JP2019167816A - 水洗大便器 - Google Patents
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Abstract
Description
この「水溢れ現象」を図17及び図18により説明する。図17はボウル部の内側空間から見たボウル部のリム部の前端の領域を展開して示した部分正面展開図であり、図18はボウル部のリム部の前端を示す部分平面図である。
この継続的に吐水される洗浄水を、一定の経過時間毎に区切って説明すると、リム吐水口から吐水された洗浄水M1は、ボウル部の前方側を旋回する際に、前方側の小さな曲率半径のボウル形状により圧力損失を受け、その流速が減速する。この減速した洗浄水M1に、後から吐水された洗浄水M2が追いついて、ボウル前方側に洗浄水M1,M2が滞留していく。そして、この滞留水M1,M2は、時間の経過と共(洗浄の後半)に、滞溜水M1,M2,M3,M4と増え続け、その体積が大きくなる。この体積が大きい滞留水M1,M2,M3,M4に、後から吐水された体積の小さい旋回する洗浄水M5が衝突して、滞留水の上に乗り上げて又は滞溜水の一部を押し出して遠心力の影響で上方外側へと飛び出し溢れていく。
このように、本発明は、節水化とボウル部の洗浄性を両立させることができる水洗大便器を提供することを目的としている。
このように構成された本発明においては、給水装置により一定の大流量の洗浄水を所定時間継続して便器本体へ供給した場合であっても、ボウル部の平面視で最小の曲率半径の領域において、リム部の最内周端から鉛直方向下方に下ろした直線と、この直線より外側に位置するボウル部の内周面とにより取り囲まれる断面積が、リム吐水部の吐水口の断面積よりも大きくなるようにボウル部が形成されているので、リム吐水部から吐水された洗浄水が最小の曲率半径の領域において滞留しても、リム部のオーバーハング形状の通水路により受け止めることができる。この結果、本発明によれば、リム部から便器本体外へ水溢れが発生することを確実に防止することができる。さらに、リム部においてオーバーハング形状による清掃性を維持しつつ、節水化とボウル部の洗浄性を両立させることができる。
このように構成された本発明においては、リム部が、ボウル部の平面視で最小の曲率半径の領域において、その内周面の最内周端付近がほぼ水平となるように形成されているので、リム部の内周面の通水路に洗浄水が滞留して溢れ出ようとしても、溢れ出ようとする洗浄水をボウル部内へ跳ね返すことができ、便器本体外へ水溢れの発生を防止できる。
このように構成された本発明においては、直線とボウル部の内周面とにより取り囲まれる断面の底面が、上記ボウル部の中央に向かって下方に傾斜するよう形成されているので、洗浄水が最小の曲率半径の領域において滞留しても、その滞留した洗浄水は、自重によりボウル部へ落下するので、便器本体外への水溢れの発生を防止できる。
このように構成された本発明においては、給水装置により一定の大流量の洗浄水を所定時間継続して便器本体へ供給した場合であっても、ボウル部の平面視で最小の曲率半径の領域の上流側で最大の曲率半径からより小さい曲率半径となる位置から最小の曲率半径の領域の下流側で小さな曲率半径が最大の曲率半径となる位置までの領域において、リム部の最内周端から鉛直方向下方に下ろした直線と、この直線より外側に位置するボウル部の内周面とにより取り囲まれる断面積が、リム吐水部の吐水口の断面積よりも大きくなるようにボウル部が形成されているので、リム吐水部から吐水された洗浄水が上述した領域において滞留しても、リム部のオーバーハング形状の通水路により受け止めることができ、便器本体外への水溢れの発生を防止できる。
このように構成された本発明においては、旋回する洗浄水の流速が最も減速するボウル部の前端から下流側の小さな曲率半径から最大の曲率半径となる位置までの領域において、直線とボウル部の内周面とにより取り囲まれる断面の断面積がリム吐水口の断面積よりも大きくなるようにボウル部が形成されているので、リム吐水口から吐水された洗浄水が曲率半径が小さい上述した領域において滞留しても、リム部のオーバーハング形状の通水路により確実に受け止めることができ、便器本体外への水溢れの発生を防止できる。
このように構成された本発明においては、ジェットポンプユニットにより、一定の大流量の洗浄水を所定時間継続して便器本体へ供給する場合であっても、リム吐水部から吐水され、小さな曲率半径の領域において滞留していく洗浄水を、リム部のオーバーハング形状の通水路により受け止めることができ、便器本体外への水溢れの発生を防止できる。
このように構成された本発明においては、ジェットポンプユニットにより、一定の大流量の洗浄水を所定時間継続して便器本体へ供給する場合であっても、リム吐水部から吐水され、小さな曲率半径の領域に滞留していく洗浄水を、リム部のオーバーハング形状の通水路により受け止めることができ、便器本体外への水溢れの発生を防止できる。
図1及び図2に示すように、水洗大便器1は、便器本体2と、この便器本体2に洗浄水を供給する給水装置4を備えている。便器本体2は、表面に釉薬層が形成された陶器製であり、下部にスカート部7が形成され、上半分のうち前方にボウル部8が形成され、後方上部にはその上流端が給水装置4に連通する共通通水路10が形成され、さらに、後方下部に汚物を排出するための排水管路12が形成されている。
上述した水洗大便器1においては、第1リム吐水口24、第1通水路28及び第2リム吐水口26、第2通水路30は、陶器製の便器本体2と一体に形成されているが、本実施形態による水洗大便器は、この形態に限られず、第1リム吐水口、第1通水路及び第2リム吐水口、第2通水路を便器本体とは別体のディストリビユータ等により形成するようにしても良い。
この導水管路32は、凹部20の底面と滑らかな連続湾曲面として繋がっており、凹部20から導入管路32に流入した洗浄水が導入管路32内をスムーズに流れるようになっている。
本実施形態による水洗大便器1においては、リム部18の最内周端から鉛直方向に下ろした直線L1と、この直線L1より外側に位置するボウル部8の底面8b及びリム部18の内周面22とにより取り囲まれる断面(面積D2の部分)が、洗浄水の通水路80として機能するようになっている。
次に、通水路80の断面積D2を第1リム吐水口24の断面の断面積D1よりも大きく形成することにより、便器本体2の外部に溢れ出す水溢れ現象の発生を防止することができることを具体的に説明する。
2 便器本体
4 給水装置
5 貯水タンク
6 ジェットポンプユニット
8 ボウル部
16 汚物受け面
18 リム部
22 リム部の内周面
24 第1リム吐水口
26 第2リム吐水口
80 通水路
D1 第1リム吐水口の断面積
D2 リム部の内周面の通水路の断面積
このように構成された本発明においては、給水装置により洗浄水を便器本体へ供給した場合であっても、平面視で最小の曲率半径となる前端部を有し、ボウル部の平面視で前端部の上流側で最大の曲率半径からより小さい曲率半径となる位置から前端部の下流側で小さな曲率半径が最大の曲率半径となる位置までの領域において、リム部の最内周端から鉛直方向下方に下ろした直線と、この直線より外側に位置するボウル部の内周面とにより取り囲まれる断面積が、リム吐水口の断面積よりも大きくなるようにボウル部が形成されているので、リム吐水口から吐水された洗浄水が前端部において滞留しても、リム部のオーバーハング形状の通水路により受け止めることができる。この結果、本発明によれば、リム吐水口のみから洗浄水が吐水される場合であっても、リム部から便器本体外へ水溢れが発生することを確実に防止することができる。さらに、リム部においてオーバーハング形状による清掃性を維持しつつ、節水化とボウル部の洗浄性を両立させることができる。さらに、本発明によれば、直線とボウル部の内周面とにより取り囲まれる断面の底面が、ボウル部の中央に向かって下方に傾斜するよう形成されているので、洗浄水が前端部において滞留しても、その滞留した洗浄水は、自重によりボウル部へ落下するので、便器本体外への水溢れの発生を防止できる。
このように構成された本発明においては、リム部が、ボウル部の前端部において、その内周面の最内周端付近がほぼ水平となるように形成されているので、リム部の内周面の通水路に洗浄水が滞留して溢れ出ようとしても、溢れ出ようとする洗浄水をボウル部内へ跳ね返すことができ、便器本体外へ水溢れの発生を防止できる。
このように構成された本発明においては、旋回する洗浄水の流速が最も減速するボウル部の前端部から下流側の小さな曲率半径から最大の曲率半径となる位置までの領域において、直線とボウル部の内周面とにより取り囲まれる断面の断面積がリム吐水口の断面積よりも大きくなるようにボウル部が形成されているので、リム吐水口から吐水された洗浄水が曲率半径が小さい前端部において滞留しても、リム部のオーバーハング形状の通水路により確実に受け止めることができ、便器本体外への水溢れの発生を防止できる。
このように構成された本発明においては、ジェットポンプユニットにより、一定の大流量の洗浄水を所定時間継続して便器本体へ供給する場合であっても、リム吐水部から吐水され、小さな曲率半径の領域に滞留していく洗浄水を、リム部のオーバーハング形状の通水路により受け止めることができ、便器本体外への水溢れの発生を防止できる。
本発明において、好ましくは、給水装置は、瞬間流量が65L/分〜85L/分の大流量の洗浄水を3秒〜7秒継続して便器本体へ供給する。
〔発明の効果〕
Claims (7)
- 洗浄水を便器本体に供給して洗浄する水洗大便器であって、
この便器本体と接続され、一定の大流量の洗浄水を所定時間継続して便器本体へ供給する給水装置と、
ボウル形状の汚物受け面と、上縁に位置し内周面を有するリム部と、を備えたボウル部と、
上記給水装置から供給された洗浄水をそのリム吐水口から上記リム部の内周面に沿ってほぼ水平方向に吐水し旋回流を形成するリム吐水部と、を有し、
上記リム部は、その内周面が上記ボウル部の内側空間に露出し且つ内部空間に向かって上方に延びるオーバーハング形状に形成され、この内周面のオーバーハング形状により洗浄水の通水路が形成され、
上記ボウル部の平面視で最小の曲率半径の領域において上記リム部の最内周端から鉛直方向下方に下ろした直線と、この直線より外側に位置する上記ボウル部の内周面とにより取り囲まれる断面の断面積が、上記リム吐水部の吐水口の断面積よりも大きくなるように、上記ボウル部が形成されていることを特徴とする水洗大便器。 - 上記リム部は、上記ボウル部の平面視で最小の曲率半径の領域において、その内周面の最内周端付近がほぼ水平となるように形成されている請求項1に記載の水洗大便器。
- 上記直線とボウル部の内周面とにより取り囲まれる断面の底面は、上記ボウル部の中央に向かって下方に傾斜するように形成されている請求項1又は2に記載の水洗大便器。
- 上記ボウル部の平面視で最小の曲率半径の領域の上流側で最大の曲率半径からより小さい曲率半径となる位置から最小の曲率半径の領域の下流側で小さな曲率半径が最大の曲率半径となる位置までの領域において、上記リム部の最内周端から鉛直方向下方に下ろした直線と、この直線より外側に位置する上記ボウル部の内周面とにより取り囲まれる断面の断面積が、上記リム吐水部の吐水口の断面積よりも大きくなるように、上記ボウル部が形成された請求項1乃至3に記載の水洗大便器。
- 上記ボウル部は、その前端の領域が平面視で最小の曲率半径となるように形成され、上記リム吐水部は、上記ボウル部の側方領域に配置され且つ前方へと洗浄水を吐水し、
上記ボウル部の前端から下流側の小さな曲率半径から最大の曲率半径となる位置までの領域において、上記リム部の最内周端から鉛直方向下方に下ろした直線と、この直線より外側に位置する上記ボウル部の内周面とにより取り囲まれる断面の断面積が、上記リム吐水部の吐水口の断面積よりも大きくなるように、上記ボウル部が形成された請求項1乃至3の何れか1項に記載の水洗大便器。 - 上記給水装置は、洗浄水を貯水する貯水タンクと、少なくともその一部が上記貯水タンク内で水没した状態で配置されたジェットポンプユニットを備えている請求項1乃至5の何れか1項に記載の水洗大便器。
- 上記給水装置のジェットポンプユニットは、その一端が上記便器本体の導水路の入口に接続され、その他端には吸引口が形成され、この吸引口が上記貯水タンク内の下部に位置するように配置されたスロート管と、このスロート管の吸引口に向けて洗浄水を噴射してジェットポンプ作用を誘発させるジェットノズルと、を備えている請求項6に記載の水洗大便器。
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