JP2019173185A - 繊維用撥水剤組成物及びその利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】繊維製品等に付着させた場合に低滑脱性を発揮する繊維用撥水剤組成物及び撥水性繊維製品を提供する。【解決手段】ウレタン化合物(A1)、アクリル樹脂(A2)及び反応性シリコーン(A3)から選ばれる少なくとも1種である成分(A)と、シリコーンレジン(B)と、水と、を含む撥水剤組成物であって、前記ウレタン化合物(A1)及びアクリル樹脂(A2)が分子内に炭素数12以上の炭化水素を少なくとも1つ有し、前記シリコーンレジン(B)を構成する単位が、R3SiO1/2で示されるM単位、SiO4/2で示されるQ単位及びRSiO3/2で示されるT単位から選ばれる少なくとも1種であり(但し、M単位のみ及びQ単位のみを除く)、前記Rは直鎖又は分岐の炭素数1〜18の一価アルキル基を示す、繊維用撥水剤組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、繊維用撥水剤組成物及びその利用に関する。
従来、フッ素含有基を有するフッ素系撥水剤を付着させた繊維製品は高い撥水性を示すため、広く用いられている。一方、フッ素系化合物の人体への蓄積性等の懸念があり、非フッ素系化合物による撥水材料の開発が多く見受けられる。
従来、フッ素を含まない繊維用撥水性組成物として、長鎖アルキル基を有するアクリル樹脂、長鎖アルキル基を有するポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂等が周知であるが、フッ素系撥水剤を付与した織物に比べて、織物を構成する糸が滑りやすくなるため、小さな力で縫目の部分の糸が滑り、衣服等の繊維製品として実用的なレベルの縫目強度を維持することできないという問題が生じてきた。
特開2004−059609号公報 特開2015−165056号公報 特開2017−145521号公報 特開2017−155095号公報 特開2017−206775号公報 特許4996875号公報 特許6224487号公報 WO2015/083627号公報
本発明の目的は、繊維製品等に付着させた場合に低滑脱性を発揮する繊維用撥水剤組成物、撥水性繊維製品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の成分(A)と、特定の成分(B)と、水と、を含む撥水剤組成物であれば、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明の繊維用撥水剤組成物は、ウレタン化合物(A1)、アクリル樹脂(A2)及び反応性シリコーン(A3)から選ばれる少なくとも1種である成分(A)と、シリコーンレジン(B)と、水と、を含む撥水剤組成物であって、
前記ウレタン化合物(A1)及びアクリル樹脂(A2)が分子内に炭素数12以上の炭化水素を少なくとも1つ有し、前記シリコーンレジン(B)を構成する単位が、RSiO1/2で示されるM単位、SiO4/2で示されるQ単位及びRSiO3/2で示されるT単位から選ばれる少なくとも1種であり(但し、M単位のみ及びQ単位のみを除く)、前記Rは直鎖又は分岐の炭素数1〜18の一価アルキル基を示す。
前記成分(A)及び前記成分(B)の重量比率(A:B)が、15:1〜1:15であると好ましい。
前記反応性シリコーン(A3)が側鎖及び/又は両末端に反応基を有するポリシロキサンであると好ましい。
前記シリコーンレジン(B)を構成する単位が、M単位及びQ単位(MQ)又はT単位のみ(T)からなると好ましい。
有機溶剤をさらに含むと好ましい。
本発明の撥水性繊維製品は、繊維材料に、上記繊維用撥水剤組成物を処理してなる。
本発明の撥水性繊維製品の製造方法は、上記繊維用撥水剤組成物を含む処理液を繊維材料に付与する工程(I)と、該処理液を付与した繊維材料を熱処理する工程(II)とを含む。
本発明の繊維用撥水剤組成物は、繊維製品等に付着させた場合に低滑脱性を発揮する。
本発明は、ウレタン化合物(A1)、アクリル樹脂(A2)及び反応性シリコーン(A3)から選ばれる少なくとも1種である成分(A)と、特定のシリコーンレジン(B)と、水とを含む撥水剤組成物である。以下詳細に説明する。
〔ウレタン化合物(A1)〕
ウレタン化合物(A1)は、有機ポリイソシアネート化合物(X)と活性水素基含有化合物(Y)とを反応させて得られ、有機ポリイソシアネート化合物(X)に由来する構成単位(x)と活性水素基含有化合物(Y)に由来する構成単位(y)を有する。ウレタン化合物(A1)は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
(有機ポリイソシアネート化合物(X))
有機ポリイソシアネート化合物(X)は、ウレタン化合物(A1)の必須構成成分であり、分子内に2個以上のイソシアネート基を含有するものである。分子内のイソシアネート基の数は、好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個である。有機ポリイソシアネート化合物(X)は、1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。ここで、有機ポリイソシアネート化合物(X)に由来する構成単位とは、有機ポリイソシアネート化合物(X)を原料として構成された単位をいい、ウレタン結合のうちの「−NHC(=O)−」の構造までを含む。
有機ポリイソシアネート化合物(X)としては、炭素数8〜26の芳香族ポリイソシアネート(X1)、炭素数4〜22の脂肪族ポリイソシアネート(X2)、炭素数8〜18の脂環式ポリイソシアネート(X3)、炭素数10〜18の芳香脂肪族ポリイソシアネート(X4)及びこれらのポリイソシアネートの変性物(X5)等が挙げられる。
炭素数8〜26の芳香族ポリイソシアネート(X1)としては、例えば1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(以下、トリレンジイソシアネートをTDIと略記)、粗製TDI、4,4’−又は2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、ジフェニルメタンジイソシアネートをMDIと略記)、粗製MDI、ポリアリールポリイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−メチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート及びm−又はp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートが挙げられる。
炭素数4〜22の脂肪族ポリイソシアネート(X2)としては、例えばエチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIと略記)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート及び2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートが挙げられる。
炭素数8〜18の脂環式ポリイソシアネート(X3)としては、例えばイソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略記)、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以下、水添MDIと略記)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート及び2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネートが挙げられる。
炭素数10〜18の芳香脂肪族ポリイソシアネート(X4)としては、例えばm−又はp−キシリレンジイソシアネート及びα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートが挙げられる。
ポリイソシアネート化合物(X1)〜(X4)の変性物(X5)としては、分子内にウレタン基、カルボジイミド基、アロハネート基、ウレア基、ビウレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基又はオキサゾリドン基を含有するポリイソシアネート(X1)〜(X4)の変性物等が挙げられる。変性物(X5)としては、例えば、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI及びトリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等)、ウレタン変性TDI、ビウレット変性HDI、イソシアヌレート変性HDI及びイソシアヌレート変性IPDI等が挙げられる。
これら有機ポリイソシアネート化合物(X)の中でも、撥水性の観点から、炭素数8〜26の芳香族ポリイソシアネート(X1)、炭素数4〜22の脂肪族ポリイソシアネート(X2)が好ましく、炭素数4〜22の脂肪族ポリイソシアネート(X2)がさらに好ましく、HDIが特に好ましい。
(前記活性水素基含有化合物(Y))
活性水素基含有化合物(Y)は、ウレタン化合物の必須構成成分であり、分子内に少なくとも1つの活性水素基を有する化合物をいう。活性水素基は、イソシアネート基と反応し得る、水素を含む活性基をいう。活性水素基としては、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基等が挙げられる。ここで、活性水素基含有化合物(Y)に由来する構成単位(y)とは、活性水素基含有化合物(Y)を原料として構成された単位をいい、活性水素基含有化合物(Y)から活性水素(有機ポリイソシアネート化合物(X)との反応に寄与する活性水素)を除いた残部をいう。
活性水素基含有化合物(Y)に由来する構成単位(y)は、分子内に炭素数12以上の炭化水素基を少なくとも1つ有するポリオール(Y1)に由来する構成単位(y1)及びカルボキシル基を有する活性水素基含有化合物(Y2)に由来する構成単位(y2)を含むものである。つまり、ウレタン化合物は、有機ポリイソシアネート化合物(X)と、分子内に炭素数12以上の炭化水素基を少なくとも1つ有するポリオール(Y1)及びカルボキシル基を有する活性水素基含有化合物(Y2)を含む活性水素基含有化合物(Y)との反応物となる。活性水素基含有化合物(Y)は、本発明を阻害しない範囲で、ポリオール(Y1)、活性水素基含有化合物(Y2)以外の他の活性水素基含有化合物を含んでもよい。
(分子内に炭素数12以上の炭化水素基を少なくとも1つ有するポリオール(Y1))
ポリオール(Y1)は、分子内に炭素数12以上の炭化水素基を少なくとも1つ有し、かつ活性水素基を少なくとも1つ有する化合物である。ポリオール(Y1)は、1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
分子内の当該炭化水素基の数は、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜4個、さらに好ましくは1〜3個である。分子内の活性水基の数は、好ましくは2〜5個、より好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個である。
ポリオール(Y1)の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基等が挙げられる。炭化水素基は、直鎖構造であっても分岐構造をあってもよく、また飽和であっても不飽和であってもよい。炭化水素基の炭素数は、12以上であり、好ましくは12〜26、より好ましくは14〜22、さらに好ましくは18〜22である。炭素数が12未満の場合、撥水性不良の場合がある。
ポリオール(Y1)は、上記条件を満足するものであれば特に限定はないが、本発明の効果をより発揮させる点から、以下の化合物(Y1−1)であると好ましい。つまり、構成単位(y1)は、化合物(Y1−1)に由来する構成単位(y1−1)であることが好ましい。
炭素数12以上の脂肪酸と3価以上の多価アルコールとがエステル結合した構造を持つエステルであって、分子内に2以上の水酸基を有する化合物(Y1−1)
脂肪酸は、直鎖構造であっても分岐構造をあってもよく、また飽和であっても不飽和であってもよい。脂肪酸の炭素数は、好ましくは12〜26、より好ましくは14〜22、さらに好ましくは18〜22である。
脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、イソセチル酸、マルガリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、イソエイコサ酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、ドコサン酸、イソドコサン酸、エルカ酸、テトラコサン酸、イソテトラコサン酸、ネルボン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等が挙げられる。これらの中でも、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸が好ましく、ステアリン酸、ベヘニン酸がさらに好ましい。
3価以上の多価アルコールとしては、グリセリン、ソルビタン、ソルビトール、ペンタエリスリトール、上記以外のアルジトール、トリメチロールプロパン、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ショ糖、ヒマシ油、硬化ヒマシ油及びこれらのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。これらの中でも、グリセリン、ソルビトール、ペンタエリスリトールが好ましく、ソルビトール、ペンタエリスリトールがさらに好ましい。
化合物(Y1−1)のエステル結合の数は、好ましくは1〜5、より好ましくは2〜4、さらに好ましくは2〜3である。化合物(Y1−1)の分子内の活性水基の数は、好ましくは1〜5個、より好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個である。
化合物(Y1−1)としては、例えば、ソルビタントリステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリンジベヘネート、ジステアリルエリスリトール等が挙げられる。これらの中でも、ソルビタントリステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンモノステアレート、ジステアリルエリスリトールが好ましく、ソルビタントリステアレート、ソルビタンジステアレート、ジステアリルエリスリトールがより好ましく、ソルビタンジステアレート、ジステアリルエリスリトールがさらに好ましい。
化合物(Y1−1)の製造方法としては、特に限定はなく、公知の手法を採用できる。
好ましい化合物(Y1)としては、下記一般式(1)で示すソルビトール型ポリオール、下記一般式(2)で示されるエリスリトール型ポリオールが挙げられる。
Figure 2019173185
式(1)中、R、R、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数12以上の有機基であって、かつR、R、R、Rのうち、少なくとも2つが水素原子
であり、少なくとも1つが炭素数12以上の有機基である。R、R、R、Rのう
ち、2つが水素原子、2つが炭素数12以上の有機基であることが好ましい。
Figure 2019173185
式(2)において、中、R、R、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数12以上の有機基であって、かつR、R、R、Rのうち、少なくとも2つが水素原子であり、少なくとも1つが炭素数12以上の有機基である。R、R、R、Rのうち、2つが水素原子、2つが炭素数12以上の有機基であることが好ましい。
炭素数12以上の有機基としては、炭素数12以上の炭化水素基、炭素数12以上のアシル基が挙げられ、炭素数12以上のアシル基が好ましい。炭化水素基は、直鎖構造であっても分岐構造をあってもよく、また飽和であっても不飽和であってもよい。アシル基は、前述の炭素数12以上の脂肪酸からOH基を除いた残基となる。脂肪酸の好ましい範囲等は前述と同じである。炭化水素基及びアシル基の炭素数は、好ましくは12〜26、より好ましくは14〜22、さらに好ましくは18〜22である。
化合物(Y1)に由来する構成単位(y1)とは、化合物(Y1)から、活性水素(有機ポリイソシアネート化合物(X)との反応に寄与する活性水素)を除いた残部をいい、上記一般式(2)で示されるエリスリトール型ポリオールを例に挙げると、以下の一般式(3)、(4)、(5)のいずれかで示される構成単位となる。
Figure 2019173185
一般式(3)において、R、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数12以上の有機基であり、R、R、Rのうち、少なくとも1つが炭素数12以上の有機基である。
Figure 2019173185
一般式(4)において、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数12以上の有機基であり、R、Rのうち、少なくとも1つが炭素数12以上の有機基である。
Figure 2019173185
一般式(5)において、Rは、炭素数12以上の有機基である。
(カルボキシル基を有する活性水素基含有化合物(Y2))
カルボキシル基を有する活性水素基含有化合物(Y2)としては、カルボキシル基を有するポリオール、カルボキシル基を有するモノオール等が挙げられる。活性水素基含有化合物(Y2)は、1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
カルボキシル基を有するポリオールとしては、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールペンタン酸、2,2−ジメチロールヘプタン酸、ジオキシマレイン酸、2,6−ジオキシ安息香酸等が挙げられる。
カルボキシル基を有するモノオールとしては、例えば、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸、サリチル酸、パラヒドロキシ安息香酸、クマル酸等が挙げられる。
これらの中でも、ウレタン化合物へ多くのカルボキシル基を導入でき、得られる乳化物の安定性が良好な点から、カルボキシル基を有するポリオールが好ましく、さらには2,2−ジメチロールプロピオン酸及び2,2−ジメチロールブタン酸から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
カルボキシル基を有する活性水素基含有化合物(Y2)としては、下記の一般式(6)で示される化合物であることが好ましい。
Figure 2019173185
一般式(6)において、Rは、水素原子、アルキル基又はアルケニル基である。アルキル基又はアルケニル基の炭素数は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜15。さらに好ましくは1〜10である。
Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はNRaRbRcRdで示される基である。これらの中でも、Mは、水素原子、アルカリ金属又はNRaRbRcRdが好ましく、水素原子、アルカリ金属がさらに好ましい。
アルカリ金属としては、たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム等を挙げることができる。アルカリ土類金属としては、たとえば、マグネシウム、カルシウム、バリウム等を挙げることができる。
Ra、Rb、Rc及びRdは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルカノール基またはポリオキシアルキレン基である。アルキル基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜10がさらに好ましい。このようなアルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。アルカノール基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜10がさらに好ましい。このようなアルカノール基としては、たとえば、メタノール基、エタノール基、n−プロパノール基、イソプロパノール基等が挙げられる。ポリオキシアルキレン基の炭素数は、2〜4が好ましい。このようなポリオキシアルキレン基としては、たとえば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基等が挙げられる。
化合物(Y2)に由来する構成単位(b2)とは、化合物(Y2)から、活性水素(有機ポリイソシアネート化合物(X)との反応に寄与する活性水素)を除いた残部をいい、上記一般式(6)で示される化合物を例に挙げると、下記一般式(7)で示される構成単位となる。
Figure 2019173185
(その他の活性水素基含有化合物(Y3))
活性水素基含有化合物(Y)は、本発明の効果を阻害しない範囲で、前記のポリオール(Y1)、活性水素基含有化合物(Y2)以外の活性水素基含有化合物(Y3)を含有してもよい。換言すると、構成単位(y)は、前記のポリオール(Y1)、活性水素基含有化合物(Y2)以外の活性水素基含有化合物(Y3)に由来する構成単位(y3)を含んでもよい。
活性水素基含有化合物(Y3)としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、フェノール、ベンジルアルコール等のモノオール成分;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ジブチレングリコール、トリブチレングリコール、ポリブチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、テトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、N−メチルジエタノールアミン、ジエタノールアミン、レゾルシン、ハイドロキノン、ビスフェノールA又はそのアルキレンオキサイド付加物等のジオール成分;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン等の3官能以上のポリオール;ラウリルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン等のモノアミン;メラミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリ(アミノメチル)プロパン等の3官能以上のポリアミン等が挙げられる。
活性水素基含有化合物(Y)に由来する構成単位(y)全体に占めるポリオール(Y1)に由来する構成単位(y1)の割合は、好ましくは60〜99.9モル%、より好ましくは64〜97モル%、さらに好ましくは67〜93モル%、特に好ましくは70〜90モル%である。当該割合が60モル%未満の場合、撥水性が十分に発現できないことがある。一方、該割合が90モル%超の場合、乳化物安定性の低下を招き、経日変化による撥水性低下を引き起こすことがある。
構成単位(y)全体に占める活性水素基含有化合物(Y2)に由来する構成単位(y2)の割合は、好ましくは0.1〜40モル%、より好ましくは0.5〜36モル%、さらに好ましくは1〜33モル%、特に好ましくは2〜30モル%である。当該割合が0.1モル%未満の場合、乳化物安定性の低下を招き、経日変化による撥水性低下を引き起こすことがある。一方、該割合が40モル%超の場合、撥水性が十分に発現できないことがある。
構成単位(y)全体に占める構成単位(y1)と構成単位(y2)との合計の割合は、好ましくは80〜100モル%、より好ましくは82〜99.5モル%、さらに好ましくは85〜99モル%、特に好ましくは88〜98モル%である。当該割合が80モル%未満の場合、撥水性が十分に発現できないことがある。
その他の活性水素基含有化合物(Y3)を含む場合、構成単位(y)全体に占める活性水素基含有化合物(Y3)に由来する構成単位(y3)の割合は、好ましくは0〜20モル%、より好ましくは0.5〜18モル%、さらに好ましくは1〜15モル%、特に好ましくは2〜12モル%である。当該割合が20モル%超の場合、撥水性が十分に発現できないことがある。
ウレタン化合物(A1)において、有機ポリイソシアネート化合物(X)に由来する構成単位(x)と活性水素基含有化合物(Y)の構成単位(y)とのモル比(a:b)は、好ましくは1:8〜2:1、より好ましくは3:5〜3:2、さらに好ましくは4:5〜1:1である。当該モル比が1:8〜2:1の範囲内にないと、ウレタン化合物の分子量が低いため、撥水性の発現が不十分となることがある。
なお、構成単位(x)と構成単位(y)のモル比は、ウレタン化合物を製造する際の活性水素基含有化合物(X)と有機ポリイソシアネート化合物(Y)のモル比となる。
有機ポリイソシアネート化合物(X)と活性水素基含有化合物(Y)を合わせた割合を100モル%としたとき、前記活性水素基含有化合物(Y)の割合が10〜90モル%であることが好ましい。活性水素基含有化合物(Y)のモル比率が10未満の場合、撥水性不足となることがある。当該割合は、好ましくは20〜80モル%、より好ましくは25〜75モル%、さらに好ましくは30〜70モル%である。
ウレタン化合物(A1)の重量平均分子量は、好ましくは4,000〜2,000,000、より好ましくは6,000〜1,000,000、さらに好ましくは8,000〜500,000である。該分子量が4,000未満の場合、十分な撥水性が発現しないことがある。一方、該分子量が2,000,000超の場合、乳化物安定性の低下を招き、経日変化による撥水性低下を引き起こすことがある。
ウレタン化合物(A1)の重合度は、好ましくは4〜2,000、より好ましくは6〜1,000、さらに好ましくは8〜500である。重合度が4未満の場合、十分な撥水性が発現しないことがある。一方、重合度が2,000超の場合、乳化物安定性の低下を招き、経日変化による撥水性低下を引き起こすことがある。
ウレタン化合物(A1)の水酸基価は、好ましくは0〜100mgKOH/g、より好ましくは5〜90mgKOH/g、さらに好ましくは10〜80mgKOH/gである。なお、水酸基価は、JIS K 1557−1970に準拠して測定した。
ウレタン化合物(A1)の製造方法としては、特に限定はなく、公知の方法を採用できる。例えば、全成分を同時に反応させるワンショット法、又は有機ポリイソシアネート化合物(X)に対して活性水素基含有化合物(Y)を段階的に投入し反応させる多段法、あるいは活性水素基含有化合物(Y)と有機ポリイソシアネート化合物(X)とを反応させて末端にイソシアネートを有するプレポリマーを合成し、次いで鎖伸長剤を反応させるプレポリマー法等、いずれの方法で行ってもよい。
鎖伸長剤としては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、−ヒドロキシメチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシプロピルアミノプロピルアミン、N−エチルアミノエチルアミン、N−メチルアミノプロピルアミン、エチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヒドラジン、N,N’−ジメチルヒドラジン、1,6−ヘキサメチレンビスヒドラジン、コハク酸ジヒドラジッド、アジピン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、β−セミカルバジドプロピオン酸ヒドラジド、3−セミカルバジッド−プロピル−カルバジン酸エステル、セミカルバジッド−3−セミカルバジドメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン等のアミノ基を有する鎖伸長剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン、トリメチロールプロパン等の水酸基を有する鎖伸長剤などを用いることができる。これらの鎖伸長剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ウレタン化合物(A1)を調製する際、必要ならばウレタン化触媒を使用することができる。本発明で使用できるウレタン化触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、またはN−メチルモルホリン等の含窒素化合物、酢酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、またはオクチル酸錫等の金属塩、ジブチルラウレート等の有機金属化合物などである。
ウレタン化合物(A1)を水に乳化、分散させた場合のウレタン化合物の粒子径は、メジアン値(中央値)で、好ましくは0.01〜8μm、より好ましくは、0.05〜7μm、さらに好ましくは0.10〜6μmである。なお、本発明において、メジアン値(中央値)は、体積を基準とする粒子径のメジアン値(中央値)を意味する。
好適な界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤を主体とするが、カチオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤を含んでもかまわない。界面活性剤は、1種又は2種以上を併用してもよい。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル等のポリオキシアルキレン直鎖アルキルエーテル;ポリオキシエチレン2−エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンイソセチルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル等のポリオキシアルキレン分岐第一級アルキルエーテル;ポリオキシエチレン1−ヘキシルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレン1−オクチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレン1−ヘキシルオクチルエーテル、ポリオキシエチレン1−ペンチルへプチルエーテル、ポリオキシエチレン1−へプチルペンチルエーテル等のポリオキシアルキレン分岐第二級アルキルエーテル;ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシアルキレンアルケニルエーテル;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル;ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンベンジルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルアリールフェニルエーテル;ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノオレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノミリスチレート、ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジオレート、ポリオキシエチレンジミリスチレート、ポリオキシエチレンジステアレート等のポリオキシアルキレン脂肪酸エステル;ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノオレート等のソルビタンエステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート等のポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル;グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノパルミテート等のグリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル;ショ糖脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンひまし油エーテル等のポリオキシアルキレンひまし油エーテル;ポリオキシエチレン硬化ひまし油エーテル等のポリオキシアルキレン硬化ひまし油エーテル;ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミノエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテル;オキシエチレン−オキシプロピレンブロックまたはランダム共重合体;オキシエチレン−オキシプロピレンブロックまたはランダム共重合体の末端アルキルエーテル化物;オキシエチレン−オキシプロピレンブロックまたはランダム共重合体の末端ショ糖エーテル化物;等を挙げることができる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、オレイン酸、パルミチン酸、オレイン酸ナトリウム塩、パルミチン酸カリウム塩、オレイン酸トリエタノールアミン塩等の脂肪酸(塩);ヒドロキシ酢酸、ヒドロキシ酢酸カリウム塩、乳酸、乳酸カリウム塩等のヒドロキシル基含有カルボン酸(塩);ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸(ナトリウム塩)等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸(塩);トリメリット酸カリウム、ピロメリット酸カリウム等のカルボキシル基多置換芳香族化合物の塩;ドデシルベンゼンスルホン酸(ナトリウム塩)等のアルキルベンゼンスルホン酸(塩);ポリオキシエチレン2−エチルヘキシルエーテルスルホン酸(カリウム塩)等のポリオキシアルキレンアルキルエーテルスルホン酸(塩);ステアロイルメチルタウリン(ナトリウム)、ラウロイルメチルタウリン(ナトリウム)、ミリストイルメチルタウリン(ナトリウム)、パルミトイルメチルタウリン(ナトリウム)等の高級脂肪酸アミドスルホン酸(塩);ラウロイルサルコシン酸(ナトリウム)等のN−アシルサルコシン酸(塩);オクチルホスホネート(カリウム塩)等のアルキルホスホン酸(塩);フェニルホスホネート(カリウム塩)等の芳香族ホスホン酸(塩);2−エチルヘキシルホスホネートモノ2−エチルヘキシルエステル(カリウム塩)等のアルキルホスホン酸アルキルリン酸エステル(塩);アミノエチルホスホン酸(ジエタノールアミン塩)等の含窒素アルキルホスホン酸(塩);2−エチルヘキシルサルフェート(ナトリウム塩)等のアルキル硫酸エステル(塩);ポリオキシエチレン2−エチルヘキシルエーテルサルフェート(ナトリウム塩)等のポリオキシアルキレン硫酸エステル(塩);ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等の長鎖スルホコハク酸塩、N−ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、N−ステアロイル−L−グルタミン酸ジナトリウム等の長鎖N−アシルグルタミン酸塩;等を挙げることができる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロライド、パルミチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、オレイルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシ油アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、牛脂アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド、ヤシ油アルキルトリメチルアンモニウムブロマイド、セチルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、オレイルジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルジエチルメチルアンモニウムサルフェート、等のアルキル第四級アンモニウム塩;(ポリオキシエチレン)ラウリルアミノエーテル乳酸塩、ステアリルアミノエーテル乳酸塩、ジ(ポリオキシエチレン)ラウリルメチルアミノエーテルジメチルホスフェート、ジ(ポリオキシエチレン)ラウリルエチルアンモニウムエトサルフェート、ジ(ポリオキシエチレン)硬化牛脂アルキルエチルアミンエトサルフェート、ジ(ポリオキシエチレン)ラウリルメチルアンモニウムジメチルホスフェート、ジ(ポリオキシエチレン)ステアリルアミン乳酸塩等の(ポリオキシアルキレン)アルキルアミノエーテル塩;N−(2−ヒドロキシエチル)−N,N−ジメチル−N−ステアロイルアミドプロピルアンモニウムナイトレート、ラノリン脂肪酸アミドプロピルエチルジメチルアンモニウムエトサルフェート、ラウロイルアミドエチルメチルジエチルアンモニウムメトサルフェート等のアシルアミドアルキル第四級アンモニウム塩;ジパルミチルポリエテノキシエチルアンモニウムクロライド、ジステアリルポリエテノキシメチルアンモニウムクロライド等のアルキルエテノキシ第四級アンモニウム塩;ラウリルイソキノリニウムクロライド等のアルキルイソキノリニウム塩;ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等のベンザルコニウム塩;ベンジルジメチル{2−[2−(p−1,1,3,3−テトラメチルブチルフェノオキシ)エトオキシ]エチル}アンモニウムクロライド等のベンゼトニウム塩;セチルピリジニウムクロライド等のピリジニウム塩;オレイルヒドロキシエチルイミダゾリニウムエトサルフェート、ラウリルヒドロキシエチルイミダゾリニウムエトサルフェート等のイミダゾリニウム塩;N−ココイルアルギニンエチルエステルピロリドンカルボン酸塩、N−ラウロイルリジンエチルエチルエステルクロライド等のアシル塩基性アミノ酸アルキルエステル塩;ラウリルアミンクロライド、ステアリルアミンブロマイド、硬化牛脂アルキルアミンクロライド、ロジンアミン酢酸塩等の第一級アミン塩;セチルメチルアミンサルフェート、ラウリルメチルアミンクロライド、ジラウリルアミン酢酸塩、ステアリルエチルアミンブロマイド、ラウリルプロピルアミン酢酸塩、ジオクチルアミンクロライド、オクタデシルエチルアミンハイドロオキサイド等の第二級アミン塩;ジラウリルメチルアミンサルフェート、ラウリルジエチルアミンクロライド、ラウリルエチルメチルアミンブロマイド、ジエタノールステアリルアミドエチルアミントリヒドロキシエチルホスフェート塩、ステアリルアミドエチルエタノールアミン尿素重縮合物酢酸塩等の第三級アミン塩;脂肪酸アミドグアニジニウム塩;ラウリルトリエチレングリコールアンモニウムハイドロオキサイド等のアルキルトリアルキレングリコールアンモニウム塩等が挙げられる。
〔アクリル系ポリマー(A2)〕
アクリル系ポリマー(A2)は、エステル部分の炭素数が12以上の(メタ)アクリル酸エステルを単量体単位として含むポリマーである。
ここで、「(メタ)アクリル酸エステル」とは「アクリル酸エステル」又はそれに対応する「メタクリル酸エステル」を意味し、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリルアミド」等においても同義である。
(メタ)アクリル酸エステル単量体は、上述したように炭素数が12以上のエステル部分を有するが、このエステル部分は炭化水素基であることが好ましい。この炭化水素基は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、飽和炭化水素であっても不飽和炭化水素であってもよく、更には脂環式又は芳香族の環状を有していてもよい。これらの中でも、直鎖状であるものが好ましく、直鎖状のアルキル基であるものがより好ましい。この場合、撥水性組成物がより優れるものとなる。
上記エステル部分の炭素数は、12〜24であることが好ましい。炭素数が12未満であると、撥水剤組成物を繊維製品等に付着させた場合、十分な撥水性を発揮できない。一方、炭素数が24を超えると、炭素数が上記範囲にある場合と比較して、撥水剤組成物を繊維製品等に付着させた場合、繊維製品の風合が粗硬になる傾向にある。
エステル部分の炭素数は、12〜21であることがより好ましい。炭素数がこの範囲である場合は撥水性と風合が特に優れるようになる。エステル部分として特に好ましいのは、炭素数が12〜18の直鎖状のアルキル基である。
アクリル系ポリマー(A2)は、エステル部分の炭素数が12以上の(メタ)アクリル酸エステルの他に、これと共重合可能な単官能又は多官能の単量体を単量体単位として含んでいてもよい。
共重合可能な単官能又は多官能の単量体としては、例えば、フマル酸エステル、マレイン酸エステル、炭素数1〜11の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレン、スチレン等のフッ素を含まないビニル系単量体等が挙げられる。
なお、炭素数1〜11の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、炭化水素基が、ビニル基、ヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、ブロックドイソシアネート基、又は第4級アンモニウム基等の置換基を有していてもよく、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、又はウレタン結合等を有していてもよい。
このような炭素数1〜11の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単量体は、単独で使用してもよく、2以上を併用することもできる。
アクリル系ポリマー(A2)は、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基及びイソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有することが、繊維製品の撥水性の洗濯耐久性を向上させることから好ましい。イソシアネート基は、ブロック化剤で保護されたブロックドイソシアネート基を形成していてもよい。これら官能基は、例えば、これら官能基を有する反応性単量体を共重合させることによって、アクリル系ポリマー(A2)中に導入される。反応性単量体としては、上に挙げた単量体のうち、後述する架橋剤や繊維製品との反応が可能な(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、N−メチロールアクリルアミド、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸グリシジル、1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートが挙げられる。また、上述したエステル部分の炭素数が12以上である(メタ)アクリル酸エステルが上記官能基を有していてもよい。
〔アクリル系ポリマー(A2)の製造方法〕
アクリル系ポリマー(A2)は、ラジカル重合法により製造することができる。また、このラジカル重合法の中でも、得られる撥水剤の性能及び環境の面から乳化重合法又は分散重合法で重合することが好ましい。
乳化重合法又は分散重合法により、エステル部分の炭素数が12以上の(メタ)アクリル酸エステル等の単量体を単独重合又は共重合させる場合は、媒体中に単量体と、乳化剤又は分散剤とを加え、この混合液を乳化又は分散させる。そして、乳化又は分散された混合液に、重合開始剤を加えることにより、重合反応が開始され、単量体を重合させることができる。なお、上述した混合液を乳化又は分散させる手段としては、ホモミキサー、高圧乳化機又は超音波等が挙げられる。
上記乳化剤等としては、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、及び両性界面活性剤から選ばれる1以上を使用することができる。乳化剤等の含有量は、全単量体100質量部に対して、0.5〜30質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることがより好ましい。上記乳化剤等の量が0.5質量部未満であると、乳化剤等の量が上記範囲にある場合と比較して、混合液の分散安定性が低下する傾向にあり、乳化剤等の量が30質量部を超えると、乳化剤等の量が上記範囲にある場合と比較して、得られる非フッ素系ポリマーからなる撥水剤は撥水性が低下する傾向にある。
乳化重合又は分散重合の媒体は、水が好ましい。媒体としては、必要に応じて水と有機溶剤とを混合してもよい。このときの有機溶剤としては、水と混和可能な有機溶剤であれば特に制限はないが、例えば、メタノールやエタノールなどのアルコール類、酢酸エチルなどのエステル類、アセトンやメチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテルなどのエーテル類等、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類が挙げられる。なお、水と有機溶剤の比率は特に限定されるものではない。
上記重合開始剤としては、アゾ系、過酸化物系、又はレドックス系等の公知の重合開始剤を適宜使用できる。重合開始剤の含有量は、全単量体100質量部に対して、重合開始剤0.01〜2質量部であることが好ましい。重合開始剤の含有量が上記範囲であると、重量平均分子量が10万以上であるアクリル系ポリマー(A2)を効率よく製造することができる。
また、重合反応において、分子量調整を目的として、ドデシルメルカプタン、t−ブチルアルコール等の連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤の含有量は、全単量体100質量部に対して0.1質量部以下であることが好ましい。連鎖移動剤の含有量が0.1質量部を超えると、分子量の低下を招き、重量平均分子量が10万以上であるアクリル系ポリマー(A2)を効率よく製造することが困難となる傾向にある。
なお、分子量調整のためには重合禁止剤を使用してもよい。重合禁止剤の添加により所望の重量平均分子量を有するアクリル系ポリマー(A2)を容易に得ることができる。
重合反応の温度は、20℃〜150℃が好ましい。温度が20℃未満であると、温度が上記範囲にある場合と比較して、重合が不十分になる傾向にあり、温度が150℃を超えると、反応熱の制御が困難になる場合がある。
重合反応において、得られるアクリル系ポリマー(A2)の重量平均分子量は、上述した重合開始剤、連鎖移動剤、重合禁止剤の含有量の増減により調整することができ、160℃における溶融粘度は、多官能単量体の含有量、重合開始剤の含有量の増減により調整することができる。なお、160℃における溶融粘度を低下させたい場合は、重合可能な官能基を2つ以上有する単量体の含有量を減らしたり、重合開始剤の含有量を増加させればよい。
〔反応性シリコーン成分(A3)〕
反応性シリコーン成分(A3)には、側鎖、片末端、両末端、側鎖及び両末端、反応基を有するポリシロキサンが挙げられるが、滑脱性に優れると同時に防汚性(SR性)に優れる観点から、側鎖及び/又は両末端に反応基を有するポリシロキサンであると好ましい。
反応性シリコーン成分(A3)としては、分子内に反応基を有するものであれば、特に限定されないが、たとえば、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン等が挙げられる。
アミノ変性シリコーンとしては、ケイ素原子に直結した有機基に、アミノ基が結合した構造を有するものがあげられる。有機基はアルキレン基、2価の芳香族基いずれであってもよい。アルキレン基としては炭素数2以上のものが好ましい。2価の芳香族基としては炭素数6以上のものが好ましい。アミノ基としては、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基いずれであってもよい。アミノ基が結合した有機基としては以下のものが例示される。2−アミノエチル基、N−メチル−2−アミノエチル基、N,N−ジメチル−2−アミノエチル基、N−エチル−2−アミノエチル基、N,N−ジエチル−2−アミノエチル基、N,N−メチルエチル−2−アミノエチル基、3−アミノプロピル基、N−メチル− 3 −アミノプロピル基、N,N−ジメチル−3−アミノプロピル基、N−エチル−3−アノプロピル基、N,N−ジエチル−3−アミノプロピル基、N,N−メチルエチル−3−アミノプロピル基。これらの官能基はポリシロキサンの側鎖にあっても、末端にあってもよい。
エポキシ変性シリコーンとしてはケイ素原子に直結した有機基に、エポキシ基が結合した構造を有するものがあげられる。有機基はアルキレン基、2価の芳香族基いずれであってもよい。このようなかたちとしては前記有機基との間でグリシジルエーテルのかたちで結合するのが通常である。このような官能基としては3−グリシドキシプロピル基、2−グリシドキシエチル基が例示される。これらの官能基はポリシロキサンの側鎖にあっても、末端にあってもよい。
カルボキシ変性シリコーンとしてはケイ素原子に直結した有機基にカルボキシ基が結合した構造を有するものがあげられる。有機基はアルキレン基、2価の芳香族基いずれであってもよい。アルキレン基としては炭素数2以上のものが好ましい。2価の芳香族基としては炭素数6以上のものが好ましい。このような官能基としては3−カルボキシプロピル基、2−カルボキシエチル基が例示される。これらの官能基はポリシロキサンの側鎖にあっても、末端にあってもよい。
メチルハイドロジェンシリコーンとはポリジオルガノシロキサンの側鎖の一部が水素に置換され、水素原子がケイ素原子に直結したものである。メチルハイドロジェンシリコーンの使用にあたっては、反応性を向上させるために触媒を使用しても良い。例えば亜鉛、錫、マンガン、コバルト、鉄およびアミン系の触媒を使用することができる。これらの触媒としては有機酸金属塩が好ましく、有機酸としては脂肪酸が好ましい。安全性の観点からはステアリン酸亜鉛などを使用することができる。触媒はメチルハイドロジェンシリコーンに対し10〜40%使用すると効果を発揮しやすくなるので好ましい。アミノ変性、エポキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーンおよびメチルハイドロジェンシリコーンは2種以上が混合されていても良い。いずれも反応基を有するシリコーンであり、造膜性を有するシリコーンであることが好ましい。造膜性とは、該シリコーンを各々エマルジョン状態で繊維表面に付着させた後、オイル状やゲル状ではなく、固体状の膜を形成することを言う。
〔シリコーンレジン(B)〕
シリコーンレジン(B)は、RSiO1/2単位(M単位)、RSiO3/2単位(T単位)及びSiO4/2単位(Q単位)から選ばれる少なくとも1種からなるシリコーンレジンであり、Rは直鎖又は分岐の炭素数1〜18の一価アルキル基である、またM単位のみ及びQ単位のみからなるシリコーンレジンを除く)。シリコーンレジン(B)は、RSiO2/2単位(D単位)を含まない方が、本願効果を発揮する観点から、好ましい。
シリコーンレジン(B)は、本願効果を発揮する観点から、ゾルの状態であると好ましい。
Rを例示すると、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、セチル基、ステアリル基等が挙げられるが、シリコーンレジン(B)がゾルの状態である場合における安定性、原料の入手のし易さ及び価格面から、Rはメチル基であることが好ましく、特に全てのRの90%以上がメチル基であることが好ましい。なお、Rは異なる種類の基を併用してもよい。
シリコーンレジン(B)にRSiO2/2単位(D単位)を含むと、撥水剤組成物の低滑脱性が損なわれる。また、Q単位のみからなるシリコーンレジン(B)は撥水剤組成物としての撥水性能を阻害する。
シリコーンレジン(B)の構造は、(i)M単位とQ単位、(ii)M単位とT単位とQ単位、(iii)M単位とT単位、(iv)T単位とQ単位、(v)T単位のみからなるシリコーンレジンが例示され、好ましくは、(i)M単位とQ単位からなるシリコーンレジン及び(v)T単位のみからなるシリコーンレジンである。(i)M単位とQ単位からなるシリコーンレジンのM単位とQ単位のモル比率(M/Q)は、M/Q=0.6〜1.3であることが好ましく、M/Q=0.8〜1.1であることがより好ましい。なお、これらのシリコーンレジンは2種以上を併用してもよい。
また、シリコーンレジン(B)はケイ素原子に結合した水酸基を含む構成単位を含有することができる。具体的には、(HO)RSiO2/2単位や、(HO)RSiO1/2単位、(HO)SiO3/2単位、(HO)SiO2/2単位、(HO)SiO1/2単位が挙げられ、水酸基の一部がRO基で表されるアルコキシ基であってもよい。
〔シリコーンレジン(B)を含むゾルの製造方法〕
シリコーンレジン(B)を含むゾルは、特許3852921に記載のように、オルガノジシロキサンとテトラアルコキシシラン及びその部分加水分解縮合物を、界面活性剤を含む水中で均一分散及び重合を行う製造方法や、以下に示すシラン化合物を水中で加水分解させる製造方法で得ることができる。
シラン化合物を水中で加水分解させる製造方法について詳述する。製造するための原料として、加水分解性基の種類がクロル或いはアルコキシであり、加水分解性基を1個、3個又は4個含有し、上記条件を満たすアルキル基を有するシラン化合物であれば如何なるものでも使用可能である。具体的には、テトラクロルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリクロルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリクロルシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリクロルシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリクロルシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリクロルシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリクロルシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリクロルシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、2−エチルヘキシルトリクロルシラン、2−エチルヘキシルトリメトキシシラン、2−エチルヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリクロルシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、セチルトリクロルシラン、セチルトリメトキシシラン、セチルトリエトキシシラン、ステアリルトリクロルシラン、ステアリルトリメトキシシラン、ステアリルトリエトキシシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルイソプロポキシシラン、ジメチルエチルクロルシラン、ジメチルエチルメトキシシラン、ジメチルエチルエトキシシラン、ジメチルプロピルクロルシラン、ジメチルプロピルメトキシシラン、ジメチルプロピルエトキシシラン、ジメチルイソプロピルクロルシラン、ジメチルイソプロピルメトキシシラン、ジメチルイソプロピルエトキシシラン、ジメチルヘキシルクロルシラン、ジメチルヘキシルメトキシシラン、ジメチルヘキシルエトキシシラン、ジメチルデシルクロルシラン、ジメチルデシルメトキシシラン、ジメチルデシルエトキシシラン、ジメチルセチルクロルシラン、ジメチルセチルメトキシシラン、ジメチルセチルエトキシシラン、ジメチルステアリルクロルシラン、ジメチルステアリルメトキシシラン、ジメチルステアリルエトキシシラン、及びこれらの部分加水分解物等が使用可能なシラン化合物として挙げられるが、使用可能なシラン化合物はこれに限定されるものではない。操作性、副生物の留去のし易さ、及び原料の入手の容易さから、メトキシシラン或いはエトキシシランを使用するのがより好ましい。これらのシラン化合物の1種または2種以上の混合物を使用してもよい。
シラン化合物を水中で加水分解させる方法としては通常知られる一般的な方法を用いることができる。即ち、水中にシラン化合物を滴下しながら加水分解反応を行う方法や、水とシラン化合物を一括で混合してその後に加水分解反応を行う方法である。
加水分解反応を実施するに際し、加水分解触媒を使用してもよい。加水分解触媒としては従来公知の触媒を使用することができ、酸性又はアルカリ性のものを使用するのがよい。酸性触媒の場合はハロゲン化水素、カルボン酸、スルホン酸、酸性或いは弱酸性の無機塩、イオン交換樹脂等の固体酸が好ましい。アルカリ性触媒の場合は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属塩、ナトリウムシラノレート、カリウムシラノレート等のアルカリ金属シラノレート、トリエチルアミン、ジエチルアミン、アニリン等のアミン類、アンモニア水等を用いることができる。触媒量は水溶液のpHが2〜7および7〜12になるように添加量を調整することが好ましい。また反応終了後には必要に応じて、酸性又はアルカリ性触媒を中和する中和剤を添加してもよい。
水溶液にはシラン化合物及び加水分解反応生成物を水中に分散させるために界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤には特に制限はないが、例えばアルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩等のアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤、4級アンモニウム塩、アルキルアミン酢酸塩等のカチオン系界面活性剤、アルキルベタイン、アルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤等が使用可能で、これらを単独又は2種以上を併用して使用することができる。また界面活性剤として酸性又はアルカリ性を示すものは、加水分解触媒としても使用することができる。界面活性剤を添加する際の添加量に特に制限はないが、シラン化合物100重量部に対して1〜50重量部であることが好ましい。1重量部より少ないと界面活性剤を添加する効果が十分に得られず、50重量部より多いと撥水剤組成物の撥水性が損なわれる可能性がある。
水とシラン化合物の混合物に、必要に応じて加水分解触媒及び界面活性剤を添加し、0〜90℃で10分間〜24時間加水分解反応を行う。その後に必要に応じて中和反応を行うことでシリコーンレジン(B)を得ることができる。また加水分解反応により副生したアルコール類や中和塩等は減圧留去や濾過等で除去することができる。
このシリコーンレジンには種々の添加剤を配合することができる。例えば目的に応じて防腐剤、増粘剤等を配合することができる。
〔架橋剤〕
本発明の繊維用撥水剤組成物は、架橋剤をさらに含むと、高い撥水性及び洗濯耐久性を得られるため、好ましい。
架橋剤としては、メラミン、ブロック化イソシアネート、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤等が挙げられる。
メラミンは一般的に使用されるトリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン等のN−メチロールメラミンが挙げられ、メラミン用触媒は一般的に使用されるアミン塩系の触媒が挙げられる。メラミンはベッカミンM−3(DIC(株))、メラミン用触媒はキャタリストACX等が挙げられる。
ブロック化イソシアネートは、公知の方法により、2官能以上のイソシアネートと適当なブロック剤を反応させることで得られる。イソシアネートとしては、4,4’−ビスイソシアナトフェニルメタン、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアネートの3量体やトリメチロールプロパンアダクト体が挙げられる。
また、イソシアネートのブロック剤としては、2級又は3級アルコール類、活性メチレン化合物、フェノール類、オキシム類、置換ピラゾール類、カプロラクタムなどが挙げられる。通常、これらのブロック化イソシアネートは公知の方法により、界面活性剤を用いて乳化・分散されたものが使用される。また、予め全イソシアネート基の70〜95%をブロックした後に、適当な分子量にあるポリアルキレングリコール、特にポリエチレングリコールを残イソシアネート基と反応させることで、ブロック化イソシアネートは自己乳化性を示し、繊維用撥水剤組成物の洗濯耐久性の向上のみならず、製品の安定性の向上に対し効果を示す。
カルボジイミド系架橋剤は分子中にカルボジイミド基を持ったポリマー、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t−ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミド、ジ−β−ナフチルカルボジイミドが挙げられる。カルボジイミド系架橋剤は撥水剤組成物中のカルボキシ基、アミノ基、活性水素基と優れた反応性を示す架橋剤である。カルボジイミド系触媒としてはカルボジライトE−02(日清紡ケミカル(株))、カルボジライトV−02(日清紡ケミカル(株))等が挙げられる。
オキサゾリン系架橋剤は分子中にオキサゾリン基を持ったポリマーであり、撥水剤組成物中のカルボキシ基と優れた反応性を示す架橋剤である。オキサゾリン系架橋剤としてはエポクロスWS−300((株)日本触媒)、エポクロスWS−500((株)日本触媒)等が挙げられる。
〔水〕
水としては、純水、蒸留水、精製水、軟水、イオン交換水、水道水等のいずれであってもよい。
〔有機溶剤〕
本発明の繊維用撥水剤組成物は、有機溶剤をさらに含むと、撥水剤組成物の繊維材料に対する均一付着性が優れるため好ましい。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル溶剤;アセトニトリル等のニトリル溶剤;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族含有溶剤、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクタノール、ベンジルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、メチルグリコール、イソプロピルグリコール、ブチルグリコール、ブチルジグリコール、ブチルプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール系溶剤などを用いることができる。中でも、繊維用撥水剤組成物の安定性を向上させ、本願効果を発揮する観点から、メタノール、エタノール、メチルエチルケトン、ベンジルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルグリコール、ブチルプロピレングリコール、トリプロピレングリコールが好ましく、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルグリコール、ブチルプロピレングリコールがさらに好ましい。
繊維用撥水剤組成物に対する有機溶剤の重量割合としては、本願発明の効果を発揮する観点から、0〜30重量%が好ましく、0.5〜20重量%がより好ましく、1〜10重量%がさらに好ましい。
〔繊維用撥水剤組成物〕
繊維用撥水剤組成物の不揮発分に占める成分(A)の重量割合は、好ましくは10〜90重量%、より好ましくは15〜80重量%、さらに好ましくは20〜70重量%である。10重量%未満では、撥水性が不足することがあり、90重量%を超えると滑脱性が不足することがある。
ここで不揮発分(固形分ともいう)とは、試料の一定量をアルミシートに平らに広げて赤外線ランプ照射下110℃で乾燥し、150秒間の揮発分の変動幅が0.15重量%になった時を測定の終点とする場合の残分である。
繊維用撥水剤組成物の不揮発分に占める成分(B)の重量割合は、好ましくは10〜90重量%、より好ましくは15〜80重量%、さらに好ましくは20〜70重量%である。10重量%未満では、滑脱性が不足することがあり、90重量%を超えると撥水性が不足することがある。
ウレタン化合物(A1)を水及び/又は有機溶剤に、溶解、乳化又は分散させる場合、界面活性剤を使用することが好ましい。界面活性剤の割合は、ウレタン化合物(A1)に対して、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜30重量%、さらに好ましくは10〜20重量%である。
アクリル樹脂(A2)を水及び/又は有機溶剤に、溶解、乳化又は分散させる場合、界面活性剤を使用することが好ましい。界面活性剤の割合は、アクリル樹脂(A2)に対して、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜30重量%、さらに好ましくは10〜20重量%である。
反応性シリコーン(A3)を水及び/又は有機溶剤に、溶解、乳化又は分散させる場合、界面活性剤を使用することが好ましい。界面活性剤の割合は、反応性シリコーン(A3)に対して、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜30重量%、さらに好ましくは10〜20重量%である。
前記成分(A)及び前記成分(B)の重量比率(A:B)は、15:1〜1:15が好ましく、10:1〜1:10がより好ましく、5:1〜1:5がさらに好ましく、3:1〜1:3が特に好ましい。15:1を超えると、撥水剤組成物中の炭化水素及びシリコーンが過剰となり滑脱性が劣ることがあり、1:15未満では、撥水剤組成物中の炭化水素及びシリコーンが不足し撥水性が劣ることがある。
当該組成物に対する、繊維用撥水剤組成物の不揮発分の重量割合は、1〜80重量%が好ましく、5〜50重量%がより好ましく、10〜30重量%がさらに好ましい。1重量%未満では、撥水性が不足することがあり、80重量%を超えると撥水剤組成物の安定性が不足することがある。
繊維用撥水剤組成物の不揮発分濃度1重量%濃度におけるpHは、繊維に吸着し易く、本願効果を発揮する観点から、3〜9が好ましく、4〜8がより好ましく、4〜7がさらに好ましい。
本発明の繊維用撥水剤組成物には必要に応じて添加剤等を加えることも可能である。添加剤等としては、他の撥水剤、架橋剤、変色防止剤、抗菌剤、防黴剤、防虫剤、防ダニ剤、消臭剤、帯電防止剤、撥水撥油剤、紫外線吸収剤、難燃剤、防汚剤、深色化剤、平滑剤、柔軟剤または吸水剤等の繊維の後加工剤、油剤、無機物、防腐剤、pH調整剤、消泡剤、溶剤、脂肪酸(塩)等が挙げられる。
本発明の繊維用撥水剤組成物は、フッ素系繊維用撥水剤を実質的に含まない(非フッ素系繊維用撥水剤組成物)ほうが好ましいが、これに限定されるものではない。
本発明の繊維用撥水剤組成物の製造方法として、特に限定はなく、公知の方法を採用できる。例えば、上記の方法で得られた、ウレタン化合物(A1)、アクリル樹脂(A2)及び反応性シリコーン成分(A3)から選ばれる少なくとも1種と、界面活性剤と、水及び/又は有機溶剤と、を混合し、一般的な攪拌装置及びホモミキサー、ホモジナイザー、高圧乳化機、コロイドミル、ラインミキサーなどの乳化機を用いて乳化することによって得ることができる。
〔撥水性繊維製品〕
本発明の撥水性繊維製品は、繊維材料に、上記の繊維用撥水剤組成物を処理してなるものである。
繊維材料としては、天然繊維、化学繊維のいずれであってもよい。天然繊維としては、例えば、綿、大麻、亜麻、ヤシ、いぐさ等の植物繊維;羊毛、山羊毛、モヘア、カシミア、ラクダ、絹等の動物繊維;石綿等の鉱物繊維等を挙げることができる。化学繊維としては、例えば、ロックファィバ−、金属繊維、グラファイト、シリカ、チタン酸塩等の無機繊維;レーヨン、キュプラ、ビスコ−ス、ポリノジック、精製セルロース繊維等の再生セルロース系繊維;溶融紡糸セルロース繊維;牛乳タンパク、大豆タンパク等のタンパク質系繊維;再生絹、アルギン酸繊維等の再生・半合成繊維;ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、カチオン可染ポリエステル繊維、ポリビニル繊維、ポリアクリルアルコール繊維、ポリウレタン繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリビニリデン繊維、ポリスチレン繊維等の合成繊維を挙げることができる。また、これら繊維を2種以上複合(混紡、混繊、交織、交編等)されていてもよい。
撥水剤組成物がウレタン化合物(A1)及び/又はアクリル樹脂(A2)を含む場合、撥水性を発揮し易い観点から、繊維材料として、ポリエステル繊維、カチオン可染ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、アクリル繊維又はポリエチレン繊維に処理することが好ましい。
撥水剤組成物が反応性シリコーン(A3)を含む場合、撥水性を発揮し易い観点から、ポリエステル繊維、カチオン可染ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、アクリル繊維、綿、絹又はレーヨンに処理することが好ましい。
繊維材料の形態としては、例えば、織物、編物、布帛、糸状、不織布等の形態を挙げることができる。繊維材料の用途としては、抗菌性、吸水性、耐洗濯性を付与する対象物、例えば、アンダーウェア、スポーツ衣料、寝具類、カバー類等を挙げることができる。
〔撥水性繊維製品の製造方法〕
本発明の撥水性繊維製品の製造方法は、上記繊維用撥水剤組成物を含む処理液を繊維材料に付与する工程(I)と、該処理液を付与した繊維材料を熱処理する工程(II)とを含む。
(工程(I))
工程(I)は、上記繊維用撥水剤組成物を含む処理液を繊維材料に付与する工程であり、浸漬法、含浸法、パッドドライ法、スプレー法またはコーティング法により繊維材料を処理するものである。これらのなかでも、パッドドライ法が生産性、経済性の面で最も好適である。
浸漬法、含浸法、パッドドライ法の場合、繊維材料と浸漬浴の重量比は1:2〜1:100が好ましく、1:20〜1:100がさらに好ましい。
本発明繊維用撥水剤組成物と浸漬浴の重量比は、1:200〜2:3が好ましく、1:20〜1:5がさらに好ましい。
(工程(II))
工程(II)は、該処理液を付与した繊維材料を熱処理する工程である。
熱処理する方法としては、ピンテンター等の通常の熱処理機を用いて行うとよい。
本願効果を発揮する観点から、熱処理する温度は80℃以上が好ましく、100〜200℃がさらに好ましい。本願効果を発揮する観点から、熱処理する時間は、30秒間〜120分間が好ましく、1分間〜30分間がさらに好ましい。
以下、本発明の実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、例中の「部」および「%」とあるのは、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。
<撥水性の評価>
JIS L1092(2017)のスプレー法に準じてシャワー水温を25℃として評価をした。判定基準としては、4級以上ならば、十分な撥水性があるとして評価した。
<滑脱性の評価>
JIS L1096(2017)の縫目滑脱法(A法)に準じて評価を行った。147.1Nの荷重を与え、縫目の滑りを確認した。
<SR性の評価>
代用皮脂を布帛へ一滴落とし一晩静置後に洗濯した。洗濯後代用皮脂が除去されているかを目視で確認した。除去されていれば合格とし、表中には○と表記する。
代用皮脂組成:オレイン酸30重量部、トリオレイン15重量部、流動パラフィン10重量部、コレステロール15重量部、パルミチン酸10重量部、ゼラチン10重量部、オイルレッド0.5重量部
これらの結果を表1〜表6に示す。
(A1−1) ポリウレタン撥水剤(アニオン性)
撹拌機、温度計及び還流管を備えた4つ口フラスコに、500重量部のメチルエチルケトン中に、分子内に炭素数12以上の炭化水素基を少なくとも1つ有するポリオール(Y1)としてソルビタンジステアレートを400重量部、ポリイソシアネート化合物(X)としてヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を72重量部、カルボキシル基を有する活性水素基含有化合物(Y2)としてジメチロールプロパン酸を2重量部加え、90〜100℃で60分間反応させ、その後メチルエチルケトン(MEK)を脱溶剤することにより、ウレタン化合物(A1−1)を得た。
次いで、耐圧式オートクレーブに、得られたウレタン化合物(A1−1)を100重量部、ポリオキシエチレン(10モル付加)ラウリルエーテルを10重量部、13.6重量%のアンモニア水を5部、水を385重量部加え、100〜110℃で60分間、十分に攪拌および分散させ、水分散体(A1−A)を得た。
(A1−2) ポリウレタン撥水剤(カチオン性)
撹拌機、温度計及び還流管を備えた4つ口フラスコに、500重量部のメチルエチルケトン中に、分子内に炭素数12以上の炭化水素基を少なくとも1つ有するポリオール(Y1)としてソルビタンジステアレートを400重量部、ポリイソシアネート化合物(X)としてヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を72重量部、その他活性水素基含有化合物(Y3)としてジエタノールアミンを2重量部加え、90〜100℃で60分間反応させ、その後メチルエチルケトン(MEK)を脱溶剤することにより、ウレタン化合物(A1−2)を得た。
次いで、耐圧式オートクレーブに得られたウレタン化合物(A1−2)を100重量部、ポリオキシエチレン(10モル付加)ラウリルエーテルを10重量部、90.0重量%の酢酸水を5部、水を385重量部加え、100〜110℃で60分間、十分に攪拌および分散させ、水分散体(A1−B)を得た。
(A2−1) アクリルポリマー撥水剤
メタクリル酸ステアリル55重量部、メタクリル酸ラウリル20重量部、ステアリルジメチルアミン塩酸塩1重量部、ポリオキシエチレン(10モル)ラウリルエーテル4重量部、トリプロピレングリコール25重量部及び水144.8重量部を入れ、45℃にて混合攪拌し混合液とした。この混合液をホモミキサーにて乳化分散させた。次いで、アゾビス(イソブチルアミジン)二塩酸塩0.25重量部を混合液に添加し、窒素雰囲気下で60℃にて6時間ラジカル重合させて、ポリマー濃度30質量%のアクリル樹脂(A2−1)が分散した水分散体(A2−A)を得た。
(A3−1) Hシリコーン乳化物
メチルハイドロジェンポリシロキサン200重量部、ジメチルシリコーン100重量部、ステアリルアミン50重量部、パルミチン酸10重量部、ポリオキシエチレン(10モル)ラウリルエーテル5重量部、ポリオキシエチレン(5モル)ラウリルエーテル5重量部、酢酸5重量部、水625重量部を混合し、ホモミキサーを用いて乳化分散させHシリコーン乳化物(A3−A)を得た。
(A3−2) アミノ変性シリコーン乳化物
アミノ変性シリコーン200重量部、ポリオキシエチレン(9モル)ラウリルエーテル15重量部、ポリオキシエチレン(5モル)ラウリルエーテル15重量部、酢酸1重量部、水769重量部を混合し、ホモミキサーを用いて乳化分散させアミノ変性シリコーン乳化物(A3−B)を得た。
(A3−3) カルビノール変性シリコーン乳化物
カルビノール変性シリコーン200重量部、ポリオキシエチレン(15モル)ラウリルエーテル15重量部、ポリオキシエチレン(9モル)ラウリルエーテル15重量部、イソプロピルアルコール5重量部、水765重量部を混合し、ホモミキサーを用いて乳化分散させカルビノール変性シリコーン乳化物(A3−C)を得た。
(B−1) アニオン性シリコーンレジンのゾル
ドデシルベンゼンスルホン酸4重量部、水738重量部を混合し、45〜50℃に加温した後にヘキサメチルジシロキサン100重量部とテトラメトキシシランの部分加水分解縮合物(コルコート社製メチルシリケート51:SiO分51重量%)145重量部の混合物を2時間かけて滴下し、更に50℃で6時間重合した後、3%アンモニア水溶液13重量部で中和して青白色半透明のシリコーンレジン(B−1)のゾルを得た。得られたシリコーンレジンのM/Qは1.0であった。
(B−2) カチオン性シリコーンレジンのゾル
アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド0.6重量部、水83.3重量部、水酸化ナトリウム0.04重量部を混合し、75〜80℃に加温した後にメチルトリエトキシシラン14.9重量部を1時間かけて滴下し、更に75〜80℃で1時間重合した後、酢酸0.06重量部で中和して青白色半透明のシリコーンレジン(B−2)のゾルを得た。
(繊維用撥水剤組成物の製造)
以下の実施例1〜48及び比較例1〜21における重量部は不揮発分としての重量部を示す。
(実施例1)
アニオン性ウレタン化合物(A1−1)1重量部、ベッカミンM−3(DIC(株)製)0.4重量部、キャタリストACX(DIC(株)製)0.04重量部、アニオン性シリコーンレジンゾル(B−1)0.5重量部、イソプロピルアルコール1.2重量部、水97部となるよう常温で攪拌混合し、撥水剤組成物を得た。
(実施例2〜48、比較例1〜16)
実施例1と同様に各成分を常温で混合し、撥水剤組成物を得た。
(撥水性繊維製品の製造方法)
得られた撥水剤組成物を下記の条件で繊維材料に加工し、撥水性繊維製品を得た。
<加工条件>
試料布:ポリエステルトロピカル、T/Cブロード、綿ブロード
パディング:2回浸漬2回絞り、絞り率 100重量%
処理液: 実施例1〜48、比較例1〜16に示す撥水剤組成物
熱処理(乾燥)条件: 110℃ ×3分、160℃ × 1分
Figure 2019173185
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表1〜6から分かるように、本発明の撥水剤組成物は、ウレタン化合物(A1)、アクリル樹脂(A2)及び反応性シリコーン(A3)から選ばれる少なくとも1種である成分(A)と、シリコーンレジン(B)と、水と、を含む撥水剤組成物であって、前記ウレタン化合物(A1)及びアクリル樹脂(A2)が分子内に炭素数12以上の炭化水素を少なくとも1つ有し、前記シリコーンレジン(B)を構成する単位が、RSiO1/2で示されるM単位、SiO4/2で示されるQ単位及びRSiO3/2で示されるT単位から選ばれる少なくとも1種であり(但し、M単位のみ及びQ単位のみを除く)、前記Rは直鎖又は分岐の炭素数1〜18の一価アルキル基を示すため、繊維材料に付着させた場合に、撥水性に優れ、かつ、低滑脱性(滑脱抑制)を発揮している。また、成分(A)が反応性シリコーン(A3)を含む場合には、本願課題の低滑脱性(滑脱抑制)に優れるのみならず、防汚性にも優れていることが分かる。
一方、比較例では、滑脱を抑制できないか、または撥水性が低いことがわかる。
本発明の繊維用撥水剤組成物は繊維製品等に付着させた場合に特に有効である。また、本発明の繊維用撥水剤組成物はフッ素化合物を含まない為、低コストであり、人体及び環境への悪影響が低い撥水剤として有用である。更に、低滑脱性である為繊維製品等における最終製品の品質向上へ効果的である。

Claims (7)

  1. ウレタン化合物(A1)、アクリル樹脂(A2)及び反応性シリコーン(A3)から選ばれる少なくとも1種である成分(A)と、シリコーンレジン(B)と、水と、を含む撥水剤組成物であって、
    前記ウレタン化合物(A1)及びアクリル樹脂(A2)が分子内に炭素数12以上の炭化水素を少なくとも1つ有し、
    前記シリコーンレジン(B)を構成する単位が、RSiO1/2で示されるM単位、SiO4/2で示されるQ単位及びRSiO3/2で示されるT単位から選ばれる少なくとも1種であり(但し、M単位のみ及びQ単位のみを除く)、前記Rは直鎖又は分岐の炭素数1〜18の一価アルキル基を示す、繊維用撥水剤組成物。
  2. 前記成分(A)及び前記成分(B)の重量比率(A:B)が、15:1〜1:15である、請求項1に記載の繊維用撥水剤組成物。
  3. 前記反応性シリコーン(A3)が側鎖及び/又は両末端に反応基を有するポリシロキサンである、請求項1又は2に記載の繊維用撥水剤組成物。
  4. 前記シリコーンレジン(B)を構成する単位が、M単位及びQ単位(MQ)又はT単位のみ(T)からなる、請求項1〜3のいずれかに記載の繊維用撥水剤組成物。
  5. 有機溶剤をさらに含む、請求項1〜4のいずれかに記載の繊維用撥水剤組成物。
  6. 繊維材料に、請求項1〜5のいずれかに記載の繊維用撥水剤組成物を処理してなる、撥水性繊維製品。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の繊維用撥水剤組成物を含む処理液を繊維材料に付与する工程(I)と、該処理液を付与した繊維材料を熱処理する工程(II)とを含む、撥水性繊維製品の製造方法。
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