JP2019186222A - 非水系電解液、及びそれを用いた非水系電解液二次電池 - Google Patents
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Abstract
Description
非水系電解液電池に用いる電解液は、一般に、主として電解質と非水溶媒とから構成されている。リチウムイオン二次電池の電解液としては、LiPF6等の電解質を、環状カーボネート等の高誘電率溶媒と、鎖状カーボネート等の低粘度溶媒との混合溶媒に溶解させた非水系電解液が用いられている。
これまでに、特定の非水電解液を使用することで、リチウムイオン二次電池の電池特性を改善する方法が提案されている。例えば、特許文献1では、マレイミドまたはその誘導体が含有されている電解液を用いることで、リチウム金属と電解液の反応を抑制し、リチウム電池を60℃で2か月保存した時の自己放電率が向上することが報告されている。特許文献2ではマレイミドなどの化合物およびビニレンカーボネートを含有する電解液を用いることで、シリコン負極の充放電効率が改善することが報告されている。特許文献3ではマレイミド系化合物と、分子量が1000未満のヒドロキシル基を含む化学種を0.05重量%〜5重量%含有する電解液を用いることで、電池の充放電効率が改善することが報告されている。
本発明者は上記課題を解決するために種々の検討を重ねた結果、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
[1]
金属イオンを吸蔵・放出しうる正極活物質を有する正極と、金属イオンを吸蔵・放出しうる負極活物質を有する負極とを備える非水系電解液二次電池に用いられる非水系電解液であって、
上記非水系電解液はビスマレイミド化合物を含有し、
かつ、ハロゲン原子を有するカーボネート、ニトリル化合物、S=O結合を有する化合物、イソシアナト基を有する化合物、式(X)で表される化合物、ジフルオロリン酸塩、ジ
カルボン酸エステルより選ばれる少なくとも一種の化合物を含有することを特徴とする非水系電解液。
[2]
上記ビスマレイミド化合物が、以下の式(1)〜式(6)のいずれかで表される化合物であることを特徴とする[1]に記載の非水系電解液。
基を表す。)
[3]
前記式(1)〜式(6)のいずれかで表される構造を有するビスマレイミド化合物の含有量が、非水系電解液において、0.01質量%以上5質量%以下であることを特徴とする[1]または[2]に記載の非水系電解液。
[4]
非水系電解液中の水分量が40ppm以下であることを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか
一項に記載の非水系電解液。
[5]
前記ハロゲン原子を有するカーボネートが、フルオロエチレンカーボネート、ジフルオロエチレンカーボネートの少なくとも1種であることを特徴とする[1]乃至[4]のいずれか一項に記載の非水系電解液。
[6]
前記ニトリル化合物が、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、セバコニトリル、バレロニトリル、オクタンニトリル、デカンニトリル、ラウロニトリル、クロトノニトリルの少なくとも1種であることを特徴とする[1]乃至[5]の何れか一項に記載の非水系電解液。
[7]
前記S=O結合を有する化合物が、プロパンスルトン、プロペンスルトン、硫酸エチレン、フルオロスルホン酸リチウム、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド、リチウムビス(フルオロスルホニル)アミドの少なくとも1種であることを特徴とする[1]乃至[6]の何れか一項に記載の非水系電解液。
[8]
前記イソシアナト基を有する化合物が、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの少なくとも1種であることを特徴とする[1]乃至[7]の何れか一項に記載の非水系電解液。
[9]
前記式(X)で表される化合物が、以下の化合物の少なくとも1種であることを特徴と
する[1]乃至[8]の何れか一項に記載の非水系電解液。
前記ジフルオロリン酸塩が、ジフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸ナトリウム、ジフルオロリン酸カリウムの少なくとも1種であることを特徴とする[1]乃至[9]の何れか一項に記載の非水系電解液。
[11]
前記ジカルボン酸エステルが、マロン酸エステル、メチルマロン酸エステル、エチルマロン酸エステル、プロピルマロン酸エステル、ブチルマロン酸エステル、コハク酸エステル、アジピン酸エステル、フマル酸エステル、マレイン酸エステルの少なくとも1種であることを特徴とする[1]乃至[10]の何れか一項に記載の非水系電解液。
[12]
金属イオンを吸蔵・放出しうる正極活物質を有する正極と、金属イオンを吸蔵・放出しうる負極活物質を有する負極と、非水系電解液を備える非水系電解液二次電池であって、前記[1]乃至[11]の何れか一項に記載された非水系電解液を使用することを特徴とする非水系電解液二次電池。
〔1.非水系電解液〕
本発明の非水系電解液は、一般的な非水系電解液と同様に、電解質及びこれを溶解する非水溶媒を含有し、
ビスマレイミド化合物と特定の化合物を共に含有することを主たる特徴とする。
請求項に記載されているビスマレイミド化合物としては、特に制限はないが、例として以下のものが挙げられる。
1−1−1.式(1)の化合物
上記、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、これらの内では電池特性に対する向上効果が大きいため、フッ素原子が最も好ましい。
炭化水素基及びアルコキシ基の炭素数はそれぞれ、本願発明の効果が損なわれない限り特に制限はないが、通常、1以上、好ましくは2以上であり、また通常10以下、好ましくは5以下、更に好ましくは3以下である。炭素数が多すぎると分子内の立体障害が大きくなり、電極表面での反応が起きにくくあるためである。
は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基が好ましく、特にメチル基、エチル基、プロピル基が反応性が適度で抵抗が低いことから好ましい。式(1)の具体的な化合物としては、以下のものなどが挙げられる。これらの中でも、化合物1−0、化合物1−1、化合物1−2、化合物1−5が好ましい。
上記、R5〜R8の内容は、式(1)で記載したR1〜R4の内容と同じである。
式(2)の具体的な化合物としては、以下のものなどが挙げられる。これらの中でも、化合物2−0、化合物2−1、化合物2−2、化合物2−4が正極表面での反応性が適度であるため、本発明の効果を適切に発現できるため好ましい。
基を表す。)
上記、R9〜R12の内容は、式(1)で記載したR1〜R4の内容と同じである。
式(3)の具体的な化合物としては、以下のものなどが挙げられる。これらの中でも、化合物3−0、化合物3−1、化合物3−2が正極表面での反応性が適度であるため、本発明の効果を適切に発現できるため好ましい。
上記、R13〜R22の内容は、式(1)で記載したR1〜R4の内容と同じである。
式(4)の具体的な化合物としては、以下のものなどが挙げられる。なお、Meはメチル基を示す。これらの中でも、化合物4−0、化合物4−1、化合物4−2、化合物4−8、化合物4−10、化合物4−11が好ましい。
上記、R23〜R40の内容は、式(1)で記載したR1〜R4の内容と同じである。
式(5)の具体的な化合物としては、以下のものなどが挙げられる。これらの中でも、化合物5−2が正極表面での反応性が適度であるため、本発明の効果を適切に発現できるため好ましい。
R41,R42のハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。中でもフッ素であると電池中の反応に対して安定であることから好ましい。炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基が挙げられる。アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が挙げられ、特に炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、t−アミル基などが挙げられる。アルケニル基の例としては、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基などが挙げられる。アルキニル基の例としては、エチニル基、プロピニル基などが挙げられる。アリール基の例としては、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、ベンジル基、4−t−ブチルフェニル基、4−t−アミルフェニル基などが挙げられる。これらの内
では、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−アミル基が好ましく、特にメチル基、エチル基、プロピル基であると、化合物の反応性が適度で抵抗が低いことから好ましい。アルコキシ基としては、炭素数1〜10のアルコキシ基が挙げられ、特に炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基、メトキシメチル基、エトキシエチル基などが挙げられ、メトキシ基、エトキシ基であると、化合物の反応性が適度で抵抗が低いことから好ましい。
nは1以上の整数であり、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは
4以上であり、一方通常20以下、好ましくは15以下、より好ましくは12以下である。上記の範囲内であると2つのマレイミド間の距離が適度であるため化合物の安定性が高いと共に、正極表面での反応性が適度であるため、本発明の効果を適切に発現できるため好ましい。
上記の中でも化合物6−1〜化合物6−6が好ましく、特に化合物6−1、化合物6−3、化合物6−4はそれが形成する被膜が安定であるため好ましい。
上記の化合物の中でも電極上を広く保護できる被膜を形成するため、式(4)の化合物及び式(5)の化合物がより好ましく、式(4)の化合物が更に好ましい。
上記の化合物を用いると、負極の表面に均一な被膜を形成することにより、高温時の容量低下を抑制し、連続充電時の容量低下を抑制する効果が大きい。これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
であることが好ましく、2ppm以上であることが更に好ましく、3ppm以上であることが特に好ましい。上記の範囲内であれば、電解液中における酸の発生が抑制されると共に、電解液の生産における工程を比較的簡便にできる。
なくとも一種の化合物を含有することを特徴とする。
本発明では、ハロゲン原子を有するカーボネート、ニトリル化合物、S=O結合を有する化合物、イソシアナト基を有する化合物、式(X)で表される化合物、ジフルオロリン
酸塩、ジカルボン酸エステルより選ばれる少なくとも一種の化合物を「その他の化合物」と称することがある。
ハロゲン原子を有するカーボネートとしては、特に制限はないが、例として以下のものが挙げられる。
ハロゲン原子を有するカーボネートのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、これらの中でも、フッ素原子、塩素原子が好ましく、特にフッ素原子が好ましい。
ッ素原子を有する環状カーボネートが好ましく、フッ素原子を有する鎖状カーボネートとしては例えば、フルオロメチルメチルカーボネート、ジフルオロメチルメチルカーボネート、トリフルオロメチルメチルカーボネート、トリフルオロエチルメチルカーボネート、ビス(トリフルオロエチル)カーボネートなどが挙げられる。中でも、トリフルオロエチルメチルカーボネート、ビス(トリフルオロエチル)カーボネートは安定な被膜を形成しやすいうえに、化合物の安定性も高いので好ましい。
ハロゲン原子を有するカーボネートの含有量は、0.01質量%以上含有することが好ましく、0.1質量%以上含有することが更に好ましく、0.5質量%以上含有することが最も好ましい。また、15質量%以下の含有量で用いることが好ましく、10質量%以下の含有量で用いることがさらに 好ましく、7質量%以下で用いることが最も好ましい。上記の含有量
で用いることで、高温保存特性、連続充電特性の向上効果を十分に得ることができる。
ニトリル化合物としては、特に制限はないが、例として以下のものが挙げられる。
ニトリル化合物としては、例えば、
アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、ヘキサンニトリル、ヘプタンニトリル、オクタンニトリル、ノナンニトリル、デカンニトリル、ラウロニトリル、トリデカンニトリル、テトラデカンニトリル、ヘキサデカンニトリル、ペンタデカンニトリル、ヘプタデカンニトリル、オクタデカンニトリル、ノナデカンニトリル、イコサンニトリル、クロトノニトリル、メタクリロニトリル、アクリロニトリル、メトキシアクリロニトリル、マロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリル、アゼラニトリル、セバコニトリル、ウンデカンジニトリル、ドデカンジニトリル、メチルマロノニトリル、エチルマロノニトリル、イソプロピルマロノニトリル、tert−ブチルマロノニトリル、メチルスクシノニトリル、2,2−ジメチルスクシノニトリル、2,3−ジメチルスクシノニトリル、2,3,3
−トリメチルスクシノニトリル、2,2,3,3−テトラメチルスクシノニトリル、2,3−ジエチル−2,3−ジメチルスクシノニトリル、2,2−ジエチル−3,3−ジメチルスクシノニトリル、ビシクロヘキシル−1,1−ジカルボニトリル、ビシクロヘキシル−2,2−ジカルボニトリル、ビシクロヘキシル−3,3−ジカルボニトリル、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジカルボニトリル、2,3−ジイソブチル−2,3−ジメチルスクシノニトリル、2,2−ジイソブチル−3,3−ジメチルスクシノニトリル、2−メチルグルタロニトリル、2,3−ジメチルグルタロニトリル、2,4−ジメチルグルタロニトリル、2,2,3,3−テトラメチルグルタロニトリル、2,2,4,4−テトラメチルグルタロニトリル、2,2,3,4−テトラメチルグルタロニトリル、2,3,3,4−テトラメチルグルタロニトリル、マレオニトリル、フマロニトリル、1,4−ジシアノペンタン、2,6−ジシアノヘプタン、2,7−ジシアノオクタン、2,8−ジシアノノナン、1,6−ジシアノデカン、1,2−ジジアノベンゼン、1,3−ジシアノベンゼン、1,4−ジシアノベンゼン、3,3’−(エチレンジオキシ)ジプロピオニトリル、3,3’−(エチレンジチオ)ジプロピオニトリル及び3,9−ビス(2−シアノエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等が挙げられる。
含有することが更に好ましく、0.5質量%以上含有することが最も好ましい。また、6質量%以下の含有量で用いることが好ましく、5質量%以下の含有量で用いることがさらに好
ましく、4質量%以下で用いることが最も好ましい。上記の含有量で用いることで、高温
保存特性、連続充電特性の向上効果を十分に得ることができると共に、不要な抵抗上昇を
抑制することができる
S=O結合を有する化合物としては、特に制限はないが、例として以下のものが挙げられる。
S=O結合を有する化合物としては、例えば、鎖状スルホン酸エステル、環状スルホン酸エステル、鎖状硫酸エステル、環状硫酸エステル、鎖状亜硫酸エステル、環状亜硫酸エステル、鎖状スルホン、環状スルホンなどが挙げられる。中でも、鎖状スルホン酸エステル、環状スルホン酸エステル、鎖状硫酸エステル、環状硫酸エステルが高温保存時の電圧低下を抑制する効果が大きいので好ましい。
フルオロスルホン酸メチル及びフルオロスルホン酸エチル等のフルオロスルホン酸エステル;
メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、メタンスルホン酸2−プロピニル、メタンスルホン酸3−ブチニル、ブスルファン、2−(メタンスルホニルオキシ)プロピオン酸メチル、2−(メタンスルホニルオキシ)プロピオン酸エチル、2−(メタンスルホニルオキシ)プロピオン酸2−プロピニル、2−(メタンスルホニルオキシ)プロピオン酸3−ブチニル、メタンスルホニルオキシ酢酸メチル、メタンスルホニルオキシ酢酸エチル、メタンスルホニルオキシ酢酸2−プロピニル及びメタンスルホニルオキシ酢酸3−ブチニル等のメタンスルホン酸エステル;
ビニルスルホン酸メチル、ビニルスルホン酸エチル、ビニルスルホン酸アリル、ビニルスルホン酸プロパルギル、アリルスルホン酸メチル、アリルスルホン酸エチル、アリルスルホン酸アリル、アリルスルホン酸プロパルギル及び1,2−ビス(ビニルスルホニロキシ)エタン等のアルケニルスルホン酸エステル;
メタンジスルホン酸メトキシカルボニルメチル、メタンジスルホン酸エトキシカルボニルメチル、メタンジスルホン酸1−メトキシカルボニルエチル、メタンジスルホン酸1−エトキシカルボニルエチル、1,2−エタンジスルホン酸メトキシカルボニルメチル、1,2−エタンジスルホン酸エトキシカルボニルメチル、1,2−エタンジスルホン酸1−メトキシカルボニルエチル、1,2−エタンジスルホン酸1−エトキシカルボニルエチル、1,3−プロパンジスルホン酸メトキシカルボニルメチル、1,3−プロパンジスルホン酸エトキシカルボニルメチル、1,3−プロパンジスルホン酸1−メトキシカルボニルエチル、1,3−プロパンジスルホン酸1−エトキシカルボニルエチル、1,3−ブタンジスルホン酸メトキシカルボニルメチル、1,3−ブタンジスルホン酸エトキシカルボニルメチル、1,3−ブタンジスルホン酸1−メトキシカルボニルエチル、1,3−ブタンジスルホン酸1−エトキシカルボニルエチル等のアルキルジスルホン酸エステル;
環状スルホン酸エステルとしては、例えば以下のものが挙げられる。
メチレンメタンジスルホネート、エチレンメタンジスルホネート等のジスルホネート化合物;
鎖状硫酸エステルとしては、例えば以下のものが挙げられる。
環状硫酸エステルとしては、例えば以下のものが挙げられる。
1,2−エチレンスルフェート、1,2−プロピレンスルフェート、1,3−プロピレンスルフェート、1,2−ブチレンスルフェート、1,3−ブチレンスルフェート、1,4−ブチレンスルフェート、1,2−ペンチレンスルフェート、1,3−ペンチレンスルフェート、1,4−ペンチレンスルフェート及び1,5−ペンチレンスルフェート等のアルキレンスルフェート化合物。
ジメチルスルファイト、エチルメチルスルファイト及びジエチルスルファイト等のジアルキルスルファイト化合物。
環状亜硫酸エステルとしては、例えば以下のものが挙げられる。
1,2−エチレンスルファイト、1,2−プロピレンスルファイト、1,3−プロピレンスルファイト、1,2−ブチレンスルファイト、1,3−ブチレンスルファイト、1,4−ブチレンスルファイト、1,2−ペンチレンスルファイト、1,3−ペンチレンスルファイト、1,4−ペンチレンスルファイト及び1,5−ペンチレンスルファイト等のアルキレンスルファイト化合物。
ジメチルスルホン、ジエチルスルホンなどのジアルキルスルホン化合物
環状スルホンとしては、例えば以下のものが挙げられる。
スルホラン、メチルスルホラン、4,5−ジメチルスルホランなどのアルキレンスルホン化合物、スルホレンなどのアルキニレンスルホン化合物。
質量%以上含有することが更に好ましく、0.5質量%以上含有することが最も好ましい。
また、5質量%以下の含有量で用いることが好ましく、4質量%以下の含有量で用いることがさらに 好ましく、3質量%以下で用いることが最も好ましい。上記の含有量で用いる
ことで、高温保存特性、連続充電特性の向上効果を十分に得ることができると共に、不要な抵抗上昇を抑制することができる
イソシアナト基(N=C=O基)を有する化合物としては、特に制限はないが、例として以下のものが挙げられる。
イソシアネート基を有する有機化合物としては、メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、プロピルイソシアネート、イソプロピルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ターシャルブチルイソシアネート、ペンチルイソシアネートヘキシルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、エチニルイソシアネート、プロパルギルイソシアネート、フェニルイソシアネート、フロロフェニルイソシアネート等のイソシアネート基を1個有する有機化合物;
モノメチレンジイソシアネート、ジメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,3−ジイソシアナトプロパン、1,4−ジイソシアナト−2−ブテン、1,4−ジイソシアナト−2−フルオロブタン、1,4−ジイソシアナト−2,3−ジフルオロブタン、1,5−ジイソシアナト−2−ペンテン、1,5−ジイソシアナト−2−メチルペンタン、1,6−ジイソシアナト−2−ヘキセン、1,6−ジイソシアナト−3−ヘキセン、1,6−ジイソシアナト−3−フルオロヘキサン、1,6−ジイソシアナト−3,4−ジフルオロヘキサン、トルエンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、1,2−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−1,1’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,2’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−3,3’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−
4,4’−ジイソシアネート、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,5−ジイルビス(
メチルイソシアネート)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,6−ジイルビス(メチルイソシアネート)、ジイソシアン酸イソホロン、カルボニルジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトブタン−1,4−ジオン、1,5−ジイソシアナトペンタン−1,5−ジオン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート等のイソシアネート基を2個有する有機化合物;
等が挙げられる。
ヘプタン−2,5−ジイルビス(メチルイソシアネート)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,6−ジイルビス(メチルイソシアネート)、ジイソシアン酸イソホロン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート等のイソシアネート基を2個有する有機化合物が保存特性向上の点から好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ビシクロ[
2.2.1]ヘプタン−2,5−ジイルビス(メチルイソシアネート)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,6−ジイルビス(メチルイソシアネート)、ジイソシアン酸イソホロン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナートがより好ましく、1,3−ビス(イソシアナトメチ
ル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ビシクロ
[2.2.1]ヘプタン−2,5−ジイルビス(メチルイソシアネート)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,6−ジイルビス(メチルイソシアネート)が更に好ましい。これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
の含有量で用いることで、高温保存特性、連続充電特性の向上効果を十分に得ることができると共に、不要な抵抗上昇を抑制することができる
式(X)で表される化合物としては、特に制限はないが、例として以下のものが挙げら
れる。
R43、R44、R45が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、これらの内では電池特性に対する向上効果が大きいため、フッ素原子が最も好ましい。ハロゲン原子、シアノ基、エステル基、エーテル基を有しても良い有機基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、t−アミル基、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、エチニル基、プロピニル基、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、ベンジル基、4−t−ブチルフェニル基、4−t−アミルフェニル基などの炭化水
素基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基などのフッ素化炭化水素基、シアノメチル基、シアノエチル基、シアノプロピル基、シアノブチル基、シアノペンチル基、シアノヘキシル基などのシアノ炭化水素基、エトキシカルボニル基、エトキシカルボニルメチル基、1−エトキシカルボニルエチル基、アセトキシ基、アセトキシメチル基、1−アセトキシエチル基、アクリロイル基、アクリロイルメチル基、1−アクリロイルエチル基などのエステル基を有する有機基、メトキシ基、エトキシ基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基などのエチル基を有する有機基などが挙げられる。
トリビニルイソシアヌレート、トリ(1−プロペニル)イソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレート、メチルジアリルイソシアヌレート、エチルジアリルイソシアヌレート、ジエチルアリルイソシアヌレート、ジエチルビニルイソシアヌレート、トリ(プロパルギル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロキシメチル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロキシメチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレートが挙げられ、中でもトリアリルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレ
ート、トリス(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレートが好ましく、トリアリルイソシアヌレート、トリス(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレートは連続充電特性の向上効果が大きいため特に好ましい。これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
質量%以上含有することが更に好ましく、0.2質量%以上含有することが最も好ましい。
また、5質量%以下の含有量で用いることが好ましく、3質量%以下の含有量で用いることがさらに好ましく、2質量%以下で用いることが最も好ましい。上記の含有量で用いるこ
とで、高温保存特性、連続充電特性の向上効果を十分に得ることができると共に、不要な抵抗上昇を抑制することができる。
モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩としては、特に制限はないが、例として以下のものが挙げられる。
例えば、ジフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸ナトリウム、ジフルオロリン酸カリウム、ジフルオロリン酸アンモニウムなどが挙げられ、中でもジフルオロリン酸リチウムが、連続充電特性の向上効果が大きいため特に好ましい。これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
以上含有することが更に好ましく、0.2質量%以上含有することが最も好ましい。また、3質量%以下の含有量で用いることが好ましく、2質量%以下の含有量で用いることがさら
に好ましく、1.5質量%以下で用いることが最も好ましい。上記の含有量で用いることで
、高温保存特性、連続充電特性の向上効果を十分に得ることができる。
ジカルボン酸エステルとしては、特に制限はないが、例として以下のものが挙げられる。
マロン酸エステルおよびその誘導体、コハク酸エステルおよびその誘導体、アジピン酸エステルおよびその誘導体、フマル酸エステルおよびその誘導体、マレイン酸エステルおよびその誘導体、フタル酸エステルおよびその誘導体、テレフタル酸エステルおよびその誘導体。
マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、メチルマロン酸ジエチル、エチルマロン酸ジエチル、ブチルマロン酸ジエチル、マロン酸ジビニル、マロン酸ジアリル、マロン酸ジプロパルギル。
コハク酸エステルおよびその誘導体としては以下のものが挙げられる。
アジピン酸エステルおよびその誘導体としては以下のものが挙げられる。
アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、メチルアジピン酸ジエチル、ジメチルアジピン酸ジエチル、テトラメチルアジピン酸ジエチル、アジピン酸ジビニル、アジピン酸ジアリル、アジピン酸ジプロパルギル。
フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、メチルフマル酸ジエチル。
マレイン酸エステルおよびその誘導体としては以下のものが挙げられる。
マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、メチルマレイン酸ジエチル。
フタル酸エステルおよびその誘導体としては以下のものが挙げられる。
テレフタル酸エステルおよびその誘導体としては以下のものが挙げられる。
テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸ジ2−エチルヘキシル。
これらの中でもメチルマロン酸ジエチル、エチルマロン酸ジエチル、ブチルマロン酸ジエチルが高温保存特性の向上効果が大きいため特に好ましい。これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
%以上含有することが更に好ましく、0.5質量%以上含有することが最も好ましい。また
、5質量%以下の含有量で用いることが好ましく、4質量%以下の含有量で用いることがさらに 好ましく、3質量%以下で用いることが最も好ましい。上記の含有量で用いること
で、高温保存特性、連続充電特性の向上効果を十分に得ることができる。
本発明の非水系電解液に用いる電解質に制限は無く、目的とする非水系電解液二次電池に電解質として用いられるものであれば公知のものを任意に採用することができる。本発明の非水系電解液をリチウム二次電池に用いる場合には、通常は、電解質としてリチウム塩を用いる。
LiCF3SO3、LiN(FSO2)(CF3SO2)、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、リチウム環状1,3−ヘキサフルオロプロパンジスルホニルイミド、リチウム環状1,2−テトラフルオロエタンジスルホニルイミド、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)、LiC(CF3SO2)3、LiPF4(CF3)2、LiPF4(C2F5)2、LiPF4(CF3SO2)2、LiPF4(C2F5SO2)2、LiBF2(CF3)2、LiBF2(C2F5)2、LiBF2(CF3SO2)2、LiBF2(C2F5SO2)2等の含フッ素有機リチウム塩;
リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムトリス(オキサラト)ホスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート、リチウムテトラフルオロ(オキサラト)ホスフェート等の含ジカルボン酸錯体リチウム塩などが挙げられる。
、LiPF6、LiBF4、LiSO3F、LiN(FSO2)2、LiN(FSO2)(CF3SO2)、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムトリス(オキサラト)ホスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート、リチウムテトラフルオロ(オキサラト)ホスフェートが好ましく、特にLiPF6、LiBF4が好ましい。
本発明の非水系電解液が含有する非水溶媒としては、従来から非水系電解液の溶媒として公知のものの中から適宜選択して用いることができる。 通常使用される非水溶媒の例としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、鎖状及び環状カルボン酸エステル、鎖
状及び環状エーテル、含リン有機溶媒、含硫黄有機溶媒、芳香族含フッ素溶媒等が挙げられる。
鎖状エーテルとしては、ジメトキシメタン、1,1−ジメトキシエタン、1,2−ジメトキシエタン、ジエトキシメタン、1,1−ジエトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、エトキシメトキシメタン、1,1−エトキシメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン等及びこれらの化合物の水素の一部をフッ素で置換した鎖状エーテルが挙げられる。フッ素で置換した鎖状エーテルとして、ビス(トリフルオロエトキシ)エタン、エトキシトリフルオロエトキシエタン、メトキシトリフルオロエトキシエタン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−トリフルオロメチル−ペンタン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−エトキシ−4−トリフルオロメチル−ペンタン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−プロポキシ−4−トリフルオロメチル−ペンタン、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,3,3−テトラフルオロプロピルエーテル、2,2−ジフルオロエチル−2,2,3,3−テトラフルオロプロピルエーテル等が挙げられる。これらの中
でも、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンがより好ましい。
含リン有機溶媒としては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸ジメチルエチル、リン酸メチルジエチル、リン酸エチレンメチル、リン酸エチレンエチル、リン酸トリフェニル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、トリメチルホスフィンオキシド、トリエチルホスフィンオキシド、トリフェニルホスフィンオキシド等及びこれらの化合物の水素の一部をフッ素で置換した含リン有機溶媒が挙げられる。フッ素で置換した含リン有機溶媒として、リン酸トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)、リン酸トリス(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)などが挙げられる。
上記の非水溶媒の中でも、環状カーボネートであるエチレンカーボネート及び/又はプロピレンカーボネートを用いることが好ましく、更にこれらと鎖状カーボネートとを併用することが電解液の高い電導度と低い粘度を両立できる点から好ましい。
本発明の非水系電解液は、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、各種の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、従来公知のものを任意に用いることができる。尚、添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
過充電防止剤の具体例としては、2−メチルビフェニル、2−エチルビフェニル等のアルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロペンチルベンゼン、シス−1−プロピル−4−フェニルシクロヘキサン、トランス−1−プロピル−4−フェニルシクロヘキサン、シス−1−ブチル−4−フェニルシクロヘキサン、トランス−1−ブチル−4−フェニルシクロヘキサン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン、エチ
ルフェニルカーボネート、トリス(2−t−アミルフェニル)ホスフェート、トリス(3−
t−アミルフェニル)ホスフェート、トリス(4−t−アミルフェニル)ホスフェート、ト
リス(2−シクロヘキシルフェニル)ホスフェート、トリス(3−シクロヘキシルフェニル)ホスフェート、トリス(4−シクロヘキシルフェニル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリトリルホスフェート、トリ(t-ブチルフェニル)ホスフェート、メチルフェニルカーボネート、ジフェニルカーボネート等の芳香族化合物;2−フルオロビフェニル、3−フルオロビフェニル、4−フルオロビフェニル、4,4’−ジフルオロビフェニル、2,4−ジフルオロビフェニル、o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、p−シクロヘ
キシルフルオロベンゼン等の芳香族化合物の部分フッ素化物;2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール、2,6−ジフルオロアニソール、3,5−ジフルオロアニソール等の含フッ素アニソール化合物等が挙げられる。
以下に負極に使用される負極活物質について述べる。負極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば、特に制限はない。具体例としては、炭素質材料、合金系材料、リチウム含有金属複合酸化物材料等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、また2種以上を任意に組み合わせて併用してもよい。
負極活物質としては、炭素質材料、合金系材料、リチウム含有金属複合酸化物材料等が挙げられる。
炭素質材料としては、(1)天然黒鉛、(2)人造黒鉛、(3)非晶質炭素、(4)炭素被覆黒鉛、(5)黒鉛被覆黒鉛、(6)樹脂被覆黒鉛等が挙げられる。
球形化処理に用いる装置としては、例えば、衝撃力を主体に粒子の相互作用も含めた圧縮、摩擦、せん断力等の機械的作用を繰り返し粒子に与える装置を用いることができる。具体的には、ケーシング内部に多数のブレードを設置したローターを有し、そのローターが高速回転することによって、内部に導入された炭素材に対して衝撃圧縮、摩擦、せん断力等の機械的作用を与え、球形化処理を行なう装置が好ましい。また、炭素材を循環させることによって機械的作用を繰り返して与える機構を有するものであるのが好ましい。
(4)炭素被覆黒鉛としては、天然黒鉛及び/又は人造黒鉛と、タール、ピッチや樹脂等の有機化合物である炭素前駆体を混合し、400〜2300℃の範囲で1回以上熱処理し得られる天然黒鉛及び/又は人造黒鉛を核黒鉛とし、非晶質炭素が核黒鉛を被覆してい
る炭素黒鉛複合体が挙げられる。複合の形態は、表面全体または一部を被覆しても、複数の一次粒子を前記炭素前駆体起源の炭素をバインダーとして複合させたものであってもよい。また、天然黒鉛及び/又は人造黒鉛にベンゼン、トルエン、メタン、プロパン、芳香族系の揮発分等の炭化水素系ガス等を高温で反応させ、黒鉛表面に炭素を堆積(CVD)さ
せることでも炭素黒鉛複合体を得ることもできる。
(6)樹脂被覆黒鉛としては、天然黒鉛及び/又は人造黒鉛と、樹脂等を混合、400℃未満の温度で乾燥し得られる天然黒鉛及び/又は人造黒鉛を核黒鉛とし、樹脂等が核黒鉛を被覆している樹脂被覆黒鉛が挙げられる。
上記(2)〜(5)に用いられるタール、ピッチや樹脂等の有機化合物としては、石炭系重質油、直流系重質油、分解系石油重質油、芳香族炭化水素、N環化合物、S環化合物、ポリフェニレン、有機合成高分子、天然高分子、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂からなる群より選ばれた炭化可能な有機化合物などが挙げられる。また、原料有機化合物は混合時の粘度を調整するため、低分子有機溶媒に溶解させて用いてもよい。
負極活物質として用いられる合金系材料としては、リチウムを吸蔵・放出可能であれば、リチウム単体、リチウム合金を形成する単体金属及び合金、又はそれらの酸化物、炭化物、窒化物、ケイ化物、硫化物若しくはリン化物等の化合物のいずれであってもよく、特に制限されない。リチウム合金を形成する単体金属及び合金としては、13族及び14族の金属・半金属元素(即ち炭素を除く)を含む材料であることが好ましく、より好ましくはアルミニウム、ケイ素及びスズの単体金属及びこれら原子を含む合金又は化合物である。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
負極活物質として炭素質材料を用いる場合、以下の物性を有するものであることが望ましい。
(X線パラメータ)
炭素質材料の学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)が、通常0.335nm以上であり、また、通常0.360nm以下であり、0.350nm以下が好ましく、0.345nm以下がさらに好ましい。また、学振法によるX線回折で求めた炭素質材料の結晶子サイズ(Lc)は、1.0nm以上であることが好ましく、中でも1.5nm以上であることがさらに好ましい。
炭素質材料の体積基準平均粒径は、レーザー回折・散乱法により求めた体積基準の平均粒径(メジアン径)であり、通常1μm以上であり、3μm以上が好ましく、5μm以上がさらに好ましく、7μm以上が特に好ましく、また、通常100μm以下であり、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましく、25μm以下が特に好ましい。
体積基準平均粒径の測定は、界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの0.2質量%水溶液(約10mL)に炭素粉末を分散させて、レーザー回折・散乱式粒度分布計(例えば、堀場製作所社製LA−700)を用いて行なう。該測定で求められるメジアン径を、本発明の炭素質材料の体積基準平均粒径と定義する。
炭素質材料のラマンR値は、レーザーラマンスペクトル法を用いて測定した値であり、通常0.01以上であり、0.03以上が好ましく、0.1以上がさらに好ましく、また、通常1.5以下であり、1.2以下が好ましく、1以下がさらに好ましく、0.5以下が特に好ましい。
一方、上記範囲を上回ると、粒子表面の結晶性が低下し、非水系電解液との反応性が増し、効率の低下やガス発生の増加を招く場合がある。
・レーザー波長 :Arイオンレーザー514.5nm(半導体レーザー532nm)
・測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1
・ラマンR値:バックグラウンド処理、
・スムージング処理 :単純平均、コンボリューション5ポイント
炭素質材料のBET比表面積は、BET法を用いて測定した比表面積の値であり、通常0.1m2・g−1以上であり、0.7m2・g−1以上が好ましく、1.0m2・g−1以上がさらに好ましく、1.5m2・g−1以上が特に好ましく、また、通常100m2・g−1以下であり、25m2・g−1以下が好ましく、15m2・g−1以下がさらに好ましく、10m2・g−1以下が特に好ましい。
気圧に対する窒素の相対圧の値が0.3となるように正確に調整した窒素ヘリウム混合ガスを用いて、ガス流動法による窒素吸着BET1点法によって行なう。
炭素質材料の球形の程度として円形度を測定した場合、以下の範囲に収まることが好ましい。なお、円形度は、「円形度=(粒子投影形状と同じ面積を持つ相当円の周囲長)/(粒子投影形状の実際の周囲長)」で定義され、円形度が1のときに理論的真球となる。
炭素質材料の粒径が3〜40μmの範囲にある粒子の円形度は1に近いほど望ましく、また、0.1以上が好ましく、中でも0.5以上が好ましく、0.8以上がより好ましく、0.85以上がさらに好ましく、0.9以上が特に好ましい。高電流密度充放電特性は、円形度が大きいほど向上する。従って、円形度が上記範囲を下回ると、負極活物質の充填性が低下し、粒子間の抵抗が増大して、短時間高電流密度充放電特性が低下する場合がある。
炭素質材料のタップ密度は、通常0.1g・cm−3以上であり、0.5g・cm−3以上が好ましく、0.7g・cm−3以上がさらに好ましく、1g・cm−3以上が特に好ましく、また、2g・cm−3以下が好ましく、1.8g・cm−3以下がさらに好ましく、1.6g・cm−3以下が特に好ましい。タップ密度が、上記範囲を下回ると、負極として用いた場合に充填密度が上がり難く、高容量の電池を得ることができない場合がある。また、上記範囲を上回ると、電極中の粒子間の空隙が少なくなり過ぎ、粒子間の導電性が確保され難くなり、好ましい電池特性が得られにくい場合がある。
炭素質材料の配向比は、通常0.005以上であり、0.01以上が好ましく、0.015以上がさらに好ましく、また、通常0.67以下である。配向比が、上記範囲を下回ると、高密度充放電特性が低下する場合がある。なお、上記範囲の上限は、炭素質材料の配向比の理論上限値である。
配向比は、試料を加圧成型してからX線回折により測定する。試料0.47gを直径17mmの成型機に充填し58.8MN・m−2で圧縮して得た成型体を、粘土を用いて測定用試料ホルダーの面と同一面になるようにセットしてX線回折を測定する。得られた炭素の(110)回折と(004)回折のピーク強度から、(110)回折ピーク強度/(004)回折ピーク強度で表わされる比を算出する。
X線回折測定条件は次の通りである。なお、「2θ」は回折角を示す。
・スリット :
発散スリット=0.5度
受光スリット=0.15mm
散乱スリット=0.5度
・測定範囲及びステップ角度/計測時間:
(110)面:75度≦2θ≦80度 1度/60秒
(004)面:52度≦2θ≦57度 1度/60秒
炭素質材料のアスペクト比は、通常1以上、また、通常10以下であり、8以下が好ましく、5以下がさらに好ましい。アスペクト比が、上記範囲を上回ると、極板化時にスジ引きや、均一な塗布面が得られず、高電流密度充放電特性が低下する場合がある。なお、上記範囲の下限は、炭素質材料のアスペクト比の理論下限値である。
電極の製造は、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のいずれの方法を用いることができる。例えば、負極活物質に、バインダー、溶媒、必要に応じて、増粘剤、導電材、充填材等を加えてスラリーとし、これを集電体に塗布、乾燥した後にプレスすることによって形成することができる。
また、合金系材料を用いる場合には、蒸着法、スパッタ法、メッキ法等の手法により、上述の負極活物質を含有する薄膜層(負極活物質層)を形成する方法も用いられる。
負極活物質を電極化した際の電極構造は特に制限されないが、集電体上に存在している負極活物質の密度は、1g・cm−3以上が好ましく、1.2g・cm−3以上がさらに好ましく、1.3g・cm−3以上が特に好ましく、また、2.2g・cm−3以下が好ましく、2.1g・cm−3以下がより好ましく、2.0g・cm−3以下がさらに好ましく、1.9g・cm−3以下が特に好ましい。集電体上に存在している負極活物質の密度が、上記範囲を上回ると、負極活物質粒子が破壊され、初期不可逆容量の増加や、集電体/負極活物質界面付近への非水系電解液の浸透性低下による高電流密度充放電特性悪化を招く場合がある。また、上記範囲を下回ると、負極活物質間の導電性が低下し、電池抵抗が増大し、単位容積当たりの容量が低下する場合がある。
<正極活物質>
以下に正極に使用される正極活物質(リチウム遷移金属系化合物)について述べる。
<リチウム遷移金属系化合物>
リチウム遷移金属系化合物とは、Liイオンを脱離、挿入することが可能な構造を有する化合物であり、例えば、硫化物やリン酸塩化合物、リチウム遷移金属複合酸化物などが挙げられる。硫化物としては、TiS2やMoS2などの二次元層状構造をもつ化合物や、一般式MexMo6S8(MeはPb,Ag,Cuをはじめとする各種遷移金属)で表
される強固な三次元骨格構造を有するシュブレル化合物などが挙げられる。リン酸塩化合物としては、オリビン構造に属するものが挙げられ、一般的にはLiMePO4(Meは少なくとも1種以上の遷移金属)で表され、具体的にはLiFePO4、LiCoPO4、LiNiPO4、LiMnPO4などが挙げられる。リチウム遷移金属複合酸化物としては、三次元的拡散が可能なスピネル構造や、リチウムイオンの二次元的拡散を可能にする層状構造に属するものが挙げられる。スピネル構造を有するものは、一般的にLiMe2O4(Meは少なくとも1種以上の遷移金属)と表され、具体的にはLiMn2O4、LiCoMnO4、LiNi0.5Mn1.5O4、LiCoVO4などが挙げられる。層状構造を有するものは、一般的にLiMeO2(Meは少なくとも1種以上の遷移金属)と表される。具体的にはLiCoO2、LiNiO2、LiNi1−xCoxO2、LiNi1−x−yCoxMnyO2、LiNi0.5Mn0.5O2、Li1.2Cr0.4Mn0.4O2、Li1.2Cr0.4Ti0.4O2、LiMnO2などが挙げられる。
また、リチウム含有遷移金属化合物は、例えば、下記組成式(A)または(B)で示されるリチウム遷移金属系化合物であることが挙げられる。
1)下記組成式(A)で示されるリチウム遷移金属系化合物である場合
Li1+xMO2 ・・・(A)
ただし、xは通常0以上、0.5以下である。Mは、Ni及びMn、或いは、Ni、Mn及びCoから構成される元素であり、Mn/Niモル比は通常0.1以上、5以下である。Ni/Mモル比は通常0以上、0.5以下である。Co/Mモル比は通常0以上、0.5以下である。なお、xで表されるLiのリッチ分は、遷移金属サイトMに置換している場合もある。
さらに、組成式(A)で示されるリチウム遷移金属系化合物は、以下一般式(A’)のとおり、213層と呼ばれるLi2MO3との固溶体であってもよい。
αLi2MO3・(1−α)LiM’O2・・・(A’)
一般式中、αは、0<α<1を満たす数である。
M’は、平均酸化数が3+である少なくとも一種の金属元素であり、好ましくは、V、Mn、Fe、Co及びNiからなる群より選択される少なくとも一種の金属元素であり、より好ましくは、Mn、Co及びNiからなる群より選択される少なくとも一種の金属元素である。
Li[LiaMbMn2−b−a]O4+δ・・・(B) ただし、Mは、Ni、Cr、Fe、Co、Cu、Zr、Al及びMgから選ばれる遷移金属のうちの少なくとも
1種から構成される元素である。
bの値は通常0.4以上、0.6以下である。
また、aの値は通常0以上、0.3以下である。また、上記組成式中のaは、リチウム遷移金属系化合物の製造段階での仕込み組成である。通常、市場に出回る電池は、電池を組み立てた後に、エージングを行っている。そのため、充放電に伴い、正極のLi量は欠損している場合がある。その場合、組成分析上、3Vまで放電した場合のaが−0.65以上、1以下に測定されることがある。
さらに、δの値は通常±0.5の範囲である。
δの値がこの範囲であれば、結晶構造としての安定性が高く、このリチウム遷移金属系化合物を用いて作製した電極を有する電池のサイクル特性や高温保存が良好である。
上記リチウム遷移金属系化合物の組成式のa,bを求めるには、各遷移金属とリチウムを誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES)で分析して、Li/Ni/Mnの比を求めることで計算される。
また、上記リチウム遷移金属系化合物は、フッ素置換されていてもよく、LiMn2O4‐xF2xと表記される。
上記の組成のリチウム遷移金属系化合物の具体例としては、例えば、Li1+xNi0.5Mn0.5O2、Li1+xNi0.85Co0.10Al0.05O2、Li1+xNi0.33Mn0.33Co0.33O2、Li1+xNi0.45Mn0.45Co0.1O2、Li1+xMn1.8Al0.2O4、Li1+xMn1.5Ni0.5O4等が挙げられる。これらのリチウム遷移金属系化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上をブレンドして用いてもよい。
また、リチウム遷移金属系化合物は、異元素が導入されてもよい。異元素としては、B,Na,Mg,Al,K,Ca,Ti,V,Cr,Fe,Cu,Zn,Sr,Y,Zr,Nb,Ru,Rh,Pd,Ag,In,Sb,Te,Ba,Ta,Mo,W,Re,Os,Ir,Pt,Au,Pb,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Bi,N,F,S,Cl,Br,I,As,Ge,P,Pb,Sb,Si及びSnの何れか1種以上の中から選択される。これらの異元素は、リチウム遷移金属系化合物の結晶構造内に取り込まれていてもよく、あるいは、リチウム遷移金属系化合物の結晶構造内に取り込まれず、その粒子表面や結晶粒界などに単体もしくは化合物として偏在していてもよい。
リチウム二次電池用正極は、上述のリチウム二次電池正極材料用リチウム遷移金属系化
合物粉体及び結着剤を含有する正極活物質層を集電体上に形成してなるものである。
正極活物質層は、通常、正極材料と結着剤と更に必要に応じて用いられる導電材及び増粘剤等を、乾式で混合してシート状にしたものを正極集電体に圧着するか、或いはこれらの材料を液体媒体中に溶解又は分散させてスラリー状にして、正極集電体に塗布、乾燥することにより作製される。
正極活物質層の製造に用いる結着剤としては、特に限定されず、塗布法の場合は、電極製造時に用いる液体媒体に対して安定な材料であればよいが、具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子、SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、フッ素ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体及びその水素添加物、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・エチレン共重合体、スチレン・イソプレンスチレンブロック共重合体及びその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子、アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。なお、これらの物質は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
正極活物質層には、通常、導電性を高めるために導電材を含有させる。その種類に特に制限はないが、具体例としては、銅、ニッケル等の金属材料や、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト)、アセチレンブラック等のカーボンブラック、ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素材料などを挙げることができる。なお、これらの物質は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。正極活物質層中の導電材の割合は、通常0.01質量%以上、50質量%以下である。導電材の割合が低すぎると導電性が不十分になることがあり、逆に高すぎると電池容量が低下することがある。
用いてもよい。水系溶媒の例としては水、アルコールなどが挙げられ、有機系溶媒の例としてはN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、アセトン、ジメチルエーテル、ジメチルアセタミド、ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、キシレン、キノリン、ピリジン、メチルナフタレン、ヘキサン等を挙げることができる。特に水系溶媒を用いる場合、増粘剤に併せて分散剤を加え、SBR等のラテックスを用いてスラリー化する。なお、これらの溶媒は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、正極活物質層の厚さは、通常10〜200μm程度である。
なお、塗布、乾燥によって得られた正極活物質層は、正極活物質の充填密度を上げるために、ローラープレス等により圧密化することが好ましい。
正極と負極との間には、短絡を防止するために、通常はセパレータを介在させる。この場合、本発明の非水系電解液は、通常はこのセパレータに含浸させて用いる。
セパレータの材料や形状については特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のものを任意に採用することができる。中でも、本発明の非水系電解液に対し安定な材料で形成された、樹脂、ガラス繊維、無機物等が用いられ、保液性に優れた多孔性シート又は不織布状の形態の物等を用いるのが好ましい。
一方、無機物の材料としては、例えば、アルミナや二酸化ケイ素等の酸化物、窒化アルミや窒化ケイ素等の窒化物、硫酸バリウムや硫酸カルシウム等の硫酸塩が用いられ、粒子形状もしくは繊維形状のものが用いられる。
<電極群>
電極群は、上記の正極板と負極板とを上記のセパレータを介してなる積層構造のもの、及び上記の正極板と負極板とを上記のセパレータを介して渦巻き状に捲回した構造のもののいずれでもよい。電極群の体積が電池内容積に占める割合(以下、電極群占有率と称する)は、通常40%以上であり、50%以上が好ましく、また、通常90%以下であり、80%以下が好ましい。
外装ケースの材質は用いられる非水系電解液に対して安定な物質であれば特に制限されない。具体的には、ニッケルめっき鋼板、ステンレス、アルミニウム又はアルミニウム合金、マグネシウム合金等の金属類、又は、樹脂とアルミ箔との積層フィルム(ラミネートフィルム)が用いられる。軽量化の観点から、アルミニウム又はアルミニウム合金の金属、ラミネートフィルムが好適に用いられる。
保護素子として、異常発熱や過大電流が流れた時に抵抗が増大するPTC(Positive Temperature Coefficient)、温度ヒューズ、サーミスター、異常発熱時に電池内部圧力や内部温度の急激な上昇により回路に流れる電流を遮断する弁(電流遮断弁)等を使用することができる。上記保護素子は高電流の通常使用で作動しない条件のものを選択することが好ましく、保護素子がなくても異常発熱や熱暴走に至らない設計にすることがより好ましい。
本発明の非水系電解液二次電池は、通常、上記の非水系電解液、負極、正極、セパレータ等を外装体内に収納して構成される。この外装体は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のものを任意に採用することができる。具体的に、外装体の材質は任意であるが、通常は、例えばニッケルメッキを施した鉄、ステンレス、アルミウム又はその合金、ニッケル、チタン等が用いられる。
また、外装体の形状も任意であり、例えば円筒型、角形、ラミネート型、コイン型、大型等のいずれであってもよい。
本発明の非水系電解液二次電池は、通常、4.3V以上の電池電圧で使用される。好ましくは電池電圧が4.3V以上であり、更に好ましくは4.35V以上であり、最も好ましくは4.4V以上である。電池電圧を上昇させれば、電池のエネルギー密度を高めることができるからである。一方で、電池電圧を上昇させると、正極の電位が上昇し、正極表面での副反応が増加するという問題が起きる。本発明の電解液および電池を使用することで、上記問題を解決することができるが、電圧が高すぎると正極表面での副反応量が多くなりすぎて電池特性を悪化させる。よって、電池電圧の上限は好ましくは5V以下であり、より好ましくは4.8V以下であり、最も好ましくは4.6V以下である。
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(以下EC)とエチルメチルカーボネート(以下EMC)とジエチルカーボネート(以下DEC)をそれぞれ30体積%、40体積%、30体積%となるように混合した非水溶媒に対し、LiPF6を1.2Mとなるように溶解させた。そこに、ビニレンカーボネートを2質量%加えて非水系電解液を調製した。
乾燥アルゴン雰囲気下、上記非水系電解液に、ビスマレイミドおよび/またはその他の化合物を添加剤として所定の量加えて非水系電解液を調製した。使用した添加剤の種類お
よび量は表1に記載したとおりである。
負極活物質として黒鉛粉末98質量部に、増粘剤、バインダーとしてそれぞれ、カルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン1質量部、及び、スチレン−ブタジエンゴムの水性ディスパージョン1質量部を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。得られたスラリーを銅箔の片面に塗布して乾燥、プレスして負極を作成した。作製した負極は60℃で12時間減圧乾燥して用いた。
正極活物質としてコバルト酸リチウム96.8質量部に、導電助剤1.6質量部、バインダー(pVDF)1.6質量部を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。得られたスラリーをアルミニウム箔の両面に塗布して乾燥、プレスして正極を作成した。作製した正極は80℃で12時間減圧乾燥して用いた。
上記の正極、負極、及びポリエチレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、非水系電解液を袋内に0.4mL注入し、真空封止を行ない、シート状電池を作製した。更に、電極間の密着性を高めるために、ガラス板でシート状電池を挟んで加圧した。
試験1.60℃高温保存試験
上記のように作製した電池を、25℃において、4.4Vまで充電し、3Vまで放電し
、容量が安定するまでコンディショニングを行った。その後、4.4Vまで充電した電池
を60℃の環境下で10日間放置した。この時の回復容量率(%)および電圧低下率(%)を測定した。なお、試験後に25℃において0.2Cで3Vまで放電し、その後、4.4Vまで再度充電してから再び0.2Cで3Vまで放電したときの容量を回復容量としたとき、試験前の容量に対する回復容量の割合を回復容量率とする。また、試験前の電圧と試験後の電圧の差を電圧低下とし、比較例1−1の電圧低下に対する割合を電圧低下率とする(数値が小さいほど良い)。
および1−4では電圧低下率および回復容量率がある程度改善されたが、その効果は限定的であった。一方、本発明の電解液を用いた実施例1−1および1−2を用いた時は、電圧低下率および回復容量率のいずれも改善効果が大きかった。
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(以下EC)とエチルメチルカーボネート(以下EMC)とジエチルカーボネート(以下DEC)をそれぞれ30体積%、40体積%、30体積%となるように混合した非水溶媒に対し、LiPF6を1.2Mとなるように溶解させた。そこに、ビニレンカーボネートを2質量%加えて非水系電解液を調整した。
乾燥アルゴン雰囲気下、上記非水系電解液に、ビスマレイミドおよび/またはその他の化合物を添加剤として所定の量加えて非水系電解液を調製した。使用した添加剤の種類および量は表2に記載したとおりである。
<負極、正極、電池の作製>
実施例1−1で用いた電極と同じものを用いた。
試験2.連続充電試験
上記のように作製した電池を、25℃において、4.4Vまで充電し、3Vまで放電し
、容量が安定するまでコンディショニングを行った。その後、4.4Vまで充電した電池
を60℃の環境下で、4.4Vに保つように14日間充電した(連続充電)。この時の回
復容量率(%)を測定した。なお、試験後に25℃において0.2Cで3Vまで放電し、その後、4.4Vまで再度充電してから再び0.2Cで3Vまで放電したときの容量を回復容量としたとき、試験前の容量に対する回復容量の割合を回復容量率とする。
の他の化合物」を含まない比較例2−1に対し、「その他の化合物」のみを含む比較例2−2では残存・回復容量率が改善されたが、その効果は小さかった。一方、本発明の電解液を用いた実施例2−1ないし2−3を用いた時は、残存・回復容量率の改善効果が大きかった。ここで、ビスマレイミドのみを含む比較例2−3および2−4では残存・回復容量率が改善していないことから、本発明の電解液に特異的な効果があることが分かった。
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(以下EC)とエチルメチルカーボネート(以下EMC)とジエチルカーボネート(以下DEC)をそれぞれ30体積%、40体積%、30体積%となるように混合した非水溶媒に対し、LiPF6を1.2Mとなるように溶解させた。そこに、ビニレンカーボネートを2質量%加えて非水系電解液を調製した。
乾燥アルゴン雰囲気下、上記非水系電解液に、ビスマレイミドおよび/またはその他の化合物を添加剤として所定の量加えて非水系電解液を調製した。使用した添加剤の種類および量は表3に記載したとおりである。
<負極、正極、電池の作製>
実施例1−1で用いた電極と同じものを用いた。
試験3.80℃高温充電試験
上記のように作製した電池を、25℃において、4.4Vまで充電し、3Vまで放電し
、容量が安定するまでコンディショニングを行った。その後、4.4Vまで充電した電池
を80℃の環境下で3日間放置した。この時の電圧低下率(%)を測定した。なお、試験前の電圧と試験後の電圧の差を電圧低下とし、比較例3−1の電圧低下に対する割合を電圧低下率とする(数値が小さいほど良い)。
Claims (6)
- 非水系電解液中の水分量が40ppm以下である、請求項1又は2に記載の非水系電解液。
- さらにニトリル化合物を0.01質量%以上4質量%以下含有し、前記ニトリル化合物が、バレロニトリル、オクタンニトリル、ラウロニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリル、又は3,9−ビス(2−シアノエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の非水系電解液。
- 前記ニトリル化合物がアジポニトリルである、請求項4に記載の非水系電解液。
- 金属イオンを吸蔵・放出しうる正極活物質を有する正極と、金属イオンを吸蔵・放出しうる負極活物質を有する負極と、非水系電解液を備える非水系電解液二次電池であって、
前記請求項1乃至5の何れか一項に記載された非水系電解液を使用することを特徴とする非水系電解液二次電池。
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