JP2019170301A - 油脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、α−リノレン酸、DHA、EPAなどの高度不飽和脂肪酸を含有しながらも、焙煎胡麻油の良好な風味が維持された食用油脂組成物を提供することである。【解決手段】本発明によって、高度不飽和脂肪酸と焙煎胡麻油とを含有し、2−メチルピラジン濃度が15ppm以上である食用油脂組成物が提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、α−リノレン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)などの高度不飽和脂肪酸を含有しながらも、焙煎胡麻油の良好な風味が維持された食用油脂組成物に関する。
焙煎胡麻油は風味が良好なため、食用油脂として、調理用や生食用に広く用いられている。
DHAやEPAなどの高度不飽和脂肪酸は必須脂肪酸であり、中性脂質低下作用などを有することが知られており、そのような健康機能を有する成分を含有する食用油脂に対するニーズが存在する。ところが、α−リノレン酸、DHA、EPAなど、健康機能を有する成分を含有する油脂は風味が悪い場合が多く、他の油脂と混合して使用すると他の油脂の風味を邪魔してしまい、油脂組成物の風味が損なわれることがある。
例えば、DHAやEPAに起因する不快臭の抑制に関しては、これまで、種々の提案がなされている。特許文献1には、0.1〜10重量%のレモン油をDHA油に添加することによって、DHA油の酸化を防止し、DHA油の酸化によって発生する臭気をマスキングすることが記載されている。また、特許文献2には、1600ppm以上のδ−トコフェロールを配合することによって、魚油などに起因する不快な臭いを抑制することが記載されている。さらに、特許文献3には、多価不飽和脂肪酸含有油脂100質量部に対して2〜6質量部の焙煎胡麻油などを添加して、経時的な風味の劣化を抑制することが記載されている。特許文献4にも、多価不飽和脂肪酸含有油脂に胡麻油を配合することが記載されている。
特開平8−275728号公報 特開平9−263784号公報 特開平2−189394号公報 特開2003−306690号公報
α−リノレン酸、DHA、EPAなどの高度不飽和脂肪酸の不快臭抑制に関する従来の技術は、その効果が十分でないところがある。特に食用油脂においては、油脂組成物の香味が優れていることが必要であり、中でも、調理に用いる食用油脂はその香味を優れたものにする必要がある。
このような状況に鑑み、本発明の目的は、α−リノレン酸、DHA、EPAなどの高度不飽和脂肪酸を含有しながらも、焙煎胡麻油の良好な風味が維持された油脂組成物を提供することである。
本発明者らが上記課題について鋭意検討したところ、油脂組成物の2−メチルピラジン濃度を15ppm以上にすることによって、α−リノレン酸、DHA、EPAなどの高度不飽和脂肪酸を含有しながらも優れた風味の油脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、これに限定されるものではないが、以下の態様を包含する。
(1) 高度不飽和脂肪酸と焙煎胡麻油とを含有し、2−メチルピラジン濃度が15ppm以上である食用油脂組成物。
(2) 前記高度不飽和脂肪酸がドコサヘキサエン酸および/またはエイコサペンタエン酸を含む、(1)に記載の食用油脂組成物。
(3) ドコサヘキサエン酸および/またはエイコサペンタエン酸を0.1〜20質量%含有する、(1)または(2)に記載の食用油脂組成物。
(4) 魚油を0.1〜50質量%含有する、(1)〜(3)のいずれかに記載の食用油脂組成物。
(5) 焙煎胡麻油の割合が50質量%以上である、(1)〜(4)のいずれかに記載の食用油脂組成物。
(6) 加熱調理用である、(1)〜(5)のいずれかに記載の食用油脂組成物。
(7) (1)〜(6)のいずれかに記載の食用油脂組成物を製造する方法であって、高度不飽和脂肪酸と焙煎胡麻油を配合して油脂組成物の2−メチルピラジン濃度を15ppm以上とすることを含む、上記方法。
(8) (1)〜(6)のいずれかに記載の食用油脂組成物を用いて食材を加熱調理することを含む、食品の製造方法。
本発明に係る食用油脂組成物によれば、α−リノレン酸、DHA、EPAなどの高度不飽和脂肪酸を含有しながらも、優れた風味の油脂組成物を得ることができる。
焙煎胡麻油
本発明の油脂組成物には、焙煎胡麻油が配合される。胡麻油は、胡麻(Sesamum indicum L.)の種子から搾油される油であり、胡麻種子を焙煎してから搾油する焙煎胡麻油と、胡麻種子を焙煎せずに搾油・精製する精製胡麻油に大別される。本発明においては、焙煎胡麻油を使用するが、油脂組成物の2−メチルピラジン濃度が15ppm以上になるように使用すれば特に制限はない。焙煎胡麻油は、独特の香気を有し、その香気成分として2−メチルピラジンを含む。この2−メチルピラジンを含む焙煎胡麻油を配合することにより、α−リノレン酸、DHA、EPAなどの高度不飽和脂肪酸に起因する不快臭を効果的に抑制するとともに、加熱調理後の風味を向上させることができる。
本発明に係る油脂組成物において、2−メチルピラジンの濃度は、15ppm以上であるが、20ppm以上であることが好ましく、25ppm以上がより好ましく、30ppm以上がさらに好ましい。また、本発明に配合する焙煎胡麻油の2−メチルピラジンの濃度は、好ましい態様において、20ppm以上であり、より好ましくは30ppm以上であり、さらに好ましくは40ppm以上であり、さらに好ましくは45ppm以上である。2−メチルピラジン濃度の上限は特にないが、100ppm以下が好ましく、80ppm以下とすることがより好ましい。
本発明に係る油脂組成物において、焙煎胡麻油の含有量は、風味を良好とする点から、50質量%以上であることが好ましく、55〜99質量%がより好ましく、60〜95質量%がさらに好ましく、65〜90質量%がよりさらに好ましい。
また、本発明に係る油脂組成物において、DHAおよび/またはEPAなどの高度不飽和脂肪酸を含む油脂として、魚油を使用した場合、魚油(A)と焙煎胡麻油(B)の重量比であるB/Aは、風味を良好とする点から、1.5以上が好ましく、2以上がより好ましく、3〜10としてもよい。
高度不飽和脂肪酸
本発明に係る油脂組成物は、高度不飽和脂肪酸を含有する。本発明に係る高度不飽和脂肪酸とは、炭素数が18以上24以下であり、かつ、3〜6個の二重結合を有する。例えば、α−リノレン酸、DHA、EPAなどが挙げられる。好ましい様態においては、本発明に係る高度不飽和脂肪酸としてDHAおよび/またはEPAが挙げられる。本発明において高度不飽和脂肪酸は、油脂に由来するものはもちろん、その他に、公知の化学合成法で得たものや天然物などから抽出により得たものを単独または組み合わせて配合することができる。高度不飽和脂肪酸は、遊離の脂肪酸であってもエステル体であってもよいが、エステル体であることが好ましく、油脂を構成する脂肪酸として油脂組成物に含有させることが好ましい。
α−リノレン酸を含む油脂としては、例えば、アマニ油、エゴマ油、シソ油などを使用することができる。本発明に係る油脂組成物におけるα−リノレン酸の含有量は、好ましい様態において0.1〜40質量%であるが、0.5〜30質量%であることがより好ましい。なお、α−リノレン酸がエステル体の場合の含有量は、遊離の脂肪酸換算値である。本発明に係る油脂組成物において、α−リノレン酸を含む油脂として、アマニ油および/またはエゴマ油を使用することが好ましい。アマニ油および/またはエゴマ油の含有量は、0.1〜50質量%であることが好ましく、1〜40質量%がより好ましく、3〜30質量%がさらに好ましい。
DHAおよび/またはEPAを含む油脂としては、例えば、魚油、緑藻綱、珪藻綱などに属する藻類から採取することができる藻油などの微生物油、クリルオイルなどを挙げることができる。本発明に係る油脂組成物におけるDHAおよび/またはEPAの含有量は、好ましい態様において0.1〜20質量%であるが、0.5〜18質量%であることがより好ましく、1〜15質量%がさらに好ましい。なお、この含有量は、DHAおよび/またはEPAのうち一方のみを含む場合はその一方の量であり、両方を含む場合はその合計量である。また、DHAおよび/またはEPAがエステル体の場合の含有量は、遊離の脂肪酸換算値である。本発明においては、DHAおよび/またはEPAを含む油脂として魚油を使用することが好ましい。ここで、魚油とは、水産動物から得られる油脂であり、例えば、イワシ、ニシン、サンマ、サバ、カツオ、マグロ、クジラ、イカ、たら肝臓などの原料から採取することができる。本発明に係る油脂組成物において、魚油の含有量は、風味や安定性の観点から、0.1〜50質量%であることが好ましく、1〜40質量%がより好ましく、3〜30質量%がさらに好ましい。
その他の成分
本発明に係る油脂組成物には、焙煎胡麻油に加えて、他の油脂を含有させることができる。このような油脂としては、特に制限されず、例えば、大豆油、菜種油(キャノーラ油を含む)、サフラワー油、米油、コーン油、ヒマワリ油、綿実油、オリーブ油、落花生油、ハトムギ油、小麦胚芽油、サチャインチ油、クルミ油、キウイ種子油、サルビア種子油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、カボチャ種子油、椿油、茶実油、ボラージ油、パーム油、パームオレイン、パームステアリン、ココナッツ油、パーム核油、カカオ脂、サル脂、シア脂などの植物性油脂;ラード、牛脂、バター脂などの動物性油脂;あるいはそれらのエステル交換油、水素添加油、分別油などの油脂類を挙げることができる。これらの油は、それぞれ単独で用いてもよく、あるいは適宜混合して用いてもよい。中でも、植物性油脂がより好ましく、大豆油、菜種油、サフラワー油、コーン油、ヒマワリ油、綿実油、オリーブ油、落花生油、ハトムギ油、小麦胚芽油がさらに好ましく、大豆油又は菜種油がさらに好ましく、菜種油がさらに好ましい。また、本発明においては液状油脂を用いることが好ましいが、液状油脂とは、基準油脂分析試験法2.3.8−27による冷却試験を実施した場合、20℃で液状である油脂をいう。また、食用油脂は、精製工程を経た精製油脂であるのが好ましい。
油脂組成物中、油脂の含有量は、使用上の点から、90〜99.9質量%であることが好ましく、さらに94〜99.7質量%、さらに97〜99.5質量%であることが好ましい。
本発明の油脂組成物において、油脂を構成する脂肪酸としては、特に限定されず、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸のいずれであってもよいが、油脂を構成する脂肪酸のうち60〜100質量%が不飽和脂肪酸であることが好ましく、より好ましくは65〜99質量%、さらに70〜97質量%、さらに75〜95質量%が不飽和脂肪酸であるのが、油脂の品質や工業的生産性の点で好ましい。不飽和脂肪酸の炭素数は14〜24、さらに16〜22であるのが生理効果の点から好ましい。ここで、DHAおよび/またはEPAは、不飽和脂肪酸に含まれる。
また、本発明の油脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて通常用いられる添加剤を添加することができる。前記添加剤としては、保存安定性向上、酸化安定性向上、熱安定性向上、低温化での結晶抑制などを目的としたものであって、例えば、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート等の乳化剤、トコフェロール、アスコルビン酸脂肪酸エステル、リグナン、茶抽出物、コエンザイムQ、オリザノール等の抗酸化剤、β−カロテン等の色素、香料、シリコーンなどが挙げられる。前記添加剤を添加する場合は、油脂組成物に対して10質量%以下とすることが風味の点で好ましく、5質量%以下や3質量%以下としてもよい。本発明の一つの態様において、添加剤を無添加とすることができる。
本発明に係る油脂組成物は、原料を撹拌して混合することによって製造することができる。混合および撹拌は、油脂を加温した状態で実施してもよい。また、混合および攪拌は、加圧、減圧、常圧下で実施することが可能であり、ある態様では、常圧下で混合が行われる。
本発明に係る油脂組成物を製造する装置は、特に限定されないが、例えば、攪拌機、加熱用のジャケットなどを備えた加温可能な攪拌槽、邪魔板等を備えた通常の攪拌・混合装置を用いることができる。回転数、攪拌時間などの撹拌条件は、原材料が均一に混合されれば、特に制限されない。攪拌機における攪拌翼の形状は特に制限されないが、例えば、プロペラ型、かい十字型、ファンタービン型、ディスクタービン型またはいかり型などとすることができる。
本発明の油脂組成物は、一般の食用油脂と同様に使用でき、油脂を用いた各種飲食物に広範に適用することができる。なかでも、加熱調理用油脂、特に、炒め物、焼き物等の調理用油脂として好適である。
本発明において加熱調理とは、食材に熱を加えて調理することを意味し、例えば、揚げる、炒める、蒸す、焼く、炊く、電子レンジ調理などの調理法が挙げられる。好ましい態様において、本発明に係る油脂組成物を用いて食材を炒め調理やフライ(油ちょう)することができる。
また、本発明に係る油脂組成物は、好ましくは炒め調理に用いられる油脂組成物(炒め油)である。炒め調理の態様は特に限定されないが、例えば、フライパンや中華鍋、炒め釜、回転釜などの調理器具に油脂組成物(炒め油)を添加し、加熱して食材を調理することができる。炒め調理に用いる食材は特に制限されないが、例えば、キャベツ、ホウレンソウ、コマツナ、ナス、インゲン、ブロッコリー、ダイコン、ニンジン、ジャガイモなどの野菜類、マイタケ、シメジなどのきのこ類、鶏肉、豚肉、牛肉、羊肉などの獣肉類、スズキ、タラ、タコ、イカ、エビ、貝類などの魚介類、パスタ、中華麺などの麺類、米飯類などを挙げることができる。これらの食材は、必要に応じて調理前に下茹で、あく抜きなどの下処理をしておくことができる。炒め調理した食品としては、例えば、野菜炒め、炒飯、焼きそばなどを挙げることができる。
本発明に係る油脂組成物は、好ましくはフライ(油ちょう)に用いられる油脂組成物(フライ油)である。本発明においてフライとは、比較的多量の食用油脂を熱媒として使用する加熱調理方法をいい、日常的に幅広く用いられるものである。本発明に係る油脂組成物は、衣をつけてフライするような場合はもちろん、衣がないような素揚げに用いることもできる。フライした食品としては、例えば、天ぷら、から揚げ、とんかつ、コロッケ、さつま揚げ、即席麺、揚げせんべい、かりんとう、フライドポテト、フライドチキン、ドーナツなどを挙げることができる。フライ調理を実施する場所は、一般家庭はもちろん、スーパーなどの店舗のバックヤード、大規模な食品工場など、多くの場所が挙げられる。本発明に係る油脂組成物を食品工場などにおいて連続して使用する場合、フライ作業終了後に、揚げ種に吸収されて減少した分の油を継ぎ足しながら使用することができる(この操作を「差し油」、「足し油」などという)。
本発明に係る油脂組成物を、オーブンや電子レンジなどの加熱調理に用いる場合、例えば、油脂組成物を予め食材に付着させてから加熱調理することができる。
一つの態様において、本発明は、上述の油脂組成物を用いて加熱調理することを含む食品の製造方法であり、また別の態様において、本発明は、上述の油脂組成物を用いて加熱調理した食品である。
以下、本発明を具体的な実験に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、特に記載しない限り、本明細書において濃度などは質量基準であり、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
分析と定量
(1)α−リノレン酸、DHA、EPAの定量
基準油脂分析試験法2.4.4.3−2013トランス脂肪酸含量(キャピラリーガスクロマトグラフ法)に従って分析操作を行い、各ピーク面積をもとに、α−リノレン酸、DHA、EPAの含量を算出した。ただし、魚油には内部標準物質として使用するヘプタデカン酸が含まれているため、魚油を含む油脂組成物の分析を行う際は、内部標準物質無添加の補正用クロマトグラムを用いた補正を行った。
(2)2−メチルピラジンの定量
香気分析用の10mLバイアルに油脂1gを秤量し、セプタム付きの蓋で密封したものを固相マイクロ抽出の試料とした。この試料について、固相抽出装置(GERSTEL)を用いて、以下の条件で固相マイクロ抽出を行った。
<固相抽出条件>
・SPMEファイバー: 50/30μm、DVB/Carboxen/PDMS(SUPELCO社)
・予備加温: 40℃,10min
・揮発性成分抽出: 40℃,10min
・脱着時間:1min
上記のようにして固相抽出した試料を、ガスクロマトグラフ−質量分析法(GC−MS)により以下の条件で分析した。2−メチルピラジンの定量は、2−メチルピラジン(東京化成工業株式会社)を用いて、標準添加法により行った。
<GC−MS分析条件>
・測定機器: GC−2000Plus(SIMADZU社)
・カラム: TC−FFAP(ジーエルサイエンス株式会社)、長さ60m,口径0.25mm,膜厚0.25μm
・温度条件: 40℃(5min)保持→230℃まで4℃/min昇温→10min保持
・キャリアー: Heガス、ガス流量0.98mL/min
・質量分析計:GCMS‐QP2000Ultra(SIMADZU社)
・イオン化方式:EI(イオン化電圧90eV)
・SIM測定条件:m/z 94
材料
以下の実験においては、下記の材料を使用した。各胡麻油の2−メチルピラジン含量は下表に示すとおりであった。
・魚油:DDオイル タイプ3(日本水産)
・アマニ油:亜麻仁油(サミット製油)
・エゴマ油:エゴマ油(サミット製油)
・胡麻油A:芳醇胡麻油(九鬼産業)
・胡麻油B:純正胡麻油濃口(かどや製油)
・胡麻油C:純正胡麻油濃口(九鬼産業)
・胡麻油D:純正胡麻油(かどや製油)
・胡麻油E:太香胡麻油(竹本油脂)
・胡麻油F:純正胡麻油薄口(九鬼産業)
油脂組成物の調製と評価
下表の配合で材料を35℃に加温して混合し、油脂組成物を調製した。次いで、調製した油脂組成物30gをガラス瓶(容量:50mL)に充填し、55℃の恒温槽(暗所)で30日間保存した。
<油脂組成物の風味評価>
調製直後(保存0日)および55℃で30日間保存後(保存30日)に油脂組成物を2gずつ喫食し、風味を評価した。油脂組成物の風味は、焙煎胡麻油の風味が維持されているか、また不快臭の有無を主要観点として、専門パネラー10人で下記の基準に基づいて評価し、平均点を算出した。点数が高いほど良好である。
5:焙煎胡麻油の風味が維持されており、不快臭がない(非常に良好)
4:焙煎胡麻油の風味が維持されており、不快臭がほとんど感じられない(良好)
3:焙煎胡麻油の風味の中に不快臭がやや感じられる(許容できる)
2:焙煎胡麻油の風味の中に不快臭が感じられる(悪い)
1:焙煎胡麻油の風味の中に不快臭が強く感じられる(非常に悪い)
<加熱調理食品の風味評価>
調製した油脂組成物を用いて野菜炒めを調理し、その風味を評価した。具体的には、調製直後の油脂組成物13gをフライパンに入れて均一に広げた後、フライパンを中火で30秒間加熱し、カット野菜150gを入れて5分間炒めて野菜炒めを調理した。調理した野菜炒めについて、常温で1時間保管後に試食した。
野菜炒めの風味は、油脂組成物の風味評価と同様にして、専門パネラー10人で評価した。
表2に示したとおり、DHA・EPAと焙煎胡麻油とを含有する油脂組成物において、2−メチルピラジン濃度を15ppm以上とすることで、良好な風味の油脂組成物を得ることができた。さらに55℃で30日間保存した後も良好な風味が維持されていた。また、炒め調理に使用した場合においても、風味が良好であった。また、α−リノレン酸と焙煎胡麻油とを含有する油脂組成物においても、本発明によって良好な風味を有する油脂組成物が得られた。

Claims (8)

  1. 高度不飽和脂肪酸と焙煎胡麻油とを含有し、2−メチルピラジン濃度が15ppm以上である食用油脂組成物。
  2. 前記高度不飽和脂肪酸がドコサヘキサエン酸および/またはエイコサペンタエン酸を含む、請求項1に記載の食用油脂組成物。
  3. ドコサヘキサエン酸および/またはエイコサペンタエン酸を0.1〜20質量%含有する、請求項1または2に記載の食用油脂組成物。
  4. 魚油を0.1〜50質量%含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の食用油脂組成物。
  5. 焙煎胡麻油の割合が50質量%以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の食用油脂組成物。
  6. 加熱調理用である、請求項1〜5のいずれかに記載の食用油脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の食用油脂組成物を製造する方法であって、
    高度不飽和脂肪酸と焙煎胡麻油を配合して油脂組成物の2−メチルピラジン濃度を15ppm以上とすることを含む、上記方法。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の食用油脂組成物を用いて食材を加熱調理することを含む、食品の製造方法。
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