JP2019172728A - ドクター摩耗を低減するグラビア印刷に使用する印刷用水性インキ及び該インキを使用したフィルム積層材。 - Google Patents

ドクター摩耗を低減するグラビア印刷に使用する印刷用水性インキ及び該インキを使用したフィルム積層材。 Download PDF

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Abstract

【課題】グラビア印刷においてグラビア印刷版に加圧接触するドクター刃の摩耗を防止、及びグラビア印刷版の摩耗を防止水性インキ、及びこのインキを使用した被印刷物、及び被印刷物にフィルムを貼り合せた積層材の提供。【解決手段】水及びアルコール類を主たる溶剤の成分とし水分散性樹脂をベヒクルとするグラビア印刷に使用する水性インキに、炭化水素系、エステル系、エーテル系、シリコン系、フッ素系の合成油から選択した合成油をエマルジョンの状態で添加する、又は水及びアルコール類の混合溶液に溶解する合成油を溶解した状態で添加する。【選択図】なし

Description

本発明は、グラビア印刷においてグラビア印刷版に加圧接触するドクター刃の摩耗を防止、及びグラビア印刷版の摩耗を防止するための水性インキ及びグラビアに使用する印刷用水性インキ、該水性インキ及びグラビアに使用する印刷用水性インキを用いた印刷物、及び該印刷物を用いた積層包装材に関する。
グラビア印刷(凹版印刷方式の一つ印刷方式)は、インキパンに貯えられたグラビアインキをグラビア印刷版の全面に塗布し、グラビア印刷版に設けられた絵柄部となる画線部のセル部以外の不要なグラビアインキをドクターで持って掻き落とし、セルに貯えられたグラビアインキを被印刷物に転写して印刷がなされる。
グラビア印刷版の表面は耐刷性を高めるためにクロムメッキが施され、次いでクロムメッキ面には#800程度の研磨紙を用いペーパー研磨が施され、グラビア印刷に供される。該クロムメッキ面にドクター刃の刃先を加圧して押し当てることで不要なグラビアインキは掻き落とされる。このとき、金属(グラビア印刷版表面のクロム層)と金属(ドクター刃の鋼材)が加圧接触することで摩耗が発生する。水性インキを使用する場合ドクター刃の摩耗はグラビア印刷版に比べ摩耗は激しく絵柄によって異なるが一般的には1万mから5万mでドクター刃は交換される。また、グラビア印刷版においても、5万mから20万mでクロムメッキ層は摩耗するため再クロムメッキが施される。
ドクター刃は交換される頻度が、1万mから5万mと大きく異なるのは、グラビア印刷版に設けられる絵柄が異なるためである。印刷用水性インキにおいては、ドクター刃の摩耗は大きく1万mから5万mでドクター刃は交換され、グラビア印刷版においても5万mから20万mで再クロムメッキが施される。印刷用油性インキにおいては、ドクター刃の摩耗は大きく3万mから30万mでドクター刃は交換され、グラビア印刷版においても20万mから50万mで再クロムメッキが施されるのが一般的である。
印刷用水性インキを使用すると、ドクター刃の摩耗が大きくなるのは水と有機溶剤の滑り性及び蒸発温度の差による版面温度に与える影響、及び電気伝導性の差による金属間のの電位差、及びクロムメッキ面にペーパー研磨による微細な凹部分への水のなじみが悪いためなどが考えられる。
クロムメッキ面にペーパー研磨を施す一つの理由として、非絵柄部においてはドクター刃と版面の間にペーパー研磨による微細な凹凸部分が有ることで該部分にインキ溶剤を多く供給することにより、ドクター刃と版面の滑りを良くしていると考えられる。これにより非絵柄部でのドクターの加圧力が安定しドクターの摩耗片やドクター刃先が欠けた異物がドクターと非絵柄部の版面に挟まる筋汚れと呼ばれる品質不良を少なくしていると考えられる。
また、絵柄部においては、セルを形成する土手へのドクターの加圧力が集中することで該部分の摩耗は激しくなる。従って絵柄部の摩耗により絵柄の再現性が低下した場合は摩耗したクロムメッキ層を除去し再クロムメッキが施される。
この様に、非絵柄面、絵柄面において、グラビア印刷油性インキの溶剤の働きによりドクター刃及びグラビア印刷版の摩耗は低減されている。
グラビア印刷において、インキをグラビア印刷版面に供給せずにグラビア印刷版にドクター刃を加圧接触させてグラビア印刷版を回転すると両者の接触により高い音を発し、発熱により、両者には激しい摩耗が生じる。従って、グラビア印刷版とドクター刃の間にはグラビアインキの成分である溶剤が介在することでグラビア印刷版とドクター刃の滑りを良くしていることが分かる。
グラビア印刷において、グラビア印刷版に加圧接触するドクター刃の摩耗、及びグラビア印刷版の摩耗を低減もしくは防止できれば、グラビア印刷における付帯作業の低減、摩耗粉による品質不良が発生の低減が図れ、生産性の向上につながるものである。
スエーデン鋼からなるドクター刃に無電解セラメッキによる表面加工がなされてきたが、ドクター刃の刃先のカエリを防止することで印刷不良である通称ヒゲの発生はなくすことができているが、ドクター刃の摩耗については満足するものではなく通称筋汚れは多くなっていると思われる。
本発明者は、摩耗の少ないドクター刃として、特許第5895329号を提案し、又、ドクター刃のグラビア印刷版の両エッジR部でのドクター刃の損傷に関しての改善案を特許第6056112号でドクター刃の摩耗を低減する印刷方法を提案している。
更に、本発明者は特許第6202458号、特許第6233942号でドクター刃の摩耗及びグラビア印刷版の摩耗を低減する印刷方法を提案している。
しかし、グラビアインキに使用する溶剤は、1)インキに使用する樹脂の溶解性、2)印刷後の印刷物への残留性、3)溶剤の乾燥性の3点を主に考慮された組成であり、グラビア印刷版とドクター刃の滑りを良くし摩耗を少なくすることに関する考慮はされていない。
グラビア印刷に用いる印刷用水性インキにおいては、油性インキと比較してドクター刃の摩耗が激しく、摩耗を少なくするため検討がなされている。グラビア印刷に印刷用水性インキを使用すると、ドクターの摩耗が激しくなる理由としては先に記載した通りである。
グラビア印刷油性インキの特許文献調査を行ったが、インキ組成として添加される滑剤は、印刷物に転写されたインキの表面物性としての滑りをよくするための機能を付与するグラビア印刷インキ、或いはインキ表面を凹凸にすることで滑りをよくするための機能を付与するグラビア印刷インキに関する先行技術文献はあるが、グラビア印刷においてグラビア印刷版に加圧接触するドクター刃の摩耗を防止、及びグラビア印刷版の摩耗を防止する機能を付与したグラビア印刷油性インキは見出すことはできなかった。
グラビア印刷用の水性インキについては、下記の先行技術文献として、特開1994−220385、特開1995−126562、特開1999−92704、特開2004−339385、特開2004−339386がある。これら先行技術文献では、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ラウリン酸、オレイン酸アンモニウム、脂肪酸、脂肪酸塩、オレフィン・不飽和カルボン酸のアミン酸、N−ベンゾイルアミノアルカン酸のアミン酸、硫酸化植物油のアルカリ金属塩などを、インキ成分として用いる提案がなされているが、印刷用水性インキの溶剤である水に溶解させ湿潤・保湿効果を期待するものであると思われるが、ドクター刃の摩耗を少なくする効果がどのような理由かは定かではない。また、実施例において、ドクター刃の摩耗とカブリの結果が記載されている。カブリは版面にインキ被膜が形成され被印刷物に転写される現象、又は潤滑剤物質或いは潤滑剤物質がインキ成分と共に版面に析出してドクターの掻き落としができず版面のクロムメッキの光沢を低下させる現象である。このことから、前記潤滑剤物質を主成分とする物質が版面に析出して、版面とドクター刃の間に介在し版面とドクター刃の接触を防止しドクター刃の摩耗を少なくしているものと考えられる。また、カブリが少ないとされた実施例においても潤滑剤物質が版面上で確認しにくい又はできないだけであって薄膜での析出があるものと考えることができ、この点から推測すると添加された潤滑剤物質は全てが印刷用水性インキに溶解しているものではなく、ドクターと版面の間に介在することでドクターの摩耗を緩和しているとも推測できる。
特開1994−220385 特開1995−126562 特開1999−92704 特開2004−339385 特開2004−339386
グラビア印刷においてグラビア印刷版に加圧接触するドクター刃の摩耗を防止、及びグラビア印刷版の摩耗を防止するために、ドクターとグラビア印刷版面との間で滑り剤との働きをする、水性インキ又は印刷用水性インキの溶剤に溶解又はエマルジョンとして分散する合成油を含有するグラビア印刷用水性インキ、該インキを使用した被印刷物、及び該被印刷物にフィルムを貼り合せ包装用積層フィルムを提供することを課題とする。
本発明の水性インキは、水及びアルコール類を主たる溶剤の成分とし水分散性樹脂をベヒクルとするグラビア印刷に使用する水性インキにおいて、炭化水素系、エステル系、エーテル系、シリコン系、フッ素系の合成油から選択した合成油を水性インキにエマルジョンの状態で、又は前記水及びアルコール類の混合溶液に溶解する合成油を水性インキに溶解した状態で添加したことを特徴とする。
また本発明の水性インキは、段落(0020)の水性インキに用いる前記合成油が、炭化水素系合成油においては粘度が(40〜10000・40℃mm/s)の合成油を0.01〜3%の範囲で添加、エステル系合成油においては粘度が(10〜50000・25℃mm/s)の合成油を0.01〜3%の範囲で添加、エーテル系合成油においては粘度が(10〜15000・25℃mm/s)の合成油を0.01〜3%の範囲で添加、シリコン系合成油においては粘度が(0.6〜10000・25℃mm/s)合成油を0.01〜3%の範囲で添加、フッ素系合成油においては分子量が(2000から15000)の合成油を0.01〜3%の範囲で添加されていることを特徴とする。
更に印刷用水性インキにおいては、水及びアルコール類を主たる溶剤の成分とし水分散性樹脂をベヒクルとするグラビア印刷に使用する印刷用水性インキであって、水性インキに段落(0020)段落(0021)に記載の合成油を希釈溶剤にエマルジョンの状態で、又は前記水及びアルコール類の混合溶液に溶解する合成油を希釈溶剤に溶解した状態で添加したことを特徴とする。
ここで「水性インキ」と「印刷用水性インキ」と区別して記載したが、水性インキはインキメーカーより供給される高粘度インキであり、印刷用水性インキはグラビア印刷に使用する時に希釈溶剤でグラビア印刷に適した粘度に調整したインキを指すものである。
本発明のドクター及びグラビア印刷版の摩耗を防止する低減する滑り剤である合成油は水性インキに添加しておき本発明の水性インキとしてもよく、またグラビア印刷を行なうに当たり水性インキに合成油を添加し、又は水性インキの希釈溶剤に滑り剤をエマルジョンの状態として添加しておき粘度調整時に希釈溶剤と共に添加し印刷用水性インキとしてもよい。ただし、印刷中のインキ粘度を維持するために補給する溶剤には滑り剤を添加しない溶剤を使用する。
このように、本発明の水性インキ及び印刷用水性インキに炭化水素系、エステル系、エーテル系、シリコン系、フッ素系の合成油から選択した合成油(滑り剤)を0.01%から3%の範囲で水性インキ及び印刷用水性インキにエマルジョンの状態で、又は前記水及びアルコール類の混合溶液に溶解する合成油を水性インキに溶解した状態で添加しグラビア印刷版に加圧接触するドクター刃とラビア印刷版との滑り性を高め両者のる摩耗を防止することも出来る。合成油の選択範囲を、動粘度(単位:℃mm/s)で規定したが、合成油の粘度を調整してグリス化するための粘ちょう剤が添加されない合成油の動粘度を規定するものである。
グラビア印刷に用いる印刷用水性インキと呼ばれるインキは、主たる溶剤として水を使用しているが、水だけでは乾燥性が悪いためアルコール類、主にエチルアルコール、イソプロピルアルコールとの混合溶剤が使用される。アルコール類の比率が多くなると水分散性樹脂であるコロイダルディスパージョンド型樹脂又はエマルジョン型樹脂の安定性を阻害してインキの増粘・分離を招くため、アルコール類の割合は、水100に対して、アルコール類は5〜30の範囲内でグラビア印刷に用いる印刷用水性インキは使用されるのが一般的である。また、インキメーカーから供給される水性インキと呼ばれるインキは、5%前後のアルコール類の含有である。この5%の割合は、インキメーカーで水性インキと呼ぶ基準を設けているためと思われる。また、5%以上のアルコールを含むインキを一般的には水溶性インキと呼ばれている。実際にグラビア印刷に用いる印刷用水性インキにおいては、粘度調整のために使用する希釈溶剤に占めるアルコールの割合は任意決めて使用できる。
また、合成油においては、金属間の滑剤として製品といて上市されている製品を、界面活性剤を用いエマルジョンの状態として水に分散させ使用すればよい。滑り剤として用いるエマルジョンの状態とした合成油類を、水性インキに添加してもよく、希釈溶剤に添加分散して水性インキに希釈溶剤として使用しても良い。
従って、本発明において、水とアルコール類が任意の比率で配合したグラビア印刷に使用するために粘度を調整したインキを「印刷用水性インキ」呼ぶが、この印刷用水性インキに合成油類が、水及びアルコール類の混合溶剤にエマルジョンの状態でインキ中に0.01%から3%の割合で分散しているものである。
フィルムを被印刷物とするグラビア印刷に用いる水性インキは、顔料、コロイダルディスパージョンド型樹脂又はエマルジョン型樹脂、溶剤、界面活性剤の4成分が主たるインキ組成材料である。コロイダルディスパージョンド型樹脂又はエマルジョン型樹脂としては、ウレタン系エマルジョン樹脂、アクリル系エマルジョン樹脂、酢酸ビニル系エマルジョン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合系エマルジョン樹脂、スチレンマレイン酸系エマルジョン樹脂が使用され、グラビア印刷用の水性インキとしては、ウレタン系エマルジョン樹脂、アクリル系エマルジョン樹脂が一般的である。
グラビア印刷に用いる水性インキには、表刷り用インキと裏刷り用インキの2タイプがあり、更に添加されることが有る材料として、前者においては、ポリエリレンワックスを主とするインキ表面層の強度補強材としての滑剤・ブロッキング防止剤などが有る。後者においては、無機体質材の代表されるブロッキング防止剤などが有る。
表刷り用インキに加えられる滑剤は印刷されたインキ被膜の滑り性を高めることで耐摩耗性、滑り性の向上を目的とするもので、主として溶剤に不溶性のポリエチレン系ワックス材料の使用、又はインキ表面を凹凸とし接触面積を少なくするための無機粒子(主にシリカパウダー)材料の添加がされる。従って本発明のグラビア印刷版とドクター刃の滑りを向上させ両者の摩耗をすくなくすることを目的とした本発明に使用する滑り剤とは異なり、印刷されたインキ表面の滑り性をよくするための滑剤である。従って、以下本発明のグラビア印刷版とドクター刃の滑りを向上させ両者の摩耗をすくなくすることを目的とした滑剤(かつざい)を「滑り剤(すべりざい)」と記載する。
また、インキの泡立ちを防止するため、有機溶剤を使用する油性インキにおいては、シリコン系の消泡剤が使用される場合があるが添加量は0,01%未満である。水性インキにおいては、インキに用いるアルコール類が消泡剤の役割をするため、消泡剤としてシリコン系の添加剤を使用する必要がない。本発明においては、水にエマルジョンの状態として分散させたのシリコン系合成油を使用するものである。
本発明は、グラビア印刷用水性インキに滑り剤の効果を有する各種合成油を添加するすることで、グラビア印刷版とドクター刃とが滑り性を高めることができるように鋭意検討したものである。本発明に使用する滑り剤としては、炭化水素系、エステル系、エーテル系、シリコン系、フッ素系の合成油から選択した合成油を水性インキにエマルジョンの状態で、又は前記水及びアルコール類の混合溶液に溶解する合成油を水性インキに溶解した状態で添加しドクターとグラビア版の滑りを良くする物質を滑り剤として選択すればよい。
合成油には、水に溶解するタイプ、アルコールに溶解するタイプもあるが、殆んどは水アルコールには溶解しないため、水性インキ又は水性インキの希釈溶剤に界面活性剤を用いてエマルジョンの状態にして添加し、印刷用水性インキに添加すればよい。界面活性剤には、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、アニオン界面活性剤があるがエマルジョン粒子の大きさや、アルコール類の配合率によりエマルジョン安定性などを考慮して任意に選択した界面活性剤を使用すればよい。
合成油を水性インキにエマルジョンとして分散するには、顔料に界面活性剤を添加し粉砕・分散する工程で更に界面活性剤と合成油を添加し合成油のエマルジョンの状態にすることができる。また、水又は水とアルコール類の混合液に合成油と界面活性剤を加えて撹拌にして、合成油をエマルジョンの状態にしてもよい。シリコン系合成油においては、食品、化粧品などの用途として、エマルジョンの状態とした商品も上市されており、これらの製品を使用することもできる。また、水若しくはアルコールに溶解する合成油については、印刷用水性インキにするどの工程においても添加することができる。
先に、グラビア印刷版とドクター刃との間にグラビア印刷用水性インキの溶剤が介在することで、グラビア印刷版とドクター刃の滑りを良くしている点について記述したが、一般的に使用する溶剤として、水、イソプロピリアルコール、エチルアルコール及び数%のグリコール類などが用いられる。
本発明に使用する合成油のエステル系合成油として、モノエステルタイプとしてはアリールステアリン酸エステル、メチルフェノキシフェニルステアリン酸エステル、ベンジル−P−キシリルステアレート、ジエステルタイプとしてはC8〜C10アルコールのセパケート、アゼレート、アジペート、ペラルゴネート及び2−エチルへキシルプロピオン酸エステル、ジ−2−エチル−へキシルセパケート。ネオペンチルポリオールエステルタイプとしてはトリメチロールプロパン−nC6酸エステル、トリメチロールプロパン−nC7酸エステル、トリメチロールプロパン−nC8酸エステル、トリメチロールプロパン−分岐C8酸エステル、トリメチロールプロパン−混合C8酸エステル、トリメチロールプロパン−nC9酸エステル、ネオペンチルグリコール−nC9酸エステル、ペンタエリトリット−nC9酸エステル、トリメチロールプロパン−ヘキサン酸エステル、トリメチロールプロパン−ヘプタン酸エステル、トリメチロールプロパン−オクタン酸エステル、トリメチロールプロパン−ノナン酸エステル、トリメチロールプロパン−デカン酸エステル、トリメチロールプロパン−2−メチルヘキサン酸エステル、ペンタエリトリット−イソノナン酸エステル、ペンタエリトリット−2‐メチルヘキサン酸エステル、ペンタエリトリット−ヘキサン酸エステル、ペンタエリトリット−ヘプタン酸エステル、ペンタエリトリット−オクタン酸エステル、ペンタエリトリット−ノナン酸エステル、ペンタエリトリット−イソデカン酸エステル、ハロエステルタイプとしてビス(Φ’−ブチル)セパケート、ビス(Φ’−ブチル)ピメレート、ビス(ψ’−アルミ)−3−メチルグルタレート、ビス(ψ’−アルミ)カムフォレート、トリス(ψ’−アルミ)トリカルパリレート、テトラ(ψ’−アルキル)ピロメリテートから選択して使用すればよい。また、本発明に使用する合成油のエーテル系合成油の上市商品としてとしては、オールタイムJ652、ノックスルーブAH0680、イノフレックスPDP38、イノフレックスPDP65、シンテスコ、シンテスコN、プリミウムFLUIDスペシャル、プリミウムスーパーM93、ポッテンプスーパーNプラス、ストラクビスBR75S、クリューバーバイオC2−46、クリューバーバイオC2−100、クリューバーバイオC2−460、クリューバーシンスGEM2−220、クリューバーシンスGEM2−320など「()はNOKクリューバー(株)の商品名である。」から選択して使用してもよい。
本発明に使用する合成油のエーテル系合成油としては、ポリエーテルタイプとしてはポリオキシプロピレングリコールモノアルキルエーテル(商品名:LB−165,LB−285、LB−625、LB−1715)、ポリオキシエチレンプロピレングリコールモノアルキルエーテル(商品名:50HB−100、50HB−260、50HB−660)、ポリオキシエチレンプロピレングリコール(商品名:75H−450、75H−1400)「()はUCC社製非水溶性合成油の製品番号である。」から選択して使用すればよい。フェニルエーテル系タイプとしてはm−ビス(m−フェノキシフェノキシ)ベンゼン、m−フェノキシフェノキシm−ビフェニル、モノアルキルフェノキシフェノキシ−O−ビフェニル、ジアルキルm−フェノキシフェノキシ−O−ビフェニル、モノアルキルフェノキシフェノキシベンゼン、モノアルキルジフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、重質アルキルジフェニルエーテル、モノアルキルジフェニルチオエーテル、ジアルキルジフェニルチオエーテルから選択して使用すればよい。
本発明に使用する合成油の炭化水素系合成油としては、エチレンαオレフィンオリゴマー(三井化学(株)製)の製品群より選択して使用すればよい。
本発明に使用するシリコン系合成油としては、ジメチルシリコン系合成油:オクタメチルトリシロキサン(KF−96A−1CS)、デカメチルテトラシロキサン(KF−96L−1−5CS)、メチルポリシロキサン(KF−96L−2CS、KF−96A−5CS、KF−96A−6CS、KF−96A−10CS、KF−96A−20CS、KF−96A−30CS、KF−96A−50CS、KF−96A−200CS、KF−96A−500CS、KF−96−1000CS、KF−96A−5000CS)、メチルフェニルシリコン系合成油(KF−50,KF−54,KF−56,HIVAC F4、HIVAC F5)、メチルハイドロジェンシリコン系合成油(KF−99、KF−96,KF−965,KF−968,KF−995)、メチルフェニルシリコン系合成油(KF−50,KF−54,KF−56,HIVAC F4、HIVAC F5)、メチルハイドロジェンシリコン系合成油(KF−99)、オクタメチルトリシロキサン(KF−96A−1CS)、デカメチルテトラシロキサン(KF−96L−1−5CS)メチルポリシロキサン(KF−96L−2CS、KF−96A−5CS、KF−96A−6CS、KF−96A−10CS、KF−96A−20CS、KF−96A−30CS、KF−96A−50CS、KF−96A−200CS、KF−96A−500CS、KF−96−1000CS、KF−96A−5000CS)。メチルフェニルシリコン系合成油:メチルフェニルポリシロキサン(KF−50−100CS,KF−50−1000CS,KF−53,KF−54,KF−56A,KF−54−HV)。アミノ変性シリコン油:アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(KF−8004,KF−8005S,KF−867S)。「()は信越化学工業(株)製品番号である。」から選択して使用すればよい。
変性シリコン合成油としては、アラルキラ変性シリコンオイル類(KF−410)長鎖アラルキラ変性シリコンオイル類(KF−412)ポリエーテル変性シリコンオイル類(KF−351A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、)フロロアルキル変性シリコンオイル類(FL−100)アミノ変性シリコンオイル類 (KF−859KF−880、KF−8010、X−22−161A、X−22−161B、KF−8012、)メルカプト変性シリコンオイル類(KF−2001)カルボキシル変性シリコンオイル類(X−22−3710)カルビノール変性シリコンオイル類(KF−6000、KF−6001、KF−6002、KF−6003)メチルスチリル変性シリコンオイル類(KF−410)長鎖アルキル変性シリコンオイル類(KF−412、KF−4701)「()は信越化学工業(株)製品番号である。」から選択して使用すればよい。
水に分散されているエマルジョン型変性シリコン液としては、(KM−9736A、KM−9737A、KM−9738A、KM−9745A、KM−97369、KM−740T、KM−742T、POLON−MF−33、KM−752T、KM−860A、KM−862T)。水に分散されているエマルジョン型変性シリコン液としては、アミノ変性シリコンエマルジョン(POLON−MF−14、POLON−MF−14EC,KM−9771、POLON−MF−63)エポキシ変性シリコンエマルジョン(POLON−MF−18T、X−51−1264)反応型シリコンエマルジョン(KM−2002L−1,KM−2002−T,KM−9772、POLON−MF−56)「()は信越化学工業(株)製品番号である。」から選択して使用すればよい。
また、印刷用水性インキにアルコールが30%以上含むときは、アルコール可溶タイプのメチルフェニルシリコンオイル類(KF−56A)「()は信越化学工業(株)製品番号である。」を使用すればよい。
本発明に使用する合成油のフッ素系合成油としては、パーフルオロポリエーテル (デムナムS−20、S−65)パーフルオロポリエーテル(ルブロンIDW−410:水性分散液タイプ)「()はダイキン(株)製品番号である。」から選択して使用すればよい。
これら合成油において、エステル系合成油は金属と金属の滑り剤として、潤滑性能に優り且つ安価であり本発明に使用するのに好ましいものである。
合成油を水性インキの組成物として添加することで、インキに含まれる溶剤と共にドクター刃とグラビア印刷版の間に入り、両者の滑り性を高めドクターとグラビア版の摩耗を低減する。グラビア印刷版の耐刷力を高めるためにクロムメッキが施されるが、該クロムメッキ面にペーパー研磨により微細な傷に合成油が入り滑り性を高めドクターが版面を滑らかに移動すると考えられる。
また、画線部(絵柄を設けた部分)においては、セルにインキが充填されているため土手部には溶剤は供給されやすいと考えられるが、合成油をエマルジョンの状態で分散すること若しくは溶剤に溶解することで土手部とドクター刃との滑りが良くなりドクター刃の摩耗を少なくし、また土手部の摩耗も少なくするものである。
非画線部においては、ペーパー研磨傷により溶剤供給の量を多くすることで版面とドクターの滑りを良くしていると考えられ、グラビア印刷版を何度も使用する場合は、非画線部に新たなペーパー研磨傷を付けることからもこの点を裏付けるものと考えられる。
このように、画線部・非画線部においてても、インキに含まれる溶剤の他にドクター刃とグラビア印刷版の滑りを良くする目的での合成油(滑り剤)の添加は、ドクター刃の摩耗及びグラビア印刷版の摩耗を少なくするものである。
金属の滑り性をよくすることができる滑り剤を選択するにあたり、1)インキに使用する溶剤に溶解若しくはエマルジョンの状態で分散できること、2)匂いが強くないこと・酸化劣化が少ないこと、3)インキ被膜性能低下が少ないこと、4)包装材の積層間の接着強度の低下がないこと、5)積層に用いる接着剤、ポリエチレン樹脂などと相溶性があり拡散移行し分散すること、など包装材用途でのインキの必要性能を満足するものとして水とアルコール類の混合溶剤に溶解する若しくはエマルジョンの状態で分散する合成油類から選択することが好ましい。
アルコール類は、低沸点アルコールであるメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピリアルコールなどから選択し、水と相溶性に優れるものが好ましく、本発明の印刷用水性インキにおいては、水とアルコール類の混合比率は任意に選択されるものである。
グラビア印刷用水性インキの基本組成を構成する主成分は顔料・エマルジョン樹脂・水及び水と相溶性のある溶剤であり、他にインキの性質を改質するために様々な添加剤を加えることがある。本発明に使用する合成油(滑り剤)も添加剤である。
本発明において、グラビア印刷用水性インキに添加した滑り剤は、インキ中の水又は水とアルコール類の混合溶剤にエマルジョンの状態で分散若しくは溶解した状態であることで、ドクター刃とグラビア印刷版の間に溶剤と共に供給され両者の滑り性を良好にすることで摩耗を防止するものである。
更に、被印刷物にグラビア印刷された後、溶剤は乾燥除去されるが、合成油はインキ被膜の状態のおいては、インキの主成分である樹脂に分散した状態で、又はインキ被膜に残る微量の溶剤と共に含侵、分散した状態であると考えることができる。水溶性インキに使用されるウレタン系樹脂・アクリル系樹脂などは、水には不溶性であるためコロイダルディスパージョンド型樹脂又はエマルジョンの状態で水に分散しているものであり、滑り剤である合成油類においても樹脂に含侵し馴染む性質を有するものである。
次いで、包装材として使用するため積層材とすることで合成油が、積層に用いる接着剤、ポリエチレン樹脂と相溶性があり拡散移行し含侵、分散することで、滑り剤の添加量の使用範囲を広げることができる。。また、積層フィルムとして使用する未延伸ポリプロピレンや未延伸ポリエチレンフィルムにおいても、滑り剤が拡散移行し分散する物質とすることができる。
この様に、本発明のドクター刃及びグラビア印刷版の摩耗を減少する滑り剤は、包装材に使用される材料に拡散移行するものであり、グラビア印刷用水性インキのインキ被膜に留まっているものではないため、合成油の添加の有無による包装材の最終性能に影響することは殆どない。
ただ、アルミ箔を使用する積層材のおいては、合成油を多く使用するとアルミ箔面に滑り剤の膜を形成することで該面の接着強を低下させるので滑り剤の添加量は少なくしなければならない。例えば、アルミ箔とポリエチレンの層間に滑り剤が到達すると接着強は低下する。
本発明の請求項1又は2に記載の水性インキ、又は請求項3に記載の印刷用水性インキでグラビア印刷された被印刷物において、前記印刷用水性インキが乾燥し、溶剤が蒸発したインキ樹脂、顔料表面、界面活性剤からなるインキ被膜に前記合成油が微細な粒子で分散し、又は/及びインキ被膜表面に分散若しくは付着していることを特徴とする。
本発明のグラビア印刷用水性インキで印刷された被印刷物は、インキに含まれる溶剤を乾燥装置で除去した後インキ層を形成するが、インキに添加された合成油がインキ層に、含侵、分散、又は/及びインキ被膜表面に分散付着していることが必要である。合成油がインキ層中で凝集した状態で析出分離すれば、インキに求められるの性質を得ることができない。また、滑り剤がインキ被膜中に保持しきれない範囲で添加されインキ表面にブリードアウトし分散付着することは好ましくないが、被印刷物を巻き取りにして被印刷物の非印刷面に転移すること包装材の滑り性を高めることで性能低下とならない範囲であればよい。
積層された包装材において、被印刷物の非印刷面にシーラントフィルムに添加されている滑剤はシーラントフィルムの表面にブリードアウトしており、巻取りの状態で保管され転移することにより非印刷面に転移することで包装材の滑り性を高めることは、よく知られており包装材としての性能低下とならない範囲であれば問題はないとされている。滑剤が常温で固体であれば滑剤の転移は少ないものであり包装材として問題となることは殆どない。
本発明の請求項4に記載の被印刷物にフィルムが貼り合わされたフィルム積層材において、前記インキ被膜に前記合成油が微細な粒子で分散し、又は/及びインキ被膜表面に分散付着している前記合成油が、貼り合せに使用する接着剤、ポレエチレン樹脂に移行し分散していることを特徴とする。
包装用積層フィルムは、被印刷物にグラビア印刷を施し印刷面側にシーラント層を積層してなるが、積層の手段としてインキ面にドライラミネート用接着剤を塗布・乾燥し未延伸ポリプロピレンや未延伸ポリエチレンフィルムを貼り合わす、又はポリプロピレン樹脂・ポリエチレン樹脂を溶融し膜状に押し出し積層するのが一般的である。
本発明で使用する合成油は、接着剤・各種樹脂に分散するものであり積層によりインキ層中の合成油は接着剤・各種樹脂に拡散移行することで、インキ層中の滑り剤の濃度は低下するものである。
また、ポリプロピレン樹脂・ポリエチレン樹脂を溶融し膜状に押し出し積層する方法においても、インキ中の滑り剤はこれらの樹脂に移行拡散するものである。従って、インキ層中の滑り剤はポリプロピレン樹脂・ポリエチレン樹脂に拡散移行することで、インキ層中の滑り剤の濃度は低下するものである。
このように、インキ中に添加する滑り剤の添加量が本発明で示す範囲内で有れば、各種積層方法において積層に使用する材料に滑り剤が移行拡散することでインキ中の滑り剤の濃度は低くなり、インキ中に滑り剤を添加したインキ層を有する包装用積層フィルムであっても、インキ中に滑り剤を添加しないインキを用いた包装用積層フィルムと比較し包装材性能が劣るものではない。
本発明のグラビア印刷用水性インキを用いることにより、ドクター刃及びグラビア印刷版の摩耗を少なくすることができるだけでなく、ドクター摩耗によるドクター起因の摩耗片、摩耗粉がなくなり、もしくは減少し印刷品質の向上が図れた。また、ドクター刃の交換頻度が少なくなり生産効率の向上、また副材料であるドクター使用量が減少にもつながった。
本発明のグラビア印刷用水性インキに使用する滑り剤は、接着剤、ポリエチレン、ポリプロピレンなどへの含侵、分散し、包装材として積層することで滑り剤は移行拡散しインキ中の濃度は低くなり、滑り剤を使用しない包装材と比較し包装材性能を低下させることはなかった。
裏刷り用のウレタン系グラビア印刷用水性インキに滑り剤として本発明の炭化水素系、エステル系、エーテル系、シリコン系、フッ素系の合成油から選択した合成油を滑り剤として印刷用水性インキの溶剤にエマルジョンの状態で分散させドクター摩耗を比較した。印刷用水性インキの組成を表1に示す。NO.1からNO.11は、合成油をエマルジョンの状態で分散している本発明の印刷用水性インキで、NO.12、13は比較水性インキで合成油を添加していない。滑り剤となる合成油は、水性インキを製造工程で顔料粉砕時に界面活性剤と滑り剤を混合しエマルジョンの状態にする。また、水性インキを印刷用水性インキにする時に溶剤の一部にエマルジョンの状態で分散して投入してもよい。
以上の、13種の印刷用水性インキを作製し版面回転速度100m/分で2時間空転試験(12、000mに相当)を行いドクター刃の摩耗試験を行った。インキパン中のインキは、ザンカップ#3で15から17秒であった。ドクター摩耗はドクターが摩耗により減少する幅寸法変化で評価した。試験結果も表1の下段に示す。
表1に示した印刷用水性インキを使用し紅と白の2色の重ね印刷を行なった。紅と白のインキの組み合わせは、同じ滑り剤を同量使用したNO.2とNO.8からNO.6とNO.11の組み合わせで5通り、とNO.12とNO.13の組み合わせの比較品とし、合計6通りで印刷を行なった。
上記の6通りのインキ組み合わせでポリエステルフィルム(12ミクロン)及びポリプロピレンフィルム(20ミクロン)に紅と白の順で2色グラビア印刷を行ない、12種の印刷物を作製した。12種の印刷物について巻取りの状態で1日保管し、巻き返しを行い滑り剤の転移がし易い巻き芯部の非印刷面の滑り性を12種の巻取りで比較したが包装材として用いる印刷物としての欠点は見られなかった。
次に、12種の印刷物を用いて、表2に示す包装用積層フィルムを作製した。
表2の包装用積層フィルム仕様のA、C、E、Gには、OPPフィルムの印刷物(滑り剤を変えた5種の印刷物及び比較印刷物×4仕様)を使用し24種の包装用積層フィルムを作成した。
表2の包装用積層フィルム仕様のB、D、F、には、PRTフィルムの印刷物(滑り剤を変えた5種の印刷物及び比較印刷物×3仕様)を使用し18種の包装用積層フィルムを作成した。
包装用積層フィルム仕様E、Fにおいては、滑り剤として使用した炭化水素系、エステル系、エーテル系、シリコン系、フッ素系の合成油全てにおいて、表2に示す太スラッシュ(/)部分で接着強度の低下が見られた。他のスラッシュ部分は、合成油を添加しない比較印刷物と接着強度の差はなかった。
本発明は、グラビア印刷においてグラビア印刷版に加圧接触するドクター刃の摩耗を防止、及びグラビア印刷版の摩耗を防止するための水性インキ及びグラビアに使用する印刷用水性インキ、該水性インキ及びグラビアに使用する印刷用水性インキを用いた印刷物、及び該印刷物を用いた積層包装材に関する。
グラビア印刷(凹版印刷方式の一つ印刷方式)は、インキパンに貯えられたグラビアインキをグラビア印刷版の全面に塗布し、グラビア印刷版に設けられた絵柄部となる画線部のセル部以外の不要なグラビアインキをドクターで持って掻き落とし、セルに貯えられたグラビアインキを被印刷物に転写して印刷がなされる。
グラビア印刷版の表面は耐刷性を高めるためにクロムメッキが施され、次いでクロムメッキ面には#800程度の研磨紙を用いペーパー研磨が施され、グラビア印刷に供される。該クロムメッキ面にドクター刃の刃先を加圧して押し当てることで不要なグラビアインキは掻き落とされる。このとき、金属(グラビア印刷版表面のクロム層)と金属(ドクター刃の鋼材)が加圧接触することで摩耗が発生する。水性インキを使用する場合ドクター刃の摩耗はグラビア印刷版に比べ摩耗は激しく絵柄によって異なるが一般的には1万mから5万mでドクター刃は交換される。また、グラビア印刷版においても、5万mから20万mでクロムメッキ層は摩耗するため再クロムメッキが施される。
ドクター刃は交換される頻度が、1万mから5万mと大きく異なるのは、グラビア印刷版に設けられる絵柄が異なるためである。印刷用水性インキにおいては、ドクター刃の摩耗は大きく1万mから5万mでドクター刃は交換され、グラビア印刷版においても5万mから20万mで再クロムメッキが施される。印刷用油性インキにおいては、ドクター刃の摩耗は大きく3万mから30万mでドクター刃は交換され、グラビア印刷版においても20万mから50万mで再クロムメッキが施されるのが一般的である。
印刷用水性インキを使用すると、ドクター刃の摩耗が大きくなるのは水と有機溶剤の滑り性及び蒸発温度の差による版面温度に与える影響、及び電気伝導性の差による金属間の電位差、及びクロムメッキ面にペーパー研磨による微細な凹部分への水のなじみが悪いためなどが考えられる。
クロムメッキ面にペーパー研磨を施す一つの理由として、非絵柄部においてはドクター刃と版面の間にペーパー研磨による微細な凹凸部分が有ることで該部分にインキ溶剤を多く供給することにより、ドクター刃と版面の滑りを良くしていると考えられる。これにより非絵柄部でのドクターの加圧力が安定しドクターの摩耗片やドクター刃先が欠けた異物がドクターと非絵柄部の版面に挟まる筋汚れと呼ばれる品質不良を少なくしていると考えられる。
また、絵柄部においては、セルを形成する土手へのドクターの加圧力が集中することで該部分の摩耗は激しくなる。従って絵柄部の摩耗により絵柄の再現性が低下した場合は摩耗したクロムメッキ層を除去し再クロムメッキが施される。
この様に、非絵柄面、絵柄面において、グラビア印刷油性インキの溶剤の働きによりドクター刃及びグラビア印刷版の摩耗は低減されている。
グラビア印刷において、インキをグラビア印刷版面に供給せずにグラビア印刷版にドクター刃を加圧接触させてグラビア印刷版を回転すると両者の接触により高い音を発し、発熱により、両者には激しい摩耗が生じる。従って、グラビア印刷版とドクター刃の間にはグラビアインキの成分である溶剤が介在することでグラビア印刷版とドクター刃の滑りを良くしていることが分かる。
グラビア印刷において、グラビア印刷版に加圧接触するドクター刃の摩耗、及びグラビア印刷版の摩耗を低減もしくは防止できれば、グラビア印刷における付帯作業の低減、摩耗粉による品質不良が発生の低減が図れ、生産性の向上につながるものである。
スエーデン鋼からなるドクター刃に無電解セラメッキによる表面加工がなされてきたが、ドクター刃の刃先のカエリを防止することで印刷不良である通称ヒゲの発生はなくすことができているが、ドクター刃の摩耗については満足するものではなく通称筋汚れは多くなっていると思われる。
本発明者は、摩耗の少ないドクター刃として、特許第5895329号を提案し、又、ドクター刃のグラビア印刷版の両エッジR部でのドクター刃の損傷に関しての改善案を特許第6056112号でドクター刃の摩耗を低減する印刷方法を提案している。
更に、本発明者は特許第6202458号、特許第6233942号でドクター刃の摩耗及びグラビア印刷版の摩耗を低減する印刷方法を提案している。
しかし、グラビアインキに使用する溶剤は、1)インキに使用する樹脂の溶解性、2)印刷後の印刷物への残留性、3)溶剤の乾燥性の3点を主に考慮された組成であり、グラビア印刷版とドクター刃の滑りを良くし摩耗を少なくすることに関する考慮はされていない。
グラビア印刷に用いる印刷用水性インキにおいては、油性インキと比較してドクター刃の摩耗が激しく、摩耗を少なくするため検討がなされている。グラビア印刷に印刷用水性インキを使用すると、ドクターの摩耗が激しくなる理由としては先に記載した通りである。
グラビア印刷油性インキの特許文献調査を行ったが、インキ組成として添加される滑剤は、印刷物に転写されたインキの表面物性としての滑りをよくするための機能を付与するグラビア印刷インキ、或いはインキ表面を凹凸にすることで滑りをよくするための機能を付与するグラビア印刷インキに関する先行技術文献はあるが、グラビア印刷においてグラビア印刷版に加圧接触するドクター刃の摩耗を防止、及びグラビア印刷版の摩耗を防止する機能を付与したグラビア印刷油性インキは見出すことはできなかった。
グラビア印刷用の水性インキについては、下記の先行技術文献として、特開1994−220385、特開1995−126562、特開1999−92704、特開2004−339385、特開2004−339386がある。これら先行技術文献では、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ラウリン酸、オレイン酸アンモニウム、脂肪酸、脂肪酸塩、オレフィン・不飽和カルボン酸のアミン酸、N−ベンゾイルアミノアルカン酸のアミン酸、硫酸化植物油のアルカリ金属塩などを、インキ成分として用いる提案がなされているが、印刷用水性インキの溶剤である水に溶解させ湿潤・保湿効果を期待するものであると思われるが、ドクター刃の摩耗を少なくする効果がどのような理由かは定かではない。また、実施例において、ドクター刃の摩耗とカブリの結果が記載されている。カブリは版面にインキ被膜が形成され被印刷物に転写される現象、又は潤滑剤物質或いは潤滑剤物質がインキ成分と共に版面に析出してドクターの掻き落としができず版面のクロムメッキの光沢を低下させる現象である。このことから、前記潤滑剤物質を主成分とする物質が版面に析出して、版面とドクター刃の間に介在し版面とドクター刃の接触を防止しドクター刃の摩耗を少なくしているものと考えられる。また、カブリが少ないとされた実施例においても潤滑剤物質が版面上で確認しにくい又はできないだけであって薄膜での析出があるものと考えることができ、この点から推測すると添加された潤滑剤物質は全てが印刷用水性インキに溶解しているものではなく、ドクターと版面の間に介在することでドクターの摩耗を緩和しているとも推測できる。
特開1994−220385 特開1995−126562 特開1999−92704 特開2004−339385 特開2004−339386
グラビア印刷においてグラビア印刷版に加圧接触するドクター刃の摩耗を防止、及びグラビア印刷版の摩耗を防止するために、ドクターとグラビア印刷版面との間で滑り剤との働きをする、水性インキ又は印刷用水性インキの溶剤にエマルジョンとして分散する合成油を含有するグラビア印刷用水性インキ、該インキを使用した被印刷物、及び該被印刷物にフィルムを貼り合せ包装用積層フィルムを提供することを課題とする。
本発明に係る水性インキ又はグラビア印刷用水性インキの製造方法は、水及びメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコールから選択されるアルコール類を主たる溶剤の成分とし水分散性樹脂をベヒクルとするグラビア印刷に使用するドクター刃の摩耗を低減する水性インキ又はグラビア印刷用水性インキの製造方法において、炭化水素系合成油、エステル系合成油、エーテル系合成油、シリコン系合成油から選択した金属の滑り剤として合成油を乳化分散剤でエマルジョン状態としたものを、前記水性インキに添加する又はグラビア印刷用水性インキに希釈溶剤と共に添加することを特徴とする。
本発明の水性インキ又はグラビア印刷用水性インキは、水及びメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコールから選択されるアルコール類を主たる溶剤の成分とする水分散性樹脂をベヒクルとするグラビア印刷に用いるドクター刃の摩耗を低減できる水性インキ又はグラビア印刷用水性インキにおいて、金属の滑り剤として炭化水素系合成油、エステル系合成油、エーテル系合成油、シリコン系合成油から選択した合成油を乳化分散剤によりエマルジョンの状態で添加されていることを特徴とする。
本発明の水性インキ又はグラビア印刷用水性インキは、水及びメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコールから選択されるアルコール類を主たる溶剤の成分とする水分散性樹脂をベヒクルとするグラビア印刷に使用するドクター刃の摩耗を低減する水性インキ又はグラビア印刷用水性インキにおいて、金属の滑り剤として炭化水素系合成油、エステル系合成油、エーテル系合成油、シリコン系合成油から選択した合成油を乳化分散剤でエマルジョンの状態で添加した水性インキ又はグラビア印刷用水性インキであって、前記合成油は、炭化水素系合成油においては粘度が(40〜10000・40℃mm2 /s)の合成油を0.01〜3%の範囲で添加、エステル系合成油においては粘度が(10〜50000・25℃mm2 /s)の合成油を0.01〜3%の範囲で添加、エーテル系合成油においては粘度が(10〜15000・25℃mm2 /s)の合成油を0.01〜3%の範囲で添加、シリコン系合成油においては粘度が(0.6〜10000・25℃mm2 /s)合成油を0.01〜3%の範囲で添加されていることを特徴とする。
ここで「水性インキ」と「印刷用水性インキ」と区別して記載したが、水性インキはインキメーカーより供給される高粘度インキであり、印刷用水性インキはグラビア印刷に使用する時に希釈溶剤でグラビア印刷に適した粘度に調整したインキを指すものである。
本発明のドクター及びグラビア印刷版の摩耗を防止する低減する滑り剤である合成油は水性インキに添加しておき本発明の水性インキとしてもよく、またグラビア印刷を行なうに当たり水性インキに合成油を添加し、又は水性インキの希釈溶剤に滑り剤をエマルジョンの状態として添加しておき粘度調整時に希釈溶剤と共に添加し印刷用水性インキとしてもよい。ただし、印刷中のインキ粘度を維持するために補給する溶剤には滑り剤を添加しない溶剤を使用する。
このように、本発明の水性インキ及び印刷用水性インキに炭化水素系、エステル系、エーテル系、シリコン系、フッ素系の合成油から選択した合成油(滑り剤)を0.01%から3%の範囲で水性インキ及び印刷用水性インキにエマルジョンの状態で、又は前記水及びアルコール類の混合溶液に溶解する合成油を水性インキに溶解した状態で添加しグラビア印刷版に加圧接触するドクター刃とラビア印刷版との滑り性を高め両者のる摩耗を防止することも出来る。合成油の選択範囲を、動粘度(単位:℃mm2/s)で規定したが、合成油の粘度を調整してグリス化するための粘ちょう剤が添加されない合成油の動粘度を規定するものである。
グラビア印刷に用いる印刷用水性インキと呼ばれるインキは、主たる溶剤として水を使用しているが、水だけでは乾燥性が悪いためアルコール類、主にエチルアルコール、イソプロピルアルコールとの混合溶剤が使用される。アルコール類の比率が多くなると水分散性樹脂であるコロイダルディスパージョンド型樹脂又はエマルジョン型樹脂の安定性を阻害してインキの増粘・分離を招くため、アルコール類の割合は、水100に対して、アルコール類は5〜30の範囲内でグラビア印刷に用いる印刷用水性インキは使用されるのが一般的である。また、インキメーカーから供給される水性インキと呼ばれるインキは、5%前後のアルコール類の含有である。この5%の割合は、インキメーカーで水性インキと呼ぶ基準を設けているためと思われる。また、5%以上のアルコールを含むインキを一般的には水溶性インキと呼ばれている。実際にグラビア印刷に用いる印刷用水性インキにおいては、粘度調整のために使用する希釈溶剤に占めるアルコールの割合は任意決めて使用できる。
また、合成油においては、金属間の滑剤として製品といて上市されている製品を、界面活性剤を用いエマルジョンの状態として水に分散させ使用すればよい。滑り剤として用いるエマルジョンの状態とした合成油類を、水性インキに添加してもよく、希釈溶剤に添加分散して水性インキに希釈溶剤として使用しても良い。
従って、本発明において、水とアルコール類が任意の比率で配合したグラビア印刷に使用するために粘度を調整したインキを「印刷用水性インキ」呼ぶが、この印刷用水性インキに合成油類が、水及びアルコール類の混合溶剤にエマルジョンの状態でインキ中に0.01%から3%の割合で分散しているものである。
フィルムを被印刷物とするグラビア印刷に用いる水性インキは、顔料、コロイダルディスパージョンド型樹脂又はエマルジョン型樹脂、溶剤、界面活性剤の4成分が主たるインキ組成材料である。コロイダルディスパージョンド型樹脂又はエマルジョン型樹脂としては、ウレタン系エマルジョン樹脂、アクリル系エマルジョン樹脂、酢酸ビニル系エマルジョン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合系エマルジョン樹脂、スチレンマレイン酸系エマルジョン樹脂が使用され、グラビア印刷用の水性インキとしては、ウレタン系エマルジョン樹脂、アクリル系エマルジョン樹脂が一般的である。
グラビア印刷に用いる水性インキには、表刷り用インキと裏刷り用インキの2タイプがあり、更に添加されることが有る材料として、前者においては、ポリエリレンワックスを主とするインキ表面層の強度補強材としての滑剤・ブロッキング防止剤などが有る。後者においては、無機体質材の代表されるブロッキング防止剤などが有る。
表刷り用インキに加えられる滑剤は印刷されたインキ被膜の滑り性を高めることで耐摩耗性、滑り性の向上を目的とするもので、主として溶剤に不溶性のポリエチレン系ワックス材料の使用、又はインキ表面を凹凸とし接触面積を少なくするための無機粒子(主にシリカパウダー)材料の添加がされる。従って本発明のグラビア印刷版とドクター刃の滑りを向上させ両者の摩耗をすくなくすることを目的とした本発明に使用する滑り剤とは異なり、印刷されたインキ表面の滑り性をよくするための滑剤である。従って、以下本発明のグラビア印刷版とドクター刃の滑りを向上させ両者の摩耗をすくなくすることを目的とした滑剤(かつざい)を「滑り剤(すべりざい)」と記載する。
また、インキの泡立ちを防止するため、有機溶剤を使用する油性インキにおいては、シリコン系の消泡剤が使用される場合があるが添加量は0,01%未満である。水性インキにおいては、インキに用いるアルコール類が消泡剤の役割をするため、消泡剤としてシリコン系の添加剤を使用する必要がない。本発明においては、水にエマルジョンの状態として分散させたシリコン系合成油を使用するものである。
本発明は、グラビア印刷用水性インキに滑り剤の効果を有する各種合成油を添加することで、グラビア印刷版とドクター刃とが滑り性を高めることができるように鋭意検討したものである。本発明に使用する滑り剤としては、炭化水素系、エステル系、エーテル系、シリコン系、フッ素系の合成油から選択した合成油を水性インキにエマルジョンの状態で、又は前記水及びアルコール類の混合溶液に溶解する合成油を水性インキに溶解した状態で添加しドクターとグラビア版の滑りを良くする物質を滑り剤として選択すればよい。
合成油には、水に溶解するタイプ、アルコールに溶解するタイプもあるが、殆んどは水アルコールには溶解しないため、水性インキ又は水性インキの希釈溶剤に界面活性剤を用いてエマルジョンの状態にして添加し、印刷用水性インキに添加すればよい。界面活性剤には、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、アニオン界面活性剤があるがエマルジョン粒子の大きさや、アルコール類の配合率によりエマルジョン安定性などを考慮して任意に選択した界面活性剤を使用すればよい。
合成油を水性インキにエマルジョンとして分散するには、顔料に界面活性剤を添加し粉砕・分散する工程で更に界面活性剤と合成油を添加し合成油のエマルジョンの状態にすることができる。また、水又は水とアルコール類の混合液に合成油と界面活性剤を加えて撹拌にして、合成油をエマルジョンの状態にしてもよい。シリコン系合成油においては、食品、化粧品などの用途として、エマルジョンの状態とした商品も上市されており、これらの製品を使用することもできる。また、水若しくはアルコールに溶解する合成油については、印刷用水性インキにするどの工程においても添加することができる。
先に、グラビア印刷版とドクター刃との間にグラビア印刷用水性インキの溶剤が介在することで、グラビア印刷版とドクター刃の滑りを良くしている点について記述したが、一般的に使用する溶剤として、水、イソプロピリアルコール、エチルアルコール及び数%のグリコール類などが用いられる。
本発明に使用する合成油のエステル系合成油として、モノエステルタイプとしてはアリールステアリン酸エステル、メチルフェノキシフェニルステアリン酸エステル、ベンジル−P−キシリルステアレート、ジエステルタイプとしてはC8〜C10アルコールのセパケート、アゼレート、アジペート、ペラルゴネート及び2−エチルへキシルプロピオン酸エステル、ジ−2−エチル−へキシルセパケート。ネオペンチルポリオールエステルタイプとしてはトリメチロールプロパン−nC6酸エステル、トリメチロールプロパン−nC7酸エステル、トリメチロールプロパン−nC8酸エステル、トリメチロールプロパン−分岐C8酸エステル、トリメチロールプロパン−混合C8酸エステル、トリメチロールプロパン−nC9酸エステル、ネオペンチルグリコール−nC9酸エステル、ペンタエリトリット−nC9酸エステル、トリメチロールプロパン−ヘキサン酸エステル、トリメチロールプロパン−ヘプタン酸エステル、トリメチロールプロパン−オクタン酸エステル、トリメチロールプロパン−ノナン酸エステル、トリメチロールプロパン−デカン酸エステル、トリメチロールプロパン−2−メチルヘキサン酸エステル、ペンタエリトリット−イソノナン酸エステル、ペンタエリトリット−2‐メチルヘキサン酸エステル、ペンタエリトリット−ヘキサン酸エステル、ペンタエリトリット−ヘプタン酸エステル、ペンタエリトリット−オクタン酸エステル、ペンタエリトリット−ノナン酸エステル、ペンタエリトリット−イソデカン酸エステル、ハロエステルタイプとしてビス(Φ’−ブチル)セパケート、ビス(Φ’−ブチル)ピメレート、ビス(ψ’−アルミ)−3−メチルグルタレート、ビス(ψ’−アルミ)カムフォレート、トリス(ψ’−アルミ)トリカルパリレート、テトラ(ψ’−アルキル)ピロメリテートから選択して使用すればよい。また、本発明に使用する合成油のエーテル系合成油の上市商品としてとしては、オールタイムJ652、ノックスルーブAH0680、イノフレックスPDP38、イノフレックスPDP65、シンテスコ、シンテスコN、プリミウムFLUIDスペシャル、プリミウムスーパーM93、ポッテンプスーパーNプラス、ストラクビスBR75S、クリューバーバイオC2−46、クリューバーバイオC2−100、クリューバーバイオC2−460、クリューバーシンスGEM2−220、クリューバーシンスGEM2−320など「()はNOKクリューバー(株)の商品名である。」から選択して使用してもよい。
本発明に使用する合成油のエーテル系合成油としては、ポリエーテルタイプとしてはポリオキシプロピレングリコールモノアルキルエーテル(商品名:LB−165,LB−285、LB−625、LB−1715)、ポリオキシエチレンプロピレングリコールモノアルキルエーテル(商品名:50HB−100、50HB−260、50HB−660)、ポリオキシエチレンプロピレングリコール(商品名:75H−450、75H−1400)「()はUCC社製非水溶性合成油の製品番号である。」から選択して使用すればよい。フェニルエーテル系タイプとしてはm−ビス(m−フェノキシフェノキシ)ベンゼン、m−フェノキシフェノキシm−ビフェニル、モノアルキルフェノキシフェノキシ−O−ビフェニル、ジアルキルm−フェノキシフェノキシ−O−ビフェニル、モノアルキルフェノキシフェノキシベンゼン、モノアルキルジフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、重質アルキルジフェニルエーテル、モノアルキルジフェニルチオエーテル、ジアルキルジフェニルチオエーテルから選択して使用すればよい。
本発明に使用する合成油の炭化水素系合成油としては、エチレンαオレフィンオリゴマー(三井化学(株)製)の製品群より選択して使用すればよい。
本発明に使用するシリコン系合成油としては、ジメチルシリコン系合成油:オクタメチルトリシロキサン(KF−96A−1CS)、デカメチルテトラシロキサン(KF−96L−1−5CS)、メチルポリシロキサン(KF−96L−2CS、KF−96A−5CS、KF−96A−6CS、KF−96A−10CS、KF−96A−20CS、KF−96A−30CS、KF−96A−50CS、KF−96A−200CS、KF−96A−500CS、KF−96−1000CS、KF−96A−5000CS)、メチルフェニルシリコン系合成油(KF−50,KF−54,KF−56,HIVAC F4、HIVAC F5)、メチルハイドロジェンシリコン系合成油(KF−99、KF−96,KF−965,KF−968,KF−995)、メチルフェニルシリコン系合成油(KF−50,KF−54,KF−56,HIVAC F4、HIVAC F5)、メチルハイドロジェンシリコン系合成油(KF−99)、オクタメチルトリシロキサン(KF−96A−1CS)、デカメチルテトラシロキサン(KF−96L−1−5CS)メチルポリシロキサン(KF−96L−2CS、KF−96A−5CS、KF−96A−6CS、KF−96A−10CS、KF−96A−20CS、KF−96A−30CS、KF−96A−50CS、KF−96A−200CS、KF−96A−500CS、KF−96−1000CS、KF−96A−5000CS)。メチルフェニルシリコン系合成油:メチルフェニルポリシロキサン(KF−50−100CS,KF−50−1000CS,KF−53,KF−54,KF−56A,KF−54−HV)。アミノ変性シリコン油:アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(KF−8004,KF−8005S,KF−867S)。「()は信越化学工業(株)製品番号である。」から選択して使用すればよい。
変性シリコン合成油としては、アラルキラ変性シリコンオイル類(KF−410)長鎖アラルキラ変性シリコンオイル類(KF−412)ポリエーテル変性シリコンオイル類(KF−351A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、)フロロアルキル変性シリコンオイル類(FL−100)アミノ変性シリコンオイル類 (KF−859KF−880、KF−8010、X−22−161A、X−22−161B、KF−8012、)メルカプト変性シリコンオイル類(KF−2001)カルボキシル変性シリコンオイル類(X−22−3710)カルビノール変性シリコンオイル類(KF−6000、KF−6001、KF−6002、KF−6003)メチルスチリル変性シリコンオイル類(KF−410)長鎖アルキル変性シリコンオイル類(KF−412、KF−4701)「()は信越化学工業(株)製品番号である。」から選択して使用すればよい。
水に分散されているエマルジョン型変性シリコン液としては、(KM−9736A、KM−9737A、KM−9738A、KM−9745A、KM−97369、KM−740T、KM−742T、POLON−MF−33、KM−752T、KM−860A、KM−862T)。水に分散されているエマルジョン型変性シリコン液としては、アミノ変性シリコンエマルジョン(POLON−MF−14、POLON−MF−14EC,KM−9771、POLON−MF−63)エポキシ変性シリコンエマルジョン(POLON−MF−18T、X−51−1264)反応型シリコンエマルジョン(KM−2002L−1,KM−2002−T,KM−9772、POLON−MF−56)「()は信越化学工業(株)製品番号である。」から選択して使用すればよい。
また、印刷用水性インキにアルコールが30%以上含むときは、アルコール可溶タイプのメチルフェニルシリコンオイル類(KF−56A)「()は信越化学工業(株)製品番号である。」を使用すればよい。
本発明に使用する合成油のフッ素系合成油としては、パーフルオロポリエーテル (デムナムS−20、S−65)パーフルオロポリエーテル(ルブロンIDW−410:水性分散液タイプ)「()はダイキン(株)製品番号である。」から選択して使用すればよい。
これら合成油において、エステル系合成油は金属と金属の滑り剤として、潤滑性能に優り且つ安価であり本発明に使用するのに好ましいものである。
合成油を水性インキの組成物として添加することで、インキに含まれる溶剤と共にドクター刃とグラビア印刷版の間に入り、両者の滑り性を高めドクターとグラビア版の摩耗を低減する。グラビア印刷版の耐刷力を高めるためにクロムメッキが施されるが、該クロムメッキ面にペーパー研磨により微細な傷に合成油が入り滑り性を高めドクターが版面を滑らかに移動すると考えられる。
また、画線部(絵柄を設けた部分)においては、セルにインキが充填されているため土手部には溶剤は供給されやすいと考えられるが、合成油をエマルジョンの状態で分散すること若しくは溶剤に溶解することで土手部とドクター刃との滑りが良くなりドクター刃の摩耗を少なくし、また土手部の摩耗も少なくするものである。
非画線部においては、ペーパー研磨傷により溶剤供給の量を多くすることで版面とドクターの滑りを良くしていると考えられ、グラビア印刷版を何度も使用する場合は、非画線部に新たなペーパー研磨傷を付けることからもこの点を裏付けるものと考えられる。
このように、画線部・非画線部においても、インキに含まれる溶剤の他にドクター刃とグラビア印刷版の滑りを良くする目的での合成油(滑り剤)の添加は、ドクター刃の摩耗及びグラビア印刷版の摩耗を少なくするものである。
金属の滑り性をよくすることができる滑り剤を選択するにあたり、1)インキに使用する溶剤に溶解若しくはエマルジョンの状態で分散できること、2)匂いが強くないこと・酸化劣化が少ないこと、3)インキ被膜性能低下が少ないこと、4)包装材の積層間の接着強度の低下がないこと、5)積層に用いる接着剤、ポリエチレン樹脂などと相溶性があり拡散移行し分散すること、など包装材用途でのインキの必要性能を満足するものとして水とアルコール類の混合溶剤に溶解する若しくはエマルジョンの状態で分散する合成油類から選択することが好ましい。
アルコール類は、低沸点アルコールであるメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピリアルコールなどから選択し、水と相溶性に優れるものが好ましく、本発明の印刷用水性インキにおいては、水とアルコール類の混合比率は任意に選択されるものである。
グラビア印刷用水性インキの基本組成を構成する主成分は顔料・エマルジョン樹脂・水及び水と相溶性のある溶剤であり、他にインキの性質を改質するために様々な添加剤を加えることがある。本発明に使用する合成油(滑り剤)も添加剤である。
本発明において、グラビア印刷用水性インキに添加した滑り剤は、インキ中の水又は水とアルコール類の混合溶剤にエマルジョンの状態で分散若しくは溶解した状態であることで、ドクター刃とグラビア印刷版の間に溶剤と共に供給され両者の滑り性を良好にすることで摩耗を防止するものである。
更に、被印刷物にグラビア印刷された後、溶剤は乾燥除去されるが、合成油はインキ被膜の状態のおいては、インキの主成分である樹脂に分散した状態で、又はインキ被膜に残る微量の溶剤と共に含侵、分散した状態であると考えることができる。水溶性インキに使用されるウレタン系樹脂・アクリル系樹脂などは、水には不溶性であるためコロイダルディスパージョンド型樹脂又はエマルジョンの状態で水に分散しているものであり、滑り剤である合成油類においても樹脂に含侵し馴染む性質を有するものである。
次いで、包装材として使用するため積層材とすることで合成油が、積層に用いる接着剤、ポリエチレン樹脂と相溶性があり拡散移行し含侵、分散することで、滑り剤の添加量の使用範囲を広げることができる。また、積層フィルムとして使用する未延伸ポリプロピレンや未延伸ポリエチレンフィルムにおいても、滑り剤が拡散移行し分散する物質とすることができる。
この様に、本発明のドクター刃及びグラビア印刷版の摩耗を減少する滑り剤は、包装材に使用される材料に拡散移行するものであり、グラビア印刷用水性インキのインキ被膜に留まっているものではないため、合成油の添加の有無による包装材の最終性能に影響することは殆どない。
ただ、アルミ箔を使用する積層材のおいては、合成油を多く使用するとアルミ箔面に滑り剤の膜を形成することで該面の接着強を低下させるので滑り剤の添加量は少なくしなければならない。例えば、アルミ箔とポリエチレンの層間に滑り剤が到達すると接着強は低下する。
本発明のフィルム積層材は、請求項2及び3に記載の水性インキ又はグラビア印刷用水性インキで印刷されたフィルム積層材において、前記インキ被膜に含侵・分散、又は/及びインキ被膜表面に分散付着している前記合成油が、貼り合せに使用する接着剤、ポリエチレン樹脂に移行し分散していることを特徴とする。
本発明のグラビア印刷用水性インキで印刷された被印刷物は、インキに含まれる溶剤を乾燥装置で除去した後インキ層を形成するが、インキに添加された合成油がインキ層に、含侵、分散、又は/及びインキ被膜表面に分散付着していることが必要である。合成油がインキ層中で凝集した状態で析出分離すれば、インキに求められる性質を得ることができない。また、滑り剤がインキ被膜中に保持しきれない範囲で添加されインキ表面にブリードアウトし分散付着することは好ましくないが、被印刷物を巻き取りにして被印刷物の非印刷面に転移すること包装材の滑り性を高めることで性能低下とならない範囲であればよい。
積層された包装材において、被印刷物の非印刷面にシーラントフィルムに添加されている滑剤はシーラントフィルムの表面にブリードアウトしており、巻取りの状態で保管され転移することにより非印刷面に転移することで包装材の滑り性を高めることは、よく知られており包装材としての性能低下とならない範囲であれば問題はないとされている。滑剤が常温で固体であれば滑剤の転移は少ないものであり包装材として問題となることは殆どない。
包装用積層フィルムは、被印刷物にグラビア印刷を施し印刷面側にシーラント層を積層してなるが、積層の手段としてインキ面にドライラミネート用接着剤を塗布・乾燥し未延伸ポリプロピレンや未延伸ポリエチレンフィルムを貼り合わす、又はポリプロピレン樹脂・ポリエチレン樹脂を溶融し膜状に押し出し積層するのが一般的である。
本発明で使用する合成油は、接着剤・各種樹脂に分散するものであり積層によりインキ層中の合成油は接着剤・各種樹脂に拡散移行することで、インキ層中の滑り剤の濃度は低下するものである。
また、ポリプロピレン樹脂・ポリエチレン樹脂を溶融し膜状に押し出し積層する方法においても、インキ中の滑り剤はこれらの樹脂に移行拡散するものである。従って、インキ層中の滑り剤はポリプロピレン樹脂・ポリエチレン樹脂に拡散移行することで、インキ層中の滑り剤の濃度は低下するものである。
このように、インキ中に添加する滑り剤の添加量が本発明で示す範囲内で有れば、各種積層方法において積層に使用する材料に滑り剤が移行拡散することでインキ中の滑り剤の濃度は低くなり、インキ中に滑り剤を添加したインキ層を有する包装用積層フィルムであっても、インキ中に滑り剤を添加しないインキを用いた包装用積層フィルムと比較し包装材性能が劣るものではない。
本発明のグラビア印刷用水性インキを用いることにより、ドクター刃及びグラビア印刷版の摩耗を少なくすることができるだけでなく、ドクター摩耗によるドクター起因の摩耗片、摩耗粉がなくなり、もしくは減少し印刷品質の向上が図れた。また、ドクター刃の交換頻度が少なくなり生産効率の向上、また副材料であるドクター使用量が減少にもつながった。
本発明のグラビア印刷用水性インキに使用する滑り剤は、接着剤、ポリエチレン、ポリプロピレンなどへの含侵、分散し、包装材として積層することで滑り剤は移行拡散しインキ中の濃度は低くなり、滑り剤を使用しない包装材と比較し包装材性能を低下させることはなかった。
裏刷り用のウレタン系グラビア印刷用水性インキに滑り剤として本発明の炭化水素系、エステル系、エーテル系、シリコン系、フッ素系の合成油から選択した合成油を滑り剤として印刷用水性インキの溶剤にエマルジョンの状態で分散させドクター摩耗を比較した。印刷用水性インキの組成を表1に示す。NO.1からNO.11は、合成油をエマルジョンの状態で分散している本発明の印刷用水性インキで、NO.12、13は比較水性インキで合成油を添加していない。滑り剤となる合成油は、水性インキを製造工程で顔料粉砕時に界面活性剤と滑り剤を混合しエマルジョンの状態にする。また、水性インキを印刷用水性インキにする時に溶剤の一部にエマルジョンの状態で分散して投入してもよい。
以上の、13種の印刷用水性インキを作製し版面回転速度100m/分で2時間空転試験(12、000mに相当)を行いドクター刃の摩耗試験を行った。インキパン中のインキは、ザンカップ#3で15から17秒であった。ドクター摩耗はドクターが摩耗により減少する幅寸法変化で評価した。試験結果も表1の下段に示す。
表1に示した印刷用水性インキを使用し紅と白の2色の重ね印刷を行なった。紅と白のインキの組み合わせは、同じ滑り剤を同量使用したNO.2とNO.8からNO.6とNO.11の組み合わせで5通り、とNO.12とNO.13の組み合わせの比較品とし、合計6通りで印刷を行なった。
上記の6通りのインキ組み合わせでポリエステルフィルム(12ミクロン)及びポリプロピレンフィルム(20ミクロン)に紅と白の順で2色グラビア印刷を行ない、12種の印刷物を作製した。12種の印刷物について巻取りの状態で1日保管し、巻き返しを行い滑り剤の転移がし易い巻き芯部の非印刷面の滑り性を12種の巻取りで比較したが包装材として用いる印刷物としての欠点は見られなかった。
次に、12種の印刷物を用いて、表2に示す包装用積層フィルムを作製した。
表2の包装用積層フィルム仕様のA、C、E、Gには、OPPフィルムの印刷物(滑り剤を変えた5種の印刷物及び比較印刷物×4仕様)を使用し24種の包装用積層フィルムを作成した。
表2の包装用積層フィルム仕様のB、D、F、には、PRTフィルムの印刷物(滑り剤を変えた5種の印刷物及び比較印刷物×3仕様)を使用し18種の包装用積層フィルムを作成した。
包装用積層フィルム仕様E、Fにおいては、滑り剤として使用した炭化水素系、エステル系、エーテル系、シリコン系、フッ素系の合成油全てにおいて、表2に示す太スラッシュ(/)部分で接着強度の低下が見られた。他のスラッシュ部分は、合成油を添加しない比較印刷物と接着強度の差はなかった。
本発明は、グラビア印刷においてグラビア印刷版に加圧接触するドクター刃の摩耗を防止、及びグラビア印刷版の摩耗を防止するための水性インキ及びグラビアに使用する印刷用水性インキ、該水性インキ及びグラビアに使用する印刷用水性インキを用いた印刷物、及び該印刷物を用いた積層包装材に関する。
グラビア印刷(凹版印刷方式の一つ印刷方式)は、インキパンに貯えられたグラビアインキをグラビア印刷版の全面に塗布し、グラビア印刷版に設けられた絵柄部となる画線部のセル部以外の不要なグラビアインキをドクターで持って掻き落とし、セルに貯えられたグラビアインキを被印刷物に転写して印刷がなされる。
グラビア印刷版の表面は耐刷性を高めるためにクロムメッキが施され、次いでクロムメッキ面には#800程度の研磨紙を用いペーパー研磨が施され、グラビア印刷に供される。該クロムメッキ面にドクター刃の刃先を加圧して押し当てることで不要なグラビアインキは掻き落とされる。このとき、金属(グラビア印刷版表面のクロム層)と金属(ドクター刃の鋼材)が加圧接触することで摩耗が発生する。水性インキを使用する場合ドクター刃の摩耗はグラビア印刷版に比べ摩耗は激しく絵柄によって異なるが一般的には1万mから5万mでドクター刃は交換される。また、グラビア印刷版においても、5万mから20万mでクロムメッキ層は摩耗するため再クロムメッキが施される。
ドクター刃は交換される頻度が、1万mから5万mと大きく異なるのは、グラビア印刷版に設けられる絵柄が異なるためである。印刷用水性インキにおいては、ドクター刃の摩耗は大きく1万mから5万mでドクター刃は交換され、グラビア印刷版においても5万mから20万mで再クロムメッキが施される。印刷用油性インキにおいては、ドクター刃の摩耗は大きく3万mから30万mでドクター刃は交換され、グラビア印刷版においても20万mから50万mで再クロムメッキが施されるのが一般的である。
印刷用水性インキを使用すると、ドクター刃の摩耗が大きくなるのは水と有機溶剤の滑り性及び蒸発温度の差による版面温度に与える影響、及び電気伝導性の差による金属間の電位差、及びクロムメッキ面にペーパー研磨による微細な凹部分への水のなじみが悪いためなどが考えられる。
クロムメッキ面にペーパー研磨を施す一つの理由として、非絵柄部においてはドクター刃と版面の間にペーパー研磨による微細な凹凸部分が有ることで該部分にインキ溶剤を多く供給することにより、ドクター刃と版面の滑りを良くしていると考えられる。これにより非絵柄部でのドクターの加圧力が安定しドクターの摩耗片やドクター刃先が欠けた異物がドクターと非絵柄部の版面に挟まる筋汚れと呼ばれる品質不良を少なくしていると考えられる。
また、絵柄部においては、セルを形成する土手へのドクターの加圧力が集中することで該部分の摩耗は激しくなる。従って絵柄部の摩耗により絵柄の再現性が低下した場合は摩耗したクロムメッキ層を除去し再クロムメッキが施される。
この様に、非絵柄面、絵柄面において、グラビア印刷油性インキの溶剤の働きによりドクター刃及びグラビア印刷版の摩耗は低減されている。
グラビア印刷において、インキをグラビア印刷版面に供給せずにグラビア印刷版にドクター刃を加圧接触させてグラビア印刷版を回転すると両者の接触により高い音を発し、発熱により、両者には激しい摩耗が生じる。従って、グラビア印刷版とドクター刃の間にはグラビアインキの成分である溶剤が介在することでグラビア印刷版とドクター刃の滑りを良くしていることが分かる。
グラビア印刷において、グラビア印刷版に加圧接触するドクター刃の摩耗、及びグラビア印刷版の摩耗を低減もしくは防止できれば、グラビア印刷における付帯作業の低減、摩耗粉による品質不良が発生の低減が図れ、生産性の向上につながるものである。
スエーデン鋼からなるドクター刃に無電解セラメッキによる表面加工がなされてきたが、ドクター刃の刃先のカエリを防止することで印刷不良である通称ヒゲの発生はなくすことができているが、ドクター刃の摩耗については満足するものではなく通称筋汚れは多くなっていると思われる。
本発明者は、摩耗の少ないドクター刃として、特許第5895329号を提案し、又、ドクター刃のグラビア印刷版の両エッジR部でのドクター刃の損傷に関しての改善案を特許第6056112号でドクター刃の摩耗を低減する印刷方法を提案している。
更に、本発明者は特許第6202458号、特許第6233942号でドクター刃の摩耗及びグラビア印刷版の摩耗を低減する印刷方法を提案している。
しかし、グラビアインキに使用する溶剤は、1)インキに使用する樹脂の溶解性、2)印刷後の印刷物への残留性、3)溶剤の乾燥性の3点を主に考慮された組成であり、グラビア印刷版とドクター刃の滑りを良くし摩耗を少なくすることに関する考慮はされていない。
グラビア印刷に用いる印刷用水性インキにおいては、油性インキと比較してドクター刃の摩耗が激しく、摩耗を少なくするため検討がなされている。グラビア印刷に印刷用水性インキを使用すると、ドクターの摩耗が激しくなる理由としては先に記載した通りである。
グラビア印刷油性インキの特許文献調査を行ったが、インキ組成として添加される滑剤は、印刷物に転写されたインキの表面物性としての滑りをよくするための機能を付与するグラビア印刷インキ、或いはインキ表面を凹凸にすることで滑りをよくするための機能を付与するグラビア印刷インキに関する先行技術文献はあるが、グラビア印刷においてグラビア印刷版に加圧接触するドクター刃の摩耗を防止、及びグラビア印刷版の摩耗を防止する機能を付与したグラビア印刷油性インキは見出すことはできなかった。
グラビア印刷用の水性インキについては、下記の先行技術文献として、特開1994−220385、特開1995−126562、特開1999−92704、特開2004−339385、特開2004−339386がある。これら先行技術文献では、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ラウリン酸、オレイン酸アンモニウム、脂肪酸、脂肪酸塩、オレフィン・不飽和カルボン酸のアミン酸、N−ベンゾイルアミノアルカン酸のアミン酸、硫酸化植物油のアルカリ金属塩などを、インキ成分として用いる提案がなされているが、印刷用水性インキの溶剤である水に溶解させ湿潤・保湿効果を期待するものであると思われるが、ドクター刃の摩耗を少なくする効果がどのような理由かは定かではない。また、実施例において、ドクター刃の摩耗とカブリの結果が記載されている。カブリは版面にインキ被膜が形成され被印刷物に転写される現象、又は潤滑剤物質或いは潤滑剤物質がインキ成分と共に版面に析出してドクターの掻き落としができず版面のクロムメッキの光沢を低下させる現象である。このことから、前記潤滑剤物質を主成分とする物質が版面に析出して、版面とドクター刃の間に介在し版面とドクター刃の接触を防止しドクター刃の摩耗を少なくしているものと考えられる。また、カブリが少ないとされた実施例においても潤滑剤物質が版面上で確認しにくい又はできないだけであって薄膜での析出があるものと考えることができ、この点から推測すると添加された潤滑剤物質は全てが印刷用水性インキに溶解しているものではなく、ドクターと版面の間に介在することでドクターの摩耗を緩和しているとも推測できる。

特開1994−220385 特開1995−126562 特開1999−92704 特開2004−339385 特開2004−339386
グラビア印刷においてグラビア印刷版に加圧接触するドクター刃の摩耗を防止、及びグラビア印刷版の摩耗を防止するために、ドクターとグラビア印刷版面との間で滑り剤との働きをする、水性インキ又は印刷用水性インキの溶剤にエマルジョンとして分散する合成油を含有するグラビア印刷用水性インキ、該インキを使用した被印刷物、及び該被印刷物にフィルムを貼り合せ包装用積層フィルムを提供することを課題とする。
本発明に係る水性インキ又はグラビア印刷用水性インキの製造方法は、水及びメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールから選択されるアルコール類を主たる溶剤の成分とし水分散性樹脂をベヒクルとするグラビア印刷に使用するドクター刃の摩耗を低減する水性インキ又はグラビア印刷用水性インキの製造方法において、炭化水素系合成油、エステル系合成油、エーテル系合成油、シリコン系合成油から選択した金属の滑り剤として合成油を乳化分散剤でエマルジョン状態としたものを、前記水性インキに添加する又はグラビア印刷用に希釈溶剤と共に添加することを特徴とする。
本発明の水性インキ又はグラビア印刷用水性インキは、水及びメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールから選択されるアルコール類を主たる溶剤の成分とする水分散性樹脂をベヒクルとするグラビア印刷に用いるドクター刃の摩耗を低減できる水性インキ又はグラビア印刷用水性インキにおいて、金属の滑り剤として炭化水素系合成油、エステル系合成油、エーテル系合成油、シリコン系合成油から選択した合成油を乳化分散剤によりエマルジョンの状態で添加されていることを特徴とする。
本発明の水性インキ又はグラビア印刷用水性インキは、水及びメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールから選択されるアルコール類を主たる溶剤の成分とする水分散性樹脂をベヒクルとするグラビア印刷に使用するドクター刃の摩耗を低減する水性インキ又はグラビア印刷用水性インキにおいて、金属の滑り剤として炭化水素系合成油、エステル系合成油、エーテル系合成油、シリコン系合成油から選択した合成油を乳化分散剤でエマルジョンの状態で添加した水性インキ又はグラビア印刷用水性インキであって、前記合成油は、炭化水素系合成油においては粘度が(40〜10000・40℃mm 2 /s)の合成油を0.01〜3%の範囲で添加、エステル系合成油においては粘度が(10〜50000・25℃mm 2 /s)の合成油を0.01〜3%の範囲で添加、エーテル系合成油においては粘度が(10〜15000・25℃mm 2 /s)の合成油を0.01〜3%の範囲で添加、シリコン系合成油においては粘度が(0.6〜10000・25℃mm 2 /s)合成油を0.01〜3%の範囲で添加されていることを特徴とする。
ここで「水性インキ」と「印刷用水性インキ」と区別して記載したが、水性インキはインキメーカーより供給される高粘度インキであり、印刷用水性インキはグラビア印刷に使用する時に希釈溶剤でグラビア印刷に適した粘度に調整したインキを指すものである。
本発明のドクター及びグラビア印刷版の摩耗を防止する低減する滑り剤である合成油は水性インキに添加しておき本発明の水性インキとしてもよく、またグラビア印刷を行なうに当たり水性インキに合成油を添加し、又は水性インキの希釈溶剤に滑り剤をエマルジョンの状態として添加しておき粘度調整時に希釈溶剤と共に添加し印刷用水性インキとしてもよい。ただし、印刷中のインキ粘度を維持するために補給する溶剤には滑り剤を添加しない溶剤を使用する。
このように、本発明の水性インキ及び印刷用水性インキに炭化水素系、エステル系、エーテル系、シリコン系、フッ素系の合成油から選択した合成油(滑り剤)を0.01%から3%の範囲で水性インキ及び印刷用水性インキにエマルジョンの状態で、又は前記水及びアルコール類の混合溶液に溶解する合成油を水性インキに溶解した状態で添加しグラビア印刷版に加圧接触するドクター刃とラビア印刷版との滑り性を高め両者のる摩耗を防止することも出来る。合成油の選択範囲を、動粘度(単位:℃mm2/s)で規定したが、合成油の粘度を調整してグリス化するための粘ちょう剤が添加されない合成油の動粘度を規定するものである。
グラビア印刷に用いる印刷用水性インキと呼ばれるインキは、主たる溶剤として水を使用しているが、水だけでは乾燥性が悪いためアルコール類、主にエチルアルコール、イソプロピルアルコールとの混合溶剤が使用される。アルコール類の比率が多くなると水分散性樹脂であるコロイダルディスパージョンド型樹脂又はエマルジョン型樹脂の安定性を阻害してインキの増粘・分離を招くため、アルコール類の割合は、水100に対して、アルコール類は5〜30の範囲内でグラビア印刷に用いる印刷用水性インキは使用されるのが一般的である。また、インキメーカーから供給される水性インキと呼ばれるインキは、5%前後のアルコール類の含有である。この5%の割合は、インキメーカーで水性インキと呼ぶ基準を設けているためと思われる。また、5%以上のアルコールを含むインキを一般的には水溶性インキと呼ばれている。実際にグラビア印刷に用いる印刷用水性インキにおいては、粘度調整のために使用する希釈溶剤に占めるアルコールの割合は任意決めて使用できる。
また、合成油においては、金属間の滑剤として製品といて上市されている製品を、界面活性剤を用いエマルジョンの状態として水に分散させ使用すればよい。滑り剤として用いるエマルジョンの状態とした合成油類を、水性インキに添加してもよく、希釈溶剤に添加分散して水性インキに希釈溶剤として使用しても良い。
従って、本発明において、水とアルコール類が任意の比率で配合したグラビア印刷に使用するために粘度を調整したインキを「印刷用水性インキ」呼ぶが、この印刷用水性インキに合成油類が、水及びアルコール類の混合溶剤にエマルジョンの状態でインキ中に0.01%から3%の割合で分散しているものである。
フィルムを被印刷物とするグラビア印刷に用いる水性インキは、顔料、コロイダルディスパージョンド型樹脂又はエマルジョン型樹脂、溶剤、界面活性剤の4成分が主たるインキ組成材料である。コロイダルディスパージョンド型樹脂又はエマルジョン型樹脂としては、ウレタン系エマルジョン樹脂、アクリル系エマルジョン樹脂、酢酸ビニル系エマルジョン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合系エマルジョン樹脂、スチレンマレイン酸系エマルジョン樹脂が使用され、グラビア印刷用の水性インキとしては、ウレタン系エマルジョン樹脂、アクリル系エマルジョン樹脂が一般的である。
グラビア印刷に用いる水性インキには、表刷り用インキと裏刷り用インキの2タイプがあり、更に添加されることが有る材料として、前者においては、ポリエリレンワックスを主とするインキ表面層の強度補強材としての滑剤・ブロッキング防止剤などが有る。後者においては、無機体質材の代表されるブロッキング防止剤などが有る。
表刷り用インキに加えられる滑剤は印刷されたインキ被膜の滑り性を高めることで耐摩耗性、滑り性の向上を目的とするもので、主として溶剤に不溶性のポリエチレン系ワックス材料の使用、又はインキ表面を凹凸とし接触面積を少なくするための無機粒子(主にシリカパウダー)材料の添加がされる。従って本発明のグラビア印刷版とドクター刃の滑りを向上させ両者の摩耗をすくなくすることを目的とした本発明に使用する滑り剤とは異なり、印刷されたインキ表面の滑り性をよくするための滑剤である。従って、以下本発明のグラビア印刷版とドクター刃の滑りを向上させ両者の摩耗をすくなくすることを目的とした滑剤(かつざい)を「滑り剤(すべりざい)」と記載する。
また、インキの泡立ちを防止するため、有機溶剤を使用する油性インキにおいては、シリコン系の消泡剤が使用される場合があるが添加量は0,01%未満である。水性インキにおいては、インキに用いるアルコール類が消泡剤の役割をするため、消泡剤としてシリコン系の添加剤を使用する必要がない。本発明においては、水にエマルジョンの状態として分散させたのシリコン系合成油を使用するものである。
本発明は、グラビア印刷用水性インキに滑り剤の効果を有する各種合成油を添加するすることで、グラビア印刷版とドクター刃とが滑り性を高めることができるように鋭意検討したものである。本発明に使用する滑り剤としては、炭化水素系、エステル系、エーテル系、シリコン系、フッ素系の合成油から選択した合成油を水性インキにエマルジョンの状態で、又は前記水及びアルコール類の混合溶液に溶解する合成油を水性インキに溶解した状態で添加しドクターとグラビア版の滑りを良くする物質を滑り剤として選択すればよい。
合成油には、水に溶解するタイプ、アルコールに溶解するタイプもあるが、殆んどは水アルコールには溶解しないため、水性インキ又は水性インキの希釈溶剤に界面活性剤を用いてエマルジョンの状態にして添加し、印刷用水性インキに添加すればよい。界面活性剤には、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、アニオン界面活性剤があるがエマルジョン粒子の大きさや、アルコール類の配合率によりエマルジョン安定性などを考慮して任意に選択した界面活性剤を使用すればよい。
合成油を水性インキにエマルジョンとして分散するには、顔料に界面活性剤を添加し粉砕・分散する工程で更に界面活性剤と合成油を添加し合成油のエマルジョンの状態にすることができる。また、水又は水とアルコール類の混合液に合成油と界面活性剤を加えて撹拌にして、合成油をエマルジョンの状態にしてもよい。シリコン系合成油においては、食品、化粧品などの用途として、エマルジョンの状態とした商品も上市されており、これらの製品を使用することもできる。また、水若しくはアルコールに溶解する合成油については、印刷用水性インキにするどの工程においても添加することができる。
先に、グラビア印刷版とドクター刃との間にグラビア印刷用水性インキの溶剤が介在することで、グラビア印刷版とドクター刃の滑りを良くしている点について記述したが、一般的に使用する溶剤として、水、イソプロピリアルコール、エチルアルコール及び数%のグリコール類などが用いられる。
本発明に使用する合成油のエステル系合成油として、モノエステルタイプとしてはアリールステアリン酸エステル、メチルフェノキシフェニルステアリン酸エステル、ベンジル−P−キシリルステアレート、ジエステルタイプとしてはC8〜C10アルコールのセパケート、アゼレート、アジペート、ペラルゴネート及び2−エチルへキシルプロピオン酸エステル、ジ−2−エチル−へキシルセパケート。ネオペンチルポリオールエステルタイプとしてはトリメチロールプロパン−nC6酸エステル、トリメチロールプロパン−nC7酸エステル、トリメチロールプロパン−nC8酸エステル、トリメチロールプロパン−分岐C8酸エステル、トリメチロールプロパン−混合C8酸エステル、トリメチロールプロパン−nC9酸エステル、ネオペンチルグリコール−nC9酸エステル、ペンタエリトリット−nC9酸エステル、トリメチロールプロパン−ヘキサン酸エステル、トリメチロールプロパン−ヘプタン酸エステル、トリメチロールプロパン−オクタン酸エステル、トリメチロールプロパン−ノナン酸エステル、トリメチロールプロパン−デカン酸エステル、トリメチロールプロパン−2−メチルヘキサン酸エステル、ペンタエリトリット−イソノナン酸エステル、ペンタエリトリット−2‐メチルヘキサン酸エステル、ペンタエリトリット−ヘキサン酸エステル、ペンタエリトリット−ヘプタン酸エステル、ペンタエリトリット−オクタン酸エステル、ペンタエリトリット−ノナン酸エステル、ペンタエリトリット−イソデカン酸エステル、ハロエステルタイプとしてビス(Φ’−ブチル)セパケート、ビス(Φ’−ブチル)ピメレート、ビス(ψ’−アルミ)−3−メチルグルタレート、ビス(ψ’−アルミ)カムフォレート、トリス(ψ’−アルミ)トリカルパリレート、テトラ(ψ’−アルキル)ピロメリテートから選択して使用すればよい。また、本発明に使用する合成油のエーテル系合成油の上市商品としてとしては、オールタイムJ652、ノックスルーブAH0680、イノフレックスPDP38、イノフレックスPDP65、シンテスコ、シンテスコN、プリミウムFLUIDスペシャル、プリミウムスーパーM93、ポッテンプスーパーNプラス、ストラクビスBR75S、クリューバーバイオC2−46、クリューバーバイオC2−100、クリューバーバイオC2−460、クリューバーシンスGEM2−220、クリューバーシンスGEM2−320など「()はNOKクリューバー(株)の商品名である。」から選択して使用してもよい。
本発明に使用する合成油のエーテル系合成油としては、ポリエーテルタイプとしてはポリオキシプロピレングリコールモノアルキルエーテル(商品名:LB−165,LB−285、LB−625、LB−1715)、ポリオキシエチレンプロピレングリコールモノアルキルエーテル(商品名:50HB−100、50HB−260、50HB−660)、ポリオキシエチレンプロピレングリコール(商品名:75H−450、75H−1400)「()はUCC社製非水溶性合成油の製品番号である。」から選択して使用すればよい。フェニルエーテル系タイプとしてはm−ビス(m−フェノキシフェノキシ)ベンゼン、m−フェノキシフェノキシm−ビフェニル、モノアルキルフェノキシフェノキシ−O−ビフェニル、ジアルキルm−フェノキシフェノキシ−O−ビフェニル、モノアルキルフェノキシフェノキシベンゼン、モノアルキルジフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、重質アルキルジフェニルエーテル、モノアルキルジフェニルチオエーテル、ジアルキルジフェニルチオエーテルから選択して使用すればよい。
本発明に使用する合成油の炭化水素系合成油としては、エチレンαオレフィンオリゴマー(三井化学(株)製)の製品群より選択して使用すればよい。
本発明に使用するシリコン系合成油としては、ジメチルシリコン系合成油:オクタメチルトリシロキサン(KF−96A−1CS)、デカメチルテトラシロキサン(KF−96L−1−5CS)、メチルポリシロキサン(KF−96L−2CS、KF−96A−5CS、KF−96A−6CS、KF−96A−10CS、KF−96A−20CS、KF−96A−30CS、KF−96A−50CS、KF−96A−200CS、KF−96A−500CS、KF−96−1000CS、KF−96A−5000CS)、メチルフェニルシリコン系合成油(KF−50,KF−54,KF−56,HIVAC F4、HIVAC F5)、メチルハイドロジェンシリコン系合成油(KF−99、KF−96,KF−965,KF−968,KF−995)、メチルフェニルシリコン系合成油(KF−50,KF−54,KF−56,HIVAC F4、HIVAC F5)、メチルハイドロジェンシリコン系合成油(KF−99)、オクタメチルトリシロキサン(KF−96A−1CS)、デカメチルテトラシロキサン(KF−96L−1−5CS)メチルポリシロキサン(KF−96L−2CS、KF−96A−5CS、KF−96A−6CS、KF−96A−10CS、KF−96A−20CS、KF−96A−30CS、KF−96A−50CS、KF−96A−200CS、KF−96A−500CS、KF−96−1000CS、KF−96A−5000CS)。メチルフェニルシリコン系合成油:メチルフェニルポリシロキサン(KF−50−100CS,KF−50−1000CS,KF−53,KF−54,KF−56A,KF−54−HV)。アミノ変性シリコン油:アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(KF−8004,KF−8005S,KF−867S)。「()は信越化学工業(株)製品番号である。」から選択して使用すればよい。
変性シリコン合成油としては、アラルキラ変性シリコンオイル類(KF−410)長鎖アラルキラ変性シリコンオイル類(KF−412)ポリエーテル変性シリコンオイル類(KF−351A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、)フロロアルキル変性シリコンオイル類(FL−100)アミノ変性シリコンオイル類 (KF−859KF−880、KF−8010、X−22−161A、X−22−161B、KF−8012、)メルカプト変性シリコンオイル類(KF−2001)カルボキシル変性シリコンオイル類(X−22−3710)カルビノール変性シリコンオイル類(KF−6000、KF−6001、KF−6002、KF−6003)メチルスチリル変性シリコンオイル類(KF−410)長鎖アルキル変性シリコンオイル類(KF−412、KF−4701)「()は信越化学工業(株)製品番号である。」から選択して使用すればよい。
水に分散されているエマルジョン型変性シリコン液としては、(KM−9736A、KM−9737A、KM−9738A、KM−9745A、KM−97369、KM−740T、KM−742T、POLON−MF−33、KM−752T、KM−860A、KM−862T)。水に分散されているエマルジョン型変性シリコン液としては、アミノ変性シリコンエマルジョン(POLON−MF−14、POLON−MF−14EC,KM−9771、POLON−MF−63)エポキシ変性シリコンエマルジョン(POLON−MF−18T、X−51−1264)反応型シリコンエマルジョン(KM−2002L−1,KM−2002−T,KM−9772、POLON−MF−56)「()は信越化学工業(株)製品番号である。」から選択して使用すればよい。
また、印刷用水性インキにアルコールが30%以上含むときは、アルコール可溶タイプのメチルフェニルシリコンオイル類(KF−56A)「()は信越化学工業(株)製品番号である。」を使用すればよい。
本発明に使用する合成油のフッ素系合成油としては、パーフルオロポリエーテル (デムナムS−20、S−65)パーフルオロポリエーテル(ルブロンIDW−410:水性分散液タイプ)「()はダイキン(株)製品番号である。」から選択して使用すればよい。
これら合成油において、エステル系合成油は金属と金属の滑り剤として、潤滑性能に優り且つ安価であり本発明に使用するのに好ましいものである。
合成油を水性インキの組成物として添加することで、インキに含まれる溶剤と共にドクター刃とグラビア印刷版の間に入り、両者の滑り性を高めドクターとグラビア版の摩耗を低減する。グラビア印刷版の耐刷力を高めるためにクロムメッキが施されるが、該クロムメッキ面にペーパー研磨により微細な傷に合成油が入り滑り性を高めドクターが版面を滑らかに移動すると考えられる。
また、画線部(絵柄を設けた部分)においては、セルにインキが充填されているため土手部には溶剤は供給されやすいと考えられるが、合成油をエマルジョンの状態で分散すること若しくは溶剤に溶解することで土手部とドクター刃との滑りが良くなりドクター刃の摩耗を少なくし、また土手部の摩耗も少なくするものである。
非画線部においては、ペーパー研磨傷により溶剤供給の量を多くすることで版面とドクターの滑りを良くしていると考えられ、グラビア印刷版を何度も使用する場合は、非画線部に新たなペーパー研磨傷を付けることからもこの点を裏付けるものと考えられる。
このように、画線部・非画線部においてても、インキに含まれる溶剤の他にドクター刃とグラビア印刷版の滑りを良くする目的での合成油(滑り剤)の添加は、ドクター刃の摩耗及びグラビア印刷版の摩耗を少なくするものである。
金属の滑り性をよくすることができる滑り剤を選択するにあたり、1)インキに使用する溶剤に溶解若しくはエマルジョンの状態で分散できること、2)匂いが強くないこと・酸化劣化が少ないこと、3)インキ被膜性能低下が少ないこと、4)包装材の積層間の接着強度の低下がないこと、5)積層に用いる接着剤、ポリエチレン樹脂などと相溶性があり拡散移行し分散すること、など包装材用途でのインキの必要性能を満足するものとして水とアルコール類の混合溶剤に溶解する若しくはエマルジョンの状態で分散する合成油類から選択することが好ましい。
アルコール類は、低沸点アルコールであるメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピリアルコールなどから選択し、水と相溶性に優れるものが好ましく、本発明の印刷用水性インキにおいては、水とアルコール類の混合比率は任意に選択されるものである。
グラビア印刷用水性インキの基本組成を構成する主成分は顔料・エマルジョン樹脂・水及び水と相溶性のある溶剤であり、他にインキの性質を改質するために様々な添加剤を加えることがある。本発明に使用する合成油(滑り剤)も添加剤である。
本発明において、グラビア印刷用水性インキに添加した滑り剤は、インキ中の水又は水とアルコール類の混合溶剤にエマルジョンの状態で分散若しくは溶解した状態であることで、ドクター刃とグラビア印刷版の間に溶剤と共に供給され両者の滑り性を良好にすることで摩耗を防止するものである。
更に、被印刷物にグラビア印刷された後、溶剤は乾燥除去されるが、合成油はインキ被膜の状態のおいては、インキの主成分である樹脂に分散した状態で、又はインキ被膜に残る微量の溶剤と共に含侵、分散した状態であると考えることができる。水溶性インキに使用されるウレタン系樹脂・アクリル系樹脂などは、水には不溶性であるためコロイダルディスパージョンド型樹脂又はエマルジョンの状態で水に分散しているものであり、滑り剤である合成油類においても樹脂に含侵し馴染む性質を有するものである。
次いで、包装材として使用するため積層材とすることで合成油が、積層に用いる接着剤、ポリエチレン樹脂と相溶性があり拡散移行し含侵、分散することで、滑り剤の添加量の使用範囲を広げることができる。。また、積層フィルムとして使用する未延伸ポリプロピレンや未延伸ポリエチレンフィルムにおいても、滑り剤が拡散移行し分散する物質とすることができる。
この様に、本発明のドクター刃及びグラビア印刷版の摩耗を減少する滑り剤は、包装材に使用される材料に拡散移行するものであり、グラビア印刷用水性インキのインキ被膜に留まっているものではないため、合成油の添加の有無による包装材の最終性能に影響することは殆どない。
ただ、アルミ箔を使用する積層材のおいては、合成油を多く使用するとアルミ箔面に滑り剤の膜を形成することで該面の接着強を低下させるので滑り剤の添加量は少なくしなければならない。例えば、アルミ箔とポリエチレンの層間に滑り剤が到達すると接着強は低下する。
本発明のフィルム積層材は、請求項2及び3に記載の水性インキ又はグラビア印刷用水性インキで印刷されたフィルム積層材において、前記インキ被膜に含侵・分散、又は/及びインキ被膜表面に分散付着している前記合成油が、貼り合せに使用する接着剤、ポリエチレン樹脂に移行し分散していることを特徴とする。
本発明のグラビア印刷用水性インキで印刷された被印刷物は、インキに含まれる溶剤を乾燥装置で除去した後インキ層を形成するが、インキに添加された合成油がインキ層に、含侵、分散、又は/及びインキ被膜表面に分散付着していることが必要である。合成油がインキ層中で凝集した状態で析出分離すれば、インキに求められるの性質を得ることができない。また、滑り剤がインキ被膜中に保持しきれない範囲で添加されインキ表面にブリードアウトし分散付着することは好ましくないが、被印刷物を巻き取りにして被印刷物の非印刷面に転移すること包装材の滑り性を高めることで性能低下とならない範囲であればよい。
積層された包装材において、被印刷物の非印刷面にシーラントフィルムに添加されている滑剤はシーラントフィルムの表面にブリードアウトしており、巻取りの状態で保管され転移することにより非印刷面に転移することで包装材の滑り性を高めることは、よく知られており包装材としての性能低下とならない範囲であれば問題はないとされている。滑剤が常温で固体であれば滑剤の転移は少ないものであり包装材として問題となることは殆どない。
包装用積層フィルムは、被印刷物にグラビア印刷を施し印刷面側にシーラント層を積層してなるが、積層の手段としてインキ面にドライラミネート用接着剤を塗布・乾燥し未延伸ポリプロピレンや未延伸ポリエチレンフィルムを貼り合わす、又はポリプロピレン樹脂・ポリエチレン樹脂を溶融し膜状に押し出し積層するのが一般的である。
本発明で使用する合成油は、接着剤・各種樹脂に分散するものであり積層によりインキ層中の合成油は接着剤・各種樹脂に拡散移行することで、インキ層中の滑り剤の濃度は低下するものである。
また、ポリプロピレン樹脂・ポリエチレン樹脂を溶融し膜状に押し出し積層する方法においても、インキ中の滑り剤はこれらの樹脂に移行拡散するものである。従って、インキ層中の滑り剤はポリプロピレン樹脂・ポリエチレン樹脂に拡散移行することで、インキ層中の滑り剤の濃度は低下するものである。
このように、インキ中に添加する滑り剤の添加量が本発明で示す範囲内で有れば、各種積層方法において積層に使用する材料に滑り剤が移行拡散することでインキ中の滑り剤の濃度は低くなり、インキ中に滑り剤を添加したインキ層を有する包装用積層フィルムであっても、インキ中に滑り剤を添加しないインキを用いた包装用積層フィルムと比較し包装材性能が劣るものではない。
本発明のグラビア印刷用水性インキを用いることにより、ドクター刃及びグラビア印刷版の摩耗を少なくすることができるだけでなく、ドクター摩耗によるドクター起因の摩耗片、摩耗粉がなくなり、もしくは減少し印刷品質の向上が図れた。また、ドクター刃の交換頻度が少なくなり生産効率の向上、また副材料であるドクター使用量が減少にもつながった。
本発明のグラビア印刷用水性インキに使用する滑り剤は、接着剤、ポリエチレン、ポリプロピレンなどへの含侵、分散し、包装材として積層することで滑り剤は移行拡散しインキ中の濃度は低くなり、滑り剤を使用しない包装材と比較し包装材性能を低下させることはなかった。
裏刷り用のウレタン系グラビア印刷用水性インキに滑り剤として本発明の炭化水素系、エステル系、エーテル系、シリコン系、フッ素系の合成油から選択した合成油を滑り剤として印刷用水性インキの溶剤にエマルジョンの状態で分散させドクター摩耗を比較した。印刷用水性インキの組成を表1に示す。NO.1からNO.11は、合成油をエマルジョンの状態で分散している本発明の印刷用水性インキで、NO.12、13は比較水性インキで合成油を添加していない。滑り剤となる合成油は、水性インキを製造工程で顔料粉砕時に界面活性剤と滑り剤を混合しエマルジョンの状態にする。また、水性インキを印刷用水性インキにする時に溶剤の一部にエマルジョンの状態で分散して投入してもよい。
以上の、13種の印刷用水性インキを作製し版面回転速度100m/分で2時間空転試験(12、000mに相当)を行いドクター刃の摩耗試験を行った。インキパン中のインキは、ザンカップ#3で15から17秒であった。ドクター摩耗はドクターが摩耗により減少する幅寸法変化で評価した。試験結果も表1の下段に示す。
表1に示した印刷用水性インキを使用し紅と白の2色の重ね印刷を行なった。紅と白のインキの組み合わせは、同じ滑り剤を同量使用したNO.2とNO.8からNO.6とNO.11の組み合わせで5通り、とNO.12とNO.13の組み合わせの比較品とし、合計6通りで印刷を行なった。
上記の6通りのインキ組み合わせでポリエステルフィルム(12ミクロン)及びポリプロピレンフィルム(20ミクロン)に紅と白の順で2色グラビア印刷を行ない、12種の印刷物を作製した。12種の印刷物について巻取りの状態で1日保管し、巻き返しを行い滑り剤の転移がし易い巻き芯部の非印刷面の滑り性を12種の巻取りで比較したが包装材として用いる印刷物としての欠点は見られなかった。
次に、12種の印刷物を用いて、表2に示す包装用積層フィルムを作製した。
表2の包装用積層フィルム仕様のA、C、E、Gには、OPPフィルムの印刷物(滑り剤を変えた5種の印刷物及び比較印刷物×4仕様)を使用し24種の包装用積層フィルムを作成した。
表2の包装用積層フィルム仕様のB、D、F、には、PRTフィルムの印刷物(滑り剤を変えた5種の印刷物及び比較印刷物×3仕様)を使用し18種の包装用積層フィルムを作成した。
包装用積層フィルム仕様E、Fにおいては、滑り剤として使用した炭化水素系、エステル系、エーテル系、シリコン系、フッ素系の合成油全てにおいて、表2に示す太スラッシュ(/)部分で接着強度の低下が見られた。他のスラッシュ部分は、合成油を添加しない比較印刷物と接着強度の差はなかった。

Claims (5)

  1. 水及びアルコール類を主たる溶剤の成分とし水分散性樹脂をベヒクルとするグラビア印刷に使用する水性インキにおいて、炭化水素系、エステル系、エーテル系、シリコン系、フッ素系の合成油から選択した合成油を水性インキにエマルジョンの状態で、又は前記水及びアルコール類の混合溶液に溶解する合成油を水性インキに溶解した状態で添加したことを特徴とする水性インキ。
  2. 請求項1の水性インキに用いる前記合成油は、炭化水素系合成油においては粘度が(40〜10000・40℃mm/s)の合成油を0.01〜3%の範囲で添加、エステル系合成油においては粘度が(10〜50000・25℃mm/s)の合成油を0.01〜3%の範囲で添加、エーテル系合成油においては粘度が(10〜15000・25℃mm/s)の合成油を0.01〜3%の範囲で添加、シリコン系合成油においては粘度が(0.6〜10000・25℃mm/s)合成油を0.01〜3%の範囲で添加、フッ素系合成油においては分子量が(2000から15000)の合成油を0.01〜3%の範囲で添加されていることを特徴とする水性インキ。
  3. 水及びアルコール類を主たる溶剤の成分とし水分散性樹脂をベヒクルとするグラビア印刷に使用する印刷用水性インキであって、水性インキに請求項1又は2に記載の合成油を希釈溶剤にエマルジョンの状態で、又は前記水及びアルコール類の混合溶液に溶解する合成油を希釈溶剤に溶解した状態で添加したことを特徴とする印刷用水性インキ。
  4. 請求項1又は2に記載の水性インキ、又は請求項3に記載の印刷用水性インキでグラビア印刷された被印刷物において、前記印刷用水性インキが乾燥し、溶剤が蒸発したインキ樹脂、顔料表面、界面活性剤からなるインキ被膜に前記合成油が微細な粒子で分散し、又は/及びインキ被膜表面に分散若しくは付着していることを特徴とする被印刷物。
  5. 請求項2に記載の被印刷物にフィルムが貼り合わされたフィルム積層材において、前記インキ被膜に含侵・分散、又は/及びインキ被膜表面に分散付着している前記合成油が、貼り合せに使用する接着剤、ポレエチレン樹脂に移行し分散していることを特徴とするフィルム積層材。
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