JP2019182909A - タイヤ用ゴム組成物および空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】良好なシリカの分散性、低燃費性能を有するゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤを提供する。【解決手段】SiOR基(Rは、水素原子又は炭化水素基)を有するスチレンブタジエンゴムを30質量%以上含むゴム成分と、窒素吸着比表面積が210m2/g以上のシリカをゴム成分100質量部に対して50質量部以上と、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩からなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤とを含み、上記シリカと上記界面活性剤とは、同一の時期にゴムと混練りされる、タイヤ用ゴム組成物に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物および空気入りタイヤに関する。
従来より、タイヤには良好な低燃費性能が要求されており、該要求を満たすために、充填剤として、シリカが使用されている。
例えば、特許文献1には、シリカを含有することにより、低燃費性能を改善できることが開示されているが、まだ改善の余地があり、また他の技術の開発も望まれている。
特開2007−177221号公報
本発明者は鋭意検討した結果、従来の技術ではシリカの分散性、低燃費性能に改善の余地があること、特に、シリカとして、窒素吸着比表面積の大きな微粒子シリカを用いた場合に、シリカの分散性、低燃費性能に改善の余地があることが判明した。
そこで、本発明は、良好なシリカの分散性、低燃費性能を有するゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、SiOR基(Rは、水素原子又は炭化水素基)を有するスチレンブタジエンゴムを30質量%以上含むゴム成分と、窒素吸着比表面積が210m/g以上のシリカをゴム成分100質量部に対して50質量部以上と、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩からなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤とを含み、上記シリカと上記界面活性剤とが、同一の時期にゴムと混練りされる、タイヤ用ゴム組成物に関する。
上記界面活性剤の含有量X(質量部)と、シランカップリング剤の含有量Y(質量部)の比率X/Yが0.05〜20であることが好ましい。
上記シリカの含有量Z(質量部)と、上記界面活性剤の含有量X(質量部)と、シランカップリング剤の含有量Y(質量部)の比率Z/(X+Y)が3〜30であることが好ましい。
上記界面活性剤が、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩であることが好ましい。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製したタイヤ部材を有する空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、SiOR基(Rは、水素原子又は炭化水素基)を有するスチレンブタジエンゴムを30質量%以上含むゴム成分と、窒素吸着比表面積が210m/g以上のシリカをゴム成分100質量部に対して50質量部以上と、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩からなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤とを含み、上記シリカと上記界面活性剤とが、同一の時期にゴムと混練りされる、タイヤ用ゴム組成物であるので、良好なシリカの分散性、低燃費性能を有する。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、SiOR基(Rは、水素原子又は炭化水素基)を有するスチレンブタジエンゴムを30質量%以上含むゴム成分と、窒素吸着比表面積が210m/g以上のシリカをゴム成分100質量部に対して50質量部以上と、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩からなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤とを含み、上記シリカと上記界面活性剤とが、同一の時期にゴムと混練りされる。
上記ゴム組成物によって良好なシリカの分散性、低燃費性能が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のように推察される。
SiOR基を有するスチレンブタジエンゴム(変性SBR)は、SiOR基がシリカ表面に存在する水酸基と相互作用することにより、シリカ同士の凝集を抑制でき、シリカの分散性を改善できる。更に、上記界面活性剤は、ポリオキシアルキレン部分の存在及び硫酸部分の存在により、親水性を呈するシリカ表面に好適に吸着し、分子末端に存在するアルケニル基やアルキル基によりシリカ表面を疎水化することにより、シリカ同士の凝集を抑制でき、シリカの分散性を改善できると共に、加硫促進剤のシリカへの吸着も防止できる。そして、上記変性SBRと上記界面活性剤とを併用することにより、シリカの分散性の改善が相乗的に進み、従来技術に比べてより良好なシリカの分散性、低燃費性能が得られる。これは、上記界面活性剤の存在により、シリカと上記変性SBRとの親和性が向上しているためと推測される。そして、この効果は、特に、窒素吸着比表面積が210m/g以上のシリカをゴム成分100質量部に対して50質量部以上と、微粒子シリカを比較的多量配合したゴム組成物において顕著に発揮される。これは、微粒子シリカはシリカの凝集力の強さに起因して凝集しやすいものの、上記変性SBRと上記界面活性剤とを併用することにより、微粒子シリカの分散性の改善が相乗的に進みやすく、分散性の改善効果が発揮されやすいためと推測される。
よって、本願発明では、窒素吸着比表面積が210m/g以上のシリカをゴム成分100質量部に対して50質量部以上と、微粒子シリカを比較的多量配合した場合であっても、良好なシリカの分散性、低燃費性能を有するゴム組成物を提供できるものと推察される。
更に、本願発明では、上記シリカと上記界面活性剤とが、同一の時期にゴムと混練りされるため、上記変性SBRと上記界面活性剤とを併用する効果がより顕著に得られる。
また、本願発明では、良好なシリカの分散性、低燃費性能に加えて、良好な加工性能、耐摩耗性能、グリップ性能も得られる。
また、SiOR基(Rは、水素原子又は炭化水素基)を有するスチレンブタジエンゴムと、上記界面活性剤とを併用することにより、シリカの分散性、低燃費性能を相乗的に改善できる。
上記ゴム組成物はゴム成分として、SiOR基(Rは、水素原子又は炭化水素基)を有するスチレンブタジエンゴム(変性SBR)を含む。
変性SBRとしては、SiOR基を有するSBRであればよく、例えば、SBRの少なくとも一方の末端を、SiOR基を有する化合物(変性剤)で変性された末端変性SBR(末端にSiOR基を有する末端変性SBR)や、主鎖にSiOR基を有する主鎖変性SBRや、主鎖及び末端にSiOR基を有する主鎖末端変性SBR(例えば、主鎖にSiOR基を有し、少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性された主鎖末端変性SBR)等が挙げられる。また、変性SBRは、更に、スズ化合物などの多官能化合物によりカップリングされていてもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Rの炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらの組み合わせ等が挙げられる。なかでも、脂肪族炭化水素基が好ましい。また、直鎖状が好ましい。炭化水素基の炭素数は、効果がより良好に得られるという理由から、好ましくは1以上であり、好ましくは20以下、より好ましくは12以下、更に好ましくは6以下、特に好ましくは3以下である。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1以上のものが好ましく、また、炭素数20以下のものが好ましく、12以下のものがより好ましく、6以下のものが更に好ましく、3以下のものが特に好ましい。好ましい例として、上記炭素数のアルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。なかでも、効果がより良好に得られるという理由から、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい。
脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、トリル(tolyl)基、キシリル(xylyl)基、ナフチル基等が挙げられる。なお、トリル基及びキシリル基におけるベンゼン環上のメチル基の置換位置は、オルト位、メタ位、パラ位のいずれの位置でもよい。
Rとしては、効果がより良好に得られるという理由から、水素原子、上記炭素数の脂肪族炭化水素基が好ましく、水素原子、上記炭素数のアルキル基がより好ましい。
SiOR基は、通常、下記式(A)で表される基である。
Figure 2019182909
(式(A)中、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子、炭化水素基、又はOR基(Rは、水素原子又は炭化水素基)を表す。)
及びRの炭化水素基は、Rの炭化水素基と同様の基が挙げられ、好適な態様も同様である。なお、OR基は、SiOR基で説明した基(SiOR基中のOR基)と同様の基が挙げられ、好適な態様も同様である。
及びRは、効果がより好適に得られるという理由から、共にOR基であることが好ましい。すなわち、SiOR基は、Si(OR)基であることが好ましい。
変性SBRは、SiOR基に加えて、更に他の官能基を有していてもよい。
上記官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、効果がより好適に得られるという理由から、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1〜6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基)が好ましい。
変性SBRとしては、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)のいずれでもよい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
変性SBRの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは20万以上であり、より好ましくは30万以上、更に好ましくは50万以上である。また、該Mwの上限は特に限定されないが、好ましくは200万以下、より好ましくは150万以下、更に好ましくは100万以下である。上記範囲内であると、効果が良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、ゴム成分の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMULTIPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
変性SBRのスチレン量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上である。また、該スチレン量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、特に好ましくは25質量%以下である。上記範囲内であると、効果が良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、SBRのスチレン量は、H−NMR測定により算出される。
変性SBRのビニル量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、特に好ましくは30質量%以上、最も好ましくは40質量%以上である。また、該ビニル量は、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。上記範囲内であると、効果が良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、ビニル量(1,2−結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
変性SBRとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)、ダウ社等により製造・販売されているSBRを使用できる。
ゴム成分100質量%中の変性SBRの含有量は、30質量%以上であり、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上であり、上限は100質量%であってもよいが、他のゴムを含有する場合は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。上記範囲内であると、効果が良好に得られる傾向がある。
変性SBR以外に上記ゴム組成物に使用できるゴム成分としては、上記変性SBR以外のSBR、ブタジエンゴム(BR)、イソプレン系ゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合ゴム(SIBR)等のジエン系ゴムが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記変性SBR以外のSBR(第2のSBR)としては、官能基を有さない非変性SBRが好ましい。
第2のSBRの好ましい重量平均分子量(Mw)、スチレン量、ビニル量は、変性SBRの好ましい重量平均分子量(Mw)、スチレン量、ビニル量と同様である。
第2のSBRとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)、ダウ社等により製造・販売されているSBRを使用できる。
ゴム成分100質量%中のSBRの合計含有量(変性SBR及び第2のSBRの合計含有量)は、好ましくは30質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは70質量%以上であり、上限は100質量%であってもよいが、SBR以外のゴムを含有する場合は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。上記範囲内であると、効果が良好に得られる傾向がある。
BRとしては特に限定されず、例えば、高シス含量のBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR、希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴム(希土類系BR)等を使用できる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、高シス含量のBRが好ましい。
BRは、非変性BRでもよいし、変性BRでもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
変性BRとしては、上述の変性SBRと同様の官能基が導入された変性BRが挙げられる。
BRのシス含量は、好ましくは90質量%以上、より好ましくは93質量%以上、更に好ましくは95質量%以上である。下限以上にすることで、良好な耐摩耗性能が得られる傾向がある。
なお、本明細書においてゴム成分のシス含量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
BRとしては、例えば、宇部興産(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)、Lanxess(株)等の製品を使用できる。
ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。上記範囲内であると、効果が良好に得られる傾向がある。
ゴム成分100質量%中のSBR(変性SBR及び第2のSBR)、BRの合計含有量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、100質量%であってもよい。上記範囲内であると、効果が良好に得られる傾向がある。
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、IR2200等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRとしては、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等、が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は、効果を阻害しない範囲であれば特に限定されず、好ましくは5質量%以上であり、好ましくは20質量%以下である。
上記ゴム組成物は窒素吸着比表面積が210m/g以上のシリカをゴム成分100質量部に対して50質量部以上含む。
シリカとしては、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)等が挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、220m/g以上が好ましく、230m/g以上がより好ましく、240m/g以上が更に好ましい。また、該NSAは、300m/g以下が好ましく、270m/g以下がより好ましい。上記範囲内であると、効果が良好に得られる傾向がある。
なお、シリカの窒素吸着比表面積は、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
上記シリカとしては、例えば、デグッサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。
上記シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、50質量部以上であり、好ましくは60質量部以上、より好ましくは70質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは130質量部以下、更に好ましくは120質量部以下、特に好ましくは100質量部以下である。上記範囲内であると、効果が良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は上記シリカと共に、上記シリカ以外のシリカ(第2のシリカ)を配合してもよい。この場合、シリカの合計含有量は、上記シリカを単独で用いる場合の含有量と同様の量とすればよい。
上記ゴム組成物は、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩からなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤を含む。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記界面活性剤は、エチレンオキサイド構造及び/又はプロピレンオキサイド構造を有することが好ましい。親水基として、エチレンオキサイド構造及び/又はプロピレンオキサイド構造を有するものは、シリカとの親和性を高めることができ、効果がより好適に得られる。なかでも、エチレンオキサイド構造を有するものが好ましい。また、エチレンオキサイド構造及び/又はプロピレンオキサイド構造を有する場合、エチレンオキサイド(EO)及びプロピレンオキサイド(PO)の平均付加モル数(EO及びPOの平均付加モル数の合計)が10以上であることが好ましく、13以上であることがより好ましい。また、該平均付加モル数は、好ましくは80以下、より好ましくは60以下、更に好ましくは40以下である。この場合、シリカとの親和性がより高められ、効果がより好適に得られる。
また、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩におけるアルケニル基の炭素数、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩におけるアルキル基の炭素数は、8以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましい。また、該炭素数は、好ましくは20以下、より好ましくは18以下、更に好ましくは15以下である。この場合、シリカの分散性がより高められ、効果がより好適に得られる。
上記界面活性剤の塩形態としては、特に限定されず、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属の塩;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属の塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類の塩;アンモニウム塩等が挙げられる。なかでも、効果がより好適に得られるという理由から、アルカリ金属塩、アンモニウム塩が好ましく、ナトリウム塩、アンモニウム塩がより好ましい。
上記界面活性剤のHLB値(グリフィン法で算出)は、好ましくは12以上、より好ましくは13以上である。また、該HLB値は、好ましくは19以下、より好ましくは17以下である。上記範囲内であると、効果が良好に得られる傾向がある。
ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩としては、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩が好ましい。
ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩としては、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩が好ましく、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウムがより好ましい。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウムがより好ましい。
上記界面活性剤としては、例えば、花王(株)、ライオン(株)、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)等の製品を使用できる。
上記界面活性剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内であると、効果が良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は上記界面活性剤と共に、上記界面活性剤以外の界面活性剤(第2の界面活性剤)を配合してもよい。この場合、界面活性剤の合計含有量は、上記界面活性剤を単独で用いる場合の含有量と同様の量とすればよい。
上記ゴム組成物は、更にシランカップリング剤を含有することが好ましい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピルジスルフィド)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、Momentive社製のNXT、NXT−Zなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などのグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、効果が良好に得られる傾向がある点から、スルフィド系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤が好ましく、メルカプト系シランカップリング剤がより好ましい。
なお、本明細書において、メルカプト系シランカップリング剤とは、メルカプト基(−SH)を有するシランカップリング剤に限定されず、メルカプト基の誘導体基(例えば、カルボニルチオ基(−S−C(=O)−))を有するシランカップリング剤をも含む概念である。ここで、メルカプト基の誘導体基とは、メルカプト基(−SH)から合成反応により直接誘導される基に限定されず、メルカプト基(−SH)の水素原子が他の原子または原子団に置換された構造を有する基をも含む概念である。
メルカプト系シランカップリング剤としては、メルカプト基(−SH)を有するシランカップリング剤が好ましく、下記式(1)で表される化合物、及び/又は下記式(2)で示される結合単位Aと下記式(3)で示される結合単位Bとを含む化合物がより好ましく、下記式(2)で示される結合単位Aと下記式(3)で示される結合単位Bとを含む化合物が更に好ましい。これにより、効果がより好適に得られる。
Figure 2019182909
(式(1)中、R101〜R103は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルコキシ基、又は−O−(R111−O)−R112(z個のR111は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。z個のR111はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R112は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、又は炭素数7〜30のアラルキル基を表す。zは1〜30の整数を表す。)で表される基を表す。R101〜R103はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R104は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜6のアルキレン基を表す。)
Figure 2019182909
Figure 2019182909
(式(2)及び(3)中、xは0以上の整数、yは1以上の整数である。R201は水素、ハロゲン、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基、又は該アルキル基の末端の水素が水酸基若しくはカルボキシル基で置換されたものを表す。R202は分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基、又は分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基を表す。R201とR202とで環構造を形成してもよい。)
以下、式(1)で表される化合物について説明する。
式(1)で表される化合物を使用することで、シリカが良好に分散し、効果がより良好に得られる。
101〜R103は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルコキシ基、又は−O−(R111−O)−R112で表される基を表す。効果が良好に得られるという点から、R101〜R103は、少なくとも1つが−O−(R111−O)−R112で表される基であることが好ましく、2つが−O−(R111−O)−R112で表される基であり、かつ、1つが分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルコキシ基であることがより好ましい。
101〜R103の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基などがあげられる。
炭素数の上限は、好ましくは5である。
101〜R103の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトシキ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトシキ基、tert−ブトシキ基、ペンチルオキシ基、へキシルオキシ基、へプチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基などがあげられる。
炭素数の上限は、好ましくは5である。
101〜R103の−O−(R111−O)−R112において、R111は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜15、より好ましくは炭素数1〜3)の2価の炭化水素基を表す。
該炭化水素基としては、例えば、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基、炭素数6〜30のアリーレン基などがあげられる。中でも、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基が好ましい。
111の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基などがあげられる。
炭素数の上限は、好ましくは15、より好ましくは3である。
111の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基、1−ヘキセニレン基、2−ヘキセニレン基、1−オクテニレン基などがあげられる。
炭素数の上限は、好ましくは15、より好ましくは3である。
111の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基としては、例えば、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基、ヘキシニレン基、へプチニレン基、オクチニレン基、ノニニレン基、デシニレン基、ウンデシニレン基、ドデシニレン基などがあげられる。
炭素数の上限は、好ましくは15、より好ましくは3である。
111の炭素数6〜30のアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、トリレン基、キシリレン基、ナフチレン基などがあげられる。
炭素数の上限は、好ましくは炭素数15である。
zは1〜30の整数を表す。下限は、好ましくは2、より好ましくは3、さらに好ましくは5であり、上限は、好ましくは20、より好ましくは7、さらに好ましくは6である。
112は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基又は炭素数7〜30のアラルキル基を表す。中でも、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基が好ましい。
112の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基などがあげられる。
炭素数の下限は、好ましくは3、より好ましくは10であり、炭素数の上限は、好ましくは25、より好ましくは15である。
112の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−オクテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、オクタデセニル基などがあげられる。
炭素数の下限は、好ましくは3、より好ましくは10であり、炭素数の上限は、好ましくは25、より好ましくは15である。
112の炭素数6〜30のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基などがあげられる。
炭素数の下限は、好ましくは10であり、炭素数の上限は、好ましくは20である。
112の炭素数7〜30のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基などがあげられる。
炭素数の下限は、好ましくは炭素数10であり、炭素数の上限は、好ましくは20である。
−O−(R111−O)−R112で表される基の具体例としては、例えば、−O−(C−O)−C1123、−O−(C−O)−C1225、−O−(C−O)−C1327、−O−(C−O)−C1429、−O−(C−O)−C1531、−O−(C−O)−C1327、−O−(C−O)−C1327、−O−(C−O)−C1327、−O−(C−O)−C1327などがあげられる。中でも、−O−(C−O)−C1123、−O−(C−O)−C1327、−O−(C−O)−C1531、−O−(C−O)−C1327が好ましい。
104の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜6のアルキレン基としては、例えば、R111の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基と同様の基をあげることができる。
炭素数の上限は、好ましくは5である。
上記式(1)で表される化合物としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシランや、下記式で表される化合物(EVONIK−DEGUSSA社製のSi363)などがあげられ、下記式で表される化合物を好適に使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
Figure 2019182909
次に、式(2)で示される結合単位Aと式(3)で示される結合単位Bとを含む化合物について説明する。
効果がより良好に得られるという理由から、上記構造のシランカップリング剤において、結合単位Aの含有量は、好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上であり、好ましくは99モル%以下、より好ましくは90モル%以下である。また、結合単位Bの含有量は、好ましくは1モル%以上、より好ましくは5モル%以上、さらに好ましくは10モル%以上であり、好ましくは70モル%以下、より好ましくは65モル%以下、さらに好ましくは55モル%以下である。また、結合単位A及びBの合計含有量は、好ましくは95モル%以上、より好ましくは98モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
なお、結合単位A、Bの含有量は、結合単位A、Bがシランカップリング剤の末端に位置する場合も含む量である。結合単位A、Bがシランカップリング剤の末端に位置する場合の形態は特に限定されず、結合単位A、Bを示す式(2)、(3)と対応するユニットを形成していればよい。
201のハロゲンとしては、塩素、臭素、フッ素などがあげられる。
201の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などがあげられる。該アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜12である。
201の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−オクテニル基などがあげられる。該アルケニル基の炭素数は、好ましくは2〜12である。
201の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、へプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基などがあげられる。該アルキニル基の炭素数は、好ましくは2〜12である。
202の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基などがあげられる。該アルキレン基の炭素数は、好ましくは1〜12である。
202の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基としては、ビニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基、1−ヘキセニレン基、2−ヘキセニレン基、1−オクテニレン基などがあげられる。該アルケニレン基の炭素数は、好ましくは2〜12である。
202の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基としては、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基、ヘキシニレン基、へプチニレン基、オクチニレン基、ノニニレン基、デシニレン基、ウンデシニレン基、ドデシニレン基などがあげられる。該アルキニレン基の炭素数は、好ましくは2〜12である。
式(2)で示される結合単位Aと式(3)で示される結合単位Bとを含む化合物において、結合単位Aの繰り返し数(x)と結合単位Bの繰り返し数(y)の合計の繰り返し数(x+y)は、3〜300の範囲が好ましい。この範囲内であると、結合単位Bのメルカプトシランを、結合単位Aの−C15が覆うため、スコーチタイムが短くなることを抑制できるとともに、シリカやゴム成分との良好な反応性を確保することができる。
式(2)で示される結合単位Aと式(3)で示される結合単位Bとを含む化合物としては、例えば、Momentive社製のNXT−Z30、NXT−Z45、NXT−Z60などを使用することができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シランカップリング剤としては、例えば、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、3質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。また、上記含有量は、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましい。上記範囲内であると、効果が良好に得られる傾向がある。
上記界面活性剤の含有量X(質量部)と、シランカップリング剤の含有量Y(質量部)の比率X/Yが0.05〜20であることが好ましい。上記範囲内であると、効果が良好に得られる傾向がある。ここで、含有量は、ゴム成分100質量部に対する含有量を意味する。
X/Yの下限は、好ましくは0.1、より好ましくは0.2、更に好ましくは0.25であり、X/Yの上限は、好ましくは10、より好ましくは5、更に好ましくは2、最も好ましくは1である。
窒素吸着比表面積が210m/g以上のシリカの含有量Z(質量部)と、上記界面活性剤の含有量X(質量部)と、シランカップリング剤の含有量Y(質量部)の比率Z/(X+Y)が3〜30であることが好ましい。上記範囲内であると、効果が良好に得られる傾向がある。ここで、含有量は、ゴム成分100質量部に対する含有量を意味する。
Z/(X+Y)の下限は、好ましくは4、より好ましくは5であり、Z/(X+Y)の上限は、好ましくは20、より好ましくは15、更に好ましくは12、特に好ましくは10、最も好ましくは8である。
上記ゴム組成物は、カーボンブラックを含有することが好ましい。これにより、効果が好適に得られる。
カーボンブラックとしては、特に限定されないが、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、70m/g以上が好ましく、80m/g以上がより好ましく、100m/g以上が更に好ましい。また、上記NSAは、300m/g以下が好ましく、250m/g以下がより好ましく、200m/g以下が更に好ましく、160m/g以下が特に好ましい。上記範囲内であると、効果が良好に得られる傾向がある。
なお、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K 6217−2:2001によって求められる。
カーボンブラックとしては、例えば、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱化学(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは60質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、特に好ましくは20質量部以下、最も好ましくは10質量部以下である。上記範囲内であると、効果が良好に得られる傾向がある。
カーボンブラックの含有量A(質量部)と、窒素吸着比表面積が210m/g以上のシリカの含有量Z(質量部)の比率A/Zが0.01〜120であることが好ましい。上記範囲内であると、効果が良好に得られる傾向がある。ここで、含有量は、ゴム成分100質量部に対する含有量を意味する。
A/Zの下限は、好ましくは0.02、より好ましくは0.03であり、A/Zの上限は、好ましくは20、より好ましくは1、更に好ましくは0.5、特に好ましくは0.2である。
上記ゴム組成物は、オイルを含有してもよい。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂、又はその混合物が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。植物油脂としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、アロマ系プロセスオイルが好ましい。
オイルとしては、例えば、出光興産(株)、三共油化工業(株)、(株)ジャパンエナジー、オリソイ社、H&R社、豊国製油(株)、昭和シェル石油(株)、富士興産(株)等の製品を使用できる。
オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは20質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは70質量部以下、より好ましくは50質量部以下である。上記範囲内であると、効果が良好に得られる傾向がある。
なお、オイルの含有量には、ゴム(油展ゴム)に含まれるオイルの量も含まれる。
上記ゴム組成物は、硫黄を含むことが好ましい。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硫黄としては、例えば、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。
硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。上記範囲内であると、効果が良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、加硫促進剤を含むことが好ましい。
加硫促進剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT−N)等のチウラム系加硫促進剤;N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;1,3−ジフェニルグアニジン(DPG)、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、効果がより好適に得られるという理由から、チアゾール系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤が好ましい。また、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤の併用、チアゾール系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤の併用も好ましい。
また、チアゾール系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤としては、それぞれ、MBT、MBTS;TBBS、CBS;DPGが好ましい。
加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下である。上記範囲内であると、効果が良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、樹脂を含有していてもよい。
樹脂としては、タイヤ工業で汎用されているものであれば特に限定されず、ロジン系樹脂、クマロンインデン樹脂、α−メチルスチレン系樹脂、テルペン系樹脂、p−t−ブチルフェノールアセチレン樹脂、アクリル系樹脂、C5樹脂、C9樹脂等が挙げられる。市販品としては、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、Rutgers Chemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、JXエネルギー(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業(株)、東亞合成(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂の含有量は、前記性能バランスの観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下である。
上記ゴム組成物は、老化防止剤を含有していてもよい。
老化防止剤としては、例えば、フェニル−α−ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4′−ビス(α,α′−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン等のp−フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス−[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、p−フェニレンジアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤が好ましく、p−フェニレンジアミン系老化防止剤がより好ましい。
老化防止剤としては、例えば、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。
老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。上記範囲内であると、効果が良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、ワックスを含有していてもよい。
ワックスとしては、特に限定されず、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;植物系ワックス、動物系ワックス等の天然系ワックス;エチレン、プロピレン等の重合物等の合成ワックスなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、石油系ワックスが好ましく、パラフィンワックスがより好ましい。
ワックスとしては、例えば、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。
ワックスの含有量は、前記性能バランスの観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
上記ゴム組成物は、脂肪酸を含有することが好ましい。
脂肪酸としては、従来公知のものを使用でき、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸等が挙げられ、効果が良好に得られる傾向があるという点から、ステアリン酸が好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
脂肪酸としては、日油(株)、NOF社、花王(株)、和光純薬工業(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。
脂肪酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。上記範囲内であると、効果が良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、酸化亜鉛を含有することが好ましい。
酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。上記数値範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物には、前記成分の他、タイヤ工業において一般的に用いられている添加剤を配合することができ、有機過酸化物、硫酸マグネシウムなどの充填剤等を例示できる。これら充填剤の各含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上であり、好ましくは200質量部以下である。
上記ゴム組成物は、例えば、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法等により製造できる。
混練条件としては、架橋剤(加硫剤)及び加硫促進剤以外の添加剤を混練するベース練り工程では、混練温度は、通常100〜180℃、好ましくは120〜170℃である。加硫剤、加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程では、混練温度は、通常120℃以下、好ましくは85〜110℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を混練した組成物は、通常、プレス加硫などの加硫処理が施される。加硫温度としては、通常140〜190℃、好ましくは150〜185℃である。
本発明では、上記ゴム組成物は、上記シリカと上記界面活性剤とが、同一の時期にゴムと混練りされる製法により得られる。ここで、同一の時期にゴムと混練りとは、同一の練り工程において、上記シリカと上記界面活性剤が混練機に投入、混練されることを意味する。例えば、ベース練り工程において、両者を混練機に投入、混練すればよい。また、ベース練り工程が複数の工程から構成される場合は、複数の工程のうち一の工程において、両者を混練機に投入、混練すればよい。
ゴム組成物に配合される上記シリカのうち、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、最も好ましくは100質量%の上記シリカが、上記界面活性剤と、同一の時期にゴムと混練りされることが好ましい。これにより、効果がより良好に得られる。
同様に、ゴム組成物に配合される上記界面活性剤のうち、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、最も好ましくは100質量%の上記界面活性剤が、上記シリカと、同一の時期にゴムと混練りされることが好ましい。これにより、効果がより良好に得られる。
上記ゴム組成物は、良好な低燃費性能を有するため、例えば、トレッド(キャップトレッド)、サイドウォール、ベーストレッド、アンダートレッド、クリンチ、ビードエイペックス、ブレーカークッションゴム、カーカスコード被覆用ゴム、インスレーション、チェーファー、インナーライナー等や、ランフラットタイヤのサイド補強層などのタイヤ部材に用いることができる。なかでも、トレッドに好適に用いられる。
(空気入りタイヤ)
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。すなわち、上記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッドなどの各タイヤ部材の形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを得る。
上記空気入りタイヤは、乗用車用タイヤ、大型乗用車用、大型SUV用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、競技用タイヤ、スタッドレスタイヤ(冬用タイヤ)、2輪車用タイヤ、ランフラットタイヤ、航空機用タイヤ、鉱山用タイヤ等に好適に使用可能である。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
(製造例1)
窒素置換されているオートクレーブ反応器に、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、スチレン、及び1,3−ブタジエンを仕込む。反応器の内容物の温度を20℃に調整後、n−ブチルリチウムを添加して重合を開始する。断熱条件で重合し、最高温度は85℃に達する。重合転化率が99%に達する時点でブタジエンを追加し、更に5分重合後、3−ジエチルアミノプロピルトリメトキシシランを変性剤として加えて15分間反応を行う。重合反応終了後、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールを添加する。次いで、スチームストリッピングにより脱溶媒を行い、110℃に調温されている熱ロールにより乾燥して変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR)を得る。
(製造例2)
変性剤を加えない点を除いて、製造例1と同様に行い、非変性スチレンブタジエンゴム(非変性SBR)を得る。
上記製造例で得られるSBRについて以下の評価を行う。
(重量平均分子量(Mw))
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMULTIPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により算出する。
(スチレン量)
SBRのスチレン量は、H−NMR測定により算出する。
(ビニル量)
SBRのビニル量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定する。
実施例及び比較例で使用する各種薬品について、まとめて説明する。
変性SBR:変性SBR(上記製造例1で調製するSBR、スチレン量:21質量%、ビニル量:55質量%、Mw:85万)
非変性SBR:非変性SBR(上記製造例2で調製するSBR、スチレン量:21質量%、ビニル量:55質量%、Mw:85万)
BR:宇部興産(株)製のBR150B(シス含量:97質量%)
シリカ1:エボニックデグッサ社製のウルトラシルVN3(NSA:180m/g)
シリカ2:エボニックデグッサ社製の9000GR(NSA:230m/g)
シリカ3:東ソー(株)製のNipsil VN3(NSA:270m/g)
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN134(NSA:148m/g)
界面活性剤1:花王(株)製のラムテルPD−104(ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム)
界面活性剤2:花王(株)製のエマールE−27C(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、アルキル基の炭素数:12)
シランカップリング剤:Momentive社製のNXT−Z45(結合単位A及び結合単位Bを含む化合物(結合単位A:55モル%、結合単位B:45モル%))
オイル:(株)出光興産(株)製のダイアナプロセスAH−24(アロマ系プロセスオイル)
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C(老化防止剤、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ワックス:日本精鑞(株)製のオゾエース0355
ステアリン酸:日油(株)製の椿
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
硫黄:細井化学工業(株)製のHK−200−5(5質量%オイル含有粉末硫黄)
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(1,3−ジフェニルグアニジン)
(実施例及び比較例)
表1に示す配合処方にしたがい、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品を設定温度150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得る。次に、得られる混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、100℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得る。得られる未加硫ゴム組成物を170℃で20分間プレス加硫して加硫ゴム組成物(加硫ゴムシート)を得る。ここで、シリカと界面活性剤は、それぞれ全量を同時に混練機に投入する。
上記のようにして得られる未加硫ゴム組成物、加硫ゴム組成物を使用して、下記の評価を行うことで、表1またはそれに近い値が得られる。
(ムーニー粘度(加工性能))
JIS K 6300−1「未加硫ゴム−物理特性−第1部:ムーニー粘度計による粘度及びスコーチタイムの求め方」に準じて、ムーニー粘度試験機を用いて、1分間の予熱によって熱せられる130℃の温度条件にて、小ローターを回転させ、4分間経過する時点での上記未加硫ゴム組成物のムーニー粘度(ML1+4/130℃)を測定する。測定結果を比較例1の結果を100とし、下記計算式により、各配合のムーニー粘度を指数表示する。指数が大きいほど粘度が低く、加工性能に優れることを示す。
(ムーニー粘度指数)=(比較例1のムーニー粘度)/(各配合のムーニー粘度)×100
(ペイン効果(シリカの分散性))
アルファーテクノロジー社製RPA2000を用いて、測定温度110℃(予熱1分)、周波数6cpm、振幅0.28〜10%の条件で、上記加硫ゴム組成物の貯蔵弾性率の歪依存性を測定し、歪量0.56%時の貯蔵弾性率の値を求める。結果は、比較例1の値を100として指数表示する(分散性指数)。指数が大きいほどフィラーの分散不良塊が少なく、フィラーの分散性が良好であることを示す。本実施例では、フィラー中に占めるシリカの割合が大きいため、ペイン効果指数は、主にシリカの分散性を示している。
(低燃費性能)
(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメーターを用いて、温度50℃、初期歪み10%、動歪み2%、周波数10Hzの条件下で、加硫ゴムシートの損失正接(tanδ)を測定し、比較例1のtanδを100として、下記計算式により低燃費性能指数を算出する。低燃費性能指数が大きいほど、低燃費性能に優れることを示す。
(低燃費性能指数)=(比較例1のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
(耐摩耗性能)
LAT試験機(Laboratery Abration an Skid Tester)を用い、荷重40N、速度20km/h、スリップアングル5°の条件にて、各加硫ゴム組成物の容積損失量を測定する。比較例1の容積損失量を100とし、下記計算式によりLAT摩耗指数を算出する。指数が大きいほど耐摩耗性能に優れることを示す。
(耐摩耗性能指数)=(比較例1の容積損失量)/(各配合の容積損失量)×100
Figure 2019182909

Claims (5)

  1. SiOR基(Rは、水素原子又は炭化水素基)を有するスチレンブタジエンゴムを30質量%以上含むゴム成分と、窒素吸着比表面積が210m/g以上のシリカをゴム成分100質量部に対して50質量部以上と、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩からなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤とを含み、前記シリカと前記界面活性剤とが、同一の時期にゴムと混練りされる、タイヤ用ゴム組成物。
  2. 前記界面活性剤の含有量X(質量部)と、シランカップリング剤の含有量Y(質量部)の比率X/Yが0.05〜20である請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. 前記シリカの含有量Z(質量部)と、前記界面活性剤の含有量X(質量部)と、シランカップリング剤の含有量Y(質量部)の比率Z/(X+Y)が3〜30である請求項1又は2記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. 前記界面活性剤が、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩である請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製したタイヤ部材を有する空気入りタイヤ。
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