以下、本発明のインク吸収器を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明のインク吸収器(第1実施形態)の使用状態(一例)を示す部分垂直断面図である。図2~図5は、それぞれ、図1に示すインク吸収器においてインク吸収体を交換する過程を順に示す垂直断面図である。図6は、図1に示すインク吸収器が備えるインク吸収体の拡大詳細垂直断面図である。なお、以下では、説明の都合上、図1~図6中(図7~図20についても同様)の上側を「上(または上方)」、下側を「下(または下方)」と言う。
図1に示すように、本発明のインク吸収器1は、インクQを吸収可能なインク吸収体10と、インク吸収体10を収納する収納部としての容器本体9と、容器本体9(収納部)からインク吸収体10を離脱させる離脱構造部7と、を備える。
また、本発明のインク吸収器1は、インクQを吸収可能なインク吸収体10と、インク吸収体10を収納する収納部としての容器本体9と、容器本体9(収納部)からインク吸収体10を取り出す(離脱させる)際、インク吸収体10の取り出しを補助する補助構造部7’と、を備える。
このような本発明によれば、後述するように、インク吸収器1は、インクQの吸収限界に達した、使用済みのインク吸収体10を、新たな未使用のインク吸収体10に交換したい場合、離脱構造部7(補助構造部7’)によって、使用済みのインク吸収体10を容器本体9から容易に離脱させることができる。そして、空の容器本体9に、未使用のインク吸収体10を収納して、インク吸収器1を再使用することができる。このように、インク吸収器1は、インク吸収体10の交換作業を容易に行なうことができ、よって、その作業性を向上させることができるものとなっている。
なお、本明細書における「吸水」とは、水系溶媒に色材が溶解した水系インクを吸収することはもちろん、溶剤にバインダーが溶解した溶剤系インクや、UV照射により硬化する液状のモノマー中にバインダーが溶解したUV硬化性インクや、分散媒にバインダーが分散したラテックスインク等、インク全般を吸収することを言う。
図1に示す印刷装置200は、例えば、インクジェット式のカラープリンターである。この印刷装置200は、インクQを吐出するインク吐出ヘッド201と、インク吐出ヘッド201のノズル201aの目詰まりを防止するキャッピングユニット202と、キャッピングユニット202とインク吸収器1とを接続するチューブ203と、インクQをキャッピングユニット202からインク吸収器1に送るローラーポンプ204とを備えている。
インク吐出ヘッド201は、下方に向かってインクQを吐出するノズル201aを複数有している。このインク吐出ヘッド201は、PPCシート等のような記録媒体(図示せず)に対して移動しつつ、インクQを吐出して、印刷を施すことができる(図1中の二点鎖線で描かれたインク吐出ヘッド201参照)。
キャッピングユニット202は、インク吐出ヘッド201が待機位置にあるときに、ローラーポンプ204の作動により、各ノズル201aを一括して吸引して、ノズル201aの目詰まりを防止するものである。
チューブ203は、キャッピングユニット202を介して吸引されたインクQがインク吸収器1に向かって通過するものである。このチューブ203は、可撓性を有している。
ローラーポンプ204は、チューブ203の途中に配置され、ローラー部204aと、ローラー部204aとの間でチューブ203の途中を挟持する挟持部204bとを有している。ローラー部204aが回転することにより、チューブ203を介して、キャッピングユニット202に吸引力が生じる。そして、ローラー部204aが回転し続けることにより、ノズル201aに付着したインクQをインク吸収器1まで送り込むことができる。そして、このインクQは、廃液として、インク吸収器1で吸収される。なお、インクQには、種々の色のものが含まれている。
図1に示すように、インク吸収器1は、容器本体9に収納されたインク吸収体10を備えている。このインク吸収器1は、印刷装置200に対し、着脱自在に装着され、その装着状態で、前述したようにインクQの廃液吸収に用いられる。このように、インク吸収器1を、いわゆる「廃液タンク(廃インクタンク)」として用いることができる。そして、インク吸収体10のインクQの吸収量が限界に達したら、このインク吸収体10を、新たな(未使用の)インク吸収体10に交換することができる。なお、インク吸収体10のインクQの吸収量が限界に達したか否かについては、印刷装置200内の検出部(図示せず)によって検出される。また、インク吸収体10のインクQの吸収量が限界に達した場合には、その旨が、例えば、印刷装置200に内蔵されたモニター等の報知部により報知される。
インク吸収体10は、容器本体9内でインクQの吸収に用いられるものである。図1に示すように、インク吸収体10は、シート状をなし、複数枚重ねられた状態で容器本体9の収納空間93内に収納されている。これにより、インク吸収体10の枚数分だけ、インク吸収器1におけるインクQを吸収する吸収性能が増大する。
図6に示すように、インク吸収体10は、繊維20で構成されたシート状の繊維基材230と、繊維基材230に付着した(担持された)吸水性樹脂30とを含むものである。これにより、インクQを十分に吸収することができる。
吸水性樹脂30は、繊維基材230の少なくとも一方の面側(図6に示す構成では表側の面210および裏側の面220)に付着している。これにより、各インク吸収体10に対して、表側の面210側、裏側の面220側のどちら側にインクQが到達しても、そのインクQを吸水性樹脂30で吸収することができる。また、吸水性樹脂30が繊維基材230に対して露出した状態となるため、この吸水性樹脂30でインクQを迅速に吸収することができる。
なお、吸水性樹脂30は、表側の面210側と裏側の面220側とで、吸水性樹脂30の付着量が等しいのが好ましいが、異なっていてもよい。
また、吸水性樹脂30は、表側の面210側、裏側の面220側のいずれでも均一に配置分散されているのが好ましいが、それらの分散の程度に疎密があってもよい。
また、表側の面210側での吸水性樹脂30の分散の程度と、裏側の面220側での吸水性樹脂30の分散の程度とは、同じであるのがより好ましいが、異なっていてもよい。
また、繊維20により、インク吸収体10にインクQが付与された場合に、当該インクQを繊維20が一旦保持し、その後、吸水性樹脂30により効率よく送り込むことができ、インク吸収体10全体としてのインクQの吸収特性を向上させることができる。また、一般に、セルロース繊維等の繊維(特に、古紙由来の繊維)は、吸水性樹脂30に比べて安価であり、インク吸収体10の製造コストの低減の観点からも有利である。また、繊維20としては、古紙由来のものを好適に用いることができるため、廃棄物の削減、資源の有効活用等の観点からも有利である。
繊維20としては、例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の合成樹脂繊維;セルロース繊維、ケラチン繊維、フィブロイン繊維等の天然樹脂繊維やその化学修飾物等が挙げられ、これらを単独でまたは適宜混合して用いることができるが、セルロース繊維を主とするのが好ましく、ほぼ全部がセルロース繊維であるのがより好ましい。
セルロースは、好適な親水性を有する材料であるため、インク吸収体10にインクQが付与された場合に、当該インクQを好適に取り込むことができ、流動性が特に高い状態(例えば、粘度が10mPa・s以下の状態)を速やかに脱することができるとともに、一旦取り込んだインクQを、好適に吸水性樹脂30に送り込むことができる。その結果、インク吸収体10全体としてのインクQの吸収特性を特に優れたものとすることができる。また、セルロースは、一般に吸水性樹脂30との親和性が高いため、繊維20の表面に吸水性樹脂30をより好適に担持させることができる。また、セルロース繊維は、再生可能な天然素材で、各種繊維の中でも、安価で入手が容易であるため、インク吸収体10の生産コストの低減、安定的な生産、環境負荷の低減等の観点からも有利である。
なお、本明細書において、セルロース繊維とは、化合物としてのセルロース(狭義のセルロース)を主成分とし繊維状をなすものであればよく、セルロース(狭義のセルロース)の他に、ヘミセルロース、リグニンを含むものであってもよい。
また、インク吸収体10中において、繊維20は、例えば、綿状で含まれていてもよいし、シート状、短冊状、小片状等に成形されたものであってもよい。
繊維20の原料としては、例えば、古紙を用いてもよい。これにより、前述したような効果が得られるとともに、省資源の観点からも好ましい。また、繊維20の原料として古紙を用いる場合、当該古紙は、そのまま用いてもよいし、破砕処理を施した破砕物や、解繊処理を施した解繊物を用いてもよい。
繊維20の平均長さは、特に限定されないが、0.1mm以上7mm以下であるのが好ましく、0.1mm以上5mm以下であるのがより好ましく、0.1mm以上3mm以下であることがさらに好ましい。
繊維20の平均幅(径)は、特に限定されないが、0.5μm以上200μm以下であるのが好ましく、1.0μm以上100μm以下であるのがより好ましい。
繊維20の平均アスペクト比(平均幅に対する平均長さの比率)は、特に限定されないが、10以上1000以下であるのが好ましく、15以上500以下であるのがより好ましい。
以上のような数値範囲により、吸水性樹脂30の担持や、繊維20によるインクQの保持・当該インクQの吸水性樹脂30への送り込みをより好適に行うことができ、インク吸収体10全体としてのインクの吸収特性をより優れたものとすることができる。
吸水性樹脂30は、吸水性を有する樹脂であればよく、特に限定されないが、例えば、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、澱粉-アクリル酸グラフト共重合体、澱粉-アクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物、酢酸ビニル-アクリル酸エステル共重合体、イソブチレンとマレイン酸との共重合体等、アクリロニトリル共重合体やアクリルアミド共重合体の加水分解物、ポリエチレンオキサイド、ポリスルフォン酸系化合物、ポリグルタミン酸や、これらの塩(中和物)、架橋体等が挙げられる。ここで、吸水性とは、親水性を有し、水分を保持する機能を言う。吸水性樹脂30には、吸水するとゲル化するものが多い。
中でも、吸水性樹脂30は、側鎖に官能基を有する樹脂が好ましい。官能基としては、例えば、酸基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基等が挙げられる。
特に、吸水性樹脂30は、側鎖に酸基を有する樹脂であるのが好ましく、側鎖にカルボキシル基を有する樹脂であるのがより好ましい。
吸水性樹脂30を構成するカルボキシル基含有単位としては、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、フマル酸、ソルビン酸、ケイ皮酸やこれらの無水物、塩等の単量体から誘導されるものが挙げられる。
側鎖に酸基を有する吸水性樹脂30を含む場合、当該吸水性樹脂30中に含まれる酸基のうち中和されて塩を形成しているものの割合は、30mol%以上100mol%以下であるのが好ましく、50mol%以上95mol%以下であるのがより好ましく、60mol%以上90mol%以下であるのがさらに好ましく、70mol%以上80mol%以下であるのがもっとも好ましい。これにより、吸水性樹脂30(インク吸収体10)によるインクQの吸収性をより優れたものとすることができる。
中和の塩の種類は、特に限定されず、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニア等の含窒素塩基性物の塩等が挙げられるが、ナトリウム塩が好ましい。これにより、吸水性樹脂30(インク吸収体10)によるインクQの吸収性をより優れたものとすることができる。
側鎖に酸基を有する吸水性樹脂30は、インク吸収時に酸基同士の静電反発が起こり、吸収速度が速くなるため好ましい。また、酸基が中和されていると、浸透圧によりインクQが吸水性樹脂30内部に吸収され易くなる。
吸水性樹脂30は、酸基を含有していない構成単位を有していてもよく、このような構成単位としては、例えば、親水性の構成単位、疎水性の構成単位、重合性架橋剤となる構成単位等が挙げられる。
前記親水性の構成単位としては、例えば、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-n-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクレリート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N-ビニルピロリドン、N-アクリロイルピペリジン、N-アクリロイルピロリジン等のノニオン性化合物から誘導される構成単位等が挙げられる。
前記疎水性の構成単位としては、例えば、(メタ)アクリルニトリル、スチレン、塩化ビニル、ブタジエン、イソブテン、エチレン、プロピレン、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の化合物から誘導される構成単位等が挙げられる。
前記重合性架橋剤となる構成単位としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリルグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、ビスフェノールジアクリレート、イソシアヌル酸ジアクリレート、テトラアリルオキシエタン、ジアリルオキシ酢酸塩等から誘導される構成単位等が挙げられる。
吸水性樹脂30は、ポリアクリル酸塩共重合体またはポリアクリル酸重合架橋体を含有するのが好ましい。これにより、例えば、インクQに対する吸収性能が向上したり、製造コストを抑えることができる等の利点がある。
ポリアクリル酸重合架橋体としては、分子鎖を構成する全構成単位に占めるカルボキシル基を有する構成単位の割合が、50mol%以上のものが好ましく、80mol%以上のものがより好ましく、90mol%以上のものがさらに好ましい。
カルボキシル基を含有する構成単位の割合が少なすぎると、インクQの吸収性能を十分に優れたものとすることが困難になる可能性がある。
ポリアクリル酸重合架橋体中のカルボキシル基は、一部が中和(部分中和)されて塩を形成していることが好ましい。
ポリアクリル酸重合架橋体中の全カルボキシル基中に占める中和されているものの割合は、30mol%以上99mol%以下であるのが好ましく、50mol%以上99mol%以下であるのがより好ましく、70mol%以上99mol%以下であるのがさらに好ましい。
また、吸水性樹脂30は、前述した重合性架橋剤以外の架橋剤で架橋した構造を有していてもよい。
吸水性樹脂30が酸基を有する樹脂である場合、当該架橋剤としては、例えば、酸基と反応する官能基を複数持った化合物を好ましく用いることができる。
吸水性樹脂30が酸基と反応する官能基を有する樹脂である場合には、当該架橋剤として、分子内に酸基と反応する官能基を複数個有する化合物を好適に用いることができる。
酸基と反応する官能基を複数個有する化合物(架橋剤)としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル化合物;(ポリ)グリセリン、(ポリ)エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ポリオキシエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の多価アルコール類;エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンジアミン等の多価アミン類等が挙げられる。また、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム等の多価イオン類等も、吸水性樹脂30が有する酸基と反応して架橋剤として機能するため、好適に用いることができる。
吸水性樹脂30は、例えば、鱗片状、針状、繊維状、粒子状等、いかなる形状をなしていてもよいが、粒子状をなしているのが好ましい。吸水性樹脂30が粒子状をなしている場合には、インクQの浸透性を容易に確保することができる。また、繊維基材230(繊維20)に吸水性樹脂30を好適に担持させることができる。なお、この粒子の平均粒径は、15μm以上800μm以下であるのが好ましく、15μm以上400μm以下であるのがより好ましく、15μm以上50μm以下であるのがさらに好ましい。
なお、粒子の平均粒径としては、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定した体積平均の粒度MVD(Mean Volume Diameter)を用いることできる。レーザー回折・散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置、すなわち、レーザー回折式粒度分布測定装置では、粒度分布を体積基準で測定することができる。
また、繊維基材2に対する吸水性樹脂3は、5重量%よりも多く90%重量以下であるのが好ましく、20重量%以上70重量%以下であるのがより好ましく、40重量%以上55重量%以下であるのがさらに好ましい。
また、吸水性樹脂3の平均粒径をD[μm]、前記繊維の平均長さをL[μm]としたときに、0.15≦L/D≦467の関係を満足するのが好ましく、0.25≦L/D≦333の関係を満足するのがより好ましく、2≦L/D≦200の関係を満足するのがさらに好ましい。
また、インク吸収体10は、前述した以外の成分(その他の成分)を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、界面活性剤、潤滑剤、消泡剤、フィラー、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料等の着色剤、難燃剤、流動性向上剤等が挙げられる。
以上のような構成のインク吸収体10の平面視での形状は、本実施形態では四角形状(例えば長方形)であるのが好ましいが、これに限定さない。
また、インク吸収体10は、繊維基材230と吸水性樹脂30との間に中間層が設けられたものであってもよい。
図6に示すように、インク吸収体10には、その厚さ方向に貫通する貫通孔240が複数形成されている。各貫通孔240は、インクQが通過することができる、すなわち、インクQの通液性を確保することができる。これにより、容器本体9内で下方に向かって流れるインクQが途中でインク吸収体10で堰き止められるのが防止され、よって、容器本体9の奥(底部91)まで浸透することができる。これにより、各インク吸収体10で過不足なくインクQを吸収し、長期間保持することができる。
なお、貫通孔240の直径としては、特に限定されず、例えば、0.5mm以上5mm以下であるのが好ましく、1mm以上3mm以下であるのがより好ましい。
また、貫通孔240の配設密度は、インク吸収体10の面方向に沿って均一でもよいし、変化していてもよい。また、貫通孔240は、省略されていてもよい。
図1に示すように、インク吸収器1は、インク吸収体10を収納する収納空間93を有する容器本体9と、容器本体9に着脱自在に装着される蓋体8と、容器本体9(収納部)からインク吸収体10を離脱させる離脱構造部7と、を備えている。
容器本体9は、平面視で例えば四角形状をなす底部(底板)91と、底部91の各辺(縁部)から上方に向かって立設したから立設した4つの側壁部92とを有する箱状をなすものである。そして、底部91と、4つの側壁部92とに囲まれた収納空間93内に、インク吸収体10を収納することができる。
なお、容器本体9は、平面視で四角形状をなす底部91を有するものに限定されず、例えば、平面視で円形状をなす底部91を有し、全体が円筒状のものであってもよい。
また、容器本体9(収納空間93)の容積をV1とし、インクQを吸収する前(吸水前)のインク吸収体10の総体積をV2としたとき、V1とV2の比V2/V1は、0.1以上0.7以下であるのが好ましく、0.2以上0.7以下であるのがより好ましい(図1参照)。これにより、容器本体9内には、インク吸収体10の上側に空隙95が生じる。インク吸収体10は、インクQを吸収した後に一旦膨張する(膨潤する)。空隙95は、インク吸収体10が膨張した際のバッファーとなり、よって、インク吸収体10は、インクQを十分に吸収することができる。
本実施形態では、容器本体9は、硬質のものである、すなわち、容器本体9に内圧または外力が作用した場合に、容積V1が例えば10%以上変化しない程度の形状保持性を有するものである。これにより、容器本体9は、インク吸収体10がインクQを吸収した後膨張して、そのインク吸収体10からの力を内側から受けても、容器本体9自身の形状を維持することができる。これにより、印刷装置200内での容器本体9の設置状態が安定し、インク吸収体10がインクQを安定して吸収することができる。
容器本体9は、インクQを透過しない材料で構成されていれば、その構成材料は、特に限定されない。このような容器本体9の構成材料としては、例えば、環状ポリオレフィンやポリカーボネート等のような各種樹脂材料を用いることができる。また、容器本体9の構成材料としては、前記各種樹脂材料の他に、例えば、アルミニウムやステンレス鋼等のような各種金属材料を用いることができる。
なお、容器本体9は、硬質のものに限定されず、可撓性を有するもの(軟質のもの)、すなわち、容器本体9に内圧または外力が作用した場合に、容積V1が10%以上変化するものであってもよい。
また、容器本体9は、内部視認性を有する透明(半透明を含む)なもの、または、不透明なものいずれでもよい。
また、収納空間93内では、複数枚のインク吸収体10が底部91に対して伏倒して重ねられた状態となっているが、これに限定されない。例えば、複数枚のインク吸収体10が底部91に対して起立していてもよいし、伏倒したインク吸収体10と、起立したインク吸収体10とが混在していてもよい。
前述したように、インク吸収器1は、蓋体8を備えている。図1に示すように、蓋体8は、板状をなし、容器本体9の上部開口部94に嵌合(軽嵌合)することができる。この嵌合により、上部開口部94を液密的に封止することができる。これにより、例えば、インクQがチューブ203から排出されて落下した際に、インク吸収体10に衝突して跳ね上がった場合でも、そのインクQが外方に飛散するのを防止することができる。よって、インクQがインク吸収器1の周辺に付着して汚れるのを防止することができる。
蓋体8の中央部には、チューブ203が接続され、収納空間93内にインクQを供給するインク供給口(接続口)81が形成されている。インク供給口81は、蓋体8を厚さ方向に貫通した貫通孔で構成されている。そして、このインク供給口81(貫通孔)に、チューブ203の下流側の端部(下端部)を挿入して接続することができる。また、このとき、チューブ203の排出口(開口部)203aは、下方を向く。なお、インク供給口81は、蓋体8の中央部からズレた位置に形成されていてもよい。
また、蓋体8は、インクQを吸収する吸収性を有していてもよいし、インクQを弾く撥液性を有していてもよい。
蓋体8の厚さとしては、特に限定されず、例えば、1mm以上20mm以下であるのが好ましく、8mm以上10mm以下であるのがより好ましい。なお、蓋体8は、このような数値範囲の板状をなすものに限定されず、それよりも薄いフィムル状(シート状)ものであってもよい。この場合、蓋体8の厚さとしては、特に限定されず、例えば、10μm以上1mm未満であるのが好ましい。
前述したように、容器本体9(収納部)は、底部91と、底部91から立設した4つの側壁部92とを有している。そして、各側壁部92の内側には、底部91に対して傾斜した傾斜面(テーパー面)921が形成されている。対向する側壁部92同士は、傾斜面921の離間距離(間隔)が上方に向かって漸増している。
また、インク吸収器1は、容器本体9からインク吸収体10を離脱させる離脱構造部7を備えている。本実施形態では、離脱構造部7は、これらの傾斜面921で構成されている。これにより、後に述べるインク吸収体10の交換作業を容易に行なうことができ、その作業性が向上する。
なお、各傾斜面921の傾斜角度は、図1に示す構成では上下方向に沿って一定となっているが、これに限定されず、例えば、上下方向に沿って変化していてもよい。
また、離脱構造部7としての傾斜面921は、全ての側壁部92に設けられているのが好ましいが、これに限定されず、一部の側壁部92に設けられていてもよい。
次に、インク吸収体10を交換する過程について、図1~図5を参照しつつ説明する。
図1に示すように、インク吸収器1を使用し続けていく、すなわち、断続的または連続的に継続してインク吸収体10にインクQを吸収させていくと、いずれは、インク吸収体10は、インクQの吸収限界に達する。この場合、使用済みのインク吸収体10を、新たな未使用のインク吸収体10に交換するのが好ましい。
この交換作業を行なう際には、まず、図2に示すように、インク吸収器1のインク供給口81からチューブ203を抜去する。
次いで、図3に示すように、容器本体9から蓋体8を離脱させる。蓋体8は、前述したように容器本体9の上部開口部94に軽嵌合した状態となっているため、容器本体9からの離脱作業を容易に行なうことができる。
次いで、図4に示すように、容器本体9を上下反転させる。これにより、使用済みのインク吸収体10を容器本体9から離脱させることができる。また、容器本体9は、傾斜面921(離脱構造部7)によって、対向する側壁部92同士の離間距離(間隔)が上部開口部94側に向かって漸増している。これにより、容器本体9からのインク吸収体10の離脱が容易に行なわれる。なお、離脱したインク吸収体10は、廃棄される。
次いで、図5に示すように、新たな未使用のインク吸収体10を用意して、このインク吸収体10を容器本体9に収納するとともに、蓋体8を容器本体9に装着して組み立てる。これにより、再使用な可能なインク吸収器1が得られる。
以上のように、インク吸収器1は、インクQの吸収限界に達した、使用済みのインク吸収体10を、新たな未使用のインク吸収体10に交換したい場合、離脱構造部7によって、使用済みのインク吸収体10を容器本体9から容易に離脱させることができる。そして、空の容器本体9に、未使用のインク吸収体10を収納して、インク吸収器1を再使用することができる。このように、インク吸収器1は、インク吸収体10の交換作業を容易に行なうことができ、よって、その作業性を向上させることができるものとなっている。
また、本発明(本実施形態)では、離脱構造部7は、容器本体9(収納部)からインク吸収体10を取り出す(離脱させる)際、インク吸収体10の取り出しを補助する「補助構造部7’」と言うこともできる。これにより、使用済みのインク吸収体10を容易に取り出すことができ、その後、新たなインク吸収体10に交換することができる。
<第2実施形態>
図7は、本発明のインク吸収器(第2実施形態)が備えるインク吸収体の拡大詳細垂直断面図である。
以下、この図を参照して本発明のインク吸収器の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、インク吸収体の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
図7に示すように、本実施形態では、吸水性樹脂30は、繊維基材230の厚さ方向の途中に存在している。つまり、吸水性樹脂30は、繊維基材230の中に分散して存在している。これにより、インクQをできる限りインク吸収体10の厚さ方向の中央部側に保持する(吸収する)ことができ、よって、インクQの保持状態を長期的に維持することができる。また、繊維基材230からの吸水性樹脂30の脱落(脱離)も防止することができる。
なお、吸水性樹脂30は、厚さ方向に均一に分散されていてもよいし、繊維基材230の表側の面210または裏側の面220に偏在していてもよい。
また、図4に示す構成との組み合わせ、すなわち、吸水性樹脂30が、繊維基材230の少なくとも一方の面側(表側の面210や裏側の面220)にも存在して(付着して)いてもよい。
<第3実施形態>
図8は、本発明のインク吸収器(第3実施形態)を示す垂直断面図である。
以下、この図を参照して本発明のインク吸収器の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、離脱構造部(補助構造部)の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
前述したように、容器本体9(収納部)は、底部91と、底部91から立設した側壁部92とを有している。
図8に示すように、本実施形態では、離脱構造部7(補助構造部7’)は、容器本体9の各側壁部92の内側に設けられ、容器本体9(収納部)からインク吸収体10を離脱させる際のインク吸収体10との摩擦を低減させる低摩擦層71で構成されている。これにより、容器本体9からのインク吸収体10の離脱が容易に行なわれ、よって、その後の、新たなインク吸収体10への交換も容易に行なうことができる。
なお、低摩擦層71を構成する低摩擦材料としては、特に限定されず、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等の各種樹脂材料を用いることができる。
また、低摩擦層71は、例えば、前記構成材料を側壁部92に塗布してなる塗膜で構成されたものであってもよいし、前記構成材料で構成されたフィルムを側壁部92に接合したしたものであってもよい。
また、低摩擦層71は、全ての側壁部92に設けられているのが好ましいが、これに限定されず、一部の側壁部92に設けられていてもよい。
また、側壁部92には、前記第1実施形態で述べた傾斜面921が形成されていてもよい。この場合、傾斜面921上に低摩擦層71が形成されているのが好ましい。
<第4実施形態>
図9~図14は、それぞれ、本発明のインク吸収器(第4実施形態)の使用状態からインク吸収体を交換するまでの過程を順に示す垂直断面図である。
以下、これらの図を参照して本発明のインク吸収器の第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、離脱構造部(補助構造部)の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
図9~図14に示すように、本実施形態では、離脱構造部7(補助構造部7’)は、インク吸収体10が複数枚重ねられた状態で一括して載置される載置部72と、載置部72に連結され、容器本体9(収納部)からインク吸収体10を離脱させる際に把持される把持部73とを有している。
載置部72は、板状をなし、容器本体9内では、底部91上に重なって配置されている。そして、この載置部72上に、複数枚のインク吸収体10を重ねた状態で一括して載置することができる。
把持部73は、載置部72の中央部から上方に向かって突出形成された突出部で構成されている。この把持部73は、外径(横断面形状)が上方に向かって漸減した柱状をなす、すなわち、本実施形態では円錐状をなす。これにより、把持部73は、インク吸収体10に下側から突き刺さった状態となり、インク吸収体10に対する係合力が増加する。これにより、容器本体9内での位置決めがなされる。また、把持部73は、前記重ねられた状態の複数枚のインク吸収体10を挿通しており、頂部731がインク吸収体10から露出している。
このような構成の離脱構造部7は、後述するように、容器本体9(収納部)からインク吸収体10を離脱させる際、把持部73を把持して、そのまま上方に向かって引き出せば、インク吸収体10とともに容器本体9(収納部)から離脱することができる。これにより、インク吸収体10の交換を容易に行なうことができる。
なお、把持部73は、載置部72と一体的に形成されたものであってもよいし、載置部72と別体で構成され、この別体を載置部72に接合したものであってもよい。
また、把持部73を構成する突出部の形成数は、本実施形態では1つであるが、これに限定されず、例えば、2つ以上であってもよい。
ところで、インク吸収体10は、インクQを吸収した後に一旦膨張するが、その後、経時的に乾燥していく。そして、インク吸収体10は、この乾燥した部分だけ収縮することとなる。このとき、インク吸収体10は、容器本体9に接している部分、すなわち、容器本体9の側壁部92側から収縮する傾向にある(図10参照)。収縮したインク吸収体10は、側壁部92との間に間隙101が生じる。この間隙101の大きさによっては、インク吸収体10は、例えば印刷装置200による印刷時の振動等により、容器本体9内で移動し易くなり、結果、インクQの滴下位置に位置していない状態となるおそれがある。この場合、インク吸収体10でインクQを迅速に吸収することができなかったり、また、インクQを十分に吸収することができなかったりする等の不具合が生じることが懸念される。
そこで、インク吸収器1は、このような不具合を解消するよう構成されている。以下、この構成および作用について、説明する。
前記のように、各インク吸収体10は、含水率の低下に伴って収縮する、すなわち、インクQを吸収した後に乾燥する際に収縮するものである。
また、把持部73は、複数枚のインク吸収体10に一括して挿入され、各インク吸収体10に接するものであり、各インク吸収体10と係合した状態(以下この状態を「係合状態」と言う)となっている。
そして、前記収縮したインク吸収体10は、側壁部92との間に間隙101が生じて、容器本体9内で移動し易くなりそうであるが、把持部73が係合状態にあることにより、容器本体9内での移動が抑制(規制)される。把持部73は、インク吸収体10が容器本体9(収納部)から離脱する前の状態では、インク吸収体10の収縮に伴う容器本体9(収納部)内での移動を抑制する機能を有する。これにより、インク吸収体10は、収縮したとしても、インクQの滴下位置に位置し続けることができ、よって、インクQを迅速かつ十分に吸収することができる。
前述したように、把持部73は、インク吸収体10に挿入され、インク吸収体10に接するものである。この把持部73は、インク供給口81からインクQが供給される供給方向(落下方向)の延長線上に位置している。また、把持部73の頂部731は、インク吸収体10から露出している。これにより、図9に示すように、インク供給口81から供給されたインクQは、把持部73の外周部732を伝わって、インク吸収体10の奥側に導かれていくことができる。このように把持部73は、インク吸収体10が容器本体9(収納部)から離脱する前の状態では、インクQをインク吸収体10に導く導液機能を有する。これにより、インク吸収体10の奥側までインクQを十分に吸収する(浸透させる)ことができ、よって、インク吸収体10のインク吸収機能を長期的に過不足なく発揮することができる。
次に、インク吸収体10を交換する過程について、図11~図14を参照しつつ説明する。
図11に示すように、インク吸収器1のインク供給口81からチューブ203を抜去するとともに、容器本体9から蓋体8を離脱させる。
次いで、図12に示すように、把持部73の頂部731側を把持して、そのまま上方に向かって引き出す。これにより、容器本体9から離脱構造部7をインク吸収体10ごと離脱させることができる。また、このとき、インク吸収体10と容器本体9の側壁部92との間に間隙101が形成されているため、離脱構造部7の引き出し作業を円滑におこなうことができる。
次いで、図13に示すように、離脱構造部7を上下反転させる。これにより、使用済みのインク吸収体10を離脱構造部7から離脱させることができる。
次いで、図14に示すように、新たな未使用のインク吸収体10を複数枚用意して、これらのインク吸収体10を把持部73に突き刺しつつ、載置部72上に載置する。そして、離脱構造部7とともにインク吸収体10を容器本体9に収納し、蓋体8を容器本体9に装着して組み立てる。これにより、再使用な可能なインク吸収器1が得られる。
このように、本実施形態では、離脱構造部7は、容器本体9(収納部)に対しインク吸収体10を離脱させて回収(移動)可能に構成されている。これにより、例えば、容器本体9が比較的重く、前記第1実施形態のようにインク吸収体10の離脱時に容器本体9を上下反転するのが困難な場合には、離脱構造部7を本実施形態のような構成とすることにより、インク吸収体10の離脱作業を容易に行なうことができる。
また、本実施形態では、使用済みのインク吸収体10を離脱構造部7から離脱させて廃棄していたが、これに限定されない。例えば、使用済みのインク吸収体10を離脱構造部7から離脱させずに、離脱構造部7ごと廃棄してもよい。この場合、未使用のインク吸収体10は、予め離脱構造部7に載置されており、この離脱構造部7ごと、容器本体9に収納される、すなわち、装填されるのが好ましい。
また、側壁部92には、前記第1実施形態で述べた傾斜面921が形成されていてもよい。この場合、傾斜面921上に、前記第3実施形態で述べた低摩擦層71が形成されていてもよい。
<第5実施形態>
図15~図17は、それぞれ、本発明のインク吸収器(第5実施形態)の使用状態からインク吸収体を交換するまでの過程を順に示す垂直断面図である。
以下、これらの図を参照して本発明のインク吸収器の第5実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、離脱構造部(補助構造部)の構成が異なること以外は前記第4実施形態と同様である。
容器本体9とともに、インク吸収体10を収納する収納部を構成する蓋体8は、前述したように、容器本体9の内部にインクQを供給するインク供給口81を有している。
図15~図17に示すように、本実施形態では、把持部73は、管状をなすものとなっている。そして、この把持部73は、インク吸収体10が容器本体9(収納部)から離脱する前の状態では、収納空間93内に位置し、収納空間93内に供給されたインクQを容器本体9(収納部)の底部91に導く導液空間733を形成する導液管となる。また、把持部73は、インク供給口81からインクQが供給される供給方向の延長線上に位置し、上部開口部734がインク供給口81に臨んで開口している。このような把持部73により、インク供給口81から供給されたインクQは、上部開口部734を介して、把持部73内、すなわち、導液空間733を通過して、容器本体9の底部91側に迅速かつ円滑に導かれることとなる。
インク吸収体10にインクQを吸収させる際には、そのインクQをインク吸収体10のできる限り奥側、すなわち、底部91側に到達させ、そこから吸収させていくのが好ましい。これにより、できる限り容器本体9内の複数枚のインク吸収体10全体にわたって、インクQを浸透させることができ、よって、これらのインク吸収体10を無駄なく使用することができる。そのため、導液管として機能する把持部73を備える構成は、このような効果を奏するのに適した構成となっている。
また、インク吸収体10は、インク吸収時には膨張し、乾燥時には収縮する特性を有している。把持部73は、このような膨張と収縮とが繰り返されたとしても、それによって変形するのが防止される程度の剛性を有している。これにより、長期的に安定して、インクQを容器本体9の底部91側に導くことができる。
導液管である把持部73の管壁735には、導液空間733と収納空間93とを連通する連通部736が形成されている。本実施形態では、連通部736は、管壁735を貫通して形成された複数の小孔737で構成されている。これらの小孔737は、把持部73(管壁735)の周方向に沿って等間隔に配置され、把持部73の中心軸方向(図2、図3中の上下方向)に沿っても等間隔に配置されている。なお、把持部73の周方向に沿った間隔と、把持部73の中心軸方向に沿った間隔とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
例えばインク供給口81からのインクQの供給量や供給速度の大きさによっては、インクQが導液空間733を経てさらに流下する(拡散空間41に流入する)過程で、導液空間733内で一時的に滞留する場合がある。この場合、前記滞留した分が複数の小孔737の内の少なくとも1つの小孔737を介して、インク吸収体10に吸収される。これにより、導液空間733内でのインクQの滞留を抑制することができ、よって、インクQの迅速かつ十分な吸収が可能となる。
把持部73の周方向に沿った小孔737の形成数は、本実施形態では4つとなっている。この場合、4つの小孔737は、それぞれ、容器本体9の各側壁部92側に臨んでいるのが好ましい。
なお、把持部73の周方向に沿った小孔737の形成数は、本実施形態では4つであるが、これに限定されず、例えば、2つ、3つまたは5以上であってもよい。
また、各小孔737の形状は、本実施形態では円形であるが、これに限定されず、例えば、楕円形であってもよいし、四角形等のような多角形であってもよい。
また、連通部736を構成するものは、小孔737に限定されず、例えば、スリットであってもよい。
図15に示すように、インク吸収器1は、導液空間733に連通し、導液空間733を通過してきたインクQを、容器本体9の底部91から側壁部92に沿って拡散させる拡散空間41を形成する拡散部4を備えている。これにより、容器本体9の底部91や側壁部92側からもインクQが導液空間733に流入することができ、よって、インク吸収体10によるインクQの迅速かつ十分な吸収がさらに可能となる。このようにインク吸収器1は、インクQを多方向から吸収することができるよう構成されている。
拡散部4は、拡散空間41と収納空間93とを区切る隔壁部42と、隔壁部42を容器本体9に対して支持する支持部44とを有している。隔壁部42は、容器本体9の底部91に間隙を介して対向する第1隔壁421と、各側壁部92に間隙を介して対向する第2隔壁422とで構成されている。なお、本実施形態では、載置部72が第1隔壁421を兼ねている。そして、底部91と第1隔壁421との間の空間と、側壁部92と第2隔壁422との間の各空間とが連通して、拡散空間41を構成している。
また、隔壁部42、すなわち、第1隔壁421と各第2隔壁422とには、拡散空間41と収納空間93とを連通する連通部(第2連通部)43が形成されている。この連通部43は、隔壁部42を貫通して形成された複数の小孔431で構成されている。これらの小孔431は、各隔壁において、その面方向に均一に配置されている。このような小孔431で構成された連通部43により、拡散空間41内で拡散されたインクQは、いずれの小孔431からも導液空間733に流入して、その後迅速にインク吸収体10に吸収されることとなる。特に、第1隔壁421に形成された小孔431により、インクQをインク吸収体10のできる限り奥側から優先的に吸収させていくことができるため、インク吸収に好ましい構成となっている。なお、第1隔壁421での小孔431の配設密度と、各第2隔壁422での小孔431の配設密度とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
支持部44は、側壁部92と第2隔壁422との間に配置され、これらを連結している。これにより、隔壁部42を容器本体9に対して支持することができ、よって、拡散空間41を確保することができる。
次に、インク吸収体10を離脱させる過程について、図16、図17を参照しつつ説明する。
チューブ203が抜去された蓋体8を、図16に示すように、容器本体9から離脱させる。
次いで、図17に示すように、把持部73の上部開口部734側を把持して、そのまま上方に向かって引き出す。これにより、容器本体9から離脱構造部7をインク吸収体10ごと離脱させることができる。
その後は、前述したように、使用済みのインク吸収体10を離脱構造部7から離脱させて、未使用のインク吸収体10に交換すれば、再使用な可能なインク吸収器1が得られる。
<第6実施形態>
図18~図20は、それぞれ、本発明のインク吸収器(第6実施形態)の使用状態からインク吸収体を交換するまでの過程を順に示す垂直断面図である。図21は、図18~図20に示すインク吸収器が備えるインク吸収体の拡大詳細図である。
以下、これらの図を参照して本発明のインク吸収器の第6実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、離脱構造部(補助構造部)の構成が異なること以外は前記第4実施形態と同様である。
図18~図20に示すように、本実施形態では、インク吸収体10は、全体として綿状をなすものである。また、図21に示すように、インク吸収体10を拡大してみると、そのインク吸収体10は、互いに絡み合った繊維20と、繊維20に付着した(担持された)吸水性樹脂30とを含んでいる。なお、繊維20同士は、バインダー(図示せず)を介して、互いに接合されているのが好ましい。このような綿状のインク吸収体10は、インク吸収性が高まり、インクQの吸収を促進することができる。
また、本実施形態では、離脱構造部7(補助構造部7’)は、インク吸収体10を収納した状態で、インク吸収体10とともに容器本体9(収納部)に収納される内側収納部74を有している。図20に示すように、この内側収納部74は、容器本体9(収納部)からインク吸収体10を離脱させる際、インク吸収体10とともに容器本体9(収納部)から離脱することができる。これにより、インク吸収体10の交換を容易に行なうことができる。
なお、内側収納部74は、本実施形態では容器本体9よりも軟質の袋体で構成されているが、これに限定されず、例えば、容器本体9と同様に硬質な箱体で構成されていてもよい。
次に、インク吸収体10を離脱させる過程について、図19、図20を参照しつつ説明する。
チューブ203が抜去された蓋体8を、図19に示すように、容器本体9から離脱させる。
次いで、図20に示すように、内側収納部74(袋体)上部の縁部741を把持して、そのまま上方に向かって引き出す。これにより、容器本体9から内側収納部74をインク吸収体10ごと離脱させることができる。
その後は、未使用のインク吸収体10が予め収納された内側収納部74を容器本体9に収納すれば、再使用な可能なインク吸収器1が得られる。
以上、本発明のインク吸収器を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、インク吸収器を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明のインク吸収器は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
また、インク吸収体は、前記第1実施形態~第5実施形態ではシート状をなし、第6実施形態では綿状をなすものとなっているが、これに限定されず、例えば、前記第1実施形態~第5実施形態で述べたシート状よりも小さい小片状(短冊状)をなすものであってもよい。