば、図4の対比例の如く、連通配管24および液冷媒捕獲部22が設けられていない冷却装置10Aの場合には、気泡によって蒸発器14から上昇した液相冷媒がガス冷媒配管20を通して凝縮器16に到達するため、次のような問題が生じる。
(a)液相冷媒が蒸発器14からガス冷媒配管20を通して凝縮器16に上昇することに伴って、冷媒を循環させるのに必要となるエネルギーの損失が生じる。
(b)ガス冷媒配管20内に気相冷媒と液相冷媒が流入することにより、気相冷媒および液相冷媒のうち気相冷媒のみがガス冷媒配管20内に流入する場合に比べて、ガス冷媒配管20内において気相冷媒流路の断面積が小さくなる。このため、気相冷媒がガス冷媒配管20を流れる際に生じる圧力損失が大きくなる。
ここで、気相冷媒流路の断面積とは、ガス冷媒配管20内において気相冷媒を流通させる冷媒流路の断面積のことである。
(c)ガス冷媒配管20ではその内表面に沿って液相冷媒が下降し、液相冷媒のうち径方向内側を気相冷媒が上昇するため、気相冷媒の上昇が液相冷媒の上昇が阻害される。このため、気相冷媒がガス冷媒配管20を流れる際に生じる圧力損失が大きくなる。
以上のように、エネルギーの損失や圧力損失の増大が起因してヘッド差を大きくすることが必要になる。
これに対して、本実施形態では、上述の如く、連通配管24によって、蒸発器14から気泡によって上昇した液相冷媒が凝縮器16に到達する前に液冷媒捕獲部22で捕獲して、この捕獲した液相冷媒を連通配管24を通して蒸発器14に戻すことができる。このため、上側ガス配管20bには、液相冷媒および気相冷媒のうち気相冷媒のみが流通する。
したがって、ガス冷媒配管20に気相冷媒が流れる際に生じる圧力損失が小さくなる。
これに加えて、冷媒を循環させるのに必要となるエネルギーの損失が小さくなる。
以上により、ヘッド差が小さくすることができる。このため、蒸発器14に対する凝縮器16の高さを低くして体格の小型化を図ることができる。
さらに、上述の如く、ヘッド差を小さくすることができるので、二次電池12から蒸発器14に大量の熱が移動されて凝縮器16で大量の液相冷媒が発生した場合でも、液冷媒配管18内の液相冷媒の液面Haが凝縮器16に達してしまい、凝縮器16の一部が液相冷媒で満たされることによる凝縮性能が低下してしまうことを抑制することができる。
つまり、凝縮器16で大量の液相冷媒が発生した場合でも、液相冷媒の液面Haを凝縮器16以下、すなわち液冷媒配管18内におさめることができる。このため、冷却装置10における冷却性能を向上させることができる。
さらに、凝縮器16Aで冷媒の凝縮に寄与しない液相冷媒が凝縮器16Aに流入すると、凝縮器16において気相冷媒を凝縮させる性能が低下する。これに対して、本実施形態では、下側ガス配管20aを流れる液相冷媒が液冷媒捕獲部22で捕獲されるため、凝縮器16に液相冷媒が流れることが抑制される。このため、凝縮器16において気相冷媒を凝縮させる性能が低下することを抑制することができる。
本実施形態では、上述の如く、蒸発器14から気泡によって上昇した液相冷媒を液冷媒捕獲部22で捕獲して蒸発器14に戻すため、蒸発器14内の液相冷媒の量を確保することができる。このため、蒸発器14において二次電池12の冷却能力を確保することができる。
本実施形態では、ガス冷媒出口22bは、液冷媒捕獲部22のうち上下方向DR1上側に開口されている。このため、液冷媒捕獲部22から気相冷媒を上側ガス配管20bに良好に流すことができる。
本実施形態では、液冷媒出口22cは、液冷媒捕獲部22のうち上下方向DR1下側に開口されている。このため、液冷媒捕獲部22から液相冷媒を連通配管24に良好に流すことができる。
次に、本実施形態の冷却装置10のヘッド差と対比例における冷却装置10Aのヘッド差の対比について図5を参照して説明する。
対比例における冷却装置10Aは、液冷媒捕獲部22と連通配管24とを備えていない冷却装置である。
図5において縦軸をヘッド差とし、横軸を冷却能力[KW]とし、Gaが本実施形態の冷却装置10のヘッド差を示すグラフであり、Gbが対比例における冷却装置10Aのヘッド差を示すグラフである。
本実施形態の冷却装置10のヘッド差は、対比例における冷却装置10Aのヘッド差よりも小さくなる。これに加えて、対比例における冷却装置10Aのヘッド差と本実施形態の冷却装置10のヘッド差との差分が冷却能力が大きくなるほど大きくなる。つまり、対比例における冷却装置10Aのヘッド差を基準にすると、冷却能力が大きくなるほど本実施形態の冷却装置10のヘッド差を大幅に低減することができることが分かる。
(第2実施形態)
本第2実施形態では、上記第1実施形態において、連通配管24が削除された例について図6を参照して説明する。
本実施形態と上記第1実施形態とは、連通配管24の有無と液冷媒捕獲部22の構成が主に相違する。以下、液冷媒捕獲部22の構成について説明する。
本実施形態の液冷媒捕獲部22は、ガス冷媒配管20の内表面から径方向内側に突起して液相冷媒を堰き止める。液冷媒捕獲部22は、環状に形成されて、径方向内側に気相冷媒を流通させる気相冷媒流路22fを構成する堰部である。
次に、本実施形態の冷却装置10の作動について説明する。
まず、二次電池12が発熱して二次電池12の温度が高くなると、電池セル121の側面を通じて蒸発器14の側面141a、141bへ熱が伝わり、その熱によって蒸発器14内の液相冷媒が沸騰する。
このため、液相冷媒の内部より気泡が発生し、成長しながら後流へ(本実施形態の場合には天地方向上側へ)流れる。そして、その気泡はある大きさまで成長した後、気相冷媒として蒸発器14の内部から出口14cを通してガス冷媒配管20のガス冷媒流通路内に移動する。
この際に、蒸発器14の熱交換器コア14f内を気相冷媒が上昇する際に液相冷媒が押し上げられ、一部がガス冷媒配管20のガス冷媒流通路へ流入するため、ガス冷媒と気泡を含む液相冷媒が気液混合流として上昇する。
このとき、気液混合流のうち液相冷媒が液冷媒捕獲部22で捕獲され、気液混合流のうち気相冷媒が気相冷媒流路22fおよび上側ガス配管20bを通してを通して凝縮器16に移動する。
凝縮器16内では、気相冷媒が受熱流体へ放熱するため、気相冷媒が凝縮する。この凝縮した液相冷媒は、重力により、液冷媒配管18の液冷媒流通路に流れる。その後、液相冷媒が液冷媒配管18の液冷媒流通路を通して蒸発器14に流れる。
このように、本実施形態の冷却装置10では、これらの作動がコンプレッサ等の駆動装置を必要とせずに、サーモサイフォン回路26に封入された冷媒の自然循環により行われる。
その後、蒸発器14内の冷媒の沸騰が停止すると、液相冷媒が下側ガス配管20aおよび出口14cを通して蒸発器14に戻る。
以上説明した本実施形態では、冷却装置10は、二次電池12から液相冷媒へ熱を移動させることにより液相冷媒を沸騰させる蒸発器14と、気相冷媒から熱を放出させることにより気相冷媒を凝縮させる凝縮器16とを備える。冷却装置10は、凝縮器16から蒸発器14へ液相冷媒を流通させる液冷媒配管18と、蒸発器14から凝縮器16へ気相冷媒を流通させるガス冷媒配管20とを備える。
冷却装置10は、液相冷媒の沸騰に伴って蒸発器14内の液相冷媒の内部から発生する気泡が液相冷媒を凝縮器16側に移動させる際に、この移動した液相冷媒が凝縮器16に到達する前に液相冷媒を捕獲する液冷媒捕獲部22を備える。本実施形態の冷却装置10には、連通配管24が設けられていない。
以上により、連通配管24によって、気泡によって蒸発器14から上昇した液相冷媒が液冷媒捕獲部22で捕獲される。このため、上記第1実施形態と同様に、上側ガス配管20bには、液相冷媒および気相冷媒のうち気相冷媒のみが流通する。冷媒を循環させるのに必要となるエネルギーの損失が小さくなる。さらに、ガス冷媒配管20に気相冷媒が流れる際に生じる圧力損失が小さくなる。以上により、ヘッド差を小さくすることができる。
さらに、本実施形態では、下側ガス配管20aを流れる液相冷媒が液冷媒捕獲部22で捕獲されるため、凝縮器16に液相冷媒が流れることが抑制される。このため、上記第1実施形態と同様に、凝縮器16において気相冷媒を凝縮させる性能が低下することを抑制することができる。
(第3実施形態)
本第3実施形態では、上記第1実施形態において、液冷媒捕獲部22が削除された例について図7を参照して説明する。
本実施形態の冷却装置10は、上記第1実施形態の冷却装置10において、液冷媒捕獲部22が削除された構成になっている。図7において、図1と同一符号は、同一のものを示し、その説明を省略する。
本実施形態では、連通配管24のうちガス冷媒配管20に接続される接続部24aは、連通配管24のうち液冷媒配管18に接続される接続部24bに対して上下方向DR1上側に位置することになる。
接続部24aは、蒸発器14よりも上下方向DR1上側に位置する。接続部24bは、凝縮器16よりも上下方向DR1下側に位置する。
次に、本実施形態の冷却装置10の作動について説明する。
まず、二次電池12が発熱して二次電池12の温度が高くなると、電池セル121の側面を通じて蒸発器14の側面141a、141bへ熱が伝わり、その熱によって蒸発器14内の液相冷媒が沸騰する。
このため、液相冷媒の内部より気泡が発生し、成長しながら後流へ(本実施形態の場合には天地方向上側へ)流れる。そして、その気泡はある大きさまで成長した後、気相冷媒として蒸発器14の内部から出口14cを通してガス冷媒配管20のガス冷媒流通路内に移動する。
この際に、蒸発器14の熱交換器コア14f内を気相冷媒が上昇する際に液相冷媒が押し上げられ、一部がガス冷媒配管20のガス冷媒流通路へ流入するため、ガス冷媒と気泡を含む液相冷媒が気液混合流として上昇する。
このとき、下側ガス配管20a内を流れる気液混合流のうち液相冷媒が重力により、連通配管24の連通流路を通して、液冷媒配管18の液冷媒流通路に流れる。
一方、下側ガス配管20a内を流れる気液混合流のうち気相冷媒は上側ガス配管20bを通してを通して凝縮器16に移動する。
凝縮器16内では、気相冷媒が受熱流体へ放熱するため、気相冷媒が凝縮する。この凝縮した液相冷媒は、重力により、液冷媒配管18の液冷媒流通路に流れる。
このように凝縮器16からの液相冷媒と連通配管24の連通流路からの液相冷媒とが液冷媒配管18の液冷媒流通路で合流する。
その後、液相冷媒が液冷媒配管18の液冷媒流通路を通して蒸発器14に流れる。
このように、本実施形態の冷却装置10では、これらの作動がコンプレッサ等の駆動装置を必要とせずに、サーモサイフォン回路26に封入された冷媒の自然循環により行われる。
その後、蒸発器14内の冷媒の沸騰が停止すると、液相冷媒が下側ガス配管20aおよび出口14cを通して蒸発器14に戻る。
以上説明した本実施形態では、冷却装置10は、二次電池12から液相冷媒へ熱を移動させることにより液相冷媒を沸騰させる蒸発器14と、気相冷媒から熱を放出させることにより気相冷媒を凝縮させる凝縮器16とを備える。冷却装置10は、凝縮器16から蒸発器14へ液相冷媒を流通させる液冷媒配管18と、蒸発器14から凝縮器16へ気相冷媒を流通させるガス冷媒配管20とを備える。
冷却装置10は、液相冷媒の沸騰に伴って蒸発器14内の液相冷媒の内部から発生する気泡が液相冷媒を凝縮器16側に移動させる際に、この移動した液相冷媒が凝縮器16に到達する前に液相冷媒を液冷媒配管18の液冷媒流路に戻す。本実施形態の冷却装置10には、液冷媒捕獲部22が設けられていない。
以上により、連通配管24によって気泡によって蒸発器14から上昇した液相冷媒が液冷媒配管18の液冷媒流路に戻される。このため、上記第1実施形態と同様に、上側ガス配管20bには、液相冷媒および気相冷媒のうち気相冷媒のみが流通する。冷媒を循環させるのに必要となるエネルギーの損失が小さくなる。さらに、ガス冷媒配管20に気相冷媒が流れる際に生じる圧力損失が小さくなる。以上により、ヘッド差を小さくすることができる。
さらに、本実施形態では、下側ガス配管20aを流れる液相冷媒が連通配管24を通して液冷媒配管18の液冷媒流路に戻されるため、凝縮器16に液相冷媒が流れることが抑制される。このため、上記第1実施形態と同様に、凝縮器16において気相冷媒を凝縮させる性能が低下することを抑制することができる。
(第4実施形態)
上記第3実施形態では、連通配管24のうちガス冷媒配管20に接続される接続部24aを凝縮器16よりも上下方向DR1下側に配置した例について説明した。しかし、これに代えて、本第4実施形態では、連通配管24のうちガス冷媒配管20に接続される接続部24aを凝縮器16よりも上下方向DR1上側に配置する例について図8を参照して説明する。
本実施形態と上記第3実施形態とは、連通配管24のうちガス冷媒配管20に接続される接続部24aの位置が相違するだけで、その他の構成は同一である。図8において、図1と同一符号は同一のものを示し、その説明を省略する。
本実施形態の連通配管24のうちガス冷媒配管20に接続される接続部24aは、蒸発器14よりも上下方向DR1上側に配置されている。すなわち、連通配管24の接続部24aは、ガス冷媒配管20のうち最も高い部位に接続されている。連通配管24のうち接続部24bは、液冷媒配管18のうち最も低い部位に接続されている。
以上説明した本実施形態では、冷却装置10は、上記第3実施形態と同様に、蒸発器14、凝縮器16、液冷媒配管18、ガス冷媒配管20、および連通配管24を備える。連通配管24のうちガス冷媒配管20に接続される接続部24aは、連通配管24のうち液冷媒配管18に接続される接続部24bに対して上下方向DR1上側に位置する。このため、上記第3実施形態と同様、ヘッド差を小さくすることができる。
(第5実施形態)
上記第3実施形態では、連通配管24のうちガス冷媒配管20に接続される接続部24aは、蒸発器14よりも上下方向DR1上側に配置されている例について説明した。しかし、これに代えて、連通配管24のうちガス冷媒配管20に接続される接続部24aは、蒸発器14のタンク14eとほぼ同一の高さ(すなわち、重力方向GR1の同一位置)に配置されている例について図9を参照して説明する。
本実施形態と上記第3実施形態とは、連通配管24のうちガス冷媒配管20に接続される接続部24aの位置が相違するだけで、その他の構成は同一である。図9において、図1と同一符号は同一のものを示し、その説明を省略する。
本実施形態では、上記第3実施形態と同様に、連通配管24のうち液冷媒配管18に接続される接続部24bに対して上下方向DR1上側に位置する。このため、本実施形態の冷却装置10は、上記第3実施形態と同様に、ヘッド差を小さくすることができる。
(第6実施形態)
上記第5実施形態では、連通配管24のうちガス冷媒配管20に接続される接続部24aが、蒸発器14のタンク14eとほぼ同一の高さに配置されている例について説明した。しかし、これに代えて、凝縮器16の最下部と最上部との間の高さに連通配管24のうちガス冷媒配管20に接続される接続部24aを配置した例について図10を参照して説明する。
本実施形態と上記第5実施形態とは、連通配管24のうちガス冷媒配管20に接続される接続部24aの位置が相違するだけで、その他の構成は同一である。図10において、図1と同一符号は同一のものを示し、その説明を省略する。
連通配管24の接続部24aは、ガス冷媒配管20のうち最も高い部位よりも低い部位に接続される。連通配管24の接続部24bは、液冷媒配管18のうち最も低い部位よりも高い部位に接続される。
以上により、本実施形態の冷却装置10は、上記第5実施形態と同様に、ヘッド差を小さくすることができる。
(第7実施形態)
上記第1〜6実施形態では、ガス冷媒配管20と液冷媒配管18との間に連通配管24を配置した例について説明した。しかし、これに代えて、蒸発器14のタンク14d、14eの間に連通配管24を配置した本第7実施形態について図11を参照して説明する。
本実施形態と上記第1実施形態とは、連通配管24の配置が相違するだけで、その他の構成は同一である。図10において、図1と同一符号は同一のものを示し、その説明を省略する。
連通配管24のうち上側端部はタンク14dに接続され、連通配管24のうち下側端部はタンク14eに接続されている。連通配管24のうちタンク14dに接続される接続部24aは、連通配管24のうちタンク14eに接続される接続部24bに対して重力方向上側に位置する。
次に、本実施形態の冷却装置10の作動について説明する。
まず、二次電池12が発熱して二次電池12の温度が高くなると、各電池セル121の側面を通じて蒸発器14の側面141a、141bへ熱が伝わり、その熱によって蒸発器14内の液相冷媒が沸騰する。
このため、液相冷媒の内部より気泡が発生し、成長しながら後流へ(本実施形態の場合には天地方向上側へ)流れる。そして、その気泡はある大きさまで成長した後、気相冷媒として熱交換コア14fからタンク14dに流入する。これと同時に、蒸発器14の熱交換器コア14f内を気相冷媒が上昇する際に液相冷媒が押し上げられるため、ガス冷媒と気泡を含む液相冷媒が気液混合流が熱交換コア14fからタンク14dに上昇する。
このとき、タンク14eから液相冷媒が連通配管24の連通流路を通してタンク14dに流れる。一方、気相冷媒は、蒸発器14のタンク14e内部から出口14cおよびガス冷媒配管20のガス冷媒流通路を通して凝縮器16に移動する。
凝縮器16内では、気相冷媒が受熱流体へ放熱するため、気相冷媒が凝縮する。この凝縮した液相冷媒は、重力により、液冷媒配管18の液冷媒流通路に流れる。その後、液相冷媒が液冷媒配管18の液冷媒流通路を通して蒸発器14に流れる。
このように、本実施形態の冷却装置10では、タンク14eから連通配管24の連通流路を通して流れる液相冷媒と液冷媒配管18の液冷媒流通路からの流れる液相冷媒とがタンク14dに流れる。
その後、蒸発器14内の冷媒の沸騰が停止すると、液相冷媒が下側ガス配管20aおよび出口14cを通して蒸発器14に戻る。
以上説明した本実施形態の冷却装置10は、連通配管24の配置が相違するだけで、上記6実施形態と同様に構成されている。このため、上記6実施形態と同様に、ヘッド差を小さくすることができる。
(第8実施形態)
上記第1実施形態では、蒸発器14に対して上下方向DR1上側に凝縮器16を配置した例について説明したが、これに代えて、蒸発器14と凝縮器16とを同一の高さに配置した本第8実施形態について図12を参照して説明する。
本実施形態では、蒸発器14の最上部と凝縮器16の最上部とが同一の高さに配置されている。蒸発器14の最下部と凝縮器16の最下部とが同一の高さに配置されている。蒸発器14の出口14cと凝縮器16の入口16aとが同一の高さに配置されている。蒸発器14の入口14bと凝縮器16の出口16bとが同一の高さに配置されている。
このため、蒸発器14の出口14cと凝縮器16の入口16aとの間でガス冷媒配管20が真っ直ぐに延びるように配置されている。蒸発器14の入口14bと凝縮器16の出口16bとの間で液冷媒配管18が真っ直ぐに延びるように配置されている。
本実施形態では、連通配管24は、上記第1実施形態と同様に、ガス冷媒配管20および液冷媒配管18の間に配置されている。連通配管24のうちガス冷媒配管20に接続される接続部24aは、連通配管24のうち液冷媒配管18に接続される接続部24bに対して上下方向DR1上側に位置する。
このように構成される本実施形態において、上記第1実施形態と同様に、サーモサイフォン回路26の圧力損失に基づいてヘッド差が設定されていれば、蒸発器14と凝縮器16との間で冷媒が循環する。よって、以上説明した本実施形態によれば、上記第1実施形態と同様に、ヘッド差を小さくすることができる。
(第9実施形態)
上記第8実施形態では、ガス冷媒配管20および液冷媒配管18の間に連通配管24を配置した例について説明したが、これに代えて、タンク14d、14eの間に連通配管24を配置した本第9実施形態について図13を参照して説明する。
本実施形態の冷却装置10では、蒸発器14と凝縮器16とを同一の高さに配置され、かつ連通配管24のうちガス冷媒配管20に接続される接続部24aは、連通配管24のうち液冷媒配管18に接続される接続部24bに対して上下方向DR1上側に位置する。
以上説明した本実施形態において、上記第8実施形態と同様に、蒸発器14と凝縮器16との間で冷媒が循環する。よって、上記第8実施形態と同様に、ヘッド差を小さくすることができる。
(第10実施形態)
本第10実施形態では、上記第1実施形態において、流量調整弁30を追加した例について図14を参照して説明する。
本実施形態と上記第1実施形態とは、主に流量調整弁30の有無が相違するだけで、その他の構成は同一である。図10において、図1と同一符号は同一のものを示し、その説明を省略する。
流量調整弁30は、連通配管24のうち接続部24a、24bの間に配置されている。
流量調整弁30は、連通配管24を流れる液相冷媒量の流れを調整する調整部である。流量調整弁30は、接続部24a、24bの間の連通流路の断面積を複数段に調整可能に構成される電動弁である。
以下、説明の便宜上、接続部24a、24bの間の連通流路の断面積を単に、連通流路断面積という。流量調整弁30は、図15の電子制御装置40によって制御される。
電子制御装置40は、液冷媒配管18から連通配管24を通して液冷媒捕獲部22に液相冷媒が吹き上がることを防ぐために弁制御処理を実行する。
本実施形態では、液冷媒配管18の液面Haの高さは、二次電池12の発熱量が大きくなるほど高くなる。このため、液冷媒配管18の液面Haの高さと、二次電池12の冷却量とは、1対1で特定される関係になる。
そこで、電子制御装置40は、弁制御処理を実行する際に、電池発熱量推定部41により算出される二次電池12の発熱量に基づいて二次電池12の冷却量を算出し、この算出される冷却量に基づいて液冷媒配管18の液面Haの高さであるヘッドを求める。これに加えて、電子制御装置40は、弁制御処理を実行する際に、この求められるヘッドに応じて流量調整弁30を制御する。
電池発熱量推定部41は、二次電池12に充電される充電電流値、或いは二次電池12から放電される放電電流値を測定する電流センサを備え、電流センサにより測定される充電電流値(或いは、放電電流値)と二次電池12の内部抵抗とによって二次電池12の発熱量を算出する。
本実施形態では、電子制御装置40は、二次電池12の発熱量が二次電池12の冷却量と同一であるとして、電池発熱量推定部41の算出値に基づいて二次電池12の冷却量を算出する。
なお、本実施形態では、液冷媒配管18の液面Haの高さを算出するにあたり、二次電池12の温度と冷媒飽和温度の差より算出した冷却量、二次電池12の要求冷却能力、凝縮器の冷却量等を利用する。また、他にも、冷媒流量、冷媒の圧力損失、電池での消費電力量等を用いて算出してもよい。
次に、本実施形態の冷却装置10の作動について説明する。
まず、電子制御装置40は、図16のフローチャートにしたがって、弁制御処理を実行する。電子制御装置40は、二次電池12と蒸発器14との間で熱交換されているときに、弁制御処理を繰り返し実行する。
二次電池12の冷却量が多くなるほど、サーモサイフォン回路26を循環する冷媒流量が上昇するため、冷媒循環圧損が増える。このため、液冷媒配管18のヘッド(すなわち、液冷媒配管18の液面Haの高さ)が上昇する。
これに伴い、液冷媒配管18から連通配管24を通して液冷媒捕獲部22に液相冷媒が吹き上がり易くなる。
そこで、本実施形態の電子制御装置40は、電池発熱量推定部41の算出結果に基づいて、二次電池12の発熱量(すなわち、冷却量)を一定期間毎に算出し、この発熱量の算出毎にヘッドを算出する。
すなわち、電子制御装置40は、電池発熱量推定部41の算出結果に基づいて、一定期間毎にヘッドを算出し、今回算出したヘッドが前回算出したヘッドよりも上昇したか否を判定する(ステップS100)。
ここで、今回算出したヘッドが前回算出したヘッドよりも上昇したとしてステップS100でYESと判定したときには、流量調整部として、流量調整弁30を制御して連通流路断面積を減少させる(ステップS110)。
このため、液冷媒配管18から連通配管24を通して液冷媒捕獲部22に液相冷媒が吹き上がることを防ぐことができる。
この際に、上側連通配管24cに液相冷媒を貯めることができる。このため、液冷媒配管18の液面Haが過剰に高くなることを未然に防ぐことができる。
一方、上記ステップS100において、今回算出したヘッドが前回算出したヘッドよりも上昇していないとしてNOと判定したときには、今回算出したヘッドが前回算出したヘッドよりも低下したか否を判定する(ステップS120)。
ここで、今回算出したヘッドが前回算出したヘッドよりも低下したとしてステップS120でYESと判定したときには、流量調整部として、流量調整弁30を制御して連通流路断面積を増大させる(ステップS130)。
このとき、上側連通配管24cに内の冷媒圧力が下側連通配管24d内の冷媒圧力よりも高いとき場合には、流量調整弁30は、液冷媒捕獲部22内の液相冷媒や上述の上側連通配管24cに貯められた液相冷媒を下側連通配管24dに流れることを許容する。
このため、液冷媒捕獲部22内の液相冷媒や上述の上側連通配管24cに貯められた液相冷媒を重力によって流量調整弁30、下側連通配管24d、および液冷媒配管18を通して蒸発器14に戻すことができる。
なお、ステップS120において、今回算出したヘッドが前回算出したヘッドと同一であるときには、NOと判定して、ステップS100に戻る。
このように本実施形態の電子制御装置40は、電池発熱量推定部41の算出結果に一定期間毎にヘッドを算出し、この算出したヘッドが前回算出したヘッドよりも上昇したときには、流量調整弁30を制御して連通流路断面積を減少させる。一方、今回算出したヘッドが前回算出したヘッドよりも低下したときには、流量調整弁30を制御して連通流路断面積を増大させる。
これにより、ヘッドの変位に応じて連通流路断面積を調整して、液冷媒配管18から連通配管24を通して液冷媒捕獲部22に液相冷媒が吹き上がることを防ぎつつ、液冷媒捕獲部22から連通配管24を通して液冷媒配管18に液相冷媒が流れることを許容する。
(第11実施形態)
本第11実施形態では、上記第10実施形態において、液冷媒捕獲部22を削除した例について図17を参照して説明する。
本実施形態の連通配管24は、上記第3実施形態と同様に、下側ガス配管20a内を流れる液相冷媒を重力によって液冷媒配管18の液冷媒流通路に流す。流量調整弁30は、上記第10実施形態と同様に、電子制御装置40によって制御されて、連通流路断面積を調整する。
なお、図17において、図14と同一符号は同一のものを示し、その説明を省略する。
(第12実施形態)
上記第10実施形態では、連通流路断面積を無段階に調整する流量調整弁30を用いた例について説明したが、これに代えて、連通配管24を開閉する開閉弁30Aを用いた本第12実施形態について図18を参照して説明する。
本実施形態と上記第10実施形態とは、流量調整弁30に代わる開閉弁30Aを備えることが相違するだけで、その他の構成は、共通である。図18において、図14と同一の符号は、同一のものを示し、その説明を省略する。
開閉弁30Aは、連通配管24を流れる液相冷媒の流れを調整する調整部である。開閉弁30Aは、電子制御装置40によって制御されて、連通配管24の開状態および閉状態のうちいずれか一方の状態に設定される。
本実施形態の電子制御装置40は、開閉弁30Aを用いて、液冷媒配管18から連通配管24を通して液冷媒捕獲部22に液相冷媒が吹き上がることを防ぐために弁制御処理を実行する。
電子制御装置40は、弁制御処理を実行する際に、上記第10実施形態と同様に、電池発熱量推定部41により算出される二次電池12の発熱量に基づいて二次電池12の冷却量を算出し、この算出される冷却量に基づいて液冷媒配管18のヘッドを算出し、この算出されるヘッドに応じて開閉弁30Aを制御する。
本実施形態では、電子制御装置40は、二次電池12の発熱量が二次電池12の冷却量と同一であるとして、電池発熱量推定部41の算出値に基づいて二次電池12の冷却量を算出する。
ここで、この二次電池12の冷却量は、二次電池12の温度と冷媒飽和温度の差より算出した冷却量、二次電池12の要求冷却能力、二次電池より充放電される電流値と二次電池の内部抵抗で算出される電池発熱量、凝縮器の冷却量等を利用する。また、他にも、冷媒流量、冷媒の圧力損失、電池での消費電力量等を用いて算出してもよい。
次に、本実施形態の冷却装置10の作動について説明する。
まず、電子制御装置40は、図19のフローチャートにしたがって、弁制御処理を実行する。電子制御装置40は、二次電池12と蒸発器14との間で熱交換されているときに、弁制御処理を繰り返し実行する。
本実施形態の電子制御装置40は、電池発熱量推定部41によって二次電池12の発熱量を一定期間毎に算出し、この算出毎に発熱量に基づいて冷却量を算出し、この冷却量に基づいてヘッドを算出し、ヘッドが閾値以上であるか否かを判定する(ステップS100A)。
このことにより、電子制御装置40は、電池発熱量推定部41の算出値に基づいてヘッド一定期間毎に算出し、この算出毎にヘッドが閾値以上であるか否かを判定する。
ここで、ヘッドが閾値と同一高さであるとき、或いはヘッドが閾値よりも高くなっているときには、ヘッドが閾値以上であるとして、ステップS100AにおいてYESと判定する。これに伴い、流量調整部として、開閉弁30Aを制御して連通配管24の連通流路を閉じる(ステップS140)。このため、液冷媒配管18から連通配管24を通して液冷媒捕獲部22に液相冷媒が吹き上がることを防ぐことができる。
一方、上記ステップS100Aにおいて、ヘッドが閾値よりも低いなっているときには、ヘッドが閾値未満であるとして、NOと判定する。
これに伴い、流量調整部として、開閉弁30Aを制御して連通配管24の連通流路を開ける(ステップS141)。このため、液冷媒捕獲部22から連通配管24を通して液冷媒配管18に液相冷媒が重力によって流れることを許容する。
このように本実施形態の電子制御装置40は、二次電池12の冷却量に基づいて一定期間毎にヘッドを算出し、この算出したヘッドが閾値よりも高いか否かの判定によって流量調整弁30の開状態と閉状態とを切り替える。
これにより、ヘッドの変位に応じて、液冷媒配管18から連通配管24を通して液冷媒捕獲部22に液相冷媒が吹き上がることを防ぎつつ、液冷媒捕獲部22から連通配管24を通して液冷媒配管18に液相冷媒が流れることを許容する。
(第13実施形態)
本第13実施形態では、上記第12実施形態において、液冷媒捕獲部22を削除した例について図20を参照して説明する。
本実施形態の連通配管24は、上記第3実施形態と同様に、下側ガス配管20a内を流れる液相冷媒を重力によって液冷媒配管18の液冷媒流通路に流す。開閉弁30Aは、上記第10実施形態と同様に、電子制御装置40によって制御されて、連通配管24の連通流路を開閉する。なお、図20において、図18と同一符号は同一のものを示し、その説明を省略する。
(第14実施形態)
上記第10実施形態では、液冷媒配管18から連通配管24を通して液冷媒捕獲部22に液相冷媒が吹き上がることを防ぐために、流量調整弁30を用いた例について説明した。しかし、これに代えて、逆止弁30Bを用いた本第14実施形態について図21を参照して説明する。
本実施形態と上記第10実施形態とは、流量調整弁30に代わる逆止弁30Bを備えることが相違するものの、その他の構成は、共通である。
ここで、以下、説明の便宜上、連通配管24のうち逆止弁30Bよりも天地方向上側に位置する配管を上側連通配管24cとし、連通配管24のうち逆止弁30Bよりも天地方向下側に位置する配管を下側連通配管24dとする。
逆止弁30Bは、連通配管24を流れる液相冷媒の流れを調整する調整部である。本実施形態の逆止弁30Bは、上側連通配管24cから下側連通配管24dに液相冷媒が流れることを許容し、下側連通配管24dから上側連通配管24cに液相冷媒が流れることを停止する。
このため、液冷媒配管18から連通配管24を通して液冷媒捕獲部22に液相冷媒が吹き上がることを防ぎつつ、液冷媒捕獲部22から連通配管24を通して液冷媒配管18に液相冷媒が流れることを許容する。
次に、本実施形態の冷却装置10の作動について説明する。
まず、二次電池12が発熱して二次電池12の温度が高くなると、電池セル121の側面を通じて蒸発器14の側面141a、141bへ熱が伝わり、その熱によって蒸発器14内の液相冷媒が沸騰する。
このため、液相冷媒の内部より気泡が発生し、成長しながら後流へ(本実施形態の場合には天地方向上側へ)流れる。そして、その気泡はある大きさまで成長した後、気相冷媒として蒸発器14の内部から出口14cに流入する。これと同時に、蒸発器14の熱交換器コア14f内を気相冷媒が上昇する際に液相冷媒が押し上げられ、出口14cに流入する。そして、ガス冷媒配管20のガス冷媒流通路内に移動する。
この際に、ガス冷媒配管20のガス冷媒流通路では、ガス冷媒と気泡を含む液相冷媒が気液混合流として上昇する。
このとき、気液混合流のうち液相冷媒が液冷媒捕獲部22で捕獲され、この液冷媒捕獲部22で捕獲される液相冷媒が上側連通配管24cに流れる。
また、気液混合流のうち気相冷媒が気相冷媒流路22fおよび上側ガス配管20bを通してを通して凝縮器16に移動する。
凝縮器16内では、気相冷媒が受熱流体へ放熱するため、気相冷媒が凝縮する。この凝縮した液相冷媒は、重力により、液冷媒配管18の液冷媒流通路に流れる。その後、液相冷媒が液冷媒配管18の液冷媒流通路を通して蒸発器14に流れる。
ここで、二次電池12から蒸発器14に放熱される放熱量が増えるほど、蒸発器14が激しく沸騰する。このため、蒸発器14からガス冷媒配管20を通して凝縮器16に流れる気相冷媒の量が増える。
これに伴い、凝縮器16で生じる液相冷媒の量が増えるため、液冷媒配管18の液冷媒流通路内に溜まる液相冷媒の量が増える。このため、液冷媒配管18の液冷媒流通路から下側連通配管24dに流れる。
このとき、上側連通配管24c内の冷媒圧力よりも下側連通配管24dの冷媒圧力の方が大きくなる。しかし、逆止弁30Bは、下側連通配管24dから上側連通配管24cに冷媒が流れることを止めることができる。この際に、液冷媒捕獲部22で捕獲された液相冷媒を上側連通配管24cに貯めることができる。
一方、二次電池12から蒸発器14に放熱される放熱量が減ると、蒸発器14からガス冷媒配管20を通して凝縮器16に流れる気相冷媒の量が減る。
これに伴い、凝縮器16で生じる液相冷媒の量が減るため、液冷媒配管18の液冷媒流通路内に溜まる液相冷媒の量が減る。
このとき、上側連通配管24c内の冷媒圧力の方が下側連通配管24dの冷媒圧力よりも大きくなる。しかし、逆止弁30Bは、上側連通配管24cから下側連通配管24dに冷媒が流れることを許容する。
以上により、液冷媒捕獲部22で捕獲され液相冷媒を連通配管24および液冷媒配管18を通して蒸発器14に戻すことができる。
(第15実施形態)
本第15実施形態では、上記第12実施形態において、液冷媒捕獲部22で捕獲される液相冷媒を一時的に貯める貯液部50を設けた例について図22を参照して説明する。
本実施形態と上記第12実施形態とは、貯液部50の有無が相違するものの、その他の構成は、共通である。
本実施形態の貯液部50は、連通配管24のうち接続部24aと開閉弁30Aとの間に配置されている。すなわち、貯液部50は、連通配管24のうち開閉弁30Aに対して接続部24a側に配置されている。
貯液部50は、開閉弁30Aが連通配管24の連通流路を閉じた状態で、液冷媒捕獲部22で捕獲される液相冷媒を一時的に貯める。このため、開閉弁30Aが連通配管24の連通流路を開けた状態では、貯液部50内の液相冷媒が開閉弁30Aを通して液冷媒配管18に流すことができる。
次に、本実施形態の冷却装置10の作動について説明する。
まず、二次電池12が発熱して二次電池12の温度が高くなると、電池セル121の側面を通じて蒸発器14の側面141a、141bへ熱が伝わり、その熱によって蒸発器14内の液相冷媒が沸騰する。
このため、液相冷媒の内部より気泡が発生し、成長しながら後流へ(本実施形態の場合には天地方向上側へ)流れる。そして、その気泡はある大きさまで成長した後、気相冷媒として蒸発器14の内部から出口14cに流入する。これと同時に、蒸発器14の熱交換器コア14f内を気相冷媒が上昇する際に液相冷媒が押し上げられ、出口14cに流入する。そして、ガス冷媒配管20のガス冷媒流通路内に移動する。
この際に、ガス冷媒配管20のガス冷媒流通路では、ガス冷媒と気泡を含む液相冷媒が気液混合流として上昇する。
このとき、気液混合流のうち液相冷媒が液冷媒捕獲部22で捕獲され、この液冷媒捕獲部22で捕獲される液相冷媒が上側連通配管24cに流れる。
また、気液混合流のうち気相冷媒が気相冷媒流路22fおよび上側ガス配管20bを通してを通して凝縮器16に移動する。
凝縮器16内では、気相冷媒が受熱流体へ放熱するため、気相冷媒が凝縮する。この凝縮した液相冷媒は、重力により、液冷媒配管18の液冷媒流通路に流れる。その後、液相冷媒が液冷媒配管18の液冷媒流通路を通して蒸発器14に流れる。
ここで、二次電池12から蒸発器14に放熱される放熱量が増えるほど、蒸発器14が激しく沸騰する。このため、蒸発器14からガス冷媒配管20を通して凝縮器16に流れる気相冷媒の量が増える。
これに伴い、凝縮器16で生じる液相冷媒の量が増えるため、液冷媒配管18の液冷媒流通路内に溜まる液相冷媒の量が増える。このため、液冷媒配管18の液冷媒流通路から下側連通配管24dに流れる。
このとき、上側連通配管24c内の冷媒圧力よりも下側連通配管24dの冷媒圧力の方が大きくなる。しかし、開閉弁30Aが閉じた状態では、開閉弁30Aが下側連通配管24dから上側連通配管24cに冷媒が流れることを止める。
この際に、液冷媒捕獲部22で捕獲され液相冷媒が上側連通配管24cを通して貯液部50に流れるものの、貯液部50内の液相冷媒は、開閉弁30Aによって下側連通配管24dに流れることを止められる。
この際に、液冷媒捕獲部22で捕獲された液相冷媒を貯液部50に貯めることができる。したがって、液冷媒配管18の液相冷媒の液面Haが上昇することを収束させることができる。
ここで、貯液部50を設けることで上記第12実施形態よりも多くの液相冷媒を蓄えることができるため、液面Haが上昇することを収束させる効果は大きい。
一方、二次電池12から蒸発器14に放熱される放熱量が減ると、蒸発器14からガス冷媒配管20を通して凝縮器16に流れる気相冷媒の量が減る。
これに伴い、凝縮器16で生じる液相冷媒の量が減るため、液冷媒配管18の液冷媒流通路内に溜まる液相冷媒の量が減る。
このとき、上側連通配管24c内の冷媒圧力の方が下側連通配管24dの冷媒圧力よりも大きくなる。しかし、開閉弁30Aは、上側連通配管24cから下側連通配管24dに冷媒が流れることを許容する。このため、貯液部50内の液相冷媒は、開閉弁30A、下側連通配管24d、および液冷媒配管18を通して蒸発器14に流れる。
以上により、液冷媒捕獲部22で捕獲され液相冷媒を連通配管24を通して液冷媒配管18に流れることを開閉弁30Aが停止した際に、液冷媒捕獲部22で捕獲され液相冷媒を一時的に貯液部50で貯めることができる。このため、液冷媒捕獲部22で捕獲され液相冷媒が上側ガス配管20bに流れ込むことを未然に防ぐことができる。
(第16実施形態)
上記第15実施形態において、連通配管24の連通流路を開閉する開閉弁30Aを用いた例について説明したが、これに代えて、逆止弁30Bを用いる本第16実施形態について図23を参照して説明する。
本実施形態と上記第15実施形態とは、開閉弁30Aに代わる逆止弁30Bを備え、かつ液冷媒捕獲部22が削除されていることが相違するものの、その他の構成は、共通である。
本実施形態の逆止弁30Bは、上記第14実施形態と同様に、上側連通配管24cから下側連通配管24dに液相冷媒が流れることを許容し、下側連通配管24dから上側連通配管24cに液相冷媒が流れることを停止する。
逆止弁30Bは、連通配管24のうち貯液部50に対して接続部24b側に配置されている。
本実施形態では、液冷媒捕獲部22が削除されているため、上記第3実施形態と同様に、下側ガス配管20a内を流れる気液混合流のうち液相冷媒が重力により、連通配管24の連通流路に流れる。下側ガス配管20a内を流れる気液混合流のうち気相冷媒は上側ガス配管20bを通してを通して凝縮器16に移動する。
(第17実施形態)
本第17実施形態では、上記第14実施形態において、貯液部50と加熱部60とを追加した例について図24を参照して説明する。
図24において、図21と同一符号は、同一のものを示し、その説明を省略する。
本実施形態の貯液部50は、連通配管24のうち接続部24aと開閉弁30Aとの間に配置されている。貯液部50は、上記第15実施形態と同様に、液冷媒捕獲部22で捕獲される液相冷媒を一時的に貯める。
加熱部60は、電子制御装置40によって制御されて、貯液部50内の液相冷媒を加熱する。本実施形態の加熱部60としては、電気ヒータ等から構成されている。
本実施形態の加熱部60としては、電気ヒータに限定されず、リレー、DC/DCコンバータ等の電子部品、電気回路等の廃熱を利用してもよい。
本実施形態の電子制御装置40は、蒸発器14において二次電池12を冷却する際に必要である液相冷媒量が不足している場合には、貯液部50内の液相冷媒を加熱部60によって加熱して気相冷媒に相変化させるための冷媒加熱処理を実行する。
電子制御装置40は、冷媒加熱処理の実行に伴って、温度センサ41aの検出値および温度センサ41bの検出値に基づいて加熱部60を制御する。
温度センサ41aは、蒸発器14のうち上部14Aの冷媒温度を検出する。蒸発器14の上部14Aとは、熱交換コア14fのうち天地方向上側領域やタンク14eによって構成されている。
すなわち、温度センサ41aは、蒸発器14の熱交換コア14fよりも冷媒流れ下流側の冷媒温度、或いは熱交換コア14fのうち天地方向上側領域の冷媒温度を検出する。
温度センサ41bは、蒸発器14の下部14Bの冷媒温度を検出する。蒸発器14の下部14Bとは、熱交換コア14fのうち天地方向下側領域やタンク14dによって構成されている。
すなわち、温度センサ41bは、蒸発器14の熱交換コア14fよりも冷媒流れ上流側の冷媒温度、或いは熱交換コア14fのうち天地方向下側領域の冷媒温度を検出する。
次に、本実施形態の冷却装置10の作動について説明する。
まず、電子制御装置40は、図26のフローチャートにしたがって、冷媒加熱処理を実行する。電子制御装置40は、二次電池12と蒸発器14との間で熱交換されているときに、冷媒加熱処理を繰り返し実行する。
まず、二次電池12が発熱して二次電池12の温度が高くなると、電池セル121の側面を通じて蒸発器14の側面141a、141bへ熱が伝わり、その熱によって蒸発器14内の液相冷媒が沸騰する。
ここで、二次電池12から蒸発器14に放熱される放熱量が増えるほど、蒸発器14が激しく沸騰する。このため、蒸発器14からガス冷媒配管20を通して凝縮器16に流れる気相冷媒の量が増える。
これに伴い、凝縮器16で生じる液相冷媒の量が増えるため、液冷媒配管18の液冷媒流通路内に溜まる液相冷媒の量が増える。このため、液冷媒配管18の液冷媒流通路から下側連通配管24dに流れる。
このとき、上側連通配管24c内の冷媒圧力よりも下側連通配管24dの冷媒圧力の方が大きくなる。しかし、逆止弁30Bは、下側連通配管24dから上側連通配管24cに冷媒が流れることを止める。このため、逆止弁30Bは、上側連通配管24cから下側連通配管24dに液相冷媒が流れることを止める。したがって、液冷媒捕獲部22で捕獲される液相冷媒は、貯液部50で貯められる。
したがって、蒸発器14において二次電池12を冷却するのに必要な液相冷媒量が不足する恐れが発生する。
そこで、本実施形態の電子制御装置40は、冷媒加熱処理を実行して、蒸発器14において二次電池12を冷却するのに必要な液相冷媒量が不足していると判定したときには、貯液部50内の液相冷媒を気相冷媒に相変化させて再循環させる。
具体的には、電子制御装置40は、ステップS200において、蒸発器14において二次電池12を冷却するのに必要な液相冷媒量が不足している否かを判定する。すなわち、貯液部50内の液相冷媒を気相冷媒に相変化させて再循環させることが必要であるか否かを判定する。
詳細には、電子制御装置40は、温度センサ41aの検出温度から温度センサ41bの検出温度を引いた差分が閾値以上であるか否かを判定する。
ここで、温度センサ41aは、蒸発器14のうち冷媒流れ下流側の冷媒温度を検出する。温度センサ41bは、蒸発器14のうち冷媒流れ上流側の冷媒温度を検出する。このため、上記差分は、蒸発器14のうち冷媒流れ下流側の冷媒温度と、蒸発器14のうち冷媒流れ上流側の冷媒温度との差分を示すことになる。
ここで、差分が閾値以上であるときには、蒸発器14において二次電池12を冷却するのに必要な液相冷媒量が不足していると判定する。つまり、貯液部50内の液相冷媒を気相冷媒に相変化させて再循環させることが必要であるとして、ステップS200においてYESと判定する。
これに伴い、ステップS210において、加熱部60をオンさせる。このため、加熱部60が発熱してこの発生した熱が貯液部50内の液相冷媒に伝わる。このため、貯液部50内の液相冷媒が気相冷媒に相変化してこの相変化した気相冷媒は、上側連通配管24cおよび液冷媒捕獲部22を通して上側ガス配管20bに流れる。
このことにより、貯液部50内の液相冷媒を素早く気相冷媒に変化させて凝縮器16に供給して再循環させることができる。
これに伴い、この上側ガス配管20bに流れる気相冷媒は、凝縮器16で冷却されて液相冷媒になる。このため、液相冷媒は、液冷媒配管18の液冷媒流通路を通して蒸発器14に流れる。
以上により、貯液部50内の液相冷媒を気相冷媒に相変化させて再循環させることが必要であるときには、貯液部50内の液相冷媒が気相冷媒に相変化させてサーモサイフォン回路26を再循環させることができる。
(第18実施形態)
上記第17実施形態では、加熱部60を制御して貯液部50内の液相冷媒を再循環させる例について説明した。しかし、これに代えて、流量調整弁30を制御して貯液部50内の液相冷媒を再循環させる第18実施形態について図27を参照して説明する。
本実施形態の冷却装置10は、図27に示すように、図22の冷却装置10において、開閉弁30Aに代わる流量調整弁30を備える。
本実施形態の電子制御装置40は、蒸発器14において二次電池12を冷却するのに必要である液相冷媒量が不足している場合には、貯液部50内の液相冷媒を流量調整弁30を制御して再循環させる冷媒再循環処理を実行する。
貯液部50は、連通配管24のうち流量調整弁30に対して接続部24a側に配置されている。
電子制御装置40は、冷媒再循環処理の実行に伴って、温度センサ41aの検出値および温度センサ41bの検出値に基づいて流量調整弁30を制御する(図28参照)。
温度センサ41aは、蒸発器14のうち上部の冷媒温度を検出する。蒸発器14のうち上部とは、熱交換コア14fのうち天地方向上側領域やタンク14eによって構成されている。
すなわち、温度センサ41aは、蒸発器14の熱交換コア14fよりも冷媒流れ下流側の冷媒温度、或いは熱交換コア14fのうち天地方向上側領域の冷媒温度を検出する。
温度センサ41bは、蒸発器14のうち下部の冷媒温度を検出する。蒸発器14のうち下部14Bとは、熱交換コア14fのうち天地方向下側領域やタンク14dによって構成されている。
すなわち、温度センサ41bは、蒸発器14の熱交換コア14fよりも冷媒流れ上流側の冷媒温度、或いは熱交換コア14fのうち天地方向下側領域の冷媒温度を検出する。
次に、本実施形態の冷却装置10の作動について説明する。
まず、電子制御装置40は、図29のフローチャートにしたがって、冷媒再循環処理を実行する。電子制御装置40は、二次電池12と蒸発器14との間で熱交換されているときに、冷媒再循環処理を繰り返し実行する。
まず、二次電池12が発熱して二次電池12の温度が高くなると、電池セル121の側面を通じて蒸発器14の側面141a、141bへ熱が伝わり、その熱によって蒸発器14内の液相冷媒が沸騰する。
ここで、二次電池12から蒸発器14に放熱される放熱量が増えるほど、蒸発器14が激しく沸騰する。このため、蒸発器14からガス冷媒配管20を通して凝縮器16に流れる気相冷媒の量が増える。
これに伴い、凝縮器16で生じる液相冷媒の量が増えるため、液冷媒配管18の液冷媒流通路内に溜まる液相冷媒の量が増える。このため、液冷媒配管18の液冷媒流通路から下側連通配管24dに流れる。
このとき、上側連通配管24c内の冷媒圧力よりも下側連通配管24dの冷媒圧力の方が大きくなる。しかし、流量調整弁30は、下側連通配管24dから上側連通配管24cに冷媒が流れることを止める。このため、流量調整弁30は、上側連通配管24cから下側連通配管24dに液相冷媒が流れることを止める。このため、液冷媒捕獲部22で捕獲される液相冷媒は、貯液部50で貯められる。
したがって、蒸発器14において二次電池12を冷却するのに必要な液相冷媒量が不足する恐れが発生する。
そこで、本実施形態の電子制御装置40は、冷媒再循環処理を実行して、蒸発器14において二次電池12を冷却するのに必要な液相冷媒量が不足していると判定したときには、貯液部50内の液相冷媒を気相冷媒に相変化させて再循環させる。
具体的には、電子制御装置40は、ステップS200において、貯液部50内の液相冷媒を気相冷媒に相変化させて再循環させることが必要であるか否かを判定する。
詳細には、電子制御装置40は、温度センサ41aの検出温度から温度センサ41bの検出温度を引いた差分が閾値以上であるか否かを判定する。
ここで、温度センサ41aは、蒸発器14のうち冷媒流れ下流側の冷媒温度を検出する。温度センサ41bは、蒸発器14のうち冷媒流れ上流側の冷媒温度を検出する。このため、上記差分は、蒸発器14のうち冷媒流れ下流側の冷媒温度と、蒸発器14のうち冷媒流れ上流側の冷媒温度との差分を示すことになる。
ここで、差分が閾値以上であるときには、蒸発器14において二次電池12を冷却するのに必要な液相冷媒量が不足していると判定する。つまり、貯液部50内の液相冷媒を気相冷媒に相変化させて再循環させることが必要であるとして、ステップS200においてYESと判定する。
これに伴い、ステップS211において、流量調整部として、流量調整弁30を制御して連通流路断面積を大きくする。このため、貯液部50内の液相冷媒が流量調整弁30、下側連通配管24d、液冷媒配管18を通して蒸発器14に流れる。
以上により、再循環させることが必要であるときには、貯液部50内の液相冷媒を流量調整弁30を通して蒸発器14に戻すことにより、冷媒をサーモサイフォン回路26に再循環させることができる。
なお、差分が閾値未満であるときには、蒸発器14で二次電池12を冷却するのに必要な冷媒が充足していると判定する。つまり、貯液部50内の液相冷媒を気相冷媒に相変化させて再循環させることが不必要であるとして、ステップS200においてNOと判定する。この場合、ステップS211(流路断面積増加処理)をスキップして、ステップS200に戻る。
(第19実施形態)
上記第18実施形態では、蒸発器14の上部14Aの温度と下部14Bの温度の差分に応じて流量調整弁30を制御した例について説明した。しかし、これに代えて、蒸発器14の過熱度に応じて流量調整弁30を制御する本第19実施形態について図30、図31等を用いて説明する。
本実施形態の電子制御装置40は、蒸発器14において二次電池12を冷却するのに必要である液相冷媒量が不足している場合には、貯液部50内の液相冷媒を流量調整弁30を制御して再循環させる冷媒再循環処理を実行する。
電子制御装置40は、冷媒再循環処理の実行に伴って、温度センサ41aの検出値および圧力センサ41cの検出値に基づいて流量調整弁30を制御する(図30参照)。
圧力センサ41cは、蒸発器14内の冷媒圧力を検出する。蒸発器14の上部14Aとは、熱交換コア14fのうち天地方向上側領域やタンク14eによって構成されている。
まず、電子制御装置40は、図31のフローチャートにしたがって、冷媒加熱処理を実行する。電子制御装置40は、二次電池12と蒸発器14との間で熱交換されているときに、冷媒加熱処理を繰り返し実行する。
本実施形態の電子制御装置40は、ステップS200Aにおいて、蒸発器14において二次電池12を冷却する際に必要となる液相冷媒量が不足しているか否かを判定する。すなわち、貯液部50内の液相冷媒を気相冷媒に相変化させて再循環させることが必要であるか否かを判定する。
詳細には、蒸発器14内の冷媒圧力と蒸発器14内の冷媒の飽和温度とは1対1で特定される関係にある。電子制御装置40のメモリには、蒸発器14内の冷媒圧力と蒸発器14内の冷媒の飽和温度との関係を示す飽和温度情報が予め記憶されている。
電子制御装置40は、飽和温度情報と圧力センサ41cの検出圧力とに基づいて蒸発器14内の冷媒の飽和温度を算出する。
電子制御装置40は、温度センサ41aの検出温度から冷媒の飽和温度を引いて蒸発器14の上部14Aの過熱度を求め、この過熱度が閾値以上であるか否かを判定する。温度センサ41aは、蒸発器14のうち上部(すなわち、冷媒流れ下流側)の冷媒温度を検出する。
ここで、過熱度が閾値以上であるときには、蒸発器14において二次電池12を冷却するのに必要な液相冷媒量が不足していると判定する。
つまり、貯液部50内の液相冷媒を気相冷媒に相変化させて再循環させることが必要であるとして、ステップS200AにおいてYESと判定する。
これに伴い、ステップS211において、流量調整弁30を制御して連通流路断面積を大きくする。このため、貯液部50内の液相冷媒が流量調整弁30、下側連通配管24d、液冷媒配管18を通して蒸発器14に流れる。
以上により、再循環させることが必要であるときには、貯液部50内の液相冷媒を流量調整弁30を通して蒸発器14に戻すことにより、冷媒をサーモサイフォン回路26に再循環させることができる。
なお、差分が閾値未満であるときには、蒸発器14で二次電池12を冷却するのに必要な冷媒が充足していると判定する。つまり、貯液部50内の液相冷媒を気相冷媒に相変化させて再循環させることが不必要であるとして、ステップS200においてNOと判定する。この場合、ステップS211(流路断面積増加処理)をスキップして、ステップS200に戻る。
(第20実施形態)
上記第17実施形態では、温度センサ21a、21bの温度差に応じて加熱部60を制御して貯液部50内の液相冷媒を再循環させる例について説明した。しかし、これに代えて、蒸発器14の上部14Aの過熱度に応じて加熱部60を制御して貯液部50内の液相冷媒を再循環させる本第20実施形態について図32等を参照して説明する。
本実施形態の冷却装置10は、図32に示すように、図27の冷却装置10において、加熱部60を追加した構成になっている。
本実施形態の電子制御装置40は、蒸発器14において二次電池12を冷却するのに必要である液相冷媒量が不足している場合には、貯液部50内の液相冷媒を流量調整弁30を制御して再循環させる冷媒再循環処理を実行する。
電子制御装置40は、冷媒再循環処理の実行に伴って、温度センサ41aの検出値および圧力センサ41cの検出値に基づいて流量調整弁30を制御する(図33参照)。
圧力センサ41cは、蒸発器14内の冷媒圧力を検出する。温度センサ41aは、蒸発器14内の上部14Aの冷媒温度を検出する。蒸発器14の上部14Aとは、熱交換コア14fのうち天地方向上側領域やタンク14eによって構成されている。
すなわち、温度センサ41aは、蒸発器14の熱交換コア14fよりも冷媒流れ下流側の冷媒温度、或いは、熱交換コア14fのうち天地方向上側領域の冷媒温度を検出することになる。
まず、電子制御装置40は、図34のフローチャートにしたがって、冷媒加熱処理を実行する。電子制御装置40は、二次電池12と蒸発器14との間で熱交換されているときに、冷媒加熱処理を繰り返し実行する。
本実施形態の電子制御装置40は、ステップS200Aにおいて、貯液部50内の液相冷媒を気相冷媒に相変化させて再循環させることが必要であるか否かを判定する。
詳細には、電子制御装置40は、圧力センサ41cの検出圧力に基づいて蒸発器14内の冷媒の飽和温度を算出する。圧力センサ41cの検出圧力と蒸発器14内の冷媒の飽和温度とは1対1で特定される関係にある。
電子制御装置40は、温度センサ41aの検出温度から冷媒の飽和温度を引いて蒸発器14の上部14Aの過熱度を求め、この過熱度が閾値以上であるか否かを判定する。
ここで、過熱度が閾値以上であるときには、蒸発器14において二次電池12を冷却するのに必要な液相冷媒量が不足していると判定する。つまり、貯液部50内の液相冷媒を気相冷媒に相変化させて再循環させることが必要であるとして、ステップS200AにおいてYESと判定する。
これに伴い、ステップS210において、加熱部60をオンさせる。このため、加熱部60が発熱してこの発生した熱が貯液部50内の液相冷媒に伝わる。このため、貯液部50内の液相冷媒が気相冷媒に相変化してこの相変化した気相冷媒は、上側連通配管24cおよび液冷媒捕獲部22を通して上側ガス配管20bに流れる。
これに伴い、この上側ガス配管20bに流れる気相冷媒は、凝縮器16で冷却されて液相冷媒になる。このため、液相冷媒は、液冷媒配管18の液冷媒流通路を通して蒸発器14に流れる。
以上により、貯液部50内の液相冷媒を気相冷媒に相変化させて再循環させることが必要であるときには、貯液部50内の液相冷媒が気相冷媒に相変化させてサーモサイフォン回路26を再循環させることができる。
(第21実施形態)
上記第17実施形態では、冷媒が上下方向DR1上側から下側に移動する蒸発器14を用いた例について説明したが、これに代えて、冷媒が水平方向DR3に移動する蒸発器14を用いた本第21実施形態について図35を参照して説明する。
本実施形態では、蒸発器14のうち水平方向DR3の一方側(例えば、図中左側)に冷媒入口が設けられている。蒸発器14のうち水平方向DR3の他方側(例えば、図中右側)に冷媒出口が設けられている。
このことにより、蒸発器14内において水平方向DR3の一方側から他方側に冷媒が流れることになる。水平方向DR3は、車両進行方向および車幅方向が水平方向に平行である状態で車両に冷却装置10を搭載した状態で上下方向DR1に直交する方向を示すものである。
二次電池12は、冷却装置10の上面に配置されている。複数の電池セル121は、冷却装置10の上面に水平方向DR3に並べられている。これにより、蒸発器14の上面は、二次電池12を冷却する電池冷却面として機能する。
このように構成される本実施形態では、蒸発器14のうち水平方向DR3一方側14A(すなわち、出口側)の冷媒温度を温度センサ41aで検出する。温度センサ41aは、蒸発器14のうち冷媒流れ下流側の冷媒温度を検出する。
蒸発器14のうち水平方向DR3他方側(すなわち、入口側)14Bの冷媒温度を温度センサ41bで検出する。温度センサ41bは、蒸発器14のうち冷媒流れ上流側の冷媒温度を検出する。
本実施形態の蒸発器14は、図35中右側から左側に冷媒が流れるように構成されている。
電子制御装置40は、温度センサ41aの検出温度から温度センサ41bの検出温度を引いた差分が閾値以上であるか否かを判定する。すなわち、貯液部50内の液相冷媒を気相冷媒に相変化させて再循環させることが必要であるか否かを判定する。このことにより、蒸発器14において二次電池12を冷却する際に必要となる液相冷媒量が不足しているか否かを判定することになる。
(第22実施形態)
上記第17実施形態では、加熱部60によって貯液部50内の液相冷媒を加熱する例について説明したが、これに代えて、連通配管24内の液相冷媒を加熱部60によって加熱する本第22実施形態について図36を参照して説明する。
本実施形態の加熱部60は、貯液部50ではなく、連通配管24の外壁に配置されている。
本実施形態と上記第17実施形態とは、加熱部60の配置が相違するだけで、その他の構成は同一であるため、その他の構成の説明を省略する。
(第23実施形態)
上記第17実施形態では、下側ガス配管20aを流れる液相冷媒を液冷媒捕獲部22で捕獲して連通配管24に導く例について説明した。しかし、これに代えて、液冷媒捕獲部22が削除され、下側ガス配管20aを流れる液相冷媒が連通配管24に流れるようにした本第23実施形態について図37を参照して説明する。
本実施形態と上記第17実施形態とは、液冷媒捕獲部22の有無が相違するだけで、その他の構成は、同一であるため、その他の構成の説明を省略する。
(第24実施形態)
上記第1実施形態では、冷媒の流速を減速させるタンクを液冷媒捕獲部22として構成した例について説明した。しかし、これに代えて、ガス冷媒配管20内に液相冷媒を堰き止める堰部を液冷媒捕獲部22として構成した本第24実施形態について図38〜図41を参照して説明する。
本実施形態の冷却装置10は、図38、図39、および図40に示すように、複数の蒸発器14が設けられている。複数の蒸発器14の側面141a、141bと二次電池12との間には、電気絶縁シート122が配置されている。電気絶縁シート122は電気絶縁性を有し、かつ良好な熱伝導性を有するシート部材である。
本実施形態の複数の蒸発器14のタンク14eには、ガス冷媒分岐配管20cがそれぞれ接続されている。複数のガス冷媒分岐配管20cは、後述するように、各々を流れるガス冷媒を集合させるガス冷媒本配管20Aへ接続されている。
図38の具体例では、複数の蒸発器14として蒸発器14a、14bが用いられている。蒸発器14a、14bは、それぞれ、所定方向(図38中左右方向)に間隔を開けて並べられている。
図38中左側の蒸発器14aがガス冷媒分岐配管20cおよびガス冷媒本配管20Bを通してガス冷媒本配管20Aに接続されている。図38中右側の蒸発器14bがガス冷媒分岐配管20cを通してガス冷媒本配管20Aに接続されている。
この場合、2つのガス冷媒分岐配管20c、ガス冷媒本配管20B、およびガス冷媒本配管20Aがガス冷媒配管20を構成している。
蒸発器14aからのガス冷媒は、ガス冷媒分岐配管20cおよびガス冷媒本配管20Bを通してガス冷媒本配管20Aに流れる。蒸発器14bからのガス冷媒は、ガス冷媒分岐配管20cを通してガス冷媒本配管20Aに流れる。
ガス冷媒本配管20Aは、蒸発器14aからガス冷媒分岐配管20cおよびガス冷媒本配管20Bを通して流れるガス冷媒と蒸発器14bからのガス冷媒分岐配管20cを通して流れるガス冷媒とを凝縮器16の入口6aに導く冷媒流路を構成する。
ここで、ガス冷媒本配管20A、20Bは、上記所定方向に並べられている。ガス冷媒本配管20A、20Bは、上記所定方向に延びるように形成されている。蒸発器14a、14bに接続される2本のガス冷媒分岐配管20cは、上記所定方向に交差する方向(例えば、直交する方向)に延びるように形成されている。2本のガス冷媒分岐配管20cは、平行になるように配置されている。
複数の蒸発器14のタンク14dには、液冷媒分岐配管18aがそれぞれ接続されている。複数の液冷媒分岐配管18aは、液冷媒本配管18Aが接続される。
本実施形態では、複数の液冷媒分岐配管18aは、液冷媒本配管18Aが液冷媒配管18を構成する。
複数の液冷媒分岐配管18aは、それぞれ、液冷媒本配管18Aから流れる液相冷媒等を複数の蒸発器14のタンク14dに導く。液冷媒本配管18Aは、凝縮器16の出口16bからの気相冷媒を複数のガス冷媒分岐配管20cに導く冷媒流路を構成する。
このように構成される本実施形態では、複数のガス冷媒分岐配管20cの内部には、図41に示すように、堰部が液冷媒捕獲部22として設けられている。
液冷媒捕獲部22は、ガス冷媒分岐配管20c内において、下部から上側に突起するように形成されている。ガス冷媒分岐配管20cの内部において、液冷媒捕獲部22の上側には、図41中の矢印Raの如く、気相冷媒を流通させる気相冷媒流路22fが構成されている。
このことにより、液冷媒捕獲部22は、複数の蒸発器14から流れるガス冷媒が合流するガス冷媒本配管20Aに対して、冷媒流れ方向上流側に配置されていることになる。
ここで、複数のガス冷媒分岐配管20cのうち1つのガス冷媒分岐配管20cに流れる冷媒量は、ガス冷媒本配管20Aに流れる冷媒量よりも少ない。
ここで、冷媒の圧力損失は一般的に冷媒流速の1乗以上に比例することから、本実施形態において液冷媒捕獲部22によって生じる冷媒流れの圧力損失は、液冷媒捕獲部22をガス冷媒本配管20Aに配置する場合に生じる冷媒流れの圧力損失よりも小さい。したがって、サーモサイフォン回路26において冷媒を良好に循環させることができる。
(第25実施形態)
上記第24実施形態では、ガス冷媒分岐配管20c内の下側に液冷媒捕獲部22としての堰部を構成した例について説明した。しかし、これに代えて、ガス冷媒分岐配管20c内において環状に形成されている堰部を液冷媒捕獲部22として構成した本第25実施形態について図43、図44を参照して説明する。
本実施形態のガス冷媒分岐配管20cでは、液冷媒捕獲部22の径方向中央側には、気相冷媒流路22fが構成されている。
(第26実施形態)
上記第24、25実施形態では、ガス冷媒分岐配管20cに液冷媒捕獲部22としての堰部を構成した例について説明した。しかし、これに代えて、ガス冷媒分岐配管20cに液冷媒捕獲部22としての絞り部を構成した例について図45、図46を参照して説明する。
本実施形態の液冷媒捕獲部22は、ガス冷媒分岐配管20cの一部に構成されている。
液冷媒捕獲部22は、ガス冷媒分岐配管20cのうち冷媒流れ方向上流側120よりも冷媒流路の断面積が小さい絞り部を構成する。液冷媒捕獲部22は、ガス冷媒分岐配管20cのうち冷媒流れ方向下流側123よりも冷媒流路の断面積が小さくなっている。
このように構成される本実施形態では、ガス冷媒分岐配管20cのうち液冷媒捕獲部22に対して冷媒流れ方向上流側120内に液相冷媒を堰き止めることができる。液冷媒捕獲部22が気相冷媒を矢印Raの如く流通させる冷媒流路を構成する。
本実施形態では、液冷媒捕獲部22は、ガス冷媒分岐配管20cのうち冷媒流れ方向上流側120よりも冷媒流路の断面積が小さく、かつ冷媒流れ方向下流側123よりも冷媒流路の断面積が小さくなっている。
このため、液冷媒捕獲部22の外径寸法は、ガス冷媒分岐配管20cのうち冷媒流れ方向上流側120の外径寸法よりも小さく、かつ冷媒流れ方向下流側123の外径寸法よりも小さい。
これにより、液冷媒捕獲部22は、ガス冷媒分岐配管20cのうち冷媒流れ方向上流側120や冷媒流れ方向下流側123よりも柔らく、変形させ易い。
以下、説明の便宜上、蒸発器14aのタンク14eのうちガス冷媒分岐配管20cに接続される接続部を接続部141eとし、蒸発器14bのタンク14eのうちガス冷媒分岐配管20cに接続される接続部を接続部142eとする。ガス冷媒本配管20Bのうち
ガス冷媒分岐配管20cに接続される接続部を接続部201eとし、ガス冷媒本配管20Aのうちガス冷媒分岐配管20cに接続される接続部を接続部202eとする。
蒸発器14a、14bの間の距離(すなわち、接続部141e、142eの間の長さ)を距離L1とし、2本ガス分岐配管20cの距離(すなわち201eと202eの間の長さ)を距離L2とする。
ここで、ガス冷媒分岐配管20c毎の液冷媒捕獲部22を任意な形状に変形させることにより、蒸発器14a、14bの間の距離L1と、2本のガス分岐配管20cの距離L2との間の差分(=L1−L2)を公差(すなわち、許容範囲)内の値に設定することができる。
(第27実施形態)
本第25実施形態では、ガス冷媒分岐配管20cに液冷媒捕獲部22としての堰部を構成した例について説明した。しかし、これに代えて、本第27実施形態では、図47に示すように、ガス冷媒分岐配管20cにおいて冷媒の流れの向きを上下方向DR1上側に曲げる曲げ部を液冷媒捕獲部22として構成する。
液冷媒捕獲部22は、蒸発器14から凝縮器16へ向かって流れる冷媒流れの向きRaを上下方向DR1上側に曲げるように構成されている。液冷媒捕獲部22は、気相冷媒流れの向きRaを上下方向DR1上側に曲げるように構成されていれば、図48、図49、図50の如く、どのような形状であってもよい。
このように構成される本実施形態では、蒸発器14のタンク14eから気液混合流のうち液相冷媒を液冷媒捕獲部22によって堰き止めて、気液混合流のうち気相冷媒を液冷媒本配管18Aを通して凝縮器16へ導くことができる。
(第28実施形態)
本第25実施形態では、ガス冷媒分岐配管20cに液冷媒捕獲部22を構成した例について説明した。しかし、これに代えて、本第28実施形態では、図51に示すように、タンク14e内に複数の液冷媒捕獲部22を設けた例について説明する。
本実施形態の蒸発器14では、複数のチューブ141によって熱交換コア14fが構成されている。複数のチューブ141は、それぞれ所定方向に並べられている。複数のチューブ141は、それぞれ、タンク14dからの液相冷媒をタンク14eに流す冷媒通路を構成する。複数のチューブ141は、冷媒と二次電池12との間の熱交換によって二次電池12を冷却する。
複数のチューブ141のうち隣り合う2つのチューブ141の間に複数の液冷媒捕獲部22が1つずつ配置されている。複数の液冷媒捕獲部22は、タンク14eの床部から上側に突起して液相冷媒を堰き止める堰部を構成する。複数の液冷媒捕獲部22は、タンク14e内の冷媒流れ方向に並べられている。なお、図51中矢印Rbは、タンク14d内の冷媒流れ方向を示している。
(第29実施形態)
本第25実施形態では、ガス冷媒分岐配管20cに液冷媒捕獲部22としての堰部を構成した例について説明した。これに代えて、本第29実施形態では、図52に示すように、ガス冷媒分岐配管20cの一部において、冷媒流路の断面積が入口22a、出口22bよりも大きくなるタンク状に形成されている液冷媒捕獲部22を設けてもよい。
この場合、液冷媒捕獲部22内に入口22aから流れる液相冷媒を貯めつつ、入口22aから流れる気相冷媒を出口22bから凝縮器16の入口16aに導くことができる。
(第30実施形態)
上記第1実施形態では、蒸発器14の出口14cから吹き上がる気液混合流を減速させて気相冷媒と液相冷媒とを分離する液冷媒捕獲部22を用いた例について説明した。しかし、これに代えて、気液混合流を渦状に流して気相冷媒と液相冷媒とを遠心力によって分離させる液冷媒捕獲部22を用いる本第30実施形態について図53、図54について説明する。
本実施形態の液冷媒捕獲部22は、円筒状に形成される本体部200、気相冷媒出口筒部210、液相冷媒出口筒部220、および入口筒部230を備える。
気相冷媒出口筒部210は、その軸線が本体部200の軸線に一致するように形成されている。気相冷媒出口筒部210の径方向寸法が本体部200の径方向寸法よりも小さくなっている。
気相冷媒出口筒部210のうち上側開口部は、気相冷媒出口22bを構成している。気相冷媒出口22bは、本体部200に対して上側に位置する。気相冷媒出口筒部210のうち下側開口部は、気相冷媒入口211を構成している。気相冷媒入口211は、本体部200の内部に配置されている。
入口筒部230は、本体部200の側壁から突出するように形成されている。入口筒部230のうち軸線方向一方側開口部は入口22aを形成している。入口筒部230のうち軸線方向他方側開口部は本体部200内に連通されている。
液相冷媒出口筒部220は、その軸線が本体部200の軸線に一致するように形成されている。液相冷媒出口筒部220の径方向寸法が本体部200の径方向寸法よりも小さくなっている。
液相冷媒出口筒部220のうち軸線方向上側開口部は本体部200に連通されている。
液相冷媒出口筒部220のうち軸線方向下側開口部は液冷媒出口22cを形成している。
このように構成される本実施形態では、蒸発器14からの気液混合流が入口22aおよび入口筒部230を通して本体部200内に流入される。これに伴い、本体部200内において気液混合流が液相冷媒出口筒部220の周囲を軸線を中心として回転しながら重力によって低下する。この際に、気液混合流に遠心力が作用して、液相冷媒と気相冷媒とが分離される。気相冷媒は、気相冷媒入口211から液相冷媒出口筒部220に流れる。このため、気相冷媒出口22bを通して凝縮器16の入口16aに流れる。
一方、液相冷媒は、液相冷媒出口筒部220および液冷媒出口22cを通して連通配管24に流れる。
このように本実施形態では、液冷媒捕獲部22では、蒸発器14からの気液混合流を渦状に流通させることにより、遠心力によって液相冷媒と気相冷媒とを分離することができる。
(他の実施形態)
(1)上記第1実施形態では、複数の電池セル121の電極121a、121bが水平方向に配置した二次電池12を用いた例について説明したが、これに代えて、(a)(b)のように二次電池12を用いてもよい。
(a)図55、図56に示すように、複数の電池セル121の電極121a、121bが上側に配置した二次電池12を用いてもよい。
(b)図57、図58に示すように、複数の電池セル121を蒸発器14の上面に配置する。蒸発器14の入口14b、出口14cが水平方向の一方側に配置されている。
(2)上記第1〜30実施形態では、被冷却対象として二次電池12を用いた例について説明したが、これに代えて、二次電池12以外のものを被冷却対象としてもよい。
(3)上記第1〜30実施形態では、本発明の冷却装置を自動車に適用した例について説明したが、これに代えて、本発明の冷却装置を自動車以外の列車、飛行機、船等の移動体に適用してもよい。或いは、本発明の冷却装置を設置型の機器に適用してもよい。
(4)上記第19、第20実施形態では、蒸発器14の上部14Aの冷媒の過熱度が閾値よりも大きいか否かを判定することにより、蒸発器14において二次電池12を冷却する際に必要となる液相冷媒量が不足しているか否かを判定した例について説明した。
しかし、これに代えて、ガス冷媒配管20内の下側ガス配管20a内の冷媒の過熱度が閾値よりも大きいか否かを判定することにより、蒸発器14において二次電池12を冷却する際に必要となる液相冷媒量が不足しているか否かを判定してもよい。
(5)上記第24、第25実施形態では、複数のガス冷媒分岐配管20cのそれぞれに液冷媒捕獲部22を構成した例について説明した。しかし、これに代えて、複数のガス冷媒分岐配管20cのうち少なくとも1つ以上のガス冷媒分岐配管20cに液冷媒捕獲部22を構成してもよい。
同様に、上記第26、第27実施形態においても、複数のガス冷媒分岐配管20cのうち少なくとも1つ以上のガス冷媒分岐配管20cに液冷媒捕獲部22を構成してもよい。
(6)上記第24〜第27実施形態では、ガス冷媒分岐配管20cに液冷媒捕獲部22を構成した例について説明したが、これに代えて、液冷媒捕獲部22を、複数の蒸発器14から出た冷媒が合流した後であるガス冷媒本配管20Aに構成してもよい。或いは、液冷媒捕獲部22を、ガス冷媒本配管20Bに構成してもよい。
(7)上記第15実施形態では、貯液部50および開閉弁30Aを用いて冷却装置10を構成した例について説明したが、これに代えて、貯液部50および開閉弁30Aのうち貯液部50のみを用いて冷却装置10を構成してもよい。
すなわち、開閉弁30Aを用いなく、貯液部50を用いて冷却装置10を構成してもよい。
(8)上記第16実施形態では、逆止弁30Bおよび貯液部50を用いて冷却装置10を構成した例について説明したが、これに代えて、逆止弁30Bおよび貯液部50のうち貯液部50のみを用いて冷却装置10を構成してもよい。
すなわち、逆止弁30Bを用いなく、貯液部50を用いて冷却装置10を構成してもよい。
(9)上記第18実施形態では、流量調整弁30および貯液部50を用いて冷却装置10を構成した例について説明したが、これに代えて、流量調整弁30および貯液部50のうち貯液部50のみを用いて冷却装置10を構成してもよい。
すなわち、流量調整弁30を用いなく、貯液部50を用いて冷却装置10を構成してもよい。
(10)上記第28実施形態においては、各チューブ141の間に液冷媒捕獲部22が設置されているが、全てのチューブ141間に設置しなくてもよい。例えば、チューブ141に対して1つおきに液冷媒捕獲部22を設置してもよい。
(11)なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
(まとめ)
上記第1〜第30実施形態、および他の実施形態の一部または全部に記載された第1の観点によれば、冷媒が循環し、冷媒の液相と気相との相変化によって被冷却対象を冷却する冷却装置である。
冷却装置は、被冷却対象から液相冷媒へ熱を移動させることにより液相冷媒を沸騰させる少なくとも1つ以上の蒸発部と気相冷媒から熱を放出させることにより気相冷媒を凝縮させる凝縮部とを備える。
冷却装置は、凝縮部から少なくとも1つ以上の蒸発部へ液相冷媒を流通させる液冷媒配管と、少なくとも1つ以上の蒸発部から凝縮部へ気相冷媒を流通させるガス冷媒配管とを備える。
冷却装置は、ガス冷媒配管又は少なくとも1つ以上の蒸発部に接続される第1接続部と、液冷媒配管又は少なくとも1つ以上の蒸発部に接続され、かつ第1接続部に対して重力方向下側に位置する第2接続部とを有する連通配管とを備える。
液相冷媒の沸騰に伴って少なくとも1つ以上の蒸発部内の液相冷媒から発生する気泡が液相冷媒を凝縮部側に移動させる際に、この移動した液相冷媒が凝縮部に到達する前に液相冷媒を連通配管を通して第1接続部から第2接続部に移動させる。
第2の観点によれば、連通配管を流れる液相冷媒の流れを調整する調整部を備える。
第3の観点によれば、調整部は、第1接続部および第2接続部の間に形成される冷媒流路の断面積を調整して連通配管を流れる液相冷媒の冷媒流量を調整する弁である。
第4の観点によれば、調整部は、第2接続部側から第1接続部側に液相冷媒が連通配管を通して逆流することを抑制し、かつ第1接続部側から第2接続部側に液相冷媒が連通配管を通して流れることを許容する逆止弁である。
第5の観点によれば、冷媒が循環し、冷媒の液相と気相との相変化によって被冷却対象を冷却する冷却装置である。
冷却装置は、被冷却対象から液相冷媒へ熱を移動させることにより液相冷媒を沸騰させる少なくとも1つ以上の蒸発部と、気相冷媒から熱を放出させることにより気相冷媒を凝縮させる凝縮部とを備える。
冷却装置は、凝縮部から少なくとも1つ以上の蒸発部へ液相冷媒を流通させる液冷媒配管と、少なくとも1つ以上の蒸発部から凝縮部へ気相冷媒を流通させるガス冷媒配管とを備える。
冷却装置は、液相冷媒の沸騰に伴って少なくとも1つ以上の蒸発部内の液相冷媒から発生する気泡が液相冷媒を凝縮部側に移動させる際に、この移動した液相冷媒が凝縮部に到達する前に液相冷媒を捕獲する液冷媒捕獲部を備える。
第6の観点によれば、液冷媒捕獲部に接続される第1接続部と、液冷媒配管又は少なくとも1つ以上の蒸発部に接続され、かつ第1接続部に対して重力方向下側に位置する第2接続部とを有する連通配管を備える。
連通配管は、液冷媒捕獲部で捕獲される液相冷媒を少なくとも1つ以上の蒸発部又は液冷媒配管に戻す。
第7の観点によれば、連通配管を流れる液相冷媒の流れを調整する調整部を備える。
第8の観点によれば、調整部は、少なくとも1つ以上の蒸発部又は液冷媒配管と液冷媒捕獲部との間に形成される冷媒流路の断面積を調整して連通配管を流れる液相冷媒の冷媒流量を調整する弁である。
第9の観点によれば、液冷媒配管内の液相冷媒の液面が高くなるほど冷媒流路の断面積を小さくするように弁を制御し、液面が低くなるほど冷媒流路の断面積を大きくするように弁を制御する流量制御部を備える。
第10の観点によれば、冷却装置は、液冷媒配管内の液相冷媒の液面が閾値よりも高いか否かを判定する判定部と、液面が閾値よりも高いと判定部が判定したときには、液面が閾値よりも低いと判定部が判定したときに比べて、冷媒流路の断面積を小さくするように弁を制御する流量制御部とを備える。
第11の観点によれば、冷却装置は、蒸発部内において被冷却対象を冷却するのに必要である液相冷媒の冷媒量が不足しているか否かを判定する不足判定部を備える。冷却装置は、蒸発部内における冷媒量が不足していると不足判定部が判定したときには、蒸発部内における冷媒量が不足していないと不足判定部が判定したときに比べて冷媒流路の断面積を大きくするように弁を制御する流量制御部を備える。
第12の観点によれば、調整部に対して第1接続部側に設けられて、連通配管内の液相冷媒を加熱して気相冷媒に相変化させる加熱部を備える。
第13の観点によれば、冷却装置は、蒸発部内において被冷却対象を冷却するのに必要である液相冷媒の冷媒量が不足しているか否かを判定する不足判定部を備える。
冷却装置は、蒸発部内における冷媒量が不足していると不足判定部が判定したときには、加熱部を制御して連通配管内の液相冷媒を加熱する加熱制御部を備える。
第14の観点によれば、少なくとも1つ以上の蒸発部は、液冷媒配管からの液相冷媒と被冷却対象との間で熱交換する熱交換コアと、熱交換コアで発生した気相冷媒をガス冷媒配管に導くガス流路部とを備える。
不足判定部は、ガス流路部内の冷媒またはガス冷媒配管内の冷媒の過熱度が閾値以上であるか否かを判定する。
第15の観点によれば、不足判定部は、少なくとも1つ以上の蒸発部において冷媒流れ上流側の冷媒温度と冷媒流れ下流側の冷媒温度との差分が閾値以上であるか否かを判定する。
第16の観点によれば、連通配管は、液相冷媒を一時的に貯める貯液部を備える。
第17の観点によれば、貯液部は、調整部に対して第1接続部側に配置されている。
第18の観点によれば、液冷媒捕獲部は、液相冷媒を捕獲するために液相冷媒を堰き止める堰部である。
第19の観点によれば、ガス冷媒配管は、凝縮部へ流れる気相冷媒の流れの向きを重力方向上側に曲げる曲げ部を備え、曲げ部は、液冷媒捕獲部を構成する。
第20の観点によれば、液冷媒捕獲部は、液相冷媒および気相冷媒の流速を減速させて液相冷媒と気相冷媒とを分離する気液分離器を構成する。
第21の観点によれば、液冷媒捕獲部は、遠心力によって液相冷媒および気相冷媒を分離する遠心式気液分離器を構成する。
第22の観点によれば、調整部は、第2接続部側から第1接続部側に液相冷媒が連通配管を通して逆流することを抑制し、かつ第1接続部側から第2接続部側に液相冷媒が連通配管を通して流れることを許容する逆止弁である。
第23の観点によれば、少なくとも1つ以上の蒸発部は、複数の蒸発部である。ガス冷媒配管は、複数の蒸発部から凝縮部へ気相冷媒を流通させる複数の分岐配管と、複数の分岐配管からの気相冷媒を合流させて凝縮部へ気相冷媒を流通させるガス冷媒本配管とを備える。液冷媒捕獲部は、複数の分岐配管のうち少なくとも1つの分岐配管に配置されている。
第24の観点によれば、冷媒が循環し、冷媒の液相と気相との相変化によって被冷却対象を冷却する冷却装置である。
冷却装置は、被冷却対象から液相冷媒へ熱を移動させて気相冷媒を発生させる蒸発部と、気相冷媒から熱を放出させることにより気相冷媒を凝縮して液相冷媒を発生させる凝縮部とを備える。
冷却装置は、蒸発部から凝縮部へ気相冷媒を流通させるガス冷媒配管と、凝縮部から蒸発部へ液相冷媒を流通させる液冷媒配管と、蒸発部内において被冷却対象を冷却するのに必要である液相冷媒の冷媒量が不足しているか否かを判定する不足判定部とを備える。
蒸発部は、被冷却対象から液冷媒配管からの液相冷媒へ熱を移動させる熱交換コアと、
熱交換コアで発生した気相冷媒をガス冷媒配管に導くガス流路部とを備える。
不足判定部は、ガス流路部内の冷媒またはガス冷媒配管内の冷媒の過熱度が閾値以上であるか否かを判定することにより、液相冷媒の冷媒量が不足しているか否かを判定する。
第25の観点によれば、冷媒が循環し、冷媒の液相と気相との相変化によって被冷却対象を冷却する冷却装置である。
冷却装置は、被冷却対象から液相冷媒へ熱を移動させて気相冷媒を発生させる蒸発部と、気相冷媒から熱を放出させることにより気相冷媒を凝縮して液相冷媒を発生させる凝縮部とを備える。
冷却装置は、蒸発部から凝縮部へ気相冷媒を流通させるガス冷媒配管と、凝縮部から蒸発部へ液相冷媒を流通させる液冷媒配管を備える。
冷却装置は、蒸発部のうち冷媒流れ上流側の冷媒温度と冷媒流れ下流側の冷媒温度との差分が閾値以上であるか否かを判定する不足判定部を備える。このことにより、蒸発部内において被冷却対象を冷却するのに必要である液相冷媒の冷媒量が不足しているか否かを判定する。
第26の観点によれば、被冷却対象は、車載用電池である。