JP2022057173A - インク吸収体およびインク吸収体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクの吸収特性を高めることができるインク吸収体およびインク吸収体の製造方法を提供すること。【解決手段】繊維と、樹脂と、を含み、液滴吐出ヘッドから吐出されるインクの廃液を吸収するインク吸収体であって、前記廃液を導入するインク導入孔を有し、前記インク導入孔の内面を含む第1部分の密度Aと、前記第1部分よりも前記内面から遠い第2部分の密度Bとが、A>Bなる関係を満足することを特徴とするインク吸収体。【選択図】図1
Description
本発明は、インク吸収体およびインク吸収体の製造方法に関する。
例えば、インクジェットプリンター等の印刷装置では、通常、インクの目詰まりによる印刷品質の低下を防止するために実施されるヘッドクリーニング動作や、インクカートリッジ交換後のインク充填動作の際に、インクの廃液が発生する。このような廃液のプリンター内部の機構等に対する不本意な付着が生じないようにするために、例えば特許文献1に開示されているような廃液吸収材が用いられている。
特許文献1に開示されている廃液吸収材は、合成繊維やパルプ等を原料とするフェルト材や、スポンジ等の多孔質材により構成されており、印刷装置に内蔵された廃液タンク内に設置されている。廃液タンクに供給されたインクの廃液は、廃液吸収材によって吸収され、保持される。
しかしながら、特許文献1の構成では、インクの廃液の滴下位置、インクの種類等の諸条件によっては、廃液吸収材の吸収特性、特に、浸透性が不十分になってしまうおそれがある。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下のものとして実現することが可能である。
本発明のインク吸収体は、繊維と、樹脂と、を含み、液滴吐出ヘッドから吐出されるインクの廃液を吸収するインク吸収体であって、
前記廃液を導入するインク導入孔を有し、
前記インク導入孔の内面を含む第1部分の密度Aと、前記第1部分よりも前記内面から遠い第2部分の密度Bとが、A>Bなる関係を満足することを特徴とする。
前記廃液を導入するインク導入孔を有し、
前記インク導入孔の内面を含む第1部分の密度Aと、前記第1部分よりも前記内面から遠い第2部分の密度Bとが、A>Bなる関係を満足することを特徴とする。
本発明のインク吸収体の製造方法は、繊維と、樹脂と、を含み、液滴吐出ヘッドから吐出されるインクの廃液を吸収するインク吸収体を製造するインク吸収体の製造方法であって、
前記インク吸収体に対し、加熱および穿孔を行ってインク導入孔を形成するインク導入孔形成工程を有することを特徴とするインク吸収体の製造方法。
前記インク吸収体に対し、加熱および穿孔を行ってインク導入孔を形成するインク導入孔形成工程を有することを特徴とするインク吸収体の製造方法。
以下、本発明のインク吸収体およびインク吸収体の製造方法を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明のインク吸収体の第1実施形態を示す断面図である。図2は、図1に示すインク吸収体の繊維および樹脂の状態を示す拡大図である。図3は、図1に示すインク吸収体が有するインク導入孔を開口側から見た図である。図4は、図1に示すインク吸収体の、インク導入孔付近の断面図である。図5は、本発明のインク吸収体の製造方法を説明するための図である。図6は、本発明のインク吸収体の製造方法を説明するための図である。
図1は、本発明のインク吸収体の第1実施形態を示す断面図である。図2は、図1に示すインク吸収体の繊維および樹脂の状態を示す拡大図である。図3は、図1に示すインク吸収体が有するインク導入孔を開口側から見た図である。図4は、図1に示すインク吸収体の、インク導入孔付近の断面図である。図5は、本発明のインク吸収体の製造方法を説明するための図である。図6は、本発明のインク吸収体の製造方法を説明するための図である。
なお、以下では、説明の都合上、図1、図4、図5および図6中(図7についても同様)の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言う。なお、これらの図において、上側が鉛直方向上側であり、下側が鉛直方向下側である。
また、本明細書における「吸水」とは、水系溶媒に色材が溶解した水系インク、溶剤にバインダーが溶解した溶剤系インク、UV照射により硬化する液状のモノマー中にバインダーが溶解したUV硬化性インク、分散媒にバインダーが分散したラテックスインク等のインクを吸収することを言う。
図1に示す印刷装置200は、例えば、インクジェット式のカラープリンターである。この印刷装置200は、インクQを吐出する液滴吐出ヘッド201と、液滴吐出ヘッド201のノズル201aの目詰まりを防止するキャッピングユニット202と、インク吸収器100と、キャッピングユニット202とインク吸収器100とを接続するチューブ203と、インクQをキャッピングユニット202からインク吸収器100に送るローラーポンプ204と、を備えている。
液滴吐出ヘッド201は、下方に向かってインクQを吐出するノズル201aを複数有している。この液滴吐出ヘッド201は、図1中の二点鎖線で示すように、PPCシート等のような記録媒体に対して移動しつつ、インクQを吐出して、印刷を施すことができる。
キャッピングユニット202は、液滴吐出ヘッド201が待機位置にあるときに、ローラーポンプ204の作動により、各ノズル201aを一括して吸引して、ノズル201aの目詰まりを防止するものである。
チューブ203は、キャッピングユニット202を介して吸引されたインクQの廃液(以下、単に「インクQ」と言う)を送液、排出するものである。チューブ203は、一端部が蓋体8の貫通孔に挿入されている。そして、チューブ203の挿入された端部側の開口が、インクQを排出する排出口31として機能する。
ローラーポンプ204は、チューブ203の途中に配置され、ローラー部204aと、ローラー部204aとの間でチューブ203の途中を挟持する挟持部204bとを有している。ローラー部204aが回転することにより、チューブ203を介して、キャッピングユニット202に吸引力が生じる。そして、ローラー部204aが回転し続けることにより、ノズル201aに付着したインクQをインク吸収器100まで送り込むことができる。
図1に示すように、インク吸収器100は、収容容器1と、インクQの吸収に用いられるインク吸収体10と、を備えている。このインク吸収器100は、印刷装置200に対し、着脱自在に装着され、その装着状態で、前述したようにインクQの廃液吸収に用いられる。このように、インク吸収器100を、いわゆる「廃液タンク」または「廃インクタンク」として用いることができる。そして、インク吸収器100のインクQの吸収量が限界に達したら、このインク吸収器100を、新たなインク吸収器100に交換することができる。なお、インク吸収器100のインクQの吸収量が限界に達したか否かについては、印刷装置200内の図示しない検出部によって検出される。また、インク吸収器100のインクQの吸収量が限界に達した場合には、その旨が、例えば、印刷装置200に内蔵されたモニター等の図示しない報知部により報知される。
インク吸収体10は、収容容器1内でインクQの吸収に用いられるものである。図2および図3に示すように、インク吸収体10は、繊維20と、繊維20同士を結着させる樹脂30と、を含んでいる。インク吸収体10にインクQが付与された場合に、当該インクQを繊維20が吸収、すなわち、保持することができる。
インク吸収体10は、図2に示す繊維20および樹脂30を含む材料がブロック状に成形されたものである。ブロック状とは、繊維20が塊状に成形された状態を言い、その形は限定されない。図示の構成では、インク吸収体10の形状は、直方体である。ただし、これに限定されず、例えば、三角柱状、五角柱状、それ以上の多角柱状、球状等、容器本体9内に収納可能であれば、いかなる形状であってもよい。また、インク吸収体10はブロック状のものに限定されず、例えば、互いに結着されていない繊維20および樹脂30を含む綿状の混合物を、収容容器1内に敷き詰めたものであってもよい。
また、インク吸収体10における構成材料の密度、すなわち、繊維20、樹脂30およびその他の含有物の合計の密度は、0.01g/cm3以上1.0g/cm3以下であるのが好ましく、0.05g/cm3以上0.8g/cm3以下であるのがより好ましく、0.1g/cm3以上0.5g/cm3以下であるのがさらに好ましい。これにより、繊維20間に十分に隙間を確保することができるため、浸透性に優れるとともに、十分な強度を有し、容器本体9内で形状を維持することができる。
繊維20としては、例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の合成樹脂繊維;セルロース繊維、ケラチン繊維、フィブロイン繊維等の天然樹脂繊維やその化学修飾物等が挙げられ、これらを単独でまたは適宜混合して用いることができるが、セルロース繊維を主とするのが好ましく、ほぼ全部がセルロース繊維であるのがより好ましい。
セルロースは、好適な親水性を有する材料であるため、インク吸収体10にインクQが付与された場合に、流動性が特に高い状態、例えば、粘度が10mPa・s以下の状態を速やかに脱することができる。また、セルロース繊維は、再生可能な天然素材で、各種繊維の中でも、安価で入手が容易であるため、インク吸収体10の生産コストの低減、安定的な生産、環境負荷の低減等の観点からも有利である。
なお、本明細書において、セルロース繊維とは、化合物としてのセルロースを主成分とし繊維状をなすものであればよく、セルロースの他に、ヘミセルロース、リグニン等を含むものであってもよい。
また、一般に、セルロース繊維等の繊維、特に、古紙由来の繊維は、比較的安価であり、インク吸収体10の製造コストの低減の観点からも有利である。また、繊維20としては、古紙由来のものを好適に用いることができるため、廃棄物の削減、資源の有効活用等の観点からも有利である。
このような繊維20の平均長さは、特に限定されないが、0.1mm以上5mm以下であるのが好ましく、0.2mm以上3mm以下であるのがより好ましい。繊維20の平均幅は、特に限定されないが、0.5μm以上200μm以下であるのが好ましく、1.0μm以上100μm以下であるのがより好ましい。繊維20の平均アスペクト比、すなわち、平均幅に対する平均長さの比率は、特に限定されないが、10以上1000以下であるのが好ましく、15以上500以下であるのがより好ましい。
以上のような数値範囲により、繊維20によるインクQの吸水性および浸透性をより高めることができ、インク吸収体10全体としてのインクQの吸水性および浸透性をより優れたものとすることができる。
樹脂30は、繊維20同士を結着するバインダーとしての機能を有する。具体的には、樹脂30は、溶融状態が冷却されて固化したものであり、溶融状態において各繊維20に付着し、冷却されて固化することにより、図2に示すように、繊維20同士を結着する。このような樹脂30により、繊維20が変形するのを適度に規制することができ、インク吸収体10をブロック状に成形しやすく、また、後述する容器本体9内でブロック状を維持することができる。
樹脂30としては、例えば、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂等を用いることができるが、熱可塑性樹脂であるのが好ましい。これにより、後述するインク導入孔形成工程において、加熱するとともに穿孔を行うという簡単な方法によって第1部分10Aを形成することができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、AS樹脂、ABS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6-12、ナイロン6-66等のポリアミド、ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルイミド、芳香族ポリエステル等の液晶ポリマー、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。好ましくは、熱可塑性樹脂としては、ポリエステルまたはこれを含むものを用いる。
樹脂30の融点は、60℃以上200℃以下であるのが好ましく、70℃以上190℃以下であるのがより好ましい。これにより、後述するインク導入孔形成工程において、比較的加熱温度を高くすることなくインク導入孔40を形成することができる。よって、インク導入孔形成工程における繊維20への熱ダメージを軽減することができる。
また、インク吸収体10は、繊維20および樹脂30の他に、吸水性樹脂を含んでいるのが好ましい。吸水性樹脂は、特に限定されないが、例えば、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、澱粉-アクリル酸グラフト共重合体、澱粉-アクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物、酢酸ビニル-アクリル酸エステル共重合体、イソブチレンとマレイン酸との共重合体等、アクリロニトリル共重合体やアクリルアミド共重合体の加水分解物、ポリエチレンオキサイド、ポリスルフォン酸系化合物、ポリグルタミン酸や、これらの塩、架橋体等が挙げられる。吸水性樹脂には、吸水するとゲル化するものが多い。
中でも、吸水性樹脂は、側鎖に官能基を有する樹脂が好ましい。官能基としては、例えば、酸基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基等が挙げられる。
特に、吸水性樹脂は、側鎖に酸基を有する樹脂であるのが好ましく、側鎖にカルボキシル基を有する樹脂であるのがより好ましい。
吸水性樹脂を構成するカルボキシル基含有単位としては、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、フマル酸、ソルビン酸、ケイ皮酸やこれらの無水物、塩等の単量体から誘導されるものが挙げられる。
吸水性樹脂は、例えば、鱗片状、針状、繊維状、粒子状等、いかなる形状をなしていてもよいが、粒子状をなしているのが好ましい。吸水性樹脂が粒子状をなしている場合には、インクQの浸透性を容易に確保することができる。また、繊維20に吸水性樹脂を好適に担持させることができる。なお、この粒子の平均粒径は、50μm以上800μm以下であるのが好ましく、100μm以上600μm以下であるのがより好ましく、200μm以上500μm以下であるのがさらに好ましい。
また、インク吸収体10は、前述した以外の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、界面活性剤、潤滑剤、消泡剤、フィラー、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料等の着色剤、難燃剤、流動性向上剤等が挙げられる。
このようなインク吸収体10は、例えば、1つのブロックに成形されたものであってもよく、シートを重ねて成形されたものであってもよい。インク吸収体10は、例えば、特開2018-140560号公報や、特開2014-40045号公報に開示されているような製造装置を用いて製造することができる。そして、その後、後述するように、インク導入孔40を形成する。
次に、収容容器1について説明する。
図1に示すように、収容容器1は、インク吸収体10を収納する収納空間93を有する容器本体9と、容器本体9に着脱自在に装着される蓋体8と、を備えている。
図1に示すように、収容容器1は、インク吸収体10を収納する収納空間93を有する容器本体9と、容器本体9に着脱自在に装着される蓋体8と、を備えている。
容器本体9は、平面視で例えば四角形状をなす底部91と、底部91の縁部から上方に向かって立設した4つの側壁部92とを有する箱状をなすものである。そして、底部91と、4つの側壁部92とに囲まれた収納空間93内に、インク吸収体10を収納することができる。
なお、容器本体9は、平面視で四角形状をなす底部91を有するものに限定されず、例えば、平面視で円形状をなす底部91を有し、全体が円筒状のものであってもよい。
また、容器本体9の容積をV1とし、インクQを吸収する前のインク吸収体10の総体積をV2としたとき、V1とV2の比V2/V1は、0.1以上0.7以下であるのが好ましく、0.2以上0.7以下であるのがより好ましい。これにより、容器本体9内には、インク吸収体10の上側に空隙95が生じる。インク吸収体10は、インクQを吸収した後に一旦膨張する。空隙95は、インク吸収体10が膨張した際のバッファーとなり、よって、インク吸収体10は、インクQを十分に吸収することができる。
本実施形態では、容器本体9は、硬質のものである、すなわち、容器本体9に内圧または外力が作用した場合に、容積V1が例えば10%以上変化しない程度の形状保持性を有するものである。これにより、容器本体9は、インク吸収体10がインクQを吸収した後膨張して、そのインク吸収体10からの力を内側から受けても、容器本体9自身の形状を維持することができる。これにより、印刷装置200内での容器本体9の設置状態が安定し、インク吸収体10がインクQを安定して吸収することができる。
また、容器本体9は、内部視認性を有する透明、半透明なもの、または、不透明なもののいずれでもよいが、容器本体9および後述する蓋体8の少なくとも一部が内部視認性を有するものが好ましい。
前述したように、収容容器1は、蓋体8を備えている。図1に示すように、蓋体8は、板状をなし、容器本体9の上部開口部94に嵌合することができる。この嵌合により、上部開口部94を液密的に封止することができる。これにより、例えば、インクQがチューブ203から排出されて落下した際に、インク吸収体10に衝突して跳ね上がった場合でも、そのインクQが外方に飛散するのを防止することができる。よって、インクQがインク吸収器100の周辺に付着して汚れるのを防止することができる。
また、蓋体8は、インクQを吸収する吸収性を有していてもよいし、インクQを弾く撥液性を有していてもよい。
蓋体8の厚さとしては、特に限定されず、例えば、1mm以上20mm以下であるのが好ましく、8mm以上10mm以下であるのがより好ましい。なお、蓋体8は、このような数値範囲の板状をなすものに限定されず、それよりも薄いフィムル状のものであってもよい。この場合、蓋体8の厚さとしては、特に限定されず、例えば、10μm以上1mm未満であるのが好ましい。
このような容器本体9および蓋体8の構成材料としては、特に限定されず、例えば、各種樹脂材料を好適に用いることができる。樹脂材料としては、各種熱可塑性樹脂や、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等の各種硬化性樹脂が挙げられる。具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリ-(4-メチルペンテン-1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、アクリロニトリル-スチレン共重合体、ブタジエン-スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ここで、インク吸収体10は、インクQの廃液を導入するインク導入孔40を有する。インク導入孔40は、インク吸収体の上面に開口41を有し、鉛直方向に沿って延在している。開口41は、排出口31の直下に位置しており、排出口31から滴下したインクQを容器本体9の奥側、すなわち、鉛直下方に取り込む機能を有する。インク導入孔40によって取り込まれたインクQは、図1中矢印で示すように、インク導入孔40の内面42からインク吸収体10に取り込まれ、結果として全体に浸透し、吸収される。
このように、インク導入孔40は、鉛直上方に開口していることにより、滴下されたインクQを速やかに導入することができる。
なお、インク導入孔40は、チューブ203がインク導入孔40まで刺さっている構成であってもよい。
インク導入孔40は、横断面形状が円形をなしている。ただし、この構成に限定されず、インク導入孔40の横断面形状は、楕円形、多角形等如何なる形状であってもよい。また、インク導入孔40は、深さ方向の異なる位置で、横断面形状が異なっていてもよい。
インク導入孔40は、内径Dが一定の内径一定部40Aと、深さに従って内径が小さくなるテーパ部40Bと、を有する。内径一定部40Aおよびテーパ部40Bは、この順で上側から並んだ状態となっている。この形状によって、滴下されたインクQはテーパ部40Bまで流れていきやすくなる。かかる作用機序により、インクQは、テーパ部40Bから、繊維20を通じてインク吸収体10の底部から優先的に浸透する。その結果、インクQをインク吸収体10の全体に余すことなく浸透させることができる。また、インク導入孔40の内面42において、繊維20および樹脂30が高密度で結着されているので、インク導入孔40の内面42の強度を十分に高めることができる。したがって、インク吸収体10を比較的長期間使用したとしても、インク導入孔40の形状を維持することができる。
インク導入孔40が円形の開口を有する場合、内径Dは、0.5mm以上60mm以下であるのが好ましく、0.8mm以上50mm以下であるのがより好ましい。これにより、インク吸収体10に滴下されるインクの液滴のサイズによらず、インクQをインク導入孔40に導入することができる。
また、図1に示すように、インク導入孔40の深さ、すなわち、長手方向の長さL1は、インク吸収体10の、インク導入孔40の長手方向における長さL2の10%以上であるのが好ましく、40%以上であるのがより好ましい。これにより、インクQをインク吸収体10の全域により効果的に浸透させることができる。
また、インク導入孔40は、有底であってもよく、インク吸収体10の下面まで貫通していてもよい。
また、インク導入孔40は、鉛直方向に沿って延在していなくてもよく、鉛直方向に対して少なくとも一部が傾斜していてもよい。
ここで、インク吸収体10では、第1部分10Aおよび第2部分10Bが形成されている。図3に示すように、第1部分10Aは、インク導入孔40の内面42を含む部分である。すなわち、インク導入孔40の内面42から厚さd1の領域のことである。また、図4に示すように、第1部分10Aは、インク導入孔40の深さ方向に沿ってその全域に形成されている。
第2部分10Bは、第1部分10Aよりもインク導入孔40の内面42から遠い部分である。すなわち、第2部分10Bは、第1部分10Aの周囲に、厚さd2分、形成されている。また、図4に示すように、第2部分10Bは、インク導入孔40の深さ方向に沿ってその全域に形成されている。
このようなインク吸収体10では、第1部分10Aの密度Aと、第2部分10Bの密度Bとが、A>Bなる関係を満足する。このため、インク導入孔40の内面42では、繊維20および樹脂30が高密度で結着されており、硬度が高くなっている。よって、インクQをより円滑に鉛直下方側、すなわち、インク導入孔40の深い部分まで速やかに浸透させることができる。その結果、インク吸収体10の浸透性を高めることができる。なお、第1部分10Aの密度および第2部分10Bの密度は、例えばアスカーゴム硬度計AL型(高分子計器株式会社製)などの公知の硬度計を用いて確かめることができる。硬度が高いほど、繊維20と樹脂30が高密度で結着されており、したがってインク吸収体10の密度が高くなっていると判断される。すなわち、本実施形態においては、第1部分10Aの硬度は、第2部分10Bの硬度よりも大きくなっている。
第1部分10Aの厚さd1は、特に限定されないが、1mm以上30mm以下であるのが好ましく、2mm以上20mm以下であるのがより好ましい。
また、厚さd1は、インク導入孔40の内径Dの5%以上50%以下であるのが好ましく、10%以上40%以下であるのがより好ましい。
以上説明したように、インク吸収体10は、繊維20と、樹脂30と、を含み、液滴吐出ヘッドから吐出されるインクQの廃液を吸収するインク吸収体である。また、インクQの廃液を導入するインク導入孔40を有し、インク導入孔40の内面42を含む第1部分10Aの密度Aと、第1部分10Aよりも内面42から遠い第2部分10Bの密度Bとが、A>Bなる関係を満足することを特徴とする。このため、インク導入孔40の内面42では、硬度が比較的高くなっている。これにより、インクQをより円滑に鉛直下方側、すなわち、インク導入孔40の深い部分まで速やかに浸透させることができる。その結果、インク吸収体10の浸透性を高めることができる。さらに、インク導入孔40の内面42において、繊維20および樹脂30が高密度で結着されているので、インク導入孔40の内面42の強度を十分に高めることができる。したがって、インク吸収体10を比較的長期間使用したとしても、インク導入孔40の形状を維持することができる。
また、インク導入孔40の開口41の周囲、すなわち、インク吸収体10の上面における開口41の周囲には、撥液処理が施されているのが好ましい。これにより、インク導入孔40の開口41の周囲に付着したインクQをインク導入孔40内に誘導しやすくすることができる。
なお、撥液処理としては、特に限定されず、フッ素系樹脂やシリコーン系樹脂をコーティングする処理や、これらの樹脂のシートを貼着したりする処理が挙げられる。
次に、インク吸収体10の製造方法について説明する。
インク吸収体10の製造方法は、繊維20および樹脂30を成形する成形工程と、成形工程で成形したインク吸収体10にインク導入孔40を形成するインク導入孔形成工程と、を有する。
インク吸収体10の製造方法は、繊維20および樹脂30を成形する成形工程と、成形工程で成形したインク吸収体10にインク導入孔40を形成するインク導入孔形成工程と、を有する。
成形工程は、例えば、特開2018-140560号公報に開示されているようなシート製造装置を用いて製造することができる。例えば、製造されたシートをブロック状になるように積層したり、堆積物を比較的厚く堆積させて成形することにより、インク吸収体10を製造することができる。また、樹脂30としての熱可塑性樹脂と繊維20とを混合したウェブを加熱および加圧することで繊維20を結着しインク吸収体10を成形することにより、当該熱可塑性樹脂は後述する樹脂30として転用できる。
インク導入孔形成工程は、ブロック状のインク吸収体10に対し、加熱するとともに穿孔を行ってインク導入孔40を形成する。本実施形態では、図5および図6に示すように、加熱棒300を用いて加熱しつつ穿孔を行う。加熱棒300は、インク導入孔40の形状に対応した外形形状を有する。すなわち、内径一定部40Aに対応する外径一定部300Aと、テーパ部40Bに対応するテーパ部300Bと、を有する。
また、図示はしないが、加熱棒300には、電熱線等の熱源が内蔵されており、発熱することにより加熱棒300の温度を高めて、インク吸収体10のうち、加熱棒300と接触している部分を加熱することができる。
なお、加熱温度は、樹脂30を溶融させることができる程度であれば特に限定されず、例えば、70℃以上200℃以下程度であるのが好ましい。
図5および図6に示すように、インク導入孔形成工程では、加熱棒300を加熱した状態で、インク吸収体10を穿孔することにより、加熱棒300によって押しのけられた繊維20が周囲に移動し、インク導入孔40が開く。そして、インク導入孔40の内面を加熱することにより、樹脂30が溶融し、移動した繊維20同士に付着する。
そして、加熱棒300を抜去し、インク導入孔40の内面42を冷却することにより、繊維20に付着した溶融状態の樹脂30が硬化し、繊維20同士を結着させる。これにより、インク導入孔40を形成することができる。
また、穿孔の際、繊維20および樹脂30が周囲に押しのけられてこれらの密度が高くなる領域が形成される。この領域が前述した第1部分10Aである。また、第1部分10Aの外側の、繊維20および樹脂30の密度の変化量が比較的少ない領域が前述した第2部分10Bである。
以上のようにして、第1部分10Aの密度Aと、第2部分10Bの密度Bとが、A>Bなる関係を満足するインク吸収体10を得ることができる。
なお、本実施形態では、加熱と穿孔とを同時に行う構成について説明したが、本発明ではこれに限定されず、穿孔を行ったあと加熱を行ってもよい。また、穿孔および加熱の方法は、上記に限定されない。例えば、加熱機能を有さない長尺体で穿孔を行った後に、加熱機能を有する長尺体をインク導入孔40に挿入して加熱を行ってもよい。また、加熱は、レーザー光線を照射することにより生じる発熱で行ってもよい。
以上、説明したように、本発明のインク吸収体の製造方法は、繊維20と、樹脂30と、を含み、液滴吐出ヘッドから吐出されるインクQの廃液を吸収するインク吸収体10を製造するインク吸収体の製造方法である。また、インク吸収体の製造方法は、インク吸収体10に対し、加熱および穿孔を行ってインク導入孔40を形成するインク導入孔形成工程を有する。このように穿孔によりインク導入孔40を形成するため、第1部分10Aの密度Aと、第2部分10Bの密度Bとが、A>Bなる関係を満足するインク吸収体10を得ることができる。また、加熱を行って樹脂30を溶融することにより、穿孔により移動した繊維20および樹脂30をその位置で留まらせることができる。以上より、穿孔および加熱を行うという簡単な方法によって、インク導入孔40を有するインク吸収体10を得ることができる。
また、樹脂30は熱可塑性樹脂である。これにより、第1部分10Aに対応する領域の樹脂30を加熱によって溶融し、その領域の繊維20同士を高密度で結着することができる。
<第2実施形態>
図7は、本発明のインク吸収体の第2実施形態を示す断面図である。図8は、図7中矢印A方向から見た図である。
図7は、本発明のインク吸収体の第2実施形態を示す断面図である。図8は、図7中矢印A方向から見た図である。
以下、この図を参照して本発明のインク吸収体およびインク吸収体の製造方法の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
図7および図8に示すように、本実施形態のインク吸収体10は、複数、図示の構成では3つのインク導入孔40を有する。また、各インク導入孔40は、図示の構成では、3つのインク導入孔40が一方向に並んで配置されている。ただし、この構成に限定されず、例えば、各インク導入孔40が円形に配置されていてもよく、X字状に配置されていてもよい。また、インク導入孔40の数も3つに限定されず、いかなる数であってもよい。
また、本実施形態では、中央のインク導入孔40の深さよりも、外側に位置するインク導入孔40の深さの方が深い。これにより、インクQをインク吸収体10の隅々までより効果的に浸透させることができる。
このような本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができるとともに、さらにインクQをインク吸収体10の隅々までより効果的に浸透させることができる。
なお、各インク導入孔40は、同じ長さであってもよい。
また、インク導入孔40は、鉛直方向に対して傾斜していてもよい。
また、インク導入孔40は、鉛直方向に対して傾斜していてもよい。
以上、本発明のインク吸収体およびインク吸収体の製造方法を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、インク吸収体およびインク吸収体の製造方法を構成する各部、工程は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のもの、工程と置換することができる。
また、本発明のインク吸収体およびインク吸収体の製造方法は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成特徴を組み合わせたものであってもよい。
1…収容容器、8…蓋体、9…容器本体、10…インク吸収体、10A…第1部分、10B…第2部分、20…繊維、30…樹脂、31…排出口、40…インク導入孔、40A…内径一定部、40B…テーパ部、41…開口、42…内面、91…底部、92…側壁部、93…収納空間、94…上部開口部、95…空隙、100…インク吸収器、200…印刷装置、201…液滴吐出ヘッド、201a…ノズル、202…キャッピングユニット、203…チューブ、204…ローラーポンプ、204a…ローラー部、204b…挟持部、300…加熱棒、300A…外径一定部、300B…テーパ部、D…内径、Q…インク、d1…厚さ、d2…厚さ、L1…長さ、L2…長さ
Claims (6)
- 繊維と、樹脂と、を含み、液滴吐出ヘッドから吐出されるインクの廃液を吸収するインク吸収体であって、
前記廃液を導入するインク導入孔を有し、
前記インク導入孔の内面を含む第1部分の密度Aと、前記第1部分よりも前記内面から遠い第2部分の密度Bとが、A>Bなる関係を満足することを特徴とするインク吸収体。 - 前記樹脂は、熱可塑性樹脂である請求項1に記載のインク吸収体。
- 前記インク導入孔は、鉛直上方に開口している請求項1または2に記載のインク吸収体。
- 前記インク導入孔の開口の周囲には、撥液処理が施されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインク吸収体。
- 繊維と、樹脂と、を含み、液滴吐出ヘッドから吐出されるインクの廃液を吸収するインク吸収体を製造するインク吸収体の製造方法であって、
前記インク吸収体に対し、加熱および穿孔を行ってインク導入孔を形成するインク導入孔形成工程を有することを特徴とするインク吸収体の製造方法。 - 前記樹脂は、熱可塑性樹脂である請求項5に記載のインク吸収体の製造方法。
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