JP6252847B2 - 冷凍機油用エステル - Google Patents

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Description

本発明は、R−32冷媒を用いた冷凍機器に使用する冷凍機油用潤滑油に関し、特にその冷凍機油用潤滑油に使用するカルボン酸エステルに関する。
オゾン層破壊の問題から、それまで冷蔵庫やエアコンなどの空調機器に用いられてきた塩素を含むフロン冷媒(塩素含有フロン冷媒)から、塩素を含まないフロン冷媒(代替フロン冷媒)への転換が図られてきた。冷媒の変更に伴い、これまで塩素含有フロン冷媒用の冷凍機油として使用されてきた鉱物油やアルキルベンゼンなどの合成炭化水素油を用いた潤滑油では、代替フロン冷媒に対する相溶性が低いことから、冷凍機油としての性能を十分に発揮することが困難となった。
そのため、上記の課題を解決すべく、代替フロン冷媒と良好な相溶性を示す化合物の検討が行われた。その結果、ポリオールエステル化合物やポリアルキレングリコール化合物などが冷凍機油として見出され、従来の鉱物油や合成炭化水素油を用いた冷凍機油に代わって使用されるようになった。その中でもポリオールエステルは、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、およびジペンタエリスリトール等のネオペンチルポリオールと脂肪族カルボン酸とのエステルであり、代替フロン冷媒との相溶性に優れるだけでなく、冷凍機油としての使用に適した電気絶縁性や熱安定性を有している理由から広く使用されるようになった。
近年、代替フロン冷媒は、オゾン破壊係数が低い反面、地球温暖化係数が高いことからその使用量を削減する検討が進められている。家庭用冷蔵庫に使用する冷媒については、地球温暖化係数の高いR−134a冷媒から、地球温暖化係数の低いR−600a冷媒のような炭化水素冷媒へとシフトしている。ルームエアコン用の冷媒として主に使用されているR−410A冷媒も地球温暖化係数が高いことから、その代替となる冷媒について精力的に検討されている。
R−410A冷媒の代替冷媒として種々の候補があるが、中でもR−32冷媒が有力とされており、R−32冷媒と相溶性のある冷凍機油用エステルの開発が進められている。特許文献1では、このようなエステルとして、炭素数4の脂肪族モノカルボン酸である酪酸やイソ酪酸と炭素数7〜9の脂肪酸を使用したエステルが提案されている。特許文献2では、ペンタエリスリトールとイソ酪酸および3,5,5−トリメチルヘキサン酸のエステルが開示されている。
WO2012/026214号公報 WO2012/026303号公報
R−32冷媒は、その温度特性から、R−410A冷媒よりも優れた冷却性能を示すことが知られている。しかしながら、その優れた性能を引き出すためには、R−410A冷媒よりも高温・高圧でコンプレッサーを効率よく稼働させる必要がある。そのため、使用される冷凍機油用エステルは、従来よりも高い耐熱性を有することが要求される。
また、近年では、省エネルギー性向上の観点から、インバーター制御によって効率よく状況に応じて柔軟に機器を稼働させることが一般的となり、コンプレッサー、凝集器、膨張弁、蒸発器などの冷凍装置の各箇所における運転時の温度は、低温から高温まで従来よりも幅広い範囲を取ることとなる。冷凍機油用潤滑油は冷媒と共に冷凍装置内を循環することから、R−32冷媒を使用する機器に使用する冷凍機油用潤滑油には、従来よりも高い低温安定性と耐熱性が求められる。
特に、低温安定性については、低温で温度が変動する中でも結晶を析出・固化することなく、長期間においても液状であり続ける性能が求められている。膨張弁や蒸発器など運転時に低温となる箇所において、冷凍機油用エステルの結晶の析出や、固化が起こった場合、その装置のエネルギー効率を低下させるだけでなく、機器の停止に至る可能性がある。
本発明の課題は、R−32冷媒を使用する機器に使用できる冷凍機油用エステルであって、従来よりも高い低温安定性と耐熱性を有する冷凍機油用エステルを提供することである。
そこで、本願発明者は、上記のようなR−32冷媒を使用する機器のための冷凍機油用潤滑油の課題を克服する冷凍機油用エステルとして、以下の特徴を有するエステルが有効であることを見出した。
すなわち、本発明は、ペンタエリスリトールおよびトリペンタエリスリトールを含む混合アルコールと、2−メチルプロパン酸および3,5,5−トリメチルヘキサン酸を含む混合モノカルボン酸とのエステルからなる冷凍機油用エステルであって、下記(A)、(B)(C)および(D)を満足することを特徴とする。

(A) 前記混合モノカルボン酸に占める2−メチルプロパン酸の質量比が20質量%〜55質量%であり、3,5,5−トリメチルヘキサン酸の質量比が45質量%〜80質量%である。
(B) 前記混合アルコールに占めるトリペンタエリスリトールの質量比が5質量%以下である。
(C) 前記混合アルコールに占めるトリペンタエリスリトールの質量比が、ペンタエリスリトールと前記混合モノカルボン酸とのエステルに占めるペンタエリスリトールテトラ2−メチルプロパン酸エステルの質量比の0.02倍以上である。
(D) 前記混合アルコールに占めるジペンタエリスリトールの質量比が、0.1質量%以上、2質量%以下である。
本発明によれば、R−32冷媒を使用する機器に使用できる冷凍機油用エステルであって、従来よりも高い低温安定性と耐熱性を有する冷凍機油用エステルを提供できる。
エステルのガスクロマトグラフィーによる分析結果を示すチャートである。
本発明において用いる冷凍機油用エステルは、ペンタエリスリトールおよびトリペンタエリスリトールを含む混合アルコールと、2−メチルプロパン酸および3,5,5−トリメチルヘキサン酸を含む混合モノカルボン酸とのエステルである。
以下、条件(A)、(B)(C)および(D)について順次述べる。
(条件A)
R−32冷媒への溶解性と長期間での低温安定性の観点から、混合モノカルボン酸に占める2−メチルプロパン酸の質量比を20質量%〜55質量%とし、3,5,5−トリメチルヘキサン酸の質量比を45質量%〜80質量%とする。ただし、この質量比は、混合モノカルボン酸の全量を100質量%としたときの数値である。また、混合モノカルボン酸を構成する各モノカルボン酸の質量比は、その仕込み量を基準とする。
2−メチルプロパン酸の質量比が20質量%以上であれば、R−32冷媒と相溶性の高いエステルを得ることができる。この観点からは、2−メチルプロパン酸の質量比を25質量%以上とすることが更に好ましい。また、2−メチルプロパン酸の質量比が55質量%以下であれば、長期間での低温安定性に優れるエステルを得ることが出来る。これが55質量%を超える場合、ペンタエリスリトールテトラ2−メチルプロパン酸エステルの含有量が多くなり、長期間で低温条件にさらされた場合、結晶が析出したり、固化したりする可能性がある。この観点からは、2−メチルプロパン酸の質量比が50質量%以下であることが更に好ましい。
(条件B)
混合アルコールに占めるトリペンタエリスリトールの質量比が5質量%以下であることが必要である。ただし、この質量比は、混合アルコールの全量を100質量%としたときの数値である。また、混合アルコールを構成する各アルコールの質量比は、その仕込み量を基準とする。
混合アルコール酸全量に占めるトリペンタエリスリトールの質量%が5質量%以下であることにより、R−32冷媒を使用する機器における高温での運転においても耐えうる熱安定性を有する冷凍機油用エステルを得ることが出来る。この観点からは、混合アルコールに占めるトリペンタエリスリトールの質量比を3質量%以下とすることが好ましく、2.5質量%以下とすることが更に好ましく、1質量%以下とすることが一層好ましい。
ここで、混合アルコールは、ペンタエリスリトールとトリペンタエリスリトールとからなっていてよい。あるいは、混合アルコールは、更に他のペンタエリスリトール縮合物を含有していてよく、ジペンタエリスリトールを含有していてよい。混合アルコールに占めるジペンタエリスリトールの質量比は、長期低温安定性と熱安定性に優れた冷凍機油用エステルを得るという観点からは、0.1質量%以上とするが、0.5質量%以上が更に好ましい。また、同様の観点からは、混合アルコールに占めるジペンタエリスリトールの質量比は、2質量%以下とするが、1.5質量%以下が更に好ましい。
(条件C)
混合アルコールに占めるトリペンタエリスリトールの質量比が、ペンタエリスリトールと混合モノカルボン酸とのエステルに占めるペンタエリスリトールテトラ2−メチルプロパン酸エステルの質量比の0.02倍以上となるようにする。
(条件D)
前記混合アルコールに占めるジペンタエリスリトールの質量比が2質量%以下である。
ペンタエリスリトールテトラ2−メチルプロパン酸エステルは、融点が40℃程度と高いため、その量が多くなると、低温環境において、長期にわたって結晶が析出・固化しやすくなる。トリペンタエリスリトールを混合アルコール内に前記所定量添加することによって、低温時に冷凍機油用エステル全体の安定性が著しく劣化することを発見した。これによって、温度変化する低温環境において、長期にわたって結晶を析出・固化することのない長期低温安定性に優れる冷凍機油用エステルを得ることが出来る。この観点からは、混合アルコールに占めるトリペンタエリスリトールの質量比が、ペンタエリスリトールと混合モノカルボン酸とのエステルに占めるペンタエリスリトールテトラ2−メチルプロパン酸エステルの質量比の0.03倍以上であることが更に好ましく、0.05倍以上であることが一層好ましい。
また、R−32冷媒を使用する機器における高温での熱安定性という観点からは、混合アルコールに占めるトリペンタエリスリトールの質量比が、ペンタエリスリトールと混合モノカルボン酸とのエステルに占めるペンタエリスリトールテトラ2−メチルプロパン酸エステルの質量比の0.5倍以下であることが好ましい。
混合アルコールに占めるトリペンタエリスリトールの質量比は、前述のように各仕込み量から算出する。ペンタエリスリトールと混合モノカルボン酸とのエステルに占めるペンタエリスリトールテトラ2−メチルプロパン酸エステルの質量比は、FID検出器を備えたガスクロマトグラフィーを用いた分析により得る。
すなわち、ガスクロマトグラフィーに島津社製「GC−2014」を用い、カラムにジーエルサイエンス社製「OV−1」を充填した長さ1.1m、内径3.2mmのパックドカラムを用いて分析する。この分析結果の例を図1のチャートに示す。導入口温度320℃、検出器温度330℃の条件において、測定開始からカラム温度を100℃から320℃まで10℃/minの速度で昇温し、320℃で20min保持することで、図1のような分析結果を得ることが出来る。
各生成物のピークは、リテンションタイムの早い順から、以下のとおりに帰属される。
(1)ペンタエリスリトールテトラ2−メチルプロパン酸エステル
(2)ペンタエリスリトールトリ2−メチルプロパン酸、モノ3,5,5−トリメチルヘキサン酸エステル
(3)ペンタエリスリトールジ2−メチルプロパン酸、ジ3,5,5−トリメチルヘキサン酸エステル
(4)ペンタエリスリトールモノ2−メチルプロパン酸、トリ3,5,5−トリメチルヘキサン酸エステル
(5)ペンタエリスリトールテトラ3,5,5−トリメチルヘキサン酸エステル
ピーク(1)〜(5)の各面積から、ペンタエリスリトールテトラ2−メチルプロパン酸エステルの含有率を得ることが出来る。
(1)から(5)の各ピーク面積比は、基本的に2−メチルプロパン酸と3,5,5−トリメチルヘキサン酸の比率によって決まるが、触媒の使用の有無や触媒の種類、反応条件、反応に使用する機器の形態によって変化することがある。また、精製工程において200℃を超えるような高温条件において、高い真空度で処理するような操作を行った際、エステル成分の揮発により、各ピークの比率が変化する。
本発明においては、前記混合アルコールと前記混合カルボン酸のエステルを調製するが、上記の混合アルコールと混合カルボン酸の使用量は、得られる冷凍機油用エステルの水酸基価が10.0mgKOH/g以下、酸価が0.1mgKOH/g以下となるように調整する。水酸基価は、好ましくは5.0mgKOH/g以下、さらに好ましくは2.0mgKOH/g、最も好ましくは1.0mgKOH/g以下である。また、酸価は、低いほど好ましく、好ましくは0.05mgKOH/g、より好ましくは0.02mgKOH/g以下である。
本発明の冷凍機油用エステルは、通常のエステル化反応およびエステル交換反応によって製造することができる。具体的には、上記の特定のアルコールとカルボン酸の当量比は、通常アルコールの水酸基1当量に対し、カルボン酸のカルボキシル基を過剰に加えれば良く、必要に応じて触媒を加えることができる。また、2−メチルプロパン酸の比率が高い時など、必要に応じて溶剤を使用しても良い。使用する溶剤は沸点が100℃以上から150℃のものであり、ヘプタンなどの炭化水素系溶剤や、トルエン等の芳香族系溶剤が好ましい。これを窒素気流下、120から260℃で3から15時間反応させ、水酸基価が例えば3.0mgKOH/g以下となった時点で過剰のカルボン酸を減圧下で除去する。その後、アルカリによる脱酸を行い、活性白土、酸性白土および合成系の吸着剤を用いた吸着処理やスチーミングなどの操作を単独または組み合わせて行うことによってエステルを得ることができる。
本発明の冷凍機油用潤滑油組成物では、上記の方法で合成した少なくとも2種の冷凍機油用エステルを混合して使用することもできる。
本発明の冷凍機油用潤滑油組成物は、上記のエステルに対し、公知の添加剤、例えば、フェノール系の酸化防止剤、ベンゾトリアゾ−ル、チアジアゾールまたはジチオカーバメートなどの金属不活性化剤、エポキシ化合物またはカルボジイミドなどの酸補足剤、リン系の極圧剤などの添加剤を目的に応じて適宜配合することができる。
本実施例で用いたエステルの仕込み組成を表1にまとめた。また、得られたエステルを下記のガスクロマトグラフィーによる分析を行い、ペンタエリスリトールエステル中のペンタエリスリトールテトラ2−メチルプロパン酸エステル(PTMP)の含有率を表1にまとめた。
各エステルの合成は以下の方法に従って実施した。
(合成例1)
温度計、窒素導入管、攪拌機およびジムロート冷却管と容量30mLの油水分離管を取り付けた2Lの4つ口フラスコに、表1に示す比率に応じてアルコールを仕込み、仕込んだアルコールの水酸基に対し、カルボン酸が1.05倍のモル比となるように、表1の比率の2−メチルプロパン酸と3,5,5−トリメチルヘキサン酸を反応器に仕込んだ。最後に、仕込んだアルコールの水酸基に対し、0.2mol当量のチタンイソプロポキシドを仕込んだ。
窒素気流下、仕込んだ反応液を加熱し、220℃の温度でエステルの水酸基が3以下となるまで反応した。その後、反応器内を200℃まで冷却し、80Torrまで減圧して酸価が5mgKOH/g以下となるまで過剰の脂肪酸を留去した。
85℃まで反応器を冷却した後、酸価から算出される水酸化カリウム量の1.5当量をイオン交換水で希釈して10%の水溶液を作成し、それを反応液に加えて1時間撹拌した。撹拌を止めた後、30分静置して下層に分離した水層を除去した。次に、反応液に対しての20質量%のイオン交換水を加えて85℃で10分撹拌して、15分静置した後、分離した水層を除去する操作を水層のpHが7から8になるまで繰り返した。その後、100℃、30Torrで1時間撹拌することで脱水した。最後に、反応液に対して2質量%の活性白土を加え、80℃、30Torrの条件で1時間撹拌し、ろ過して吸着剤を除去することで所望のエステルを得た。
(合成例2)
温度計、窒素導入管、攪拌機およびジムロート冷却管と容量30mLの油水分離管を取り付けた2Lの4つ口フラスコに、表1に示す比率に応じてアルコールを仕込み、仕込んだアルコールの水酸基に対し、カルボン酸が1.07倍のモル比となるように、表1の比率の2−メチルプロパン酸と3,5,5−トリメチルヘキサン酸を反応器に仕込んだ。その後、アルコールとカルボン酸の合計仕込み質量に対し、10質量%のトルエンを仕込んだ。最後に、仕込んだアルコールの水酸基に対し、0.2mol当量のチタンイソプロポキシドを仕込んだ。
窒素気流下、仕込んだ反応液を加熱し、150℃で5時間反応し、その後、220℃の温度でエステルの水酸基が3以下となるまで反応した。反応器内を200℃まで冷却し、50Torrまで減圧して酸価が5mgKOH/g以下となるまで過剰の脂肪酸と残存するトルエンを留去した。
85℃まで反応器を冷却した後、酸価から算出される水酸化カリウム量の1.5当量をイオン交換水で希釈して10%の水溶液を作成し、それを反応液に加えて1時間撹拌した。撹拌を止めた後、30分静置して下層に分離した水層を除去した。次に、反応液に対しての20質量%のイオン交換水を加えて85℃で10分撹拌して、15分静置した後、分離した水層を除去する操作を水層のpHが7から8になるまで繰り返した。その後、100℃、30Torrで1時間撹拌することで脱水した。最後に、反応液に対して2質量%の活性白土を加え、80℃、30Torrの条件で1時間撹拌し、ろ過して吸着剤を除去することで所望のエステルを得た。
実施例1から4と比較例1から3は、合成例1に従って合成した。また、実施例5から6と比較例4から7は合成例2に従って合成した。
得られたエステルをガスクロマトグラフィーにて分析を行い、ペンタエリスリトールエステル中のペンタエリスリトールテトラ2−メチルプロパン酸エステル(PTMP)の含有率を以下の方法で測定した。表1に結果をまとめた。
ただし、ガスクロマトグラフィーに島津社製GC−2014を用い、カラムにジーエルサイエンス社製OV−1を充填した長さ1.1m、内径3.2mmのパックドカラムを用いて分析した。導入口温度320℃、検出器温度330℃の条件において、測定開始からカラム温度を100℃から320℃まで10℃/minの速度で昇温し、320℃で20min保持する条件にて測定を行い、図1に示すようなガスクロチャートを得た。それぞれのピークを、リテンションタイムの早い順から、
(1) ペンタエリスリトールテトラ2−メチルプロパン酸エステル
(2) ペンタエリスリトールトリ2−メチルプロパン酸、モノ3,5,5−トリメチルヘキサン酸エステル
(3)ペンタエリスリトールジ2−メチルプロパン酸、ジ3,5,5−トリメチルヘキサン酸エステル
(4)ペンタエリスリトールモノ2−メチルプロパン酸、トリ3,5,5−トリメチルヘキサン酸エステル
(5)ペンタエリスリトールテトラ3,5,5−トリメチルヘキサン酸エステル
と帰属し、ペンタエリスリトールエステル中のペンタエリスリトールテトラ2−メチルプロパン酸エステル(PTMP)の含有率を算出した。
本発明で行った冷凍機油用エステルの各種測定は、以下の方法に従って実施した。
色相: JOCS 2.2.1.4−1996に準拠して測定した。
酸価: JIS K−0070に準拠して測定した。
全酸価: JIS C−2101に準拠して測定した。
動粘度: JIS K−2283に準拠して測定した。
水酸基価:JIS K−0070に準拠して測定した。
流動点: JIS K−2269に準拠して測定した。
2層分離温度:
JIS K-2211に準拠し、R−32冷媒とエステルの質量比が8:2となる条件で、低温領域での2層分離温度を測定した。
長期低温サイクル試験:
100mLのスクリュー管にエステル80gを秤量し、12時間毎に−10℃と−30℃と変化するように設定した恒温槽に入れ、1000時間後の各サンプルの外観を目視にて確認した。結晶が析出した場合や、固化した場合を「×」評価とし、結晶の析出が見られない場合を「○」評価とした。
耐熱性試験(シールドチューブ試験):
肉厚パイレックス(登録商標)チューブ(全長300mm、外経10mm、内径6mm)に予め水分量を約1000ppmに調整した試料を2g、冷媒R−32を3g、及び長さ10mmの鉄、銅、およびアルミの金属片を各1枚ずつ封入し、封管した。これを200℃にて10日間加熱した後、開封して冷媒を抜き取り、JIS C−2101に準拠して酸価を測定した。
上記の分析結果を表2にまとめた。
Figure 0006252847
Figure 0006252847

実施例に示すように、本発明によれば、R−32冷媒との相溶性に優れ、熱安定性と長期間での低温安定性に優れる冷凍機油用エステルを得ることが出来る。
比較例1では、2−メチルプロパン酸の質量比が低いので、二層分離温度が高い。
比較例2では、トリペンタエリスリトールの質量比が高いので、熱安定性が低い。
比較例3、4では、混合アルコールに占めるトリペンタエリスリトールの質量比が、ペンタエリスリトールに占めるペンタエリスリトールテトラ2−メチルプロパン酸エステルの質量比の0.01倍であるので、低温サイクル試験の結果が良くない。
比較例5では、トリペンタエリスリトールの質量比が高いので、熱安定性が低い。
比較例6では、2−メチルプロパン酸の質量比が高いので、低温サイクル試験の結果が良くない。
比較例7では、2−メチルプロパン酸の質量比が高く、トリペンタエリスリトールの質量比が高いので、熱安定性が低く、低温サイクル試験の結果も良くない。
以上の結果から、本発明に示される冷凍機油用エステルはR−32冷媒用冷凍機油として使用されるエステルとして、低温において長期間の安定性を有し、高い耐熱性を有することが確認された。

Claims (1)

  1. ペンタエリスリトールおよびトリペンタエリスリトールを含む混合アルコールと、2−メチルプロパン酸および3,5,5−トリメチルヘキサン酸を含む混合モノカルボン酸とのエステルからなる冷凍機油用エステルであって、下記(A)、(B)(C)および(D)を満足することを特徴とする、冷凍機油用エステル。

    (A) 前記混合モノカルボン酸に占める2−メチルプロパン酸の質量比が20質量%〜55質量%であり、3,5,5−トリメチルヘキサン酸の質量比が45質量%〜80質量%である。
    (B) 前記混合アルコールに占めるトリペンタエリスリトールの質量比が5質量%以下である。
    (C) 前記混合アルコールに占めるトリペンタエリスリトールの質量比が、ペンタエリスリトールと前記混合モノカルボン酸とのエステルに占めるペンタエリスリトールテトラ2−メチルプロパン酸エステルの質量比の0.02倍以上である。
    (D) 前記混合アルコールに占めるジペンタエリスリトールの質量比が0.1質量%以上、2質量%以下である。
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