JP6413294B2 - 非水系電解液、それを用いた電池 - Google Patents
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Description
非水系電解液電池に用いる電解液は、通常、主として電解質と非水溶媒とから構成されている。リチウムイオン二次電池の電解液としては、LiPF6、LiBF4、LiN(CF3SO2)2等の電解質を 、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ
−ブチロラクトン等の高誘電率溶媒と、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の低粘度溶媒との混合溶媒に溶解させた非水系電解液が用いられている。
本発明は、非水系電解液二次電池において、充電状態での高温保存時における抵抗増加を抑制し、かつ容量低下を抑制する二次電池用非水系電解液と、この非水系電解液を用いた二次電池を提供することを課題とする。
、リン、ホウ素、硫黄原子のうち少なくとも一つを含む基を置換基として有する6員環イミド構造の化合物を電解液中に含有することによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の要旨は、
(a)電解質と非水溶媒を含む非水系電解液において、下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする非水系電解液。
また、別の要旨は、
(b)前記一般式(1)で表される化合物が、下記構造式(2)〜(9)で表される化
合物であることを特徴とする(a)に記載の非水系電解液。
(d)炭素―炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、ハロゲン原子を有する環状カーボネート、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩及びニトリル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物を含有することを特徴とする(a)〜(c)に記載の非水系電解液。
(e)負極、正極及び非水系電解液を含む非水系電解液電池であって、非水系電解液が(a)〜(d)に記載の非水系電解液であることを特徴とする非水系電解液二次電池。
けるガス発生を抑制し、かつ充電状態で高温保存したときの容量低下を抑制することができる。
〔非水系電解液〕
本発明の非水系電解液は、一般的な非水系電解液と同様に、電解質及びこれを溶解する非水溶媒を含有し、前記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする。
本発明の非水系電解液に用いる電解質に制限は無く、目的とする非水系電解液に字電池に電解質として用いられるものであれば公知のものを任意に採用することが出来る。本発明の非水系電解液をリチウム二次電池に用いる場合には、通常は、電解質としてリチウム塩を用いる。
LiBF2(CF3SO2)2、LiBF2(C2F5SO2)2等の含フッ素有機リチウム塩;リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムトリス(オキサラト)フォスフェート、リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)フォスフェート、等の含ジカルボン酸錯体リチウム塩などが挙げられる。
好ましい。
また、電解質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。中でも、特定の無機リチウム塩の2種を併用したり、無機リチウム塩と含フッ素有機リチウム塩とを併用したりすると、トリクル充電時のガス発生が抑制されたり、高温保存後の劣化が抑制されるので好ましい。特に、LiPF6とLiBF4との併
用や、LiPF6、LiBF4等の無機リチウム塩と、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2等の含フッ素有機リチウム塩とを併用することが好ましい。
.05質量%以上、特に好ましくは0.1質量%以上、また、通常50質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、特に好ましくは5質量%以下、最も好ましくは3質量%以下である。比率が0.001質量%以上であることで、所望の効果を得やすくなり、比率が50質量%以下であることで、LiBF4は解離度が低いため電解液の抵抗が高くなることが抑制される。
本発明の非水系電解液中におけるリチウム塩の濃度は、本発明の要旨を損なわない限り任意であるが、通常0.5mol/L以上、好ましくは0.6mol/L以上、より好ましくは0.8mol/L以上である。また、通常3mol/L以下、好ましくは2mol/L以下、より好ましくは1.8モル/リットル以下、更に好ましくは1.6mol/L以下の範囲である。この濃度が上記範囲内にあることにより、非水系電解液の電気伝導率が十分となり、また、粘度上昇による電気伝導率の低下が抑制される。
本発明の非水系電解液が含有する非水溶媒としては、従来から非水系電解液の溶媒として公知のものの中から適宜選択して用いることができる。なお、非水溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せ及び比率で併用してもよい。
通常使用される非水溶媒の例としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、鎖状及び環状カルボン酸エステル、鎖状及び環状エーテル類、含リン有機溶媒、含硫黄有機溶媒などが挙げられる。
鎖状カーボネートとしては、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチルメチルカーボネート、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート等などのジアルキルカーボネート類が挙げられ、構成するアルキル基の炭素数は、それぞれ1以上5以下が好ましく、特に好ましくは1以上4以下である。また、アルキル基の水素の一部または全部をフッ素で置換していてもよい。中でも、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが電池特性向上の点から好ましい。
更に、鎖状エーテルとしては、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシメタン、ジエトキシエタン、エトキシメトキシメタン、エトキシメトキシエタン等が挙げられる。これらの中でも、ジメトキシエタン、ジエトキシエタンがより好ましい。
更に、含リン有機溶媒の種類にも特に制限は無いが、通常使用されるものの例としては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル等のリン酸エステル類; 亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル等、亜リン酸トリフェニル等の亜リン酸エステル類;トリメチルホスフィンオキシド、トリエチルフォスフィンオキシド、トリフェニルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシド類やホスファゼン類などが挙げられる。
上記の非水溶媒の中でも、環状カーボネートであるエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネートより選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、更にこれらと砂上カーボネートであるジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートより選ばれる少なくとも1種を併用することが電解液の粘度と電気伝導度の点から好ましい。
〔1−3.一般式(1)で表される化合物〕
本発明の非水系電解液は、下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、アミル基、t−アミル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。
アルケニル基の具体例としては、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基などが挙げられる。
アルキニル基の具体例としては、エチニル基、プロパルギル基などが挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2−t−ブチルフェニル基、3−t−ブチルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、2−t−アミルフェニル基、3−t−アミルフェニル基、4−t−アミルフェニル基、などが挙げられる。
チル)イソシアヌレート(構造式(4))、1,1-ビス(2-シアノエチル)-N,N'-ジメチル
バルビツール酸(構造式(5))、N,N'-ビス(2-シアノエチル)-N''-プロピルイソシアヌレート(構造式(6))、N,N'-ビス(2-シアノエチル)-N''-2-カルボキシエチルメチルイソシアヌレート(構造式(7))、N,N'-ビス(2-カルボキシエチルメチル)-N''-2-シアノエチルイソシアヌレート(構造式(8))、N,N'-ビスアリル-N''-2-シアノエチルイソシアヌレート(構造式(9))が挙げられ、好ましくは下記構造式(2)〜(5)化合物であり、より好ましくは下記構造式(2)化合物である。
本発明の非水系電解液は、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、各種の添加剤を含有していても良い。添加剤としては、従来公知のものを任意に用いることができる。 尚、添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で
併用してもよい。
過充電防止剤の具体例としては、ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物; 2−フルオロビフェニル、o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、p−シクロヘキシルフルオロベンゼン等の前記芳香族化合物の部分フッ物; 2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール、2,6−ジフルオロアニオール等の含フッ素アニソール化合物; などが
挙げられる。
本発明の非水系電解液が過充電防止剤を含有する場合、その濃度は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、非水系電解液全体に対して、通常0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、また、通常5質量%以下、好ましくは4質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。非水系電解液に過充電防止剤を上記範囲で含有させることによって、過充電による非水系電解液二次電池の破裂・発火を抑制することができ、非水系電解液二次電池の安全性が向上するので好ましい。
炭素―炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物を含有する場合、非水系電解液中におけるその割合は、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、特に好ましくは0.5質量%以上、また、通常10質量%以下、好ましくは8質量%以下、より好ましくは6質量%以下である。炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート化合物の割合が、上記範囲内にあることにより、電池のサイクル特性や高温保存後の容量維持特性を向上させるという効果を十分に発揮でき、また、高温保存時にガス発生量の増大が抑制される。
ート、4,4,5−トリフルオロ−5−メチルエチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート等が挙げられる。これらのうち、フルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−メチルエチレンカーボネートがサイクル特性向上や高温保存特性向上の点から好ましい。これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
非水系電解液がモノフルオロリン酸塩および/またはジフルオロリン酸塩を含有する場合、非水系電解液中におけるその割合は、通常0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.2質量%以上、また、通常5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下である。
セバコニトリル、ウンデカンジニトリル、ドデカンジニトリル、メチルマロノニトリル
、 エチルマロノニトリル、イソプロピルマロノニトリル、tert−ブチルマロノニトリル
、メチルスクシノニトリル、2,2−ジメチルスクシノニトリル、2,3−ジメチルスクシノニトリル、トリメチルスクシノニトリル、テトラメチルスクシノニトリル 、3,3
’−オキシジプロピオニトリル、3,3’−チオジプロピオニトリル、3,3’−(エチレンジオキシ)ジプロピオニトリル、3,3’−(エチレンジチオ)ジプロピオニトリル、1,2,3−プロパントリカルボニトリル、1,3,5−ペンタントリカルボニトリル、 1,2,3−トリス(2−シアノエトキシ)プロパン、トリス(2−シアノエチル)
アミン等 のジニトリルが挙げられ、これらの中でも、ラウロニトリル、スクシノニトリ
ル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリルが好ましい。
非水系電解液がニトリル化合物を含有する場合、非水系電解液中におけるその割合は、通常0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.2質量%以上、また、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2質量%以下である。
メタンスルホンアミド、N,N−ジエチルメタンスルホンアミド、フルオロスルホン酸リチウム等の含硫黄化合物;3,9−ジビニル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等のアセタール化合物;1−メチル−2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピペリドン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルスクシイミド、4−トリフルオロメチルフェニルイソシアネート、1,6−ジイソシアナトヘキサン等の含窒素化合物;ヘプタン、オクタン、シクロヘプタン等の炭化水素化合物;フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、トリフルオロベンゼン、ベンゾトリフルオライド、ペンタフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン等の含フッ素芳香族化合物; などが挙げられる。
非水系電解液は、本発明のリチウム二次電池に用いる際、通常は液体状態で存在するが、例えば、これを高分子によってゲル化して、半固体状電解質にしてもよい。ゲル化に用いる高分子は任意であるが、例えばポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリレート、ポリメタクリレートなどが挙げられる。なお、ゲル化に用いる高分子は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
くは50質量%以上、より好ましくは75質量%以上、また、通常99.95質量%以下、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下である。非水系電解液の比率が30質量%以上であることで、充放電効率や容量の点で十分となり、99.95質量%以下であることで、電解液の保持が困難となり液漏れが生じることが抑制される。
本発明の非水系電解液は、上述した非水溶媒に、上述した電解質と、本発明の前記一般式(1)で表される化合物と、必要に応じて用いられるその他の添加剤などを溶解させることにより、調製することができる。
尚、非水系電解液中に水が存在すると、水の電気分解、水とリチウム金属との反応、リチウム塩の加水分解などが起こる可能性があり、好ましくない。従って、非水系電解液の調製に際して、非水溶媒などの各成分は、予め脱水しておくのが好ましい。具体的には、その水分含有率が通常50ppm以下、中でも20ppm以下の値となるまで脱水しておくことが好ましい。脱水の手法は任意に選択することが可能であるが、例えば減圧下で加熱したり、モレキュラーシーブを通過させたりする等の手法が挙げられる。
本発明の非水系電解液二次電池は、非水系電解液以外の構成については、従来公知の非水系電解液二次電池と同様であり、通常は、本発明の非水系電解液が含浸されている多孔膜(セパレータ)を介して正極と負極が積層され、これらがケース(外装体)に収納された形態を有する。本発明の非水系電解液二次電池の形状は特に制限されるものではなく、円筒型、核型、ラミネート型、コイン型、大型等の何れであってもよい。
非水系電解液としては、上述の本発明の非水系電解液を用いる。なお、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において本発明の非水系電解液に対し、その他の非水系電解液を混合して用いることも可能である。
〔2−2.負極〕
以下に負極に使用される負極活物質について述べる。負極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば、特に制限はない。具体例としては、炭素質材料、合金系材料、リチウム含有金属複合酸化物材料等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、また2種以上を任意に組み合わせて併用してもよい。
負極活物質としては、炭素質材料、合金系材料、リチウム含有金属複合酸化物材料等が挙げられる。
炭素質材料としては、(1)天然黒鉛、(2)人造黒鉛、(3)非晶質炭素、(4)炭素被覆黒鉛、(5)黒鉛被覆黒鉛、(6)樹脂被覆黒鉛等が挙げられる。
球形化処理に用いる装置としては、例えば、衝撃力を主体に粒子の相互作用も含めた圧縮、摩擦、せん断力等の機械的作用を繰り返し粒子に与える装置を用いることができる。具体的には、ケーシング内部に多数のブレードを設置したローターを有し、そのローターが高速回転することによって、内部に導入された炭素材に対して衝撃圧縮、摩擦、せん断力等の機械的作用を与え、球形化処理を行なう装置が好ましい。また、炭素材を循環させることによって機械的作用を繰り返して与える機構を有するものであるのが好ましい。
例えば前述の装置を用いて球形化処理する場合は、回転するローターの周速度を30〜
100m/秒にするのが好ましく、40〜100m/秒にするのがより好ましく、50〜100m/秒にするのが更に好ましい。また、処理は、単に炭素質物を通過させるだけでも可能であるが、30秒以上装置内を循環又は滞留させて処理するのが好ましく、1分以上装置内を循環又は滞留させて処理するのがより好ましい。
(4)炭素被覆黒鉛としては、天然黒鉛及び/又は人造黒鉛と、タール、ピッチや樹脂等の有機化合物である炭素前駆体を混合し、400〜2300℃の範囲で1回以上熱処理し得られる天然黒鉛及び/又は人造黒鉛を核黒鉛とし、非晶質炭素が核黒鉛を被覆している炭素黒鉛複合体が挙げられる。複合の形態は、表面全体または一部を被覆しても、複数の一次粒子を前記炭素前駆体起源の炭素をバインダーとして複合させたものであってもよい。また、天然黒鉛及び/又は人造黒鉛にベンゼン、トルエン、メタン、プロパン、芳香族系の揮発分等の炭化水素系ガス等を高温で反応させ、黒鉛表面に炭素を堆積(CVD)さ
せることでも炭素黒鉛複合体を得ることもできる。
(6)樹脂被覆黒鉛としては、天然黒鉛及び/又は人造黒鉛と、樹脂等を混合、400℃未満の温度で乾燥し得られる天然黒鉛及び/又は人造黒鉛を核黒鉛とし、樹脂等が核黒鉛を被覆している樹脂被覆黒鉛が挙げられる。
上記(2)〜(5)に用いられるタール、ピッチや樹脂等の有機化合物としては、石炭系重質油、直流系重質油、分解系石油重質油、芳香族炭化水素、N環化合物、S環化合物、ポリフェニレン、有機合成高分子、天然高分子、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂からなる群より選ばれた炭化可能な有機化合物などが挙げられる。また、原料有機化合物は混合時の粘度を調整するため、低分子有機溶媒に溶解させて用いても良い。
負極活物質として用いられる合金系材料としては、リチウムを吸蔵・放出可能であれば、リチウム単体、リチウム合金を形成する単体金属及び合金、又はそれらの酸化物、炭化物、窒化物、ケイ化物、硫化物若しくはリン化物等の化合物のいずれであってもよく、特に制限されない。リチウム合金を形成する単体金属及び合金としては、13族及び14族の金属・半金属元素(即ち炭素を除く)を含む材料であることが好ましく、より好ましくはアルミニウム、ケイ素及びスズの単体金属及びこれら原子を含む合金又は化合物である。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
負極活物質として炭素質材料を用いる場合、以下の物性を有するものであることが望ましい。
(X線パラメータ)
炭素質材料の学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)が、通常0.335nm以上であり、また、通常0.360nm以下であり、0.350nm以下が好ましく、0.345nm以下がさらに好ましい。また、学振法によるX線回折で求めた炭素質材料の結晶子サイズ(Lc)は、1.0nm以上であることが好ましく、中でも1.5nm以上であることがさらに好ましい。
炭素質材料の体積基準平均粒径は、レーザー回折・散乱法により求めた体積基準の平均粒径(メジアン径)であり、通常1μm以上であり、3μm以上が好ましく、5μm以上がさらに好ましく、7μm以上が特に好ましく、また、通常100μm以下であり、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましく、25μm以下が特に好ましい。
体積基準平均粒径の測定は、界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの0.2質量%水溶液(約10mL)に炭素粉末を分散させて、レーザー回折・散乱式粒度分布計(例えば、堀場製作所社製LA−700)を用いて行なう。該測定で求められるメジアン径を、本発明の炭素質材料の体積基準平均粒径と定義する。
炭素質材料のラマンR値は、レーザーラマンスペクトル法を用いて測定した値であり、通常0.01以上であり、0.03以上が好ましく、0.1以上がさらに好ましく、また、通常1.5以下であり、1.2以下が好ましく、1以下がさらに好ましく、0.5以下が特に好ましい。
一方、上記範囲を上回ると、粒子表面の結晶性が低下し、非水系電解液との反応性が増し、効率の低下やガス発生の増加を招く場合がある。
面内で回転させることにより行なう。得られるラマンスペクトルについて、1580cm−1付近のピークPAの強度IAと、1360cm−1付近のピークPBの強度IBとを測定し、その強度比R(R=IB/IA)を算出する。該測定で算出されるラマンR値を、本発明の炭素質材料のラマンR値と定義する。
・レーザー波長 :Arイオンレーザー514.5nm(半導体レーザー532nm)
・測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1
・ラマンR値 :バックグラウンド処理、
・スムージング処理 :単純平均、コンボリューション5ポイント
炭素質材料のBET比表面積は、BET法を用いて測定した比表面積の値であり、通常0.1m2・g−1以上であり、0.7m2・g−1以上が好ましく、1.0m2・g−1以上がさらに好ましく、1.5m2・g−1以上が特に好ましく、また、通常100m2・g−1以下であり、25m2・g−1以下が好ましく、15m2・g−1以下がさらに好ましく、10m2・g−1以下が特に好ましい。
炭素質材料の球形の程度として円形度を測定した場合、以下の範囲に収まることが好ましい。なお、円形度は、「円形度=(粒子投影形状と同じ面積を持つ相当円の周囲長)/(粒子投影形状の実際の周囲長)」で定義され、円形度が1のときに理論的真球となる。
炭素質材料の粒径が3〜40μmの範囲にある粒子の円形度は1に近いほど望ましく、また、0.1以上が好ましく、中でも0.5以上が好ましく、0.8以上がより好ましく、0.85以上がさらに好ましく、0.9以上が特に好ましい。高電流密度充放電特性は、円形度が大きいほど向上する。従って、円形度が上記範囲を下回ると、負極活物質の充填性が低下し、粒子間の抵抗が増大して、短時間高電流密度充放電特性が低下する場合がある。
等が挙げられる。
炭素質材料のタップ密度は、通常0.1g・cm−3以上であり、0.5g・cm−3以上が好ましく、0.7g・cm−3以上がさらに好ましく、1g・cm−3以上が特に好ましく、また、2g・cm−3以下が好ましく、1.8g・cm−3以下がさらに好ましく、1.6g・cm−3以下が特に好ましい。タップ密度が、上記範囲を下回ると、負極として用いた場合に充填密度が上がり難く、高容量の電池を得ることができない場合がある。また、上記範囲を上回ると、電極中の粒子間の空隙が少なくなり過ぎ、粒子間の導電性が確保され難くなり、好ましい電池特性が得られにくい場合がある。
炭素質材料の配向比は、通常0.005以上であり、0.01以上が好ましく、0.015以上がさらに好ましく、また、通常0.67以下である。配向比が、上記範囲を下回ると、高密度充放電特性が低下する場合がある。なお、上記範囲の上限は、炭素質材料の配向比の理論上限値である。
・ターゲット:Cu(Kα線)グラファイトモノクロメーター
・スリット :
発散スリット=0.5度
受光スリット=0.15mm
散乱スリット=0.5度
・測定範囲及びステップ角度/計測時間:
(110)面:75度≦2θ≦80度 1度/60秒
(004)面:52度≦2θ≦57度 1度/60秒
炭素質材料のアスペクト比は、通常1以上、また、通常10以下であり、8以下が好ましく、5以下がさらに好ましい。アスペクト比が、上記範囲を上回ると、極板化時にスジ引きや、均一な塗布面が得られず、高電流密度充放電特性が低下する場合がある。なお、上記範囲の下限は、炭素質材料のアスペクト比の理論下限値である。
電極の製造は、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のいずれの方法を用いることができる。例えば、負極活物質に、バインダー、溶媒、必要に応じて、増粘剤、導電材、充填材等を加えてスラリーとし、これを集電体に塗布、乾燥した後にプレスすることによって形成することができる。
また、合金系材料を用いる場合には、蒸着法、スパッタ法、メッキ法等の手法により、上述の負極活物質を含有する薄膜層(負極活物質層)を形成する方法も用いられる。
負極活物質を電極化した際の電極構造は特に制限されないが、集電体上に存在している負極活物質の密度は、1g・cm−3以上が好ましく、1.2g・cm−3以上がさらに好ましく、1.3g・cm−3以上が特に好ましく、また、2.2g・cm−3以下が好ましく、2.1g・cm−3以下がより好ましく、2.0g・cm−3以下がさらに好ましく、1.9g・cm−3以下が特に好ましい。集電体上に存在している負極活物質の密度が、上記範囲を上回ると、負極活物質粒子が破壊され、初期不可逆容量の増加や、集電体/負極活物質界面付近への非水系電解液の浸透性低下による高電流密度充放電特性悪化を招く場合がある。また、上記範囲を下回ると、負極活物質間の導電性が低下し、電池抵抗が増大し、単位容積当たりの容量が低下する場合がある。
<正極活物質>
以下に正極に使用される正極活物質(リチウム遷移金属系化合物)について述べる。
〈リチウム遷移金属系化合物〉
リチウム遷移金属系化合物とは、Liイオンを脱離、挿入することが可能な構造を有する化合物であり、例えば、硫化物やリン酸塩化合物、リチウム遷移金属複合酸化物などが挙げられる。硫化物としては、TiS2やMoS2などの二次元層状構造をもつ化合物や、一般式MexMo6S8(MeはPb,Ag,Cuをはじめとする各種遷移金属)で表される強固な三次元骨格構造を有するシュブレル化合物などが挙げられる。リン酸塩化合物としては、オリビン構造に属するものが挙げられ、一般的にはLiMePO4(Meは少なくとも1種以上の遷移金属)で表され、具体的にはLiFePO4、LiCoPO4、LiNiPO4、LiMnPO4などが挙げられる。リチウム遷移金属複合酸化物としては、三次元的拡散が可能なスピネル構造や、リチウムイオンの二次元的拡散を可能にする層状構造に属するものが挙げられる。スピネル構造を有するものは、一般的にLiMe2O4(Meは少なくとも1種以上の遷移金属)と表され、具体的にはLiMn2O4、LiCoMnO4、LiNi0.5Mn1.5O4、LiCoVO4などが挙げられる。層状構造を有するものは、一般的にLiMeO2(Meは少なくとも1種以上の遷移金属)と表される。具体的にはLiCoO2、LiNiO2、LiNi1−xCoxO2、LiNi1−x−yCoxMnyO2、LiNi0.5Mn0.5O2、Li1.2Cr0.4Mn0.4O2、Li1.2Cr0.4Ti0.4O2、LiMnO2などが挙げらる。
また、リチウム含有遷移金属化合物は、例えば、下記組成式(A)または(B)で示されるリチウム遷移金属系化合物であることが挙げられる。
1)下記組成式(A)で示されるリチウム遷移金属系化合物である場合
Li1+xMO2 …(A)
ただし、xは通常0以上、0.5以下である。Mは、Ni及びMn、或いは、Ni、Mn及びCoから構成される元素であり、Mn/Niモル比は通常0.1以上、5以下である。Ni/Mモル比は通常0以上、0.5以下である。Co/Mモル比は通常0以上、0.5以下である。なお、xで表されるLiのリッチ分は、遷移金属サイトMに置換してい
る場合もある。
さらに、組成式(A)で示されるリチウム遷移金属系化合物は、以下一般式(A’)のとおり、213層と呼ばれるLi2MO3との固溶体であってもよい。
αLi2MO3・(1−α)LiM’O2・・・(A’)
一般式中、αは、0<α<1を満たす数である。
M’は、平均酸化数が3+である少なくとも一種の金属元素であり、好ましくは、V、Mn、Fe、Co及びNiからなる群より選択される少なくとも一種の金属元素であり、より好ましくは、Mn、Co及びNiからなる群より選択される少なくとも一種の金属元素である。
Li[LiaMbMn2−b−a]O4+δ・・・(B)
ただし、Mは、Ni、Cr、Fe、Co、Cu、Zr、AlおよびMgから選ばれる遷移金属のうちの少なくとも1種から構成される元素である。
bの値は通常0.4以上、0.6以下である。
また、aの値は通常0以上、0.3以下である。また、上記組成式中のaは、リチウム遷移金属系化合物の製造段階での仕込み組成である。通常、市場に出回る電池は、電池を組み立てた後に、エージングを行っている。そのため、充放電に伴い、正極のLi量は欠損している場合がある。その場合、組成分析上、3Vまで放電した場合のaが−0.65以上、1以下に測定されることがある。
さらに、δの値は通常±0.5の範囲である。
δの値がこの範囲であれば、結晶構造としての安定性が高く、このリチウム遷移金属系化合物を用いて作製した電極を有する電池のサイクル特性や高温保存が良好である。
上記リチウム遷移金属系化合物の組成式のa,bを求めるには、各遷移金属とリチウムを誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES)で分析して、Li/Ni/Mnの比を求める事で計算される。
また、上記リチウム遷移金属系化合物は、フッ素置換されていてもよく、LiMn2O4‐xF2xと表記される。
上記の組成のリチウム遷移金属系化合物の具体例としては、例えば、Li1+xNi0.5Mn0.5O2、Li1+xNi0.85Co0.10Al0.05O2、Li1+xNi0.33Mn0.33Co0.33O2、Li1+xNi0.45Mn0.45Co0.1O2、Li1+xMn1.8Al0.2O4、Li1+xMn1.5Ni0.5O4等が挙げられる。これらのリチウム遷移金属系化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上をブレンドして用いても良い。
また、リチウム遷移金属系化合物は、異元素が導入されてもよい。異元素としては、B,Na,Mg,Al,K,Ca,Ti,V,Cr,Fe,Cu,Zn,Sr,Y,Zr,Nb,Ru,Rh,Pd,Ag,In,Sb,Te,Ba,Ta,Mo,W,Re,Os,Ir,Pt,Au,Pb,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Bi,N,F,S,Cl,Br,I,As,Ge,P,Pb,Sb,SiおよびSnの何れか1種以上の中から選択される。これらの異元素は、リチウム遷移金属系化合物の結晶構造内に取り込まれていてもよく、あるいは、リチウム遷移金属系化合物の結晶構造内に取り込まれず、その粒子表面や結晶粒界などに単体もしくは化合物として偏在していてもよい。
リチウム二次電池用正極は、上述のリチウム二次電池正極材料用リチウム遷移金属系化合物粉体及び結着剤を含有する正極活物質層を集電体上に形成してなるものである。
正極活物質層は、通常、正極材料と結着剤と更に必要に応じて用いられる導電材及び増粘剤等を、乾式で混合してシート状にしたものを正極集電体に圧着するか、或いはこれらの材料を液体媒体中に溶解又は分散させてスラリー状にして、正極集電体に塗布、乾燥することにより作成される。
正極集電体として薄膜を使用する場合、その厚さは任意であるが、通常1μm以上、100mm以下の範囲が好適である。上記範囲よりも薄いと、集電体として必要な強度が不足する可能性がある一方で、上記範囲よりも厚いと、取り扱い性が損なわれる可能性がある。
ジエン・スチレンブロック共重合体及びその水素添加物、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・エチレン共重合体、スチレン・イソプレンスチレンブロック共重合体及びその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子、アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。なお、これらの物質は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
正極活物質層には、通常、導電性を高めるために導電材を含有させる。その種類に特に制限はないが、具体例としては、銅、ニッケル等の金属材料や、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト)、アセチレンブラック等のカーボンブラック、ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素材料などを挙げることができる。なお、これらの物質は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。正極活物質層中の導電材の割合は、通常0.01質量%以上、50質量%以下である。導電材の割合が低すぎると導電性が不十分になることがあり、逆に高すぎると電池容量が低下することがある。
また、正極活物質層の厚さは、通常10〜200μm程度である。
なお、塗布、乾燥によって得られた正極活物質層は、正極活物質の充填密度を上げるために、ローラープレス等により圧密化することが好ましい。
かくして、リチウム二次電池用正極が調製できる。
正極と負極との間には、短絡を防止するために、通常はセパレータを介在させる。この場合、本発明の非水系電解液は、通常はこのセパレータに含浸させて用いる。
セパレータの材料や形状については特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のものを任意に採用することができる。中でも、本発明の非水系電解液に対し安定な材料で形成された、樹脂、ガラス繊維、無機物等が用いられ、保液性に優れた多孔性シート又は不織布状の形態の物等を用いるのが好ましい。
一方、無機物の材料としては、例えば、アルミナや二酸化ケイ素等の酸化物、窒化アルミや窒化ケイ素等の窒化物、硫酸バリウムや硫酸カルシウム等の硫酸塩が用いられ、粒子形状もしくは繊維形状のものが用いられる。
水系リチウム二次電池のセパレータとして使用した場合、ガーレ値が低いということは、リチウムイオンの移動が容易であることを意味し、電池性能に優れるため好ましい。セパレータのガーレ値は、任意ではあるが、好ましくは10〜1000秒/100mlであり、より好ましくは15〜800秒/100mlであり、更に好ましくは20〜500秒/100mlである。ガーレ値が1000秒/100ml以下であれば、実質的には電気抵抗が低く、セパレータとしては好ましい。
<電極群>
電極群は、上記の正極板と負極板とを上記のセパレータを介してなる積層構造のもの、及び上記の正極板と負極板とを上記のセパレータを介して渦巻き状に捲回した構造のもののいずれでもよい。電極群の体積が電池内容積に占める割合(以下、電極群占有率と称する)は、通常40%以上であり、50%以上が好ましく、また、通常90%以下であり、80%以下が好ましい。
外装ケースの材質は用いられる非水系電解液に対して安定な物質であれば特に制限されない。具体的には、ニッケルめっき鋼板、ステンレス、アルミニウム又はアルミニウム合金、マグネシウム合金等の金属類、又は、樹脂とアルミ箔との積層フィルム(ラミネートフィルム)が用いられる。軽量化の観点から、アルミニウム又はアルミニウム合金の金属、ラミネートフィルムが好適に用いられる。
保護素子として、異常発熱や過大電流が流れた時に抵抗が増大するPTC(Positive Temperature Coefficient)、温度ヒューズ、サーミスター、異常発熱時に電池内部圧力や内部温度の急激な上昇により回路に流れる電流を遮断する弁(電流遮断弁)等を使用することができる。上記保護素子は高電流の通常使用で作動しない条件のものを選択することが好ましく、保護素子がなくても異常発熱や熱暴走に至らない設計にすることがより好ましい。
本発明の非水系電解液二次電池は、通常、上記の非水系電解液、負極、正極、セパレータ等を外装体内に収納して構成される。この外装体は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のものを任意に採用することができる。具体的に、外装体の材質は任意であるが、通常は、例えばニッケルメッキを施した鉄、ステンレス、アルミウ
ム又はその合金、ニッケル、チタン等が用いられる。
また、外装体の形状も任意であり、例えば円筒型、角形、ラミネート型、コイン型、大型等のいずれであってもよい。
<非水系電解液の調製>
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートの混合物(容量比3:3:4)に、十分に乾燥したLiPF6を1mol/Lとなるように加え、さらに各種化合物を表-1で示す化合物の組み合わせで、表記載の
濃度となるように溶解して、実施例及び比較例の非水系電解液を調製した。
なお、表中のVCはビニレンカーボネート、化合物(2)、化合物(16)は、以下に示す化合物である。
正極活物質としてのコバルト酸リチウム(LiCoO2)94質量%と、導電材としてのアセチレンブラック3質量%と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)3質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で混合して、スラリー化した。得られたスラリーを1平方センチメートルあたり50ミリグラムになるように、厚さ12μmのアルミ箔の両面に塗布して乾燥し、プレス機で厚さ85μmに圧延したものを、活物質が幅30mm、長さ40mmとなるように切り出して正極とした。作成した正極は摂氏80度において12時間減圧乾燥をして用いた。
負極活物質として、非炭素材料であるケイ素73.2質量部および銅8.1質量部と、人造黒鉛粉末(ティムカル社製商品名「KS−6」)12.2質量部とを用い、これらにポリフッ化ビニリデンを12質量部含有するN−メチルピロリドン溶液54.2質量部、および、N−メチルピロリドン50質量部を加え、ディスパーザーで混合してスラリー状とした。得られたスラリーを、負極集電体である厚さ18μmの銅箔上に均一に塗布して負極とし、その後電極密度が1.5g・cm-3程度となるようにプレスし、活物質が幅
30mm、長さ40mmとなるように切り出して負極(ケイ素合金負極)とした。なお、この負極は摂氏60度で12時間減圧乾燥して用いた。
上記の正極、負極、及びポリエチレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ
40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、非水系電解液を袋内に0.4mL注入し、真空封止を行ない、シート状電池を作製した。更に、電極間の密着性を高めるために、ガラス板でシート状電池を挟んで加圧した。
1.高温保存試験
上記シート状の電池を、25℃において0.2Cに相当する定電流で充電終止電圧4.33V、放電終止電圧3Vで充放電を数サイクル行って安定させた。その後、4.33V−定電流定電圧充電(0.05Cカット)を行った後、85℃、1日間の条件で高温保存試験を行った。この高温保存前後に、インピーダンス測定を行い、保存後の抵抗を評価した。また保存前の放電容量に対する保存後の放電容量の割合を容量残存率(%)として評価した。結果を表−1に示す。
また、本発明の一般式(1)化合物を含有しない電解液を使用した比較例1に対し、本発明の一般式(1)化合物を含有する電解液を使用した実施例1、2では、容量残存率が向上した。
また、ビニレンカーボネートを含有する場合においても、本発明の一般式(1)化合物を含有しない電解液を使用した比較例2に対し、本発明の一般式(1)化合物を含有する電解液を使用した実施例3、4では、保存後の抵抗が低下した。その一方で本発明の一般式(1)化合物でなく、−NCOを含む化合物(16)を含有する電解液を使用した比較例3では、比較例2に対し保存後の抵抗が低下するものの、その効果は小さかった。
これらのことから、本発明の一般式(1)化合物は充電状態での高温保存時における抵抗増加を抑制し、かつ容量低下を抑制する効果があるといえる。
Claims (5)
- 前記一般式(1)で表される化合物の含有量が非水電解液全体に対して0.001質量
%以上10質量%以下の割合で含有することを特徴とする請求項1乃至2の何れか1項に
記載の非水系電解液。 - 炭素―炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、ハロゲン原子を有する環状カーボネ
ート、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩及びニトリル化合物からなる群より選
ばれる少なくとも1つの化合物を含有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項
に記載の非水系電解液。 - 負極、正極及び非水系電解液を含む非水系電解液電池であって、非水系電解液が請求項
1乃至4の何れか1項に記載の非水系電解液であることを特徴とする非水系電解液二次電
池。
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