JP2013194410A - 水洗大便器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の水洗大便器1は、ボウル形状のボウル部8と、このボウル部の上縁部に形成されたリム部16と、を備えた便器本体2を有し、この便器本体のリム部は、その下端部16k及び内周面17がほぼ鉛直方向に立ち上がるように形成され、且つ便器本体のボウル部は、その上端部8aがほぼ鉛直方向に立ち上がるように形成され、便器本体のリム部及びボウル部は、互いに別々に成形された後にリム部の下端部とボウル部の上端部とを接着して便器本体を製造する別体製造工程、及び互いに一体に成形されたリム部及びボウル部により便器本体を製造する一体製造工程のうちの何れの製造工程によっても便器本体を製造することが可能であることを特徴とする。
【選択図】図13
Description
また、このような特許文献1に記載されている水洗大便器においては、リム部とリム部を除くボウル部を予め別々に成形し、両者を接着することにより、便器本体を製造している。
一方、特許文献2に記載されているように、複数の成形型により、リム部と、このリム部を除くボウル部とが一体的に成形された水洗大便器についても知られている。
このように構成された本発明においては、便器本体のリム部の下端部及び内周面がほぼ鉛直方向に立ち上がるように形成され、且つ便器本体のボウル部の上端部がほぼ鉛直方向に立ち上がるように形成されていることにより、互いに別々に成形された後にリム部の下端部とボウル部の上端部とを接着して便器本体を製造する別体製造工程、及び、互いに一体に成形されたリム部及びボウル部により便器本体を製造する一体製造工程のうちの何れの製造工程によっても便器本体を製造することが可能となる。したがって、便器本体の製造効率を改善することができ、水洗大便器の製造コストを抑えることができる。特に、互いに別々に成形されたリム部の下端部とボウル部の上端部とを接着する作業を行う際には、ほぼ鉛直方向に立ち上がるように形成されたリム部の下端部とボウル部の上端部により、互いの接着位置が見やすく、リム部とボウル部との位置合わせを容易に行うことができる。
このように構成された本発明においては、便器本体のボウル部の後方に形成されてリム部を下方から上方に向かって支持する補強部により、リム部の傾きを抑制することができるため、便器本体の製造効率を改善することができ、水洗大便器の製造コストを抑えることができる。
このように構成された本発明においては、便器本体の補強部が、リム部を下方から上方に向かって支持してリム部の傾きを抑制すると共に、便器本体の製造工程において成形型により成形された成形体の内部の泥しょうを外部へ排出する排泥通路を形成しているため、互いに別々に成形された後にリム部の下端部とボウル部の上端部とを接着して便器本体を製造する別体製造工程、及び互いに一体に成形されたリム部及びボウル部により便器本体を製造する一体製造工程のうちの何れの製造工程によっても便器本体を製造することが可能となる。したがって、便器本体の製造効率を改善することができ、水洗大便器の製造コストを抑えることができる。
このように構成された本発明においては、便器本体のリム部の前端付近に吐水口が形成されていることにより、便器本体の製造中にリム部の吐水口以外の部分(例えば、リム部の両側)を持ちやすくすることができ、作業性を向上することができる。したがって、便器本体の製造効率を改善することができ、水洗大便器の製造コストを抑えることができる。
図1は本発明の一実施形態による水洗大便器を示す概略斜視図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態による水洗大便器1は、ボウル部内の水の落差による流水作用で汚物を押し流す、いわゆる、洗い落し式の水洗大便器であり、陶器製の便器本体2と、この便器本体2の上面に配置された便座(図示せず)を覆う便蓋4と、便器本体2の後部に取り付けられ、便器洗浄に使用される洗浄水を貯水して便器本体2へ給水する洗浄水源である重力給水式の貯水タンク6とを備えている。
なお、便器本体2へ洗浄水を供給する洗浄水源としては、本実施形態で示した重力給水式の貯水タンク6のようなタンク式のものに限定されず、水道水の給水圧を直接利用した水道直圧式のものや、フラッシュバルブ式のものや、ポンプの補圧を利用して洗浄水を供給するものであってもよい。
図2及び図3に示すように、便器本体2の前方上部にはボウル部8が形成されている。 また、便器本体2の後方上部には、貯水タンク6から供給された洗浄水をボウル部8に吐水する導水路10が形成されている。
さらに、ボウル部8の下方には、ボウル部8内の汚物を排出する排水路である排水トラップ管路12が形成されている。
さらに、ボウル部8の左右方向を二等分する中心線A1(図3参照)に対して便器本体2の前方側から見て凹部20の左側の側壁面20bにはゼット吐水口22が形成され、このゼット吐水口22は、導水路10の共通導水路10aから分岐したゼット導水路10bに接続されており、ゼット吐水口22から吐水された洗浄水の主流が凹部20内で旋回するようになっている。これにより、ゼット吐水口22から洗浄水が吐水された際、ゼット吐水の旋回流によりボウル部8の凹部20内の溜水が外側に広がりにくくなり、浮遊系汚物を凹部20内の溜水のほぼ中央に集めて確実に排出することができるようになっている。また、ボウル部8の凹部20内から洗浄水が外側へ飛び出そうとするときに、後述するリム吐水口26から吐水されて旋回したリム吐水がボウル部8を流下して衝突することにより生ずる水撥ねをより効果的に抑制することができるようになっている。
図4は、図3のIV−IV線に沿って見た断面図であり、図5は、図3のV−V線に沿って見た断面図である。
図2〜図5に示すように、導水路10は、貯水タンク6の排水口6aに接続される入口部10cからボウル部8の背面側近傍まで延びる共通導水路10aと、この共通導水路10のボウル部8の背面側近傍においてそれぞれ分岐するゼット導水路10bとリム導水路10dを備えている。
なお、リム吐水口26とゼット吐水口22は、ボウル部8の左右の何れか一方の同側に形成されていればよい。
図6は、本発明の一実施形態による水洗大便器のボウル部内の前側領域のリム吐水口を後方側斜め下方から見た拡大斜視図であり、図7は、図3に示す本発明の一実施形態による水洗大便器の前方部分を拡大した部分拡大平面図である。
また、ボウル部8の前方側領域Fは、中心線A1及びリム部16の内周面17の前端部16a(内周側前端部16a)に対して左右対称に配置され且つ前端部16aを含む領域F1と、この領域F1よりも後方側に位置する領域F2と、この領域F2よりもさらに後方側に位置する領域F3を備えている。
すなわち、リム吐水口26が、リム部16の前端部16aに位置する曲率半径最小部の近傍に配置され、この曲率半径最小部に向けて洗浄水を吐水することにより、リム吐水口26から吐水された洗浄水の吐水方向ベクトルと水勢を安定化させることができ、比較的強い水勢を維持した状態で、リム部16の前端部16aを経由した後、リム部16の後方側領域Rへ旋回することができるようになっている。それにより、汚れやすいボウル部8の後方側領域Rをしっかり洗浄することができ、後方側領域Rを通過後の洗浄水は勢いを保った状態で旋回を続けるため、リム部16の前端部16a付近も旋回することができずに洗浄不良となることを防ぐことができるようになっている。
さらに、便器本体2のリム部16の内周面17は、前端部16a付近以外ではほぼ鉛直方向に立ち上がる形状に形成されているので、万一汚れが付着したとしても、拭き取りやすくなっている。
また、リム部16の前方側領域F1,F2のオーバーハング部16bは、リム吐水口26から前方側に向ってリム部16の前方側領域F1内の前端部16aまで延び、この前端部16aから連続形成部26cまで延びており、ボウル部8内を上方から見てリム部16の前端部16aに対して左右対称に配置されている。このように、リム吐水口26がリム部16の前端部16a付近に形成され、リム部16のオーバーハング部16bがリム吐水口26を覆うので、使用者は、前方斜め上方から見たときに、リム吐水口26を視認することができないようになっている。
すなわち、リム吐水口26は、便器本体2のリム部16の前方側領域F1,F2において、便器本体2のリム部16の後方側領域R及び前方側領域F3のほぼ鉛直方向に立ち上がる立ち上がり部16cを形成する内周面17と面一となる仮想面16dに対して前方に且つ左右方向に所定の幅で突出するように形成された凹み空間B内に形成されている。この凹み空間Bの上縁部は、オーバーハング部16bと一致し、凹み空間B内の内周面16fの前端部16aの下端は、棚部18の外縁部18bの前端18cと一致している。
図8は、本発明の一実施形態による水洗大便器の便器本体において、別体に成形されたリム部とボウル部により製造される水洗大便器の一連の製造工程を概略的に示す工程図である。
また、図9は、本発明の一実施形態による水洗大便器における接着工程前の状態の便器本体を示す側面図であり、図10は、本発明の一実施形態による水洗大便器における接着工程前の状態の便器本体を示す正面断面図であり、図11は、図10に示す本発明の一実施形態による水洗大便器の接着工程前の状態の便器本体を示す正面断面図において、リム部とボウル部との接着部を拡大した拡大図である。
さらに、図12は、本発明の一実施形態による水洗大便器の便器本体において、一体に成形されたリム部とボウル部により製造される水洗大便器の一連の製造工程を概略的に示す工程図であり、図13は、本発明の一実施形態による水洗大便器において、一体成形中の便器本体の状態を示す正面断面図である。
図8に示すように、本実施形態の水洗大便器1の便器本体2の別体製造工程では、まず、工程S1(原料工程)において陶器製の便器本体2の原料となる陶石や長石、粘土等を準備した後、工程S2(調製工程)において原料と水をシリンダーミルの中で数十時間回転させ、細かく粉砕し、泥しょう(泥水)を作り、調製を行う。
つぎに、図8の工程S3(造型工程)において、図9に示す陶器製の便器本体2のボウル部8を形成する下側便器本体部2aと、図9に示す陶器製の便器本体2のリム部16を形成する上側便器本体部2bとをそれぞれ成形するためのボウル部成形用の型枠とリム部成形用の型枠をそれぞれ石膏又は樹脂で造る造型作業が行われる。
その後、図8の工程S9(焼成工程)において、便器本体2がトンネル窯でゆっくりと焼き上げられる。
そして、最終的には、図8の工程S10(製品検査工程)において、便器本体2は、目視と機械による陶器検査が行われた後、包装されて出荷となる。
図12に示すように、本実施形態の水洗大便器1の便器本体2の一体製造工程では、まず、工程S101(原料工程)において、上述した工程S1と同様に、陶器製の便器本体2の原料となる陶石や長石、粘土等を準備した後、工程S102(調製工程)において、上述した工程S2と同様な調製を行う。
したがって、便器本体2の製造効率を改善することができ、水洗大便器1の製造コストを抑えることができる。特に、互いに別々に成形されたリム部16の下端部16kとボウル部8の上端部8aとを接着する作業を行う際には、ほぼ鉛直方向に立ち上がるように形成されたリム部16の下端部16kとボウル部8の上端部8aにより、互いの接着位置が見やすく、便器本体2の上側便器本体部2bの下端部2dと便器本体2の下側便器本体部2aとの位置合わせを容易に行うことができる。
2 便器本体
2a 下側便器本体部
2b 上側便器本体部
2c 下側便器本体部の上端部
2d 上側便器本体部の下端部
4 便蓋
6 貯水タンク
6a 貯水タンクの排水口
8 ボウル部
8a ボウル部の上端部
10 導水路
10a 共通導水路
10b ゼット導水路
10c 導水路の入口部
10d リム導水路
12 排水トラップ管路
12a 排水トラップ管路の入口
12b 排水トラップ管路の上昇路
12c 排水トラップ管路の下降路
14 汚物受け面
14a 汚物受け面の下縁部
16 リム部
16a リム部の前端部
16b リム部のオーバーハング部
16c リム部の立ち上がり部
16d リム部の立ち上がり部の内周面と面一となる仮想面
16e リム部のオーバーハング部の後縁
16f リム部の凹み空間内の内周面
16g リム部内壁部
16h リム部外壁部
16i リム部底面部
16j リム部上面部
16k リム部内壁部の下端部
17 リム部の内周面
17a 鉛直面
17b 水平面
18 棚部
18a 棚部の内縁部
18b 棚部の外縁部
18c 棚部の外縁部の前端
20 凹部
20a 凹部の底面
20b 凹部の壁面
22 ゼット吐水口
24 排水ソケット
26 リム吐水口
26a リム吐水口内の通水路
26b リム吐水口内の通水路の上縁部
26c 連続形成部
26d リム吐水口の口縁部
28 補強部
28a 排泥通路
30 下側の型枠
32 上側の型枠
A1 ボウル部の前後方向中心線
A2 ボウル部の左右方向中心線
B 凹み空間
C 接着ライン
F ボウル部の前方側領域
F1 ボウル部の前方側領域
F2 ボウル部の前方側領域
F3 ボウル部の前方側領域
R ボウル部の後方側領域
Claims (4)
- 洗浄水源から供給される洗浄水により便器本体を洗浄して汚物を排出する水洗大便器であって、
ボウル形状のボウル部と、このボウル部の上縁部に形成されたリム部と、を備えた便器本体を有し、
この便器本体のリム部は、その下端部及び内周面がほぼ鉛直方向に立ち上がるように形成され、且つ上記便器本体のボウル部は、その上端部がほぼ鉛直方向に立ち上がるように形成され、
上記便器本体のリム部及びボウル部は、互いに別々に成形された後に上記リム部の下端部と上記ボウル部の上端部とを接着して便器本体を製造する別体製造工程、及び、互いに一体に成形されたリム部及びボウル部により便器本体を製造する一体製造工程のうちの何れの製造工程によっても便器本体を製造することが可能であることを特徴とする水洗大便器。 - 上記便器本体は、更に、上記ボウル部の後方に形成されて上記リム部を下方から上方に向かって支持する補強部を備えている請求項1記載の水洗大便器。
- 上記便器本体の補強部の内部には、上記便器本体の製造工程において成形型により成形された成形体の内部の泥しょうを外部へ排出する排泥通路が形成されている請求項2に記載の水洗大便器。
- 上記便器本体のリム部の前端付近には、上記ボウル部に洗浄水を吐水する吐水口が形成されている請求項1乃至4の何れか1項に記載の水洗大便器。
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