以下、添付図面を参照して、従来の給水弁装置及びその設置例について説明する。
図9は、従来の典型的な水洗式大便器の平面図であり、図10は、図9の水洗式大便器のX−X線断面図である。
図9及び図10に示す水洗式大便器1は、便器本体2と、当該便器本体2に洗浄水を供給する洗浄水タンク装置4と、を備えている。
便器本体2は、その前方側に設けられたボウル部6と、当該ボウル部6の上縁に形成されたリム部8と、当該リム部8の内周に形成された棚部10と、を有している。
また、便器本体2のボウル部6の底部には、トラップ排水路12の入口12aが開口しており、当該トラップ排水路12は、上方に延びる上昇管12bと、下方に延びる下降管12cと、を有している。
また、便器本体2は、洗浄水タンク装置4の排水口14から排出される洗浄水が流入する導水路16と、棚部10の前方から見て左側中央に形成された第1リム吐水口18と、棚部10の前方から見て右側後方に形成された第2リム吐水口20と、を有している。
導水路16は、下流に向かって第1通水路22と第2通水路24とに分岐している。これにより、導水路16の洗浄水は、第1通水路22を経て第1リム吐水口18に到達する一方、第2通水路24を経て第2リム吐水口20に到達するようになっている。そして、第1リム吐水口18及び第2リム吐水口20からそれぞれ洗浄水が吐水され、ボウル部6を洗浄し、汚物をトラップ排水路12から排出するようになっている。
続いて、図11は、洗浄水タンク装置4の内部構造を示す背面図であり、図12は、洗浄水タンク装置4の内部構造を示す概念図である。
図11及び図12に示すように、洗浄水タンク装置4は、洗浄水を貯水する貯水タンク26と、当該貯水タンク26に洗浄水を供給するための管路(給水管路28、定流量弁42、給水弁装置30、ジェット流路74及びジェットノズル40)と、当該管路の下流端(ジェットノズル40の下流端)に設けられて便器本体2にジェット吐水を行うためのジェットポンプユニット32と、使用者が手動操作により洗浄水の給水を行うための手動レバー34と、を有している。
給水管路28の上流端には、外部の水道管等の給水源(図示せず)から供給される洗浄水を止水するための止水栓36が設けられている。止水栓36は、水洗式大便器1の据付時などに給水源(図示せず)からの給水を止水するためのものであり、通常使用時は開状態に保持されている。
ジェットポンプユニット32は、下方から上方に斜めに延びる上昇管部38aと、当該上昇管部38aの上端から下方に鉛直に延びる下降管部38bと、を有する概ね逆V字形状に形成されたスロート管38を有している。ジェットノズル40は、貯水タンク26内の水位に依存して移動される切替弁96の位置に応じて、スロート管38に向けて洗浄水を噴射して便器本体2へのジェット吐水を誘発させるか(洗浄時動作)、切替弁96に向けて洗浄水を噴射して貯水タンク26に洗浄水を補充する(貯水タンク26の水位を上げる)ようになっている。
給水管路28からジェット流路74ないしジェットノズル40への洗浄水の供給については、後述する給水弁装置30によって制御される。また、ジェット流路74の途中において、ジェットノズル40を経由せずに便器本体2へ洗浄水を供給できる補給水流路76が分岐されている。補給水流路76は、スロート管38の下降管部38bに隣接して鉛直方向に延びるオーバーフロー管80の直上位置まで延びている。
スロート管38の上昇管部38aの上流端の吸引口38cは、貯水タンク26内の下部に位置している。スロート管38の吸引口38cとジェットノズル40とは、常時(切替弁96の位置に拘わらず)、貯水タンク26内で水没した状態となっている。一方、スロート管38の下降管部38bの下流端は、便器本体2の導水路16に連通する排水口14に接続されている。
図11及び図12のジェットポンプユニット32は、貯水タンク26内において、スロート管38の吸引口38cが右側領域に配置され、スロート管38の下降管部38bが貯水タンク26の左右方向中央領域に配置されている。
ジェットポンプユニット32は、ジェットノズル40から吸引口38cに向けて高速に洗浄水が噴射される時、吸引口38c近傍の空間が負圧となることによって、ジェットポンプ作用(エジェクタ効果)を誘発させることができる。すなわち、貯水タンク26内の吸引口38c近傍の洗浄水が吸引口38c内へと吸引され、当該洗浄水がジェットノズル40から噴射された洗浄水と一緒になって、スロート管38及び排水口14を経て、便器本体2の導水路16へとジェット吐水されるようになっている。
ここで、図13及び図14は、給水弁装置30の近傍に配置された要素部材と給水弁装置30の内部構成とを示す概略断面図である。図13及び図14に示すように、給水弁装置30の上流側には、定流量弁42が設けられている。一方、給水弁装置30の下流側には、大気と連通することができる(図13参照)空気放出口44が設けられており、且つ、給水弁装置30の下流側に洗浄水が流入する際に当該洗浄水の水圧によって前記空気放出口44を閉塞させる(図14参照)開閉弁45(フラッパー弁と呼ばれている)が設けられている。
定流量弁42は、給水弁装置30に供給される洗浄水を定流量とするために従来から慣用されているものである。空気放出口44及び開閉弁45は、ジェット流路74内に負圧が生じることを抑制するために従来から慣用されているものである。
給水弁装置30は、パイロット式ダイアフラム弁である主弁体48と、当該主弁体48が着座する主弁座50と、内部の圧力に応じて主弁体48を主弁座50に対して移動させる圧力室52と、を有している。主弁体48は、圧力室52の内部の圧力に応じて、主弁座50に着座して止水する止水状態(図13参照)と、主弁座50から離間して給水を許容する給水状態(図14参照)と、に切り換えられるようになっている。
圧力室52には、当該圧力室52の内部の圧力を開放する2つの穴、すなわち、第一穴54及び第二穴56が設けられている。第一穴54は、手動レバー34を介しての使用者の手動操作に連動する第一パイロット弁58によって開閉されるようになっている。一方第二穴56は、貯水タンク26内の洗浄水の水位に伴って上下動する給水フロート60に連動する第二パイロット弁62によって開閉されるようになっている。
主弁体48には、ブリード穴(図示せず)が設けられており、止水状態のとき、当該ブリード穴(図示せず)によって給水管路28の一次側流路Aと圧力室52の内部とが連通するようになっている。ここで、第一穴54は、その開口面積が第二穴56の開口面積よりも大きく形成されている。また、第一穴54は、第二穴56よりも、図12に示すように、上方位置に形成されている。
給水弁装置30は、通常は止水状態であって、すなわち、通常は第一穴54及び第二穴56は塞がれている。また、止水状態では、給水管路28の一次側流路Aは圧力室52とブリード穴(図示せず)を通じて連通しているため、一次側流路Aと圧力室52の水圧は同じ水圧(一次側流路圧力α)である。そして、二次側流路Bが大気開放されていることにより、主弁体48に水圧が作用する面積は、圧力室52側(図12の右側)の方が一次側流路A側(図12の左側)よりも大であるので、主弁体48は主弁座50に押付けられて閉じた状態を維持している。
そして、第一穴54及び/または第二穴56が第一パイロット弁58及び/または第二パイロット弁62によって開放されると、当該第一穴54及び/または第二穴56を介して圧力室52内の洗浄水が流出する。これにより、圧力室52の内部の圧力が低下するため、主弁体48が主弁座50から離れるように移動する。この結果、給水弁装置30は開弁し、給水状態(吐水状態)となる。
その後、第一穴54及び/または第二穴56が第一パイロット弁58及び/または第二パイロット弁62によって閉塞されると、圧力室52の内部の圧力が再び一次側流路圧力αに戻る。これに伴って、主弁体48が主弁座50に向けて移動する。この結果、給水弁装置30は閉弁し、止水状態となる。(一次側流路Aの洗浄水は、ブリード穴を介して圧力室52内へ少しずつ注入されるため、第一穴54及び/または第二穴56が閉塞されてから所定時間遅れて止水状態となる。)
次に、添付図面を参照して、本発明の2つの実施形態による給水弁装置を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態による給水弁装置130の止水状態での概略断面図であり、図2は、図1の給水弁装置130の給水状態での概略断面図であり、図3は、図1の給水弁装置130の空気通過状態での概略断面図である。また、図4は、図1の給水弁装置130を設置した洗浄水タンク装置104の内部構造を示す概念図である(図12と同様の構成については、同様の符号を付して説明を省略する)。
図1乃至図4に示すように、本発明の第1実施形態による給水弁装置130は、給水源である給水管路28から主弁体148の位置に応じて洗浄水が流入する一次側流路131と、一次側流路131の流出口131aから流出した洗浄水が流入する二次側流路132と、を備えている。一次側流路131は、略水平方向に延びており、二次側流路132は、略鉛直方向に延びており、両者は接続されて略L字状の流路を形成している。
二次側流路132の流出口132aには、ジェット流路174が接続されており、ジェット流路174の下流部分は、柔軟な二次側ホース174hとなっており、当該二次側ホース174hの下流端であるジェットノズル140は、水中に配置される(水没される)ようになっている。
また、一次側流路131と二次側流路132との間には、開閉弁145が設けられており、当該開閉弁145は、上方端部がヒンジ状に回動可能に支持されていて、給水弁装置130の止水状態では全閉されるようになっており(図1参照)、給水弁装置130の給水状態では、一次側流路131の流出口131aから二次側流路132へと流入する洗浄水の水圧によって全開されるようになっている(図2参照)。なお、開閉弁145の「全開」とは、洗浄水の水圧によって開閉弁145が最大限に開放された状態を意味する。「全開」の状態に至る途中には、「全開」ではない開放状態が存在する。
また、二次側流路132の上方壁には、開閉弁145が全閉した状態において当該二次側流路132内の空気を逃がすことができる空気放出口144が設けられている。空気放出口144及び開閉弁145は、ジェット流路174内に負圧が生じることを抑制するために従来から慣用されているものと同様であり、開閉弁145が全開した状態において、当該開閉弁145は空気放出口144を全閉させるようになっている(図2参照)。
そして、本実施形態では、二次側流路132に、開閉弁145が全開した状態において二次側流路132内の空気を逃がすことができる追加空気放出手段が更に設けられている。具体的には、本実施形態の追加空気放出手段は、二次側流路132の流出口132a及び空気放出口144とは別に二次側流路132に設けられた追加空気放出口146と、開閉弁145が全開した状態において、二次側流路13内の圧力が所定値以上であるときに、追加空気放出口146を開放するか追加空気放出口146の開放状態を維持する追加空気逃がし弁147と、を有している。
本実施形態の追加空気放出口146は、二次側流路132の上方端部において、一次側流路131と略対向する位置に設けられている。そして、本実施形態の追加空気逃がし弁147は、二次側流路132の外側から追加空気放出口146を開閉するようになっている。具体的には、本実施形態の追加空気放出手段は、追加空気逃がし弁147を二次側流路132の外側から追加空気放出口146に向けて付勢するバネ機構147sを有しており、二次側流路13内の圧力が当該バネ機構147sの付勢力を上回るときに、追加空気放出口146を開放するか追加空気放出口146の開放状態を維持するようになっている。
一方、給水弁装置130は、従来の給水弁装置30と同様に、パイロット式ダイアフラム弁である主弁体148と、当該主弁体148が着座する主弁座150と、内部の圧力に応じて主弁体148を主弁座150に対して移動させる圧力室152と、を有している。主弁体148は、圧力室152の内部の圧力に応じて、主弁座150に着座して止水する止水状態(図1参照)と、主弁座150から離間して給水を許容する給水状態(図2参照)と、に切り換えられるようになっている。
圧力室152には、当該圧力室152の内部の圧力を開放する2つの穴、すなわち、第一穴154及び第二穴156が設けられている。第一穴154は、手動レバー34を介しての使用者の手動操作に連動する第一パイロット弁158によって開閉されるようになっている。一方第二穴156は、貯水タンク26内の洗浄水の水位に伴って上下動する給水フロート160に連動する第二パイロット弁162によって開閉されるようになっている。
主弁体148には、ブリード穴(図示せず)が設けられており、止水状態のとき、当該ブリード穴(図示せず)によって給水管路28の一次側流路Aと圧力室152の内部とが連通するようになっている。ここで、第一穴154は、その開口面積が第二穴156の開口面積よりも大きく形成されている。また、第一穴154は、第二穴156よりも、図4に示すように、上方位置に形成されている。
次に、以上のような構成からなる本発明の第1実施形態の給水弁装置130の作用について説明する。
給水弁装置130は、通常は止水状態であって、すなわち、通常は第一穴154及び第二穴156は塞がれている。また、止水状態では、給水管路28の一次側流路Aは圧力室152とブリード穴(図示せず)を通じて連通しているため、一次側流路Aと圧力室152の水圧は同じ水圧(一次側流路圧力α)である。そして、二次側流路Bが大気開放されていることにより、主弁体148に水圧が作用する面積は、圧力室152側(図4の右側)の方が一次側流路A側(図4の左側)よりも大であるので、主弁体148は主弁座150に押付けられて閉じた状態を維持している。
このとき、図1に示すように、開閉弁145は全閉されており、空気放出口144が、ジェット流路174内に負圧が生じることを抑制している。
そして、第一穴154及び/または第二穴156が第一パイロット弁158及び/または第二パイロット弁162によって開放されると、図2に示すように、当該第一穴154及び/または第二穴156を介して圧力室152内の洗浄水が流出する(図2では給水フロート160に連動する第二パイロット弁162によって第二穴156が開放されている)。これにより、圧力室152の内部の圧力が低下するため、主弁体148が主弁座150から離れるように移動する。この結果、給水弁装置130は開弁し、給水状態(吐水状態)となる。
このとき、図2に示すように、開閉弁145は全開され、空気放出口144が開閉弁145によって閉塞される。これにより、洗浄水が空気放出口144から漏洩することが防止される。
その後、第一穴154及び/または第二穴156が第一パイロット弁158及び/または第二パイロット弁162によって閉塞されると、圧力室152の内部の圧力が再び一次側流路圧力αに戻る。これに伴って、主弁体148が主弁座150に向けて移動する。この結果、給水弁装置130は閉弁し、止水状態となる。(一次側流路Aの洗浄水は、ブリード穴を介して圧力室152内へ少しずつ注入されるため、第一穴154及び/または第二穴156が閉塞されてから所定時間遅れて止水状態となる。)
さて、通常の使用状態であれば、給水管路28内に空気が押し出されてくることは無い。しかしながら、何らかのメンテナンス作業の後に、給水管路28内に不所望に空気が押し出されてしまう場合があり得る。その場合には、給水弁装置130が給水状態(吐水状態)になるとき、当該空気が洗浄水と一緒に(特には洗浄水に先行して)二次側流路132に供給されてしまう。
本実施形態の給水弁装置130では、そのような場合、全開した開閉弁145が空気放出口144を全閉させた状態において、二次側流路132内の圧力が所定値以上になったとき、図3に示すように、追加空気逃がし弁147が移動して追加空気放出口146を開放する(または開放状態を維持する)。具体的には、二次側流路132内の圧力によって、バネ機構147sによる付勢力に抗して、追加空気逃がし弁147が追加空気放出口146から離間される(または離間状態に維持される)。
これによって、全開した開閉弁145が空気放出口144を全閉させた状態においても、洗浄水に押し出されてきた空気が二次側流路132内に流入する場合において、当該空気を効果的に逃がすことができる。これにより、「エアハンマー」の発生を有効に回避することができ、すなわち、水中に配置される二次側ホース174hの他端であるジェットノズル40に不所望の影響が生じることを回避することができる。
続いて、図5は、本発明の第2実施形態による給水弁装置230の止水状態での概略断面図であり、図6は、図5の給水弁装置230の給水状態での概略断面図であり、図7は、図5の給水弁装置230の空気通過状態での概略断面図である。また、図8は、図5の給水弁装置230を設置した洗浄水タンク装置204の内部構造を示す概念図である(図12と同様の構成については、同様の符号を付して説明を省略する)。
図5乃至図8に示すように、本発明の第2実施形態による給水弁装置230も、前述した第1実施形態による給水弁装置130と同様に、給水源である給水管路28から主弁体248の位置に応じて洗浄水が流入する一次側流路231と、一次側流路231の流出口231aから流出した洗浄水が流入する二次側流路232と、を備えている。一次側流路231は、略水平方向に延びており、二次側流路232は、略鉛直方向に延びており、両者は接続されて略L字状の流路を形成している。
二次側流路232の流出口232aには、ジェット流路274が接続されており、ジェット流路274の下流部分は、柔軟な二次側ホース274hとなっており、当該二次側ホース274hの下流端であるジェットノズル240は、水中に配置される(水没される)ようになっている。
また、一次側流路231と二次側流路232との間には、開閉弁245が設けられており、当該開閉弁245は、上方端部がヒンジ状に回動可能に支持されていて、給水弁装置230の止水状態では全閉されるようになっており(図5参照)、給水弁装置230の給水状態では、一次側流路231の流出口231aから二次側流路232へと流入する洗浄水の水圧によって全開されるようになっている(図6参照)。
また、二次側流路232の上方壁には、開閉弁245が全閉した状態において当該二次側流路232内の空気を逃がすことができる空気放出口244が設けられている。空気放出口244は、ジェット流路274内に負圧が生じることを抑制するために従来から慣用されているものと同様であるが、本実施形態では、開閉弁245が全開した状態においても、当該開閉弁245は空気放出口244を全閉させないようになっている。具体的には、図6及び図7に示すように、全開時の開閉弁245は、斜め45°の姿勢に留まるようになっている。
そして、本実施形態では、空気放出口244が、開閉弁245が全開した状態においても二次側流路232内の空気を逃がすことができる追加空気放出手段の一部として機能するようになっている。具体的には、本実施形態の追加空気放出手段は、空気放出口244と、塞ぎ弁247と、から構成されており、当該塞ぎ弁247は、開閉弁245が全開した状態において、二次側流路232内へと流入する洗浄水の水圧が所定値未満であるときは空気放出口244の開放状態を維持し(あるいは開放し)、二次側流路232内へと流入する洗浄水の水圧が所定値以上であるときは空気放出口244を閉塞する(あるいは閉塞状態を維持する)ようになっている。(洗浄水の水圧の大小は、洗浄水の流速の大小や単位時間あたりの洗浄水の流量の大小に対応していると考えられる。)
本実施形態の塞ぎ弁247は、鉛直方向に移動可能に支持されていて、二次側流路232の内部に洗浄水が無い状態では、自重によって下方位置に位置して、空気放出口244の開放状態を維持するようになっている一方、二次側流路232の内部に洗浄水が流入した状態では、所定値以上の洗浄水の水圧によって上方位置に押し上げられて、空気放出口244を二次側流路132側から閉塞するようになっている。塞ぎ弁247の形状としては、洗浄水の水平方向の水圧を当該塞ぎ弁247を上向きに移動させる力に効率良く変換するべく、例えば図5乃至図7に示すような軸線回りに対称のラッパ形が採用され得る。
一方、給水弁装置230は、第1実施形態の給水弁装置130と同様に、パイロット式ダイアフラム弁である主弁体248と、当該主弁体248が着座する主弁座250と、内部の圧力に応じて主弁体248を主弁座250に対して移動させる圧力室252と、を有している。主弁体248は、圧力室252の内部の圧力に応じて、主弁座250に着座して止水する止水状態(図5参照)と、主弁座250から離間して給水を許容する給水状態(図6参照)と、に切り換えられるようになっている。
圧力室252には、当該圧力室252の内部の圧力を開放する2つの穴、すなわち、第一穴254及び第二穴256が設けられている。第一穴254は、手動レバー34を介しての使用者の手動操作に連動する第一パイロット弁258によって開閉されるようになっている。一方第二穴256は、貯水タンク26内の洗浄水の水位に伴って上下動する給水フロート260に連動する第二パイロット弁262によって開閉されるようになっている。
主弁体248には、ブリード穴(図示せず)が設けられており、止水状態のとき、当該ブリード穴(図示せず)によって給水管路28の一次側流路Aと圧力室252の内部とが連通するようになっている。ここで、第一穴254は、その開口面積が第二穴256の開口面積よりも大きく形成されている。また、第一穴254は、第二穴256よりも、図8に示すように、上方位置に形成されている。
次に、以上のような構成からなる本発明の第2実施形態の給水弁装置230の作用について説明する。
給水弁装置230は、通常は止水状態であって、すなわち、通常は第一穴254及び第二穴256は塞がれている。また、止水状態では、給水管路28の一次側流路Aは圧力室252とブリード穴(図示せず)を通じて連通しているため、一次側流路Aと圧力室252の水圧は同じ水圧(一次側流路圧力α)である。そして、二次側流路Bが大気開放されていることにより、主弁体248に水圧が作用する面積は、圧力室252側(図8の右側)の方が一次側流路A側(図8の左側)よりも大であるので、主弁体248は主弁座250に押付けられて閉じた状態を維持している。
このとき、図5に示すように、開閉弁245は全閉されており、空気放出口244が、ジェット流路274内に負圧が生じることを抑制している。
そして、第一穴254及び/または第二穴256が第一パイロット弁258及び/または第二パイロット弁262によって開放されると、図6に示すように、当該第一穴254及び/または第二穴256を介して圧力室252内の洗浄水が流出する(図6では給水フロート260に連動する第二パイロット弁262によって第二穴256が開放されている)。これにより、圧力室252の内部の圧力が低下するため、主弁体248が主弁座250から離れるように移動する。この結果、給水弁装置230は開弁し、給水状態(吐水状態)となる。
このとき、図6に示すように、開閉弁245は全開され、洗浄水の水圧によって移動される塞ぎ弁247によって空気放出口244が閉塞される。これにより、洗浄水が空気放出口244から漏洩することが防止される。
その後、第一穴254及び/または第二穴256が第一パイロット弁258及び/または第二パイロット弁262によって閉塞されると、圧力室252の内部の圧力が再び一次側流路圧力αに戻る。これに伴って、主弁体248が主弁座250に向けて移動する。この結果、給水弁装置230は閉弁し、止水状態となる。(一次側流路Aの洗浄水は、ブリード穴を介して圧力室252内へ少しずつ注入されるため、第一穴254及び/または第二穴256が閉塞されてから所定時間遅れて止水状態となる。)
さて、通常の使用状態であれば、給水管路28内に空気が押し出されてくることは無い。しかしながら、何らかのメンテナンス作業の後に、給水管路28内に不所望に空気が押し出されてしまう場合があり得る。その場合には、給水弁装置230が給水状態(吐水状態)になるとき、当該空気が洗浄水と一緒に(特には洗浄水に先行して)二次側流路232に供給されてしまう。
本実施形態の給水弁装置230は、そのような場合でも、塞ぎ弁247が、二次側流路232内へと流入する洗浄水の水圧が所定値未満である間、図7に示すように、空気放出口244の開放状態を維持する(あるいは開放する)ことによって、洗浄水の水圧が所定値に到達する前に、当該空気を空気放出口244から効果的に逃がすことができる。更に、塞ぎ弁247は、二次側流路232内へと流入する洗浄水の水圧が所定値以上になったときは、空気放出口244を閉塞する(あるいは閉塞状態を維持する)ことによって、空気放出口244を介して洗浄水が漏洩することも防止できる。
これによって、洗浄水に押し出されてきた空気が二次側流路232内に流入する場合において、当該空気を効果的に逃がすことができる。これにより、「エアハンマー」の発生を有効に回避することができ、すなわち、水中に配置される二次側ホース274hの他端であるジェットノズル240に不所望の影響が生じることを回避することができる。
なお、追加空気放出手段として、空気放出口244とは別個の放出口を設けて、当該放出口に塞ぎ弁247と同様の塞ぎ弁を設ける態様も採用可能である。