JP2019171271A - 塗布装置、塗布方法およびディスプレイ用部材の製造方法 - Google Patents

塗布装置、塗布方法およびディスプレイ用部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 スリットノズルやブレードなどの塗布先端部が一方向に延在した塗布ヘッドを用いての非接触の塗布において、基材表面に接触することなく塗布ヘッドと基材表面間の間隔を塗布先端部が延在する方向にわたって高精度かつ容易に短時間で設定でき、さらに塗布の途中でもこの間隔を高精度に調整可能とする。【解決手段】 一方向に延在する塗布先端部を備える塗布ヘッド、塗布液供給手段、基材を保持する基材保持手段、前記塗布ヘッドの前記塗布先端部と前記基材の被塗布面とを略一定間隔、かつ、略平行に調整可能に前記塗布ヘッドを支持する塗布ヘッド保持手段を有し、該塗布ヘッド保持手段はさらに、塗布ヘッドの両側に、前記基材の被塗布面などに対してその気体噴出面から気体を噴出して所定の間隔で離間せしむる気体噴出手段および前記塗布ヘッドの前記塗布先端部と前記気体噴出面との相対距離を調節できる位置調整手段を有する塗布装置とする。【選択図】図1

Description

この発明は、例えば液晶ディスプレイ用カラーフィルタ、有機EL等のディスプレイ用部材、また、光学フィルター、プリント基板、集積回路、半導体等の分野において、ガラス基板などの枚葉基材やフィルムなどの連続した基材の表面に非接触で塗布液を塗布するための塗布装置および塗布方法、並びに本塗布方法を使用したディスプレイ用部材の製造方法に関する。
カラー液晶ディスプレイは、カラーフィルタ、TFT用アレイ基板などにより構成されている。カラーフィルタ、TFT用アレイ基板の製造には、低粘度の液体材料を塗布して乾燥させ、塗布膜を形成する製造工程が多く含まれている。
たとえば、カラーフィルタの製造工程では、ガラス基板上に黒色のフォトレジスト材の塗布膜を形成し、フォトリソ法により塗布膜を格子状に加工した後に、格子間に赤色、青色、緑色のフォトレジスト材の塗布膜を順次形成していく。
このような塗布膜をガラス基板等の基材表面上に、定められた厚さで精密に、しかも非接触で形成する手段としてはおおきく2つの手段が挙げられる。ひとつはポンプ等により前計量された量の塗布液を塗布ヘッドであるスリットノズルから、基材表面上に塗布液を吐出して所定厚さの塗布膜を形成するスリットコータ(例えば特許文献1)である。もうひとつは、あらかじめ余剰に供給された塗布液を別の塗布ヘッドであるブレードにより正確に掻きとって、後計量により所定厚さの塗布膜を形成するブレードコータ(例えば特許文献2)である。特にブレードコータによる塗布では、ブレード先端と被塗布面である基材表面間の間隔の半分の間隔が塗布膜の厚さとなるので、塗布膜の厚さが所望とする厚さと異なっているときは、所望の厚さになるようにブレード先端と基材表面間の間隔を調整することが必要となる。すなわちブレードコータでは、前記の間隔をいかに精度よく、しかも容易に短時間で設定できるかが、高品質で安定連続多量製造を行う場合のポイントとなる。
一方、スリットコータによる塗布は前計量方式なので、吐出口と基材表面との間隔が塗布膜の厚さに直接的に影響を及ぼすことはない。しかし、生産性を高めるために高速で塗布を行う場合には、この間隔を小さくすることが求められる。特に厚さ10μm以下の薄い塗布膜を、100mm/s以上の高速で形成するには、この間隔は大きくても数10μm以下であることが必要となる。そのような小さな間隔を精度よく維持することが必要であるし、また一方、塗布液の物性が経時的に変化することもあって、同じ製造速度で塗布していたとしてもこの間隔の調整が必要となる。
求められている塗布ヘッドと基材表面間の間隔を、基材表面を基準面として非接触で設定できる手段としては、エアーベアリング等から構成されるエアー浮上手段からの気体の噴出で、基材表面上から塗布ヘッド(ノズル)を浮上させるもの(例えば特許文献3)、エアー浮上手段に拠っては数μmしか浮上させないが、エアー浮上手段と塗布ヘッドの先端間に距離(オフセット量)を設けて、基材表面と塗布ヘッドの先端間の間隔を確保するもの(例えば特許文献4)等がある。いずれも、エアー浮上手段の浮上量を変化させることで上記の間隔も変化して調整できるが、浮上量が10μm以上に大きくなっていくと浮上量の変動量も大きくなり、ミクロン単位での調整は困難である。
気体により浮上している基材の両端を、さらに垂直精密ステージからなるパッド高さ調整部で微量に上下させて調整するもの(例えば特許文献5)も知られている。この場合、塗布ヘッドは固定で、基材の上下位置を変化させて間隔を調整することになるが、基材の両端の調整量が大きくなると、基材中央部の気体による浮上量が追従できず、基材中央と両端で間隔が異なってしまう不都合がある。
以上公知の技術では、基材表面に接触することなく、塗布ヘッドと基材表面間の間隔を高精度かつ容易に短時間で設定でき、さらに塗布の操作の実行途中でもこの間隔をミクロン単位のレベルで調整できるものはない、というのが実状である。
特開平6−339656号公報 特開2011−161424号公報 特開平10−192764号公報 特開2014−180603号公報 特開2012−204500号公報
本発明は、上述の事情に基づいて行ったもので、その目的とするところは、スリットノズルやブレードなどの塗布が行われる塗布先端部が一方向に延在した塗布ヘッドを用いた基材に非接触で行う塗布液の塗布において、基材表面に接触することなく塗布ヘッドと基材表面間の間隔を、塗布先端部が延在する方向にわたって高精度かつ容易に短時間で設定でき、さらに塗布液の塗布途中でもこの間隔を高精度に調整可能とする塗布装置および塗布方法、並びにこの塗布方法用いたディスプレイ用部材の製造方法を提供することにある。
上記本発明の目的は、以下に述べる手段によって達成される。
本発明に係る塗布装置は、一方向に延在した塗布先端部を備える塗布ヘッドと、前記塗布ヘッドに塗布液を供給する塗布液供給手段と、前記塗布ヘッドの前記塗布先端部に相対して基材を保持する基材保持手段と、前記塗布ヘッドの前記塗布先端部と前記基材の被塗布面とを略一定間隔、かつ、略平行に調整可能に前記塗布ヘッドを支持する塗布ヘッド保持手段とを有し、該塗布ヘッド保持手段は、前記塗布ヘッドの両側に、気体を噴出するその気体噴出面と前記基材の被塗布面または前記基材を支持する部材の面または該部材上に載置される別部材の面を気体の噴出により所定の間隔で離間せしむる気体噴出手段、および、前記塗布ヘッドの前記塗布先端部と前記気体噴出面との相対距離を変更可能に前記気体噴出手段の前記塗布ヘッド保持手段内での前記塗布ヘッドに対する相対位置を調節できる位置調整手段を有することを特徴とする。
また、前記基材保持手段は、基材を吸着して保持する吸着盤であること、また、前記基材保持手段は、基材をその外周面に抱かせることによって該基材を保持するロール状の部材であること、が好ましい。
また、本発明に係る塗布方法は、前記の塗布装置を用い、略一定の速度で上記気体噴出手段から気体を噴出するとともに、前記位置調整手段によって前記気体噴出手段の前記塗布ヘッド保持手段内での前記塗布ヘッドに対する相対位置を調節しつつ、前記塗布ヘッドから前記基材の被塗布面に対して塗布液を吐出して基材に塗布液を塗布する塗布液の塗布方法である。
また、本発明にかかるディスプレイ用部材の製造方法は、前記の塗布方法を用いての塗布液の塗布工程が含まれることを特徴とする。
本発明によれば、気体噴出手段からの略一定速度での気体の噴出によって安定して一定の離間距離を保てるとともに前記の位置調整手段によって気体噴出手段の塗布ヘッド保持手段内での前記塗布ヘッドに対する相対位置を調整できるので、基材表面に接触することなく、基材の被塗布面と塗布ヘッドの塗布先端部との間隔を高精度かつ容易に短時間で設定できる。また設定後も、この間隔を精度良く一定に保つことや、所望の間隔に調整することができる。
また、好ましくはこの間隔を小さい値にて精度良く維持・調整できるのでスリットコータにあっては高速での安定した塗布が可能となる。
本発明に係る塗布装置の例の概略正面図である。 図1に示す塗布装置の概略側面図である。 別の塗布ヘッドを用いた本発明の実施態様を示す概略拡大正面図である。 本発明に係る別の塗布装置の態様を示す概略正面図である。 本発明に係るさらに別の塗布装置の態様を示す概略側面図である。
以下、本発明について、図面を参照して具体的な例を挙げつつ説明する。ただし、本発明はこの例に限定して解釈されるものではなく、本発明の目的・効果を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
図1は、本発明に係る塗布装置1の概略正面図、図2は塗布装置1の概略側面図である。
なお、この図1は、図2におけるY1−Y1に対応しての矢視図であり、従って、塗布ヘッド内の構造も図示されている。また、図2のY1−Y1を挟んでY軸方向に一対で存在する構成については、図2で矢視される方向に存在する構成が図1に表されている。
図1と図2に図示される塗布装置1は、基材保持手段に対応する吸着保持台20と該吸着保持台20を自在にX方向に移動させる手段を具備した基材保持・駆動部2、吸着保持台20に吸着保持されている基板Aに塗布液を塗布する塗布ヘッド10と、間隔調整手段に対応する塗布ヘッド10の両側面側に存する1対の間隔調整部9A、9Bと、および、吸着保持台20側に向かって気体を噴出する気体噴出手段に対応するエアーベアリング3A、3Bを保持する塗布ヘッド保持手段に対応する共通保持部4、を有している。また、この共通保持部4はY−Z面内で揺動運動(ある範囲内の往復動)させるYZ揺動機構5と、X−Z面内で揺動運動させるXZ揺動機構6に拠って支持されている。さらにXZ揺動機構6の一部に係合している昇降機構7によって、共通保持部4に保持されている塗布ヘッド10を大まかではあるが任意位置へ昇降することが可能である。また、塗布ヘッド10には塗布液を供給する塗布液供給装置8が流体的に連結されている。
なお、この例において、基材保持・駆動部2は符号20〜23の機素群で示され、共通保持部4は符号40〜43の機素群で示され、YZ揺動機構5は符号50〜54の機素群で示され、XZ揺動機構6は符号60〜64の機素群で示され、昇降機構7は符号71〜73の機素群で示され、塗布液供給装置8は符号80〜89の機素群で示され、間隔調整部9A、9Bは符号91〜99の機素群で示され、塗布ヘッド10は符号11〜17の機素群で示されている。
以上の構成を説明した塗布装置1で塗布等を行うための動作は、図示されていないコンピュータからなる制御装置により制御される。
次に、塗布装置1を構成する各部分の詳細について、引き続いて図1、2を参照しながら説明する。まず、基材保持・駆動部2は、幅WAの基板Aを吸着保持する吸着保持台20、吸着保持台20をリニア軸受23を介してX方向(図1の矢印方向)に案内する1対のガイドレール22A、22B、ガイドレール22A、22Bを固定支持するベース台21より構成されている。そして吸着保持台20は、図示されていないリニアモータで駆動されて、X方向に自在に往復動することができる。
次に、塗布装置1の例では、吸着保持台20に吸着保持されている基板Aに塗布液を塗布する塗布ヘッド10は、スリットノズルであり、Y方向に延在するフロントリップ11とバックアップリップ12がシム13を間に挟んでX方向に締結固定されている。そして、塗布先端部となる先端面17は基材である基板Aに対向している。塗布液供給装置8から供給ホース85Dを介して塗布ヘッド10に供給される塗布液は、塗布ヘッド10の内部のマニホールド14で幅方向(Y方向)に広がりスリット15を経て、最下面となる先端面17にある吐出口16から基板A上に均一に吐出される。そして、この塗布ヘッド10においては塗布先端部である先端面17も一方向(Y方向)に延在する。
なお、塗布装置1の例では、塗布液供給装置8は、塗布ヘッド10に塗布液を供給する塗布液供給手段であり、供給ホース85Dの上流側に、フィルター86、供給バルブ84D、シリンジポンプ80、吸引バルブ84U、吸引ホース85U、タンク87を備えている。タンク87には塗布液88が蓄えられており、圧空源89に連結されて任意の大きさの背圧を塗布液88に付加することができる。タンク87内の塗布液88は、吸引ホース85Uを通じてシリンジポンプ80に供給される。
シリンジポンプ80では、シリンジ81、ピストン82が本体83に取り付けられている。ここでピストン82は図示しない駆動源によって上下方向に自在に往復動できる。シリンジポンプ80は、一定の内径を有するシリンジ81内に塗布液88を充填し、それをピストン82により押し出して、塗布ヘッド10に基板Aを所定枚塗布する分の塗布液を供給する間欠駆動定容量型のポンプである。
シリンジ81内に塗布液88を充填するときは、吸引バルブ84Uを開、供給バルブ84Dを閉として、ピストン82を下方に移動させる。またシリンジ81内に充填された塗布液88を塗布ヘッド10に向かって供給するときは、吸引バルブ84Uを閉、供給バルブ84Dを開とし、ピストン82を上方に移動させる。
塗布装置1の例では、シリンジポンプ80から塗布液が供給される塗布ヘッド10は、吐出口16を下向きにして、共通保持部4の保持板40にスペーサ41を介して保持されている。スペーサ41は、塗布ヘッド10の上下方向寸法が異なる場合でも、保持板40の保持面42から塗布ヘッド10の先端面17までの長さを一定に保つための寸法調整具として用いられている。保持板40の保持面42には最下部にエアーベアリング3A、3Bを備える1対の間隔調整部9A、9Bのブラケット95A、95Bも保持されている。ここでエアーベアリング3A、3Bは、塗布ヘッド10の両側面側、すなわちY方向での両側、に配置されている。保持板40はさらに、中央部に固定された回転軸受43を介して、YZ揺動機構5のX軸回転軸51にX軸回りに回転自在に保持されている。したがって保持板40は、Y−Z面内でX軸回転軸51を中心とした揺動運動を行うことができる。これに伴って、保持板40に保持されている塗布ヘッド10、間隔調整部9A、9Bも、Y−Z面内でX軸回転軸51を中心とした揺動運動を行うことができる。
さらにYZ揺動機構5で、X軸回転軸51はL型形状でY方向に延びるL型ブラケット50に固定されている。L型ブラケット50にはまた、1対のスプリングプランジャー52A、52Bが取り付けられている。スプリングプランジャー52A、52Bは、L型ブラケット50に固定されている本体53A、53Bに対し、可動子54A、54Bがばねの作用により上下方向に伸縮する。可動子54A、54Bの先端は保持板40の上面に接触しており、L型ブラケット50はその構成上常に水平を保っている。したがって、保持板40で保持するものにX軸回転軸51を中心とした重さのわずかなアンバランスがあっても、スプリングプランジャー52A、52Bのばねの作用により、保持板40とその保持物は重い方に傾かず、略水平を保つことができる。
L型ブラケット50のY方向の一端は、XZ揺動機構6のアーム60のX方向端部に締結固定されている。アーム60は、2つのピロー軸受62にY軸回りに回転自在に保持されているY軸回転軸61に連結固定されているので、アーム60はこれに固定されているL型ブラケット50とともに、X−Z面内でY軸回転軸61を中心とした揺動運動を行うことができる。なおピロー軸受62は、その最下部が図示されていない架台に固定されている。Y軸回転軸61にはまた、アーム60が連結固定されている端部のY方向逆側端部で、ウェイトアーム63が連結固定されている。ウェイトアーム63のX方向端部には錘64が保持されているので、錘64によってY軸回転軸61回りの荷重調整を行うことができる。
さらにアーム60には、昇降機構7のカムフォロアー71が固定されている。昇降機構7は、カムフォロアー71にモータ73で随意に回転させることができるカム72を係合(接触)/非係合(離接)させる構成をしている。したがってモータ73でカム72を図1の実線の状態から一点鎖線の状態まで回転させると、カム72とカムフォロアーが係合し、カム72の外形形状に従ってカムフォロアー71とともにアーム60を、Y軸回転軸61回りに揺動させることができる。このY軸回転軸61回りの揺動は、アーム60の上下方向の往復動となるので、その結果として、アーム60の先にL型ブラケット50等を介して連結されている塗布ヘッド10が上下方向に昇降できることになる。なおモータ73も、図示されていない架台に固定されている。
なお、塗布装置1の例では、エアーベアリング3A、3Bは連結軸91A、91Bに球面支持されて基板A上を気体浮上しており、気体噴出手段であるエアーベアリング3A、3Bの気体噴出面31A、31Bは、YZ揺動機構5とXZ揺動機構6の作用によって基板Aの被塗布面である上面にならう(略平行面となる)ことができる。気体浮上する時の気体噴出面31A、31Bから基板Aに気体を介して作用する荷重は、XZ揺動機構6の錘64によって、気体浮上できる範囲の荷重に調整することができる。なおエアーベアリング3A、3Bの気体噴出面31A、31Bは多孔質構造で、図示されないチューブからエアーベアリング3A、3Bに供給される圧縮空気等の気体を面内の全領域にわたって均一分布の流速(速度)で噴出することができる。気体噴出面31A、31Bと基板Aの上面が略平行な状態で一定の荷重が基板Aに作用し、これを持ち上げるように気体が均一に噴出されるので、エアーベアリング3A、3Bは基板A上を所定の間隔、すなわち一定の気体浮上量、で安定して気体浮上することができる。以上の結果として、エアーベアリング3A、3BがX方向に走行する時に、基板Aの上面の凹凸状態にならって一定の気体浮上量を維持して気体浮上するので、エアーベアリング3A、3Bは基板Aの凹凸状態に応じて上下方向(Z方向)に上下動する。これと同時に、保持板40にエアーベアリング3A、3Bとともに保持されている塗布ヘッドの10の先端面17も、基板Aの凹凸状態に応じて上下方向に上下動することになる。その結果、基板Aの上面と塗布ヘッド10の先端部である先端面17との間隔である間隔Cは、常に一定になることになる。以上よりエアーベアリング3A、3Bは、気体浮上量だけ隔て基材の被塗布面である基板Aの上面に相対して気体を気体噴出面31A、31Bから噴出する気体噴出手段となる。
なお、非接触で一定の距離を保つことが可能であればエアーベアリング以外の手段として、帯電材料を用いての静電気的反発を利用した手段、磁石や電磁石などを用いての磁気的反発を利用した手段であっても構わないが、空気による浮上手段が簡便である。
なお間隔Cは、間隔調整部9A、9Bによって、エアーベアリング3A、3Bの気体噴出面31A、31Bと塗布ヘッド10の先端面17との相対距離を調節することで、任意の値に調整することができる。間隔調整部9A、9Bにおいてエアーベアリング3A、3Bを球面支持する連結軸91A、91Bは、保持ブロック92A、92Bに連結固定されている。さらに保持ブロック92A、92Bは、これに固定されているリニア軸受93A、93Bと、保持板40が保持するブラケット95A、95Bに固定されているレール94A、94Bによって、上下方向に案内される。そして上下方向の移動量は差動ねじ97A、97Bで調整でき、移動量の大きさはリニアセンサー96A、96Bで知ることができる。なお差動ねじ97A、97Bは、固定されたおねじである固定ねじ98A、98Bに対して、固定ねじ98A、98Bに係合するめねじと保持板40に係合するおねじを備える回転ねじ99A、99Bを回転させることで、1回転でめねじとおねじのピッチの差だけ相対移動するので、微小量の移動調整に使用できるものである。以上より間隔調整部9A、9Bは、塗布ヘッド10の塗布先端部である先端面17と気体噴出面31A、31Bとの相対距離を調節して間隔Cを自在に調整可能な間隔調整手段であるといえる。
以上の構成で、エアーベアリング3A、3Bが基板Aの上面を気体浮上している時に、間隔調整部9A、9Bの差動ねじ97A、97Bを作動させると、XZ機構6とYZ機構5の作用により、基板Aに対して保持板40が上下方向に相対移動する。その結果、保持板40に固定されている塗布ヘッド10の先端面17も、基板Aに対して相対移動する。このことから塗布ヘッド10の先端面17と基板Aの上面との間隔Cは、差動ねじ97A、97Bによって微小に調節することができる。このようなことが可能なのは、間隔Cの調整機構を構成する気体噴出手段であるエアーベアリング3A、3Bと、位置調整手段である間隔調整部9A、9Bが、塗布ヘッド10とともに塗布ヘッド保持手段である共通保持部4に保持されていることによる。すなわち、塗布ヘッド保持手段である共通保持部4は、直交する2軸回りの揺動運動を可能にするYZ揺動機構5とXZ揺動機構6によって、塗布ヘッド10の塗布先端部である先端面17と基材の被塗布面である基板Aの上面とを略一定間隔、かつ、略平行に調整可能に、塗布ヘッド10を支持できる。そのように作用する共通保持部4はさらに、塗布ヘッド10の両側に気体噴出手段であるエアーベアリング3A、3Bを有し、エアーベアリング3A、3Bの気体噴出面31A、31Bから、基板Aの上面に対して気体を噴出して、気体噴出面31A、31Bと基板Aの上面とを所定の間隔で離間せしむることができる。それとともに共通保持部4は、塗布ヘッド10の塗布先端部である先端面17と気体噴出面31A、31Bとの相対距離を変更可能にエアーベアリング3A、3Bの共通保持部4内での塗布ヘッド10に対する相対位置を調節できる位置調整手段である間隔調整部9A、9Bを有している。この構成によって、エアーベアリング3A、3Bの気体噴出面31A、31Bが基板Aの上面に一定間隔で離間しつつ塗布のために移動できることと、塗布ヘッド10の先端面17と気体噴出面31A、31Bとの相対距離は一定であること、さらに塗布ヘッド10の先端面17と気体噴出面31A、31Bとの相対距離は調節して変更できることの結果、塗布先端部である塗布ヘッド10の先端面17と基材の被塗布面である基板Aの上面との位置関係を常に任意の値で一定に保持できるので、両者間の間隔を所定の値で略一定に保持できる。なお、塗布ヘッド10の先端面17と基板Aの上面とを略一定間隔、かつ、略平行に調整可能に塗布ヘッド10を共通保持部4が支持できるようにするYZ揺動機構5とXZ揺動機構6については、上記の態様に限られるものではなく、気体噴出面が基材の被塗布面に一定間隔で離間しつつ移動できる作用をもたらす機構であれば特に制限されるものではない。
間隔調整部9A、9Bを用いて間隔Cを微量調整する具体的な手順は、次の通りである。
基板Aの上面と塗布ヘッド10の塗布先端部である先端面17との間隔である間隔Cは、気体噴出面31A、31Bから先端面17までの相対距離LZに、気体噴出面31A、31Bの基板Aの上面に対する気体浮上量(これをC0とする)を足し合わせたものとなる。すなわち、C=LZ+C0である。まず、使用する塗布ヘッドが変わっても気体浮上量C0を、常に5μm以下の一定の値にするため、1)エアーベアリング3A、3Bに供給する気体の圧力を予め定めた圧力P0にする。これによって所望の略一定の速度(気体噴出速度)でエアーベアリング3A、3Bから気体を噴出する、2)エアーベアリング3A、3Bが基板Aに着地している時の荷重を測定し、こちらも予め定めた負荷荷重w0となるように、錘64の大きさを調整する。続いて現状の間隔Cを測定し、設定したい値との過不足分を差動ねじ97A、97B用いて調整する。この時の差動ねじ97A、97Bによる移動量はリニアセンサー96A、96Bによる測定値を参照して知ることができる。
以上のように、間隔調整部9A、9Bを用いた間隔Cの調整では、C>C0にし、しかも微量の気体浮上量C0でエアーベアリング3A、3Bが気体浮上している状態で、エアーベアリング3A、3Bの気体噴出面31A、31Bから先端面17までの相対距離LZを変更して行うので、1)気体浮上による変動量は微量な気体浮上量C0以下であるので、間隔Cの変動を極小にできる、2)エアーベアリング3A、3Bによる気体浮上量C0の値に関係なく、大きくしかも精密に間隔Cを調節することができる。なお、気体浮上中の間隔Cの変動については、気体浮上量C0を1μm以下にすれば、ほぼゼロにすることができる。気体浮上量C0を1μm以下にするには、エアーベアリング3A、3Bに供給する気体の圧力P0を小さくするか、錘64の重さを小さくして、エアーベアリング3A、3Bの気体噴出面31A、31Bから基板Aに作用する荷重が大きくなるようにする。
なお前記の例では間隔調整部9A、9Bでは、エアーベアリング3A、3Bの上下方向の微量移動(相対距離LZの微量調節)に差動ねじを用いたが、ボールねじとナット、リニアアクチュエータ、マイクロメータヘッド、コッター等も好適に用いることができる。さらに手動調整としているのを、電動調整に変更したり、リニアセンサー96A、96Bと組み合わせて自動化するのも、容易に行うことができる。
次に塗布ヘッド10を別の塗布ヘッド100に置き替えた場合について、図3を用いて説明する。図3は、別の塗布ヘッド100を用いた実施態様を示す概略拡大正面図であるが、図1で塗布ヘッド10を塗布ヘッド100に入れ替え、塗布ヘッド100の周辺だけを取り出して拡大したものである。図3を参照すると、塗布ヘッド100のフロントリップ11の上側は厚さLDのスペーサ101を介して保持板40に固定されている。これによって、直接保持板40に固定されているバックアップリップ12のバックアップ先端部102とフロントリップ11のフロント先端部103との間に長さLDの段差が設けられる。なお塗布ヘッド10と保持板40の間にあったスペーサ41は、塗布ヘッド100の上下方向の寸法調整のために取り出して省略されている。塗布ヘッド100の場合の間隔Cは、基板Aの上面と塗布先端部であるフロント先端部103との間隔となる。塗布ヘッド100は、長さLDだけ飛び出ているフロントリップ11の上流側に貯めた余剰の塗布液を掻きとって計量するブレード塗布またはナイフ塗布と呼ばれる塗布が行えるものである。塗布ヘッド100で塗布した塗布膜Dの塗布厚さtは、粘度等の塗布液の物性や塗布速度に関係なく、t=C/2となる。したがって塗布ヘッド100で塗布をして、塗布厚さtが目標値と異なる時は、間隔調整部9A、9Bを使用して、目標の塗布厚さtがえられるように、間隔Cを調整すればよい。
なお、本発明において用いうる塗布ヘッドは、一方向に延在する塗布先端部を有していればよく、矩形状の一つの吐出口として延在するものであっても、多数のノズル孔が全体として直線状に配列した態様であっても構わない。
次に本発明の例として別の態様である塗布装置200を、図4を用いて説明する。図4は、塗布装置200の概略正面図である。
図4の塗布装置200は、図1の塗布装置1で、1)枚葉基材である基板Aを連続基材の一種であるフィルムBに置き替える、2)基材保持・駆動部2のすべてをローラ202に置き替える、3)エアーベアリング3A、3Bを、気体噴出面204A、204Bがローラ202の外周面と合致する円筒面を備えたエアーベアリング203A、203Bに置き替える、他はすべて塗布装置1と同じである。塗布装置200では連続基材であるフィルムBに塗布できるとともに、間隔Cを調整できる。また塗布装置200での基材保持手段は、連続体である基材となるフィルムBを、その外周面に抱かせることによって保持するロール状の部材であるローラ202となる。エアーベアリング204、204Bは、ローラ202に保持されたフィルムBの上面を気体浮上している。したがって、フィルムBの厚さむらや、ローラ202の振れ回りがあっても、それに追従してエアーベアリング203A、203Bが気体浮上するので、フィルムBの上面と塗布ヘッド10の先端面17間の平行間隔である間隔Cは常に一定の値となる。また間隔調整部9A、9Bを用いれば、容易に間隔Cを調節することができる。なおローラ202は、自由回転するものであっても、駆動回転するものであっても何れでも構わない。
また塗布液供給装置8のシリンジポンプ80を用いれば間欠塗布が行えるが、これを連続的に塗布液を送液するモーノポンプ等の連続式ポンプに置き換えれば、フィルムB上に連続して塗布液を塗布することができる。
さらに塗布ヘッド10を塗布ヘッド100に置換して、ブレードによる塗布を行うこともできる。この場合、フィルムBの上面とフロント先端部103との間の間隔である間隔Cを常に一定に保てるので、非常に膜厚精度の高い塗布を行うことができる。さらに間隔調整部9A、9Bを用いれば、膜厚調整も容易に行える。
次に本発明の例としてさらに別の態様である塗布装置300を、図5を用いて説明する。図5は、塗布装置300の概略側面図である。
図5の塗布装置300は、図2の塗布装置1で、1)基板Aを幅WAからそれよりも小さい幅WBのものに置き替える、2)エアーベアリング3A、3Bの下に、基板Aと同じ厚さでX方向(紙面に垂直な方向)に延びる案内板301A、301Bを配置する、他は、塗布装置1と全く同じである。塗布装置1では、エアーベアリング3A、3Bを避けた基板Aの内側にしか塗布できないが、上記の変更により塗布装置300では基板Aの全幅に塗布できて、基板を有効活用することが可能となる。
また、基板Aの厚さと案内板301A、301Bの厚さが異なる場合は、厚さの差の分だけ間隔調整部9A、9Bで調整(オフセット調整)して、基板Aの上面と先端面17との間隔である間隔Cが一定になるようにしてもよい。
さらに吸着保持台20の上面(吸着面)の表面精度が非常に高ければ、案内板301A、301Bを取り去って、エアーベアリング3A、3Bを、吸着保持台20の上面上で気体浮上させてもよい。この場合は、基板Aごとに厚さを測定し、間隔調整部9A、9Bで調整して、間隔Cが一定になるようにする。なおここで、案内板301A、301Bの上面や吸着保持台20の上面は、基材の被塗布面である基板Aの上面に略平行な面となる。
案内板301A、301Bの上面や吸着保持台20の上面に対して、エアーベアリング3A、3Bの気体噴出面31A、31Bから気体を噴出して所望の間隔で離間する。すなわち案内板301A、301Bの上面や吸着保持台20の上面は、気体噴出面31A、31Bから所望の間隔で離間して気体が噴出される面となる。さらに吸着保持台20の上面は基材を支持する部材の面となり、案内板301A、301Bの上面は基材を支持する部材上に載置される別部材の面となる。
さらにこれに関連して図4の塗布装置200で、フィルムBの幅を塗布ヘッド10の塗布幅(塗布液吐出幅)まで小さくして、エアーベアリング203A、203Bをローラ202の外周面上で気体浮上するようにしてもよい。ポリエチレンテレフタレートフィルムは厚さむらが非常に小さく、厚さの絶対値も安定して一定なので、これをフィルムBに使用し、間隔調整部9A、9Bでオフセット量を一度調整して、フィルムBの上面と先端面17との間隔である間隔Cが一定になるようにしてもよい。この場合、追加の調整は不要で、しかもエアーベアリング203A、203BをフィルムB上で気体浮上させているのと、遜色ない塗布結果が得られる。
なお塗布装置300でも、塗布ヘッド10を塗布ヘッド100に置き換えて塗布することもできるし、塗布厚さの調整も行える。
次に図1の塗布装置1を用いての塗布の例を、その準備段階も含めて手順1〜手順5に分けて説明する。手順4ないし手順5の操作を繰り返すことで、何枚もの枚葉の基板Aに対して、略一定の速度で気体噴出手段であるエアーベアリング3A、3Bから気体を噴出するとともに、位置調整手段となる間隔調整部9A、9Bによってエアーベアリング3A、3Bの塗布ヘッド保持手段である共通保持部4内での塗布ヘッド10に対する相対位置を調節しつつ、塗布ヘッド10から基材の被塗布面である基板Aの上面に対して塗布液を吐出して基板Aに塗布することができる。
(手順1)
塗布前の準備段階での操作である。塗布ヘッド10を塗布装置1に取付け、エアーベアリング3A、3Bが安定して基板A上を気体浮上して、間隔Cが変動せず一定になるようにする。そのためにまず、昇降機構7のカムフォロアー71とカム72が係合しない状態(接触しない状態)にしてから、X軸回転軸51の中心直下での荷重を秤量計を使用して測定する。そしてその値が、エアーベアリング3A、3Bが定められた気体浮上量C0だけ気体浮上する時の気体噴出面31A、31Bでの負荷荷重w0の2倍(2w0)となるように、錘64の大きさを調整する。つづいて昇降機構7のカムフォロアー71とカム72を係合させ、塗布ヘッド10が上昇するようにカム72を回転させる。それから基板Aを吸着保持台20に吸着保持してから、予め定めた圧力P0の気体である圧縮空気をエアーベアリング3A、3Bに供給する。これによって気体噴出面31A、31Bで作用する荷重が負荷荷重w0の時に、エアーベアリング3A、3Bが定められた気体浮上量C0だけ気体浮上するように、気体噴出面31A、31Bから所望の一定の気体噴出速度で圧縮空気が噴出する。常に一定の気体噴出速度で圧縮空気が噴出すると、それに応じて気体浮上量C0も常に一定になるので、気体浮上量C0に相対距離LZを付加した間隔Cも常に一定となる。この結果、間隔Cを長時間にわたって安定して維持できる。
それから昇降機構7で塗布ヘッド10を下降させ、エアーベアリング3A、3Bの気体噴出面31A、31Bを基板A上に空気を介して非接触で着地させて、気体浮上量C0だけ気体浮上させる。気体浮上時には、カムフォロアー71とカム72は係合せず、離れている。
(手順2)
引き続いて塗布前の準備段階での操作である。ここでの操作は間隔Cを調整する。前の手順により、エアーベアリング3A、3Bが定められた気体浮上量C0だけ気体浮上しているので、この状況での間隔C1を測定する。測定された値と塗布時の予定の間隔(設定)である間隔CFとの偏差を求め、間隔調整部9A、9Bの差動ねじ97A、97Bを用いて、偏差分だけエアーベアリング3A、3Bを移動させて、予定の間隔CFに調整する。エアーベアリング3A、3Bの移動量は、リニア―センサー96A、96Bの測定値を見て確認する。調整が完了すれば、昇降機構7を作動させて塗布ヘッド10を上昇させて、基板Aから引き離す。その後、吸着保持台20を図1の左端の始点位置に移動させ、間隔Cの調整に使用した基板Aを取り外す。
(手順3)
さらに引き続いて塗布前の準備段階での操作である。ここでの操作は塗布液供給装置8を使用した塗布液供給のための準備である。まず、シリンジポンプ80を使用して、タンク87の塗布液88を塗布ヘッド10に送り込み、タンク87から塗布ヘッド10の吐出口16まで、塗布液88を充満させる。塗布液88を充満させる過程で、タンク87から塗布ヘッド10までの経路内の残留エアーを排出する作業も行う。そして塗布液供給装置8は、シリンジ81に塗布液88が充填、吸引バルブ84Uは閉、供給バルブ84Dは開、そしてピストン82は最下端の位置にし、いつでも塗布液88を塗布ヘッド10に供給できるようにしておく。
(手順4)
塗布の操作である。基板Aを吸着保持台20に吸着保持させる。つづいて基板Aの塗布開始位置が塗布ヘッド10の吐出口16の直下に来るまで基板Aを移動させ、そこで停止させる。つづいて昇降機構7を作動させて、塗布ヘッド10を下降させて、エアーベアリング3A、3Bを基板A上に空気を介して非接触で着地させ、気体浮上させる。この時、基板Aと塗布ヘッド10の先端面17との間隔は、塗布時の予定の間隔CFとなる。
つづいてシリンジポンプ80を駆動し、所定吐出速度で塗布ヘッド10から塗布液を吐出して先端面17と基板A間に液溜りであるビードを形成するとともに、シリンジポンプ80の駆動開始から一定時間T1秒後に吸着保持台20を、定めた塗布速度でX方向(図1の矢印方向)に移動を開始して、塗布液の基板Aへの塗布を行い、塗布膜Dを形成する。
基板Aの塗布終了位置が塗布ヘッド10の吐出口16の位置にきたら、シリンジポンプ80を停止させて塗布液の供給を停止するとともに、昇降機構7を作動させて塗布ヘッド10を上昇させる。これによって基板Aと塗布ヘッド10の先端面17の間に形成されたビードが断ち切られ、塗布が終了する。
なお、塗布の状態はモニターされ、塗布液の物性の経時的な変動などによって塗布状態に変化が見られたときは、間隔調整部9A、9Bを作動させて間隔Cを調整する。その必要が無い場合は間隔調整部9A、9Bを作動させることは無いが、そのような場合であっても、本発明にいう位置調整手段による気体噴出手段の塗布ヘッド内での相対位置の調節を行っての塗布に該当することはいうまでもない。
塗布終了後も吸着保持台20は塗布速度にて移動を続け、終点位置(図1の右端)にきたら停止する。
(手順5)
塗布終了後の操作と次の塗布の準備のための操作である。
吸着保持台20の吸着を解除して、塗布された基板Aを取り出し、乾燥等の次工程に搬送する。基板Aを取り出したら、吸着保持台20を左端の始点位置に移動させる。本手順が開始してから、その他の動作と平行して、塗布液供給装置8の供給バルブ84Dを閉、吸引バルブ84Uを開にしてから、シリンジポンプ80のピストン82を下向きに移動させて、タンク87の塗布液88をシリンジ81に次の塗布のために充填する。充填完了後、ピストン82を停止させ、吸引バルブ84Uを閉、供給バルブ84Dを開にして、待機する。
以降は塗布する基板枚数だけ、手順4と手順5を繰り返す。
なお、上記の塗布装置1では、塗布ヘッド10をX方向に固定にし、基板Aを吸着保持台20に吸着してX方向に移動させて塗布を行ったが、吸着保持台20を固定し、塗布ヘッド10とそれに連なるものをX方向に移動させて、塗布を行ってもよい。
以下実施例により本発明の具体的態様の例を示しつつ説明する。
370×470mmで厚さ0.7mmの無アルカリガラス基板を基板Aとして使用し、純水による洗浄によって基板上のパーティクルを除去後、塗布装置1で上記に記載した塗布方法により、基板A中の310(Y方向)×410(X方向)の面領域に、ブラックマトリックス材の厚さ10μmの塗布膜を形成した。
使用した塗布ヘッド10は、スリット15のY方向長さが310mm、スリット15の間隙(X方向長さ)は0.1mmで、310mm幅の塗布膜を形成できるものであった。エアーベアリング3A、3Bについては、セラミック多孔質構成のものを使用し、気体噴出面31A、31Bの平面度はいずれも3μm以下であった。
また気体噴出面31A、31Bは、X方向に15mm、Y方向に5mmの矩形状で、基板AのY方向両端から10mmの範囲に位置させて、基板A上で気体浮上するようにした。気体浮上量C0は1μmに設定し、そのためにエアーベアリング3A、3Bへ供給する圧縮空気の圧力P0は0.5MPaに調整するとともに、気体噴出面31A、31Bが基板A上に着地する時に気体噴出面31A、31Bで作用する負荷荷重w0がそれぞれで0.4kgとなるように、錘64の重さを調整した。
また間隔Cが30μmとなるように、間隔調整部9A、9Bを使用して、気体噴出面31A、31Bから塗布ヘッド10の先端面17までの相対距離LZが29μmとなるように調整した。
吸着保持台20は400mm(Y方向)×500mm(X方向)×100mm(Z方向)の石製のものを使用し、上面の400mm(Y方向)×500mm(X方向)の全面を吸着面とした。また上面は平面度が2μm以下になるように仕上げられていた。
塗布条件としては、塗布速度は100mm/s、シリンジポンプ80による塗布ヘッド10からの吐出速度(流量)は310μl/s、であった。
なお塗布したブラックマトリックス材としては、遮光材としてカーボンブラック、バインダーとしてアクリル樹脂、溶剤にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を使用し、これに感光剤を添加して、固形分濃度20%、粘度10mPasに調整したペーストを用いた。
ブラックマトリックス材が塗布された基板Aを次に乾燥工程に搬送し、30秒で65Paに到達する真空乾燥を60秒行ってから、100℃のホットプレートで10分間さらに乾燥した。ついで露光・現像・剥離を行った後、260℃のホットプレートで30分加熱して、キュアを行い、基板Aの幅方向(Y方向)にピッチが254μm、基板Aの塗布方向(X方向)にピッチが85μm、線幅が20μm、RGB画素数が4800(基板塗布方向)×1200(基板幅方向)、対角の長さが20インチ(基板Aの塗布幅方向(Y方向)に305mm、基板Aの塗布方向(X方向)に408mm)となる格子形状で、厚さが1μmとなるブラックマトリックス膜の格子を作製した。
なお、ブラックマトリックス膜の格子のある基板Aを100枚作製したが、ブラックマトリックス塗布工程で、50枚目で塗布膜にすじ状の膜切れ欠点が発生した。すぐに間隔調整部9A、9Bを作動して、間隔Cを30μmから25μmに減じたところ、51枚目以降は塗布膜に欠点が発生することなく正常に塗布できた。基材表面に接触することなく、基材の被塗布面と塗布ヘッドの塗布先端部との間隔を高精度かつ容易に短時間で設定できたので、100mm/sの高い塗布速度を維持して安定した塗布を継続して実施できた。
この後、ブラックマトリックス膜の格子を作製した基板Aを、次のRGB画素の作製工程に供給し、カラーフィルタを作製した。
本発明は、カラー液晶ディスプレイ用カラーフィルタ、有機EL等の基板上や、フィルム等のフレキシブルな基材の面上に、面状の液体塗布膜を形成する各種ディスプレイ用部材の製造に利用可能である。
1 塗布装置
2 基材保持・駆動部
3A、3B エアーベアリング
4 共通保持部
5 YZ揺動機構
6 XZ揺動機構
7 昇降機構
8 塗布液供給装置
9A、9B 間隔調整部
10 塗布ヘッド
11 フロントリップ
12 バックアップリップ
13 シム
14 マニホールド
15 スリット
16 吐出口
17 先端面
20 吸着保持台
21 ベース台
22A、22B ガイドレール
23 リニア軸受
31A、31B 気体噴出面
40 保持板
41 スペーサ
42 保持面
43 回転軸受
50 L型ブラケット
51 X軸回転軸
52A、52B スプリングプランジャー
53A、53B 本体
54A、54B 可動子
60 アーム
61 Y軸回転軸
62 ピロー軸受
63 ウェイトアーム
64 錘
71 カムフォロアー
72 カム
73 モータ
80 シリンジポンプ
81 シリンジ
82 ピストン
83 本体
84U 吸引バルブ
84D 供給バルブ
85U 吸引ホース
85D 供給ホース
86 フィルター
87 タンク
88 塗布液
89 圧空源
91A、91B 連結軸
92A、92B 保持ブロック
93A、93B リニア軸受
94A、94B レール
95A、95B ブラケット
96A、96B リニアセンサー
97A、97B 差動ねじ
98A、98B 固定ねじ
99A、99B 回転ねじ
100 塗布ヘッド
101 スペーサ
102 バックアップ先端部
103 フロント先端部
200 塗布装置
202 ローラ
203A、203B エアーベアリング
204A、204B 気体噴出面(円形)
300 塗布装置
301A、301B 案内板

A 基板(枚葉基材)
B フィルム(連続基材)
C 間隔
D 塗布膜
LZ 相対距離(気体噴出面31A、31Bから先端面17までの)
t 塗布厚さ
WA 幅(基板Aの)
WB 幅(別の基板Aの)

Claims (5)

  1. 一方向に延在する塗布先端部を備える塗布ヘッドと、前記塗布ヘッドに塗布液を供給する塗布液供給手段と、前記塗布ヘッドの前記塗布先端部に相対して基材を保持する基材保持手段と、前記塗布ヘッドの前記塗布先端部と前記基材の被塗布面とを略一定間隔、かつ、略平行に調整可能に前記塗布ヘッドを支持する塗布ヘッド保持手段とを有し、該塗布ヘッド保持手段はさらに、前記塗布ヘッドの両側に、気体を噴出するその気体噴出面と前記基材の被塗布面または前記基材を支持する部材の面または該部材状に載置される別部材の面を気体の噴出により所定の間隔で離間せしむる気体噴出手段および前記塗布ヘッドの前記塗布先端部と前記気体噴出面との相対距離を変更可能に前記気体噴出手段の前記塗布ヘッド保持手段内での前記塗布ヘッドに対する相対位置を調節できる位置調整手段を有することを特徴とする塗布装置。
  2. 前記基材保持手段は、基材を吸着して保持する吸着盤であることを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
  3. 前記基材保持手段は、基材をその外周面に抱かせることによって該基材を保持するロール状の部材であることを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の塗布装置を用い、略一定の速度で前記気体噴出手段から気体を噴出するとともに、前記位置調整手段によって前記気体噴出手段の前記塗布ヘッド保持手段内での前記塗布ヘッドに対する相対位置を調節しつつ、前記塗布ヘッドから前記基材の被塗布面に対して塗布液を吐出して基材に塗布液を塗布する塗布液の塗布方法。
  5. 請求項4に記載の塗布方法を用いての塗布液の塗布工程が含まれるディスプレイ用部材の製造方法。
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