JP3817461B2 - 液晶基板の組立方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、貼り合わせる基板同士をそれぞれ保持して対向させ、間隔を狭めて貼り合わせる液晶基板の組立装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示パネルの製造には、透明電極や薄膜トランジスタアレイを付けた2枚のガラス基板を数μm程度の極めて接近した間隔をもって接着剤(以下、シール剤という)で貼り合わせ、それによって形成される空間に液晶剤を封止する工程がある。
【0003】
この液晶剤の封止には、一方の基板上に注入口を設けないようにシール剤をクローズしたパターンに描画し、さらに、そのパターン内になるように液晶剤を滴下しておいて他方の基板を一方の基板上に配置し、真空中で上下の基板を接近させて貼り合わせる特開昭62−165622号公報などで提案された方法がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術では、液晶剤を基板へ滴下した後、しばらくすると基板に予め塗布された配向膜に液晶剤が吸着され、基板表面の汚れなどの影響により液晶の配向の不良が生じ、滴下痕による表示ムラの不良が生じる。
【0005】
それゆえ本発明の目的は、液晶剤を基板に滴下した際に生じる液晶の滴下痕による表示ムラの無い液晶パネルを生産することができる液晶基板の組立装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の特徴とするところは、貼り合わせる一方の基板を加圧板の下面に保持し、貼り合わせる他方の基板をテーブル上に保持して対向させ、テーブル上に保持した基板上に液晶剤を供給した後、両基板の間隔を狭めていずれかの基板に設けたシール剤により両基板を貼り合わせる液晶基板の組立装置において、テーブル上に保持した基板上に供給する液晶剤を冷却することにより、基板に予め塗布された配向膜に液晶剤が吸着する速度を遅らせ、かつ液晶剤を基板の主面の広がり方向に高速で均一に拡散させ、基板の貼り合わせを行なうことにより、液晶の滴下痕による液晶パネルの表示ムラを無くすことにある。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図に基づいて説明する。
【0008】
図1において、本発明方法を具現化する基板組立装置は、液晶滴下部S1と、基板貼合部S2と、移動可能なXYθステージT1とから構成されている。
【0009】
架台2の上方には基板貼合部S2を支持するフレーム3がある。なお、本実施形態では、この支持フレーム3に液晶滴下部S1が取付けてある。また、架台2の上面に、XYθステージT1が備えられ、Xステージ4aは、駆動モータ5により、図面上で左右のX軸方向に、即ち、液晶滴下部S1と基板貼合部S2間を往来するように構成している。また、XYθステージT1には、基板貼合部S2に移動した時に貼合せ室を形成するための下チャンバユニット10が取付けてある。
【0010】
Yステージ4bはXステージ4a上にあり、駆動モータ6によりXステージと直交するY軸方向に往来できるようになっている。θステージ4cはYステージ4b上にあり、回転ベアリング7を介して駆動モータ8によりYステージ4bに対して水平に回転可能になっていて、θステージ4c上に下基板1aを搭載するテーブル9が固定される。なお、後述する上基板と同様に、テーブル9には吸引吸着や静電吸着で下基板1aを搭載保持するための吸引吸着機構や静電吸着機構が設けてある。また、Yステージ4bにはプレート13により下チャンバユニット10が固定されている。
【0011】
θステージ4cは、下チャンバユニット10に対し回転ベアリング11と真空シール12を介して回転自由に取付けられ、θステージ4cが回転しても下チャンバユニット10はつられて回転しない構造となっている。この下チャンバユニットは、基板貼合部S2にXYθテーブルT1が移動した時、基板貼合部S2に設けてある上チャンバユニット21と合体して貼合せ室を形成するものである。
【0012】
液晶滴下部S1は、テーブル9に搭載保持された下基板1aに所望量の液晶剤を滴下するためのものである。液晶滴下部S1は次のように構成されている。架台1上に設けたフレーム3にブラケット14が設けられ、このブラケット14には、Z軸ステージ15と、このZ軸ステージ15をZ軸方向に移動させるための駆動モータ16が設けてある。このZ軸ステージ15には、温度調節機構を有するディスペンサ17Aとその液晶剤搬送機構17Bと、画像認識用のカメラ90が夫々隣接して設けてある。なお、液晶剤搬送機構17Bは、ディスペンサ17Aを配置したZ軸ステージ15に設ける必要はなく、Z軸方向に移動可能に他の部材に設置しても構わない。また、基板保持テーブルであるテーブル9及びディスペンサ17Aと液晶剤搬送機構17Bに図示していないガスタンクからガスを供給する構成となっている。このガスタンクにも温度調節機構が設けてある。
【0013】
ここで、ディスペンサ17Aはプランジャ式(例えば、ノードソン社製アキュラジェッターSシリーズ)のものを用いている。これは、図示していない圧力源よりディスペンサを構成しているシリンジに所定圧の気体を導入しておき、ディスペンサ17Aに接続した電磁弁を駆動することでディスペンサ17A内のニードル弁(図示せず)を開閉することで、所定の液晶剤を滴下するものである。
【0014】
また、図示していないが、このディスペンサ17A部とテーブル9には、ディスペンサ内の液晶剤及び下基板1a上に塗布された液晶剤を所定の温度に保持するための温度調節機構を設けてある。この温度調節機構は、本実施形態ではディスペンサ内及びテーブル9に設けた、温度検出センサの出力に基づいてディスペンサとテーブル9の外部を冷却する冷却機構としてある。しかし、この温度調節機構は、貼合せ装置設置した環境状態、または使用する液晶剤の特性によっては、逆に加熱して液晶剤の温度を所定温度に保つ必要もあり、暖めることも可能な構成としてある。
【0015】
また、液晶剤搬送機構17Bは基板上に滴下された液晶剤を、基板上に先に形成されているシール部近傍まで広げるために設けたもので、その構成例を図2に示す。図2に種々の形状の液晶剤搬送機構17B例を示す。図2の(a)に一例の斜視図を、(b)に(a)に示した液晶剤搬送機構を横から見た図を、(c)〜(h)に種々の変形例を示している。
【0016】
液晶剤搬送機構17Bは、図示してない不活性ガス又はクリーンエアーのタンクと繋がっている空洞部B0を有し、ブロー噴出部B1と前記空洞部B0に直結するブロー噴出口B2がそれぞれ底面B3と角θ1(B1とB3の成す角)、θ2(B2のブロー中心方向とB3の成す角)(角θ1、θ2:0°<θ1、θ2≦90°。但し、B3//下基板1a)で形成されている。なお、角θ1と角θ2は、θ1+θ2≦180°となる比較的液晶剤が拡散しやすい条件で形成してある。
【0017】
ブロー噴出口B2の幅Wは、滴下供給液晶剤の最小径d以上、下基板サイズ以下で、高さtは下基板1a上に滴下供給された液晶剤100の高さh以上あれば良い。また、ブロー噴出高さHは、液晶剤搬送機構17Bの底面B3が下基板1a上に滴下供給された液晶剤100の高さhに対して、大体1<H/h<2000の接触しない範囲であれば良い。また、この時のブロー噴出圧力Pは液晶剤100が下基板1a上に吐出されたシール剤のクローズパターン外に飛散しない程度であれば良く、液晶剤吐出圧力をpとすると大体1≦P/p<200の範囲で好適な拡散状態を得る。ちなみに、ブロー噴出高さHを高くすると、その変位量に対してブロー噴出圧力Pを調整する必要があることに注意を要する。また、ブロー噴出させる不活性ガスは所定温度に冷却されたものである。
【0018】
なお、図2(c)はブロー噴出口B2の形状を、上下に複数のスリットを設けた形状としたものである。図2(d)はブロー噴出口B2の形状を、複数の小孔を設けた形状としたものである。または図2(e)は、ブロー噴出口B2部に、HEPA、ULPA或いはPTFEフィルター200を取り付けたものである。このフィルター200を設けることで、液晶剤100を拡散する際の塵埃の吹き付けを防ぐことができる。図2(f)はブロー噴出口B2を、左右或いは4面に設けたものである。この構成により、液晶剤100の拡散タクトを短縮することが可能となる。図2(g)は、ブロー噴出口B2の上面B4に、もう1つダウンフロー噴出口B5を設けたものである。このダウンブロー噴出口B5を設けることで、液晶剤100の拡散動作中に上方への液晶剤の飛散を防止できる。図2(h)は、ブロー噴出口B2の周囲に壁を設けることで、閉空間を構築して液晶剤100の拡散作業を行うことで、液晶剤の飛散を防止するようにしたものである。上記のように、液晶剤搬送機構17Bは、下基板1a上に供給した液晶剤100が均一に拡散される構造であればどのような形状でも構わない。
【0019】
液晶剤が所定の領域に拡散すると、次にXYθステージT1を基板貼合部S2に移動させる。
【0020】
基板貼合せ部S2は、上チャンバユニット21と、内部に真空吸着機構と静電吸着機構を備えた加圧板27とが、それぞれ独立して上下動できる構造になっている。即ち、上チャンバユニット21は、リニアブッシュと真空シールを内蔵したハウジング30を有しており、シャフト29をガイドとしてフレーム3に固定されたシリンダ22により上下のZ軸方向に移動する。
【0021】
XYθステージT1が基板貼合部S2に移動する。移動が完了すると、上チャンバユニット21が下降する。そして、下チャンバユニット10の周りに配置してあるOリング44に上チャンバユニット21のフランジ21aが接触し一体となり、減圧チャンバ(貼合せ室)が構成される。ここで、下チャンバユニット10の周囲に設置されたボールベアリング87は、減圧によるOリング44の潰れ量を調整するもので、上下方向の任意の位置に設定可能となっている。チャンバ内を減圧することにより発生する大きな力は、ボールベアリング87を介して下チャンバユニット10側で受けている。そのため、Oリング44は弾性変形する。後述するように、貼合せ時にXYθステージT1を、Oリング44の弾性範囲内で容易に微動させ精密に位置決めすることができる。
【0022】
ハウジング30には、上チャンバユニット21が下チャンバユニット10と合体してチャンバを形成する際に、上チャンバユニットの位置がずれても、真空(減圧)漏れを防止し、シャフト29が上下動可能に構成した真空シールを内蔵している。また、この真空シールは、上チャンバユニットの位置ずれが発生しても、シャフト29に加わる力を吸収することができる。そのため、シャフト29に固定されている加圧板27が変形することはない。従って、後述するように、加圧板27に保持された上基板1bとテーブル9に保持された下基板1aとの平行を保つことができ、高精度の貼合せが可能となる。
【0023】
真空バルブ23は、配管ホース24を介して、図示していない真空源(真空ポンプ)に接続されている。これらはチャンバ内を減圧する時に使用される。また、ガスパージバルブ25は、ガスチューブ26を介して、不活性ガス又はクリーンドライエアー等の加圧ポンプに接続されている。これらは、減圧されたチャンバ内を、大気圧に戻す時に使用される。
【0024】
上基板1bは、大気下においては吸引吸着で加圧板27の下面に密着保持される。即ち、加圧板27の下面には複数の吸引孔が設けられ、吸引孔につながる吸引吸着用継手41に接続された吸引チューブ42を介して、図示していない真空ポンプに接続されている。
【0025】
次に、静電吸着機構について説明する。
【0026】
加圧板27は下面に方形の凹部を2個有している。各凹部には平板電極が内蔵され、平板電極は誘電体で覆われている。誘電体の主面は加圧板27の下面と同一平面になっている。埋め込まれた各平板電極は、それぞれ正負の直流電源に適宜なスイッチを介して接続されている。従って、各平板電極に正あるいは負の電圧が印加されると、加圧板27の下面と同一平面になっている誘電体の主面に負あるいは正の電荷が誘起される。それら電荷によって、上基板1bに予め形成されている液晶駆動用の透明電極膜との間に発生するクーロン力で、上基板1bが加圧板27の下面に静電吸着される。各平板電極に印加する電圧は同極でもよいし、それぞれ異なる双極でもよい。
【0027】
尚、加圧板27に最初に吸着する時は、周りが大気であるため、吸引吸着機構で吸着し、チャンバ内を減圧していき、加圧板で基板を加圧する前に静電吸着により吸着する方法を用いると良い。すなわち、吸引吸着で基板を支持していてもチャンバ内を減圧すると、吸着力が小さくなり、加圧板27から上基板1bが離れ、落下したり、位置ずれを発生することがある。このため、室内の圧力変化による影響を受けない静電吸着機構を用いれば良いが、大気中で静電吸着力を作用させると、上基板1bと加圧板27間に放電現象が発生し基板や静電吸着機構を損傷し、高精度のパネルを形成できなくなる場合がある。このため、この放電現象が発生しない程度の真空状態になってから、静電吸着力を作用させるようにしている。尚、液晶基板には透明電極膜が形成されており、この透明電極膜と静電吸着機構で発生した電荷によってクーロン力が作用して吸着できるものである。
【0028】
さて、シャフト29はハウジング31、32に固定されている。ハウジング31はフレーム3に対してリニアガイド34で取付けられている。このハウジング31を上下(Z軸方向に移動)させることで、加圧板27が上下動する構造となっている。その上下駆動は、フレーム3とつながるフレーム35上のブラケット38に固定されたモータ40により行う。駆動の伝達は、ボールねじ36とナットハウジング37で実行される。ナットハウジング37は荷重計33を介してハウジング32とつながり、その下部の加圧板27と一体で動作する。
【0029】
従って、モータ40によってシャフト29が下降することで、上基板1bを保持した加圧板27が下降する。これによって、上基板1bがテーブル9上の下基板1aと密着して、貼合せに必要な加圧力を与えることのできる構造となっている。この場合、荷重計33は加圧力センサとして働く。荷重計33の信号に基づいてモータ40を制御することで、上下基板1a、1bに所望の加圧力を与えることが可能となっている。
【0030】
ところで、下基板1aは重力方向の搭載なので、図3に示すようにテーブル9に設けた位置決め部材81に押付ローラ82による水平方向での押付けによる位置決めの固定で十分である。
【0031】
しかしながら、貼り合わせる直前の微小位置決めの際、上基板1bが下基板1a上のシール剤や液晶剤と接触した影響で、下基板1aがずれたり持ち上がる可能性があることや、真空チャンバ内が減圧され真空になる過程で、下基板1aとテーブル9との間に入り込んでいる不活性ガスが逃げて、下基板1aが踊りずれる可能性があるので、テーブル9に対しても静電吸着の機能を持たせている。そして、テーブル9に上下Z軸方向に移動できるピンを設け接地しておくと、貼り合わせ後の基板の帯電防止とテーブル9からの取り外しを容易に行なうことができる。
【0032】
また上チャンバ内には図3に示すように受止爪60が設けてある。先に述べたように、加圧板27に上基板1bが吸引吸着した状態で、チャンバ内を減圧すると、吸引吸着力が消えて、上基板1bが落下する場合がある。このとき、受止爪60より、加圧板27の僅か下の位置で上基板1bを受け止める。この受止爪60は図のように、上基板1bの2個の対角の位置にあって、下方に伸びたシャフト59で釣り下げた形で支持してある。具体的には図示していないが、シャフト59は上チャンバユニット21を介して真空シールされ、回転と上下移動ができるようになっている。また、シャフト59は、加圧板27の上下移動と独立して上下に移動できる構成としてある。また、回転アクチュエータによって受止爪60を回転させて、上基板を加圧板に吸着する場合や、基板の貼り合わせを行なう場合に、邪魔にならないよう退避させる。
【0033】
次に本発明の装置の動作を図5、図6、図7のフローチャートを用いて説明する。図5には基板貼合せの処理工程を示す。図6には液晶剤滴下・拡散処理工程の詳細を、図7には基板貼合せ処理工程の詳細を示す。
【0034】
まず、ステップ210で、組立装置の雰囲気を、予め不活性ガス雰囲気にしておく。そして、XYθステージT1のテーブル9上に、上基板1bを保持した治具を搭載し、駆動モータ5を駆動してXYθステージT1を基板貼合部S2に移動する。そこで、モータ40によりシャフト29を介して加圧板27を降下させ、テーブル9上の上基板1bを吸引吸着させる。その後、モーター40を駆動して加圧板27を上昇させ所定の高さで上基板1bを保持し待機状態とする。その後、XYθステージT1は液晶滴下部S1に戻り、上基板1bの取除かれた治具がテーブル9より外される。
【0035】
次に、テーブル9上に下基板1aが搭載され、所望の位置に固定保持される(ステップ220)。
【0036】
なお図1には図示していないが、液晶剤を滴下するディスペンサ17Aの近くに、シール剤を形成するためのディスペンサが設けてある。
まず、下基板1aをシール剤形成用ディスペンサの塗布位置になるようにXYθステージT1を駆動して初期位置設定を行う。引き続き、所定の形状にシール剤を塗布する(ステップ230)。
【0037】
次に、液晶滴下ディスペンサ17Aの位置に、下基板1aの滴下位置が合うようにXYθステージT1の各ステージを駆動し、位置合わせを行う(ステップ240)。この詳細動作を、図6を用いて説明する。
【0038】
まず、下基板1aをテーブル9上に搭載し、その下基板1aをテーブルに吸引入吸着により吸着保持する。その後、液晶剤を滴下するディスペンサ17Aのノズル18に対し、基板上の滴下位置が合うようにテーブル9(すなわち、XYθステージT1)をX及びY方向に移動する(ステップ241)。
【0039】
次に、ディスペンサ17Aを取付けたZ軸ステージ15を駆動して、基板面との高さが液晶の滴下高さ位置になるように調整する(ステップ242)。高さ位置の設定が終了すると、ディスペンサ17Aに設けたニードル弁を開放して、冷却された所望量の液晶剤100を下基板1a上に吐出する。複数箇所に液晶剤100を滴下する場合は上記動作を繰り返す。これにより、下基板1a上の任意の個所に所望量の液晶剤100が滴下される(ステップ243)。この時の液晶の滴下形状は図4(a)〜(h)のように直線や2直線、円や複数の円を羅列したもの、さらには霧状に噴霧させたものでも構わない。
【0040】
液晶剤100を下基板1a上に供給後、ディスペンサ17A内のニードル弁を閉じて液晶剤100の供給を停止する。ここでディスペンサ17Aに接続している電磁弁は、ニードル弁が開いている間は常時動作している状態で、ノズルに不活性ガスが供給されているようにする。
【0041】
滴下終了後、即座に液晶剤搬送機構17Bが下基板1bの液晶剤滴下位置になるようにテーブル9をX、Y方向に移動する。下基板1bが移動後、Z軸ステージ15を駆動して液晶剤搬送機構17Bが垂直に所望の位置まで降下してから所定の温度に冷却された不活性ガス(例えば窒素やクリーンドライエアなど)を液晶剤に吹き付ける。不活性ガスを吹き付けられた液晶剤は、基板上に一様に拡散される(ステップ244)。
【0042】
この時、XYθステージT1あるいは液晶剤搬送機構17Bの有する移動機構を活用することにより、図4に示す矢印の方向に塗り広げられる。なお、この時の下基板1aの移動位置は、ディスペンサ17Aにおける液晶剤100の滴下位置を、図示してない本装置の制御機構によりフィードバックされるものとし、液晶剤搬送機構17Bによるブロー噴射はディスペンサ17Aと同様、図示してないが接続された電磁弁を所望の液晶剤100の拡散動作中は常時動作している状態で、17Bに不活性ガス又はクリーンエアが供給されているようにする。
【0043】
なお、液晶剤搬送機構17Bによる液晶剤100の拡散動作は、17BのZ軸ステージ15のブロー噴射方向に取り付けてある画像認識カメラ90により、下基板1aに塗布されたシール剤と接触しない位置まで拡散するように制御される。また、画像認識カメラ90の設置場所は、Z軸ステージ15に限らず、下基板1aを搭載保持するテーブル9の上方或いはテーブル9の上面に埋設させた状態で(透過画像)に予め複数個設置していても構わない。
【0044】
次に液晶剤100を他の位置に滴下する必要があるか否かを判定する(ステップ245)。他の位置に滴下する必要のある場合はステップ241に戻り、必要がない場合は滴下・拡散処理を終了する(ステップ246)。なお、本実施形態では、下基板1aに液晶剤を滴下する度に、拡散処理を行うようにしたが、所定位置に所定量の液晶剤100を全て滴下した後に拡散処理するようにしても良い。
【0045】
上記の液晶滴下・拡散処理が終了すると、XYθステージT1を基板貼合部S2に移動する(ステップ250)。
【0046】
次に、基板貼合せ処理ステップ260に移る。この基板貼り合わせ処理の詳細を、図7を用いて説明する。
【0047】
まず、シリンダ22で上チャンバユニット21を下降させ、そのフランジ部21aをOリング44に当接させて下チャンバユニット10と合体させてチャンバ(貼合せ室)を形成する(ステップ261)。そして、上基板1bを受止爪60によって、その端部を支持できる位置に移動させておく(ステップ262)。
【0048】
次に、バルブ23を開放してチャンバ内を減圧していく。この時、上基板1bは加圧板27に吸引吸着された状態になっているので、チャンバ内が所定圧力より減圧すると上基板1bに作用していた吸引吸着力は消えて行き、上基板1bが自重で落下する。これを図3に示すように受止爪60で受け止めて、加圧板27の僅か下の位置に保持しておく。
【0049】
真空チャンバ内が充分真空になった時点で、加圧板27の静電吸着手段に電圧を印加して受止爪60上の上基板1bを加圧板27にクーロン力で保持する(ステップ264)。この場合、既に所定の減圧状態になっているので、加圧板27と上基板1bの間に不活性ガスが残るようなことは無いし、その不活性ガスが逃げるときに上基板1bが踊ることもない。
【0050】
その後、図示を省略した昇降アクチュエータでシャフト59を下降させ、次に、回転アクチュエータでシャフト59を回転させ、受止爪60が上下両基板の貼り合わせの邪魔にならぬようにしてから、モータ40で加圧板27をさらに下降させ、上基板1bの下面を下基板1a上のシール剤に接触させ、荷重計33でシール剤に付加する加圧力を計測しつつモータ40を制御して上下両基板1a、1bを所望間隔に貼り合わせる(ステップ265)。
【0051】
この場合、上基板1bは加圧板27に密着していて中央部が垂れ下がっていることはない。このため、液晶剤中のスペーサに悪影響を与えたり、基板同士の位置合わせが不良になることはない。因みに、位置合わせは、まず図示を省略した上チャンバユニット21に設けた覗き窓から画像認識カメラで上下各基板1a、1bに設けられている位置合わせマークを読み取って画像処理により位置を計測する。その計測結果に基づいて、XYθステージT1の各ステージ4a乃至4cを微動させて、高精度な位置合わせを行なう。この微動において、Oリング44が極端に変形しないで真空が維持されるように、ボールベアリング87が上下チャンバユニット10、21の間隔を維持している。
【0052】
貼り合わせが終了すると、バルブ23を締めてガスパージバルブ25を開き、チャンバ内に不活性ガスを供給し、大気圧に戻してからガスパージバルブ25を閉じる(ステップ266)。その後、シリンダ22で上チャンバユニット21を上昇させ、XYθステージT1を液晶滴下部S1に戻す(ステップ267)。
【0053】
次に、XYθステージT1のテーブル9に載置されている貼り合わせた基板を、テーブル9上より外し次の処理工程に搬出する(ステップ270)。テーブル9より基板を外した後、基板は下流のUV光照射装置や加熱装置などでシール剤が硬化される。
【0054】
以上の実施形態では、シール剤を吐出して液晶を滴下した後、直ちに貼り合わせに移行することができるので、基板が塵埃を受け辛く、生産歩留まりを向上できる。また、XYθステージT1を上基板1bの真空チャンバ内への搬送に利用でき、装置の小型化が図られている。特に、XYθステージT1の移動で基板を保持したまま液晶剤を広げるので、1基板への供給点数を減らすことができ、供給量のばらつきは小さくなり、しかも液晶剤の拡張を貼り合わせる基板同士で行うので、短時間で供給から貼り合わせに進むことができ、生産性は向上する。
【0055】
また、液晶剤は正確な量を供給することが可能なため、液晶剤がシール剤パターンの外側にあふれて基板を汚染するおそれがなく、かつ洗浄工程は不要となって液晶剤の無駄な消費を無くすことができる。
【0056】
本発明は以上説明した実施形態に限らず、以下の様に実施しても良い。
(1)液晶剤を滴下するノズルは滴下粒径や、滴下範囲、液晶剤粘度などに応じて適宜変更しても良い。
(2)液晶剤を定量供給するプランジャ式のディスペンサは、その方式を問わず、定量供給できるものであれば如何なるディスペンサでも良い。
(3)ディスペンサ17Aに加圧される圧力は、液晶剤の滴下粒径、滴下範囲、液晶剤粘度などに応じ適宜調節すると良い。
(4)液晶剤の滴下中、下基板1aはテーブル9上に固定されているが、テーブル9をXY方向に移動させ、滴下範囲を変更しても良い。
(5)液晶剤は、ディスペンサ17Aの温度調節器により冷却しても、あるいはディスペンサ17Aに液晶剤を供給する図示していない供給タンクで冷却しても良い。
(6)上基板1bはロボットハンドから直接加圧板27に吸引吸着させても良い。
(7)張り合わせに用いる下基板1a及び上基板1bは予め所望の温度に調節して液晶基板の組立てを行っても良い。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、液晶剤の滴下痕を付けることなく、液晶剤を基板に供給することが可能であり、表示ムラの無い液晶パネルを生産することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の基板貼合せ装置の構成図である。
【図2】滴下供給液晶剤の拡散動作を行なう液晶剤搬送機構の図である。
【図3】基板貼合部S2の位置決めの一実施形態を示す図である。
【図4】滴下供給液晶剤の拡散方法の実施形態を示すものである。
【図5】本装置の全体動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】液晶滴下・拡散処理の詳細動作のフローチャートである。
【図7】基板貼合せ処理の詳細動作のフローチャートである。
【符号の説明】
S1…液晶滴下部、S2…基板貼合部、T1…XYθステージ、1a…下基板、1b…上基板、2…架台、3、35…フレーム、4a…Xステージ、4b…Yステージ、4c…θステージ、5、6、8…駆動モータ、7…回転ベアリング、9…テーブル、10…下チャンバユニット、11…回転ベアリング、12…シール、13…プレート、14、38…ブラケット、15…Z軸ステージ、16、40、59…モータ、17A…ディスペンサ、17B…液晶剤搬送機構、18…ノズル、21…上チャンバユニット、21a…フランジ、22…シリンダ、23…バルブ。
Claims (4)
- 少なくとも一方の基板にシール剤を塗布した後で、前記シール剤で囲まれた領域に液晶剤を滴下した後で、減圧した雰囲気中で2枚の基板を加圧して貼合せを行い、液晶基板を組立てる組立て方法において、 テーブル上に保持した基板上に液晶剤を滴下し、前記液晶剤を基板の主面の広がり方向に、不活性ガス又はクリーンエアーを吹き付けながら基板を移動させることで、強制的に基板面上に液晶剤を拡散させ、その後、基板を貼り合わせることを特徴とする液晶基板の組立方法。
- 請求項1に記載の液晶基板の組立方法において、液晶剤を滴下後に冷却した不活性ガス又はクリーンエアーのブローにより液晶剤を強制的に拡散させ、基板の貼り合わせを行なうことを特徴とする液晶基板の組立方法。
- テーブル上に載置した一方の基板にシール剤を塗布するディスペンサと、前記シール剤を塗布した領域内に液晶剤を滴下する液晶材適用ディスペンサと、前記基板を貼り合せを行う貼合せ室に搬送するための搬送手段と、前記貼合せ室に予め加圧機構に設けた他方の基板と、前記貼合せ室内を減圧する減圧機構とからなる液晶基板の組立装置において、
前記液晶剤を基板上に滴下した後に、前記滴下された液晶剤に不活性ガス又はクリーンエアーを吹き付けることで、前記液晶剤を前記シール剤に接触しない範囲に拡散させる液晶剤搬送機構を設けたことを特徴とする液晶基板の組立装置。 - 請求項3に記載の液晶基板の組立装置において、
液晶剤を滴下するディスペンサ及び基板保持テーブルに温度調節機構を設けたことを特徴とする液晶基板の組立装置。
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