JP2019171603A - インク吸収体収納容器およびインク吸収用構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】インク吸収体によってインクを迅速かつ十分に吸収することができるインク吸収体収納容器およびインク吸収用構造体を提供すること。【解決手段】インクの吸収が可能な吸水性樹脂を含むインク吸収体を収納する収納空間を有する容器本体と、前記インク吸収体に挿入され、前記インク吸収体に接する挿入体と、を備えることを特徴とするインク吸収体収納容器。このインク吸収体収納容器では、前記インク吸収体は、前記インクを吸収した後に乾燥時に収縮するものであり、前記挿入体は、前記インク吸収体が収縮した際の前記収納空間内での移動を抑制する機能を有するのが好ましい。また、インク吸収体収納容器では、前記挿入体は、前記インクを前記インク吸収体に導く導液機能を有するのが好ましい。【選択図】図1
Description
本発明は、インク吸収体収納容器およびインク吸収用構造体に関する。
インクジェットプリンターでは、通常、インクの目詰まりによる印刷品質の低下を防止するために実施されるヘッドクリーニング動作や、インクカートリッジ交換後のインク充填動作の際に、廃インクが発生する。そこで、このような廃インクがプリンター内部の機構等に対する不本意な付着が生じないようにするために、廃インクを吸収する液体吸収体(インク吸収体)を備えている。
従来、液体吸収体(インク吸収体)としては、天然セルロース繊維および/または合成繊維と、熱融着性物質とを含むものが用いられてきた(例えば、特許文献1参照)。
また、液体吸収体は、一般的には硬質の容器に収納された状態で、インクジェットプリンターに設置されている。このように容器に収納された液体吸収体は、インクを吸収した後は経時的に乾燥し、その乾燥した部分だけ収縮する。このとき、液体吸収体は、容器に接している部分、すなわち、側壁部側から収縮する傾向にある。収縮した液体吸収体は、例えば印刷時の振動等により、容器内では、移動し易くなり、すなわち、位置ズレを容易に起こし、容器内でのインクの滴下位置に液体吸収体が位置していない場合がある。この場合、液体吸収体によってインクを迅速に吸収することができなかったり、また、インクを十分に吸収することができなかったりする等の問題が生じる。
本発明の目的は、インク吸収体によってインクを迅速かつ十分に吸収することができるインク吸収体収納容器およびインク吸収用構造体を提供することにある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下のものとして実現することが可能である。
本発明のインク吸収体収納容器は、インクの吸収が可能な吸水性樹脂を含むインク吸収体を収納する収納空間を有する容器本体と、
前記インク吸収体に挿入され、前記インク吸収体に接する挿入体と、を備えることを特徴とする。
前記インク吸収体に挿入され、前記インク吸収体に接する挿入体と、を備えることを特徴とする。
これにより、挿入体は、インク吸収体に挿入されて、インク吸収体に接して係合した状態となる。このような状態により、インク吸収体は、インクを吸収した後に乾燥して収縮したとしても、容器本体(収納空間)内での移動が抑制される。これにより、インク吸収体は、インクの滴下位置に位置し続けることができ、よって、インクを迅速かつ十分に吸収することができる。
本発明のインク吸収体収納容器では、前記インク吸収体は、含水率の低下に伴って収縮するものであり、
前記挿入体は、前記インク吸収体の収縮に伴う前記収納空間内での移動を抑制する機能を有するのが好ましい。
前記挿入体は、前記インク吸収体の収縮に伴う前記収納空間内での移動を抑制する機能を有するのが好ましい。
これにより、インク吸収体は、収縮したとしても、インクの滴下位置に位置し続けることができ、よって、インクを迅速かつ十分に吸収することができる。
本発明のインク吸収体収納容器では、前記挿入体は、前記インクを前記インク吸収体に導く導液機能を有するのが好ましい。
これにより、インク吸収体の奥側までインクを十分に吸収することができ、よって、インク吸収体のインク吸収機能を長期的に過不足なく発揮することができる。
本発明のインク吸収体収納容器では、前記容器本体は、底部と、前記底部から立設した側壁部とを有し、
前記挿入体は、前記底部から突出した少なくとも1つの突出部で構成されているのが好ましい。
前記挿入体は、前記底部から突出した少なくとも1つの突出部で構成されているのが好ましい。
これにより、突出部は、それぞれ、インク吸収体に底部側から挿入され、インク吸収体に接して係合した状態となる。
本発明のインク吸収体収納容器では、前記容器本体に装着され、前記収納空間内に前記インクを供給するインク供給口を有する蓋体を備え、
前記少なくとも1つの突出部は、前記インク供給口から前記インクが供給される供給方向の延長線上に位置しているのが好ましい。
前記少なくとも1つの突出部は、前記インク供給口から前記インクが供給される供給方向の延長線上に位置しているのが好ましい。
これにより、インクが供給された際には、このインクは、突出部の外周部を伝わって、インク吸収体の奥側に導かれていく。
本発明のインク吸収体収納容器では、前記少なくとも1つの突出部の頂部は、前記インク吸収体から露出しているのが好ましい。
これにより、インクが供給された際には、このインクは、突出部の外周部を伝わって、インク吸収体の奥側に導かれていく。
本発明のインク吸収体収納容器では、前記少なくとも1つの突出部の頂部は、前記インク吸収体内に埋没しているのが好ましい。
これにより、インク吸収体に対し、その奥側での係合力が増加して、容器本体内でのインク吸収体の移動を抑制する機能が高まる。
本発明のインク吸収体収納容器では、前記少なくとも1つの突出部は、横断面形状が前記インク供給口側に向かって漸減した柱状をなすのが好ましい。
これにより、突出部は、インク吸収体に底部側から突き刺さった状態となり、インク吸収体に対する係合力が増加し、よって、インク吸収体は、膨張・収縮に関わらず、容器本体内での位置決めがなされる。
本発明のインク吸収体収納容器では、前記容器本体に装着され、前記収納空間内に前記インクを供給するインク供給口を有する蓋体を備え、
前記挿入体は、前記インク供給口側から見たとき、前記インク供給口を中心とした放射状に複数配置されているのが好ましい。
前記挿入体は、前記インク供給口側から見たとき、前記インク供給口を中心とした放射状に複数配置されているのが好ましい。
これにより、インク吸収体が容器本体内でいずれの方向に移動しようとしても、その移動を抑制することができる。
本発明のインク吸収体収納容器では、前記容器本体は、底部と、前記底部から立設した側壁部とを有し、
前記挿入体は、前記側壁部から突出した突出部で構成されているのが好ましい。
前記挿入体は、前記側壁部から突出した突出部で構成されているのが好ましい。
これにより、インク吸収体が容器本体内でいずれの方向に移動しようとしても、その移動を抑制することができる。
本発明のインク吸収体収納容器では、前記挿入体は、前記容器本体の深さ方向の途中に設けられ、網状または枠状をなすものであるのが好ましい。
これにより、インク吸収体が容器本体内でいずれの方向に移動しようとしても、その移動を抑制することができる。
本発明のインク吸収用構造体は、本発明のインク吸収体収納容器と、
前記収納空間に収納され、インクの吸収が可能な吸水性樹脂を含むインク吸収体と、を備えることを特徴とする。
前記収納空間に収納され、インクの吸収が可能な吸水性樹脂を含むインク吸収体と、を備えることを特徴とする。
これにより、挿入体は、インク吸収体に挿入されて、インク吸収体に接して係合した状態となる。このような状態により、インク吸収体は、インクを吸収した後に乾燥して収縮したとしても、容器本体(収納空間)内での移動が抑制される。これにより、インク吸収体は、インクの滴下位置に位置し続けることができ、よって、インクを迅速かつ十分に吸収することができる。
以下、本発明のインク吸収体収納容器およびインク吸収用構造体を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1〜図4は、それぞれ、本発明のインク吸収用構造体(インク吸収体収納容器)の第1実施形態における使用状態(一例)を順に示す部分垂直断面図である。図5は、図1中のインクを滴下する方向(矢印A方向)から見た図(平面図)である。図6は、図1に示すインク吸収用構造体が備えるインク吸収体の拡大詳細図である。なお、以下では、説明の都合上、図1〜図4中(図7、図9、図11〜図15についても同様)の上側を「上(または上方)」、下側を「下(下方)」と言う。
図1〜図4は、それぞれ、本発明のインク吸収用構造体(インク吸収体収納容器)の第1実施形態における使用状態(一例)を順に示す部分垂直断面図である。図5は、図1中のインクを滴下する方向(矢印A方向)から見た図(平面図)である。図6は、図1に示すインク吸収用構造体が備えるインク吸収体の拡大詳細図である。なお、以下では、説明の都合上、図1〜図4中(図7、図9、図11〜図15についても同様)の上側を「上(または上方)」、下側を「下(下方)」と言う。
図1に示すように、本発明のインク吸収体収納容器1は、インクQの吸収が可能な吸水性樹脂30(図6参照)を含むインク吸収体10を収納する収納空間93を有する容器本体9と、容器本体9に着脱自在に装着される蓋体8と、インク吸収体10に挿入され、インク吸収体10に接する少なくとも1つの挿入体4と、を備えている。
また、本発明のインク吸収用構造体100は、インク吸収体収納容器1と、収納空間93に収納され、インクQの吸収が可能な吸水性樹脂30を含むインク吸収体10と、を備えている。
このような本発明により、後述するように、挿入体4を構成する、例えば突出部41Aは、インク吸収体10に下側から挿入されて突き刺さり、インク吸収体10に接して係合した状態となる。このような状態により、インク吸収体10は、インクQを吸収した後に乾燥して収縮したとしても、容器本体9(収納空間93)内での移動(特に、挿入体の突出方向と交差した方向における移動)が抑制される。これにより、インク吸収体10は、インクQの滴下位置に位置し続けることができ、よって、インクQを迅速かつ十分に吸収することができる。
なお、本明細書における「吸水」とは、水系溶媒に色材が溶解した水系インクを吸収することはもちろん、溶剤にバインダーが溶解した溶剤系インクや、UV照射により硬化する液状のモノマー中にバインダーが溶解したUV硬化性インクや、分散媒にバインダーが分散したラテックスインク等、インク全般を吸収することを言う。
図1に示す印刷装置200は、例えば、インクジェット式のカラープリンターである。この印刷装置200は、インクQを吐出するインク吐出ヘッド201と、インク吐出ヘッド201のノズル201aを覆って保湿することで、乾燥による目詰まりを防止するキャッピングユニット202と、キャッピングユニット202とインク吸収用構造体100とを接続するチューブ203と、インクQをキャッピングユニット202からインク吸収用構造体100に送るローラーポンプ204とを備えている。
インク吐出ヘッド201は、下方に向かってインクQを吐出するノズル201aを複数有している。このインク吐出ヘッド201は、PPCシート等のような記録媒体(図示せず)に対して移動しつつ、インクQを吐出して、印刷を施すことができる(図1中の二点鎖線で描かれたインク吐出ヘッド201参照)。
キャッピングユニット202は、インク吐出ヘッド201が待機位置にあるときに、ローラーポンプ204の作動により、各ノズル201aを一括して吸引して、ノズル201aの目詰まりを防止するものである。
チューブ203は、キャッピングユニット202を介して吸引されたインクQがインク吸収用構造体100に向かって通過するものである。このチューブ203は、可撓性を有している。
ローラーポンプ204は、チューブ203の途中に配置され、ローラー部204aと、ローラー部204aとの間でチューブ203の途中を挟持する挟持部204bとを有している。ローラー部204aが回転することにより、チューブ203を介して、キャッピングユニット202に吸引力が生じる。そして、ローラー部204aが回転し続けることにより、ノズル201aに付着したインクQをインク吸収用構造体100まで送り込むことができる。そして、このインクQは、廃液として、インク吸収用構造体100で吸収される。なお、インクQには、種々の色のものが含まれている。
図1〜図4に示すように、インク吸収用構造体100は、インク吸収体収納容器1と、インクQの吸収に用いられるインク吸収体10と、を備えている。このインク吸収用構造体100は、印刷装置200に対し、着脱自在に装着され、その装着状態で、前述したようにインクQの廃液吸収に用いられる。このように、インク吸収用構造体100を、いわゆる「廃液タンク(廃インクタンク)」として用いることができる。そして、インク吸収用構造体100のインクQの吸収量が限界に達したら、このインク吸収用構造体100を、新たな(未使用の)インク吸収用構造体100に交換することができる。なお、インク吸収用構造体100のインクQの吸収量が限界に達したか否かについては、印刷装置200内の検出部(図示せず)によって検出される。また、インク吸収用構造体100のインクQの吸収量が限界に達した場合には、その旨が、例えば、印刷装置200に内蔵されたモニター等の報知部により報知される。
インク吸収体10は、インク吸収体収納容器1内でインクQの吸収に用いられるものである。図6に示すように、インク吸収体10は、繊維20と、繊維20に混合された(担持された)吸水性樹脂30とを含んでおり、本実施形態では全体として綿状をなす。
また、繊維20により、インク吸収体10にインクQが付与された場合に、当該インクQを繊維20が一旦保持し、その後、吸水性樹脂30により効率よく送り込むことができ、インク吸収体10全体としてのインクQの吸収特性を向上させることができる。また、一般に、セルロース繊維等の繊維(特に、古紙由来の繊維)は、吸水性樹脂30に比べて安価であり、インク吸収体10の製造コストの低減の観点からも有利である。また、繊維20としては、古紙由来のものを好適に用いることができるため、廃棄物の削減、資源の有効活用等の観点からも有利である。
繊維20としては、例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の合成樹脂繊維;セルロース繊維、ケラチン繊維、フィブロイン繊維等の天然樹脂繊維やその化学修飾物等が挙げられ、これらを単独でまたは適宜混合して用いることができるが、セルロース繊維を主とするのが好ましく、ほぼ全部がセルロース繊維であるのがより好ましい。
セルロースは、好適な親水性を有する材料であるため、インク吸収体10にインクQが付与された場合に、当該インクQを好適に取り込むことができ、流動性が特に高い状態(例えば、粘度が10mPa・s以下の状態)を速やかに脱することができるとともに、一旦取り込んだインクQを、好適に吸水性樹脂30に送り込むことができる。その結果、インク吸収体10全体としてのインクQの吸収特性・保持特性を特に優れたものとすることができる。また、セルロースは、一般に吸水性樹脂30との親和性が高いため、繊維20の表面に吸水性樹脂30をより好適に担持させることができる。また、セルロース繊維は、再生可能な天然素材で、各種繊維の中でも、安価で入手が容易であるため、インク吸収体10の生産コストの低減、安定的な生産、環境負荷の低減等の観点からも有利である。
なお、本明細書において、セルロース繊維とは、化合物としてのセルロース(狭義のセルロース)を主成分とし繊維状をなすものであればよく、セルロース(狭義のセルロース)の他に、ヘミセルロース、リグニンを含むものであってもよい。
また、インク吸収体10中において、繊維20は、例えば、綿状で含まれていてもよいし、シート状、短冊状、小片状等、あるいは、これらが混在して成形されたものであってもよく、また、インク吸収用構造体10の中で別個の領域として複数種類が配設されたものであってもよい。
繊維20の原料としては、例えば、古紙を用いてもよい。これにより、前述したような効果が得られるとともに、省資源の観点からも好ましい。また、繊維20の原料として古紙を用いる場合、当該古紙は、そのまま用いてもよいし、破砕処理を施した破砕物や、解繊処理を施した解繊物を用いてもよい。
繊維20の平均長さは、特に限定されないが、0.1mm以上7mm以下であるのが好ましく、0.1mm以上5mm以下であるのがより好ましく、0.1mm以上3mm以下であることがさらに好ましい。
繊維20の平均幅(径)は、特に限定されないが、0.5μm以上200μm以下であるのが好ましく、1.0μm以上100μm以下であるのがより好ましい。
繊維20の平均アスペクト比(平均幅に対する平均長さの比率)は、特に限定されないが、10以上1000以下であるのが好ましく、15以上500以下であるのがより好ましい。
以上のような数値範囲により、吸水性樹脂30の担持や、繊維20によるインクQの保持・当該インクQの吸水性樹脂30への送り込みをより好適に行うことができ、インク吸収体10全体としてのインクの吸収特性をより優れたものとすることができる。
吸水性樹脂30は、吸水性を有する樹脂であればよく、特に限定されないが、例えば、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、澱粉−アクリル酸グラフト共重合体、澱粉−アクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、イソブチレンとマレイン酸との共重合体等、アクリロニトリル共重合体やアクリルアミド共重合体の加水分解物、ポリエチレンオキサイド、ポリスルフォン酸系化合物、ポリグルタミン酸や、これらの塩(中和物)、架橋体等が挙げられる。ここで、吸水性とは、親水性を有し、水分を保持する機能を言う。吸水性樹脂30には、吸水するとゲル化するものが多い。
中でも、吸水性樹脂30は、側鎖に官能基を有する樹脂が好ましい。官能基としては、例えば、酸基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基等が挙げられる。
特に、吸水性樹脂30は、側鎖に酸基を有する樹脂であるのが好ましく、側鎖にカルボキシル基を有する樹脂であるのがより好ましい。
吸水性樹脂30を構成するカルボキシル基含有単位としては、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、フマル酸、ソルビン酸、ケイ皮酸やこれらの無水物、塩等の単量体から誘導されるものが挙げられる。
側鎖に酸基を有する吸水性樹脂30を含む場合、当該吸水性樹脂30中に含まれる酸基のうち中和されて塩を形成しているものの割合は、30mol%以上100mol%以下であるのが好ましく、50mol%以上95mol%以下であるのがより好ましく、60mol%以上90mol%以下であるのがさらに好ましく、70mol%以上80mol%以下であるのがもっとも好ましい。これにより、吸水性樹脂30(インク吸収体10)によるインクQの吸収性をより優れたものとすることができる。
中和の塩の種類は、特に限定されず、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニア等の含窒素塩基性物の塩等が挙げられるが、ナトリウム塩が好ましい。これにより、吸水性樹脂30(インク吸収体10)によるインクQの吸収性をより優れたものとすることができる。
側鎖に酸基を有する吸水性樹脂30は、インク吸収時に酸基同士の静電反発が起こり、吸収速度が速くなるため好ましい。また、酸基が中和されていると、浸透圧によりインクQが吸水性樹脂30内部に吸収され易くなる。
吸水性樹脂30は、酸基を含有していない構成単位を有していてもよく、このような構成単位としては、例えば、親水性の構成単位、疎水性の構成単位、重合性架橋剤となる構成単位等が挙げられる。
前記親水性の構成単位としては、例えば、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクレリート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジン等のノニオン性化合物から誘導される構成単位等が挙げられる。
前記疎水性の構成単位としては、例えば、(メタ)アクリルニトリル、スチレン、塩化ビニル、ブタジエン、イソブテン、エチレン、プロピレン、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の化合物から誘導される構成単位等が挙げられる。
前記重合性架橋剤となる構成単位としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリルグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、ビスフェノールジアクリレート、イソシアヌル酸ジアクリレート、テトラアリルオキシエタン、ジアリルオキシ酢酸塩等から誘導される構成単位等が挙げられる。
吸水性樹脂30は、ポリアクリル酸塩共重合体またはポリアクリル酸重合架橋体を含有するのが好ましい。これにより、例えば、インクQに対する吸収性能が向上したり、製造コストを抑えることができる等の利点がある。
ポリアクリル酸重合架橋体としては、分子鎖を構成する全構成単位に占めるカルボキシル基を有する構成単位の割合が、50mol%以上のものが好ましく、80mol%以上のものがより好ましく、90mol%以上のものがさらに好ましい。
カルボキシル基を含有する構成単位の割合が少なすぎると、インクQの吸収性能を十分に優れたものとすることが困難になる可能性がある。
ポリアクリル酸重合架橋体中のカルボキシル基は、一部が中和(部分中和)されて塩を形成していることが好ましい。
ポリアクリル酸重合架橋体中の全カルボキシル基中に占める中和されているものの割合は、30mol%以上99mol%以下であるのが好ましく、50mol%以上99mol%以下であるのがより好ましく、70mol%以上99mol%以下であるのがさらに好ましい。
また、吸水性樹脂30は、前述した重合性架橋剤以外の架橋剤で架橋した構造を有していてもよい。
吸水性樹脂30が酸基を有する樹脂である場合、当該架橋剤としては、例えば、酸基と反応する官能基を複数持った化合物を好ましく用いることができる。
吸水性樹脂30が酸基と反応する官能基を有する樹脂である場合には、当該架橋剤として、分子内に酸基と反応する官能基を複数個有する化合物を好適に用いることができる。
酸基と反応する官能基を複数個有する化合物(架橋剤)としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル化合物;(ポリ)グリセリン、(ポリ)エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ポリオキシエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の多価アルコール類;エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンジアミン等の多価アミン類等が挙げられる。また、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム等の多価イオン類等も、吸水性樹脂30が有する酸基と反応して架橋剤として機能するため、好適に用いることができる。
吸水性樹脂30は、例えば、鱗片状、針状、繊維状、粒子状等、いかなる形状をなしていてもよいが、粒子状をなしているのが好ましい。吸水性樹脂30が粒子状をなしている場合には、インクQの浸透性を容易に確保することができる。また、繊維20に吸水性樹脂30を好適に担持させることができる。なお、この粒子の平均粒径は、15μm以上800μm以下であるのが好ましく、15μm以上400μm以下であるのがより好ましく、15μm以上50μm以下であるのがさらに好ましい。
なお、粒子の平均粒径としては、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定した体積平均の粒度MVD(Mean Volume Diameter)を用いることできる。レーザー回折・散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置、すなわち、レーザー回折式粒度分布測定装置では、粒度分布を体積基準で測定することができる。
また、繊維基材230する吸水性樹脂30、5重量%よりも多く90%重量以下であるのが好ましく、20重量%以上70重量%以下であるのがより好ましく、40重量%以上55重量%以下であるのがさらに好ましい。
また、吸水性樹脂30平均粒径をD[μm]、前記繊維の平均長さをL[μm]としたときに、0.15≦L/D≦467の関係を満足するのが好ましく、0.25≦L/D≦333の関係を満足するのがより好ましく、2≦L/D≦200の関係を満足するのがさらに好ましい。
また、インク吸収体10は、前述した以外の成分(その他の成分)を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、界面活性剤、潤滑剤、消泡剤、フィラー、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料等の着色剤、難燃剤、流動性向上剤等が挙げられる。
容器本体9は、インクが滴下する方向から観たとき(平面視)で、例えば四角形状をなす底部(底板)91と、底部91の各辺(縁部)から上方に向かって立設したから立設した4つの側壁部92とを有する箱状をなすものである。そして、底部91と、4つの側壁部92とに囲まれた収納空間93内に、インク吸収体10を収納している。
なお、容器本体9は、平面視で四角形状をなす底部91を有するものに限定されず、例えば、平面視で円形状をなす底部91を有し、全体が円筒状のものであってもよい。
また、容器本体9(収納空間93)の容積をV1とし、インクQを吸収する前(吸水前)のインク吸収体10の総体積をV2としたとき、V1とV2の比V2/V1は、0.1以上0.7以下であるのが好ましく、0.2以上0.7以下であるのがより好ましい(図1参照)。これにより、容器本体9内には、インク吸収体10の上側に空隙95が確保されている。インク吸収体10は、インクQを吸収した後に一旦膨張する(膨潤する)。空隙95は、インク吸収体10が膨張した際のバッファーとなり、よって、インク吸収体10は、インクQを十分に吸収することができる。
本実施形態では、容器本体9は、硬質のものである、すなわち、容器本体9に内圧または外力が作用した場合に、容積V1が例えば10%以上変化しない程度の形状保持性を有するものである。これにより、容器本体9は、インク吸収体10がインクQを吸収した後膨張して、そのインク吸収体10からの力を内側から受けても、容器本体9自身の形状を維持することができる。これにより、印刷装置200内での容器本体9の設置状態が安定し、インク吸収体10がインクQを安定して吸収することができる。
容器本体9は、インクQを透過しない材料で構成されていれば、その構成材料は、特に限定されない。このような容器本体9の構成材料としては、例えば、環状ポリオレフィンやポリカーボネート等のような各種樹脂材料を用いることができる。また、容器本体9の構成材料としては、前記各種樹脂材料の他に、例えば、アルミニウムやステンレス鋼等のような各種金属材料を用いることができる。
なお、容器本体9は、硬質のものに限定されず、可撓性を有するもの(軟質のもの)、すなわち、容器本体9に内圧または外力が作用した場合に、容積V1が10%以上変化するものであってもよい。
また、容器本体9は、内部視認性を有する透明(半透明を含む)なもの、または、不透明なものいずれでもよい。
前述したように、インク吸収用構造体100は、蓋体8を備えている。図1に示すように、蓋体8は、板状をなし、容器本体9の上部開口部94に嵌合することができる。この嵌合により、上部開口部94を液密的に封止することができる。これにより、例えば、インクQがチューブ203から排出されて落下した際に、インク吸収体10に衝突して跳ね上がった場合でも、そのインクQが外方に飛散するのを防止することができる。また、印刷装置200が倒置された場合でも、インク吸収用構造体100からのインクQの流出を抑えることができる。よって、インクQがインク吸収用構造体100の周辺に付着して汚れるのを防止することができる。
蓋体8の中央部には、チューブ203が接続され、収納空間93内にインクQを供給するインク供給口(接続口)81が形成されている。インク供給口81は、蓋体8を厚さ方向に貫通した貫通孔で構成されている。そして、このインク供給口81(貫通孔)に、チューブ203の下流側の端部(下端部)を挿入して接続することができる。また、このとき、チューブ203の排出口(開口部)203aは、インク吸収用構造体100の側壁部に沿った重力方向(下方)に向けられている。なお、インク供給口81は、蓋体8の中央部からズレた位置に形成されていてもよい。
また、蓋体8は、インクQを吸収する吸収性を有していてもよいし、インクQを弾く撥液性を有していてもよい。
蓋体8の厚さとしては、特に限定されず、例えば、1mm以上20mm以下であるのが好ましく、8mm以上10mm以下であるのがより好ましい。なお、蓋体8は、このような数値範囲の板状をなすものに限定されず、それよりも薄いフィムル状(シート状)ものであってもよい。この場合、蓋体8の厚さとしては、特に限定されず、例えば、10μm以上1mm未満であるのが好ましい。
ところで、インク吸収体10は、インクQを吸収した後に一旦膨張するが、その後、経時的に乾燥していく。そして、インク吸収体10は、この乾燥した部分だけ収縮することとなる。このとき、インク吸収体10は、容器本体9に接している部分、すなわち、容器本体9の側壁部92側から内側に向けて収縮する傾向にある(図3参照)。収縮したインク吸収体10は、側壁部92との間に間隙101が生じる。この間隙101の大きさによっては、インク吸収体10は、例えば印刷装置200による印刷時の振動等により、容器本体9内で移動し易くなり、結果、インクQの滴下位置に位置していない状態となるおそれがある。この場合、インク吸収体10でインクQを迅速に吸収することができなかったり、また、インクQを十分に吸収することができなかったりする等の不具合が生じることが懸念される。
そこで、インク吸収用構造体100(インク吸収体収納容器1)は、このような不具合を解消するよう構成されている。以下、この構成および作用について、説明する。
図1〜図5に示すように、容器本体9の収納空間93内には、挿入体4が配置されている。挿入体4の配置数は、本実施形態では5つであるが、これに限定されず、例えば、1つ、2つ、3つ、4つまたは6つ以上であってもよい。
前述したように、容器本体9は、底部91と、底部91から立設した側壁部92とを有している。そして、前記5つの挿入体4は、それぞれ、容器本体9の底部91から上部開口部94側、すなわち、上方に向かって突出した少なくとも1つの突出部(突出部41A、突出部41B、突出部41C、突出部41D、突出部41E)で構成されている。これにより、突出部41A、突出部41B、突出部41C、突出部41D、突出部41Eは、それぞれ、インク吸収体10に底部91の側(下側)から挿入され、インク吸収体10に接して係合した状態(以下この状態を「係合状態」と言う)となる。
また、前述したように、インク吸収体10は、含水率の低下に伴って収縮する、すなわち、インクQを吸収した後に乾燥する際に収縮するものである。また、収縮したインク吸収体10は、側壁部92との間に間隙101が生じて、容器本体9内で移動し易くなりそうであるが、突出部41A、突出部41B、突出部41C、突出部41D、突出部41Eがそれぞれ係合状態にあることにより、容器本体9内において底部91に沿った方向、および、挿入体の突出方向と交差した方向への移動が抑制(規制)される。このように突出部41A、突出部41B、突出部41C、突出部41D、突出部41E、すなわち、各挿入体4は、インク吸収体10の収縮に伴う収納空間93内での移動を抑制する機能を有する。これにより、インク吸収体10は、収縮したとしても、インクQの滴下位置に位置し続けることができ、よって、インクQを迅速かつ十分に吸収することができる。
本実施形態では、突出部41A、突出部41B、突出部41C、突出部41D、突出部41Eのうち、突出部41A、突出部41B、突出部41Cは、突出高さが同じであり、最大のものである。なお、突出部41A〜突出部41Cの突出高さは、特に限定されないが、例えば、インク吸収体10が最大に膨張したときの平均高さの1倍以上1.5倍以下であるのが好ましく、1倍以上1.2倍以下であるのがより好ましい。
突出部41D、突出部41Eは、突出高さが同じであるが、突出部41A〜突出部41Cよりも低い。なお、突出部41D、突出部41Eの突出高さは、特に限定されないが、例えば、突出部41A〜突出部41Cの突出高さの0.3倍以上1倍未満であるのが好ましく、0.5倍以上0.8倍以下であるのがより好ましい。
図5に示すように、突出部41A、突出部41B、突出部41C、突出部41D、突出部41Eのうち、突出部41Aは、四角形状をなす底部91の中央部に配置され、残りの突出部41B〜突出部41Eは、それぞれ、突出部41Aから離間して、底部91の各角部911側に偏在して配置されている。また、突出部41A、突出部41B、突出部41Cは、底部91の対角線上に配置されている。なお、挿入体4の配置態様、すなわち、突出部41A〜突出部41Eが容器本体9の底部91上にどのように配置されているのかについては、図5に示す態様に限定されない。
前述したように、インク吸収体収納容器1は、容器本体9に装着され、収納空間93内にインクQを供給するインク供給口81を有する蓋体8を備えている。図1〜図4に示すように、突出部41A(少なくとも1つの突出部)は、インク供給口81からインクQが供給される供給方向(落下方向)の延長線上に位置している。従って、インクQが供給される供給方向(落下方向)から観た際に、インク供給口81と挿入体である突出部41Aは平面的に重なる位置に配置された関係にある。また、突出部41A(少なくとも1つの突出部)の頂部411は、インク吸収体10から露出している。なお、突出部41Bおよび突出部41Cについても同様に、頂部411がインク吸収体10から露出している。
インク吸収体10は、容器本体9の側壁部92の他にも、突出部41A〜突出部41Eと接しており、乾燥時には、頂部411が露出した突出部41A側(突出部41Bおよび突出部41Cについても同様)からも収縮する傾向にある(図3参照)。この収縮により、インク吸収体10は、突出部41Aとの間に間隙102が生じる。この状態で、図4に示すように、インク供給口81からインクQが供給された際には、このインクQは、間隙102内を、突出部41Aの外周部412を伝わって、インク吸収体10の奥側に導かれていく。このように突出部41A(挿入体4)は、インクQをインク吸収体10に導く導液機能を有する。これにより、インク吸収体10の奥側までインクQを十分に吸収する(浸透させる)ことができ、よって、インク吸収体10のインク吸収機能を長期的に過不足なく発揮することができる。
なお、インク供給口81からインクQが供給される供給方向の延長線上に位置している突出部は、本実施形態では1つ(突出部41A)であるが、これに限定されず、例えば、インク供給口81の数によっては、2つ以上あってもよい。
突出部41A〜突出部41Eは、それぞれ、外径(横断面形状)がインク供給口81側に向かって漸減した柱状をなす、すなわち、本実施形態では円錐状をなす。これにより、突出部41A〜突出部41Eは、それぞれ、インク吸収体10に下側から突き刺さった状態となり、インク吸収体10に対する係合力が増加する。これにより、インク吸収体10は、膨張・収縮に関わらず、容器本体9内での位置決めがなされる。また、例えば、インク吸収用構造体100の製造時に、空の状態の容器本体9にインク吸収体10を充填する際、インク吸収体10を押し込めば、突出部41A〜突出部41Eが一括してインク吸収体10に突き刺さって、その充填作業を容易に行なうことができる。
なお、突出部41A〜突出部41Eの外周部412は、それぞれ、テーパー状をなし、そのテーパー角度は、本実施形態では上下方向に沿って一定となっているが、これに限定されず、上下方向に沿って変化する部分があってもよい。
突出部41A〜突出部41Cの頂部411は、前述したようにインク吸収体10から露出しているが、突出部41D、突出部41E(少なくとも1つの突出部)の頂部411は、インク吸収体10内に埋没している。これにより、インク吸収体10に対し、その奥側での係合力が増加して、容器本体9内でのインク吸収体10の移動を抑制する機能が高まる。
なお、複数の挿入体4のうち、突出部41A〜突出部41Cのようにインク吸収体10から露出した挿入体4の割合は、50%以上100%以下であるのが好ましく、50%以上80%以下であるのがより好ましい。
また、突出部41A〜突出部41Eの横断面形状は、それぞれ、円形であるが、これに限定されず、横断面形状が三角形や四角形、星形のような多角形であってもよいし、楕円形であってもよい。
また、突出部41A〜突出部41Eの横断面形状は、それぞれ、同じ形状であるが、これに限定されず、異なっていてもよい。
また、突出部41A〜突出部41Eは、それぞれ、外径が上方に向かって漸減したものであるが、これに限定されず、外径が上下方向に沿って一定のものであってもよい。
また、突出部41A〜突出部41Eは、それぞれ、頂部411が丸みを帯びていてもよい。
また、突出部41A〜突出部41Eは、容器本体9と一体的に形成されたものであってもよいし、容器本体9と別体で構成され、この別体を容器本体9に接合したものであってもよい。前者の場合には、例えば、容器本体9を金型成形によって製造する際に、容器本体9とともに突出部41A〜突出部41Eも一括して成形することができる。また、後者の場合には、例えば、容器本体9と、突出部41A〜突出部41Eとをそれぞれの成形に適した材料を用いることができる。
<第2実施形態>
図7は、本発明のインク吸収用構造体(インク吸収体収納容器)の第2実施形態における使用状態(一例)を示す部分垂直断面図である。図8は、図7中の矢印B方向から見た図(平面図)である。なお、図8では、インク吸収体を省略している。
図7は、本発明のインク吸収用構造体(インク吸収体収納容器)の第2実施形態における使用状態(一例)を示す部分垂直断面図である。図8は、図7中の矢印B方向から見た図(平面図)である。なお、図8では、インク吸収体を省略している。
以下、これらの図を参照して本発明のインク吸収体収納容器およびインク吸収用構造体の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、挿入体の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
本実施形態は、挿入体の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
図8に示すように、本実施形態では、容器本体9の収納空間93内に、挿入体4としての突出部42A、突出部42B、突出部42Cおよび突出部42Dが配置されている。挿入体4の配置数は、本実施形態では4つであるが、これに限定されず、例えば、3つまたは5つ以上であってもよい。突出部42A、突出部42B、突出部42Cおよび突出部42Dは、それぞれ、容器本体9の底部91から上方に向かって板片状に突出形成されている。
また、前述したように、インク吸収体収納容器1は、容器本体9に装着され、収納空間93内にインクQを供給するインク供給口81を有する蓋体8を備えている。そして、図8に示すように、突出部42A〜突出部42D(挿入体4)は、インク供給口81側から見たとき、すなわち、平面視で、インク供給口81を中心とした放射状に配置されて(複数配置されて)いる。本実施形態では、突出部42Aと突出部42Bとは、底部91の長辺方向(図8中の左右方向)に沿って配置され、突出部42Cと突出部42Dとは、底部91の短辺方向(図8中の上下方向)に沿って配置されている。このような配置により、インク吸収体10が、例えば図8中の左右方向に移動しようとしても、突出部42Cと突出部42Dとにより、その移動が抑制され、また、図8中の上下方向に移動しようとしても、突出部42Aと突出部42Bとにより、その移動が抑制される。このようにインク吸収体10の移動をいずれの方向にも抑制することができる。これにより、インク吸収体10は、インクQの滴下位置に位置し続けることができ、よって、インクQを迅速かつ十分に吸収することができる。
なお、突出部42A〜突出部42Dは、それぞれ、頂部421(図7参照)がインク吸収体10内に埋没しているが、これに限定されず、インク吸収体10から露出していてもよい。
また、突出部42A〜突出部42Dの突出高さは、それぞれ、同じであるが、異なっていてもよい。
また、突出部42A〜突出部42Dの厚さは、それぞれ、同じであるが、異なっていてもよい。
<第3実施形態>
図9は、本発明のインク吸収用構造体(インク吸収体収納容器)の第3実施形態における使用状態(一例)を示す部分垂直断面図である。図10は、図9中のインクQが供給される供給方向(矢印C方向)から見た図(平面図)である。なお、図10では、インク吸収体を省略している。
図9は、本発明のインク吸収用構造体(インク吸収体収納容器)の第3実施形態における使用状態(一例)を示す部分垂直断面図である。図10は、図9中のインクQが供給される供給方向(矢印C方向)から見た図(平面図)である。なお、図10では、インク吸収体を省略している。
以下、これらの図を参照して本発明のインク吸収体収納容器およびインク吸収用構造体の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、挿入体の構成が異なること以外は前記第2実施形態と同様である。
本実施形態は、挿入体の構成が異なること以外は前記第2実施形態と同様である。
図10に示すように、本実施形態では、挿入体4としての突出部43A、突出部43B、突出部43Cおよび突出部43Dがインク供給口81を中心とした放射状に配置されている。また、前述したように、容器本体9は、底部91と、底部91から立設した側壁部92とを有している。そして、突出部43A、突出部43B、突出部43Cおよび突出部43D(挿入体4)は、それぞれ、各側壁部92から板片状に突出した突出部で構成されている。換言すれば、突出部43A〜突出部43Dは、それぞれ、板片状をなし、各側壁部92に片持支持されている。また、突出部43A〜突出部43Dは、それぞれ、自由端側が上方に向かって突出した小突起431(図9参照)を有している。これにより、インク吸収体10に対する突出部43A〜突出部43Dの係合状態が強化される。
本実施形態では、突出部43Aと突出部43Bとは、底部91の長辺方向(図10中の左右方向)に沿って配置され、突出部43Cと突出部43Dとは、底部91の短辺方向(図10中の上下方向)に沿って配置されている。このような配置により、インク吸収体10が、例えば図10中の左右方向に移動しようとしても、突出部43Cと突出部43Dとにより、その移動が抑制され、また、図10中の上下方向に移動しようとしても、突出部43Aと突出部43Bとにより、その移動が抑制される。このようにインク吸収体10の移動をいずれの方向にも抑制することができる。これにより、インク吸収体10は、インクQの滴下位置に位置し続けることができ、よって、インクQを迅速かつ十分に吸収することができる。
<第4実施形態>
図11は、本発明のインク吸収用構造体(インク吸収体収納容器)の第4実施形態における使用状態(一例)を示す部分垂直断面図である。図12は、図11に示すインク吸収用構造体の斜視図である。なお、図12では、インク吸収体を省略している。
図11は、本発明のインク吸収用構造体(インク吸収体収納容器)の第4実施形態における使用状態(一例)を示す部分垂直断面図である。図12は、図11に示すインク吸収用構造体の斜視図である。なお、図12では、インク吸収体を省略している。
以下、これらの図を参照して本発明のインク吸収体収納容器およびインク吸収用構造体の第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、挿入体の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
本実施形態は、挿入体の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
図11、図12に示すように、本実施形態では、挿入体4は、容器本体9の深さ方向の途中に設けられ、網状(または枠状)をなすものである、すなわち、網体44で構成されている。この網体44は、各側壁部92に支持されており、容器本体9の深さ方向と交差した方向において容器本体9内を横断して設けられている。そして、網体44には、各網の目にインク吸収体10が上下方向から噛み込む。これにより、インク吸収体10が容器本体9内でいずれの方向に移動しようとしても、その移動が抑制される。これにより、インク吸収体10は、インクQの滴下位置に位置し続けることができ、よって、インクQを迅速かつ十分に吸収することができる。
なお、挿入体4は、本実施形態では網状をなすものであるが、これに限定されず、枠状をなすものであってもよい。
また、網体44の配置数は、本実施形態では1つであるが、これに限定されず、複数であってもよい。
<第5実施形態>
図13は、本発明のインク吸収用構造体(インク吸収体収納容器)の第5実施形態における使用状態(一例)を示す部分垂直断面図である。図14は、図13に示すインク吸収用構造体が備えるインク吸収体の拡大詳細垂直断面図である。
図13は、本発明のインク吸収用構造体(インク吸収体収納容器)の第5実施形態における使用状態(一例)を示す部分垂直断面図である。図14は、図13に示すインク吸収用構造体が備えるインク吸収体の拡大詳細垂直断面図である。
以下、これらの図を参照して本発明のインク吸収体収納容器およびインク吸収用構造体の第5実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、インク吸収体の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
図13に示すように、本実施形態では、インク吸収体10は、シート状をなし、複数枚重ねられたシート群10Aとして、容器本体9の収納空間93内に収納されている。これにより、インク吸収体10の枚数分だけ、インク吸収用構造体100におけるインクQを吸収する吸収性能が増大する。
各挿入体4は、その突出高さ分だけ、複数枚のインク吸収体10に突き刺さって、これらインク吸収体10を貫通している。これにより、各インク吸収体10が収縮した際に収納空間93内で移動するのが抑制されたり、インクQをインク吸収体10に導いたりすることができる。
また、図14に示すように、インク吸収体10は、繊維20で構成されたシート状の繊維基材230と、繊維基材230に担持(接着)された粒状の吸水性樹脂30とを有している。そして、吸水性樹脂30は、繊維基材230の少なくとも一方の面側(図14に示す構成では表側の面210および裏側の面220)に付着している。これにより、各インク吸収体10に対して、表側の面210側、裏側の面220側のどちら側にインクQが到達しても、そのインクQを吸水性樹脂30で吸収することができる。また、吸水性樹脂30が繊維基材230に対して露出した状態となるため、この吸水性樹脂30でインクQを迅速に吸収することができる。
なお、上記インク吸収体10は、シート状の繊維基材230としたが、シート状に限らず、短冊状、小片状等の繊維基材230に吸収性樹脂30が担持されたものであってもよい。
なお、吸水性樹脂30は、図14に示す構成では繊維基材230の表側の面210および裏側の面220に付着しているが、これに限定されず、例えば、表側の面210および裏側の面220のうちの片方の面の吸水性樹脂30を省略してもよい。
また、吸水性樹脂30は、表側の面210側と裏側の面220側とで、吸水性樹脂30の付着量が等しいのが好ましいが、異なっていてもよい。
また、吸水性樹脂30は、表側の面210側、裏側の面220側のいずれでも均一に配置分散されているのが好ましいが、それらの分散の程度に疎密があってもよい。
また、表側の面210側での吸水性樹脂30の分散の程度と、裏側の面220側での吸水性樹脂30の分散の程度とは、同じであるのがより好ましいが、異なっていてもよい。
また、インク吸収体10の平面視での形状は、本実施形態では四角形状(例えば長方形)であるのが好ましいが、これに限定さない。
また、インク吸収体10は、繊維基材230と吸水性樹脂30との間に中間層が設けられたものであってもよい。
また、インク吸収体10には、その厚さ方向に貫通する貫通孔が形成されていてもよい。
<第6実施形態>
図15は、本発明のインク吸収用構造体(インク吸収体収納容器)の第6実施形態が備えるインク吸収体の拡大詳細垂直断面図である。
図15は、本発明のインク吸収用構造体(インク吸収体収納容器)の第6実施形態が備えるインク吸収体の拡大詳細垂直断面図である。
以下、この図を参照して本発明のインク吸収体収納容器およびインク吸収用構造体の第6実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、インク吸収体の構成が異なること以外は前記第5実施形態と同様である。
図15に示すように、本実施形態では、吸水性樹脂30は、繊維基材230の厚さ方向の途中に存在している。これにより、インクQをできる限りインク吸収体10の奥側、すなわち、インク吸収体10の厚さ方向の中央部側に保持する(吸収する)ことができ、よって、インクQの保持状態を長期的に維持することができる。また、繊維基材230からの吸水性樹脂30の脱落も防止することができる。
なお、吸水性樹脂30は、厚さ方向に均一に分散されていてもよいし、繊維基材230の表側の面210または裏側の面220に偏在していてもよい。
また、図14に示す構成との組み合わせ、すなわち、吸水性樹脂30が、繊維基材230の少なくとも一方の面側(表側の面210や裏側の面220)にも存在して(付着して)いてもよい。
以上、本発明のインク吸収体収納容器およびインク吸収用構造体を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、インク吸収体収納容器およびインク吸収用構造体を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明のインク吸収体収納容器およびインク吸収用構造体は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
また、インク吸収体は、前記第1実施形態〜第4実施形態では綿状、第5実施形態および第6実施形態ではシート状をなすものとなっているが、これに限定されず、例えば、第5実施形態や第6実施形態で述べたシート状よりも小さい小片状(短冊状)をなすものであってもよい。
1…インク吸収体収納容器、4…挿入体、41A…突出部、41B…突出部、41C…突出部、41D…突出部、41E…突出部、411…頂部、412…外周部、42A…突出部、42B…突出部、42C…突出部、42D…突出部、421…頂部、43A…突出部、43B…突出部、43C…突出部、43D…突出部、431…小突起、44…網体、8…蓋体、81…インク供給口、9…容器本体、91…底部(底板)、911…角部、92…側壁部、93…収納空間、94…上部開口部、95…空隙、10…インク吸収体、10A…シート群、101…間隙、102…間隙、20…繊維、210…表側の面、220…裏側の面、230…繊維基材、30…吸水性樹脂、100…インク吸収用構造体、200…印刷装置、201…インク吐出ヘッド、201a…ノズル、202…キャッピングユニット、203…チューブ、203a…排出口(開口部)、204…ローラーポンプ、204a…ローラー部、204b…挟持部、Q…インク、V1…容積、V2…総体積
Claims (12)
- インクの吸収が可能な吸水性樹脂を含むインク吸収体を収納する収納空間を有する容器本体と、
前記インク吸収体に挿入され、前記インク吸収体に接する挿入体と、を備えることを特徴とするインク吸収体収納容器。 - 前記インク吸収体は、含水率の低下に伴って収縮するものであり、
前記挿入体は、前記インク吸収体の収縮に伴う前記収納空間内での移動を抑制する機能を有する請求項1に記載のインク吸収体収納容器。 - 前記挿入体は、前記インクを前記インク吸収体に導く導液機能を有する請求項1または2に記載のインク吸収体収納容器。
- 前記容器本体は、底部と、前記底部から立設した側壁部とを有し、
前記挿入体は、前記底部から突出した少なくとも1つの突出部で構成されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインク吸収体収納容器。 - 前記容器本体に装着され、前記収納空間内に前記インクを供給するインク供給口を有する蓋体を備え、
前記少なくとも1つの突出部は、前記インク供給口から前記インクが供給される供給方向の延長線上に位置している請求項4に記載のインク吸収体収納容器。 - 前記少なくとも1つの突出部の頂部は、前記インク吸収体から露出している請求項4または5に記載のインク吸収体収納容器。
- 前記少なくとも1つの突出部の頂部は、前記インク吸収体内に埋没している請求項4または5に記載のインク吸収体収納容器。
- 前記少なくとも1つの突出部は、横断面形状が前記インク供給口側に向かって漸減した柱状をなす請求項4ないし7のいずれか1項に記載のインク吸収体収納容器。
- 前記容器本体に装着され、前記収納空間内に前記インクを供給するインク供給口を有する蓋体を備え、
前記挿入体は、前記インク供給口側から見たとき、前記インク供給口を中心とした放射状に複数配置されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインク吸収体収納容器。 - 前記容器本体は、底部と、前記底部から立設した側壁部とを有し、
前記挿入体は、前記側壁部から突出した突出部で構成されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインク吸収体収納容器。 - 前記挿入体は、前記容器本体の深さ方向の途中に設けられ、網状または枠状をなすものである請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインク吸収体収納容器。
- 請求項1ないし11のいずれか1項に記載のインク吸収体収納容器と、
前記収納空間に収納され、インクの吸収が可能な吸水性樹脂を含むインク吸収体と、を備えることを特徴とするインク吸収用構造体。
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