JP2023042244A - 撥水剤組成物、撥水性繊維及び撥水性繊維の製造方法 - Google Patents

撥水剤組成物、撥水性繊維及び撥水性繊維の製造方法 Download PDF

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尚吾 西浦
shogo Nishiura
大輔 藤岡
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Abstract

【課題】撥水性及び耐久撥水性に優れ、かつ風合いが良好である繊維製品を与え得る、非フッ素系の撥水剤組成物を提供すること。【解決手段】ポリアルキレンイミン(a1)と炭素数10~24のアルキル基を有するモノ(メタ)アクリレート(a2)との反応物(A)を含む、撥水剤組成物であり、前記反応物(A)の含有量が、不揮発分換算で、撥水剤組成物100質量%に対して、70~100質量%である、撥水剤組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、撥水剤組成物、撥水性繊維及び撥水性繊維の製造方法に関する。
従来、繊維に用いられる撥水剤としてはフッ素系撥水剤が知られており、かかるフッ素系撥水剤を用いて繊維製品等を処理することにより、その表面に撥水性が付与された繊維製品が知られている。このようなフッ素系撥水剤は一般にフルオロアルキル基を有する単量体を重合、もしくは共重合させることにより製造される。
しかしながら、フッ素系撥水剤で処理された繊維製品は優れた撥水性を発揮するものの、フルオロアルキル基を有する単量体は、高価であるため経済面においては満足のいくものではなく、更に、フルオロアルキル基を有する単量体は、難分解性であるため環境面においても問題があった。
そこで、近年、フッ素を含まない非フッ素系撥水剤について研究が進められている。例えば、特許文献1には、特定の非フッ素系ポリマーを乳化分散した撥水剤が提案されており、特許文献2には、ポリオルガノシロキサンと金属アルコキシドを含むシリコーン系の撥水剤組成物が提案されている。
特開2006-328624号公報 特開平7-305053号公報
しかしながら、特許文献1に記載の非フッ素系撥水剤で処理された繊維製品は、実用の面で未だ撥水性が不十分であり、さらに、洗濯後の繊維製品における撥水性(耐久撥水性)も満足できるものではなかった。また、特許文献2のようなシリコーン系撥水剤は、それで処理した繊維製品において、風合いが不十分であるものが多いという問題があった。
本発明は、撥水性及び耐久撥水性に優れ、かつ風合いが良好である繊維製品を与え得る、非フッ素系の撥水剤組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリアルキレンイミンと所定のモノ(メタ)アクリレートとの反応物を、特定の含有量で含む撥水剤組成物によって、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。
また、本発明者は、上記反応物、及びポリアミンと所定のモノカルボン酸との縮合物を、特定の含有量で含む撥水剤組成物によって、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。
さらに、本発明者は、上記反応物及び所定のシリコーンを含む撥水剤組成物によって、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の撥水剤組成物、撥水性繊維及び撥水性繊維の製造方法に関する。
1.ポリアルキレンイミン(a1)と炭素数10~24のアルキル基を有するモノ(メタ)アクリレート(a2)との反応物(A)を含む、撥水剤組成物であり、
前記反応物(A)の含有量が、不揮発分換算で、撥水剤組成物100質量%に対して、70~100質量%である、撥水剤組成物。
2.(a1)成分が、ポリエチレンイミンである、上記項1に記載の撥水剤組成物。
3.(a2)成分が、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート及びステアリル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種である、上記項1又は2に記載の撥水剤組成物。
4.さらに界面活性剤(B)を含む、上記項1~3のいずれか1項に記載の撥水剤組成物。
5.上記項1~3のいずれか1項に記載の反応物(A)、及び
ポリアミン(c1)と炭素数10~36のモノカルボン酸(c2)との縮合物(C)を含む、撥水剤組成物であり、
前記反応物(A)及び前記縮合物(C)の合計の含有量が、不揮発分換算で、撥水剤組成物100質量%に対して、70~100質量%である、撥水剤組成物。
6.(c1)成分が、ポリアルキレンポリアミンである、上記項5に記載の撥水剤組成物。
7.(c2)成分が、炭素数12~24の脂肪族モノカルボン酸である、上記項5又は6に記載の撥水剤組成物。
8.(A)成分と(C)成分との質量比率((A)/(C))が、不揮発分換算で1超99未満である、上記項5~7のいずれか1項に記載の撥水剤組成物。
9.上記項1~3のいずれか1項に記載の反応物(A)及びシリコーン(D)を含む、撥水剤組成物。
10.(D)成分が、長鎖アルキル基含有シリコーン及び/又はシリコーンレジンである、上記項9に記載の撥水剤組成物。
11.(A)成分と(D)成分との質量比率((A)/(D))が、不揮発分換算で1超99未満である、上記項9又は10に記載の撥水剤組成物。
12.繊維と、該繊維上に付着した上記項1~11のいずれか一項に記載の撥水剤組成物とを含む、撥水性繊維。
13.繊維を、上記項1~11のいずれか1項に記載の撥水剤組成物が含まれる処理液で処理する工程を含む、撥水性繊維の製造方法。
本発明の撥水剤組成物は、従来の非フッ素系撥水剤に比べて、繊維製品に優れた撥水性及び耐久撥水性を付与でき、また、その繊維製品は風合いも良好なものとなる。
[第1の撥水剤組成物]
本発明の撥水剤組成物は、撥水成分として、ポリアルキレンイミン(a1)(以下、(a1)成分という。)と炭素数10~24のアルキル基を有するモノ(メタ)アクリレート(a2)(以下、(a2)成分という。)との反応物(A)(以下、(A)成分という。)を含むものである。なお、本明細書において、当該撥水剤組成物を第1の撥水剤組成物と称する。また、第1の撥水剤組成物は、後述の第2及び第3の撥水剤組成物とは異なるものである。
<反応物(A)>
(A)成分は、(a1)成分と(a2)成分の反応物である。(A)成分は、1種を単独で、又は2種以上を併用できる。
(ポリアルキレンイミン(a1))
(a1)成分は、特に限定されず、各種公知のものを使用することができる。(a1)成分は、1種を単独で、又は2種以上を併用できる。
(a1)成分は、アルキレンイミンが重合したポリマーであり、分子内に第1級アミノ基(-NH)、第2級アミノ基(-NH-)及び第3級アミノ基を有する。(a1)成分は、分岐構造を有するものが好ましい。
また、(a1)成分は、アルキレンイミンが重合したポリマーであり、分子内に第1級アミノ基(-NH)及び第3級アミノ基のみを有するデンドリマー構造のものであってもよい。
(a1)成分は、例えば、主鎖がアルキレン基とアミノ基からなる繰返し単位であり、下記の一般式(1)及び/又は一般式(2)の構造の繰返し単位を有するポリマーが挙げられる。
Figure 2023042244000001
Figure 2023042244000002
(式(1)および式(2)中、Qはアルキレン基を示す。)
上記一般式(1)、(2)におけるアルキレン基は、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられる。該アルキレン基は1種のみ又は、2種以上であってもよい。
(a1)成分は、例えば、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリブチレンイミン等が挙げられる。
(a1)成分は、繊維製品の撥水性及び耐久撥水性に優れて、後述の(a2)成分との反応性に優れる点から、ポリエチレンイミンが好ましい。また、ポリエチレンイミンは、同様の点から、分子内に第1級アミノ基(-NH)、第2級アミノ基(-NH-)及び第3級アミノ基を有し、分岐構造を有するものがより好ましい。そのようなものとしては、例えば、下記に示されるものが挙げられる。
Figure 2023042244000003
(a1)成分は、その分子内における第1級アミノ基(-NH)、第2級アミノ基(-NH-)及び第3級アミノ基の割合は、特に限定されないが、繊維製品の撥水性及び耐久撥水性に優れて、後述の(a2)成分との反応性に優れる点から、第1級アミノ基(-NH)の含有量が、第1級アミノ基(-NH)、第2級アミノ基(-NH-)及び第3級アミノ基の全体に対して20~50モル%であるのが好ましい。
(ポリアルキレンイミン(a1)の物性)
(a1)成分の物性は特に限定されない。(a1)成分の数平均分子量は、300~100,000が好ましく、5,000~70,000がより好ましく、10,000~50,000がさらに好ましい。
(炭素数10~24のアルキル基を有するモノ(メタ)アクリレート(a2))
(a2)成分は、分子内に1個の(メタ)アクリロイル基を有し、炭素数10~24のアルキル基を有する化合物であれば、特に限定されず、各種公知のものを使用することができる。(a2)成分は、1種を単独で、又は2種以上を併用できる。
(a2)成分は、例えば、下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2023042244000004
(式(3)中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは炭素数10~24のアルキル基を示す)。
上記一般式(3)におけるアルキル基は、例えば、直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、シクロアルキル基等が挙げられる。
(a2)成分は、例えば、炭素数10~24の直鎖状アルキル基を有するモノ(メタ)アクリレート、炭素数10~24の分岐状アルキル基を有するモノ(メタ)アクリレート、炭素数10~24のシクロアルキル基を有するモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記炭素数10~24の直鎖状アルキル基を有するモノ(メタ)アクリレートは、例えば、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ヘンイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、トリコシル(メタ)アクリレート、テトラコシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記炭素数10~24の分岐状アルキル基を有するモノ(メタ)アクリレートは、例えば、イソデシル(メタ)アクリレート、イソウンデシル(メタ)アクリレート、イソドデシル(メタ)アクリレート、イソトリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソペンタデシル(メタ)アクリレート、イソヘキサデシル(メタ)アクリレート、イソヘプタデシル(メタ)アクリレート及びイソステアリル(メタ)アクリレート、イソノナデシル(メタ)アクリレート、イソエイコシル(メタ)アクリレート、イソヘンイコシル(メタ)アクリレート、イソドコシル(メタ)アクリレート、イソトリコシル(メタ)アクリレート、イソテトラコシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記炭素数10~24のシクロアルキル基を有するモノ(メタ)アクリレートは、例えば、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレ-ト、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(a2)成分は、繊維製品の撥水性及び耐久撥水性に優れる点から、炭素数12~24のアルキル基を有するモノ(メタ)アクリレートが好ましく、炭素数16~24のアルキル基を有するモノ(メタ)アクリレートがより好ましい。
(a2)成分は、繊維製品の撥水性及び耐久撥水性に優れる点から、炭素数12~24の直鎖状アルキル基を有するモノ(メタ)アクリレートが好ましく、炭素数16~24の直鎖状アルキル基を有するモノ(メタ)アクリレートがより好ましく、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
<反応物(A)の物性及び製造方法>
(A)成分は、(a1)成分の第1級アミノ基(-NH)、第2級アミノ基(-NH-)が、(a2)成分にマイケル付加反応することにより、当該アミノ基の窒素原子上に下記一般式(4)で表される構成単位が導入される。
Figure 2023042244000005
(式(4)中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは炭素数10~24のアルキル基を示す。)
(A)成分における上記一般式(4)で表される構成単位の含有量は、特に限定されないが、繊維製品の撥水性及び耐久撥水性により優れる点から、(a1)成分の第1級アミノ基(-NH)及び第2級アミノ基(-NH-)の全窒素原子1モルに対して、0.2~2.0モルが好ましく、0.8~2.0がより好ましい。
(A)成分の製造方法は、(a1)成分及び(a2)成分を反応(マイケル付加反応)させる方法であれば特に限定されず、各種公知の製造方法が例示される。具体的には、例えば、(a1)成分及び(a2)成分を25~100℃に加熱し、2~10時間程度反応させる方法が挙げられる。
(A)成分における(a1)成分及び(a2)成分の使用量は、特に限定されない。
(A)成分における(a1)成分及び(a2)成分の使用量は、(a1)成分中に含まれる1級アミノ基の数をM個、2級アミノ基の数をN個とすると、(a1)成分1モルに対して、(a2)成分は(M)~(2M+N)モル程度であることが好ましい。(a2)成分の使用量が、(M)モル以上である場合は、繊維製品の撥水性及び耐久撥水性により優れる傾向があり、(2M+N)モル以下である場合は、(A)成分の安定性がより優れたものになる。なお、(a1)成分が、複数のポリアルキレンイミンを混合したものである場合には、Mは平均値とすればよい。
[第1の撥水剤組成物の物性及び製造方法]
第1の撥水剤組成物における(A)成分の含有量は、不揮発分換算で、第1の撥水剤組成物100質量%に対して、70~100質量%である。撥水成分としての(A)成分の含有量が70質量%以上である場合、第1の撥水剤組成物は、繊維製品に優れた撥水性及び耐久撥水性を付与でき、また、その繊維製品は風合いも良好なものとなる。(A)成分の含有量が70質量%未満である場合、第1の撥水剤組成物は、繊維製品に十分な撥水性及び耐久撥水性を付与し得ない。
第1の撥水剤組成物における(A)成分の含有量は、繊維製品における撥水性、耐久撥水性及び風合いに優れる点から、不揮発分換算で、第1の撥水剤組成物100質量%に対して、80~100質量%であるのが好ましい。
なお、本明細書において「不揮発分」は、溶媒(有機溶剤、水)以外の成分の合計質量である。具体的には、対象物Aの不揮発分は、対象物A 1gを105℃で加熱して恒量に達した時点で残存した成分の合計質量とする。
第1の撥水剤組成物の形態は特に限定されない。第1の撥水剤組成物は、(A)成分をそのまま用いても良いし、(A)成分を溶剤中又は水中に溶解又は分散(懸濁、乳化を含む)させた、溶液又は分散液として用いても良い。第1の撥水剤組成物は、(A)成分の水分散液であることが好ましい。
(A)成分の水分散液の製造方法は、特に限定されず、各種公知の方法を利用できる。具体的には、例えば、後述の界面活性剤(B)の存在下または不存在下、(A)成分を水に分散させる方法等が挙げられる。
上記の分散方法は特に限定されない。該分散方法としては、例えば、(A)成分及び水を強制的に乳化させる機械的乳化法、(A)成分の溶融物に水を徐々に加えて行き、油相と水相を反転させる反転乳化法、(A)成分と水を高圧下で乳化する高圧乳化法等が挙げられる。上記機械的乳化法に用いる乳化機は特に限定されず、例えば、ホモミキサーや高圧ホモジナイザー(マントン-ガウリン社製)、ボールミル等が挙げられる。
(界面活性剤(B))
第1の撥水剤組成物は、界面活性剤(B)(以下、(B)成分という)を含み得る。(B)成分は、特に限定されず各種公知のものを用いることができる。第1の撥水剤組成物が(A)成分の水分散液である場合、(B)成分を含むことにより、該撥水剤組成物における(A)成分の分散性(乳化性)を向上させる。
(B)成分は、例えば、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、反応性乳化剤等が挙げられる。
上記カチオン系界面活性剤としてはテトラアルキルアンモニウムクロライド、トリアルキルベンジルアンモニウムクロライド、アルキルアミン酢酸塩、アルキルアミン塩酸塩、オキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミン酢酸エステル、カチオン化澱粉等が挙げられる。上記カチオン化澱粉は、例えば、とうもろこし、ばれいしょ、タピオカ、小麦及びコメ等の生澱粉に、第1級、第2級、第3級のアミノ基及び第4級アンモニウム基からなる群より選ばれる少なくとも1種の塩基性窒素基を分子中に組み入れてなるもの等が挙げられる。
上記ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類、グリセリン高級脂肪酸エステル類、ポリアルキレンオキサイドのブロックコポリマー等が挙げられ、具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、オレイン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロックコポリマー等が挙げられる。
上記反応性乳化剤としては、例えば、ラジカル重合が可能な二重結合を含む官能基を有する乳化剤であれば特に限定されず各種公知のものを用いることができる。ラジカル重合が可能な二重結合としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、アリル基等が挙げられる。
上記反応性乳化剤としては、例えば、ラジカル重合が可能な二重結合を含む官能基を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルエーテル、該官能基を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルエーテルのスルホコハク酸エステル塩、該官能基を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸エステル塩、該官能基を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンフェニルエーテル、該官能基を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンフェニルエーテルのスルホコハク酸エステル塩、該官能基を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンフェニルエーテルの硫酸エステル塩、該官能基を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、該官能基を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのスルホコハク酸エステル塩、該官能基を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル塩、該官能基を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアラルキルフェニルエーテル、該官能基を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアラルキルフェニルエーテルのスルホコハク酸エステル塩、該官能基を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアラルキルフェニルエーテルの硫酸エステル塩や、該官能基を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのリン酸エステル塩、該官能基を分子中に少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの脂肪族または芳香族カルボン酸塩、酸性リン酸(メタ)アクリル酸エステル系乳化剤、ロジングリシジルエステルアクリレートの酸無水物変性物(特開平4-256429号公報参照)、特開昭63-23725号公報、特開昭63-240931号公報、特開昭62-104802号公報に記載の乳化剤等の各種のものがあげられる。
また、上記反応性乳化剤中のポリオキシエチレンを、ポリオキシプロピレンまたはポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンをブロック共重合またはランダム共重合したものに代えたものもあげられる。なお、これらの市販品としては、例えば、KAYAMER PM-1、KAYAMER PM-2、KAYAMER PM-21(以上、日本化薬(株)製)、SE-10N、NE-10、NE-20、NE-30、アデカリアソープSR-10、アデカリアソープSR-20、アデカリアソープER-20(以上、(株)ADEKA製)、ニューフロンティアA229E、ニューフロンティアN117E、ニューフロンティアN250Z、アクアロンRN-10、アクアロンRN-20、アクアロンRN-50、アクアロンHS-10、アクアロンKH-05、アクアロンKH-10(以上、第一工業製薬(株)製)、エレミノールJS-2(三洋化成工業(株)製)、ラテムルK-180(花王(株)製)等がその代表例としてあげられる。
(B)成分は、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤を用いることが好ましい。
第1の撥水剤組成物における(B)成分の使用量は、特に限定されないが、(B)成分を使用する場合は、(A)成分100質量部に対し、不揮発分換算で、0.1~20質量部程度であるのが好ましい。
第1の撥水剤組成物は、(A)成分の水分散液である場合は、必要に応じて保護コロイドを含み得る。保護コロイドとしては、特に限定されず公知のものを使用できる。具体的には、例えば、アニオン性モノマー、カチオン性モノマーおよびその他のモノマーを重合させて得られたものが挙げられる。アニオン性モノマーとは、少なくとも1つのアニオン性官能基および1つのビニル基を有するものであり、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ムコン酸、シトラコン酸等のジカルボン酸;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸等の有機スルホン酸;またはこれら各種有機酸のナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。カチオン性モノマーとは、少なくとも1つのカチオン性官能基および1つのビニル基を有するものであり、具体的には、例えば、アリルアミンの他、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の第三級アミノ基を有するビニルモノマーまたはそれらの塩酸、硫酸、酢酸等の無機酸もしくは有機酸の塩類、または該第三級アミノ基含有ビニルモノマーとメチルクロライド、ベンジルクロライド、ジメチル硫酸、エピクロルヒドリン等の四級化剤との反応によって得られる第四級アンモニウム塩を含有するビニルモノマー等が挙げられる。アニオン性モノマーおよびカチオン性モノマー以外のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-t-ブチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等のアクリル酸アルキルエステル類、アリルアルコール等のアリル基を含有するアリル系モノマー類、イソプロピルアクリルアミド等のN-置換アクリルアミド系モノマー類、(メタ)アクリロニトリル等の他、2官能ビニルモノマー系としてメチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド等のビスアクリルアミド系モノマー類やエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のジアクリレート系モノマー類、ジアリルアミン、ジビニルベンゼン等であり、3以上のビニル基を有する多官能ビニルモノマー類としては、1,3,5-トリアクリロイルヘキサヒドロ-S-トリアジン、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルアミン、テトラメチロールメタンテトラアクリレート等が挙げられる。なお、これらの重合方法は、ラジカル重合法等の公知の方法によればよい。なお、保護コロイドは、(B)成分とは異なるものである。
第1の撥水剤組成物における保護コロイドの使用量は、特に限定されないが、(A)成分100質量部に対し、不揮発分換算で、1~10質量部程度であるのが好ましい。
第1の撥水剤組成物の物性は、特に限定されない。第1の撥水剤組成物が(A)成分の水分散液である場合は、当該水分散液の濃度は、作業性等を考慮して、不揮発分が0.1~60重量%程度であるのが好ましい。また、(A)成分の水分散液は、その分散性を考慮して、体積平均粒子径が0.02~10μm程度であるのが好ましい。さらに、(A)成分の水分散液は、そのpHが3~9程度であるのが好ましく、その外観は、通常は白色ないし黄白色である。
[第2の撥水剤組成物]
本発明の撥水剤組成物は、撥水成分としての(A)成分と、ポリアミン(c1)(以下、(c1)成分という。)及び炭素数10~36のモノカルボン酸(c2)(以下、(c2)成分という。)の縮合物(C)(以下、(C)成分という。)を含むものであってもよい。なお、本明細書において、(A)成分及び(C)成分を含む撥水剤組成物を、第2の撥水剤組成物と称する。
本発明の撥水剤組成物において、撥水成分としての(A)成分に、更に(C)成分を併用することにより、(A)成分の流動性が向上して繊維表面に均一に付着するため、繊維製品により優れた撥水性及び耐久撥水性を付与し得る。
<縮合物(C)>
(C)成分は、(c1)成分と(c2)成分の反応物である。(C)成分は、1種を単独で、又は2種以上を併用できる。
(ポリアミン(c1))
(c1)成分は、分子内に少なくとも2個のアミノ基を有するものであれば、特に限定されず、各種公知のものを使用することができる。(c1)成分は、1種を単独で、又は2種以上を併用できる。
(c1)成分は、例えば、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、脂環式ポリアミン、水酸基含有ポリアミン等が挙げられる。
上記脂肪族ポリアミンは、例えば、モノアルキレンジアミン、ポリアルキレンポリアミン、ビス(アミノアルキル)エーテル、ビス(アミノアルコキシアルキル)エーテル、ビス(アミノアルコキシ)アルカン、ビス[(アミノアルコキシ)アルコキシ]アルカン、(ポリ)エチレングリコ-ルビス(アミノアルキル)エーテルダイマージアミン、(a1)成分等が挙げられる。
上記モノアルキレンジアミンは、例えば、エチレンジアミン、1,2-プロピレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、1,4-ブチレンジアミン、1,5-ペンタンジアミン(ペンタメチレンジアミン)、1,6-ヘキサンジアミン(ヘキサメチレンジアミン)等が挙げられる。
上記ポリアルキレンポリアミンは、例えば、ポリエチレンポリアミン、ポリプロピレンポリアミン、ポリブチレンポリアミン、N,N’-ビス(4-アミノブチル)-1,2-エタンジアミン、N,N’-(3-アミノプロピル)エチレンジアミン等が挙げられる。ポリエチレンポリアミンは、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリス(2-アミノエチル)アミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等が挙げられる。ポリプロピレンポリアミンは、例えば、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、トリス(2-アミノプロピル)アミン、テトラプロピレンペンタミン、ペンタプロピレンヘキサミン、イミノビスプロピルアミン等が挙げられる。ポリブチレンポリアミンは、例えば、ジブチレントリアミン等が挙げられる。
上記ビス(アミノアルキル)エーテルは、例えば、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2-アミノエチル)エーテル、ビス(3-アミノプロピル)エーテル等が挙げられる。
上記ビス(アミノアルコキシアルキル)エーテルは、例えば、ビス[2-(アミノメトキシ)エチル]エ-テル、ビス[2-(2-アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2-(3-アミノプロトキシ)エチル]エーテル等が挙げられる。
上記ビス(アミノアルコキシ)アルカンは、例えば、1,2-ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2-ビス(2-アミノエトキシ)エタン等が挙げられる。
上記ビス[(アミノアルコキシ)アルコキシ]アルカンは、例えば、1,2-ビス[2-(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2-ビス[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]エタン等が挙げられる。
上記(ポリ)エチレングリコ-ルビス(アミノアルキル)エーテルは、例えば、エチレングリコ-ルビス(3-アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコ-ルビス(3-アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコ-ルビス(3-アミノプロピル)エーテル等が挙げられる。
上記芳香族ポリアミンは、例えば、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルジアミン、ビスアミノフェノキシフェニルプロパン、ジアミノジフェニルエーテル、フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフィド、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノベンゾフェノン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノフェニルプロパン、ジアミノフェニルヘキサフルオロプロパン、ジアミノフェニルフェニルエタン、ビスアミノフェノキシベンゼン、ビスアミノベンゾイルベンゼン、ビスアミノジメチルベンジルベンゼン、ビスアミノジトリフルオロメチルベンジルベンゼン、アミノフェノキシビフェニル、アミノフェノキシフェニルケトン、アミノフェノキシフェニルスルフィド、アミノフェノキシフェニルスルホン、アミノフェノキシフェニルエーテル、アミノフェノキシフェニルプロパン、ビス(アミノフェノキシベンゾイル)ベンゼン、ビス(アミノフェノキシ-α,α-ジメチルベンジル)ベンゼン、ビス[(アミノアリールオキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、ビス(アミノ-α,α-ジメチルベンジルフェノキシ)ベンゾフェノン、ビス[アミノ-α,α-ジメチルベンジルフェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’-ビス[アミノフェノキシフェノキシ]ジフェニルスルホン、ジアミノジアリールオキシベンゾフェノン、ジアミノアリールオキシベンゾフェノン等が挙げられる。
脂環式ジアミンは、例えば、ジアミノシクロヘキサン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジメチルージアミノジシクロヘキシルメタン、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)ピペラジン、ジアミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビス(アミノメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、イソホロンジアミン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン及び1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン等が挙げられる。
上記水酸基含有ポリアミンは、例えば、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン等が挙げられる。
(c1)成分は、繊維製品の撥水性及び耐久撥水性に優れる点から、脂肪族ポリアミンが好ましく、ポリアルキレンポリアミンがより好ましく、ポリエチレンポリアミンが特に好ましい。
上記ポリエチレンポリアミンは、繊維製品の撥水性及び耐久撥水性に優れる点から、一般式(1):HN-[(CHNH]-H(式中、mは1~6の整数、nは2~6の整数を表す。)で表される化合物であるのが好ましい。
上記ポリエチレンポリアミンは、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンが、汎用工業試薬として入手が容易であり、常温で低粘度の液体で取り扱いやすく、安定供給の面からも特に好ましい。
(炭素数10~36のモノカルボン酸(c2))
(c2)成分は、炭素数が10~36のモノカルボン酸であれば特に限定されず、各種公知のものを用いることができる。(c2)成分は、1種を単独で、又は2種以上を併用できる。
(c2)成分は、例えば、炭素数が10~36の芳香族モノカルボン酸、炭素数が10~36の脂肪族モノカルボン酸等が挙げられる。
上記の炭素数が10~36の芳香族モノカルボン酸としては、例えば、トルイル酸、ナフタレンカルボン酸等が挙げられる。また、該芳香族モノカルボン酸は、炭素数1~12のアルキル基、アルケニル基等の置換基を有してもよい
上記の炭素数が10~36の脂肪族モノカルボン酸としては、例えば、炭素数が10~36の飽和脂肪酸、炭素数が10~36の不飽和脂肪酸、炭素数が10~36の植物油脂若しくは動物油脂に由来する脂肪酸及びこれらの無水物等が挙げられる。また、炭素数が10~36の脂肪族モノカルボン酸は、反応を容易に進行させるために、酸クロライド等のハロゲン化物としてもよい。
上記飽和脂肪酸は、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等が挙げられる。
上記不飽和脂肪酸は、例えば、パルミトレイン酸、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、ガドレイン酸、アラキドン酸等が挙げられる。
上記の植物油脂若しくは動物油脂に由来する脂肪酸は、例えば、ひまし油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、牛脂脂肪酸、大豆油脂肪酸、なたね油脂肪酸、トール油脂肪酸等が挙げられる。
(c2)成分は、繊維製品の撥水性及び耐久撥水性に優れて、(c1)成分に対する反応性に優れる点から、炭素数が10~36の脂肪族モノカルボン酸であることが好ましい。また、(c2)成分は、同様の点から、炭素数が12~24の脂肪族モノカルボン酸であることがより好ましい。
<縮合物(C)の物性及び製造方法>
(C)成分における(c1)成分及び(c2)成分の使用量は、特に限定されない。
(C)成分における(c1)成分及び(c2)成分の使用量は、(c1)成分中に含まれる第1級アミノ基の数をM個、第2級アミノ基の数をN個とすると、(c1)成分1モルに対して、(c2)成分は(M)~(M+N)モル程度であることが好ましい。(c2)成分の使用量が、(M)モル以上である場合は、繊維製品の撥水性及び耐久撥水性により優れる傾向があり、(M+N)モル以下である場合は、(C)成分の安定性がより優れたものになる。なお、(c1)成分が、複数のポリアミンを混合したものである場合には、Mは平均値とすればよい。
(C)成分の製造方法は、(c1)成分及び(c2)成分を反応させる方法であれば特に限定されず、各種公知の製造方法が例示される。具体的には、例えば、(c1)成分及び(c2)成分を150℃以上に加熱し、副生する水を除去しながら、2~8時間程度反応させる方法が挙げられる。
(C)成分の形態は特に限定されない。(C)成分は、そのまま用いても良いし、溶剤中又は水中に溶解又は分散(懸濁、乳化を含む)させた、溶液又は分散液として用いても良い。(C)成分は、水分散液であることが好ましい。
(C)成分の水分散液の調製方法は、特に限定されず、各種公知の方法を利用できる。具体的には、例えば、(B)成分の存在下または不存在下、(C)成分を水に分散させる方法;上記製造方法において、水存在下で得られた(C)成分の分散液をそのまま用いる方法;又は(C)成分の水分散液の市販品を用いる方法等が挙げられる。上記分散方法は特に限定されず、例えば、上述したものと同様のものが挙げられる。
(C)成分の水分散液における(B)成分の使用量は、特に限定されないが、(C)成分100質量部に対し、不揮発分換算で、通常1~10質量部程度である。(B)成分は、上記カチオン系界面活性剤、上記ノニオン系界面活性剤を用いることが好ましい。
なお、必要に応じて、(C)成分の水分散液には保護コロイドを用いてもよい。保護コロイドとしては、特に限定されず公知のものを使用できる。具体的には、例えば、上述の保護コロイドが挙げられる。
(C)成分の水分散液における保護コロイドの使用量は、特に限定されないが、(C)成分100質量部に対し、不揮発分換算で、1~10質量部程度であるのが好ましい。
(C)成分の水分散液の物性は特に限定されない。(C)成分の水分散液の濃度は、作業性等を考慮して、不揮発分が0.1~50重量%程度であるのが好ましい。また、(C)成分の上記水分散液は、その分散性を考慮して、体積平均粒子径が0.2~10μm程度であるのが好ましい。さらに、(C)成分の上記水分散液は、そのpHが3~7程度であるのが好ましく、その外観は、通常は白色ないし黄白色である。
[第2の撥水剤組成物の物性及び製造方法]
第2の撥水剤組成物における(A)成分及び(C)成分の合計の含有量は、不揮発分換算で、第2の撥水剤組成物100質量%に対して、70~100質量%である。撥水成分としての(A)成分及び(C)成分の合計の含有量が70質量%以上である場合、第2の撥水剤組成物は、繊維製品に優れた撥水性及び耐久撥水性を付与でき、また、その繊維製品は風合いも良好なものとなる。(A)成分及び(C)成分の合計の含有量が70質量%未満である場合、第2の撥水剤組成物は、繊維製品に十分な撥水性及び耐久撥水性を付与し得ない。
第2の撥水剤組成物における(A)成分及び(C)成分の合計の含有量は、繊維製品における撥水性、耐久撥水性及び風合いに優れる点から、不揮発分換算で、第2の撥水剤組成物100質量%に対して、80~100質量%であるのが好ましい。
第2の撥水剤組成物における(A)成分と(C)成分との質量比率((A)/(C))は特に限定されないが、不揮発分換算で、1超99未満であるのが好ましい。上記質量比率が1超である場合は、耐久撥水性がより良好になり、上記質量比率が99未満である場合は、撥水性がより優れたものとなる。上記質量比率は、撥水性及び耐久撥水性に優れる点から、不揮発分換算で、1.5~9程度であるのがより好ましい。
第2の撥水剤組成物における(A)成分の含有量は、特に限定されないが、繊維製品における撥水性、耐久撥水性及び風合いに優れる点から、第2の撥水剤組成物100質量%に対して、不揮発分換算で50~99質量%程度であることが好ましい。
第2の撥水剤組成物における(C)成分の含有量は、特に限定されないが、繊維製品における撥水性、耐久撥水性及び風合いに優れる点から、第2の撥水剤組成物100質量%に対して、不揮発分換算で1~40質量%程度であることが好ましい。
第2の撥水剤組成物の形態は特に限定されない。第2の撥水剤組成物は、(A)成分及び(C)成分をそのまま混合させたものを用いても良いし、(A)成分及び(C)成分を溶剤中又は水中に溶解又は分散(懸濁、乳化を含む)させた、溶液又は分散液として用いても良い。第2の撥水剤組成物は、(A)成分及び(C)成分を含む水分散液であることが好ましい。
(A)成分及び(C)成分を含む水分散液の製造方法は、特に限定されず、各種公知の方法を利用できる。具体的には、例えば、(B)成分の存在下または不存在下、(A)成分及び(C)成分を水に分散させる方法;(A)成分の上記水分散液と(C)成分の上記水分散液を混合させる方法等が挙げられる。上記分散方法は特に限定されず、例えば、上述したものと同様のものが挙げられる。
第2の撥水剤組成物における(B)成分の使用量は、特に限定されないが、(B)成分を使用する場合は、(A)成分及び(C)成分の合計100質量部に対し、不揮発分換算で、0.1~20質量部程度であるのが好ましい。
第2の撥水剤組成物の物性は、特に限定されない。第2の撥水剤組成物が(A)成分及び(C)成分を含む水分散液である場合は、当該水分散液の濃度は、作業性等を考慮して、不揮発分が0.1~60重量%程度であるのが好ましい。また、(A)成分及び(C)成分を含む水分散液は、その分散性を考慮して、体積平均粒子径が0.02~10μm程度であるのが好ましい。さらに、(A)成分及び(C)成分を含む水分散液は、そのpHが3~9程度であるのが好ましく、その外観は、通常は白色ないし黄白色である。
[第3の撥水剤組成物]
本発明の撥水剤組成物は、撥水成分として、(A)成分及びシリコーン(D)(以下、(D)成分という。)を含むものであってもよい。なお、本明細書において、(A)成分及び(D)成分を含む撥水剤組成物を、第3の撥水剤組成物と称する。
本発明の撥水剤組成物において、撥水成分としての(A)成分に、更に(D)成分を併用することにより、繊維製品により優れた撥水性及び耐久撥水性を付与し得る。
<シリコーン(D)>
(D)成分は、特に限定されず、各種公知のものを用いることが出来る。(D)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、例えば、シリコーンレジン、シリコーンオイル等が挙げられる。
(シリコーンレジン)
上記シリコーンレジンは、特に限定されない。上記シリコーンレジンは、例えば、構成成分としてT単位及び/又はQ単位を含み、かつ該T単位及び/又はQ単位以外の構成単位としてM単位及びD単位から選ばれる少なくとも1種のシロキサン単位を含む、三次元構造を有するオルガノポリシロキサンが挙げられる。なお、M単位、D単位、T単位及びQ単位は、それぞれ(R)SiO1/2単位、(R)SiO2/2単位、RSiO3/2単位及びSiO4/2単位を意味する。
上記M単位、D単位、T単位及びQ単位におけるRは、互いに独立して、置換又は非置換の、炭素数1~12の一価炭化水素基、水酸基、炭素数1~6の加水分解性基等が例示される。
上記の一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、α,β-ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基等のアラルキル基;又は、これらの基の水素原子の一部又は全部が、F、Cl、Br等のハロゲン原子やシアノ基等で置換された基(例えば、3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、2-シアノエチル基等)が挙げられる。
上記の加水分解性基としては、例えば、メトキシ基、及びエトキシ基等のアルコキシ基等が挙げられる。
上記シリコーンレジンは、例えば、上記M単位及び上記Q単位を主成分とするMQレジン、上記T単位及び上記D単位を主成分とするTDレジン、該M単位及びT単位を主成分とするMTレジン、該M単位、D単位及びQ単位からなるMDQレジン、該M単位、D単位及びT単位からなるMDTレジン、並びに、該M単位、D単位、T単位、及びQ単位からなるMDTQレジン等が挙げられる。
上記シリコーンレジンの市販品としては、例えば、KS-3800、KF-7312J、KF-7312F、KF-9021L、KF-7312L、X-92-183、KM-9717、X-52-8005、X-51-1302M(以上、信越化学工業(株)製)、SD-7292、BY24-843、MQ-1600、MQ-1640(以上、ダウ・東レ(株)製)等が挙げられる。
(シリコーンオイル)
上記シリコーンオイルは、特に限定されない。上記シリコーンオイルは、例えば、直鎖状のオルガノポリシロキサンが挙げられる。該オルガノポリシロキサンは、例えば、その側鎖及び末端の少なくともいずれかに有機基を有するものが挙げられる。
上記シリコーンオイルは、例えば、ストレートシリコーン、変性シリコーン等が挙げられる。
上記ストレートシリコーンは、例えば、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン等が挙げられる。
上記変性シリコーンは、例えば、アミノ基含有シリコーン、エポキシ基含有シリコーン、カルビノール基含有シリコーン、メルカプト基含有シリコーン、カルボキシル基含有シリコーン、ポリエーテル基含有シリコーン、長鎖アルキル基含有シリコーン、アラルキル基含有シリコーン、長鎖アルキル・アラルキル基含有シリコーン、高級脂肪酸エステル基含有シリコーン、高級脂肪族アミド基含有シリコーン等が挙げられる。
上記アミノ基含有シリコーンは、シロキサン構造の側鎖及び末端の少なくともいずれかにアミノ基及び/又はイミノ基を含む有機基を有する化合物等が例示される。アミノ基含有シリコーンの市販品は、例えば、WACKER FINISH WR301、WR1100、WR1200、WR1300、WR1600(以上、旭化成ワッカーシリコーン社製)、KF8005、KF-868、KF-864、KF-393、KF-8021(以上、信越化学工業(株)製)、TSF-4709、XF42-B1989(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン(合)製)、BY16-872、SF-8417、BY16-853U、BY16-892(以上、ダウ・東レ(株)製)等が挙げられる。
上記エポキシ基含有シリコーンは、シロキサン構造の側鎖及び末端の少なくともいずれかにエポキシ基を含む有機基を有する化合物等が例示される。エポキシ基含有シリコーンの市販品は、例えば、X-22-343、KF-101、KF-1001、X-22-163、X-22-163A、X-22-163B、X-22-163C、KF-105、X-22-169AS、X-22-169B、X-22-173BX、X-22-173DX(以上、信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
上記カルビノール基含有シリコーンは、シロキサン構造の側鎖及び末端の少なくともいずれかにカルビノール基を含む有機基を有する化合物等が例示される。カルビノール基含有シリコーンの市販品は、例えば、X-22-4039、X-22-4015、X-22-170BX、X-22-170DX、KF-6000、KF-6001、KF-6002、KF-6003(以上、信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
上記メルカプト基含有シリコーンは、シロキサン構造の側鎖及び末端の少なくともいずれかにメルカプト基を含む有機基を有する化合物等が例示される。メルカプト基含有シリコーンの市販品は、例えば、KF-2001、KF-2004、X-22-167B、X-22-167C(以上、信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
上記カルボキシル基含有シリコーンは、シロキサン構造の側鎖及び末端の少なくともいずれかにカルボキシル基を含む有機基を有する化合物等が例示される。カルボキシル基含有シリコーンの市販品は、例えば、X-22-3701E、X-22-162C(以上、信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
上記ポリエーテル基含有シリコーンは、シロキサン構造の側鎖及び末端の少なくともいずれかにポリエーテル基を含む有機基を有する化合物等が例示される。上記ポリエーテル基は、例えば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンのブロック構造等のポリオキシアルキレン基等が挙げられる。ポリエーテル基含有シリコーンの市販品は、例えば、SF8410(ダウ・東レ(株)製)、KF-6004、KF-6011、KF-6012、KF-6020、KF-6204、X-22-4515(以上、信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
上記長鎖アルキル基含有シリコーンは、シロキサン構造の側鎖及び末端の少なくともいずれかに長鎖アルキル基を含む有機基を有する化合物等が例示される。上記長鎖アルキル基は、特に限定されないが、繊維製品の撥水性及び耐久撥水性に優れる点で、炭素数6以上のアルキル基が好ましく、炭素数6~36のアルキル基がより好ましい。長鎖アルキル基含有シリコーンの市販品は、例えば、SF8416(ダウ・東レ(株)製)、KF-412、KF-413、KF-414、KF-415、KF-4003、KF-4701、KF-4917、KF-7235B、X-22-1877、X-52-8046(以上、信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
上記アラルキル基含有シリコーンは、シロキサン構造の側鎖及び末端の少なくともいずれかにアラルキル基を含む有機基を有する化合物等が例示される。上記アラルキル基は、例えば、ベンジル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基等が挙げられる。アラルキル基含有シリコーンの市販品は、例えば、KF-410(信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
上記長鎖アルキル・アラルキル基含有シリコーンは、シロキサン構造の側鎖及び末端の少なくともいずれかに上記長鎖アルキル基及び上記アラルキル基を含む有機基を有する化合物等が例示される。長鎖アルキル・アラルキル基含有シリコーンの市販品は、例えば、SH203(ダウ・東レ(株)製)、X-22-1877(信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
上記高級脂肪酸エステル基含有シリコーンは、シロキサン構造の側鎖及び末端の少なくともいずれかに高級脂肪酸エステル基を含む有機基を有する化合物等が例示される。高級脂肪酸エステル基含有シリコーンの市販品は、例えば、X-22-715(信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
上記高級脂肪族アミド基含有シリコーンは、シロキサン構造の側鎖及び末端の少なくともいずれかに上記高級脂肪族アミド基を含む有機基を有する化合物等が例示される。高級脂肪族アミド基含有シリコーンの市販品は、例えば、KF-3935(信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
(D)成分は、繊維製品の撥水性及び耐久撥水性に優れる点から、シリコーンレジン、長鎖アルキル基含有シリコーン、アラルキル基含有シリコーン、長鎖アルキル・アラルキル基含有シリコーンが好ましく、同様の点から、MQレジン、長鎖アルキル基含有シリコーンがより好ましい。
(D)成分の形態は特に限定されない。(D)成分は、そのまま用いても良いし、溶剤中又は水中に溶解又は分散(懸濁、乳化を含む)させた、溶液又は分散液として用いても良い。(D)成分は、水分散液であることが好ましい。
(D)成分の水分散液の製造方法は、特に限定されないが、例えば、(B)成分の存在下又は不存在下、(D)成分を水に分散させる方法;(D)成分の水分散液の市販品を用いる方法等が挙げられる。上記分散方法は特に限定されず、例えば、上述したものと同様のものが挙げられる。
[第3の撥水剤組成物の物性及び製造方法]
第3の撥水剤組成物における(A)成分と(D)成分との質量比率((A)/(D))は特に限定されないが、不揮発分換算で、1超99未満であるのが好ましい。上記質量比率が1超である場合は、繊維製品における風合いがより良好になり、上記質量比率が99未満である場合は、繊維製品における撥水性及び耐久撥水性がより優れたものとなる。上記質量比率は、繊維製品における撥水性、耐久撥水性及び風合いのバランスに優れる点から、不揮発分換算で、2~8程度であることがより好ましい。
第3の撥水剤組成物における(A)成分の含有量は、特に限定されないが、繊維製品における撥水性、耐久撥水性及び風合いに優れる点から、第3の撥水剤組成物100質量%に対して、不揮発分換算で50~90質量%程度であることが好ましい。
第3の撥水剤組成物における(D)成分の含有量は、特に限定されないが、繊維製品における撥水性、耐久撥水性及び風合いに優れる点から、第3の撥水剤組成物100質量%に対して、不揮発分換算で3~40質量%程度であることが好ましい。
第3の撥水剤組成物の形態は特に限定されない。第3の撥水剤組成物は、(A)成分及び(D)成分をそのまま混合させたものを用いても良いし、(A)成分及び(D)成分を溶剤中又は水中に溶解又は分散(懸濁、乳化を含む)させた、溶液又は分散液として用いても良い。第3の撥水剤組成物は、(A)成分及び(D)成分を含む水分散液であることが好ましい。
(A)成分及び(D)成分を含む水分散液の製造方法は、特に限定されず、各種公知の方法を利用できる。具体的には、例えば、(B)成分の存在下または不存在下、(A)成分及び(D)成分を水に分散させる方法;(A)成分の上記水分散液と(D)成分の上記水分散液を混合させる方法等が挙げられる。上記分散方法は特に限定されず、例えば、上述したものと同様のものが挙げられる。
第3の撥水剤組成物の物性は、特に限定されない。第3の撥水剤組成物が(A)成分及び(D)成分を含む水分散液である場合は、当該水分散液の濃度は、作業性等を考慮して、不揮発分が0.1~60重量%程度であるのが好ましい。また、(A)成分及び(D)成分を含む水分散液は、その分散性を考慮して、体積平均粒子径が0.02~10μm程度であるのが好ましい。さらに、(A)成分及び(D)成分を含む水分散液は、そのpHが3~9程度であるのが好ましく、その外観は、通常は白色ないし黄白色である。
(添加剤)
第1、第2及び第3の撥水剤組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて各種公知の添加剤を含み得る。添加剤は、例えば、それら撥水剤組成物以外の撥水剤、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、抗菌剤、防黴剤、着色剤、酸化防止剤、消臭剤、各種有機溶剤、キレート剤、帯電防止剤、触媒、後述の架橋剤、抗菌防臭剤、難燃剤、柔軟剤、防皺剤等が挙げられる。上記添加剤は、1種を単独で、又は2種以上を混合して用いる事が出来る。
上記消泡剤としては、例えば、ヒマシ油、ゴマ油、アマニ油、動植物油などの油脂系消泡剤;ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸などの脂肪酸系消泡剤;ステアリン酸イソアミル、こはく酸ジステアリル、エチレングリコールジステアレート、ステアリン酸ブチルなどの脂肪酸エステル系消泡剤;ポリオキシアルキレンモノハイドリックアルコール、ジ-t-アミルフェノキシエタノール、3-ヘプタノール、2-エチルヘキサノールなどのアルコール系消泡剤;ジ-t-アミルフェノキシエタノール、3-ヘプチルセロソルブ、ノニルセロソルブ、3-ヘプチルカルビトールなどのエーテル系消泡剤;トリブチルフォスフェート、トリス(ブトキシエチル)フォスフェートなどのリン酸エステル系消泡剤;ジアミルアミンなどのアミン系消泡剤;ポリアルキレンアミド、アシレートポリアミンなどのアミド系消泡剤;ラウリル硫酸エステルナトリウムなどの硫酸エステル系消泡剤;鉱物油等が挙げられる。消泡剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記pH調整剤としては、乳酸、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、シュウ酸、ギ酸、クエン酸、リンゴ酸、スルホン酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸;塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、ホウ酸等の無機酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、アンモニア、アルカノールアミン、ピリジン、モルホリン等の塩基が挙げられる。pH調整剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、ヘキシルアルコール、2-エチルヘキシルアルコール等の炭素数1~8の脂肪族アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジオキサン、メチルターシャリーブチルエーテル、ブチルカルビトール等のエーテル類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール類;エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル,3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール等のグリコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエステル類;ホルムアミド、アセトアミド、ベンズアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトアニリド等のアミドが挙げられる。有機溶剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記帯電防止剤としては、撥水性の性能を阻害しにくいものを使用するのがよい。帯電防止剤としては、例えば、高級アルコール硫酸エステル塩、硫酸化油、スルホン酸塩、第4級アンモニウム塩、イミダゾリン型4級塩などのカチオン系界面活性剤、ポリエチレングリコール型、多価アルコールエステル型などの非イオン系界面活性剤、イミダゾリン型4級塩、アラニン型、ベタイン型などの両性界面活性剤、高分子化合物タイプの制電性重合体、ポリアルキルアミンなどが挙げられる。帯電防止剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
[撥水性繊維]
本発明の撥水性繊維は、繊維を第1、第2及び第3の撥水剤組成物(以下、単に撥水剤組成物ともいう。)が含まれる処理液で処理することにより得られる。
(処理液)
上記処理液は、上記撥水剤組成物をそのまま処理液として使用しても良いし、さらに水性媒体又は疎水性溶媒で希釈することによって処理液とすることもできる。
上記水性媒体は、例えば、水、又は、水と水に混和する親水性溶剤との混合溶媒であることが好ましい。親水性溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、へキシレングリコール、グリセリン、ブチルグリコール、ブチルジグリコール、ソルフィット、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホオキサイド等が挙げられる。
(架橋剤)
上記処理液は、撥水性繊維の耐久撥水性を向上させることを目的に、さらに架橋剤を含み得る。該架橋剤は、例えば、メラミン樹脂、イソシアネート基又はブロックドイソシアネート基を1個以上有する化合物等が挙げられる
上記メラミン樹脂は、メラミン骨格を有する化合物を用いることができ、例えば、トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミンなどのポリメチロールメラミン;ポリメチロールメラミンのメチロール基の一部又は全部が、炭素数1~6のアルキル基を有するアルコキシメチル基となったアルコキシメチルメラミン;ポリメチロールメラミンのメチロール基の一部又は全部が、炭素数2~6のアシル基を有するアシロキシメチル基となったアシロキシメチルメラミンなどが挙げられる。これらのメラミン樹脂は、単量体、あるいは2量体以上の多量体のいずれであってもよく、あるいはこれらの混合物を用いてもよい。さらに、メラミンの一部に尿素等を共縮合したものも使用できる。このようなメラミン樹脂としては、例えば、DIC株式会社製のベッカミンAPM、ベッカミンM-3、ベッカミンM-3(60)、ベッカミンMA-S、ベッカミンJ-101、及びベッカミンJ-101LF、ユニオン化学工業株式会社製のユニカレジン380K、三木理研工業株式会社製のリケンレジンMMシリーズなどが挙げられる。
上記メラミン樹脂は、反応を促進させる観点から触媒を使用することが好ましい。このような触媒としては、通常用いられる触媒であれば特に制限されず、例えば、ホウ弗化アンモニウム、ホウ弗化亜鉛等のホウ弗化化合物;塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム等の中性金属塩触媒;燐酸、塩酸、ホウ酸等の無機酸などが挙げられる。これら触媒には、必要に応じて、助触媒として、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、乳酸等の有機酸などを併用することもできる。このような触媒としては、例えば、DIC株式会社製のキャタリストACX、キャタリスト376、キャタリストO、キャタリストM、キャタリストG(GT)、キャタリストX-110、キャタリストGT-3、及びキャタリストNFC-1、ユニオン化学工業株式会社製のユニカキャタリスト3-P、及びユニカキャタリストMC-109、三木理研工業株式会社製のリケンフィクサーRCシリーズ、リケンフィクサーMXシリーズ、及びリケンフィクサーRZ-5などが挙げられる。
上記イソシアネート基又はブロックドイソシアネート基を1個以上有する化合物としては、ブチルイソシアネート、フェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、ナフタレンイソシアネートなどの単官能(モノ)イソシアネート化合物や、多官能イソシアネート化合物を使用することができる。
多官能イソシアネート化合物としては、分子内に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物であれば特に限定されず、公知のポリイソシアネート化合物を用いることができる。多官能イソシアネート化合物としては、例えば、アルキレンジイソシアネート、アリールジイソシアネート及びシクロアルキルジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物、トリイソシアネート化合物、該ジイソシアネート化合物の二量体又は三量体などの変性ポリイソシアネート化合物等が挙げられる。アルキレンジイソシアネートの炭素数は、1~12であることが好ましい。
上記ジイソシアネート化合物としては、例えば、2,4又は2,6-トリレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレン-1,6-ジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレン又はナフチレンジイソシアネート、4,4’-メチレン-ビス(フェニルイソシアネート)、2,4’-メチレン-ビス(フェニルイソシアネート)、3,4’-メチレン-ビス(フェニルイソシアネート)、4,4’-エチレン-ビス(フェニルイソシアネート)、ω,ω’-ジイソシアネート-1,3-ジメチルベンゼン、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジメチルシクロヘキサン、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジメチルベンゼン、ω,ω’-ジイソシアネート-1,3-ジメチルシクロヘキサン、1-メチル-2,4-ジイソシアネートシクロヘキサン、4,4’-メチレン-ビス(シクロヘキシルイソシアネート)、3-イソシアネート-メチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、酸-ジイソシアネート二量体、ω,ω’-ジイソシアネートジエチルベンゼン、ω,ω’-ジイソシアネートジメチルトルエン、ω,ω’-ジイソシアネートジエチルトルエン、フマル酸ビス(2-イソシアネートエチル)エステル、1,4-ビス(2-イソシアネート-プロプ-2-イル)ベンゼン、及び、1,3-ビス(2-イソシアネート-プロプ-2-イル)ベンゼンが挙げられる。
上記トリイソシアネート化合物としては、例えば、トリフェニルメタントリイソシアネート、ジメチルトリフェニルメタンテトライソシアネート、トリス(イソシアナートフェニル)-チオフォスファートなどが挙げられる。
上記ジイソシアネート化合物から誘導される変性ポリイソシアネート化合物としては、2つ以上のイソシアネート基を有するものであれば特に制限はなく、例えば、ビウレット構造、イソシアヌレート構造、ウレタン構造、ウレトジオン構造、アロファネート構造、三量体構造等を有するポリイソシアネート、トリメチロールプロパンの脂肪族イソシアネートのアダクト体等を挙げることができる。また、ポリメリックMDI(MDI=ジフェニルメタンジイソシアネート)も多官能イソシアネート化合物として使用することができる。
上記多官能イソシアネート化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記多官能イソシアネート化合物が有するイソシアネート基は、そのままでもよく、ブロック剤によりブロックされたブロックイソシアネート基であってもよい。ブロック剤としては、3,5-ジメチルピラゾール、3-メチルピラゾール、3,5-ジメチル-4-ニトロピラゾール、3,5-ジメチル-4-ブロモピラゾール、ピラゾールなどのピラゾール類;フェノール、メチルフェノール、クロルフェノール、iso-ブチルフェノール、tert-ブチルフェノール、iso-アミルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール等のフェノール類;ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタム、γ-ブチロラクタム等のラクタム類;マロン酸ジメチルエステル、マロン酸ジエチルエステル、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等の活性メチレン化合物類;ホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム等のオキシム類;イミダゾール、2-メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物類;重亜硫酸ソーダなどが挙げられる。これらの中でも、撥水性の観点から、ピラゾール類及びオキシム類が好ましい。
上記多官能イソシアネート化合物としては、ポリイソシアネート構造に親水基を導入して界面活性効果を持たせることにより、ポリイソシアネートに水分散性を付与した水分散性イソシアネートを用いることもできる。また、反応を促進するため、有機錫、有機亜鉛等の公知の触媒を併用することもできる。
上記架橋剤や触媒は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(繊維)
上記繊維としては、天然繊維、化学繊維のいずれであってもよい。天然繊維としては、例えば、綿、大麻、亜麻、ヤシ、いぐさ等の植物繊維;羊毛、山羊毛、モヘア、カシミア、ラクダ、絹等の動物繊維;石綿等の鉱物繊維等を挙げることができる。化学繊維としては、例えば、ロックファィバ-、金属繊維、グラファイト、シリカ、チタン酸塩等の無機繊維;レーヨン、キュプラ、ビスコース、ポリノジック、精製セルロース繊維等の再生セルロース系繊維;溶融紡糸セルロース繊維;牛乳タンパク、大豆タンパク等のタンパク質系繊維;再生絹、アルギン酸繊維等の再生・半合成繊維;ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、カチオン可染ポリエステル繊維、ポリビニル繊維、ポリアクリルアルコール繊維、ポリウレタン繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリビニリデン繊維、ポリスチレン繊維等の合成繊維を挙げることができる。また、これら繊維を2種以上複合(混紡、混繊、交織、交編等)されていてもよい。
上記ポリエステル繊維としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維のほかに、ポリ乳酸(PLA)繊維、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維、ポリブチレンテレフタレート(PBT)繊維、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)繊維、ポリエチレンナフタレート(PEN)繊維、ポリアリレート繊維等エステル結合を形成する反応によって縮合させた高分子からなる繊維を意味する。ポリエステル繊維と複合される繊維としては、セルロース繊維、ポリアミド繊維、ポリウレタン繊維等の合成繊維や天然繊維が挙げられる。
上記ポリアミド繊維は、ポリアミドを必須とし、複合化されていてもよい繊維を意味し、たとえば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン4、ナイロン7、芳香族ナイロン(アラミド)等のナイロン繊維が挙げられる。ポリアミドは、通常、アミド結合を形成する反応によって縮合させて得られる。
上記繊維の形態としては、例えば、繊維、織物、編物、布帛、糸状、チーズ、かせ、衣料品形態の布、カーペット、不織布等の形態を挙げることができる。
本発明の撥水剤組成物は、綿、ナイロン繊維、ポリエステル繊維又はこれら2種以上の複合繊維に用いることが好ましい。
(繊維処理)
上記繊維を上記処理液で処理する方法としては、例えば、浸漬、噴霧、塗布等の加工方法、又はクリーニング法による加工方法等が挙げられる。また、上記撥水剤組成物が水を含有する場合は、該撥水性組成物を上記繊維に付着させた後、水を除去するために処理された繊維を乾燥させることが好ましい。
上記撥水性繊維において、上記撥水剤組成物の繊維への付着量は、要求される撥水性及び耐久撥水性の度合いに応じて適宜調整可能であるが、繊維に対して、不揮発分換算で、上記撥水剤組成物の付着量が0.01~10g/mとなるように調整することが好ましく、0.05~5g/mとなるように調整することがより好ましい。
上記処理液で繊維を処理した後は、適宜熱処理することが好ましい。温度条件は特に制限はないが、通常110~180℃程度である。
上記撥水性繊維において、特に、耐久撥水性を向上させたい場合には、上記処理液で繊維を処理する上記工程(以下、撥水処理工程という)と、上記架橋剤を繊維に付着させてこれを加熱する工程(以下、架橋工程という)とを含む方法によって、上記繊維を撥水加工することが好ましい。
上記架橋工程は、例えば、上記架橋剤を有機溶剤に溶解又は水に乳化分散させた液に、被処理物(撥水処理工程後の繊維)を浸漬し、浸漬後の被処理物を乾燥させて架橋剤を付着させ、次いで加熱することにより、架橋剤と繊維及び上記撥水性組成物との反応を進行させる方法が挙げられる。架橋剤の反応を十分に進行させてより効果的に耐久撥水性を向上させるために、このときの加熱は110~180℃で1~5分間行うのがよい。
また、上記架橋剤を過度に使用すると風合を損ねるおそれがある。上記架橋剤は、被処理物(繊維)に対して0.1~50質量%の量で用いることが好ましく、0.1~10質量%の量で用いることが特に好ましい。
上記撥水性繊維は、フッ素系の化合物を使用していないことから、環境にやさしいものとすることができる。上記撥水性繊維は、優れた撥水性、耐久撥水性を有し、柔軟な風合いを示すことから、ダウン用側地、コート、ブルゾン、ウインドブレーカー、ブラウス、ドレスシャツ、スカート、スラックス、手袋、帽子、布団側地、布団干しカバー、カーテン、テントまたは傘類等、衣類用途品、非衣類用途品等の繊維用途に好適に使用される。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、例中の「部」および「%」とあるのは、それぞれ「質量部」および「質量%」を表す。
<反応物(A)の合成>
製造例1
攪拌機、冷却管、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応容器にステアリルアクリレート400.6部を仕込み、加熱溶融したのちポリエチレンイミン(商品名「エポミンHM-2000」、(株)日本触媒製、数平均分子量30,000)99.3部を加えた。窒素雰囲気下で100℃まで昇温した後3時間反応を行い、反応物(A1)を得た。
製造例2
ポリエチレンイミン(商品名「エポミンHM-2000」、(株)日本触媒製、数平均分子量30,000)の代わりにポリエチレンイミン(商品名「エポミンSP-200」、(株)日本触媒製、数平均分子量10,000)に変更した以外は製造例1と同様の手順で製造し、反応物(A2)を得た。
比較製造例1
攪拌機、冷却管、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応容器にステアリルアクリレート455.6部を仕込み、加熱溶融したのちテトラエチレンペンタミン52.2部を加えた。窒素雰囲気下で100℃まで昇温した後3時間反応を行い、反応物(A’1)を得た。
<縮合物(C)の合成>
製造例4
攪拌機、脱水管、冷却管、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応容器にステアリン酸とパルミチン酸の混合物(ステアリン酸/パルミチン酸=65/35(質量比))601.2部を仕込み、加熱溶融したのちテトラエチレンペンタミン207.2部を加えた。窒素雰囲気下で180℃まで昇温した後、反応により生成する水を系外に除去しながら180℃から200℃で3時間保持し、反応生成水が39.4質量部に達したところで加熱を停止、冷却してアミド樹脂(1)を得た。続いてこのアミド樹脂(1)にデカン酸188.5部を加え、再び反応により生成する水を系外に除去しながら180℃から200℃で3時間反応を行い、縮合物(C1)を得た。
[撥水剤組成物の調製]
実施例1
撹拌機、冷却管、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、製造例1の反応物(A1)を100部仕込み、80℃に加熱後、トルエン60~100部を加え、さらに80℃に加熱したイオン交換水120部とノニオン性界面活性剤(商品名「DKS-NL250」、第一工業製薬(株)製)(以下、(B1)成分とする)15部を加えて、系をホモミキサーで予備分散させた後、300kg/cmの条件下にホモジナイザーに2回通して強制分散させ、得られた水分散液を減圧下で蒸留し、溶媒を除去して、イオン交換水145部を加え、不揮発分濃度30%の反応物(A1)の水分散液(撥水剤組成物)を得た。
実施例2及び比較例1~2
実施例1において、(A)成分及び(B)成分の組成を表1のものに変更した以外は、実施例1と同様の手順で製造した。
実施例3
撹拌機、冷却管、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、製造例1の反応物(A1)を99部、製造例2の縮合物(C1)を1部仕込み、80℃に加熱後、トルエン60~100部を加え、さらに80℃に加熱したイオン交換水120部と(B1)成分15部を加えて、系をホモミキサーで予備分散させた後、300kg/cmの条件下にホモジナイザーに2回通して強制分散させ)、得られた水分散液を減圧下で蒸留し、溶媒を除去して、イオン交換水145部を加え、不揮発分濃度30%の反応物(A1)及び縮合物(C1)を含む水分散液(撥水剤組成物)を得た。
実施例4~6及び比較例3~4
実施例2において、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の組成を表2のものに変更した以外は、実施例2と同様の手順で製造した。
実施例7
実施例1で得られた反応物(A1)の水分散液を97部(不揮発分換算)(反応物(A1)は84.3部)と、長鎖アルキル基含有シリコーンのエマルジョン(商品名「X-52-8046」、信越化学工業(株)製、不揮発分濃度40%)を3部(不揮発分換算)混合し、不揮発分濃度30%の反応物(A1)及び長鎖アルキル基含有シリコーンを含む水分散液(撥水剤組成物)を得た。
実施例8~18及び比較例5~7
実施例7において、(A)成分及び(D)成分の組成を表3のものに変更した以外は、実施例7と同様の手順で製造した。
[撥水性繊維の作製]
実施例1にて得られた撥水剤組成物を水で希釈した処理液(不揮発分濃度1%)に、ポリエステル織物(ポリエステルトロピカル 帝人(株)製)を浸漬処理した後、該撥水性組成物が付着したポリエステル織物を循風乾燥機にて180℃、5分間乾燥させ、撥水性繊維を得た。なお、ポリエステル織物に対する撥水性組成物の付着量は、1.3g/mであった。実施例2~18及び比較例1~7の各撥水剤組成物についても、同様にして撥水性繊維を製造した。
上記で得られた撥水性繊維について、以下のように評価を行った。
(繊維製品の撥水性評価)
JIS L 1092(2009)のスプレー法に準じてシャワー水温を20℃として試験をした。結果は目視にて下記の等級で評価した。
撥水性:状態
5:表面に付着湿潤のないもの
4:表面にわずかに付着湿潤を示すもの
3:表面に部分的湿潤を示すもの
2:表面に湿潤を示すもの
1:表面全体に湿潤を示すもの
0:表裏両面が完全に湿潤を示すもの
(繊維製品の耐久撥水性評価)
上記撥水性繊維に対して、JIS L 0217(1995)の103法による洗濯を10回(HL-10)行い、風乾後の撥水性を上記撥水性評価方法と同様に評価した。
(繊維製品の風合い評価)
上記撥水性繊維を手の触感によって、下記に示す基準にて評価した。
×: 硬い
△: 少し硬い
○: 柔らかい
◎: 非常に柔らかい
Figure 2023042244000006
Figure 2023042244000007
Figure 2023042244000008
表1~3の各成分の質量部は不揮発分換算の値であり、表中の注釈及び略語は、以下の通りである。
※1:撥水剤組成物100%に対する(A)成分の含有量(%)(不揮発分換算)
※2:撥水剤組成物100%に対する(A)成分と(C)成分の合計の含有量(%)(不揮発分換算)
※3:(A)成分と(C)成分の質量比率(不揮発分換算)
※4:(A)成分と(D)成分の質量比率(不揮発分換算)

(化合物の略語及び詳細)
X-52-8046:長鎖アルキル基含有シリコーンのエマルジョン 信越化学工業(株)製 不揮発分濃度40%
X-51-1302M:MQレジンのエマルジョン 信越化学工業(株)製 不揮発分濃度17%

Claims (13)

  1. ポリアルキレンイミン(a1)と炭素数10~24のアルキル基を有するモノ(メタ)アクリレート(a2)との反応物(A)を含む、撥水剤組成物であり、
    前記反応物(A)の含有量が、不揮発分換算で、撥水剤組成物100質量%に対して、70~100質量%である、撥水剤組成物。
  2. (a1)成分が、ポリエチレンイミンである、請求項1に記載の撥水剤組成物。
  3. (a2)成分が、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート及びステアリル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の撥水剤組成物。
  4. さらに界面活性剤(B)を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の撥水剤組成物。
  5. 請求項1~3のいずれか1項に記載の反応物(A)、及び
    ポリアミン(c1)と炭素数10~36のモノカルボン酸(c2)との縮合物(C)を含む、撥水剤組成物であり、
    前記反応物(A)及び前記縮合物(C)の合計の含有量が、不揮発分換算で、撥水剤組成物100質量%に対して、70~100質量%である、撥水剤組成物。
  6. (c1)成分が、ポリアルキレンポリアミンである、請求項5に記載の撥水剤組成物。
  7. (c2)成分が、炭素数12~24の脂肪族モノカルボン酸である、請求項5又は6に記載の撥水剤組成物。
  8. (A)成分と(C)成分との質量比率((A)/(C))が、不揮発分換算で1超99未満である、請求項5~7のいずれか1項に記載の撥水剤組成物。
  9. 請求項1~3のいずれか1項に記載の反応物(A)及びシリコーン(D)を含む、撥水剤組成物。
  10. (D)成分が、長鎖アルキル基含有シリコーン及び/又はシリコーンレジンである、請求項9に記載の撥水剤組成物。
  11. (A)成分と(D)成分との質量比率((A)/(D))が、不揮発分換算で1超99未満である、請求項9又は10に記載の撥水剤組成物。
  12. 繊維と、該繊維上に付着した請求項1~11のいずれか一項に記載の撥水剤組成物とを含む、撥水性繊維。
  13. 繊維を、請求項1~11のいずれか1項に記載の撥水剤組成物が含まれる処理液で処理する工程を含む、撥水性繊維の製造方法。
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