以下では、図中の矢印U、矢印D、矢印F、矢印B、矢印L及び矢印Rで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、前方向、後方向、左方向及び右方向と定義して説明を行う。
まず、図1を用いてトラクタ1の全体構成について説明する。
なお、本実施形態においては、作業車としてトラクタ1を例示するが、本発明はこれに限るものではない。すなわち作業車は、その他の農業車両、建設車両、産業車両等であってもよい。
トラクタ1は、主として機体フレーム2、前輪3、後輪4、エンジン5、ボンネット6、変速装置7、ステアリングホイール8、フェンダ10、座席21及びキャビン22を具備する。
機体フレーム2は、その長手方向を前後方向に向けて配置される。機体フレーム2の前部はフロントアクスル機構(不図示)を介して左右一対の前輪3に支持される。機体フレーム2の後部には変速装置7が設けられる。変速装置7の後部はリアアクスル機構(不図示)を介して左右一対の後輪4に支持される。機体フレーム2の前部にはエンジン5が設けられる。エンジン5はボンネット6に覆われる。
エンジン5の動力は、変速装置7で変速された後、前記フロントアクスル機構を経て前輪3に伝達可能とされると共に、前記リアアクスル機構を経て後輪4に伝達可能とされる。エンジン5の動力によって前輪3及び後輪4が回転駆動され、トラクタ1は走行することができる。
エンジン5の後方には後輪4を覆うフェンダ10やキャビン22が設けられる。キャビン22の内部には、運転者が搭乗する居住空間22aが形成される。居住空間22aには、運転者が着座するための座席21、及び座席21の前方において種々の情報を表示可能なメータパネル23(図2参照)が配置される。
また、図2及び図3に示すように、居住空間22aには、前輪3の切れ角を調節するためのステアリングホイール8、及びステアリングホイール8を支持するステアリングポスト9が配置される。ステアリングホイール8及びステアリングポスト9は、所定のチルト機構により上下方向に揺動可能に構成される。
また、居住空間22aには、種々の操作具が配置される。具体的には、居住空間22aの右部(フェンダ10)には、PTO軸(不図示)への動力の伝達可否を切り替えるPTOレバー70、及び作業機(不図示)を制御する複数の補助コントロールレバー80等が配置される。また、居住空間22aの前部(ステアリングポスト9)には、作業灯やウインカーを操作する操作レバー9a、及びエンジン5の回転数を調整する操作部材31が配置される。
次に、図1から図7までを用いて、操作部材31の操作に応じてエンジン5の回転数を調整するアクセル操作機構30の構成について説明する。なお、以下においては、エンジン5の回転数が最も高くなるように調整された状態(図4に示す状態、以下、「高速状態」と称する)を基準として、アクセル操作機構30の構成を説明する。
図3に示すように、アクセル操作機構30は、操作部材31を除いてステアリングポスト9の内側に設けられ、ステアリングポスト9の揺動に伴って揺動可能に構成される。図1、図4及び図5に示すように、アクセル操作機構30は、操作部材31、シャフト32、支持部材33、固定部材34、回動部材35、リンク部材36、ポテンショメータ37、戻しスプリング38、アクセルペダル39、摩擦板40及び調整機構50等を具備する。
図3に示すように、ステアリングホイール8及びステアリングポスト9は、後方へ傾斜しており、当該傾斜に伴ってアクセル操作機構30も後方へ傾斜している。そこで、図4、図5、図7から後述する図12までにおいては、アクセル操作機構30の構成を理解し易くするため、ステアリングホイール8の軸方向(傾斜方向)が紙面上下方向を向くようにしてアクセル操作機構30を記載している。また、矢印U1は、ステアリングホイール8の軸方向のうち、上を向いた方向を示している。また、矢印D1は、ステアリングホイール8の軸方向のうち、下を向いた方向を示している。
操作部材31は、運転者の手動操作によってエンジン5の回転数を調整するためのものである。操作部材31は、回動操作されるダイヤル式の操作具によって構成される。図6に示すように、操作部材31は、穴部31aを具備する。穴部31aは、側面視略半円状に形成され、操作部材31の左面において開口する。
このように構成される操作部材31は、図2に示すように、ステアリングポスト9の右面に配置される。また、操作部材31は、運転者がメータパネル23を見たときに、メータパネル23の下端部近傍に位置するように配置される。具体的には、操作部材31は、座席21に着座した運転者の目の位置とメータパネル23の下端部とを結ぶ仮想線上に配置される。これにより、操作部材31を極力高い位置に配置することができ、メータパネル23が見え難くなるのを抑制しつつ、運転者の手が操作部材31に届き易くすることができる。
以下では、図4に示す矢印U1方向を上方、矢印D1方向を下方として、アクセル操作機構30の操作部材31以外の部材(シャフト32等)の構成を説明する。
図5及び図6に示すシャフト32は、操作部材31を回動可能に支持するためのものである。シャフト32は、その軸方向を左右方向に向けて配置される。シャフト32は、その先端部32a(右端部)が操作部材31の穴部31aと略同一形状となるように形成される。先端部32aは穴部31aに挿入される。これにより、シャフト32には操作部材31が固定される。
図4及び図5に示す支持部材33は、シャフト32やポテンショメータ37等を支持する略板状の部材である。支持部材33は、ステアリングポスト9内に固定され、その板面を左右方向に向けて配置される。また、支持部材33は、操作部材31の左方に間隔をあけて配置される。支持部材33は、その左面に取り付けられたブッシュ33a、及び当該ブッシュ33aの内側に設けられた軸受33b(図6参照)を介してシャフト32を回転可能に支持する。
図5及び図6に示す固定部材34は、シャフト32の回動力(操作部材31の回動操作)を後述する回動部材35に伝達するためのものである。固定部材34は、シャフト32に固定されて操作部材31と支持部材33との間に配置される。図5及び図7に示すように、固定部材34は、円筒部34a、揺動部34b及びピン34cを具備する。
円筒部34aは、シャフト32に設けられる部分である。円筒部34aは、その内径がシャフト32の外径と略同一の大きさとなるように形成される。円筒部34aは、シャフト32に外嵌されてシャフト32に固定される。円筒部34aは、シャフト32の回動に伴って一体的に回動する。
揺動部34bは、円筒部34aの外周面における後下部に形成される板状の部分である。揺動部34bは、円筒部34aの周方向に延びる部分と、当該周方向に延びる部分から後下方(円筒部34aの径方向外側)に延びる部分と、を有する側面視略Y字状に形成される。揺動部34bは、円筒部34aに固定され、円筒部34aの回動によって前後方向へ揺動する。
ピン34cは、揺動部34bの後下部に固定され、揺動部34bから右方へ突出するように設けられる。
回動部材35は、固定部材34の回動に応じて回動するものである。図4及び図7に示すように、回動部材35は、略板状に形成され、固定部材34の下方に配置される。回動部材35は、筒状部35a、揺動部35b、突出部35c、切欠部35d及び長孔35eを具備する。
筒状部35aは、回動部材35の下部に形成される。筒状部35aは、その軸方向を左右方向に向けて配置される。筒状部35aは、ブラケット(不図示)を介して支持部材33に回動可能に支持される。
揺動部35bは、筒状部35aの外周面における上部に形成される板状の部分である。揺動部35bは、側面視略半円状に形成される。また、揺動部35bは、その後端部が筒状部35aを中心とする円周状に突出するように形成される。
突出部35cは、揺動部35bから略上方へ突出する部分である。突出部35cは、側面視略矩形状に形成される。突出部35cは、その前部が固定部材34のピン34cと当接する。
切欠部35dは、揺動部35bの外縁部(前上端部)を切り欠くことで形成される。切欠部35dは、側面視略U字状に形成される。切欠部35dは、筒状部35aの径方向に延びるように形成される。
長孔35eは、筒状部35aの周方向に延びるように形成される孔である。長孔35eは、揺動部35bの後上端部から後下端部までに亘って形成される。
図5及び図7に示すリンク部材36は、回動部材35と後述するポテンショメータ37の軸部37aとを連動させるためのものである。リンク部材36は、回動部材35と支持部材33との間に配置される。リンク部材36は、本体部36a及びピン36bを具備する。
本体部36aは、その長手方向を前上方(後下方)に向けた側面視略矩形状に形成される。本体部36aは、その前上部が回動部材35の切欠部35dと側面視で重複するように配置される。また、本体部36aは、その後下部が回動部材35の筒状部35aと側面視で重複するように配置される。本体部36aは、その後下端部がポテンショメータ37の軸部37aに固定されることで、軸部37aを中心に回動可能に構成される。
ピン36bは、本体部36aの前上部に固定され、本体部36aから右方へ突出するように設けられる。ピン36bは、回動部材35の切欠部35dに係合される。また、ピン36bは、切欠部35dに対して回動部材35の径方向に隙間を空けて配置される。これにより、ピン36bは、回動部材35の径方向に変位可能に構成される。
ポテンショメータ37は、操作部材31の回動量を検知するためのものである。ポテンショメータ37は、支持部材33の左面に固定され、支持部材33を挟んで回動部材35の左方に配置される。ポテンショメータ37は、軸部37aを具備する。
軸部37aは、ポテンショメータ37において回動角度が検出される部分である。軸部37aは、側面視略六角形状に形成され、支持部材33から右方へ突出するように配置される。軸部37aは、当該突出する部分にリンク部材36の本体部36aが固定される。また、軸部37aは、回動部材35の筒状部35aと同軸上に配置されると共に、筒状部35aに対して径方向に隙間を空けて配置される。
戻しスプリング38は、回動部材35を右側面視時計回り方向に付勢するためのものである。戻しスプリング38は、その前上端部が回動部材35の揺動部35bの前端部に取り付けられる。また、戻しスプリング38の後下端部には、支持部材33に固定された取付部材38aが取り付けられる。これにより、戻しスプリング38は、回動部材35を後下方へ引っ張って、回動部材35を右側面視時計回り方向に付勢する。
図1に示すアクセルペダル39は、運転者による踏み込み操作によってエンジン5の回転数を調整するためのものである。アクセルペダル39は、座席21に着座した運転者が足を置くステップに設けられる。アクセルペダル39は、図4及び図7に示すケーブル39a、板状部材39b及びピン39cを介して回動部材35に連結される。
ケーブル39aは、その一端部がアクセルペダル39に接続されると共に、その他端部が板状部材39bに接続される。板状部材39bは、その長手方向を上下方向に向けた側面視略矩形状に形成される。板状部材39bは、側面視において回動部材35の長孔35eと重複するように配置される。ピン39cは、板状部材39bの上端部に固定され、長孔35eに挿通される。
図5及び図6に示す摩擦板40は、固定部材34との間で摩擦力を発生させるためのものである。摩擦板40は、略円環状に形成される。摩擦板40は、シャフト32とは一体的に回動しないように、シャフト32に外嵌される。摩擦板40は、固定部材34(円筒部34a)を挟むように、左右一対設けられる。
圧縮スプリング41は、摩擦板40を左方へ付勢するためのものである。圧縮スプリング41は、シャフト32に外嵌されて右側の摩擦板40と操作部材31との間に配置される。
調整機構50は、圧縮スプリング41の付勢力を調整するためのものである。調整機構50は、バネ受け部51、キャップ52、プレート53、スタッド54及びナット55を具備する。
バネ受け部51は、圧縮スプリング41を受けるための略板状の部材である。バネ受け部51は、シャフト32に外嵌されて圧縮スプリング41の左端部と当接する。バネ受け部51は、その前部が後述するスタッド54に引っ掛けられることにより、シャフト32と一体的に回動しないように構成される。
キャップ52は、圧縮スプリング41を受けるための略カップ状の部材である。キャップ52は、シャフト32に外嵌されて圧縮スプリング41の右端部と当接する。
プレート53は、後述するスタッド54を支持するための略板状の部材である。プレート53は、シャフト32に外嵌されてキャップ52の右面と当接する。プレート53は、シャフト32に対して左右方向に摺動可能に構成される。
スタッド54は、その左端部及び右端部(軸方向における両端部)にネジ部が形成される部材である。スタッド54は、シャフト32を挟んで前後に一対設けられる。前後のスタッド54は、その左端部及び右端部が支持部材33及びプレート53に挿通される。
ナット55は、前後のスタッド54(左端部及び右端部)に対して左右方向外側から螺合され、支持部材33及びプレート53を左右方向外側から挟むように設けられる。
以下では、図7から図10までを用いて、アクセル操作機構30の動作について説明する。
まず、操作部材31によってエンジン5の回転数を低くする場合におけるアクセル操作機構30の動作を説明する。なお、以下においては、図7に示す高速状態から、エンジン5の回転数が最も低くなるように調整された状態(以下、「低速状態」と称する)となるまで、エンジン5の回転数を低くする場合を例に挙げて説明する。
図8に示すように、エンジン5の回転数を低くする場合、操作部材31は、右側面視反時計回り方向へ回動操作される(図8に示す矢印A1参照)。これにより、シャフト32及び固定部材34(円筒部34a)は、右側面視反時計回り方向へ回動される。揺動部34b及びピン34cは、固定部材34の回動によって前方へ揺動する(図8に示す矢印A2参照)。ピン34cは、回動部材35の突出部35cの前部と当接しているため、当該揺動によって突出部35cから離間しようとする。
回動部材35は、戻しスプリング38によって後下方へ引っ張られ(図8に示す矢印A3参照)、右側面視時計回り方向に付勢されている。このため、回動部材35は、ピン34cが前方へ揺動すると、戻しスプリング38の付勢力によって右側面視時計回り方向へ回動する(図8に示す矢印A4参照)。これにより、回動部材35の切欠部35dに係合されるリンク部材36のピン36bは、右側面視時計回り方向へ押圧される。
リンク部材36は、当該押圧によってポテンショメータ37の軸部37aを中心に右側面視時計回り方向へ回動する。ポテンショメータ37の軸部37aは、リンク部材36の回動に伴って回動する(図8に示す矢印A5参照)。こうして、図9に示すように、操作部材31の回動に伴って、固定部材34、回動部材35、リンク部材36及び軸部37aが回動する。揺動部34bが前側のスタッド54に当接するまで固定部材34が回動すると、操作部材31の回動が規制されて低速状態となる。
ポテンショメータ37は、以上のような操作部材31の回動操作における軸部37aの回動量に基づいて、回動部材35の回動量を検知する。そして、ポテンショメータ37は、当該回動量に基づいて操作部材31の回動量を検知する。アクセル操作機構30は、当該操作部材31の検知結果に基づいてエンジン5のスロットルバルブを制御して、エンジン5の回転数を低くする。
次に、操作部材31によりエンジン5の回転数を高くする場合におけるアクセル操作機構30の動作を説明する。なお、以下においては、図9に示す低速状態からエンジン5の回転数を高くする場合を例に挙げて説明する。
図10に示すように、エンジン5の回転数を高くする場合、操作部材31は、右側面視時計回り方向へ回動操作される(図10に示す矢印B1参照)。これにより、シャフト32及び固定部材34(円筒部34a)は、右側面視時計回り方向へ回動する。揺動部34b及びピン34cは、固定部材34の回動によって後方へ揺動し、回動部材35の突出部35cを後方へ押圧する(図10に示す矢印B2参照)。
これにより、回動部材35は、固定部材34から操作部材31の回動力が伝達されて右側面視反時計回り方向へ回動する(図10に示す矢印B3参照)。リンク部材36及びポテンショメータ37の軸部37aは、当該回動に伴って右側面視反時計回り方向へ回動する(図10に示す矢印B4参照)。ポテンショメータ37は、当該軸部37aの回動量に基づいて操作部材31の回動量を検知し、当該検知結果に基づいてエンジン5の回転数を高くする。
本実施形態に係るアクセル操作機構30によれば、操作部材31の操作時に他の操作具に触れるのを抑制できる。具体的には、図2及び図3に示すように、フェンダ10(座席21の右方)には、PTOレバー70や複数の補助コントロールレバー80が設けられている。これに対して、ステアリングポスト9(右部)には操作レバー9aが設けられる程度である。このように、操作具の設置個数が比較的少ないステアリングポスト9に操作部材31を設ければ、他の操作具に対して十分に間隔をあけて操作部材31を配置することができる。また、ダイヤル式の操作部材31によれば、レバー式である場合よりも小さい動きで操作部材31を操作できる。以上により、操作部材31の操作時に他の操作具に触れるのを抑制できる。
また、操作部材31は、ステアリングホイール8のチルト操作に関わらず、ステアリングホイール8よりも低い位置に位置するように配置されている。これにより、ステアリングホイール8がチルト操作されても、ステアリングホイール8と操作部材31との相対的な位置関係が変わらないようにして、操作部材31を操作し易くしている。
また、アクセル操作機構30は、ポテンショメータ37の検知結果に基づいてエンジン5の回転数を調整している。これによれば、操作部材31をエンジン5のスロットルバルブに連結してスロットルバルブを直接操作しなくて済むため、小さい力で操作部材31を操作することができる。
また、図4に示すように、ポテンショメータ37は、回動部材35を介して操作部材31の回動量を間接的に検知している。このような構成により、操作部材31とポテンショメータ37の軸部37aとを同心上に配置しなくて済むため、アクセル操作機構30の左右方向幅を小さくすることができる。
ここで、ポテンショメータ37で回動部材35の回動量を検知するのであれば、本実施形態のようにリンク部材36を介して回動部材35とポテンショメータ37とを連動させるのではなく、ポテンショメータ37の軸部37aを回動部材35の筒状部35aに直接固定する構成も考えられる。当該構成においては、組付誤差等の影響で軸部37aが筒状部35aに対して芯ずれした場合に、軸部37aが筒状部35aを中心に揺動することになってしまい、軸部37aに負荷がかかる可能性がある。
そこで、本実施形態においては、ポテンショメータ37の軸部37aと回動部材35とをリンク部材36を介して連結し、軸部37aと筒状部35aとの芯ずれを吸収するようにしている。
具体的には、図7に示すように、リンク部材36は、ピン36bが切欠部35dに対して回動部材35の径方向に隙間を空けて配置されている。このような構成によれば、図11に示すように、軸部37aと筒状部35aとが芯ずれした場合に、回動部材35に対してピン36bを径方向に変位させることができる(図11に実線で示す矢印、並びに二点鎖線で示す芯ずれしていない場合の軸部37a及びピン36b参照)。また、回動部材35は、回動時にピン36bを筒状部35aの径方向(切欠部35dの長手方向)に変位させながら、ピン36bを無理なく押圧することができる。このように、回動部材35は、ピン36bの切欠部35dに対する係合位置をずらしながらリンク部材36を回動させることができるため、軸部37aと筒状部35aとの芯ずれを吸収することができる。これにより、軸部37aと筒状部35aとが芯ずれしたとしても、回動部材35の回動時に軸部37aに負荷がかかるのを抑制することができる。
ここで、図5及び図6に示すように、アクセル操作機構30においては、固定部材34を挟むように摩擦板40が設けられ、当該摩擦板40が圧縮スプリング41によって支持部材33へ押し付けられている。このような構成においては、操作部材31を回動操作しようとすると、摩擦板40と固定部材34との間で摩擦力が発生する。これにより、摩擦板40は、操作部材31から手を離しても操作部材31の回動位置を保持することができるため、エンジン5の回転数を調整した状態で他の操作具を簡単に操作できる。これによって、トラクタ1の操作性を向上させることができる。
また、摩擦板40と固定部材34との間で発生する摩擦力は、圧縮スプリング41の圧縮量に応じて変動する。そこで、本実施形態においては、圧縮スプリング41の圧縮量を調整機構50によって調整可能に構成している。
具体的には、調整機構50は、右側のナット55が締め付けられることで、プレート53を左方へ移動させてバネ受け部51とキャップ52との間隔(左右方向の間隔)を狭くすることができる。これにより、圧縮スプリング41の圧縮量を大きくし、摩擦板40と固定部材34との間で発生する摩擦力を高くすることができる。また、調整機構50は、右側のナット55が緩められることで、プレート53を右方へ移動させてバネ受け部51とキャップ52との間隔を広くすることができる。これにより、圧縮スプリング41の圧縮量を小さくし、摩擦板40と固定部材34との間で発生する摩擦力を低くすることができる。
このように、調整機構50は、右側のナット55を締め付けたり緩めたりするだけで、摩擦板40と固定部材34との間で発生する摩擦力を簡単に調整することができる。
また、調整機構50は、固定部材34の回り止めとしても機能している。具体的には、図7に示すように、低速状態において、後側のスタッド54は、固定部材34の揺動部34bと当接し、固定部材34の右側面視時計回り方向(減速方向)への回動を規制している。また、図9に示すように、高速状態において、前側のスタッド54は、固定部材34の揺動部34bと当接し、固定部材34の右側面視反時計回り方向(加速方向)への回動を規制している。このように、調整機構50は、固定部材34(操作部材31)の回り止めと摩擦板40の摩擦力の調整とを兼用することができるため、部品点数を削減することができる。
次に、アクセルペダル39によりエンジン5の回転数を調整する場合におけるアクセル操作機構30の動作を説明する。なお、以下においては、図9に示す低速状態である場合からエンジン5の回転数を高くする場合を例に挙げて説明する。
エンジン5の回転数を高くする場合、アクセルペダル39は、運転者により踏み込まれる。これにより、図12に示すように、ケーブル39aは、下方へ引っ張られる(図12に示す矢印C1参照)。これによって、ピン39cは、長孔35eを介して回動部材35を下方へ押圧する(図12に示す矢印C2参照)。
これにより、回動部材35は、右側面視反時計回り方向へ回動する(図12に示す矢印C3参照)。リンク部材36及びポテンショメータ37の軸部37aは、当該回動に伴って、右側面視反時計回り方向へ回動する(図12に示す矢印C4参照)。ポテンショメータ37は、当該軸部37aの回動量に基づいてアクセルペダル39の踏み込み量を検知し、当該検知結果に基づいてエンジン5の回転数を高くする。
このように、アクセル操作機構30は、アクセルペダル39を踏み込んだ場合に回動部材35を回動させて、エンジン5の回転数を調整できるようにしている。これによれば、操作部材31の回動操作の検知とアクセルペダル39の踏み込み操作の検知とをポテンショメータ37で兼用することができるため、部品点数を削減することができる。
以上の如く、本発明の実施形態に係るトラクタ1(作業車)は、ステアリングホイール8を支持するステアリングポスト9と、前記ステアリングポスト9に設けられて回動操作されるダイヤル式の操作部材31を有し、前記操作部材31の回動操作に応じてエンジン5の回転数を調整するアクセル操作機構30と、を具備するものである。
このように構成することにより、操作部材31の操作時に他の操作具に触れるのを抑制できる。具体的には、他の操作具があまり設けられないステアリングポスト9に操作部材31を設けることで、他の操作具に対して十分に間隔をあけて操作部材31を設けることができる。また、レバー式である場合よりも小さい動きで操作部材31を操作できる。以上により、操作部材31の操作時に他の操作具に触れるのを抑制できる。
また、前記アクセル操作機構30は、前記操作部材31の回動量を検知するためのポテンショメータ37(検知部材)をさらに有するものである。
このように構成することにより、ポテンショメータ37の検知結果に基づいてエンジン5の回転数を調整すれば、小さい力で操作部材31を操作することができる。
また、前記アクセル操作機構30は、前記操作部材31が固定されるシャフト32と、前記シャフト32に固定される固定部材34と、前記固定部材34に対して前記シャフト32の径方向外側に配置され、前記固定部材34の回動に伴って回動する回動部材35と、をさらに有し、前記ポテンショメータ37は、前記回動部材35の回動量に基づいて前記操作部材31の回動量を検知するものであり、前記回動部材35と同軸上に配置されるものである。
このように構成することにより、操作部材31とポテンショメータ37とをシャフト32の径方向にずらして配置することができるため、アクセル操作機構30の幅(シャフト32の軸方向幅)を小さくすることができる。
また、前記アクセル操作機構30は、一側面(右面)において前記回動部材35を支持すると共に、前記一側面とは反対側の他側面(左面)において前記ポテンショメータ37を支持する支持部材33をさらに有するものである。
このように構成することにより、支持部材33を挟んで回動部材35及びポテンショメータ37をバランスよく配置することができる。
また、前記ポテンショメータ37は、軸部37aを有し、前記軸部37aが回動されることで前記回動部材35の回動量を検知し、前記アクセル操作機構30は、前記軸部37aに固定されると共に前記回動部材35の径方向に変位可能となるように前記回動部材35に係合され、前記回動部材35の回動に伴って前記軸部37aを回動させるリンク部材36をさらに有するものである。
このように構成することにより、ポテンショメータ37の軸部37aと回動部材35とが芯ずれした場合に、リンク部材36を変位させて当該芯ずれを吸収することができる。これにより、ポテンショメータ37の軸部37aと回動部材35とが芯ずれしたとしても、軸部37aに負荷がかかるのを抑制することができる。
また、前記回動部材35は、外縁部に形成された切欠部35dによって前記リンク部材36と係合するものである。
このように構成することにより、回動部材35は、加工し易い外縁部に設けられた切欠部35dによってリンク部材36と係合することができるため、リンク部材36と係合するための構成を簡素化することができる。
また、前記切欠部35dは、前記回動部材35の径方向に延びるように形成されるものである。
このように構成することにより、簡単な形状の切欠部35dでポテンショメータ37の軸部37aと回動部材35との芯ずれを吸収することができる。
また、前記アクセル操作機構30は、前記固定部材34との間で摩擦力を発生させることで、前記操作部材31の回動位置を保持する摩擦板40をさらに有するものである。
このように構成することにより、操作性を向上させることができる。
また、前記アクセル操作機構30は、前記摩擦板40を前記固定部材34へと押し付ける圧縮スプリング41(第一付勢部材)と、前記圧縮スプリング41の付勢力を調整可能な調整機構50と、をさらに有するものである。
このように構成することにより、圧縮スプリング41の付勢力を調整すれば、摩擦板40と固定部材34との間で発生させる摩擦力を調整可能となる。このため、摩擦板40と固定部材34との間で発生させる摩擦力を簡単に調整することができる。
また、前記アクセル操作機構30は、前記エンジン5の回転数が低くなる方向へ前記回動部材35を付勢する戻しスプリング38(第二付勢部材)と、ケーブル39aを介して前記回動部材35に接続され、運転者による踏み込み操作によって前記回動部材35を回動させるアクセルペダル39と、をさらに有するものである。
このように構成することにより、ケーブル39a及び戻しスプリング38を回動部材35に集中的に取り付けることができる。これにより、構成の複雑化を招くことなく、アクセルペダル39及び戻しスプリング38を設けることができる。
なお、本実施形態に係るトラクタ1は、本発明に係る作業車の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るポテンショメータ37は、本発明に係る検知部材の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る圧縮スプリング41は、本発明に係る第一付勢部材の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る戻しスプリング38は、本発明に係る第二付勢部材の実施の一形態である。
なお、操作部材31は、ステアリングポスト9の右部に設けられるものとしたが、操作部材31の配置位置は特に限定されるものではない。操作部材31は、例えば、ステアリングポスト9の左部等に設けられていてもよい。
また、アクセル操作機構30は、エンジン5の回転数を調整可能であれば、必ずしもポテンショメータ37を具備する必要はない。アクセル操作機構30は、例えば、ケーブルによって操作部材31とエンジン5のスロットルバルブとを接続し、操作部材31の回動操作によってスロットルバルブを直接操作してもよい。
また、ポテンショメータ37は、回動部材35の回動量を検知する場合において、必ずしもリンク部材36を介して回動部材35と連結される必要はない。ポテンショメータ37は、例えば、軸部37aが回動部材35の筒状部35aに固定されていてもよい。
また、ポテンショメータ37は、操作部材31の回動量を検知可能であればよく、必ずしも回動部材35を介して操作部材31の回動量を間接的に検知する必要はない。ポテンショメータ37は、例えば、軸部37aがシャフト32に固定されて操作部材31の回動量を直接検知してもよい。
また、支持部材33は、異なる2つの側面(左面及び右面)において、回動部材35及びポテンショメータ37を支持するものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、1つの側面において、回動部材35及びポテンショメータ37を支持していてもよい。
また、回動部材35は、切欠部35dによってリンク部材36のピン36bと係合するものとしたが、ピン36bと係合する構成はこれに限定されるものではなく、例えば、回動部材35の板面を貫通する孔部によってピン36bと係合してもよい。
また、アクセル操作機構30は、摩擦板40によって操作部材31の回動位置を保持するものとしたが、回動位置を保持する構成はこれに限定されるものではなく、種々の構成を用いることができる。
また、調整機構50は、ナット55の締め付けを利用して圧縮スプリング41の圧縮量を調整するものとしたが、圧縮スプリング41の圧縮量を調整する構成はこれに限定されるものではなく、種々の構成を用いることができる。
また、アクセルペダル39のケーブル39a及び戻しスプリング38は、回動部材35に取り付けられるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、固定部材34に取り付けられるものであってもよい。また、ケーブル39a及び戻しスプリング38は、必ずしも同一の部材に取り付けられる必要はなく、互いに異なる部材に取り付けられていてもよい。
次に、図3に示す居住空間22aの右部の構成を説明する。
図3及び図13に示すように、居住空間22aの右部には、フェンダ10(右側のフェンダ10)、右側操作部60、カバー部材90及びブラケット100等が設けられる。
図1及び図13に示すように、フェンダ10は、本体部材11、フェンダフレーム12、第一薄板13及び第二薄板14を具備する。
本体部材11は、後輪4を上方から覆う部分である。本体部材11は、その後部が前後方向に延びるように形成される。また、本体部材11は、その前部が後輪4に沿った側面視略円弧状に形成される。より詳細には、本体部材11は、前方に向かうにつれて下方に延びるように形成されると共に、前上方に膨らんだ側面視略円弧状に形成される。
図13に示すフェンダフレーム12は、本体部材11の前部に沿うような側面視略円弧状に形成される。すなわち、フェンダフレーム12は、前方に向かうにつれて下方に延びるように形成されると共に、前上方に膨らんだ側面視略円弧状に形成される。フェンダフレーム12は、その下部に本体部材11が固定される。フェンダフレーム12は、金属製の角パイプによって構成される。図14及び図15に示すように、フェンダフレーム12には、ステー12aが取り付けられる。
ステー12aは、下方へ延びるように形成される部分と、当該下方へ延びた部分の端部から左方(居住空間22aの左右方向内側)へ延びるように形成される部分と、を有する正面視略L字状に形成される。ステー12aは、その上端部がフェンダフレーム12の左面における前後中途部に溶接される。これにより、ステー12aは、フェンダフレーム12との溶接部分から下方へ突出するように設けられる。
図13に示す第一薄板13は、フェンダフレーム12に沿って延びるように形成される。第一薄板13は、居住空間22aの内側へ向けて膨らむような曲面状に形成される。第一薄板13は、フェンダフレーム12の下部に設けられ、本体部材11よりも左方に配置される。第一薄板13は、樹脂を居住空間22aの内側へ膨らむような薄板状に成形することで形成される。図14及び図15に示すように、第一薄板13は、凹部13aを具備する。
凹部13aは、下方に凹んだ窪みである。凹部13aは、第一薄板13の前後中途部、より詳細には、ステー12aと側面視で重複する部分に形成される。凹部13aは、第一薄板13の右上端部から左下端部近傍までに亘って形成される。凹部13aは、その右上端部における内側にステー12aが配置される。また、凹部13aは、その左下端部が後述するブラケット100の上側取付部110の左下端部の下方に位置する。
図13に示す第二薄板14は、その板面を左右方向へ向けた略板状に形成される。第二薄板14は、側面視略扇状に形成され、第一薄板13の下部に設けられる。第二薄板14は、金属製の板状部材によって構成される。
右側操作部60は、居住空間22aの右部において運転者により操作される操作具である。右側操作部60は、PTOレバー70及び補助コントロールレバー80を具備する。
PTOレバー70は、フェンダ10の前後中途部(ステー12aよりも後方)に配置される。図16及び図17に示すPTOレバー70は、操作部70a、昇降部70b及び被検知部70cを具備する。
操作部70aは、運転者が操作する部分である。操作部70aは、前上方(後下方)へ長く延びるように形成され、その後下端部が揺動軸71に前後方向へ揺動可能に支持される。
昇降部70bは、操作部70aの後下端部から後上方へ突出するように形成される。昇降部70bは、その後上端部が操作部70aの揺動に伴って昇降(上下方向へ移動)する。昇降部70bは、その後上端部に接続されたケーブル72を介してPTOクラッチ(不図示)と接続される。また、昇降部70bは、バネ73が取り付けられて下方へ付勢される。これにより、操作部70aは、後方、すなわち、外部へと回転動力を取り出すPTO軸への動力の伝達を遮断する方向へ付勢されている。
被検知部70cは、揺動軸71を挟んで操作部70aの後下方に形成される。被検知部70cは、操作部70aの揺動に伴って前後方向へ揺動する。被検知部70cの前方にはセンサ74が設けられており、当該センサ74により被検知部70c、ひいては操作部70aの揺動が検知される。
このような構成において、PTOレバー70は、操作部70aが前後方向へ揺動されることで昇降部70bを昇降させる。これにより、PTOレバー70は、ケーブル72を介してPTOクラッチを操作し、PTO軸への動力の伝達可否を切り替えることができる。また、PTOレバー70が前後方向へ揺動されると、被検知部70cがセンサ74に当接する、又は当接状態が解除される。これにより、PTOレバー70は、操作部70aの操作状態(揺動位置)を把握できるようになっている。
補助コントロールレバー80は、PTOレバー70の前方、かつ、ステー12aの左方に配置される。また、補助コントロールレバー80は、前後方向に間隔をあけて3つ配置される。補助コントロールレバー80は、図16に示す円筒部材81、昇降部材82及びケーブル83を介して、作業機を油圧制御するための補助コントロールバルブ(不図示)に接続される。
円筒部材81は、後述するブラケット100により回動可能に支持される。円筒部材81は、その外周面に補助コントロールレバー80の下端部が固定される。これにより、補助コントロールレバー80は、右前方及び左後方へ揺動可能に構成される。
昇降部材82は、略板状に形成され、その右前端部が円筒部材81の外周面に固定される。昇降部材82は、円筒部材81が回動することによって、その左後端部が昇降(上下方向に揺動)する。
ケーブル83は、その一端部が昇降部材82の左後端部に接続されると共に、その他端部が補助コントロールバルブに接続される。
このような構成において、補助コントロールレバー80は、右前方及び左後方へ揺動されることで、円筒部材81を回動させて昇降部材82を昇降させる。これにより、補助コントロールレバー80は、ケーブル83を介して補助コントロールバルブを操作し、作業機を油圧により作動させることができる。
図3及び図18に示すカバー部材90は、右側操作部60の下部等を覆うためのものである。カバー部材90は、フェンダ10の後端部近傍から前後中途部(ステー12aよりも前方)までの間に亘るように形成される。図18及び図19に示すように、カバー部材90は、第一切欠部91及び第二切欠部92を具備する。
第一切欠部91は、PTOレバー70(操作部70a)を案内するためのものである。第一切欠部91は、平面視略矩形状に形成される。第一切欠部91は、カバー部材90の右端部における前後中途部に形成される。
第二切欠部92は、補助コントロールレバー80を案内するためのものである。第二切欠部92は、カバー部材90の右前端部(外縁部)を左後方へ切り欠くことで形成される。第二切欠部92は、前後方向に間隔をあけて3つ形成される。
図13及び図16に示すブラケット100は、右側操作部60を支持するためのものである。ブラケット100は、フェンダ10の前後中途部に設けられる。図20及び図21に示すように、ブラケット100は、上側取付部110、支持部120、下側取付部130、補強部140及び遮蔽部150を具備する。
上側取付部110は、ブラケット100をフェンダフレーム12に取り付けるための部分である。図14及び図15に示すように、上側取付部110は、長手方向を右上方(左下方)へ向けた板状部材の右上端部を右方へ折り曲げたような形状に形成される。上側取付部110は、その大部分が(左下端部を除いて)第一薄板13の凹部13aの内側に配置される。上側取付部110は、被締結部111を具備する。
被締結部111は、その板面を上下方向に向けて配置され、ボルト111aを締結可能に構成される。被締結部111は、上側取付部110の右端部に形成される。被締結部111は、フェンダフレーム12のステー12aに載置される。
図20及び図21に示す支持部120は、右側操作部60を支持する部分である。支持部120は、上側取付部110の左方に配置される。支持部120は、第一支持部121及び第二支持部122を具備する。
図20及び図22に示す第一支持部121は、PTOレバー70を支持する部分である。第一支持部121は、その板面を左上方(右下方)へ向けた板状部材の右上端部及び左下端部を、右下方へ折り曲げたような形状に形成される。第一支持部121は、レバー案内部121a、センサ取付部121b及び揺動軸取付部121cを具備する。
図20及び図23に示すレバー案内部121aは、その長手方向を前後方向に向けた平面視略矩形状の孔である。レバー案内部121aは、第一支持部121の上端部に形成される。レバー案内部121aは、PTOレバー70と係合可能となるように、平面視において、その前端部及び後端部が右方へ突出するように形成されている。
図20及び図22に示すセンサ取付部121bは、第一支持部121の左前下部において部分的に凹んだ部分である。
揺動軸取付部121cは、第一支持部121の板面を貫通する孔である。揺動軸取付部121cは、センサ取付部121bの後方に配置される。
図20及び図21に示す第二支持部122は、補助コントロールレバー80を支持する部分である。第二支持部122は、載置部122a及びレバー取付部122bを具備する。
載置部122aは、後述するレバー取付部122bが載置される部分である。載置部122aは、その板面を上下方向に向けた板状部材の右端部を、下方へ折り曲げたような正面視略逆L字形状に形成される。図22に示すように、載置部122aは、その右端部に上側取付部110の左下端部が溶接される。また、載置部122aは、その後端部に所定の板状部材を介して第一支持部121(センサ取付部121b)が溶接される。
図20及び図22に示すレバー取付部122bは、載置部122aに載置されて補助コントロールレバー80の円筒部材81を回動可能に支持するためのものである。レバー取付部122bは、その板面を左前方(右後方)へ向けた略板状に形成される。レバー取付部122bは、左前方(右後方)へ互いに間隔をあけて3つ設けられる。レバー取付部122bは、その板面を貫通する貫通孔122cを具備する。
図20及び図21に示す下側取付部130は、ブラケット100を第二薄板14に取り付けるための部分である。下側取付部130は、1枚の細長い長手部材を適宜折り曲げることで形成される。下側取付部130は、第一板部131、第二板部132及び第三板部133を具備する。
第一板部131は、下側取付部130の後端部において、略上下方向へ延びるように形成される。第一板部131は、その上端部が第一支持部121の下端部に取り付けられる。第一板部131は、その上下中途部が前下方へ折り曲げられて、前下方へ延びるように形成される。
第二板部132は、第一板部131の下端部から前方へ延びるように形成される。第二板部132は、第二支持部122の左下方に配置される。第二板部132の後端部は、前後方向における位置が第二支持部122の後端部よりも後方に位置する。第二板部132の前端部は、前後方向における位置が第二支持部122の前端部と同程度の位置に位置する。こうして、第二板部132は、第二支持部122の下方の空間に亘るように形成される。第二板部132は、案内部132aを具備する。
案内部132aは、平面視略U字状に形成される切欠である。案内部132aは、第二板部132の前後中途部に形成される。案内部132aは、前後方向に間隔をあけて3つ形成される。
第三板部133は、第二板部132の前端部から下方へ延びるように形成される。
図21及び図22に示す補強部140は、第二支持部122を補強するためのものである。補強部140は、略板状に形成されると共に、上下方向に延びるように形成される。補強部140は、その上端部が第二支持部122(載置部122a)に溶接されると共に、その下端部が下側取付部130(第二板部132)に溶接される。
遮蔽部150は、カバー部材90の内側を運転者から見え難くするためのものである。遮蔽部150は、その板面を上下方向に向けた板状部材を適宜折り曲げることで形成される。遮蔽部150は、重複部151、後側折り曲げ部152及び前側折り曲げ部153を具備する。
重複部151は、その板面を略上下方向に向けて配置される部分である。図23及び図24に示すように、重複部151は、その右端部が上側取付部110の上下中途部に溶接される。これにより、重複部151は、上側取付部110の左部(溶接部分よりも左方)と平面視で重複するように設けられる。
図20及び図21に示す後側折り曲げ部152は、重複部151の後端部において、上方へ折り曲げられた部分である。後側折り曲げ部152は、その上端部が所定の板状部材を介して第一支持部121に溶接される。
前側折り曲げ部153は、重複部151の前端部において、下方へ折り曲げられた部分である。前側折り曲げ部153は、その下端部が第二支持部122(載置部122a)の前端部に溶接される。
図14に示すように、このように構成されるブラケット100は、フェンダフレーム12及び第二薄板14に取り付けられる。具体的には、ブラケット100は、ボルト111aがステー12a及び上側取付部110の被締結部111に締結されることで、フェンダフレーム12に取り付けられる。また、ブラケット100は、下側取付部130の第一板部131(下端部)及び第三板部133(上下中途部)にボルトが締結されることで、第二薄板14に取り付けられる。
また、図17に示すように、第一支持部121は、レバー案内部121aにPTOレバー70が挿通されると共に、揺動軸取付部121cに揺動軸71が取り付けられる。これによって、第一支持部121は、PTOレバー70を揺動可能に支持する。また、第一支持部121は、その左下端部にケーブル72が挿通され、ケーブル72を案内する。また、第一支持部121は、その左下端部(ケーブル72が挿通される部分よりも前方)にバネ73が取り付けられる。また、第一支持部121は、センサ取付部121bの裏面(右下面)にセンサ74が取り付けられる。
また、図16及び図20に示すように、第二支持部122は、レバー取付部122bの貫通孔122cに軸部材が挿通され、当該軸部材を介して円筒部材81を回動可能に支持する。これによって、第二支持部122は、補助コントロールレバー80を揺動可能に支持する。また、下側取付部130は、案内部132aに補助コントロールレバー80のケーブル83が挿通される。これにより、下側取付部130は、ケーブル83を案内する。
以上によって、ブラケット100は、フェンダ10に設けられて右側操作部60を支持する。当該ブラケット100は、図3及び図18に示すように、カバー部材90によって覆われる。この状態において、遮蔽部150の重複部151は、平面視でカバー部材90の第二切欠部92の右方に配置される。
本実施形態に係るブラケット100は、フェンダフレーム12及び第二薄板14、すなわち金属製の部材に取り付けられることによって、フェンダ10に設けられる。これによれば、右側操作部60(PTOレバー70及び補助コントロールレバー80)からブラケット100へと作用する荷重を樹脂よりも剛性が高い金属製の部材で受けることができる。これにより、右側操作部60を操作した(揺動させた)ときにブラケット100がぐらつくのを抑制でき、ブラケット100の剛性を確保することができる。また、ブラケット100は、その上部がフェンダフレーム12に取り付けられることにより、右側操作部60からブラケット100へと作用する荷重の大半をフェンダフレーム12、すなわちフェンダ10の中で最も剛性が高い部材で受けることができる。このため、右側操作部60を操作したときのブラケット100の剛性を確保し易くすることができる。
また、ブラケット100は、上側取付部110、支持部120(第一支持部121及び第二支持部122)、下側取付部130、補強部140及び遮蔽部150を溶接によって一体的に形成している。これにより、複数の板状部材をボルトで締結してブラケット100を組み立てなくて済むため、組立寸法誤差のばらつきを効果的に低減できると共に部品点数を効果的に削減することができる。
また、前述の如く、ブラケット100は、右側操作部60から作用する荷重の大半をフェンダフレーム12によって受けることができる。このような構成においては、下側取付部130にあまり高い剛性が求められることはない。そこで、図16に示すように、本実施形態においては、1枚の細長い長手部材を適宜折り曲げることで、下側取付部130を形成している。これによれば、簡単に形成可能な下側取付部130によってブラケット100を第二薄板14に取り付けることができるため、コストを低減することができる。
また、ブラケット100は、第二支持部122及び第二板部132に溶接された補強部140によって、第二支持部122を補強することができる。このため、補助コントロールレバー80を操作したときに第二支持部がぐらつくのを抑制することができる。
また、図15に示すように、フェンダフレーム12のステー12aは、第一薄板13の凹部13aの内側に配置されている。これによれば、フェンダフレーム12及び上側取付部110を運転者から見え難くすることができる。これによって、フェンダフレーム12とブラケット100との取付部分を目立たなくすることができる。また、本実施形態においては、ステー12aの上端部をフェンダフレーム12に取り付けることで、ステー12aの大部分を凹部13aの内側に配置するようにしている。これにより、フェンダフレーム12とブラケット100との取付部分をより目立たなくすることができる。
また、本実施形態においては、凹部13aを第一薄板13の左下端部近傍まで形成することで、上側取付部110の大部分を(左下端部を除いて)凹部13aの内側に配置している。これによれば、上側取付部110を運転者からより見え難くすることができる。
また、図18に示すように、遮蔽部150は、上側取付部110の左部と平面視で重複するように配置されている。また、遮蔽部150は、カバー部材90の第二切欠部92の右方に配置されている。これにより、遮蔽部150は、フェンダ10とカバー部材90との隙間を埋めるように設けられている。これによれば、カバー部材90の内側を見え難くすることができる。特に、本実施形態のように、カバー部材90の外縁部を切り欠いて第二切欠部92が形成されていると、当該第二切欠部92を上方から覗き込めばカバー部材90の内側(上側取付部110)が簡単に見えてしまうところ、遮蔽部150によりカバー部材90の内側を見え難くすることができる。これにより、第二切欠部92を簡単に形成しつつ、外観が損なわれるのを極力抑制することができる。
また、遮蔽部150は、上側取付部110、第一支持部121及び第二支持部122に溶接されている。これにより、遮蔽部150は、第一支持部121及び第二支持部122を補強することができる。
また、下側取付部130は、複数箇所(第一板部131及び第三板部133)が第二薄板14に取り付けられている。これにより、下側取付部130をバランスよく支持することができるため、右側操作部60を操作したときに右側操作部60がぐらつくのを抑制することができる。
以上のようなブラケット100の実施形態に基づき、本発明の概要を以下に列挙する。
従来、フェンダに設けられる操作部を具備する作業車の技術は公知となっている(例えば、特開2015−188430号公報参照)。
前記従来の作業車(トラクタ)において、フェンダには、操作部として、PTOクラッチスイッチや複数の油圧操作レバー等が設けられる。フェンダは、後輪を覆う本体部材(リヤフェンダー)と、下部に本体部材が固定されるフェンダフレームと、フェンダフレームの下部(本体部材よりも操縦座席に近い側)に設けられる薄板と、を具備する。操作部は、当該フェンダにブラケットを介して支持される。ブラケットは、締結部材が締結されることで、例えば、フェンダの薄板に取り付けられる。
このような構成においては、操作部からブラケットへと作用する荷重を薄板で受けることになる。この場合、例えば、薄板が樹脂によって構成されていたとすると、薄板の剛性が低くなってしまい、操作部を操作したときに薄板が弾性変形し、ブラケットがぐらついてしまう可能性がある。このように、従来の作業車においては、操作部を操作したときの剛性(ブラケットの剛性)を確保できない可能性があった。
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、操作部を操作したときのブラケットの剛性を確保することができる作業車を提供することを目的とする。
本発明の本実施形態に係る作業車(トラクタ1)は、フェンダフレーム12、前記フェンダフレーム12の下部に設けられる第一薄板13及び前記第一薄板13の下部に設けられる第二薄板14を有するフェンダ10と、前記フェンダ10に設けられる操作部(右側操作部60)と、前記フェンダフレーム12及び前記第二薄板14に取り付けられて、前記操作部を支持するブラケット100と、を具備するものである。
このように構成することにより、右側操作部60からブラケット100へと作用する荷重を複数箇所(フェンダフレーム12及び第二薄板14)で受けることができると共に、当該荷重の大半を剛性の高いフェンダフレーム12で受けることができる。これにより、右側操作部60を操作したときのブラケット100の剛性を確保することができる。
また、前記操作部には、外部へと回転動力を取り出すPTO軸(回転軸)への動力の伝達可否を切り替えるPTOレバー70と、油圧により作動する作業機を制御するための補助コントロールレバー80と、が含まれ、前記ブラケット100は、前記PTOレバー70を支持する第一支持部121と、前記補助コントロールレバー80を支持する第二支持部122と、を有する支持部120を具備するものである。
このように構成することにより、支持部120によってPTOレバー70及び補助コントロールレバー80をまとめて支持することができる。
また、前記ブラケット100は、1枚の長手部材が折り曲げられて形成され、前記第二薄板14に取り付けられる下側取付部130をさらに具備するものである。
このように構成することにより、簡単な形状の下側取付部130によってブラケット100を第二薄板14に取り付けることができる。これにより、コストを低減することができる。
また、前記第一支持部121は、前記第二支持部122の後方に配置され、前記下側取付部130は、上下方向に延びるように形成されると共に、前記第一支持部121に取り付けられる第一板部131と、前記第一板部131の下端部から前方へと延びるように形成され、前記第二支持部122の下方の空間に亘るように設けられる第二板部132と、前記第二板部132の前端部から下方へ延びるように形成されて前記第二薄板14に取り付けられる第三板部133と、を有するものである。
このように構成することにより、簡単な形状の下側取付部130によってブラケット100を第二薄板14に取り付けることができる。
また、前記第二板部132は、前記補助コントロールレバー80に接続されるケーブル83を案内する案内部132aを有するものである。
このように構成することにより、第二薄板14への取付とケーブル83の案内とを下側取付部130で兼用することができる。これにより、部品点数を削減することができる。
また、前記ブラケット100は、前記第二支持部122と前記第二板部132との間に亘るように設けられる補強部140をさらに具備するものである。
このように構成することにより、補強部140によって第二支持部122を補強することができるため、右側操作部60を操作したときの第二支持部122の剛性を確保することができる。
また、前記フェンダフレーム12は、前記ブラケット100を支持するステー12aをさらに具備し、前記ステー12aは、前記第一薄板13に形成された凹部13aの内側に配置されるものである。
このように構成することにより、フェンダフレーム12とブラケット100との取付部分を目立たなくすることができる。
また、前記ブラケット100は、前記ステー12aに載置された状態で前記ステー12aに取り付けられる上側取付部110をさらに有するものである。
このように構成することにより、ブラケット100をステー12aに取り付け易くすることができる。
また、前記ブラケット100は、平面視において前記上側取付部110の少なくとも一部と重複するように配置されると共に、前記上側取付部110の上方に配置される遮蔽部150をさらに具備するものである。
このように構成することにより、上側取付部110を見え難くすることができる。
また、前記遮蔽部150は、前記第一支持部121及び前記第二支持部122に支持されるものである。
このように構成することにより、遮蔽部150によって第一支持部121及び第二支持部122を補強することができるため、右側操作部60を操作したときの第一支持部121及び第二支持部122の剛性を確保することができる。
なお、本実施形態に係るトラクタ1は、本発明に係る作業車の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る右側操作部60は、本発明に係る操作部の実施の一形態である。
なお、ブラケット100は、フェンダ10に設けられる操作具を支持するものであればよく、必ずしもPTOレバー70及び補助コントロールレバー80を支持する必要はない。
また、第一支持部121及び第二支持部122は、必ずしも一体的に形成されている必要はなく、ボルト等を適宜締結することで複数の部材から組み立てられるものであってもよい。
また、下側取付部130は、第二薄板14に取り付けられていればよく、その形状や第二薄板14への取付箇所は本実施形態に限定されるものではない。
また、ステー12aは、フェンダフレーム12と上側取付部110とを連結可能であれば、必ずしも凹部13aの内側に配置されていなくてもよい。
また、被締結部111は、ボルト111aをステー12aに締結可能であればよく、必ずしもステー12aに載置される必要はない。
また、遮蔽部150は、上側取付部110、第一支持部121及び第二支持部122に溶接されるものとしたが、遮蔽部150が溶接される部分はこれに限定されるものではなく、遮蔽部150の形状や他の部材との位置関係に応じて適宜変更することができる。