JP2019189880A - 潤滑油基油及び冷凍機油 - Google Patents

潤滑油基油及び冷凍機油 Download PDF

Info

Publication number
JP2019189880A
JP2019189880A JP2019145649A JP2019145649A JP2019189880A JP 2019189880 A JP2019189880 A JP 2019189880A JP 2019145649 A JP2019145649 A JP 2019145649A JP 2019145649 A JP2019145649 A JP 2019145649A JP 2019189880 A JP2019189880 A JP 2019189880A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ester
mass
oil
acid
alkyl group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019145649A
Other languages
English (en)
Inventor
瀧川 克也
Katsuya Takigawa
克也 瀧川
聡一郎 今野
Soichiro Konno
聡一郎 今野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Eneos Corp
Original Assignee
JX Nippon Oil and Energy Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JX Nippon Oil and Energy Corp filed Critical JX Nippon Oil and Energy Corp
Publication of JP2019189880A publication Critical patent/JP2019189880A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C10PETROLEUM, GAS OR COKE INDUSTRIES; TECHNICAL GASES CONTAINING CARBON MONOXIDE; FUELS; LUBRICANTS; PEAT
    • C10MLUBRICATING COMPOSITIONS; USE OF CHEMICAL SUBSTANCES EITHER ALONE OR AS LUBRICATING INGREDIENTS IN A LUBRICATING COMPOSITION
    • C10M105/00Lubricating compositions characterised by the base-material being a non-macromolecular organic compound
    • C10M105/08Lubricating compositions characterised by the base-material being a non-macromolecular organic compound containing oxygen
    • C10M105/32Esters
    • C10M105/38Esters of polyhydroxy compounds

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Emergency Medicine (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Oil, Petroleum & Natural Gas (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Lubricants (AREA)

Abstract

【課題】十分な潤滑性を有し、更に、冷凍機油用の基油として用いられた場合には冷媒に対する相溶性と潤滑性とを両立することが可能な潤滑油基油を提供すること。【解決手段】式(1)で表されるエステルを含有し、【化1】[Aは多価アルコールから水酸基を除いた残基、Rは炭素数3〜7のアルキル基又は炭素数8の分岐アルキル基、nは2以上の整数を表す。]エステルは、Rが炭素数3〜7のアルキル基から選ばれる1種である第1のエステルと、Rが炭素数8の分岐アルキル基である第2のエステルと、Rが炭素数3〜7のアルキル基及び炭素数8の分岐アルキル基から選ばれる2種以上である第3のエステルと、を含み、第1、第2及び第3のエステルの合計量基準で、第1のエステルの含有量が0質量%を超え30質量%以下であり、第2のエステルの含有量が0質量%を超え30質量%以下である、潤滑油基油。【選択図】なし

Description

本発明は、潤滑油基油及び冷凍機油に関する。
一般的に、摺動部等の機械要素における潤滑性を確保するために潤滑油が用いられる。そして、潤滑油に潤滑性を付与するための主成分として、鉱油、合成油などの潤滑油基油が用いられる。
また、潤滑油には、その用途に応じて潤滑性以外の特性が要求されることがある。例えば、冷凍機用の潤滑油は冷媒の存在下で用いられるため、当該潤滑油には、冷媒存在下での潤滑性に加えて、冷媒に対する相溶性などが要求される。このような要求特性を満足する潤滑油基油として、特許文献1には、所定の条件を満たすカルボン酸とアルコールとのエステルを含有する潤滑油基油が開示されている。
国際公開00/68345号公報
本発明の目的は、十分な潤滑性を有し、更に、冷凍機油用の基油として用いられた場合には冷媒に対する相溶性と潤滑性とを両立することが可能な潤滑油基油を提供することにある。また、本発明の他の目的は、上記の潤滑油基油を含有する冷凍機油を提供することにある。
混合カルボン酸と多価アルコールとを用いて得られるエステルは、通常、構造(すなわち多価アルコールの複数の水酸基に結合するカルボン酸の種類及び割合)が異なる複数のエステルを含むエステル混合物である。本発明者らは、このようなエステル混合物について検討したところ、当該エステル混合物に含まれる各エステルの割合は、混合カルボン酸の種類及び割合が同じであっても、製造方法又は製造条件によって変化し得るものであり、また、当該割合の相違によってエステル混合物の潤滑油基油としての特性も変化し得るとの知見を得た。そして、本発明者らは、かかる知見に基づき更に検討を重ねた結果、特定の混合カルボン酸と多価アルコールとを用いて得られるエステル混合物において、当該エステル混合物に含まれる各エステルの含有割合が所定の条件を満たす場合に、優れた潤滑性を達成することができ、更には、冷凍機油用の基油として用いた場合には冷媒に対する相溶性と潤滑性とを両立できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表されるエステルを含有し、
Figure 2019189880

[式中、Aは多価アルコールから水酸基を除いた残基を表し、Rは炭素数3〜7のアルキル基又は炭素数8の分岐アルキル基を表し、nは2以上の整数を表す。]
該エステルは、同一分子中のRが炭素数3〜7のアルキル基からなる群より選ばれる1種である第1のエステルと、同一分子中のRが炭素数8の分岐アルキル基である第2のエステルと、同一分子中のRが炭素数3〜7のアルキル基及び炭素数8の分岐アルキル基からなる群より選ばれる2種以上である第3のエステルと、を含み、第1のエステルと第2のエステルと第3のエステルとの合計量を基準として、第1のエステルの含有量が0質量%を超え30質量%以下であり、第2のエステルの含有量が0質量%を超え30質量%以下である、潤滑油基油を提供する。
本発明はまた、上記の潤滑油基油を含有する冷凍機油を提供する。
本発明はまた、上記の冷凍機油と、冷媒とを含有する冷凍機用作動流体組成物を提供する。
本発明によれば、十分な潤滑性を有し、更に、冷凍機油用の基油として用いた場合には冷媒に対する相溶性と潤滑性とを両立することが可能な潤滑油基油、並びに該潤滑油基油を含有する冷凍機油が提供される。
本実施形態に係る潤滑油基油は、下記一般式(1)で表されるエステルを含有する。
Figure 2019189880

[式中、Aは多価アルコールから水酸基を除いた残基を表し、Rは炭素数3〜7のアルキル基又は炭素数8の分岐アルキル基を表し、nは2以上の整数を表す。]
該エステルは、同一分子中のRが炭素数3〜7のアルキル基からなる群より選ばれる1種である第1のエステルと、同一分子中のRが炭素数8の分岐アルキル基である第2のエステルと、同一分子中のRが炭素数3〜7のアルキル基及び炭素数8の分岐アルキル基からなる群より選ばれる2種以上である第3のエステルと、を含む。第1のエステルと第2のエステルと第3のエステルとの合計量を基準として、第1のエステルの含有量が0質量%を超え30質量%以下であり、第2のエステルの含有量が0質量%を超え30質量%以下である。
第1のエステルは、式(1)で表されるエステルの同一分子中のRが炭素数3〜7のアルキル基からなる群より選ばれる1種である化学構造を有している。換言すれば、第1のエステルは、多価アルコールと、炭素数4〜8の1価脂肪酸からなる群より選ばれる1種との完全エステルである。
第2のエステルは、式(1)で表されるエステルの同一分子中のRが炭素数8の分岐アルキル基である化学構造を有している。換言すれば、第2のエステルは、多価アルコールと、炭素数9の分岐状の1価脂肪酸との完全エステルである。
第3のエステルは、式(1)で表されるエステルの同一分子中のRが炭素数3〜7のアルキル基及び炭素数8の分岐アルキル基からなる群より選ばれる2種以上である化学構造を有している。換言すれば、第3のエステルは、多価アルコールと脂肪酸とから構成される完全エステルであって、該脂肪酸が炭素数4〜8の1価脂肪酸及び炭素数9の分岐状の1価脂肪酸からなる群より選ばれる2種以上の混合脂肪酸である完全エステルである。
第3のエステルは、潤滑性の向上及び冷媒との相溶性の向上の観点から、好ましくは、同一分子中のRが、炭素数3〜7のアルキル基から選ばれる1種以上と、炭素数8の分岐アルキル基から選ばれる1種以上とを含む化学構造を有している。換言すれば、第3のエステルを構成する混合脂肪酸は、炭素数4〜8の1価脂肪酸から選ばれる1種以上と、炭素数9の分岐状の1価脂肪酸から選ばれる1種以上との混合脂肪酸であることが好ましい。
多価アルコールとしては、例えば水酸基を2〜6個有する多価アルコールを用いることができる。この場合、式(1)中のnは、多価アルコールの水酸基の数に応じて2〜6の整数をとり得る。
2価アルコール(ジオール)としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオールなどが例示される。
3価以上のアルコールとしては、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ジ−(トリメチロールプロパン)、トリ−(トリメチロールプロパン)、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリ−(ペンタエリスリトール)、グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの2〜3量体)、1,3,5−ペンタントリオール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトールなどの多価アルコール、キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオースなどの糖類、及びこれらの部分エーテル化物などが例示される。
これらの中でも、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ジ−(トリメチロールプロパン)、トリ−(トリメチロールプロパン)、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、などのヒンダードアルコールが好ましく用いられる。
炭素数4〜8の1価脂肪酸としては、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸が挙げられる。これらの脂肪酸は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。分岐状の脂肪酸としては、例えば、2−メチルプロパン酸、2−メチルブタン酸、3−メチルブタン酸、2,2−ジメチルプロパン酸、2−メチルペンタン酸、3−メチルペンタン酸、4−メチルペンタン酸、2,2−ジメチルブタン酸、2,3−ジメチルブタン酸、3,3−ジメチルブタン酸、2−メチルヘキサン酸、3−メチルヘキサン酸、4−メチルヘキサン酸、5−メチルヘキサン酸、2,2−ジメチルペンタン酸、2,3−ジメチルペンタン酸、2,4−ジメチルペンタン酸、3,3−ジメチルペンタン酸、3,4−ジメチルペンタン酸、4,4−ジメチルペンタン酸、2−エチルペンタン酸、3−エチルペンタン酸、1,1,2−トリメチルブタン酸、1,2,2−トリメチルブタン酸、1−エチル−1メチルブタン酸、1−エチル−2−メチルブタン酸、2−エチルヘキサン酸、3−エチルヘキサン酸、3,5−ジメチルヘキサン酸、2,4−ジメチルヘキサン酸、3,4−ジメチルヘキサン酸、4,5−ジメチルヘキサン酸、2,2−ジメチルヘキサン酸、2−メチルヘプタン酸、3−メチルヘプタン酸、4−メチルヘプタン酸、5−メチルヘプタン酸、6−メチルヘプタン酸、2−プロピルペンタン酸が好ましく用いられる。
炭素数9の分岐状の1価脂肪酸としては、例えば2,2−ジメチルヘプタン酸、2−メチルオクタン酸、2−エチルヘプタン酸、3−メチルオクタン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、2−エチル−2,3,3−トリメチルブタン酸、2,2,4,4−テトラメチルペンタン酸、2,2,3,3−テトラメチルペンタン酸、2,2,3,4−テトラメチルペンタン酸、2,2−ジイソプロピルプロパン酸などが挙げられる。
第1のエステル、第2のエステル及び第3のエステルにおいて用いられる多価アルコールは、互いに同一であっても異なっていてもよい。換言すれば、式(1)中のAは、第1のエステル、第2のエステル及び第3のエステルにおいて、互いに同一であっても異なっていてもよい。
第1のエステル及び第3のエステルにおいて用いられる炭素数4〜8の1価脂肪酸は、互いに同一であっても異なっていてもよく、また、第2のエステル及び第3のエステルにおいて用いられる炭素数9の分岐状の1価脂肪酸は、互いに同一であっても異なっていてもよい。換言すれば、式(1)中のRで表される炭素数3〜7のアルキル基は、第1のエステル及び第3のエステルにおいて互いに同一であっても異なっていてもよく、また、式(1)中のRで表される炭素数8の分岐アルキル基は、第2のエステル及び第3のエステルにおいて互いに同一であっても異なっていてもよい。
第1のエステルの含有量は、冷媒に対する相溶性の観点から、第1のエステルと第2のエステルと第3のエステルとの合計量を基準として、好ましくは0質量%を超え、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上、特に好ましくは0.3質量%以上である。第1のエステルの含有量は、潤滑性の観点から、第1のエステルと第2のエステルと第3のエステルとの合計量を基準として、好ましくは30質量%以下、より好ましくは29質量%以下、更に好ましくは28質量%以下、特に好ましくは27質量%以下である。
第1のエステルの含有量は、冷媒に対する相溶性と潤滑性との両立の観点から、好ましくは、第1のエステルと第2のエステルと第3のエステルとの合計量を基準として、0質量%を超え30質量%以下、0質量%を超え29質量%以下、0質量%を超え28質量%以下、0質量%を超え27質量%以下、0.1〜30質量%、0.1〜29質量%、0.1〜28質量%、0.1〜27質量%、0.2〜30質量%、0.2〜29質量%、0.2〜28質量%、0.2〜27質量%、0.3〜30質量%、0.3〜29質量%、0.3〜28質量%、又は0.3〜27質量%である。
第2のエステルの含有量は、潤滑性の観点から、第1のエステルと第2のエステルと第3のエステルとの合計量を基準として、好ましくは0質量%を超え、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上、特に好ましくは0.3質量%以上である。第2のエステルの含有量は、冷媒に対する相溶性の観点から、第1のエステルと第2のエステルと第3のエステルとの合計量を基準として、好ましくは30質量%以下、より好ましくは29質量%以下、更に好ましくは28質量%以下、特に好ましくは27質量%以下である。
第2のエステルの含有量は、潤滑性と冷媒に対する相溶性との両立の観点から、好ましくは、第1のエステルと第2のエステルと第3のエステルとの合計量を基準として、0質量%を超え30質量%以下、0質量%を超え29質量%以下、0質量%を超え28質量%以下、0質量%を超え27質量%以下、0.1〜30質量%、0.1〜29質量%、0.1〜28質量%、0.1〜27質量%、0.2〜30質量%、0.2〜29質量%、0.2〜28質量%、0.2〜27質量%、0.3〜30質量%、0.3〜29質量%、0.3〜28質量%、又は0.3〜27質量%である。
第3のエステルの含有量は、上記の第1のエステル及び第2のエステルの含有量が所定の条件を満たすように適宜調整される。第3のエステルの含有量は、第1のエステルと第2のエステルと第3のエステルとの合計量を基準として、例えば40質量%以上100質量%未満であってよいが、低温での析出性の観点からは、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、最も好ましくは85質量%以上であり、また、耐摩耗性の観点からは、好ましくは97質量%以下、より好ましくは95質量%以下、更に好ましくは93質量%以下である。
第3のエステルの含有量は、低温での析出性と耐摩耗性との両立の観点から、好ましくは、第1のエステルと第2のエステルと第3のエステルとの合計量を基準として、60〜97質量%、60〜95質量%、60〜93質量%、70〜97質量%、70〜95質量%、70〜93質量%、80〜97質量%、80〜95質量%、80〜93質量%、85〜97質量%、85〜95質量%、又は85〜93質量%である。
式(1)で表されるエステルは、第1のエステル、第2のエステル及び第3のエステルのそれぞれ1種ずつを含んでいてもよく、第1のエステル、第2のエステル及び第3のエステルのいずれか又はすべてについて2種以上を含んでいてもよい。式(1)で表されるエステルが、第1のエステル、第2のエステル及び第3のエステルのいずれか又はすべてについて2種以上を含む場合、上記の第1のエステル、第2のエステル及び第3のエステルの含有量は、各エステルにおける2種以上のエステルの合計量を意味する。
式(1)で表されるエステルの製造方法としては、特に制限されず、公知の製造方法を用いればよい。式(1)で表されるエステルは、例えば、第1のエステル、第2のエステル及び第3のエステルをそれぞれ別個に合成した後、これらのエステルを混合することにより得られる。
第3のエステルは、例えば以下の合成手順により合成される。まず、多価アルコールと、炭素数4〜8の1価脂肪酸及び炭素数9の分岐状の1価脂肪酸からなる群より選ばれる1種(以下「脂肪酸A」という)との部分エステルを合成する。具体的には、例えば脂肪酸Aに対して過剰量の多価アルコールを反応させることにより、多価アルコールと脂肪酸Aとの部分エステルが得られる。続いて、上記の部分エステルと、炭素数4〜8の1価脂肪酸及び炭素数9の分岐状の1価脂肪酸からなる群より選ばれる1種(以下「脂肪酸B」という)とを反応させることにより、第3のエステルが得られる。ただし、脂肪酸Aと脂肪酸Bとは互いに異なる脂肪酸である。
本実施形態に係る潤滑油基油は、式(1)で表されるエステルに加えて、他の基油を含有していてもよい。他の基油としては、鉱油、オレフィン重合体、ナフタレン化合物、アルキルベンゼン等の炭化水素油、式(1)で表されるエステル以外のエステル、ポリグリコール、ポリビニルエーテル、ケトン、ポリフェニルエーテル、シリコーン、ポリシロキサン、パーフルオロエーテルなどの酸素を含有する合成油が例示される。
式(1)で表されるエステルの含有量は、潤滑油基油全量基準で、例えば10質量%以上、50質量%以上、又は80質量%以上とすることができる。
本実施形態に係る潤滑油基油の用途としては、例えば、ガソリンエンジン油やディーゼルエンジン油などのエンジン油;自動車用ギヤ油(自動変速機油、手動変速機油、デファレンシャル油)や工業用ギヤ油などのギヤ油;冷凍機油;タービン油;油圧作動油;空気圧縮機油;切削油、研削油、塑性加工油(圧延油、プレス油、鍛造油、絞り加工油、引き抜き油、打ち抜き油など)、熱処理油、放電加工油などの金属加工油;工作機械油;滑り案内面油;軸受油;錆止め油;熱媒体油;電気絶縁油;グリース基油などが挙げられる。本実施形態に係る潤滑油基油は、冷凍機油の基油として特に好適に用いられる。
本実施形態に係る冷凍機油は、本実施形態に係る潤滑油基油を含有する。潤滑油基油の含有量は、冷凍機油全量基準で、例えば50質量%以上、70質量%以上、又は90質量%以上とすることができる。
冷凍機油は、潤滑油基油に加えて、添加剤を更に含有していてもよい。添加剤としては、酸捕捉剤、酸化防止剤、極圧剤、油性剤、消泡剤、金属不活性化剤、摩耗防止剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、清浄分散剤、摩擦調整剤、防錆剤などが挙げられる。添加剤の含有量は、冷凍機油全量基準で、5質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましい。
冷凍機油は、上記の添加剤の中でも、熱・化学的安定性をより向上させる観点から、酸捕捉剤を更に含有することが好ましい。酸捕捉剤としては、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物が例示される。
エポキシ化合物としては、例えばグリシジルエーテル型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、オキシラン化合物、アルキルオキシラン化合物、脂環式エポキシ化合物、エポキシ化脂肪酸モノエステル、エポキシ化植物油が挙げられる。これらのエポキシ化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
グリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、例えば下記一般式(2)で表されるアリールグリシジルエーテル型エポキシ化合物又はアルキルグリシジルエーテル型エポキシ化合物を用いることができる。
Figure 2019189880

[式(2)中、Rはアリール基又は炭素数5〜18のアルキル基を示す。]
式(2)で表されるグリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、n−ブチルフェニルグリシジルエーテル、i−ブチルフェニルグリシジルエーテル、sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ペンチルフェニルグリシジルエーテル、ヘキシルフェニルグリシジルエーテル、ヘプチルフェニルグリシジルエーテル、オクチルフェニルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、デシルフェニルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ウンデシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、トリデシルグリシジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテルが好ましい。
グリシジルエーテル型エポキシ化合物として、式(2)で表されるエポキシ化合物以外に、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロルプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールモノグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルなどを用いることもできる。
グリシジルエステル型エポキシ化合物としては、例えば下記一般式(3)で表されるものを用いることができる。
Figure 2019189880

[式(3)中、Rはアリール基、炭素数5〜18のアルキル基、又はアルケニル基を示す。]
式(3)で表されるグリシジルエステル型エポキシ化合物としては、グリシジルベンゾエート、グリシジルネオデカノエート、グリシジル−2,2−ジメチルオクタノエート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートが好ましい。
脂環式エポキシ化合物とは、下記一般式(4)で表される、エポキシ基を構成する炭素原子が直接脂環式環を構成している部分構造を有する化合物である。
Figure 2019189880
脂環式エポキシ化合物としては、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシシクロペンタン、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、エキソ−2,3−エポキシノルボルナン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)−スピロ(1,3−ジオキサン−5,3’−[7]オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン、4−(1’−メチルエポキシエチル)−1,2−エポキシ−2−メチルシクロヘキサン、4−エポキシエチル−1,2−エポキシシクロヘキサンを挙げることができる。
アリルオキシラン化合物としては、1,2−エポキシスチレン、アルキル−1,2−エポキシスチレンを挙げることができる。
アルキルオキシラン化合物としては、1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシペンタン、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシヘプタン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシノナン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシウンデカン、1,2−エポキシドデカン、1,2−エポキシトリデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシペンタデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシヘプタデカン、1,2−エポキシオクタデカン、1,2−エポキシノナデカン、1,2−エポキシイコサンを挙げることができる。
エポキシ化脂肪酸モノエステルとしては、エポキシ化された炭素数12〜20の脂肪酸と、炭素数1〜8のアルコール又はフェノールもしくはアルキルフェノールとのエステルを挙げることができる。エポキシ化脂肪酸モノエステルとしては、エポキシステアリン酸のブチル、ヘキシル、ベンジル、シクロヘキシル、メトキシエチル、オクチル、フェニルおよびブチルフェニルエステルが好ましく用いられる。
エポキシ化植物油としては、大豆油、アマニ油、綿実油等の植物油のエポキシ化合物を挙げることができる。
カルボジイミド化合物としては、特に制限されないが、例えばジアルキルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ビス(アルキルフェニル)カルボジイミドを用いることができる。ジアルキルカルボジイミドとしては、ジイソプロピルカルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド等を挙げることができる。ビス(アルキルフェニル)カルボジイミドとしては、ジトリルカルボジイミド、ビス(イソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(トリイソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(ブチルフェニル)カルボジイミド、ビス(ジブチルフェニル)カルボジイミド、ビス(ノニルフェニル)カルボジイミド等を挙げることができる。
また、冷凍機油は、上記の添加剤の中でも、摩耗防止剤を更に含有することが好ましい。好適な摩耗防止剤としては、例えばリン酸エステル、チオリン酸エステル、スルフィド化合物、ジアルキルジチオリン酸亜鉛が挙げられる。リン酸エステルの中でも、トリフェニルフォスフェート(TPP)、トリクレジルフォスフェート(TCP)が好ましい。チオリン酸エステルの中でも、トリフェニルホスフォロチオネート(TPPT)が好ましい。スルフィド化合物としては、冷凍機油の安定性を確保し、冷凍機器内部に多く使用されている銅の変質を抑制できる点から、モノスルフィド化合物が好ましい。
また、冷凍機油は、上記の添加剤の中でも、酸化防止剤を更に含有することが好ましい。酸化防止剤としては、ジ−tert.ブチル−p−クレゾール等のフェノール系化合物、アルキルジフェニルアミン等のアミン系化合物などが挙げられる。冷凍機油は、酸化防止剤としてフェノール系化合物を、冷凍機油全量基準で0.02〜0.5質量%含有することができる。
また、冷凍機油は、上記の添加剤の中でも、摩擦調整剤、極圧剤、防錆剤、金属不活性化剤、消泡剤を更に含有することが好ましい。摩擦調整剤としては、脂肪族アミン、脂肪族アミド、脂肪族イミド、アルコール、エステル、リン酸エステルアミン塩、亜リン酸エステルアミン塩などが挙げられる。極圧剤としては、硫化オレフィン、硫化油脂などが挙げられる。防錆剤としては、アルケニルコハク酸のエステル又は部分エステルなどが挙げられる。金属不活性化剤としては、ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール誘導体などが挙げられる。消泡剤としては、シリコーン化合物、ポリエステル化合物などが挙げられる。
冷凍機油の40℃における動粘度は、潤滑性向上の観点から、好ましくは3mm/s以上、より好ましくは4mm/s以上、更に好ましくは5mm/s以上である。冷凍機油の40℃における動粘度は、油戻り性向上の観点から、好ましくは1000mm/s以下、より好ましくは500mm/s以下、更に好ましくは400mm/s以下である。冷凍機油の100℃における動粘度は、潤滑性向上の観点から、好ましくは1mm/s以上、より好ましくは2mm/s以上である。冷凍機油の100℃における動粘度は、油戻り性向上の観点から、好ましくは100mm/s以下、より好ましくは50mm/s以下である。本発明における動粘度は、JIS K2283:2000に準拠して測定された動粘度を意味する。
冷凍機油の流動点は、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−20℃以下とすることができる。本発明における流動点は、JIS K2269−1987に準拠して測定された流動点を意味する。
冷凍機油の体積抵抗率は、好ましくは1.0×10Ω・m以上、より好ましくは1.0×1010Ω・m以上、更に好ましくは1.0×1011Ω・m以上とすることができる。特に、密閉型の冷凍機用に用いる場合には高い電気絶縁性であると好ましい。本発明における体積抵抗率は、JIS C2101:1999に準拠して測定された25℃での体積抵抗率を意味する。
冷凍機油の水分含有量は、冷凍機油全量基準で、好ましくは200ppm以下、より好ましくは100ppm以下、更に好ましくは50ppm以下とすることができる。特に密閉型の冷凍機用に用いる場合には、冷凍機油の熱・化学的安定性や電気絶縁性への影響の観点から、水分含有量が少ないことが好ましい。
冷凍機油の酸価は、冷凍機又は配管に用いられている金属への腐食を防止する観点、及び冷凍機油に含有されるエステルの分解を防止する観点から、好ましくは10.0mgKOH/g以下、より好ましくは1.0mgKOH/g以下、更に好ましくは0.1mgKOH/g以下である。同様の観点から、冷凍機油の水酸基価は、好ましくは50.0mgKOH/g以下、より好ましくは30.0mgKOH/g以下、更に好ましくは10.0mgKOH/g以下である。本発明における酸価は、JIS K2501:2003に準拠して測定された酸価を意味する。本発明における水酸基価は、JIS K0070:1992に準拠して測定された水酸基価を意味する。
冷凍機油の灰分は、冷凍機油の熱・化学的安定性を高めスラッジ等の発生を抑制する観点から、好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下とすることができる。本発明における灰分は、JIS K2272:1998に準拠して測定された灰分を意味する。
本実施形態に係る冷凍機油は、冷媒と共に用いられる。本実施形態に係る冷凍機用作動流体組成物は、本実施形態に係る冷凍機油と、冷媒とを含有する。冷媒としては、飽和フッ化炭化水素冷媒、不飽和フッ化炭化水素冷媒、炭化水素冷媒、パーフルオロエーテル類等の含フッ素エーテル系冷媒、ビス(トリフルオロメチル)サルファイド冷媒、3フッ化ヨウ化メタン冷媒、及び、アンモニア(R717)、二酸化炭素(R744)等の自然系冷媒が例示され、飽和フッ化炭化水素冷媒、不飽和フッ化炭化水素冷媒、炭化水素冷媒、及び、アンモニア(R717)、二酸化炭素(R744)等の自然系冷媒、並びにこれらの冷媒から選ばれる2種以上を含有する混合冷媒が好適である。
飽和フッ化炭化水素冷媒としては、好ましくは炭素数1〜3、より好ましくは1〜2の飽和フッ化炭化水素が用いられる。具体的には、ジフルオロメタン(R32)、トリフルオロメタン(R23)、ペンタフルオロエタン(R125)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(R134)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(R134a)、1,1,1−トリフルオロエタン(R143a)、1,1−ジフルオロエタン(R152a)、フルオロエタン(R161)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(R227ea)、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン(R236ea)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(R236fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(R245fa)、および1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(R365mfc)、又はこれらの2種以上の混合物が好適に用いられる。
飽和フッ化炭化水素冷媒としては、上記の中から用途や要求性能に応じて適宜選択されるが、例えばR32単独;R23単独;R134a単独;R125単独;R134a/R32=60〜80質量%/40〜20質量%の混合物;R32/R125=40〜70質量%/60〜30質量%の混合物;R125/R143a=40〜60質量%/60〜40質量%の混合物;R134a/R32/R125=60質量%/30質量%/10質量%の混合物;R134a/R32/R125=40〜70質量%/15〜35質量%/5〜40質量%の混合物;R125/R134a/R143a=35〜55質量%/1〜15質量%/40〜60質量%の混合物などが特に好ましい例として挙げられる。さらに具体的には、R134a/R32=70/30質量%の混合物;R32/R125=60/40質量%の混合物;R32/R125=50/50質量%の混合物(R410A);R32/R125=45/55質量%の混合物(R410B);R125/R143a=50/50質量%の混合物(R507C);R32/R125/R134a=30/10/60質量%の混合物;R32/R125/R134a=23/25/52質量%の混合物(R407C);R32/R125/R134a=25/15/60質量%の混合物(R407E);R125/R134a/R143a=44/4/52質量%の混合物(R404A)などを用いることができる。
不飽和フッ化炭化水素(HFO)冷媒としては、フッ素数が3のフルオロエチレン及びフッ素数が3〜5のフルオロプロペンが例示される。具体的には、例えば1,1,2−トリフルオロエチレン(HFO−1123)、1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225ye)、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)、1,2,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ye)、及び3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)のいずれかの1種又は2種以上の混合物が好ましく用いられる。冷媒物性の観点からは、HFO−1123、HFO−1225ye、HFO−1234ze及びHFO−1234yfから選ばれる1種又は2種以上が特に好ましく用いられる。
炭化水素冷媒としては、炭素数1〜5の炭化水素が例示される。具体的には、例えばメタン、エチレン、エタン、プロピレン、プロパン(R290)、シクロプロパン、ノルマルブタン、イソブタン、シクロブタン、メチルシクロプロパン、2−メチルブタン、ノルマルペンタンまたはこれらの2種以上の混合物が用いられる。これらの中でも、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、2−メチルブタン又はこれらの混合物などの、25℃、1気圧で気体の炭化水素冷媒が好ましく用いられる。
本実施形態に係る潤滑油基油及び冷凍機油は、油/冷媒比(質量比)が3/2、0℃の条件において相溶する冷媒及びこれを含む混合冷媒と共に好適に用いられる。ここで、油と冷媒とが相溶するか否かは、JIS K2211:2009「冷凍機油」の「冷媒との相溶性試験方法」に準拠した試験に基づき判断される。潤滑油基油及び冷凍機油は、上記の条件で相溶する冷媒であれば広く適用できる点で有用である。上記の条件で相溶する冷媒としては、上述の冷媒の中でも特に、R134a、R410A、R32、R1234yf、R1234ze、R1123、R290、R600a、R744等から選ばれる1種若しくは2種以上の冷媒、又はこれらの冷媒を含む混合冷媒が好ましい。
冷凍機用作動流体組成物における冷凍機油と冷媒との配合割合は、例えば、冷媒100質量部に対して、冷凍機油1〜500質量部、又は2〜400質量部とすることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
第1のエステル及び第2のエステルとして、それぞれ以下のエステルを用いた。
(第1のエステル)
1a:ペンタエリスリトールと2−メチルプロパン酸とのテトラエステル
1b:ジペンタエリスリトールと2−メチルブタン酸とのヘキサエステル
1c:ペンタエリスリトールとn−ペンタン酸とのテトラエステル
1d:ペンタエリスリトールとn−ヘプタン酸とのテトラエステル
1e:ペンタエリスリトールと2−エチルヘキサン酸とのテトラエステル
1f:ジペンタエリスリトールと2−エチルヘキサン酸とのヘキサエステル
(第2のエステル)
2a:ペンタエリスリトールと3,5,5−トリメチルヘキサン酸とのテトラエステル
2b:ジペンタエリスリトールと3,5,5−トリメチルヘキサン酸とのヘキサエステル
第3のエステルとして、下記表1,2に示す脂肪酸A、Bと多価アルコールとを用いてエステル3a〜3gを合成した。表1,2中の略称は、それぞれ以下の化合物を表す。
iC4:2−メチルプロパン酸
iC5:2−メチルブタン酸
nC5:n−ペンタン酸
nC7:n−ヘプタン酸
iC8:2−エチルヘキサン酸
iC9:3,5,5−トリメチルヘキサン酸
PET:ペンタエリスリトール
DiPET:ジペンタエリスリトール
また、エステル3a〜3gの合成手順は以下のとおりである。
(第3のエステルの合成手順)
温度計、窒素導入管、攪拌機及びジムロート冷却管と容量30mLの油水分離管とを取り付けた2Lの4つ口フラスコ(反応器)に、表1,2に示す量のアルコール及び脂肪酸Aを仕込んだ。窒素気流下、反応器をマントルヒーターで加熱し、反応器が190℃に達した後、反応液の酸価が5mgKOH/g以下となるまでアルコールと脂肪酸Aとを反応させた。その後、85℃まで反応器を冷却した後、反応液全量に対して20質量%のイオン交換水を加えて85℃で10分間撹拌し、反応液と水との混合物を得た。続いて、混合物を15分間静置した後、混合物中で分離した有機層を除去して水層を得た。その後、50℃まで反応器を冷却した後、水層全量に対して20質量%のヘキサンを加えて50℃で10分間撹拌し、15分間静置した後、分離した有機層を除去する操作を2回繰り返した。これにより、アルコールと脂肪酸Aとの部分エステルを含有する水層を得た。
得られた水層に対して、表1,2に示す量の脂肪酸Bを加えた。窒素気流下、反応器をマントルヒーターで加熱し、反応器が210℃に達した後、得られるエステルの水酸基価が3mgKOH/g以下となるまで、上記部分エステルと脂肪酸Bとを反応させた。その後、反応器内を50Torrまで減圧して、反応液の酸価が5mgKOH/g以下となるまで過剰の脂肪酸を留去した。85℃まで反応器を冷却した後、上記の酸価から算出される水酸化カリウム量の1.5当量をイオン交換水で希釈して10%の水溶液を作製し、それを反応液に加えて1時間撹拌した。撹拌を止めた後、30分間静置して下層に分離した水層を除去し有機層を得た。次に、有機層全量に対して20質量%のイオン交換水を加えて85℃で10分間撹拌して、15分間静置した後、分離した水層を除去する操作を5回繰り返した。その後、100℃、30Torrで1時間撹拌することで脱水した。最後に、有機層に対して2質量%の活性白土を加え、80℃、30Torrの条件で1時間撹拌し、ろ過して吸着剤を除去することで第3のエステルである完全エステルを得た。
Figure 2019189880
Figure 2019189880
上記の第1のエステル、第2のエステル及び第3のエステルを用いて、表3〜5に示す組成を有する基油を調製した。
Figure 2019189880
Figure 2019189880
Figure 2019189880
各実施例及び比較例の基油のそれぞれを含有する冷凍機油を用いて、以下に示す相溶性試験及び耐摩耗性試験を実施した。結果を表6〜8に示す。
(冷媒相溶性試験)
JIS K2211:2009「冷凍機油」の「冷媒との相溶性試験方法」に準拠して、評価冷媒8gに対して冷凍機油を12g配合し、冷媒と冷凍機油とが0℃において相互に溶解しているかを観察した。
(耐摩耗性試験)
実コンプレッサと類似の冷媒雰囲気にできる、神鋼造機(株)製の高圧雰囲気摩擦試験機(回転ベーン材と固定ディスク材との回転しゅう動方式)を用いて、冷媒圧力変動耐摩耗性試験を行った。試験条件は、油量600ml、試験温度110℃、回転数630rpm、負荷荷重90kgf、試験時間1.2時間とし(これらの条件はすべての評価冷媒で共通)、圧力については評価冷媒ごとに以下のとおりとした。
R134a:1.6MPa。
R410A:1.6MPa。
R32:1.6MPa。
HFO−1234yf:1.6MPa。
n−ヘキサン(R290等の炭化水素冷媒は安全面での不安があるため代替として使用。):常圧より若干高い圧力。
CO:1.6MPa。
ベーン材としてはSKH−51、ディスク材としてはFC250を用いた。耐摩耗性の評価は、ディスク材の摩耗量が極めて少ないことから、ベーン材の摩耗深さ(μm)によって行った。
Figure 2019189880
Figure 2019189880
Figure 2019189880


Claims (3)

  1. 下記一般式(1)で表されるエステルを含有し、
    Figure 2019189880

    [式中、Aは多価アルコールから水酸基を除いた残基を表し、Rは炭素数3〜7のアルキル基又は炭素数8の分岐アルキル基を表し、nは2以上の整数を表す。]
    前記エステルは、
    同一分子中の前記Rが炭素数3〜7のアルキル基からなる群より選ばれる1種である第1のエステルと、
    同一分子中の前記Rが炭素数8の分岐アルキル基である第2のエステルと、
    同一分子中の前記Rが炭素数3〜7のアルキル基及び炭素数8の分岐アルキル基からなる群より選ばれる2種以上である第3のエステルと、
    を含み、
    前記第1のエステルと前記第2のエステルと前記第3のエステルとの合計量を基準として、前記第1のエステルの含有量が0質量%を超え30質量%以下であり、前記第2のエステルの含有量が0質量%を超え30質量%以下である、潤滑油基油。
  2. 請求項1に記載の潤滑油基油を含有する冷凍機油。
  3. 請求項2に記載の冷凍機油と、冷媒とを含有する冷凍機用作動流体組成物。

JP2019145649A 2014-10-03 2019-08-07 潤滑油基油及び冷凍機油 Pending JP2019189880A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014204959 2014-10-03
JP2014204959 2014-10-03

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016551977A Division JP6776123B2 (ja) 2014-10-03 2015-09-25 潤滑油基油及び冷凍機油

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019189880A true JP2019189880A (ja) 2019-10-31

Family

ID=55630375

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016551977A Active JP6776123B2 (ja) 2014-10-03 2015-09-25 潤滑油基油及び冷凍機油
JP2019145649A Pending JP2019189880A (ja) 2014-10-03 2019-08-07 潤滑油基油及び冷凍機油

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016551977A Active JP6776123B2 (ja) 2014-10-03 2015-09-25 潤滑油基油及び冷凍機油

Country Status (5)

Country Link
JP (2) JP6776123B2 (ja)
KR (1) KR101857425B1 (ja)
CN (1) CN106536693B (ja)
TW (1) TWI575064B (ja)
WO (1) WO2016052338A1 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7083351B2 (ja) * 2016-11-08 2022-06-10 シー-モーティヴ テクノロジーズ インコーポレイテッド 静電機械システムおよび動作方法
US20210130730A1 (en) * 2018-02-16 2021-05-06 Idemitsu Kosan Co., Ltd. Lubricating oil composition
CN109370750A (zh) * 2018-12-26 2019-02-22 合肥普庆新材料科技有限公司 一种环保型纯油性冷轧轧制油
TWI755347B (zh) * 2021-08-13 2022-02-11 國立虎尾科技大學 具有奈米顆粒之潤滑油

Citations (19)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06330061A (ja) * 1993-05-27 1994-11-29 Tonen Corp 冷凍機油
JP2002129177A (ja) * 2000-10-30 2002-05-09 Nippon Mitsubishi Oil Corp 冷凍機油
JP2005171233A (ja) * 2003-11-21 2005-06-30 Nof Corp 冷凍機用潤滑油組成物
JP2008208261A (ja) * 2007-02-27 2008-09-11 Nippon Oil Corp 冷凍機油組成物および冷凍機用作動流体組成物
JP2009074018A (ja) * 2007-02-27 2009-04-09 Nippon Oil Corp 冷凍機油および冷凍機用作動流体組成物
JP2009074017A (ja) * 2007-02-27 2009-04-09 Nippon Oil Corp 冷凍機油および冷凍機用作動流体組成物
WO2012026303A1 (ja) * 2010-08-24 2012-03-01 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 冷凍機油および冷凍機用作動流体組成物
WO2013062058A1 (ja) * 2011-10-26 2013-05-02 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 冷凍機用作動流体組成物及び冷凍機油
JP2013133443A (ja) * 2011-12-27 2013-07-08 Japan Sun Oil Co Ltd 冷凍機油組成物
JP2013170255A (ja) * 2012-02-22 2013-09-02 Jx Nippon Oil & Energy Corp 冷凍機油組成物及びその製造方法、冷凍機用作動流体組成物
WO2013147048A1 (ja) * 2012-03-29 2013-10-03 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 冷凍機用作動流体組成物
WO2013146683A1 (ja) * 2012-03-27 2013-10-03 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 冷凍機用作動流体組成物
JP2013203953A (ja) * 2012-03-29 2013-10-07 Jx Nippon Oil & Energy Corp 冷凍機用作動流体組成物
JP2014077143A (ja) * 2013-12-09 2014-05-01 Idemitsu Kosan Co Ltd 冷凍機用潤滑油組成物
JP2014088578A (ja) * 2014-01-17 2014-05-15 Jx Nippon Oil & Energy Corp 冷凍機油及び冷凍機用流体組成物
JP2014177607A (ja) * 2013-03-15 2014-09-25 Idemitsu Kosan Co Ltd 冷凍機油組成物及び冷凍機システム
WO2014156737A1 (ja) * 2013-03-25 2014-10-02 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 冷凍機用作動流体組成物
JP2015174917A (ja) * 2014-03-14 2015-10-05 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 冷凍機油及び冷凍機用作動流体組成物
WO2015182173A1 (ja) * 2014-05-30 2015-12-03 Khネオケム株式会社 冷凍機油組成物およびそれを用いた冷凍機用作動流体組成物

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3145360B2 (ja) * 1999-03-11 2001-03-12 日石三菱株式会社 非塩素系フロン冷媒用冷凍機油
CN1190477C (zh) 1999-05-10 2005-02-23 新日本理化株式会社 冷冻机用润滑油、冷冻机用工作液体组合物及冷冻机的润滑方法
JP4493373B2 (ja) * 2004-03-04 2010-06-30 新日本石油株式会社 冷凍機油組成物
WO2014017596A1 (ja) * 2012-07-26 2014-01-30 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 潤滑油基油、冷凍機油及び冷凍機用作動流体組成物
CN104768915B (zh) * 2012-10-24 2016-05-04 Kh新化株式会社 双季戊四醇单缩甲醛的六酯
EP3043124A4 (en) * 2013-09-05 2017-04-26 Toshiba Carrier Corporation Compressor and refrigeration cycle device
JP6252847B2 (ja) * 2014-01-27 2017-12-27 日油株式会社 冷凍機油用エステル

Patent Citations (19)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06330061A (ja) * 1993-05-27 1994-11-29 Tonen Corp 冷凍機油
JP2002129177A (ja) * 2000-10-30 2002-05-09 Nippon Mitsubishi Oil Corp 冷凍機油
JP2005171233A (ja) * 2003-11-21 2005-06-30 Nof Corp 冷凍機用潤滑油組成物
JP2008208261A (ja) * 2007-02-27 2008-09-11 Nippon Oil Corp 冷凍機油組成物および冷凍機用作動流体組成物
JP2009074018A (ja) * 2007-02-27 2009-04-09 Nippon Oil Corp 冷凍機油および冷凍機用作動流体組成物
JP2009074017A (ja) * 2007-02-27 2009-04-09 Nippon Oil Corp 冷凍機油および冷凍機用作動流体組成物
WO2012026303A1 (ja) * 2010-08-24 2012-03-01 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 冷凍機油および冷凍機用作動流体組成物
WO2013062058A1 (ja) * 2011-10-26 2013-05-02 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 冷凍機用作動流体組成物及び冷凍機油
JP2013133443A (ja) * 2011-12-27 2013-07-08 Japan Sun Oil Co Ltd 冷凍機油組成物
JP2013170255A (ja) * 2012-02-22 2013-09-02 Jx Nippon Oil & Energy Corp 冷凍機油組成物及びその製造方法、冷凍機用作動流体組成物
WO2013146683A1 (ja) * 2012-03-27 2013-10-03 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 冷凍機用作動流体組成物
WO2013147048A1 (ja) * 2012-03-29 2013-10-03 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 冷凍機用作動流体組成物
JP2013203953A (ja) * 2012-03-29 2013-10-07 Jx Nippon Oil & Energy Corp 冷凍機用作動流体組成物
JP2014177607A (ja) * 2013-03-15 2014-09-25 Idemitsu Kosan Co Ltd 冷凍機油組成物及び冷凍機システム
WO2014156737A1 (ja) * 2013-03-25 2014-10-02 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 冷凍機用作動流体組成物
JP2014077143A (ja) * 2013-12-09 2014-05-01 Idemitsu Kosan Co Ltd 冷凍機用潤滑油組成物
JP2014088578A (ja) * 2014-01-17 2014-05-15 Jx Nippon Oil & Energy Corp 冷凍機油及び冷凍機用流体組成物
JP2015174917A (ja) * 2014-03-14 2015-10-05 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 冷凍機油及び冷凍機用作動流体組成物
WO2015182173A1 (ja) * 2014-05-30 2015-12-03 Khネオケム株式会社 冷凍機油組成物およびそれを用いた冷凍機用作動流体組成物

Also Published As

Publication number Publication date
CN106536693A (zh) 2017-03-22
CN106536693B (zh) 2019-11-22
KR20170015284A (ko) 2017-02-08
JPWO2016052338A1 (ja) 2017-07-13
WO2016052338A1 (ja) 2016-04-07
TWI575064B (zh) 2017-03-21
JP6776123B2 (ja) 2020-10-28
KR101857425B1 (ko) 2018-05-15
TW201614057A (en) 2016-04-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6513698B2 (ja) 冷凍機油
JP5129491B2 (ja) 冷凍機油組成物および冷凍機用作動流体組成物
JP6681828B2 (ja) 冷凍機油及び冷凍機用作動流体組成物
JP6050360B2 (ja) 潤滑油基油、冷凍機油及び冷凍機用作動流体組成物
JP2019189880A (ja) 潤滑油基油及び冷凍機油
US10494585B2 (en) Refrigerator oil and working fluid composition for refrigerators
JPWO2016002523A1 (ja) 耐摩耗添加剤、冷凍機油及び冷凍機用作動流体組成物
TWI575066B (zh) Refrigeration oil
JP6796423B2 (ja) 冷凍機油
JP6033262B2 (ja) 冷凍機用作動流体組成物及び冷凍機油
WO2017065134A1 (ja) 冷凍機油、冷凍機用組成物、及び冷凍機
JP5586298B2 (ja) エステルおよび冷凍機油
JP7432512B2 (ja) 冷凍機油
JP7470648B2 (ja) 冷凍機油及び冷凍機油の製造方法
WO2021020182A1 (ja) 冷凍機油及び冷凍機用作動流体組成物
JP2017095665A (ja) 冷凍機油及び冷凍機用作動流体組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190905

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190905

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200714

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200901

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210302

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210428

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20210921