JP2012016668A - 逆ベシクルを用いて形成された油中水(w/o)型エマルション及びエマルションインク - Google Patents
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Abstract
【課題】乳化剤として逆ベシクルを用いた三相乳化法によって得られた油中水(W/O)型エマルションの保存安定性を臭気の問題を生じさせることなく向上させ、油相の構成溶剤として石油系炭化水素溶剤の使用を可能にするとともに、エマルションインクとしての応用も可能にする。
【解決手段】
乳化剤として、ショ糖脂肪酸エステルで形成されたベシクルを使用し、エマルションインク中にソルビタン脂肪酸エステル及びポリエチレングリコール脂肪酸エステルなどのノニオン性界面活性剤を含有させる。さらに、長鎖脂肪酸又はその塩を0.01〜5質量%含有させることによりエマルションの粘度を低下させることができる。エマルションの油相は、石油系炭化水素溶剤を含有することができる。該エマルションは、インク特にインクジェット印刷用インクとして使用できる。
【選択図】なし
【解決手段】
乳化剤として、ショ糖脂肪酸エステルで形成されたベシクルを使用し、エマルションインク中にソルビタン脂肪酸エステル及びポリエチレングリコール脂肪酸エステルなどのノニオン性界面活性剤を含有させる。さらに、長鎖脂肪酸又はその塩を0.01〜5質量%含有させることによりエマルションの粘度を低下させることができる。エマルションの油相は、石油系炭化水素溶剤を含有することができる。該エマルションは、インク特にインクジェット印刷用インクとして使用できる。
【選択図】なし
Description
本発明は、逆ベシクルを乳化剤として用いた三相乳化法により形成された油中水(W/O)型エマルション及びエマルションインクに関する。
従来の界面活性剤を用いた乳化法では、油と水との界面に界面活性剤を吸着させ、その界面エネルギーを低下させる事を乳化・分散法の基本としていたので、その界面張力を低下させるために多量の乳化剤を必要としていた。
近年、両親媒性化合物のナノ粒子をファンデルワールス力により油界面に付着させることによりエマルションを形成する方法が提案されており、そこでは、両親媒性化合物のナノ粒子として、水中で自己組織化したベシクルが用いられている(特許文献1〜4参照)。
上記ベシクルを用いた方法では、安定な水中油(O/W)型エマルションを得る事が出来るが、油中水(W/O)型エマルションについては、内水相が極めて少ない領域でしか得られていない。
一方、両親媒性化合物は、油中で通常のベシクルとは逆に親水基同士を向け合った二分子膜である逆ベシクルを自己組織化することが報告されているが、これを乳化剤として用いた三相乳化法によるエマルション形成の研究については未だ報告がない(非特許文献1〜3)。
そこで、本出願人は、先に、油相としてシクロヘキサンやドデカンなどの試薬グレードの炭化水素溶剤を使用した系で乳化剤として逆ベシクルを用いることにより油中水(W/O)型エマルションが得られること報告した(特許文献5)。しかし、この技術では、インク溶剤として一般的に使用されている石油系炭化水素溶剤を油相に含有させた場合、得られる油中水(W/O)型エマルションの保存安定性に劣ることがあった。
また、本出願人は、石油系炭化水素溶剤で油相を構成した上記油中水(W/O)型エマルションにヘキサノール等の低級アルコールを添加することにより、保存安定性を改良できることを見出し、既に特許出願している(特願2009−268307)。しかし、低級アルコールを添加すると、その沸点が低いため臭気が発生するという問題があった。
國枝博信,中村和吉,ファインケミカル,Vol. 23, No.4, p.12-20(1994)
國枝博信,高分子,Vol. 44, No.9, p.624 (1995)
國枝博信,小川悦子,表面,Vol. 34, No.11, p.24-32(1996)
上記状況に鑑み、本発明の目的は、乳化剤として逆ベシクルを含有した油中水(W/O)型エマルションの保存安定性を臭気の問題を生じさせることなく改良するとともに、インクとしても実用に供し得る油中水(W/O)型エマルションを提供することにある。
本発明者は、上記目的の下に鋭意研究した結果、特定の界面活性剤を用いて形成された逆ベシクルを使用して三相乳化法により得られた油中水(W/O)型エマルションが、保存安定性に優れるとともに臭気の問題を生じさせないことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、ショ糖脂肪酸エステルにより形成された逆ベシクルを乳化剤として含有する油中水(W/O)型エマルションであって、該エマルションが、ショ糖脂肪酸エステル以外のノニオン性界面活性剤を含んでなることを特徴とする油中水(W/O)型エマルションが提供される。
本発明の油中水(W/O)型エマルションは、ショ糖脂肪酸エステルにより形成された逆ベシクルを乳化剤として含有する油中水(W/O)型エマルションに、ショ糖脂肪酸エステル以外のノニオン性界面活性剤を添加することとしたので、後者の界面活性剤が逆ベシクルの二分子膜を強化し、保存安定性の高いエマルションが得られると考えられる。また、ノニオン性界面活性剤は、低級アルコールよりは沸点が高いので、臭気の問題を生じさせることはない。さらに、本発明の油中水(W/O)型エマルションは、従来の二相エマルションとは異なり、連続相を形成する油相と、該油相中で複数の逆ベシクルによって包囲されて分散相として点在する水相と、逆ベシクル内に包含された油相とからなる三相乳化構造を備え、さらには、水相は逆ベシクルの2分子膜の間に介在して逆ベシクルの安定化に寄与することもできるので、水含有量が高くても安定性の高い油中水(W/O)型エマルションが得られる。また、本発明の油中水(W/O)型エマルションは、従来の二相エマルションとは異なり、各種の広範囲なHLB値を備えた乳化剤を使用することができ、エマルションの設計の自由度が高い。また、本発明の油中水(W/O)型エマルションは、水含有量が高くてもエマルションの粘度が低く、さらには、逆ベシクル内に各種の水溶性又は油溶性の成分を含有させることもできるため、従来の用途だけでなくそれ以外の様々な用途にも応用が期待できる。また、本発明によれば、溶剤の種類に拘わらず、水含有量が高く、エマルションの粘度が低く、かつ保存安定性の高い油中水(W/O)型エマルションが得られる。したがって、本発明の油中水(W/O)型エマルションは、インク溶剤として一般的に使用されている石油系炭化水素溶剤を油相に含有させた場合でも保存安定性が高く維持されるため、顔料などの色材を含有させることによりエマルションインクとして使用でき、エマルションの粘度が低いため、インクジェット印刷用エマルションインクとしても使用できる。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明で使用する逆ベシクルとは、両親媒性化合物であるショ糖脂肪酸エステルが親水基同士を向かい合わせて配列した二分子膜を備える閉鎖小胞体をいい、その詳細は、上記非特許文献1〜3に記載されている。
本発明で使用する逆ベシクルとは、両親媒性化合物であるショ糖脂肪酸エステルが親水基同士を向かい合わせて配列した二分子膜を備える閉鎖小胞体をいい、その詳細は、上記非特許文献1〜3に記載されている。
本発明で使用する逆ベシクルは、例えば、ショ糖脂肪酸エステルを有機溶剤中に混合して機械的振とうを加えることにより調製することができる。機械的振とうは、混合装置、超音波処理装置などにより加えることができる。混合装置としては、ボルテックスミキサー等のミキサーが挙げられる。超音波処理装置としては、ホモジナイザー等が挙げられる。また、機械的振とうを加えずに、ショ糖脂肪酸エステルを有機溶剤で希釈するだけでショ糖脂肪酸エステルが自発的に逆ベシクルを形成する場合もある。逆ベシクルを調製する際に、ショ糖脂肪酸エステルと一緒に、後記するノニオン性界面活性剤の少なくとも1つを有機溶剤中に添加してもよい。また、逆ベシクルを安定化させるために、水、別種の有機溶剤、両親媒性物質、又は、長鎖脂肪酸若しくはその塩を少量添加してもよく、また、混合時に40〜90℃程度に加温してもよい。逆ベシクルが形成されているかどうかは、例えば、偏光や微分干渉を利用した光学顕微鏡観察や、凍結割断法による電子顕微鏡観察により確認することができる。
ショ糖脂肪酸エステルは、有機溶剤中でラメラ液晶を形成するものであれば特に限定されず、例えば、ショ糖と炭素数12〜20の高級脂肪酸とのエステルがより好ましく、HLB3〜16のショ糖脂肪酸エステルがさらにより好ましく、HLB4〜12のショ糖脂肪酸エステルが特に好ましい。
有機溶剤は、その中でショ糖脂肪酸エステルが逆ベシクルを形成でき、この形成された逆ベシクルを安定に保持できるものであれば特に限定されず、例えば、炭素数6乃至20の脂肪族又は脂環式炭化水素溶剤、石油系炭化水素溶剤などの非極性溶剤が挙げられる。好ましい脂肪族炭化水素溶剤としては、炭素数8乃至16の脂肪族炭化水素溶剤が挙げられる。好ましい脂環式炭化水素溶剤としては、炭素数5〜7の脂環式飽和炭化水素溶剤が挙げられる。好ましい石油系炭化水素溶剤としては、ナフテン系、パラフィン系、イソパラフィン系等の石油系炭化水素溶剤、例えば、エクソンモービル社製「アイソパー、エクソール」(いずれも商品名)、新日本石油社製「AFソルベント」(商品名)、サン石油社製「サンセン、サンパー」(いずれも商品名)等が挙げられる。これらは、単独で、または、2種以上組み合わせて用いることができる。また、これらの非極性溶剤は、必要に応じて極性溶剤と混合して使用してもよい。なお、この有機溶剤は、通常、本発明の油中水(W/O)型エマルションの油相の溶剤成分としても使用されるが、前者の溶剤と後者の溶剤は同一であっても異なってもよい。
本発明で用いるショ糖脂肪酸エステル以外のノニオン性活性剤は、ショ糖脂肪酸エステルによって形成される二分子膜を安定化させるものであれば特に限定されないが、好ましくは、ソルビタン脂肪酸エステル及びポリエチレングリコール脂肪酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも一つである。ソルビタン脂肪酸エステルの例としては、HLBが1〜9のソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。ポリエチレングリコール脂肪酸エステルとしては、ポリエチレングリコールと炭素数12〜20の高級脂肪酸とのエステルが挙げられ、具体的には、ポリエチレングリコールラウレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールジイソステアレートなどが挙げられる。これらの内、保存安定性改善効果の点から、HLBが1〜5のソルビタン脂肪酸エステルが好ましい。これらのノニオン性活性剤は、最終的にエマルション中に存在していればよく、上記逆ベシクル分散液を調製する段階で添加してもよく、また、逆ベシクル分散液を用いて油中水(W/O)型エマルション又は油中水(W/O)型エマルションインクを調製する段階で添加してもよい。
逆ベシクルを形成させる際に有機溶剤に添加するショ糖脂肪酸エステル(A)の量は、両者の種類によって異なるが、通常、ショ糖脂肪酸エステル(A)の有機溶剤(C)に対する質量比率(A:C)で1:5乃至1:40であり、好ましくは1:10乃至1:20である。逆ベシクルを形成させる際に有機溶剤に添加するショ糖脂肪酸エステル(A)及び上記ノニオン性界面活性剤(B)の合計量(A+B)は、通常、当該合計量(A+B)の有機溶剤(C)に対する質量比率((A+B):C)で1:5乃至1:30であり、好ましくは1:8乃至1:20である。
本発明の油中水(W/O)型エマルション(エマルションインクの場合を含む)における上記ショ糖脂肪酸エステル(A)及び上記ノニオン性界面活性剤(B)の合計量は、三相の油中水(W/O)型エマルションが得られる限り特に制限されず、該エマルション全量に対して通常1〜20質量%で、好ましくは3〜10質量%である。本発明の油中水(W/O)型エマルションにおけるショ糖脂肪酸エステル(A)と前記ショ糖脂肪酸エステル以外のノニオン性界面活性剤(B)との添加量の質量比率(A/B)は、通常80/20〜20/80の範囲であり、保存安定性改善効果の点から、45/55〜75/25の範囲が好ましい。
本発明の油中水(W/O)型エマルション(エマルションインクの場合を含む)には、粘度低下のために、炭素数12以上の長鎖脂肪酸又はその塩を含有させることができる。炭素数12以上の長鎖脂肪酸又はその塩としては、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウムなどが挙げられる。本発明の油中水(W/O)型エマルション(エマルションインクの場合を含む)全量に対する長鎖脂肪酸又はその塩の添加量の含有量は、油中水(W/O)型エマルションの保存安定性を向上させることができれば特に制限されず、通常0.01〜5質量%で、好ましくは0.05〜2質量%である。
逆ベシクルの粒子径は、通常3μm以下であり、2.5μm以下であることが好ましく、100nm乃至1100nmであることがより好ましい。逆ベシクルの粒子径が小さいほど、逆ベシクルの安定性、延いては、本発明の油中水(W/O)型エマルションの安定性が向上する。使用するショ糖脂肪酸エステルのHLBの値が小さいほど逆ベシクルの粒子径が小さくなる傾向があり、また、逆ベシクル形成時に超音波処理装置を用いると逆ベシクルの粒子径を小さくすることができる。
得られた逆ベシクル分散液は、そのまま本発明の油中水(W/O)型エマルションの油相として使用することもできるし、該逆ベシクル分散液を有機溶剤で希釈して油相として使用してもよい。また、該逆ベシクル分散液を遠心分離することで、逆ベシクルを濃縮して本発明の油中水(W/O)型エマルションの油相として使用することもでき、また、この濃縮された溶液を再度有機溶剤で希釈して油相として使用することもできる。希釈に使用する溶剤は、逆ベシクル形成時に使用した有機溶剤と同じであってもよく、また、逆ベシクルの安定性に影響を与えない限り、他の有機溶剤であってもよい。
本発明の油中水(W/O)型エマルションは、上記で得られた油相に水相を添加して乳化機で乳化することにより調製することができる。水相は、水のみであってもよく、適当な添加剤を含有してもよい。得られた油中水(W/O)型エマルションに、さらに油相または水相を添加して乳化してもよい。乳化機としては、公知の超音波ホモジナイザー等を使用することができる。この乳化工程で、油相または水相に色材を添加することにより、エマルションインクを調製することができる。
色材としては油相または水相に溶解または安定に分散するものであれば特に制限されず、印刷の技術分野で一般に用いられている染料及び顔料から適宜選択して用いることができるが、耐候性が高い印刷物が得られることから、顔料を使用することが好ましい。顔料は、有機顔料及び無機顔料の何れであってもよく、具体例としては、カーボンブラック、カドミウムレッド、クロムイエロー、カドミウムイエロー、酸化クロム、ビリジアン、チタンコバルトグリーン、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料などが挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。染料としては、たとえば、アゾ系、アントラキノン系、アジン系等の油溶性または水溶性染料を用いることができる。色材は、エマルションインク全量に対して0.01〜20質量%の範囲で含有されることが好ましい。油相に色材を安定に分散させるために、公知の分散剤を油相に添加することができる。
油相の添加量は、上記逆ベシクルの乳化作用により形成された三相の油中水(W/O)型エマルションが得られる限り特に制限されず、通常、エマルション全量に対して5〜95質量%とすることができ、好ましくは、30〜95質量%、より好ましくは、60〜90質量%、さらにより好ましくは70〜88質量%である。
水の添加量は、上記逆ベシクルの乳化作用により形成された三相の油中水(W/O)型エマルションが得られる限り特に制限されず、通常、エマルション全量に対して5〜95質量%とすることができ、好ましくは、5%〜70質量%、より好ましくは、10〜40質量%であり、さらにより好ましくは、12〜30質量%である。
水の添加量は、上記逆ベシクルの乳化作用により形成された三相の油中水(W/O)型エマルションが得られる限り特に制限されず、通常、エマルション全量に対して5〜95質量%とすることができ、好ましくは、5%〜70質量%、より好ましくは、10〜40質量%であり、さらにより好ましくは、12〜30質量%である。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
実施例1
(1)逆ベシクル分散液の調製
表1に示すように、有機溶剤(非極性溶剤)31.5質量部に、HLB9のショ糖ステアリン酸エステル(S−970(商品名)三菱化学フーズ社製)1.8質量部及びHLB3.7のソルビタン脂肪酸エステル(SO−15(商品名)日光ケミカルズ社製)1.8質量部を添加し、60℃で2分間加温した後、ボルテックスミキサーで振とうし、再度、60℃で2分間加温した後、ボルテックスミキサーで振とうし、逆ベシクル分散液を調製した。この時点で逆ベシクルが形成されたことは、光学顕微鏡を用いた微分干渉観察においてベシクル特有のドーナツ状の分子集合体が観察され、また、偏光顕微鏡観察からマルターゼクロスが観察されたことにより確認した。また、凍結割断法を用いた透過型電子顕微鏡(FF−TEM)観察でも逆ベシクルの形成が確認できた。また、動的光散乱法によって測定した逆ベシクルの粒子径(平均粒子径)は、調製1日後で1080nmであった。
(1)逆ベシクル分散液の調製
表1に示すように、有機溶剤(非極性溶剤)31.5質量部に、HLB9のショ糖ステアリン酸エステル(S−970(商品名)三菱化学フーズ社製)1.8質量部及びHLB3.7のソルビタン脂肪酸エステル(SO−15(商品名)日光ケミカルズ社製)1.8質量部を添加し、60℃で2分間加温した後、ボルテックスミキサーで振とうし、再度、60℃で2分間加温した後、ボルテックスミキサーで振とうし、逆ベシクル分散液を調製した。この時点で逆ベシクルが形成されたことは、光学顕微鏡を用いた微分干渉観察においてベシクル特有のドーナツ状の分子集合体が観察され、また、偏光顕微鏡観察からマルターゼクロスが観察されたことにより確認した。また、凍結割断法を用いた透過型電子顕微鏡(FF−TEM)観察でも逆ベシクルの形成が確認できた。また、動的光散乱法によって測定した逆ベシクルの粒子径(平均粒子径)は、調製1日後で1080nmであった。
(2)油中水(W/O)型エマルションの調製
上記で調製した逆ベシクル分散液を一日静置した後、該分散液にイオン交換水15.0質量部を添加し、高速ホモジナイザーで16000rpmにて5分間攪拌して乳化し、エマルションを調製した。得られたエマルションは油中水(W/O)型であった。
上記で調製した逆ベシクル分散液を一日静置した後、該分散液にイオン交換水15.0質量部を添加し、高速ホモジナイザーで16000rpmにて5分間攪拌して乳化し、エマルションを調製した。得られたエマルションは油中水(W/O)型であった。
(3)油中水(W/O)型エマルションインクの調製
表1に示すように、カーボンブラック(MA8(商品名)三菱化学社製)5.0質量部を、分散剤S13940(ソルスパース13940(商品名)ルーブリゾール社製)1.7質量部及び分散剤S18000(ソルスパース18000(商品名)ルーブリゾール社製)1.8質量部を用いてインク溶剤AF−4(AF−4(商品名)新日本石油社製)15.2質量部中に分散して顔料分散体を調製した。
上記(2)で得られたエマルションに、この顔料分散体全量とインク溶剤AF−4(AFソルベント7号(商品名)新日本石油社製)26.3質量部を添加し、1000〜3000rpmで5分間混合することによりエマルションインクを得た。
表1に示すように、カーボンブラック(MA8(商品名)三菱化学社製)5.0質量部を、分散剤S13940(ソルスパース13940(商品名)ルーブリゾール社製)1.7質量部及び分散剤S18000(ソルスパース18000(商品名)ルーブリゾール社製)1.8質量部を用いてインク溶剤AF−4(AF−4(商品名)新日本石油社製)15.2質量部中に分散して顔料分散体を調製した。
上記(2)で得られたエマルションに、この顔料分散体全量とインク溶剤AF−4(AFソルベント7号(商品名)新日本石油社製)26.3質量部を添加し、1000〜3000rpmで5分間混合することによりエマルションインクを得た。
(4)評価試験
インク粘度及び保存安定性
得られたエマルションの粘度をAR−G2(ティー・エイ・インスツルメント 社製)を用いて室温(23℃)で測定した。また、得られたエマルションを室温(23℃)で静置し、乳化の状態を経時(1時間後、1日後、3日後)で目視観察し、下記の基準に従い評価した。結果を表1に示す。
インク粘度及び保存安定性
得られたエマルションの粘度をAR−G2(ティー・エイ・インスツルメント 社製)を用いて室温(23℃)で測定した。また、得られたエマルションを室温(23℃)で静置し、乳化の状態を経時(1時間後、1日後、3日後)で目視観察し、下記の基準に従い評価した。結果を表1に示す。
乳化状態の評価基準
○:分離無し。
△:水滴の沈降があるが攪拌により均一になる。
×:分離。
―:測定不可。
○:分離無し。
△:水滴の沈降があるが攪拌により均一になる。
×:分離。
―:測定不可。
実施例2〜16、比較例1〜2
配合処方を表1及び表2に示すように変更した以外、実施例1と同様にして油中水(W/O)型エマルションインクを調製し、評価した。結果を表1及び表2に示す。
配合処方を表1及び表2に示すように変更した以外、実施例1と同様にして油中水(W/O)型エマルションインクを調製し、評価した。結果を表1及び表2に示す。
尚、表1及び表2に記載の原材料の詳細は下記のとおりである。
AF−4:新日本石油社製「AF−4(商品名)」(ナフテン系溶剤)。
S−570:三菱化学フーズ社製「S−570(商品名)」(ショ糖ステアリン酸エステル、HLB5)。
S−770:三菱化学フーズ社製「S−770(商品名)」(ショ糖ステアリン酸エステル、HLB7)。
S−970:三菱化学フーズ社製「S−970(商品名)」(ショ糖ステアリン酸エステル、HLB9)。
SL−10:日光ケミカルズ社製「SL−10(商品名)」(ソルビタン脂肪酸エステル、HLB8.2)。
SO−10:日光ケミカルズ社製「SO−10(商品名)」(ソルビタン脂肪酸エステル、HLB4.3)。
SO−15:日光ケミカルズ社製「SO−15(商品名)」(ソルビタン脂肪酸エステル、HLB3.7)。
SO−30:日光ケミカルズ社製「SO−30(商品名)」(ソルビタン脂肪酸エステル、HLB1.7)。
MYO−2:日光ケミカルズ社製「MYO−2(商品名)」(ポリエチレングリコール脂肪酸エステル)。
MA8:三菱化学社製「MA―8(商品名)」(カーボンブラック)。
S13940:ルーブリゾール社製「ソルスパース13940(商品名)」(脂肪族炭化水素(非極性)溶剤を60%含有する顔料分散剤)。
S18000:ルーブリゾール社製「ソルスパース18000(商品名)」(顔料分散剤)
AF−4:新日本石油社製「AF−4(商品名)」(ナフテン系溶剤)。
S−570:三菱化学フーズ社製「S−570(商品名)」(ショ糖ステアリン酸エステル、HLB5)。
S−770:三菱化学フーズ社製「S−770(商品名)」(ショ糖ステアリン酸エステル、HLB7)。
S−970:三菱化学フーズ社製「S−970(商品名)」(ショ糖ステアリン酸エステル、HLB9)。
SL−10:日光ケミカルズ社製「SL−10(商品名)」(ソルビタン脂肪酸エステル、HLB8.2)。
SO−10:日光ケミカルズ社製「SO−10(商品名)」(ソルビタン脂肪酸エステル、HLB4.3)。
SO−15:日光ケミカルズ社製「SO−15(商品名)」(ソルビタン脂肪酸エステル、HLB3.7)。
SO−30:日光ケミカルズ社製「SO−30(商品名)」(ソルビタン脂肪酸エステル、HLB1.7)。
MYO−2:日光ケミカルズ社製「MYO−2(商品名)」(ポリエチレングリコール脂肪酸エステル)。
MA8:三菱化学社製「MA―8(商品名)」(カーボンブラック)。
S13940:ルーブリゾール社製「ソルスパース13940(商品名)」(脂肪族炭化水素(非極性)溶剤を60%含有する顔料分散剤)。
S18000:ルーブリゾール社製「ソルスパース18000(商品名)」(顔料分散剤)
表1及び表2の結果から、ショ糖脂肪酸エステルから形成された逆ベシクルを乳化剤として用いた三相乳化法により得られた油中水(W/O)型エマルションにノニオン性界面活性剤(ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル)を含有させることにより、保存安定性が改善され、エマルションインクとしても使用できることがわかる。特に、油相を構成する溶剤が石油系炭化水素溶剤を含む場合は、従来の逆ベシクル(比較例参照)では安定な油中水(W/O)型エマルションを形成できなかったが、本発明の逆ベシクルでは保存安定性に優れた油中水(W/O)型エマルション得られ、これに色材を含有させることにより、エマルションインク、特に低粘度のインクジェット印刷用エマルションインクを提供できることわかる。また、実施例11〜16に示されるように、脂肪酸またはその塩を添加することにより、油中水(W/O)型エマルションの粘度を低下させることができるので、インクジェット印刷用インクとして好適なエマルションが得られる。なお、何れの実施例においても、ヘキサノール添加時のような臭気は発生しなかった。
本発明の油中水(W/O)型エマルションは、医薬品、化粧品、食品、エマルションインクなどに使用でき、油相に石油系炭化水素溶剤を含有させた場合には、エマルションインク、特にインクジェット印刷用のエマルションインクとして好適である。
Claims (6)
- ショ糖脂肪酸エステルにより形成された逆ベシクルを乳化剤として含有する油中水(W/O)型エマルションであって、該エマルションが、ショ糖脂肪酸エステル以外のノニオン性界面活性剤を含んでなることを特徴とする油中水(W/O)型エマルション。
- 前記ショ糖脂肪酸エステル以外のノニオン性界面活性剤が、ソルビタン脂肪酸エステル及びポリエチレングリコール脂肪酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも一つである請求項1に記載の油中水(W/O)型エマルション。
- 前記ショ糖脂肪酸エステル以外のノニオン性界面活性剤が、HLBが1〜9のソルビタン脂肪酸エステルである請求項1に記載の油中水(W/O)型エマルション。
- 炭素数12以上の長鎖脂肪酸又はその塩を、油中水(W/O)型エマルション全量の0.01〜5質量%含有する請求項1に記載の油中水(W/O)型エマルション。
- 前記エマルションの油相が、石油系炭化水素溶剤を含有してなる請求項1に記載の油中水(W/O)型エマルション。
- 請求項1〜5の何れか1項に記載の油中水(W/O)型エマルションを含んでなるエマルションインク。
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JP2014201522A (ja) * | 2013-04-01 | 2014-10-27 | ポーラ化成工業株式会社 | 逆ベシクル組成物の製造方法 |
JP2014201521A (ja) * | 2013-04-01 | 2014-10-27 | ポーラ化成工業株式会社 | 逆ベシクル組成物の製造方法 |
JPWO2013146387A1 (ja) * | 2012-03-28 | 2015-12-10 | 味の素株式会社 | 乳化分散剤及び乳化組成物 |
JP6440084B1 (ja) * | 2018-03-27 | 2018-12-19 | 下村 恭一 | ドクター摩耗を低減するグラビア印刷に使用する印刷用水性インキ及び該インキを使用したフィルム積層材。 |
-
2010
- 2010-07-08 JP JP2010156258A patent/JP2012016668A/ja active Pending
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