JP2021195407A - 撥水剤組成物、キット、撥水性繊維製品及びその製造方法 - Google Patents

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達也 松村
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直樹 大道
Naoki Daido
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貴史 橋本
Takashi Hashimoto
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Abstract

【課題】耐チョークマーク性に優れた撥水剤組成物を提供する。【解決手段】ポリオール化合物(A)、ポリイソシアネート化合物(B)、及び撥水性付与化合物(C)を含み、前記ポリオール化合物(A)は、構造中にカーボネート基、エステル基、エーテル基、ウレタン基、及びウレア基からなる群より選択される少なくとも1種の基を1個以上有する、沸点300℃以上の化合物であり、前記ポリオール化合物(A)の水酸基のモル数に対する、前記ポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基のモル数の比(モル比B/A)が、0.4以上であり、前記撥水性付与化合物(C)は、炭素数7以上のパーフルオロアルキル基を有していない、撥水剤組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、撥水剤組成物、キット、撥水性繊維製品及びその製造方法に関する。
従来、基材に対して撥水性を付与する場合、少量で優れた性能が得られることから、フッ素系撥水剤、特に炭素数7以上のパーフルオロアルキル基を有するC8フッ素系撥水剤が使用されてきた。
しかしながら、近年、C8フッ素系撥水剤に含有されるパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)、パーフルオロオクタン酸(PFOA)の生物毒性や環境負荷が問題視され始め、これらを含有または環境中で分解生成しない撥水剤の開発が求められている。
このような背景のもと、炭素数7以上のパーフルオロアルキル基を有さないC6フッ素系撥水剤や、さらにはフッ素化合物を使用しないフッ素フリー撥水剤の開発が進められている。一方で、これらの撥水剤は多くの課題を抱えており、例えば、C8フッ素系撥水剤と比較して撥水性が劣ることが知られている。また、繊維製品への処理を想定した場合、風合いや縫目滑脱などの物性を改善するために柔軟剤や縫目滑脱防止剤などが併用されるが、撥水性を低下させることが知られており、撥水性とその他物性との両立が課題となっている。また、C8フッ素系撥水剤からの切り替えが進む中、種々の物性の中でも、特にチョークマークの改善が課題となっている。
チョークマークとは、例えば繊維製品の表面を擦った場合や折れ曲がった場合にその部分に色変化が生じる現象であり、ユーザーからのクレームになりやすく、問題となっている。
チョークマーク改善の方法としては、例えば特許文献1には、非フッ素(メタ)アクリレート単量体とラジカル重合性基を有するシリコーンマクロマーとを必須成分として共重合した含ケイ素重合体を含有する撥水剤が開示されている。しかしながら、特許文献1に記載された方法において、チョークマークを改善するためには、高価なラジカル重合性基を有するシリコーンマクロマーを使用する必要があり、また高い効果を得るためにはポリマー中のシリコーンマクロマー含有量を増加させる必要がありコスト的に不利であるため、この方法は実用的ではない。また、効果としても十分ではない。
また、特許文献2には、フッ素系撥水剤またはフッ素フリー撥水剤に炭素数23〜40のアルキル基を有するアルキル変性シリコーンを併用することで、チョークマークを改善できることが記載されているが、効果としては十分ではない。
特開2018−095879号公報 国際公開第2019/163570
本発明は、炭素数7以上のパーフルオロアルキル基含有化合物を含まず、耐チョークマーク性に優れた撥水剤組成物を提供することを主な目的とする。さらに、本発明は、当該撥水剤組成物を調製するためのキット、当該撥水剤組成物を利用した撥水性繊維製品及びその製造方法を提供することも目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、ポリオール化合物(A)、ポリイソシアネート化合物(B)、及び撥水性付与化合物(C)を含み、
ポリオール化合物(A)は、構造中にカーボネート基、エステル基、エーテル基、ウレタン基、及びウレア基からなる群より選択される少なくとも1種の基を1個以上有する、沸点300℃以上の化合物であり、ポリオール化合物(A)の水酸基のモル数に対する、ポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基のモル数の比(モル比(B/A))が、0.4以上であり、撥水性付与化合物(C)は、炭素数7以上のパーフルオロアルキル基を有していない、撥水剤組成物は、耐チョークマーク性に優れていることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. ポリオール化合物(A)、ポリイソシアネート化合物(B)、及び撥水性付与化合物(C)を含み、
前記ポリオール化合物(A)は、構造中にカーボネート基、エステル基、エーテル基、ウレタン基、及びウレア基からなる群より選択される少なくとも1種の基を1個以上有する、沸点300℃以上の化合物であり、
前記ポリオール化合物(A)の水酸基のモル数に対する、前記ポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基のモル数の比(モル比(B/A))が、0.4以上であり、
前記撥水性付与化合物(C)は、炭素数7以上のパーフルオロアルキル基を有していない、撥水剤組成物。
項2. 前記ポリオール化合物(A)は、ポリマーポリオール化合物であって、主鎖を形成する結合基として、カーボネート基、エステル基、エーテル基、ウレタン基及びウレア基からなる群より選択される少なくとも1種の基を有する、項1に記載の撥水剤組成物。
項3. 前記ポリイソシアネート化合物(B)は、ブロック剤によりイソシアネート基が保護されたブロックドポリイシアネート化合物である、項1又は2に記載の撥水剤組成物。
項4. 前記撥水性付与化合物(C)が、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を有するフッ素化合物、炭素数7〜40の炭化水素基を有する非フッ素化合物、少なくとも炭素数3〜50のアルキル基を有するシリコーン系化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含む、項1〜3のいずれか1項に記載の撥水剤組成物。
項5. 界面活性剤をさらに含む、項1〜4のいずれか1項に記載の撥水剤組成物。
項6. 項1〜5のいずれか1項に記載の撥水剤組成物で繊維製品が処理されてなる、撥水性繊維製品。
項7. 項1〜5のいずれか1項に記載の撥水剤組成物を、繊維製品に接触させる工程を含む、撥水性繊維製品の製造方法。
項8. 少なくとも、ポリオール化合物(A)を含む第1剤と、
少なくとも、ポリイソシアネート化合物(B)を含む第2剤と、
少なくとも、撥水性付与化合物(C)を含む第3剤と、
を含み、
前記ポリオール化合物(A)は、構造中にカーボネート基、エステル基、エーテル基、ウレタン基、及びウレア基からなる群より選択される少なくとも1種の基を1個以上有する、沸点300℃以上の化合物であり、
前記ポリオール化合物(A)の水酸基のモル数に対する、前記ポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基のモル数の比(モル比(B/A))が、0.4以上であり、
前記撥水性付与化合物(C)は、炭素数7以上のパーフルオロアルキル基を有しておらず、
用時に前記第1剤、前記第2剤、及び前記第3剤を混合して、撥水剤組成物を調製するための、キット。
項9. 前記ポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基が、ブロックドイソシアネート基である、項8に記載のキット。
項10. 少なくとも、ポリオール化合物(A)及びポリイソシアネート化合物(B)を含む第1剤と、
少なくとも、撥水性付与化合物(C)を含む第2剤と、
を含み、
前記ポリオール化合物(A)は、構造中にカーボネート基、エステル基、エーテル基、ウレタン基、及びウレア基からなる群より選択される少なくとも1種の基を1個以上有する、沸点300℃以上の化合物であり、
前記ポリオール化合物(A)の水酸基のモル数に対する、前記ポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基のモル数の比(モル比(B/A))が、0.4以上であり、
前記撥水性付与化合物(C)は、炭素数7以上のパーフルオロアルキル基を有しておらず、
用時に前記第1剤及び前記第2剤を混合して、撥水剤組成物を調製するための、キット。
項11. 前記ポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基が、ブロックドイソシアネート基である、項10に記載のキット。
項12. 少なくとも、ポリオール化合物(A)を含む第1剤と、
少なくとも、ポリイソシアネート化合物(B)及び撥水性付与化合物(C)を含む第2剤と、
を含み、
前記ポリオール化合物(A)は、構造中にカーボネート基、エステル基、エーテル基、ウレタン基、及びウレア基からなる群より選択される少なくとも1種の基を1個以上有する、沸点300℃以上の化合物であり、
前記ポリオール化合物(A)の水酸基のモル数に対する、前記ポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基のモル数の比(モル比(B/A))が、0.4以上であり、
前記撥水性付与化合物(C)は、炭素数7以上のパーフルオロアルキル基を有しておらず、
用時に前記第1剤及び前記第2剤を混合して、撥水剤組成物を調製するための、キット。
項13. 前記ポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基が、ブロックドイソシアネート基である、項12に記載のキット。
項14. 少なくとも、ポリオール化合物(A)及び撥水性付与化合物(C)を含む第1剤と、
少なくとも、ポリイソシアネート化合物(B)を含む第2剤と、
を含み、
前記ポリオール化合物(A)は、構造中にカーボネート基、エステル基、エーテル基、ウレタン基、及びウレア基からなる群より選択される少なくとも1種の基を1個以上有する、沸点300℃以上の化合物であり、
前記ポリオール化合物(A)の水酸基のモル数に対する、前記ポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基のモル数の比(モル比(B/A))が、0.4以上であり、
前記撥水性付与化合物(C)は、炭素数7以上のパーフルオロアルキル基を有しておらず、
用時に前記第1剤及び前記第2剤を混合して、撥水剤組成物を調製するための、キット。
項15. 前記ポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基が、ブロックドイソシアネート基である、項13に記載のキット。
本発明によれば、炭素数7以上のパーフルオロアルキル基含有化合物を含まず、耐チョークマーク性に優れた撥水剤組成物を提供することができる。さらに、本発明は、当該撥水剤組成物を調製するためのキット、当該撥水剤組成物を利用した撥水性繊維製品及びその製造方法を提供することができる。
また、後述する本発明の好ましい態様によれば、耐チョークマーク性に加えて、縫目滑脱の悪化及びコーティング剤との密着性の低下を効果的に抑制することもできる。後述のように、撥水性繊維製品に適用されるコーティング剤としては、例えば、アクリル樹脂やウレタン樹脂が挙げられる。撥水性繊維製品のコーティングは、例えば、防水性(耐水性)の向上や通気度の調節のために行われる。例えば、ウインドブレーカーであれば、非コーティング面(外側)に撥水性を付与し、コーティング面(内側)は繊維間をコーティング剤(樹脂)で目詰めして防風性を付与することができる。また同様に、傘の内側にコーティングを行えば、目詰めされることで耐水性が高まる。このように、撥水性繊維製品には、目的(風合いや防水性、通気度、透湿性など)に合わせて、アクリル樹脂やウレタン樹脂(例えばポリカーボネート系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂、ポリエステル系ウレタン樹脂)などがコーティング剤として主に使用されている。撥水性繊維製品において、このようなコーティング剤との密着性を低下させないことが望ましいといえる(例えば、特開2018−119250号公報参照)。
1.撥水剤組成物
本発明の撥水剤組成物は、ポリオール化合物(A)、ポリイソシアネート化合物(B)、及び撥水性付与化合物(C)を含み、ポリオール化合物(A)は、構造中にカーボネート基、エステル基、エーテル基、ウレタン基、及びウレア基からなる群より選択される少なくとも1種の基を1個以上有する、沸点300℃以上の化合物であり、ポリオール化合物(A)の水酸基のモル数に対する、ポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基のモル数の比(モル比(B/A))が、0.4以上であり、撥水性付与化合物(C)は、炭素数7以上のパーフルオロアルキル基を有していないことを特徴としている。本発明の撥水剤組成物は、このような構成を備えることにより、優れた耐チョークマーク性を発揮する。以下、本発明の撥水剤組成物について、詳述する。
なお、以下の説明においては、ポリオール化合物(A)、ポリイソシアネート化合物(B)、撥水性付与化合物(C)とを含む、1剤タイプの撥水剤組成物を中心に説明するが、後述の通り、本発明においては、2剤タイプ又は3剤タイプの各種キットの構成とすることもできる。以下に、主に想定されるキットを列記する。キットにおいても、ポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基はブロック化されていなくてもよいし、ブロック化されていてもよい(すなわち、ブロックドイソシアネート基でもよい)。
(キット1)
少なくとも、ポリオール化合物(A)を含む第1剤と、少なくとも、ポリイソシアネート化合物(B)を含む第2剤と、少なくとも、撥水性付与化合物(C)を含む第3剤と、を含み、ポリオール化合物(A)は、構造中にカーボネート基、エステル基、エーテル基、ウレタン基、及びウレア基からなる群より選択される少なくとも1種の基を1個以上有する、沸点300℃以上の化合物であり、ポリオール化合物(A)の水酸基のモル数に対する、前記ポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基のモル数の比(モル比(B/A))が、0.4以上であり、撥水性付与化合物(C)は、炭素数7以上のパーフルオロアルキル基を有しておらず、用時に前記第1剤、前記第2剤、及び前記第3剤を混合して、撥水剤組成物を調製するための、3剤タイプのキット。
(キット2)
少なくとも、ポリオール化合物(A)及びポリイソシアネート化合物(B)を含む第1剤と、少なくとも、撥水性付与化合物(C)を含む第2剤と、を含み、ポリオール化合物(A)は、構造中にカーボネート基、エステル基、エーテル基、ウレタン基、及びウレア基からなる群より選択される少なくとも1種の基を1個以上有する、沸点300℃以上の化合物であり、ポリオール化合物(A)の水酸基のモル数に対する、ポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基のモル数の比(モル比(B/A))が、0.4以上であり、撥水性付与化合物(C)は、炭素数7以上のパーフルオロアルキル基を有しておらず、用時に前記第1剤及び前記第2剤を混合して、撥水剤組成物を調製するための、2剤タイプのキット。
(キット3)
少なくとも、ポリオール化合物(A)を含む第1剤と、少なくとも、ポリイソシアネート化合物(B)及び撥水性付与化合物(C)を含む第2剤と、を含み、前記ポリオール化合物(A)は、構造中にカーボネート基、エステル基、エーテル基、ウレタン基、及びウレア基からなる群より選択される少なくとも1種の基を1個以上有する、沸点300℃以上の化合物であり、ポリオール化合物(A)の水酸基のモル数に対する、ポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基のモル数の比(モル比(B/A))が、0.4以上であり、撥水性付与化合物(C)は、炭素数7以上のパーフルオロアルキル基を有しておらず、用時に前記第1剤及び前記第2剤を混合して、撥水剤組成物を調製するための、2剤タイプのキット。
(キット4)
少なくとも、ポリオール化合物(A)及び撥水性付与化合物(C)を含む第1剤と、少なくとも、ポリイソシアネート化合物(B)を含む第2剤と、を含み、前記ポリオール化合物(A)は、構造中にカーボネート基、エステル基、エーテル基、ウレタン基、及びウレア基からなる群より選択される少なくとも1種の基を1個以上有する、沸点300℃以上の化合物であり、前記ポリオール化合物(A)の水酸基のモル数に対する、前記ポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基のモル数の比(モル比(B/A))が、0.4以上であり、撥水性付与化合物(C)は、炭素数7以上のパーフルオロアルキル基を有しておらず、用時に前記第1剤及び前記第2剤を混合して、撥水剤組成物を調製するための、2剤タイプのキット。
これらのキットは、本発明の撥水剤組成物の調製に好適に利用することができる。また、後述の通り、本発明の撥水剤組成物は、各成分が水に分散した水系分散体とすることができ、これらのキットを利用する場合にも、用時に第1剤、第2剤、(3剤タイプの場合には、さらには第3剤)を水に分散し、水系分散体として本発明の撥水剤組成物を調製することもできる。
(ポリオール化合物(A))
ポリオール化合物(A)(以下、成分(A)と表記することがある)は、複数の水酸基(反応性官能基)を有する化合物である。ポリオール化合物(A)は、構造中に少なくともカーボネート基、エステル基、エーテル基、ウレタン基、及びウレア基からなる群より選択される少なくとも1種の基を1個以上有する化合物である。ポリオール化合物(A)は、モノマーであってもよいし、モノマーを2量体以上に反応させたもの(例えばポリマーであるポリマーポリオール化合物)であってもよい。モノマーを2量体以上に反応させたものである場合、ポリオール化合物(A)を形成するモノマーは、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
ポリオール化合物(A)がポリマーポリオール化合物である場合、その数平均分子量は、例えば80〜5000g/mol、好ましくは120〜4000g/mol、さらに好ましくは160〜3000g/mol、特に好ましくは200〜2000g/molである。ポリマーポリオール化合物としては、主鎖の結合基として、カーボネート基、エステル基、エーテル基、ウレタン基及びウレア基の少なくとも1つを構成単位として含むポリマーポリオール化合物が挙げられる。より好ましくは、主鎖の結合基として、カーボネート基、エステル基及びエーテル基からなる群より選択される少なくとも1つの基を構成単位として含むポリマーポリオール化合物;主鎖の結合基として、カーボネート基、エステル基及びエーテル基からなる群より選択される少なくとも1つの基とウレタン基とを構成単位として含むポリマーポリオール化合物;主鎖の結合基として、カーボネート基、エステル基及びエーテル基からなる群より選択される少なくとも1つの基とウレタン基及びウレア基とを構成単位として含むポリマーポリオール化合物のいずれかであってもよい。これらのうち、主鎖の結合基としてカーボネート基を有するポリマーポリオール化合物、主鎖の結合基としてカーボネート基及びエステル基を有するポリマーポリオール化合物、主鎖の結合基としてエステル基を有するポリマーポリオール化合物、主鎖の結合基としてエーテル基を有するポリマーポリオール化合物が好ましい。また、前記ポリマーポリオール化合物の主鎖の結合基としてさらにウレタン基、またはウレタン基及びウレア基を有してもよい。
ポリオール化合物(A)およびポリイソシアネート化合物(B)を乾熱処理時に基材上で反応させる場合、ポリオール化合物(A)の沸点によっては揮発の影響で十分な発明の効果が得られない場合がある。本発明において、ポリオール化合物(A)の沸点は300℃以上であることから、このような問題が生じることが抑制されている。ポリオール化合物(A)の沸点は、好ましくは330℃以上、さらに好ましくは370℃以上、特に好ましくは400℃以上である。沸点300℃未満のポリオール化合物としては、例えば、ジエチレングリコール(沸点約244℃)、トリエチレングリコール(沸点約287℃)、ジプロピレングリコール(沸点約232℃)、トリプロピレングリコール(沸点約267℃)などが挙げられる。
ポリマーポリオール化合物としては、公知のポリウレタン(ウレア)合成用ポリオールを使用することができ、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリオール等が挙げられる。ポリマーポリオール1分子中の水酸基数としては2個以上であればよく、例えば、洗濯耐久性の向上などの観点からは水酸基数は多い方が好ましい。
ポリカーボネートポリオールとしては、公知のものが使用でき、例えば、ポリオールモノマーとホスゲンを反応させる方法、ポリオールモノマーと炭酸エステル(例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネートなど)を反応させる方法などにより得ることができる。
ポリオールモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、脂肪族ポリオールモノマー、脂環構造を有するポリオールモノマー、芳香族ポリオールモノマー、ポリエステルポリオールモノマー、ポリエーテルポリオールモノマー等が挙げられる。
脂肪族ポリオールモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール等の直鎖状脂肪族ジオール;1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ヘキサンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール等の分岐鎖状脂肪族ジオール;トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3個以上の水酸基を有する多価アルコール等が挙げられる。
脂環構造を有するポリオールモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、1,3−シクロペンタンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘプタンジオール、2,7−ノルボルナンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)シクロヘキサン、イソソルバイド、ダイマージオール等が挙げられる。
芳香族ポリオールモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、カテコール、ヒドロキノン、レゾルシノール、1,3−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジメタノール、ビスフェノールA等が挙げられる。
ポリエステルポリオールモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、6−ヒドロキシカプロン酸とヘキサンジオールとのポリエステルポリオール等のヒドロキシカルボン酸とジオールとのポリエステルポリオール、アジピン酸とヘキサンジオールとのポリエステルポリオール等のジカルボン酸とジオールとのポリエステルポリオール等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールやポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール等が挙げられる。
前記ポリカーボネートポリオールは、これらのポリオールモノマー単独、もしくは2種以上を組み合わせて得られるものであってよい。このようなポリカーボネートポリオールは市販品として入手することが可能である。
ポリエステルポリオールとしては、公知のものが使用でき、例えば、ポリオールモノマーと多塩基酸を反応させて得ることができる。多塩基酸は、カルボン酸から誘導されるカルボン酸無水物、カルボン酸ハライド、カルボン酸エステル(例えば、カルボン酸メチルエステル、カルボン酸エチルエステルなど)等であってもよい。
ポリエステルポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリへキサメチレンイソフタレートアジペートジオール、ポリエチレンサクシネートジオール、ポリブチレンサクシネートジオール、ポリエチレンセバケートジオール、ポリブチレンセバケートジオール、ポリ−ε−カプロラクトンジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンアジペート)ジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンイソフタレートアジペート)ジオール、1,6−へキサンジオールとダイマー酸の重縮合物等のポリエステルジオールが挙げられる。このようなポリエステルポリオールは市販品として入手することが可能である。
ポリエーテルポリオールとしては、公知のものが使用でき、例えば、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。また、特開2020−2197号公報の段落[0010]から段落[0013]に記載の活性水素原子を1分子中に2〜8個含有する化合物に対して、アルキレンオキサイドを付加した化合物を使用することができる。
アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)、ブチレンオキサイド(BO)、スチレンオキサイドなどが使用でき、単独もしくは2種以上を併用してもよい。また、2種以上を併用する場合の付加様式としては、ブロック付加であっても、ランダム付加であってもよい。
活性水素原子含有化合物としては、好ましくは、水、アルコール、アミノ基含有化合物が使用できる。水、2価のアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチルペンタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4 −ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン、2,2−ビス(4,4’−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)から得られる化合物としては、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、またはEO・PO、EO・BO、PO・BOもしくはEO・PO・BOのランダム共重合体やブロック共重合体)やアルキレンオキサイド付加体などが挙げられる。
3価以上のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価のアルコール;ペンタエリスリトール、ジグリセリン、α−メチルグルコシド、ソルビトール、キシリット、マンニット、ジペンタエリスリトール、グルコース、フルクトース、ショ糖等の4〜8価のアルコール)のアルキレンオキサイド付加体や、アミノ基含有化合物(例えば、アンモニア;炭素数1〜20のアルキルアミン;エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン等の脂肪族ポリアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のアルカノールアミン)のアルキレンオキサイド付加体も好ましく使用することができる。
ポリウレタンポリオールとしては、公知のものが使用でき、例えば、ポリオール化合物と後述する1分子中にイソシアネート基を2個以上含有するポリイソシアネート化合物との反応物を使用することができ、1分子中に水酸基が2個以上残存するように反応させれば特に限定されない。
例えば、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物を混合し、イソシアネート基が完全になくなるまで反応させる方法が採用できる。
また、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物を混合し、水酸基が完全になくなるまで反応させる工程(1分子中にイソシアネート基が2個以上残存するように反応させる工程)を経て、さらにポリオール化合物を添加およびイソシアネート基が完全になくなるまで反応させる方法が採用できる。
ポリオール化合物としては、2個以上の水酸基を有する化合物であれば、特に限定されないが、前記ポリオールモノマー、前記ポリカーボネートポリオール、前記ポリエステルポリオール、前記ポリエーテルポリオールのうち、1種単独もしくは2種以上を組み合わせてもよい。
また、前記ポリウレタンポリオールとしては、一部ウレア基が導入されていてもよい。ポリウレタン(ウレア)ポリオールということがある。
例えば、前記ポリウレタンポリオールを製造する工程で、水、もしくは1分子中にアミノ基(1級もしくは2級)を2個以上有するアミノ基含有化合物、1分子中にアミノ基(1級もしくは2級)を1個以上および水酸基を1個以上有するアミノ基含有化合物のうち、1種単独もしくは2種以上を組み合わせて添加し、反応させる方法が採用できる。
1分子中にアミノ基(1級もしくは2級)を2個以上有するアミノ基含有化合物としては、限定されないが、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン等の脂肪族ポリアミン、イソホロンジアミン等の脂環族ポリアミンを使用できる。
1分子中にアミノ基(1級もしくは2級)を1個以上および水酸基を1個以上有するアミノ基含有化合物としては、限定されないが、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、アミノ糖(例えば、グルコサミン、ガラクトサミン、マンノサミンなど)を使用できる。
限定されないが、例えば、ポリマージオール化合物およびジイソシアネート化合物を反応させる際に水を添加する方法が採用できる。イソシアネート基は水と反応すると脱炭酸を伴い1級アミノ基に変換され、生成した1級アミノ基は速やかにイソシアネート基と反応しウレア基が形成され、ポリウレタンポリオール中にウレア基を導入することができる。
前記方法の水の代わりに1分子中にアミノ基(1級もしくは2級)を2個以上有するアミノ基含有化合物または1分子中にアミノ基(1級もしくは2級)を1個以上および水酸基を1個以上有するアミノ基含有化合物を添加する方法が採用でき、同様にポリウレタンポリオール中にウレア基を導入することができる。
例えば、ポリマージオール化合物およびジイソシアネート化合物を反応させ、一旦イソシアネート基末端の化合物を生成させた後、1分子中にアミノ基(1級もしくは2級)を1個および水酸基を1個以上有するアミノ基含有化合物を、残存イソシアネート基とアミノ基が等モル比になるように添加する方法が採用できる。アミノ基(1級もしくは2級)は水酸基と比較して、速やかにイソシアネート基と反応しウレア基を形成し、ポリウレタン(ウレア)ポリオールを得ることができる。
前記ポリウレタン(ウレア)ポリオールは自己乳化性(分散性)を有していてもよく、例えば、後述するポリイソシアネート化合物に自己乳化性(分散性)を付与するために使用される親水性化合物を、前記ポリウレタン(ウレア)ポリオールの合成時において、イソシアネート基の一部と反応させる方法が挙げられる。このような親水性化合物は、1種単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの化合物を、所定量導入することにより、自己乳化性(分散性)を付与することができ、導入量は本発明の効果が得られる範囲であれば、特に限定されない。
(ポリイソシアネート化合物(B))
ポリイソシアネート化合物(B)(以下、成分(B)と表記することがある)としては、1分子中に2個以上のイソシアネート基(反応性官能基)を有する公知のイソシアネート化合物を、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。なお、本発明において、イソシアネート化合物のイソシアネート基は、イソシアネート基がブロック剤により保護されたブロックドイソシアネート基(ブロック化イソシアネート基)であってもよい。すなわち、本発明において、ポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基には、ブロック化されていないイソシアネート基と、イソシアネート基がブロック剤で保護されたブロックドイソシアネート基(ブロック化イソシアネート基)が含まれる。
前記イソシアネート化合物としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等が挙げられ、脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、3−イソシアナトメチル−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン(水添MDI)、ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられ、芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、粗製MDI、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネート等が挙げられ、芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられ、これらの化合物の反応物、例えばアダクト型ポリイソシアネートやウレトジオン化反応、イソシアヌレート化反応、カルボジイミド化反応、ウレトンイミン化反応、ビウレット化反応などによるイソシアネート変性体、およびこれらの混合物を用いることも好ましい。なお、アダクト型ポリイソシアネート及びイソシアネート変性体における反応性官能基は、分子中に残存するイソシアネート基を指し、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートをイソシアヌレート化反応により3量化させた場合の反応性官能基(イソシアネート基)数は3である。
前記ポリイソシアネート化合物としては、イソシアネート基の50mol%以上、好ましくは60mol%以上、さらに好ましくは70mol%以上がブロック剤で封鎖されたブロックドポリイソシアネート化合物を好適に用いることができる。ブロックドポリイソシアネート化合物としては、公知の各種ブロックドポリイソシアネート化合物を使用することができ、公知の各種ポリイソシアネート化合物を公知の各種ブロック剤と反応せしめることにより調製することができる。
前記ポリイソシアネート化合物に導入されるブロック剤としては、活性水素を分子内に1個以上有する化合物であり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。ブロック剤としては、例えば、アルコール系化合物、アルキルフェノール系化合物、フェノール系化合物、活性メチレン系化合物、メルカプタン系化合物、酸アミド系化合物、酸イミド系化合物、イミダゾール系化合物、イミダゾリン系化合物、ピリミジン系化合物、グアニジン系化合物、トリアゾール系化合物、カルバミン酸系化合物、尿素系化合物、オキシム系化合物、アミン系化合物、イミド系化合物、イミン系化合物、ピラゾール系化合物、重亜硫酸塩等が挙げられる。中でも、酸アミド系化合物、活性メチレン系化合物、オキシム系化合物、ピラゾール系化合物が好ましく、ε−カプロラクタム、アセチルアセトン、マロン酸ジエチル、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール等を好ましく用いることができる。
前記ポリイソシアネート化合物(ブロックドポリイソシアネート化合物を含む)は自己乳化性(分散性)を有していてもよく、自己乳化性(分散性)を有するポリイソシアネート化合物としては、例えば、イソシアネート基の一部にノニオン性親水基、カチオン性親水基、アニオン性親水基を導入したポリイソシアネート化合物を用いることができ、好ましくはオキシエチレン基を有するノニオン性親水基を導入したポリイソシアネート化合物を用いることができる。自己乳化性(分散性)を付与するためにポリイソシアネート化合物と反応される親水性化合物としては例えば、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールポリエチレングリコールモノブチルエーテル等のポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル類;エチレングリコール、または、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等の(ポリ)エチレングリコール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールのブロック共重合体、ランダム共重合体、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイド、エチレンオキサイドとブチレンオキサイドのランダム共重合体やブロック共重合体;ポリオキシアルキレンモノアミン類、ポリオキシアルキレンジアミン類;などが挙げられ、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル等が好ましく用いられる。上記ノニオン性親水性化合物は、1種単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの化合物を、イソシアネート基に対して所定量導入することにより、イソシアネート化合物に自己乳化性(分散性)を付与することができる。これらの化合物の導入量は、イソシアネート基に対して、下限については好ましくは1mol%以上、また、上限については好ましくは50mol%以下、より好ましくは40mol%以下、さらに好ましくは30mol%以下であり、範囲としては、好ましくは1〜50mol%程度、より好ましくは1〜40mol%程度、さらに好ましくは1〜30mol%程度である。
(撥水性付与化合物(C))
撥水性付与化合物(C)(以下、成分(C)と表記することがある)としては、公知の撥水剤(炭素数7以上のパーフルオロアルキル基含有化合物を含むものを除く)として使用されるものから目的の性能(例えば、撥水性)に合わせて、種々選択することができる。撥水性付与化合物(C)は、例えば、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を有するフッ素化合物(例えば、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基および炭素−炭素二重結合を有する重合性化合物(単量体;含フッ素単量体)に由来する構造を有するフッ素含有重合体)、炭素数7〜40の炭化水素基を有する非フッ素化合物(例えば、炭素数7〜40の炭化水素基および炭素−炭素二重結合を有する重合性化合物(単量体;非フッ素単量体)に由来する構造を有するフッ素非含有重合体)を使用することができる。これらのフッ素化合物及び非フッ素化合物は、併用してもよい。
炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を有するフッ素化合物は、好ましくは、下記一般式(1)で表される単量体を少なくとも構成単位に含む重合体である。
CH2=C(−X)−C(=O)−Y−Z−Rf ・・・(1)
[式中、Xは、水素原子、1価の有機基(例えば、メチル基、エチル基など)、ハロゲン原子、または基−CH2−C(=O)−Y−Z−Rfであり、Yは、−O−または−NH−であり、Zは、直接結合または2価の有機基であり、Rfは、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基である。なお、Y、ZおよびRfが、それぞれ分子中に複数存在する場合、それぞれは同一でも異なっていてもよい。但し、前記1価の有機基は、基−CH2−C(=O)−Y−Z−Rfを含まない。]
上記一般式(1)で表されるような、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基および炭素−炭素二重結合を有する重合性化合物(単量体、C1aと記載することがある)としては、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を有する重合性化合物であればよく、好ましくは炭素数2〜6、より好ましくは炭素数4〜6、特に好ましくは炭素数6のパーフルオロアルキル基を有する方がよい。具体的には、特開2019−196463号公報の段落[0027]から段落[0037]に記載の含フッ素単量体のうち、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を有する単量体を使用することができる。撥水性および汎用性の観点から、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル(メタ)アクリレート、および3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルα−クロロアクリレートなどを好ましく使用できる。
また、炭素数7〜40の炭化水素基を有する非フッ素化合物は、好ましくは、下記一般式(2)で表される単量体を少なくとも構成単位に含む重合体である。
CH2=C(−X)−C(=O)−Y−R ・・・(2)
[式中、Xは、水素原子、1価の有機基(例えば、メチル基、エチル基など)、ハロゲン原子(フッ素原子を除く)、または基−CH2−C(=O)−Y−Rであり、Yは、−O−および−NH−から選択された少なくとも1つの基を有する2価〜4価の連結基または−NR−であり、Rは、炭素数7〜40の炭化水素基である。なお、YおよびRが、それぞれ分子中に複数存在する場合、それぞれは同一でも異なっていてもよい。但し、前記1価の有機基は、基−CH2−C(=O)−Y−Z−Rfを含まない。]
前記一般式(2)において、好ましくは、Yは、−Y’−、−Y’−C(=O)−、−C(=O)−Y’−、−Y’−C(=O)−Y’−、−Y’−R’−、−Y’−R’−Y’−、−Y’−R’−Y’−C(=O)−、−Y’−R’−C(=O)−Y’−、−Y’−R’−Y’−C(=O)−Y’−、または−Y’−R’−Y’−R’−であり、Y’は、直接結合、−O−または−NH−であり、R’は、−(CH2)m−(mは1〜5の整数である)または−C66−(フェニレン基)である。
上記一般式(2)で表されるような、炭素数7〜40の炭化水素基および炭素−炭素二重結合を有する重合性化合物(単量体、C1bと記載することがある)としては、炭素数7〜40の炭化水素基を有する重合性化合物であればよく、好ましくは炭素数7〜40の直鎖状または分岐状の炭化水素基であり、より好ましくは直鎖状の炭化水素基である。また、炭化水素基は脂肪族炭化水素基が好ましく、より好ましくは飽和の脂肪族炭化水素基であり、特に好ましくはアルキル基である。炭化水素基の炭素数としては10〜30が好ましく、より好ましくは12〜26、特に好ましくは16〜24、最も好ましくは18〜22である。撥水性および汎用性の観点から、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イコシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレートなどを好ましく使用できる。
また、特開2017−66325号公報の段落[0014]から段落[0016]に記載されるような非フッ素単量体(α置換アクリレート)が使用でき、例えば、ラウリルα−クロロアクリレート、ステアリルα−クロロアクリレート、イコシルα−クロロアクリレート、ベヘニルα−クロロアクリレートなどを好ましく使用することができる。
さらに、国際公開第2019/026593号の段落[0015]〜段落[0020]や特開2019−26747号公報の段落[0016]から段落[0020]に記載されるような非フッ素単量体(アミド基含有単量体)のうち、アクリル系のものを使用することができる。例えば、ラウリン酸アミドエチル(メタ)アクリレート、ミリスチン酸アミドエチル(メタ)アクリレート、パルミチン酸アミドエチル(メタ)アクリレート、ステアリン酸アミドエチル(メタ)アクリレート、ベヘニン酸アミドエチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリルアミド、セチル(メタ)アクリルアミド、ステアリル(メタ)アクリルアミド、ベヘニル(メタ)アクリルアミドなどを好ましく使用できる。
また、特開2019−26746号公報の段落[0016]から段落[0023]に記載されるような非フッ素単量体(ウレタン基またはウレア基含有単量体)を使用することができる。例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートまたはヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドと長鎖アルキルイソシアネート(例えば、ラウリルイソシアネート、ミリスチルイソシアネート、セチルイソシアネート、ステアリルイソシアネート、ベヘニルイソシアネートなど)を反応させて得られる化合物、あるいは、側鎖にイソシアネート基を有する(メタ)アクリレート(例えば、2−メタクリロイルオキシエチルメタクリレートなど)と長鎖アルキルアミン(例えば、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、ベヘニルアミンなど)または長鎖アルキルアルコール(例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなど)を反応させて得られる化合物が好ましく使用できる。
上記一般式(2)以外の炭素数7〜40の炭化水素基および炭素−炭素二重結合を有する重合性化合物(単量体)としては、特表2017−538793号公報の段落[0016]から段落[0034]に記載されるような非フッ素単量体を使用することができ、例えば、ソルビタントリステアレートメタクリレート(段落[0077]記載)、ソルビタントリステアレートウレタンメタクリレート(段落[0078]記載)、ソルビタントリステアレートウレタンスチレンモノマー(段落[0079]記載)、ソルビタントリオレエートメタクリレート(段落[0080]記載)などを好ましく使用することができる。
また、一般式(1)および(2)で表される単量体が、国際公開第2016/178429号の段落[0023]、段落[0026]から段落[0029]に記載の含フッ素単量体のうち、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を有する単量体を使用することができ、例えば、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を有するイタコン酸ジエステル(特に段落[0103]に記載の単量体)を好ましく使用できる。また、段落[0025]、段落[0034]から段落[0036]に記載の非フッ素単量体のうち、炭素数6〜40の炭化水素基を有する単量体を使用することができ、例えば、イタコン酸ジステアリルなどを好ましく使用できる。
前記フッ素含有重合体、または、前記フッ素非含有重合体を構成する成分として、前記単量体を1種単独または2種類以上を組み合わせて使用することができ、また含有量としては、目的の性能(特に撥水性)を達成できる範囲であれば特に限定されない。高い撥水性が求められる場合の前記単量体の含有量としては、20質量%以上であればよく、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、特に好ましくは60質量%以上、特別に70質量%以上であることが好ましい。
また、その他要求性能(例えば、撥水性の洗濯耐久性)に応じて、その他の炭素−炭素二重結合を有する重合性化合物(単量体)を共重合させることができ、その様式としては、公知のランダム共重合、交互共重合、ブロック共重合、グラフト共重合などが挙げられる。
その他の単量体としては、後述するような公知の単量体を単独または2種以上を共重合させることができ、その含有量としては、特に限定されないが、例えば80質量%以下であればよく、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下、特に好ましくは40質量%以下、特別に30質量%以下であることが好ましい。
その他の単量体としては、特に限定されないが、例えば、炭素数1〜6のアルキル(メタ)アクリレートが使用でき、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
また、特開2019−26746号公報の段落[0027]から段落[0030]に記載の環状炭化水素基を有する(メタ)アクリレートが使用でき、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
また、特開2019−26746号公報の段落[0035]に記載のハロゲン化オレフィンを使用することができ、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデンが挙げられる。
また、重合性基を有するシリコーン化合物(C1cと記載することがある)を使用することができ、重合性基はシリコーン側鎖および/または末端に導入されたものを使用でき、片末端または両末端に重合性基が導入されていることが好ましく、特に好ましくは片末端である。例えば、特に限定されないが炭素−炭素二重結合を有するシリコーン化合物やメルカプト基を有するシリコーン化合物を使用することができ、具体的には、特開2019−26746号公報の段落[0036]から段落[0045]に記載の重合性基を有するシリコーンマクロマーなどが挙げられる。市販品として入手することが可能であり、例えば、(メタ)アクリル変性シリコーン;信越化学工業社製のX−22−174ASX、X−22−174BX、KF−2012、X−22−2404、X−22−2426、X−22−2445、X−22−164、X−22−164AS、X−22−164A、X−22−164B、X−22−164C、X−22−164E、JNC株式会社製のサイラプレーンFM−0711、FM−0721、FM−0725、FM−7711、FM−7721、FM−7725など、メルカプト変性シリコーン;信越化学工業社製のKF−2001、KF−2004、X−22−167B、X−22−167Cなどが挙げられる。
また、汎用的に使用されているエチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレンなどを使用できる。
また、特開2019−26746号公報の段落[0031]に記載されるような架橋性単量体が使用でき、特に限定されないが、例えば、ヒドロキシル基、エポキシ基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ブロックドイソシアネート基、アミノ基、カルボキシル基を有する単量体や、1分子中に重合性官能基を2個以上有する単量体などを使用することができる。例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、モノクロロ酢酸ビニル、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
また、特開2017−155095号公報の段落[0074]から段落[0094]に記載されるような反応性乳化剤を共重合させることもできる。
また、撥水性付与化合物(C)としては、1分子中に炭素数7〜40の炭化水素基を少なくとも1つ以上およびイソシアネート基と反応可能な官能基を少なくとも1つ以上有するイアソシアネート反応性化合物を使用することができる。イソシアネート反応性化合物としては、例えば、下記一般式(3)で示される化合物が挙げられる。
W[−A−R]a[−B]b (3)
一般式(3)において、Wは、(a+b)価の有機基である。Aは、Wに結合しており、−X−Y−または−Y−である。Bは、Wに結合しており、−X−Zまたは−Zである。aは、1以上の整数である。bは、1以上の整数である。(a+b)は、3〜42である。Xは、2価のポリアルキレンエーテル基である。Yは、2価の基であって、エーテル基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレア基、又はチオウレタン基である。Rは、炭素数7〜40の1価の炭化水素基である。Zは、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基またはチオール基である。ただし、Bが−X−Zの場合、Zは、ヒドロキシ基である。
一般式(3)で表されるイソシアネート反応性化合物において、基Zのヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基またはチオール基が、イソシアネート基と反応可能な官能基となる。また、イソシアネート反応性化合物は、基Rに由来の炭素数7〜40の1価の炭化水素基を有する化合物である。
一般式(3)のイソシアネート反応性化合物において、基Wは、(a+b)価の有機基であって、多官能化合物の残基であることが好ましい。基Wには、基A及び基Bが結合している。aは、1以上の整数であり、bは、1以上の整数であり、(a+b)は、3〜42である。すなわち、基Wの価数は、3〜42である。多官能化合物としては、好ましくは、多価アルコール化合物、多価アミン化合物、多価カルボン酸化合物、多価チオール化合物が挙げられる。
多価アルコール化合物としては、特に限定されないが、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、ジペンタエリスリトール、糖、糖アルコール、糖酸、アミノ糖等が挙げられる。
糖として、例えば、グルコース、エリトロース、アラビノース、リボース、アロース、アルトロース、マンノース、キシロース、リキソース、グロース、ガラクトース、タロース、トレオース、グルコピラノース、マンノピラノース、タロピラノース、アロピラノース、アルトロピラノース、イドピラノース、グロピラノース、フルクトース、リブロース、マンノヘプツロース、セドヘプツロースなどが挙げられる。
糖アルコールは、前記糖(アルドース又はケトース)のカルボニル基が還元されて生成する化合物である。糖アルコールとして、例えば、グリセリン、エリスリトール、トレイトール、マンニトール、ソルビトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、ガラクチトール、フシトール、イジトール、イノシトール、ペンタエリスリトール、ボレミトールが挙げられる。
糖酸は、単糖が酸化され、カルボキシ基が導入された化合物である。糖酸として、例えば、グルコン酸、グリセリン酸、キシロン酸、ガラクタル酸、アスコルビン酸、グルコン酸ラクトン、キシロン酸ラクトンなどが挙げられる。
アミノ糖は、単糖の一部のヒドロキシ基がアミノ基に置換された化合物である。アミノ糖として、例えば、グルコサミン、ガラクトサミンなどが挙げられる。
また、脱水反応などにより、これらの化合物から誘導される化合物であってもよい。例えば、ソルビタン(ソルビトール由来)やポリグリセリン(グリセリン由来)などが挙げられる。
多価アミン化合物としては、限定されないが、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、アミノエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。
多価カルボン酸化合物としては、限定されないが、リンゴ酸、クエン酸などが挙げられる。
多価チオール化合物としては、限定されないが、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)などが挙げられる。
一般式(3)のA,Bにおいて、基Xは、2価のポリアルキレンエーテル基(すなわち、ポリオキシアルキレン基)である。基Xの具体例としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどの単独の重合体、これらのうち2種類以上を組み合わせて得られるブロック共重合体、ランダム共重合体が挙げられる。
基Yは、前記の通り、2価の基であって、エーテル基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレア基、又はチオウレタン基である。
基Rは、基Yと結合しており、炭素数7〜40の1価の炭化水素基であり、好ましくは炭素数7〜40の直鎖状または分岐状の炭化水素基であり、より好ましくは直鎖状の炭化水素基である。また、炭化水素基は脂肪族炭化水素基が好ましく、より好ましくは飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基であり、特に好ましくはアルキル基である。当該炭化水素基の炭素数としては10〜30が好ましく、より好ましくは12〜26、特に好ましくは16〜24、最も好ましくは18〜22である。炭化水素基の具体例としては、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基(ラウリル基)、ミリスチル基、ペンタデシル基、セチル基、ヘプタデシル基、ステアリル基、ノナデシル基、エイコシル基、ヘンエイコシル基、ベヘニル基、オレイル基などが挙げられる。
基Rを一般式(3)に導入する方法としては、脂肪酸(なお、前記炭素数には、カルボニル基の炭素も含まれる)、脂肪族アルコール、脂肪族モノイソシアネート、脂肪族アミン、ハロゲン化アルキル、脂肪酸クロライドなどと、前記の多官能化合物のヒドロキシ基、カルボキシ基、チオール基、アミノ基などを反応させる方法を採用することができる。これにより、基Yと基Rとの結合を形成して、基Rを一般式(3)に導入することができる。
脂肪酸としては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、パルミトレイン酸、リノール酸、アラキドン酸、オレイル酸、エルカ酸などが挙げられる。
脂肪族アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、エイコサノール、ヘンエイコサノール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコールなどが挙げられる。
脂肪族モノイソシアネートとしては、例えば、デシルイソシアネート、ウンデシルイソシアネート、ドデシルイソシアネート、ミリスチルイソシアネート、ペンタデシルイソシアネート、セチルイソシアネート、ステアリルイソシアネート、エイコシルイソシアネート、ベヘニルイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族アミンとしては、例えば、デシルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、ステアリルアミン、ベヘニルアミン、オレイルアミンなどが挙げられる。
ハロゲン化アルキルとしては、ドデシルクロライド、ヘキサデシルクロライド、オクタデシルクロライド、ドデシルブロマイド、ヘキサデシルブロマイド、オクタデシルブロマイドなどが挙げられる。
脂肪酸クロライドとしては、例えば、カプリル酸クロライド、カプリン酸クロライド、ラウリン酸クロライド、ミリスチン酸クロライド、パルミチン酸クロライド、ステアリン酸クロライド、オレイル酸クロライドなどが挙げられる。
イソシアネート反応性化合物は、好ましくは、前記多官能化合物と、前記の脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪族モノイソシアネート、脂肪族アミン、ハロゲン化アルキル、及び脂肪酸クロライドからなる群より選択される少なくとも1種との反応生成物であることが好ましい。当該反応生成物は、前記多官能化合物に由来する炭化水素骨格を有しており、かつ、イソシアネート基と反応可能な官能基(好ましくはヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、チオール基)を備えている。
イソシアネート反応性化合物において、一分子中のイソシアネート基と反応可能な官能基の数は、好ましくは1〜7、より好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜3である。
特に限定されないが、汎用性の点で、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタントリベヘネート、ソルビタントリオレエートなど)、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル(例えば、ペンタエリスリトールジステアレートなど)、クエン酸エステル(例えば、クエン酸トリステアリルなど)が好ましく使用することができる。
前述したイソシアネート反応性化合物(C2a、ウレタン系(イソシアネート反応前)と記載することがある)は、さらにポリイソシアネート化合物と反応させることで優れた撥水性を付与することができる。例えば、イソシアネート反応性化合物とポリイソシアネート化合物(ブロックドイソシアネート化合物を含む)とを混合した後に基材(繊維など)に処理し(付着させ)、熱処理により基材上で2成分を反応させ、撥水性を付与する方法が採用できる。
また、あらかじめ2成分を部分的又は完全に反応させた化合物(C2b、ウレタン系(イソシアネート反応後)と記載することがある)を得た後、基材に処理することも好ましい。特に限定されないが、例えば、特表2017−533976で公開されている化合物(具体的には、実施例1〜143に記載の化合物)、米国公開公報2010/0190397号に記載されている化合物(具体的には、Components 1〜9に記載の化合物;Reaction products(S))が挙げられる。
また、撥水性付与化合物(C)は、少なくとも炭素数3〜50のアルキル基を有するシリコーン系化合物(C3と記載することがある)を含有することも好ましい。
特に限定されないが、例えば、炭素数3〜50の炭化水素基が導入されたジメチルシリコーン、シラノール末端ジメチルシリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、メチルフェニルシリコーンなどのシリコーン化合物が挙げられる。
炭化水素基としては、好ましくは炭素数3〜50の直鎖状または分岐状の炭化水素基であり、より好ましくは直鎖状の炭化水素基である。また、炭化水素基は脂肪族炭化水素基が好ましく、より好ましくは飽和の脂肪族炭化水素基であり、特に好ましくはアルキル基である。炭化水素基の炭素数としては8〜40が好ましく、より好ましくは10〜32、特に好ましくは12〜30、最も好ましくは16〜28である。
前記シリコーン化合物としては、市販されているアルキル変性シリコーンやアルキル・アラルキル変性シリコーン、アルキル・ポリエーテル変性シリコーン、脂肪酸アミド変性シリコーン、脂肪酸エステル変性シリコーンなどを使用することができる。
アルキル変性シリコーンとしては、例えば、信越化学工業社製KF−412、KF−413、KF−414、KF−415、KF−4003、KF−4701、KF−4917、KF−7235B、X−22−7322、旭化成ワッカーシリコーン社製BELSIL CDM 3526 VP、BELSIL CM 7026 VP、BELSIL SDM5055 VP、SILTECH社製Silwax E1316、Silwax H416、Silwax B116、Silwax L118、Silwax J1022、Silwax D222、Silwax D226、Silwax D1026、Silwax J226、Silwax D026、Silwax J1032、Silwax D221M、Silwax J219M、J221M、Silwax Di−1021M、Silwax 3H32などが挙げられる。
アルキル・アラルキル変性シリコーンとしては、例えば、信越化学工業社製X−22−1877、旭化成ワッカーシリコーン社製WACKER TN、SILTECH社製Silwax 3H12−MS、Silwax 3H2−MS、Silwax 3H−MS、Silwax D0−MSなどが挙げられる。
アルキル・ポリエーテル変性シリコーンとしては、例えば、SILTECH社製Silube T308−16、Silube T310−A16、Silube J208−812などが挙げられる。
脂肪酸アミド変性シリコーンとしては、例えば、信越化学工業社製KF−3935などが挙げられる。
脂肪酸エステル変性シリコーンとしては、例えば、信越化学工業社製X−22−715などが挙げられる。
また、米国公開公報2010/0190397号に記載されているグリシジル基やアミノ基が導入されているシリコーン化合物(具体的には、オルガノポリシロキサン1〜3)が挙げられる。
(各成分の使用量)
本発明の撥水剤組成物は、そのまま繊維製品を処理する濃度の加工液であってもよいし、繊維製品の処理に用いる前に水で薄めて使用する原液(例えば、原液を5〜1000倍に希釈して加工液として使用される)であってもよい。
本発明の撥水剤組成物において、ポリオール化合物(A)の水酸基のモル数に対する、ポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基のモル数の比(モル比(B/A))は0.4以上であればよく、本発明の効果をより一層効果的に奏する観点から、当該モル比は、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.8以上、さらに好ましくは1.0以上、特に好ましくは1.2以上、最も好ましくは1.4以上である。本発明の効果が得られる限り特に限定されないが、上限としては、例えば30以下であればよく、より好ましくは20以下、さらに好ましくは15以下である。
本発明の効果をより一層効果的に奏する観点から、本発明の撥水剤組成物において、ポリオール化合物(A)の質量に対するポリイソシアネート化合物(B)の質量の比(質量比(成分(B)/成分(A))、または質量比(B/A)と表記する)は、好ましくは0.4以上、より好ましくは0.6以上、さらに好ましくは0.8以上、特に好ましくは1.0以上、最も好ましくは1.2以上である。本発明の効果が得られる限り特に限定されないが、上限としては、例えば30以下であればよく、より好ましくは20以下、さらに好ましくは15以下である。
また、本発明の効果をより一層効果的に奏する観点から、本発明の撥水剤組成物において、撥水性付与化合物(C)の質量に対するポリオール化合物(A)の質量の比(質量比(成分(A)/成分(C))、または質量比(A/C)と表記する)は、好ましくは0.01〜100、より好ましくは0.05〜30、さらに好ましくは0.1〜15、さらに好ましくは0.3〜10、特に好ましくは0.4〜8、最も好ましくは0.5〜4である。
また、本発明の効果をより一層効果的に奏する観点から、本発明の撥水剤組成物において、撥水性付与化合物(C)の質量に対する、ポリオール化合物(A)の質量とポリイソシアネート化合物(B)の質量の合計質量の比(質量比((成分(A)+成分(B))/成分(C))、または質量比(A+B/C)と表記する)は、0.01〜100であればよく、好ましくは0.1〜30、より好ましくは0.4〜20、さらに好ましくは0.8〜15、特に好ましくは1.0〜10、最も好ましくは1.3〜8である。
本発明の撥水剤組成物をそのまま繊維製品を処理する濃度の加工液とする場合、本発明の撥水剤組成物においてポリオール化合物(A)の含有率としては、好ましくは0.001〜60質量%程度、より好ましくは0.01〜50質量%程度、さらに好ましくは0.01〜40質量%程度、特に好ましくは0.01〜35質量%程度である。また、イソシアネート化合物(B)の含有率としては、好ましくは0.001〜60質量%程度、より好ましくは0.01〜50質量%程度、さらに好ましくは0.01〜40質量%程度、特に好ましくは0.01〜35質量%程度である。また、撥水性付与化合物(C)の含有率としては、好ましくは0.001〜60質量%程度、より好ましくは0.01〜50質量%程度、さらに好ましくは0.01〜40質量%程度、特に好ましくは0.01〜35質量%程度である。
本発明の撥水剤組成物をそのまま繊維製品を処理する濃度の加工液とする場合、本発明の撥水剤組成物における水の含有率としては、目的の性能を得るためや、加工性を考慮し、適宜選択すればよい。
ポリオール化合物(A)、ポリイソシアネート化合物(B)、及び撥水性付与化合物(C)は、それぞれ、水系分散体として調製することができ、本発明の撥水剤組成物をそのまま繊維製品を処理する濃度の加工液とする場合、各水系分散体を混合することにより、本発明の撥水剤組成物は、各成分が混合された水系分散体とすることができる。
本発明の撥水剤組成物は、ポリオール化合物(A)、ポリイソシアネート化合物(B)、及び撥水性付与化合物(C)、水の他に、他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、好ましくは、界面活性剤、有機溶剤、その他の添加剤など、公知の撥水剤組成物に配合される成分が挙げられる。他の成分は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。ただし、本発明の撥水剤組成物は、前記の通り、C8フッ素系撥水剤(炭素数7以上のパーフルオロアルキル基を有する化合物)を含まないことが好ましい。
本発明の撥水剤組成物は、上記の他の成分として本発明の効果を生じる限りにおいて任意の添加剤を含んでもよい。添加剤としては例えば、撥水助剤、架橋剤(イソシアネート系架橋剤およびブロックドイソシアネート系架橋剤を除く)、柔軟剤、スリップ防止剤、防しわ剤、難燃剤、帯電防止剤、耐熱剤等の繊維用薬剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、金属粉顔料、レオロジーコントロール剤、硬化促進剤、消臭剤、抗菌剤等の公知の添加剤が挙げられる。例えば、撥水助剤成分としては、ジルコニウム系化合物などが挙げられ、特に酢酸ジルコニウム、塩酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウムが好ましい。架橋剤としては、メラミン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤などが挙げられる。スリップ防止剤としては、公知のものが使用でき、例えば、コロダイルシリカやフュームドシリカが使用でき、その他にもシリコーンレジン化合物(特開2018−104866の段落[0059]〜段落[0063]に記載のもの;例えば、MQレジン、MTレジン、MDTレジンなど)や、特開2017−206775および特開2018−104866に記載の疎水処理、または疎水処理および親水処理されたシリカも好ましく使用できる。これらの添加剤は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
前記のとおり、本発明の撥水剤組成物は、少なくとも、ポリオール化合物(A)、ポリイソシアネート化合物(B)、及び撥水性付与化合物(C)が水中に分散した水系分散体とすることができる。これらの水系分散体は、各成分の水系分散体を混合することによって製造することができる。
本発明において、各成分の水系分散体は公知の方法で製造されてよく、例えば、各成分と界面活性剤を混合後、水を添加して分散させる方法や、公知の分散機等を使用して機械的に分散させる方法が挙げられる。分散機としては、ホモミキサー、ホモジナイザー、コロイドミル、ラインミキサー、ビーズミル等を用いることができる。また、水系分散させる場合に公知の有機溶剤を添加してもよい。有機溶剤を使用する場合、必要に応じて溶剤の除去工程(例えば、減圧留去など)を設けてもよい。
前記界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤の1種類又は複数を用いることができる。
ノニオン性界面活性剤としては例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、脂肪酸アルキロールアミド、アルキルアルカノールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸塩、高級カルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート塩、ビニルスルホサクシネート等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、アミン塩、アミドアミン塩、4級アンモニウム塩、およびイミダゾリニウム塩等が挙げられる。具体例としては、特に限定されないが、アルキルアミン塩、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩、アルキルアミドアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等のアミン塩型界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等の4級アンモニウム塩型界面活性剤等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキルアミンオキシド類、アラニン類、イミダゾリニウムベタイン類、アミドベタイン類、酢酸ベタイン等が挙げられ、具体的には、長鎖アミンオキシド、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。
本発明の撥水剤組成物が界面活性剤を含む場合、含有量として目的に合わせて適宜選択することができる。特に限定されないが、例えば、水系化するための含有量としては、撥水剤組成物固形分量100質量部に対して、0.1〜30質量部程度が好ましく、より好ましくは0.2〜25質量部程度、さらに好ましくは0.3〜20質量部程度、特に好ましくは0.4〜15質量部程度、最も好ましくは0.5〜10質量部程度である。なお、界面活性剤が撥水性付与化合物(C)に記載の化合物である場合、当該界面活性剤は撥水性付与化合物(C)の概念に含める。このような界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステルやポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。
前記の通り、本発明においては、前記のキット1〜4などの形態としてもよい。
本発明の2剤タイプのキット及び3剤タイプのキットは、それぞれ、前述の本発明の撥水剤組成物を調製するために用いられるものである。従って、ポリオール化合物(A)、ポリイソシアネート化合物(B)、撥水性付与化合物(C)、その他の成分の種類や含有量などについても、前述の本発明の撥水剤と同じである。
2.撥水性繊維製品
本発明の撥水性繊維製品は、前述の本発明の撥水剤組成物によって処理されたものである。すなわち、本発明の撥水性繊維製品は、本発明の撥水剤組成物を繊維製品に接触させることによって製造される。本発明の撥水剤組成物の詳細については、前述の通りである。
本発明の撥水剤組成物で処理される繊維製品としては、繊維によって構成された物品であれば、特に制限されず、例えば、綿、絹、麻、ウール等の天然繊維、ポリエステル、ナイロン、アクリル、スパンデックス等の合成繊維及びこれらを用いた繊維製品が挙げられる。また、繊維製品の形態、形状にも制限はなく、ステープル、フィラメント、トウ、糸等の様な原材料形状に限らず、織物、編み物、詰め綿、不織布、紙、シート、フィルム等の多様な加工形態のものであってもよい。
本発明の撥水剤組成物を用いて、公知の方法で繊維製品(布帛など)に対して撥水処理を行うことができる。本発明の撥水剤組成物による繊維製品の処理方法としては、例えば、連続法又はバッチ法等が挙げられる。なお、本発明の撥水剤組成物が原液である場合であれば、処理に適した濃度(例えば、固形分濃度が0.01〜6質量%程度)となるように、撥水剤組成物を水で希釈して加工液を調製する。
連続法としては、加工液を調製する際、水の他にも任意的に各種の薬剤、例えば架橋剤等を添加することも好ましい。次に、加工液で満たされた含浸装置に、被処理物(すなわち、繊維製品)を連続的に送り込み、被処理物に加工液を含浸させた後、不要な加工液を除去する。含浸装置としては特に限定されず、パッダ、キスロール式付与装置、グラビアコーター式付与装置、スプレー式付与装置、フォーム式付与装置、コーティング式付与装置等が好ましく採用でき、特にパッダ式が好ましい。続いて、乾燥機を用いて被処理物に残存する水を除去する操作を行う。乾燥機としては、特に限定されず、ホットフルー、テンター等の拡布乾燥機が好ましい。該連続法は、被処理物が織物等の布帛状の場合に採用するのが好ましい。
また、バッチ法は、被処理物を加工液に浸漬する工程、処理を行った被処理物に残存する水を除去する工程からなる。該バッチ法は、被処理物が布帛状でない場合、たとえばバラ毛、トップ、スライバ、かせ、トウ、糸等の場合、または編物等連続法に適さない場合に採用するのが好ましい。浸漬する工程においては、たとえば、ワタ染機、チーズ染色機、液流染色機、工業用洗濯機、ビーム染色機等を用いることができる。水を除去する操作においては、チーズ乾燥機、ビーム乾燥機、タンブルドライヤー等の温風乾燥機、高周波乾燥機等を用いることができる。本発明の撥水剤組成物を付着させた被処理物には、乾熱処理を行うことが好ましい。
乾熱処理の温度としては、120〜180℃が好ましく、特に160〜180℃が好ましい。該乾熱処理の時間としては、10秒間〜10分間程度であればよく、30秒間〜3分間が好ましく、特に1〜2分間が好ましい。また、前記条件で乾熱処理を行う前に、80〜120℃程度で予備乾燥する工程を設けてもよい。乾熱処理の方法としては、特に限定されないが、被処理物が布帛状である場合にはテンターが好ましい。
また、撥水性繊維製品は、コーティング処理されていてもよい。前記の通り、撥水性繊維製品に適用されるコーティング剤としては、例えば、アクリル樹脂やウレタン樹脂が挙げられる。撥水性繊維製品のコーティングは、例えば、防水性(耐水性)の向上や通気度、風合い、透湿性の調節のために行われ、目的の性能を得るために種々選択することができる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。但し本発明は実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特に明示されていない場合、「%」は「質量%」を意味する。
ポリオール化合物(A)の水系分散体の調製
<製造例A1〜A3、A5>
フラスコに、表1に記載の各ポリマーポリオール化合物117gおよびメチルイソブチルケトン63gを加え、80℃で撹拌・混合させた。ステアリルアミンのエチレンオキサイド30モル付加物5.7g、酢酸(90%水溶液)1.8gをイオン交換水350gに80℃で溶解させ、系中に滴下した。温度を保ち、高圧ホモジナイザー(400bar)にて水系分散させた。イオン交換水を加えて、固形分濃度21%の水系分散体を得た。
<製造例A4>
フラスコに、表1に記載のポリマーポリオール化合物117gおよびメチルイソブチルケトン63gを加え、80℃で撹拌・混合させた。ステアリルアミンのエチレンオキサイド30モル付加物5.7g、酢酸(90%水溶液)1.8gをイオン交換水350gに80℃で溶解させ、系中に滴下した。温度を保ち、高圧ホモジナイザー(400bar)にて水系分散させた。その後、有機溶剤を減圧下留去し、イオン交換水を加え固形分濃度21%の水系分散体を得た。
<製造例A6>
フラスコに、デュラネート24A−100(ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体、旭化成ケミカルズ社製、NCO%=23.5%)を100g(NCO基0.560mol)、PTMG−650(ポリテトラメチレンエーテルグリコール、三菱ケミカル社製、平均分子量650g/mol)60.6g(OH基0.187mol)、ポリオキシエチレンモノメチルエーテル(数平均分子量2000g/mol)14.9g(OH基0.007mol)、ポリオキシプロピレントリメチロールプロパンエーテル(水酸基価398mgKOH/g)3.7g(OH基0.026mol)およびアセトン140gを仕込み、室温で攪拌・混合させた。内温を60℃まで昇温させ、触媒としてネオスタンU−600(日東化成社製)を0.09g加え、イソシアネート含有率が4.5%になるまで反応させた。40℃まで冷却後、ジエタノールアミン35.6g(NH基0.339mol)を加え、イソシアネート含有率が0%になるまで反応させた。内温30℃まで冷却し、イオン交換水640gを滴下し水系分散させた。減圧下にてアセトンを留去し、イオン交換水を加え、固形分濃度20%の水系分散体を得た。
Figure 2021195407
イソシアネート化合物(B)(ブロックドイソシアネート化合物)の水系分散体の調製
<製造例B1>
フラスコに、デュラネート24A−100(ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体、旭化成ケミカルズ社製、NCO%=23.5)を100g(NCO基0.560mol)およびメチルイソブチルケトン(MIBK)65.9gを仕込んで撹拌を開始した。そこに、3,5−ジメチルピラゾール53.8g(0.560mol)を仕込み50℃で保持し、イソシアネート含量がゼロになるまで反応させることにより、ブロックドイソシアネート化合物を得た。MIBK30.8g、プロピレングリコールモノメチルエーテル65.9g、カチオン性界面活性剤としてステアリルトリメチルアンモニウムクロライド0.31gを混合し、均一な溶液とした。撹拌しながら徐々にイオン交換水175.8gを仕込んだ後、高圧ホモジナイザー(400bar)にて水系分散させた。その後有機溶剤を減圧下留去し、イオン交換水を加え固形分濃度20.0%(有効分濃度20.0%)のイソシアネート化合物の水系分散体を得た。得られた水系分散体は反応性官能基(ブロック剤によって保護されたイソシアネート基)を0.73mmol/g含有している。
<製造例B2>
フラスコに、コロネートL(トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体(モル比3:1)、東ソー社製、NCO%=13.4、固形分濃度75%酢酸エチル溶液)20.0g(NCO基0.064mol)およびメチルイソブチルケトン15.0gを加え撹拌した。続いて、メチルエチルケトンオキシム5.6g(0.064mol)を滴下漏斗にてゆっくり加え、55℃でNCO含有率が0%になるまで反応させた。冷却後、トリスチレン化フェノールのエチレンオキサイド30モル付加物1.4gを加え、均一にした。イオン交換水80gを仕込んだ後、高圧ホモジナイザー(400bar)にて水系分散させた。その後、減圧下にて有機溶剤を留去し、イオン交換水を加え固形分濃度21.4%(有効分濃度20.0%)のイソシアネート化合物の水系分散体を得た。得られた水系分散体は反応性官能基(ブロック剤によって保護されたイソシアネート基)を0.62mmol/g含有している。
撥水性付与化合物(C)の水系分散体の調製
<製造例C1>
オートクレーブにステアリルアクリレート83g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2g、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド1g、ポリオキシエチレン(EO付加モル数:7モル)ラウリルエーテル6g、ポリオキシエチレン(EO付加モル数:21モル)ラウリルエーテル2g、ドデシルメルカプタン0.1g、ジプロピレングリコール30gおよびイオン交換水190gを入れ、50℃にて高速撹拌により水系分散させる。その後、40℃に保ちながら高圧ホモジナイザー(400bar)にて処理し水系分散体を得た。オートクレーブ内を窒素置換後、塩化ビニルを15g圧入で仕込み、アゾビス(イソブチルアミジン)二塩酸塩0.3gを加え、窒素雰囲気下で60℃にて10時間反応させた。イオン交換水を加え固形分濃度21.8%に調整してアクリルポリマーの水系分散体を得た。
<製造例C2>
フラスコにステアリルアクリレート94g、KF−2012(ラジカル反応性オルガノポリシロキサンマクロモノマー、信越化学工業社製)4g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2g、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド1g、ポリオキシエチレン(EO付加モル数:7モル)ラウリルエーテル6g、ポリオキシエチレン(EO付加モル数:21モル)ラウリルエーテル2g、ドデシルメルカプタン0.1g、ジプロピレングリコール30gおよびイオン交換水190gを入れ、50℃にて高速撹拌により水系分散させる。その後、40℃に保ちながら高圧ホモジナイザー(400bar)にて処理し水系分散体を得た。この乳化物にアゾビス(イソブチルアミジン)二塩酸塩0.3gを加え、窒素雰囲気下で60℃にて10時間反応させた。イオン交換水を加え固形分濃度21.8%に調整してアクリル−シリコーンポリマーの水系分散体を得た。
<製造例C3>
フラスコに、BELSIL CDM 3526 VP(アルキル(C26‐28)変性シリコーン;融点約35℃(ペースト状)、旭化成ワッカーシリコーン社製)117gおよびメチルイソブチルケトン63gを加え60℃で溶融させた。ステアリルアミンのエチレンオキサイド30モル付加物5.7g、酢酸(90%水溶液)1.8gをイオン交換水400gに60℃で溶解させ滴下した。温度を保ち高圧ホモジナイザー(400bar)にて水系分散させた。その後メチルイソブチルケトンを減圧下留去し、イオン交換水を加え固形分濃度21.0%の水系分散体を得た。
<製造例C4>
フラスコに、Silwax D226(アルキル(C26‐28)変性シリコーン;融点約54℃(ワックス状)、SILTECH社製)117gおよびメチルイソブチルケトン63gを加え70℃で溶融させた。ステアリルアミンのエチレンオキサイド30モル付加物5.7g、酢酸(90%水溶液)1.8gをイオン交換水400gに60℃で溶解させ滴下した。温度を保ち高圧ホモジナイザー(400bar)にて水系分散させた。その後メチルイソブチルケトンを減圧下留去し、イオン交換水を加え固形分濃度21.0%の水系分散体を得た。
<製造例C5>
フラスコに、エマゾールS−30V(ソルビタントリステアレート;水酸基価67.9mgKOH/g、花王社製)117gおよびメチルイソブチルケトン63gを加え60℃で溶融させた。ステアリルアミンのエチレンオキサイド30モル付加物5.7g、酢酸(90%水溶液)1.8gをイオン交換水400gに60℃で溶解させ滴下した。温度を保ち高圧ホモジナイザー(400bar)にて水系分散させた。その後メチルイソブチルケトンを減圧下留去し、イオン交換水を加え固形分濃度21.0%の水系分散体を得た。
<製造例C6>
オートクレーブにステアリルアクリレート47.5g、グリシジルメタクリレート2.5g、純水145g、トリプロピレングリコール15g、ソルビタンモノオレエート1.5g、ポリオキシエチレン(EO付加モル数:18モル)2級アルキル(C12−14)エーテル2g、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド1.5gを入れ、攪拌下に60℃で15分間、超音波で乳化分散させた。オートクレーブ内を窒素置換後、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩0.5gを添加し、60℃で3時間反応させた。イオン交換水を加え固形分濃度21.3%に調整してアクリルポリマーの水系分散体を得た。
<製造例C7>
フラスコに、エマゾールS−30V(ソルビタントリステアレート;水酸基価68.6mgKOH/g、花王社製)70g(OH基0.09mol)およびメチルイソブチルケトン80gを加え50℃で溶融させた。続いてデュラネート24A−100(ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体、旭化成ケミカルズ社製、NCO%=23.5)17g(NCO基0.09mol)およびジアザビシクロウンデセン10mgを加え80℃に昇温し、イソシアネート含有率が0%になるまで反応させた。ジメチルステアリルアミン3.1g、酢酸(90%水溶液)2.1gおよびTergitol TMN−10(ポリエチレングリコールトリメチルノニルエーテル、ダウ・ケミカル社製、90%水溶液)1.6gをイオン交換水220gに60℃で溶解させ滴下した。温度を保ち高圧ホモジナイザー(400bar)にて水系分散させた。その後メチルイソブチルケトンを減圧下留去し、イオン交換水を加え固形分濃度21.0%の水系分散体を得た。
前記の各製造例で製造した撥水性付与化合物(C)は、表2の通りである。
Figure 2021195407
<実施例1>
製造例A1の水系分散体(有効分濃度20.0%)1.8gと、製造例B1の水系分散体(有効分濃度20.0%)2.5gと、製造例C1の水系分散体(有効分濃度20.0%)3.8gとを混合させ、撥水剤組成物(原液)を調製した。その後、合計100gになるように水を加え、撥水剤組成物(加工液)を調製した。なお、前記撥水剤組成物(加工液)は表4に記載の通り、成分(A)を0.36質量%、成分(B)を0.50質量%及び成分(C)を0.76質量%含有している。続いて、試験布を連続法にて、前記撥水剤組成物(加工液)に通し、一定圧のマングルで不要な溶液を絞り、110℃で90秒乾燥、170℃で60秒キュアした。なお、試験布として、ポリエステルタフタ(目付け65g/m2、以下PETタフタ)及びナイロン高密度タフタ(目付け60g/m2、以下Ny高密度タフタ)を使用し、それぞれのピックアップは、ポリエステルタフタが31%、ナイロン高密度タフタが48%であった。
<実施例2−25及び比較例1−7、参考例1>
実施例1と同様な操作を行い、撥水剤組成物(加工液)中の各成分の含有率が、下記の表4〜表7中に記載の含有率となるように調製した。
[試験評価方法]
(撥水性評価)
得られた加工布について、JIS L 1092:2009の7.2はっ水度試験(スプレー試験)に準拠して評価を行った。評価は下記の基準に従って行い、性能がわずかに良好な場合は等級に「+」をつけ、性能がわずかに劣る場合には等級に「−」をつけた。
5:表面に湿潤や水滴の付着がないもの。
4:表面に湿潤しないが、小さな水滴の付着を示すもの。
3:表面に小さな個々の水滴状の湿潤を示すもの。
2:表面の半分に湿潤を示し、小さな個々の湿潤が布を浸透する状態を示すもの。
1:表面全体に湿潤を示すもの。
(撥水性の洗濯耐久性評価)
得られた加工布について、JIS L 0217(1995)付表1の103法に準拠して洗濯を10回(HL−10)行い、得られた洗濯布について、上記の撥水試験を行った。なお、風乾後(N)またはタンブラー乾燥後(66±5℃:40分、T)にそれぞれ撥水試験を行った。
(耐チョークマーク性評価)
加工済みのNy高密度タフタを用いて、それぞれ下記の<A法>及び<B法>により評価を行った。
<A法>
加工布表面を金属製の櫛で擦り、その痕跡が布上に残存するか目視観察し、下記のように5段階で評価した。
5:痕跡が全くない
4:ほとんど痕跡が認められない
3:少し痕跡が認められる
2:痕跡が認められる
1:明瞭な痕跡が認められる
<B法>
JIS L 0849:2013の9.2摩擦試験機II型(学振形)法(乾燥試験の場合)の手順を参考に、摩擦子(500g)に摩擦用白綿布を取り付け、加工布表面を50回往復摩擦した。分光式色彩計(日本電色工業社製;SE−2000、レンズ:6mm、C光源、視野2度)を用いて、摩擦前後の色変化(ΔE*)を測定した。5点について測定を行い、その平均値を各表6−7に記載した。なお、数値が小さいほど色変化が小さいことを表す。また、表3の記載については、特開2009−177415号公報の記載を参照した。
Figure 2021195407
(縫目滑脱性の評価)
加工済みのPETタフタを用いて、JIS L 1096:2010 8.23.1 縫目滑脱法 B法に準じて、荷重117.7Nにて経糸滑脱で試験を行い、縫目滑脱(mm)を測定した。未処理布の縫目滑脱は0.8mmであった。
(剥離強度試験)
加工済みのNy高密度タフタについて、160℃、ニップ圧100kg/cmでカレンダー処理を行った。カレンダー処理面に対して、下記の組成を有するコーティング樹脂組成物を、ナイフコーターを用いてコーティングを行い、150℃で2分間乾燥後、10時間80℃でエージングを行った。コーティング面に対して、経糸方向にMELCOテープBW−II(ホットメルト接着テープ、サン化成社製、幅25mm、色RB)を熱圧着(150℃、10秒、1.0 kgf/cm2)し、JIS L 1086:2013 7.10.1に準拠して、オートグラフ(島津製作所社製;AG−5kNX)にて剥離強度[N/25mm幅]を測定した。剥離強度は試験片3枚の平均値とした。
[コーティング樹脂組成物]
・パスコールNJ−1(ウレタン樹脂の水系分散体、明成化学工業社製)100質量部
・SU−268A(ブロックドイソシアネート系架橋剤、明成化学工業社製)5質量部
・増粘剤 適量(粘度10000mPa・s(B型粘度計;ローターNo.4、30rpm))に調製した。)
下表4〜7に、各実施例及び比較例、参考例の撥水剤組成物の組成、撥水性、耐チョークマーク性、縫目滑脱性、及び剥離強度試験の結果を示す。なお、表4〜7において、ポリオール化合物(A)、ポリイソシアネート化合物(B)、撥水性付与化合物(C)の「%」の表記は、撥水剤組成物(加工液)中の各成分の含有率(質量%)を意味している。また、下表4〜7において、表中に記載の「水酸基とイソシアネート基のモル比」のイソシアネート基はブロックドイソシアネート基である。
Figure 2021195407
比較例1〜3と比較して、実施例1〜6では耐チョークマーク性の改善が見られた。また比較例1および2と比較して、実施例1〜4では縫目滑脱性および剥離強度への悪影響は見られなかった。比較例3は従来技術であり、比較例2の条件にアルキル変性シリコーンを併用したが、耐チョークマークの改善は見られず、また、縫目滑脱性への悪影響が見られた。
Figure 2021195407
比較例4と比較して、実施例7〜18では耐チョークマーク性の改善が見られた。また比較例4と比較して、実施例10では縫目滑脱性および剥離強度への悪影響は見られなかった。
Figure 2021195407
比較例4と比較して、実施例19〜22では耐チョークマーク性の改善が見られた。また比較例4と比較して、実施例19〜21では縫目滑脱性および剥離強度への悪影響は見られなかった。比較例5および実施例23、比較例6および実施例24、比較例7および実施例25について、それぞれ比較したところ、耐チョークマーク性の改善が見られた。なお、比較例7および実施例25において、撥水性付与化合物(C)として炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を有するフッ素化合物を含有するC6フッ素系撥水剤(AsahiGuard E−SERIES AG−E082、固形分濃度20%、有効分濃度約20%、AGC社製、以下AG−E082)を用いて検討を行った。
Figure 2021195407
参考例1について、比較例4の条件に対して、沸点300℃未満のポリオール化合物であるジプロピレングリコールを添加して検討を行ったが、耐チョークマーク性の改善は見られなかった。

Claims (15)

  1. ポリオール化合物(A)、ポリイソシアネート化合物(B)、及び撥水性付与化合物(C)を含み、
    前記ポリオール化合物(A)は、構造中にカーボネート基、エステル基、エーテル基、ウレタン基、及びウレア基からなる群より選択される少なくとも1種の基を1個以上有する、沸点300℃以上の化合物であり、
    前記ポリオール化合物(A)の水酸基のモル数に対する、前記ポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基のモル数の比(モル比(B/A))が、0.4以上であり、
    前記撥水性付与化合物(C)は、炭素数7以上のパーフルオロアルキル基を有していない、撥水剤組成物。
  2. 前記ポリオール化合物(A)は、ポリマーポリオール化合物であって、主鎖を形成する結合基として、カーボネート基、エステル基、エーテル基、ウレタン基及びウレア基からなる群より選択される少なくとも1種の基を有する、請求項1に記載の撥水剤組成物。
  3. 前記ポリイソシアネート化合物(B)は、ブロック剤によりイソシアネート基が保護されたブロックドポリイシアネート化合物である、請求項1又は2に記載の撥水剤組成物。
  4. 前記撥水性付与化合物(C)が、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を有するフッ素化合物、炭素数7〜40の炭化水素基を有する非フッ素化合物、少なくとも炭素数3〜50のアルキル基を有するシリコーン系化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の撥水剤組成物。
  5. 界面活性剤をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の撥水剤組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の撥水剤組成物で繊維製品が処理されてなる、撥水性繊維製品。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の撥水剤組成物を、繊維製品に接触させる工程を含む、撥水性繊維製品の製造方法。
  8. 少なくとも、ポリオール化合物(A)を含む第1剤と、
    少なくとも、ポリイソシアネート化合物(B)を含む第2剤と、
    少なくとも、撥水性付与化合物(C)を含む第3剤と、
    を含み、
    前記ポリオール化合物(A)は、構造中にカーボネート基、エステル基、エーテル基、ウレタン基、及びウレア基からなる群より選択される少なくとも1種の基を1個以上有する、沸点300℃以上の化合物であり、
    前記ポリオール化合物(A)の水酸基のモル数に対する、前記ポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基のモル数の比(モル比(B/A))が、0.4以上であり、
    前記撥水性付与化合物(C)は、炭素数7以上のパーフルオロアルキル基を有しておらず、
    用時に前記第1剤、前記第2剤、及び前記第3剤を混合して、撥水剤組成物を調製するための、キット。
  9. 前記ポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基が、ブロックドイソシアネート基である、請求項8に記載のキット。
  10. 少なくとも、ポリオール化合物(A)及びポリイソシアネート化合物(B)を含む第1剤と、
    少なくとも、撥水性付与化合物(C)を含む第2剤と、
    を含み、
    前記ポリオール化合物(A)は、構造中にカーボネート基、エステル基、エーテル基、ウレタン基、及びウレア基からなる群より選択される少なくとも1種の基を1個以上有する、沸点300℃以上の化合物であり、
    前記ポリオール化合物(A)の水酸基のモル数に対する、前記ポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基のモル数の比(モル比(B/A))が、0.4以上であり、
    前記撥水性付与化合物(C)は、炭素数7以上のパーフルオロアルキル基を有しておらず、
    用時に前記第1剤及び前記第2剤を混合して、撥水剤組成物を調製するための、キット。
  11. 前記ポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基が、ブロックドイソシアネート基である、請求項10に記載のキット。
  12. 少なくとも、ポリオール化合物(A)を含む第1剤と、
    少なくとも、ポリイソシアネート化合物(B)及び撥水性付与化合物(C)を含む第2剤と、
    を含み、
    前記ポリオール化合物(A)は、構造中にカーボネート基、エステル基、エーテル基、ウレタン基、及びウレア基からなる群より選択される少なくとも1種の基を1個以上有する、沸点300℃以上の化合物であり、
    前記ポリオール化合物(A)の水酸基のモル数に対する、前記ポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基のモル数の比(モル比(B/A))が、0.4以上であり、
    前記撥水性付与化合物(C)は、炭素数7以上のパーフルオロアルキル基を有しておらず、
    用時に前記第1剤及び前記第2剤を混合して、撥水剤組成物を調製するための、キット。
  13. 前記ポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基が、ブロックドイソシアネート基である、請求項12に記載のキット。
  14. 少なくとも、ポリオール化合物(A)及び撥水性付与化合物(C)を含む第1剤と、
    少なくとも、ポリイソシアネート化合物(B)を含む第2剤と、
    を含み、
    前記ポリオール化合物(A)は、構造中にカーボネート基、エステル基、エーテル基、ウレタン基、及びウレア基からなる群より選択される少なくとも1種の基を1個以上有する、沸点300℃以上の化合物であり、
    前記ポリオール化合物(A)の水酸基のモル数に対する、前記ポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基のモル数の比(モル比(B/A))が、0.4以上であり、
    前記撥水性付与化合物(C)は、炭素数7以上のパーフルオロアルキル基を有しておらず、
    用時に前記第1剤及び前記第2剤を混合して、撥水剤組成物を調製するための、キット。
  15. 前記ポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基が、ブロックドイソシアネート基である、請求項13に記載のキット。
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