JP2019162838A - 多層フィルム及び包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】角割防止性が改善された多層フィルムとこれを用いた包装体の提供。【解決手段】10枚の試験用シートを、同じ向きに重ね合わせて試験片を作製し、前記試験片を水平面上に固定し、水平面上において上向きの前記試験片の角部に対して、その上方1mの高さから、質量90gの錘を落下させる落下試験を、前記試験片の4個の角部すべてに対して行ったとき、前記試験用シートの角部の総数に対する、割れが生じた前記試験用シートの角部の数の割合が、20%以下となり、シート透湿度が0.30g/m2・day以下であり、第1の樹脂を含む未延伸の第1フィルム層と、前記第1の樹脂とは異なる第2の樹脂を含む未延伸の第2フィルム層と、を交互に繰り返して積層したバリア層を備え、前記第1の樹脂と前記第2の樹脂のうち少なくとも一方がポリオレフィン系樹脂である、多層フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、多層フィルム及び包装体に関する。
食品や医薬品等は、販売の際に、包装袋や包装容器等の包装体によって包装されるのが一般的である。このような包装体には、内容物の保護等のため、様々な性能が要求されている。そのため、一部の包装体では、複合化(多層化)された多層フィルムが用いられている。
包装体に用いられる多層フィルムは、包装体に内容物の保護等の機能を付与するために、耐衝撃性やガスバリア性が要求される。例えば、特許文献1には、耐衝撃性やガスバリア性を向上させる手段として、高分子材料で構成される多層フィルムを延伸することで、多層フィルム中の結晶を配向させる方法が開示されている。
特開2007―283569号公報
しかしながら、特許文献1に開示された多層フィルムでは、多層フィルム中の結晶が配向しているため、ガスバリア性には優れるが、フィルム全体の角割防止性に劣るといった問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、角割防止性が改善された多層フィルムと、これを用いた包装体を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を採用する。
[1].平面形状が長方形で、その大きさが40mm×95mmであり、厚さ方向に突出した、1列あたり5個の錠剤収納部を2列備え、前記錠剤収納部が、内径10.0mm、深さ4.5mmの凹部である試験用シートを作製し、10枚の前記試験用シートを、同じ向きに重ね合わせて試験片を作製し、前記試験片の前記錠剤収納部を備える面が、水平面に対して垂直であり、かつ前記試験片の1辺と、水平面と、が45°の角度を成すように、前記試験片を水平面上に固定し、水平面上において上向きの前記試験片の角部に対して、その上方1mの高さから、質量90gの錘を落下させる落下試験を、前記試験片の4個の角部すべてに対して行ったとき、前記試験用シートの角部の総数に対する、割れが生じた前記試験用シートの角部の数の割合が、20%以下となり、シート透湿度が0.30g/m・day以下であり、第1の樹脂を含む未延伸の第1フィルム層と、前記第1の樹脂とは異なる第2の樹脂を含む未延伸の第2フィルム層と、を交互に繰り返して積層したバリア層を備え、前記第1の樹脂と前記第2の樹脂のうち少なくとも一方がポリオレフィン系樹脂である、多層フィルム。
[2].前記第1フィルム層の1層当りの平均厚さが10〜1000nmであり、
前記第2フィルム層の1層当りの平均厚さが10〜1000nmである、[1]に記載の多層フィルム。
[3].更に、前記バリア層を挟む一対の未延伸の第1外層を備える多層フィルムであって、前記第1外層が、いずれも前記第1の樹脂及びエラストマーを含む樹脂層である、[1]又は[2]に記載の多層フィルム。
[4].更に、前記一対の未延伸の第1外層を挟む一対の未延伸の第2外層を備える、[3]に記載の多層フィルム。
[5].前記バリア層中の前記第1フィルム層の積層数が、50〜5000の範囲である、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の多層フィルム。
[6].前記第2外層が、いずれも前記第1の樹脂を含む樹脂層である、[4]又は[5]に記載の多層フィルム。
[7].前記バリア層の厚さが、10〜500μmの範囲である、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の多層フィルム。
[8].前記一対の未延伸の第1外層の総厚が、5〜125μmの範囲である、[3]〜[7]のいずれか一項に記載の多層フィルム。
[9].前記一対の未延伸の第2外層の総厚が、5〜125μmの範囲である、[4]〜[8]のいずれか一項に記載の多層フィルム。
[10].前記エラストマーがオレフィン系エラストマーである、[3]〜[9]のいずれか一項に記載の多層フィルム。
[11].前記第1の樹脂及び第2の樹脂が、ポリオレフィン系樹脂である、[1]〜[10]のいずれか一項に記載の多層フィルム。
[12].前記第1の樹脂が、ポリプロピレンである、[1]〜[11]のいずれか一項に記載の多層フィルム。
[13].前記第2の樹脂が、高密度ポリエチレンである、[1]〜[12]のいずれか一項に記載の多層フィルム。
[14].[1]〜[13]のいずれか一項に記載の多層フィルムを備える、包装体。
本発明の多層フィルムは、平面形状が長方形で、その大きさが40mm×95mmであり、厚さ方向に突出した、1列あたり5個の錠剤収納部を2列備え、前記錠剤収納部が、内径10.0mm、深さ4.5mmの凹部である試験用シートを作製し、10枚の前記試験用シートを、同じ向きに重ね合わせて試験片を作製し、前記試験片の前記錠剤収納部を備える面が、水平面に対して垂直であり、かつ前記試験片の1辺と、水平面と、が45°の角度を成すように、前記試験片を水平面上に固定し、水平面上において上向きの前記試験片の角部に対して、その上方1mの高さから、質量90gの錘を落下させる落下試験を、前記試験片の4個の角部すべてに対して行ったとき、前記試験用シートの角部の総数に対する、割れが生じた前記試験用シートの角部の数の割合が、20%以下となり、シート透湿度が0.30g/m・day以下であり、第1の樹脂を含む未延伸の第1フィルム層と、前記第1の樹脂とは異なる第2の樹脂を含む未延伸の第2フィルム層と、を交互に繰り返して積層したバリア層を備え、前記第1の樹脂と前記第2の樹脂のうち少なくとも一方がポリオレフィン系樹脂であるため、フィルム全体として、角割防止性に優れる。
また、本発明の包装体は、上記多層フィルムを備えるため、角割防止性に優れる。
本発明の多層フィルムの一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の包装体の一実施形態を模式的に示す斜視図である。 図2に示す包装体のI−I線における断面図である。
以下、本発明を適用した一実施形態である多層フィルムおよびこれを用いた包装体について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
<<多層フィルム>>
先ず、本実施形態の多層フィルム1の特性について説明する。
本実施形態の多層フィルム1は、平面形状が長方形で、その大きさが40mm×95mmであり、厚さ方向に突出した、1列あたり5個の錠剤収納部を2列備え、前記錠剤収納部が、内径10.0mm、深さ4.5mmの凹部である試験用シートを作製し、10枚の前記試験用シートを、同じ向きに重ね合わせて試験片を作製し、前記試験片の前記錠剤収納部を備える面が、水平面に対して垂直であり、かつ前記試験片の1辺と、水平面と、が45°の角度を成すように、前記試験片を水平面上に固定し、水平面上において上向きの前記試験片の角部に対して、その上方1mの高さから、質量90gの錘を落下させる落下試験を、前記試験片の4個の角部すべてに対して行ったとき、前記試験用シートの角部の総数に対する、割れが生じた前記試験用シートの角部の数の割合が、20%以下となり、シート透湿度が0.30g/m・day以下である。すなわち、本実施形態の多層フィルムは、角割防止性が改善され、かつ、水蒸気バリア性に優れている。
なお、本明細書において、「割れ」とは、特に断りのない限り、前記落下試験後の前記試験用シートにおいて、切れ目や欠けが生じるなど、新たな断面の発生を伴う破損が生じることを意味しており、折れ曲がりが生じることは意味していない。
前記試験用シートの角部の総数に対する、割れが生じた前記試験用シートの角部の数の割合は、10%以下となることが好ましく、7%以下となることがより好ましく、0%となってもよい。
前記シート透湿度は、例えば、後述の実施例の場合のように、本実施形態の多層フィルムの水蒸気透過量を公知の方法で測定して得ることができる。
前記シート透湿度は、0.25g/m・day以下であることが好ましく、0.23g/m・day以下であることがより好ましい。
続いて、本実施形態の多層フィルム1の構成について説明する。
図1は、本実施形態の多層フィルム1の断面模式図である。図1に示すように、本実施形態の多層フィルム1は、バリア層11を備えており、さらに、前記バリア層11を挟む一対の未延伸の第1外層12と、前記一対の未延伸の第1外層を挟む一対の未延伸の第2外層13と、を備えていてもよい。これにより、フィルム全体として、角割防止性に優れる。
なお、本明細書において、「角割防止性」とは、特に断りのない限り、包装体の角部の耐衝撃性を意味し、例えば、平面形状が四角形である包装体の場合には、この包装体の4角部の耐衝撃性を意味する。
<バリア層>
本実施形態の多層フィルム1において、バリア層11は、第1の樹脂を含む未延伸の第1フィルム層111と、前記第1の樹脂とは異なる第2の樹脂を含む未延伸の第2フィルム層112と、を交互に繰り返して積層した構成をとる。異なる樹脂を含むフィルム層を交互に繰り返して積層することにより、バリア層の耐衝撃性を向上させることができる。その結果、フィルム全体として、角割防止性に優れる。
また、製造の際に延伸工程を伴わないで結晶を配向しているため、ガスバリア性および成形加工性に優れる。
第1の樹脂と第2の樹脂のうち少なくとも一方は、ポリオレフィン系樹脂である。ポリオレフィン系樹脂は他の材料に比べて柔らかいため、本実施形態の多層フィルムに設けられた錠剤収納部を押し込んだときに、容易に錠剤を取り出すことができる。また、フッ素や塩素などのハロゲンを使用しなくてよいため環境に優しい。更に、低コスト化を図ることもできる。
<第1フィルム層>
第1フィルム層111は、後述する第2フィルム層112と交互に積層されており、多層フィルム1に優れたガスバリア性及び成形加工性を付与する。第1フィルム層111は、未延伸のフィルム層であり、第1の樹脂を含む。
第1フィルム層111は、第1の樹脂のみを含んでいてもよい(すなわち、第1の樹脂からなるものでもよい)し、第1の樹脂と、第1の樹脂以外の成分を含んでいてもよい(すなわち、第1の樹脂と、第1の樹脂以外の成分と、からなるものでもよい)。
第1フィルム層111中の第1の樹脂の含有量は、60〜100質量%の範囲であることが好ましく、80〜100質量%の範囲であることがより好ましく、90〜100質量%の範囲であることがより一層好ましい。第1フィルム層111における第1の樹脂の含有量が60〜100質量%の範囲であることにより、後述する第2フィルム層112の樹脂を構成する結晶配向化をアシストし、高いバリア性発現に寄与することができる。
第1の樹脂としては、結晶性樹脂が挙げられ、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンのようなポリオレフィン系樹脂;ナイロン6、ナイロン66のようなポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートのようなポリエステル系樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリ乳酸樹脂;ポリグリコール酸樹脂;ポリカプロラクトン樹脂;上記樹脂を形成するモノマーを含む共重合体樹脂などが挙げられる。第1の樹脂には、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、第1の樹脂は、ポリオレフィン系樹脂であることが好ましく、ポリプロピレンであることがより好ましい。ポリプロピレンは、ポリオレフィン系樹脂の中でも汎用樹脂であるため、低コスト化が可能である。また、バリア層11に、より高い耐熱性及び成形性を付与することができる。
第1フィルム層111が含む第1の樹脂は、1種のみでもよいし2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
第1フィルム層111が含む、第1の樹脂以外の成分は、樹脂成分であってもよいし、非樹脂成分であってもよいが、樹脂成分である場合、第2の樹脂以外の樹脂であることが好ましい。
第1の樹脂以外の成分のうち、非樹脂成分としては、例えば、当該分野で公知の添加剤が挙げられる。
前記添加剤としては、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、増粘剤、熱安定化剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
第1フィルム層111が含む、第1の樹脂以外の成分は、1種のみでもよいし2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
バリア層11中の第1フィルム層111の積層数は、50〜5000であることが好ましく、250〜4500であることがより好ましく、例えば、300〜4000、450〜3500、600〜3000、750〜2500、及び750〜2000のいずれかであってもよい。
第1フィルム層111の層数は、例えば、ミクロトームを用いて多層フィルム1を切断し、この切断によって生じた多層フィルム1の断面を、電子顕微鏡を用いて観察することにより、確認できる。また、後述する多層フィルムの製造方法から、断面を観察することなく、第1フィルム層の層数を算出することも可能である。
第1フィルム層111の1層当りの平均厚さは、10〜1000nmであることが好ましく、10nm以上500nm未満であることがより好ましく、10〜490nmであることがさらに好ましく、10〜400nmであることが特に好ましく、15〜300nmであることが最も好ましく、例えば、15〜250nm、15〜200nm、15〜150nm及び15〜120nmのいずれかであってもよい。
なお、ここで「第1フィルム層111の1層当りの平均厚さ」とは、バリア層11中に存在するすべての第1フィルム層111の厚さの合計値を、バリア層11中に存在する第1フィルム層111の層数で除した値([バリア層11中に存在するすべての第1フィルム層111の厚さの合計値]/[バリア層11中に存在する第1フィルム層111の層数])を意味する。
<第2フィルム層>
第2フィルム層112は、未延伸のフィルム層であり、第1の樹脂とは異なる種類の第2の樹脂を含む。
第2フィルム層112は、第2の樹脂のみを含んでいてもよい(すなわち、第2の樹脂からなるものでもよい)し、第2の樹脂と、第2の樹脂以外の成分を含んでいてもよい(すなわち、第2の樹脂と、第2の樹脂以外の成分と、からなるものでもよい)。
第2フィルム層112中の第2の樹脂の含有量は、60〜100質量%の範囲であることが好ましく、80〜100質量%の範囲であることがより好ましく、90〜100質量%の範囲であることがより一層好ましい。第2フィルム層112における第2の樹脂の含有量が60〜100質量%の範囲であることにより、樹脂を構成する結晶が特定方向に配向化し、高いバリア性を発現させることができる。
第2の樹脂としては、結晶性樹脂が挙げられ、具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)、ポリメチルペンテン樹脂のようなポリオレフィン系樹脂;ナイロン6樹脂、ナイロン66樹脂のようなポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂のようなポリエステル系樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリ乳酸樹脂;ポリグリコール酸樹脂;ポリカプロラクトン樹脂;上記樹脂を形成するモノマーを含む共重合体樹脂などが挙げられる。これらのうちの1種または2種以上を組み合せて用いることができる。
これらの中でも、第2の樹脂は、ポリオレフィン系樹脂であることが好ましくなかでもポリエチレンであることがより好ましく、高密度ポリエチレン(HDPE)がより一層好ましい。ポリエチレンは、ポリオレフィン系樹脂の中でも汎用樹脂であるため、低コスト化が可能である。また、ポリエチレンを配向させることで、より高いバリア性を発現させることができる。
第2フィルム層112が含む第2の樹脂は、1種のみでもよいし2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
第2フィルム層112が含む、第2の樹脂以外の成分は、樹脂成分であってもよいし、非樹脂成分であってもよいが、樹脂成分である場合、第1の樹脂以外の樹脂であることが好ましい。
第2の樹脂以外の成分のうち、非樹脂成分としては、第1の樹脂以外の成分としての前記添加剤が挙げられる。
第2フィルム層112が含む、第2の樹脂以外の成分は、1種のみでもよいし2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
バリア層11中の第2フィルム層112の積層数は、50〜5000であることが好ましく、250〜4500であることがより好ましく、例えば、300〜4000、450〜3500、600〜3000、750〜2500、及び750〜2000のいずれかであってもよい。
なお、第2フィルム層112の層数は、上述の第1フィルム層111の層数の場合と同じ方法で確認できる。
バリア層11において、第1フィルム層111の層数と、第2フィルム層112の層数は、同じであってもよいし、1だけ異なっていても(第1フィルム層111の層数が、第2フィルム層112の層数よりも1だけ多いか、又は第2フィルム層112の層数が、第1フィルム層111の層数よりも1だけ多くても)よい。
例えば、バリア層11の層数は、100〜10000であることが好ましい。
第2フィルム層112の1層当りの平均厚さは、10〜1000nmであることが好ましく、10nm以上500nm未満であることがより好ましく、10〜490nmであることがさらに好ましく、10〜400nmであることが特に好ましく、15〜300nmであることが最も好ましく、例えば、15〜250nm、15〜200nm、15〜150nm及び15〜120nmのいずれかであってもよい。
なお、ここで「第2フィルム層112の1層当りの平均厚さ」とは、バリア層11中に存在するすべての第2フィルム層112の厚さの合計値を、バリア層11中に存在する第2フィルム層112の層数で除した値([バリア層11中に存在するすべての第2フィルム層112の厚さの合計値]/[バリア層11中に存在する第2フィルム層112の層数])を意味する。
多層フィルム1において併用する第1の樹脂と第2の樹脂との組み合わせとしては、ポリオレフィン系樹脂とポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。このような組み合わせとしては、例えば、ポリプロピレンと高密度ポリエチレンとの組み合わせが挙げられる。
バリア層11の厚さ、換言すると、第1フィルム層111の厚さの合計値と、第2フィルム層112の厚さの合計値との和は、10〜500μmであることが好ましく、15〜400μmであることがより好ましく、20〜350μmであることがより一層好ましく、25〜300μmであることが特に好ましい。バリア層の厚さが10〜500μmであることにより、樹脂を構成する結晶が特定方向に配向化し、高いバリア性を発現させることができる。
角割防止性は、バリア層11の厚さと、バリア層11を構成している第1フィルム層及び第2フィルム層の層数と、の両方の影響を受けるものと推察される。すなわち、バリア層11の厚さを増やすことで、バリア層の耐衝撃性を向上させることができ、角割防止性を向上させることができる。あるいは、バリア層11中の第1フィルム層及び第2フィルム層の層数を増やすこと(換言すると、第1フィルム層111及び第2フィルム層112の1層当りの平均厚さを薄くすること)で、バリア層の耐衝撃性を向上させることができ、角割防止性を向上させることができる。
バリア層11は水蒸気透過性が低いため、多層フィルム1は、その製造時に延伸工程を行わなくても、優れた水蒸気バリア性を示す。これは、第1フィルム層111中では、第1の樹脂が第1フィルム層111の表面に対して平行な方向に配向し、第2フィルム層112中では、第2の樹脂が第2フィルム層112の表面に対して平行な方向に配向していることにより、第1フィルム層111及び第2フィルム層112をそれぞれ水蒸気が透過するためには、第1フィルム層111及び第2フィルム層112中の長い経路を通過する必要が生じるためであると推測される。
<第1外層>
第1外層12は、いずれも前記第1の樹脂及びエラストマーを含む樹脂層であることが好ましい。
第1外層12は、バリア層11の両面に積層されていてもよい。多層フィルム1においては、これら一対の樹脂層により、バリア層11が保護される。また、第1外層12は、多層フィルム1に優れた柔軟性を付与する。その結果、フィルム全体として、角割防止性に優れる。
エラストマーとしては、例えば、オレフィン系エラストマー、α−オレフィンコポリマー、または低密度ポリエチレン等が挙げられる。これらのうち、オレフィン系エラストマーであることが好ましい。これにより、第1外層の柔軟性を飛躍的に向上させることができると同時に、透明性を維持あるいは向上させることもできる。
オレフィン系エラストマーとしては、具体的には、例えば、三井化学社製のノティオSN0285などが挙げられる。また、α−オレフィンコポリマーとしては、具体的には、例えば、三井化学社製のタフマーXM7080などが挙げられる。
第1外層12中のエラストマーの含有量は、例えば、第1外層12に対して20質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましい。これにより、多層フィルム1に優れた柔軟性を付与することができる。
一対の未延伸の第1外層12の総厚は、5〜125μmの範囲であることが好ましく、10〜125μmの範囲であることがより好ましく、20〜125μmの範囲であることがより一層好ましい。これにより、多層フィルム1に優れた柔軟性を付与することができる。
<第2外層>
第2外層13は、第1外層12の両面に積層されていてもよい。第2外層13は、多層フィルム1に耐熱性及び成形性を付与する。
第2外層13は、いずれも前記第1の樹脂を含む樹脂層であることが好ましい。これにより、多層フィルム1に優れた耐熱性及び成形性を付与することができる。
第2外層13中のポリオレフィン系樹脂の含有量は、例えば、第2外層13に対して60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。これにより、多層フィルム1に優れた耐熱性及び成形性を付与することができる。
一対の未延伸の第2外層13の総厚は、5〜125μmの範囲であることが好ましく、10〜110μmの範囲であることがより好ましく、15〜100μmの範囲であることがより一層好ましい。これにより、多層フィルム1に優れた耐熱性及び成形性を付与することができる。
多層フィルム1の総厚は、20〜750μmの範囲であることが好ましく、50〜600μmの範囲であることがより好ましく、100〜500μmの範囲であることがさらに好ましい。多層フィルム1の総厚が上記上限値以下であることで、包装体の錠剤収納部を形成することができる。また、多層フィルム1の総厚が上記下限値以上であることで、内容物を保護するためのバリア性を付与することができる。
<他の層>
多層フィルム1は、本発明の効果を損なわない範囲内において、バリア層11、第1外層12及び第2外層13以外に、他の層を備えていてもよい。前記他の層は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
ただし、多層フィルム1は、例えば、図1に示すように、第1外層12がバリア層11に直接接触して設けられていることが好ましく、第2外層13が第1外層12に直接接触して設けられていることが好ましい。
<<多層フィルムの製造方法>>
本発明の多層フィルムは、例えば、以下の方法で製造できる。
すなわち、まず、最終的に第1フィルム層111と第2フィルム層112との積層構造を構成するための、複数層構造の第1積層フィルムを作製する。前記第1積層フィルムは、より具体的には、最終的に未延伸の第1フィルム層111となる第1の樹脂含有層と、最終的に未延伸の第2フィルム層112となる第2の樹脂含有層と、が交互に繰り返して積層された構成を有する。前記第1積層フィルムとしては、例えば、最外層の2層がいずれも第1の樹脂含有層であり、第2の樹脂含有層の層数が第1の樹脂含有層の層数よりも1だけ少ない複数層構造のものや、これとは逆に、最外層の2層がいずれも第2の樹脂含有層であり、第1の樹脂含有層の層数が第2の樹脂含有層の層数よりも1だけ少ない複数層構造のもの等が挙げられる。ただし、第1積層フィルムは、これらに限定されない。
次いで、この第1積層フィルムを、その表面に対して垂直な方向に切断した後、得られた2枚の第1積層フィルム同士を、さらにこれらの厚さ方向において積層して第2積層フィルムを作製する。
次いで、この第2積層フィルムを、その表面に対して平行な方向において引き伸ばして拡張した後、第1積層フィルムの場合と同じ方法で、この拡張後の第2積層フィルムを切断、積層して第3積層フィルムを作製する。
以降、このような積層フィルムの拡張、切断及び積層を繰り返し行うことで、バリア層11を作製する。例えば、前記第1積層フィルムとして、最外層の2層がいずれも第1の樹脂含有層であるものを用いた場合には、第1積層フィルム同士を積層して第2積層フィルムを作製したときに、重ね合わされた最外層の2層の第1の樹脂含有層は、第2積層フィルムにおいては見かけ上、1層の第1の樹脂含有層を形成する。これは、第2積層フィルム以降の積層フィルム及びバリア層11の作製時も同様である。ただし、ここに示すバリア層11は、本発明の多層フィルム1における一例に過ぎない。
前記第1積層フィルムは、例えば、数台の押出機を用いて、原料となる樹脂等を溶融押出するフィードブロック法や、マルチマニホールド法等の共押出Tダイ法、空冷式又は水冷式共押出インフレーション法等により、作製できる。
上述の製造方法における、これ以降の第1積層フィルムからの、目的とするバリア層の作製までは、マルチプライヤーを用いて行うことができる。
次に、例えば、エラストマーと第1の樹脂等の、第1外層12の構成成分をドライブレンド又は溶融混練し、上記とは異なる数台の押出機により、溶融状態の樹脂を別のフィードブロックに溶融押出し、フィルムを形成する。形成したフィルムを第1外層12として用いる。
次に、上述したバリア層11の両面に第1外層12を積層させる。
次に、例えば、第1の樹脂等の、第2外層13の構成成分を溶融し、上記とは異なる数台の押出機により、溶融状態の樹脂を別のフィードブロックに溶融押出し、フィルムを形成する。形成したフィルムを第2外層13として用いる。
次に、上述した一対の第1外層12の表面(露出面)に第2外層13を積層させる。
次に冷却ロールにより積層フィルムを冷却固化することで、積層フィルムの結晶配向を制御し、多層フィルム1を作製する。
本実施形態により作製した多層フィルム1は、フィルムを延伸していないため、成形加工性に優れる。
<<包装体>>
本発明の包装体は、上述の本発明の多層フィルムを備えたものである。
本発明の包装体は、優れた水蒸気バリア性を有する本発明の多層フィルムを用いているため、優れた防湿性を有する。
また、この多層フィルムは、上述のとおりに角割が抑制された試験片を作製可能であり、本発明の包装体は、このような多層フィルムを用いているため、優れた角割防止性を実現できる。
本発明の包装体は、防湿性と角割防止性が求められる各種用途で用いるのに好適であり、例えば、食品や医薬品等を包装するための包装袋又は包装容器として好適である。
図2は、本発明の包装体の一実施形態を模式的に示す斜視図であり、図3は、図2に示す包装体のI−I線における断面図である。
なお、図2以降の図において、既に説明済みの図に示すものと同じ構成要素には、その説明済みの図の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ここに示す包装体10は、成形フィルム2と、カバーフィルム101と、を備えて構成されている。そして、成形フィルム2には、包装体10の収納部10aを構成する突出部2cが形成されている。成形フィルム2は、上述の多層フィルム(例えば、図1に示す多層フィルム1)の成形体である。
包装体10は、ブリスターパックとしてのPTPフィルム(包装容器)であり、収納部10aには、錠剤102を密封収納できる。
成形フィルム2の一方の表面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)2bは、カバーフィルム101の一方の表面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)101aに接着されている。ただし、成形フィルム2は、一部の領域において、その他方の表面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)2a側に突出しており、この突出部2cにおける第2面2bは、カバーフィルム101の第1面101aには接着されておらず、成形フィルム2の前記第2面2bと、カバーフィルム101の第1面101aと、によって、収納部10aが形成されている。
カバーフィルム101の材質としては、例えば、アルミニウム等が挙げられる。
成形フィルム2及びカバーフィルム101には、スリット10bが形成されている。スリット10bは任意の構成であり、必ずしも形成されていなくてもよいが、スリット10bが形成されていることで、錠剤102の収納部10aへの特定収容数ごとに、包装体10を容易に分割できるため、包装体10の利便性が向上する。
ここでは、包装体10として、収納部10aの外形が円錐台状であるものを示しているが、収納部10aの外形は、これに限定されず、収納対象物である錠剤102の形状に応じて、任意に選択できる。例えば、収納部10aの外形は、包装体10を成形フィルム2側から見下ろすようにして平面視したときに、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形状であってもよいし、長円形状等であってもよい。
また、ここでは、包装体10として、収納部10aを8個備えているものを示しているが、収納部10aの数はこれに限定されず、1個でもよいし、2個以上(ただし、8個である場合を除く)であってもよい。
<<包装体の製造方法>>
本発明の包装体は、前記多層フィルムを用い、目的とする収納部を形成するように、多層フィルム同士、又は多層フィルムと他のフィルム等とを貼り合わせることにより、製造できる。
例えば、図2及び3に示す包装体10は、公知のPTP包装機を用いて、製造できる。
より具体的には、まず、真空成形、圧空成形又はプラグ成形等により、多層フィルム1に突出部を形成して、成形フィルム2を作製する。
次いで、成形フィルム2の突出部2cに、保存対象物である錠剤102を充填した後、カバーフィルム101を多層フィルム1と重ね合せて、成形フィルム2とカバーフィルム101とを接着する。
次いで、必要に応じて、成形フィルム2及びカバーフィルム101に、ミシン刃又はハーフカット刃等を用いて、スリット10bを形成する。
以上により、包装体10が得られる。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
<多層フィルムの製造>
[実施例1]
第1の樹脂としてポリプロピレン(プライムポリマー社製「E122V」、PPと称することがある)を、第2の樹脂として高密度ポリエチレン(プライムポリマー社製「3300F」、HDPEと称することがある)を、それぞれ用意した。そして、押出機(株式会社サン・エヌ・ティー社製、「SNT40−28型番」)を用いて、第1の樹脂及び第2の樹脂をそれぞれ250℃の溶融状態とし、フィードブロックを用いて、最終的に未延伸の第1フィルム層となるポリプロピレン層と、最終的に未延伸の第2フィルム層となる高密度ポリエチレン層と、が交互に繰り返して積層された構成を有し、最外層の2層がいずれも高密度ポリエチレン層であり、3層の前記高密度ポリエチレン層と2層の前記ポリプロピレン層とからなる、5層の溶融積層体(上述の第1積層フィルム)を作製した。
次いで、マルチプライヤーを用いて、得られた5層の溶融積層体を2枚に切断し、切断後のこれら2枚の溶融積層体をさらに積層して、9層の溶融積層体(上述の第2積層フィルム)を作製した。
次いで、得られた9層の溶融積層体を、その表面に対して平行な方向において引き伸ばして拡張した後、5層の溶融積層体(第1積層フィルム)の場合と同じ方法で、この拡張後の9層の溶融積層体を切断、積層して、17層の溶融積層体(上述の第3積層フィルム)を作製した。
以降、同様の手順により、溶融積層体の拡張、切断及び積層を繰り返し行って、未延伸の第1フィルム層と未延伸の第2フィルム層とが交互に繰り返して積層された構成を有し、1025層の前記第1フィルム層と1024層の前記第2フィルム層とからなる、2049層のバリア層を作製した。
次いで、オレフィン系エラストマー(三井化学社製「ノティオSN−0285」)と、バリア層の作製に用いたものと同じ第1の樹脂とをドライブレンドあるいは溶融混練し、上記とは異なる数台の押出機により、溶融状態の樹脂を別のフィードブロックに溶融押出し、オレフィン系エラストマーとポリプロピレンを含むフィルム(第1外層)を形成した。
次に、バリア層の作製に用いたものと同じ第1の樹脂を溶融し、上記とは異なる数台の押出機により、溶融状態の樹脂を別のフィードブロックに溶融押出し、ポリプロピレンを含むフィルム(第2外層)を形成した。
次いで、2049層のバリア層の両面に、上記で得られた第1外層を積層し、更にその両面に、上記で得られた第2外層を積層することで、2053層の溶融積層体を作製した。さらに、ダイを用いて、この溶融積層体を共押出することにより、図1に示す構造の実施例1の多層フィルムを作製した。
得られた多層フィルムの厚さは300μmであり、そのうち、1層の第1外層の厚さは20μmであり、1層の第2外層の厚さは10μmであり、バリア層の厚さは240μmであった。すなわち、第1フィルム層の層数は1025であり、第1フィルム層の1層当りの平均厚さは100nmであった。また、第2フィルム層の層数は1024であり、第2フィルム層の1層当りの平均厚さは150nmであった。
[比較例1]
ポリ塩化ビニル(株式会社カネカ社製「S−1008」、PVCと称することがある)及びポリクロロトリフルオロエチレン(ハネウェル社製「アクラー」、PCTFEと称することがある)を、この順番で共押出成形することにより、比較例1の多層フィルムを作製した。
得られた2層構造の多層フィルムの厚さは223μmであり、このうち、ポリ塩化ビニル層の厚さは200μm、ポリクロロトリフルオロエチレン層の厚さは23μmであった。
[比較例2]
ポリ塩化ビニル及びポリクロロトリフルオロエチレンを、この順番で共押出成形することにより、比較例2の多層フィルムを作製した。
得られた多層フィルムの厚さは301μmであり、このうち、ポリ塩化ビニル層の厚さは250μm、ポリクロロトリフルオロエチレン層の厚さは51μmであった。
<単層フィルムの製造>
[比較例3]
前記ポリ塩化ビニルを押出成形することにより、単層構造で未延伸のポリ塩化ビニル層からなる単層フィルムを作製した。
得られた単層フィルムの厚さは250μmであった。
[比較例4]
ポリプロピレン(プライムポリマー社製「E122V」、PPと称することがある)を押出成形することにより、単層構造で未延伸のポリプロピレンからなる単層フィルムを作製した。
得られた単層フィルムの厚さは300μmであった。
<多層フィルム及び単層フィルムの評価>
上記で得られた多層フィルム及び単層フィルムについて、下記項目の評価を下記方法で行った。結果を表1に示す。なお、表1中の評価結果の欄における「−」との記載は、その項目が未評価であることを意味する。
各実施例および各比較例で作製した多層フィルムを備えた試験用シートを作製した。具体的には、先ず、幅100mmのロール状の多層フィルムを作製した。前記多層フィルムに、ブリスタ包装機(CKD社製、「FBP−300E」)を用いて、厚さ方向に突出した、1列あたり5個の錠剤収納部を2列形成した。そして、前記多層フィルムを、平面形状が40mm×95mmの大きさの長方形に打ち抜いて、第1試験用シートを作製した。前記錠剤収納部は、内径10.0mm、深さ4.5mmの凹部であった。
(ポケット透湿度)
前記第1試験用シートが有する10個の錠剤収納部にそれぞれゼオライト(φ7.0mm×3.0mm)を充填し、アルミ製のカバーフィルムを用いて錠剤収納部の開口部を密封し、第2試験用シートを得た。40℃・90%RHの雰囲気下に前記第2試験用シートを24時間放置した後のゼオライトの重量変化を測定した。この重量変化から前記第2試験用シートの錠剤収納部の水蒸気透過量を得ることにより、ポケット透湿度を評価した。
(シート透湿度)
各実施例および比較例で作製した多層フィルムの水蒸気透過量を測定することにより、シート透湿度を評価した。水蒸気透過量は、MOCON製のPERMATRAN−W(登録商標)3/33を用いて、JIS K7129(B法)に記載の方法に準拠して測定した(吸湿条件:40℃/90%RH)。
(角割防止性)
10枚の前記第1試験用シートを、錠剤収納部が交互になるように重ね合わせてテープで固定し、試験片を作製した。前記試験片の前記錠剤収納部を備える面が、水平面に対して垂直であり、かつ前記試験片の1辺と、水平面と、が45°の角度を成すように、前記試験片を水平面上に固定した。水平面上において上向きの前記試験片の角部に対して、その上方1mの高さから、質量90gのプラスチック製の錘を落下させる落下試験を、前記試験片の4個の角部すべてに対して行った。前記試験片のサンプル数は5とした。すなわち、前記第1試験用シートの数は計50個とした。50個×4角=200か所の角を確認し、割れが生じた前記第1試験用シートの角部の数(個)を常温環境下で測定した。前記第1試験用シートの角部の総数に対する、割れが生じた前記第1試験用シートの角部の数の割合(角割の割合)を求めた。角割の割合が低ければ、角割防止性が良好であると評価した。
Figure 2019162838
角割防止性に関しては、実施例1の多層フィルムは、フッ素を含有する硬い比較例1及び2の多層フィルムと同等に低減された角割発生数を示した。また、実施例1の多層フィルムは、比較例3及び4の単層フィルムよりも大幅に低減された角割発生数を示した。
本発明は、食品や医薬品等の保存時に用いる包装体に利用可能である。
1・・・多層フィルム
2・・・成形フィルム
2a・・・成形フィルムの第1面
2b・・・成形フィルムの第2面
2c・・・成形フィルムの突出部
11・・・バリア層
111・・・第1フィルム層
112・・・第2フィルム層
12・・・第1外層
13・・・第2外層
10・・・包装体
10a・・・包装体の収納部
10b・・・包装体のスリット
101・・・カバーフィルム
101a・・・カバーフィルムの第1面
102・・・錠剤

Claims (14)

  1. 平面形状が長方形で、その大きさが40mm×95mmであり、厚さ方向に突出した、1列あたり5個の錠剤収納部を2列備え、前記錠剤収納部が、内径10.0mm、深さ4.5mmの凹部である試験用シートを作製し、10枚の前記試験用シートを、同じ向きに重ね合わせて試験片を作製し、前記試験片の前記錠剤収納部を備える面が、水平面に対して垂直であり、かつ前記試験片の1辺と、水平面と、が45°の角度を成すように、前記試験片を水平面上に固定し、水平面上において上向きの前記試験片の角部に対して、その上方1mの高さから、質量90gの錘を落下させる落下試験を、前記試験片の4個の角部すべてに対して行ったとき、前記試験用シートの角部の総数に対する、割れが生じた前記試験用シートの角部の数の割合が、20%以下となり、
    シート透湿度が0.30g/m・day以下であり、
    第1の樹脂を含む未延伸の第1フィルム層と、前記第1の樹脂とは異なる第2の樹脂を含む未延伸の第2フィルム層と、を交互に繰り返して積層したバリア層を備え、
    前記第1の樹脂と前記第2の樹脂のうち少なくとも一方がポリオレフィン系樹脂である、多層フィルム。
  2. 前記第1フィルム層の1層当りの平均厚さが10〜1000nmであり、
    前記第2フィルム層の1層当りの平均厚さが10〜1000nmである、請求項1に記載の多層フィルム。
  3. 更に、前記バリア層を挟む一対の未延伸の第1外層を備える多層フィルムであって、
    前記第1外層が、いずれも前記第1の樹脂及びエラストマーを含む樹脂層である、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
  4. 更に、前記一対の未延伸の第1外層を挟む一対の未延伸の第2外層を備える、請求項3に記載の多層フィルム。
  5. 前記バリア層中の前記第1フィルム層の積層数が、50〜5000の範囲である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の多層フィルム。
  6. 前記第2外層が、いずれも前記第1の樹脂を含む樹脂層である、請求項4又は5に記載の多層フィルム。
  7. 前記バリア層の厚さが、10〜500μmの範囲である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の多層フィルム。
  8. 前記一対の未延伸の第1外層の総厚が、5〜125μmの範囲である、請求項3〜7のいずれか一項に記載の多層フィルム。
  9. 前記一対の未延伸の第2外層の総厚が、5〜125μmの範囲である、請求項4〜8のいずれか一項に記載の多層フィルム。
  10. 前記エラストマーがオレフィン系エラストマーである、請求項3〜9のいずれか一項に記載の多層フィルム。
  11. 前記第1の樹脂及び第2の樹脂が、ポリオレフィン系樹脂である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の多層フィルム。
  12. 前記第1の樹脂が、ポリプロピレンである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の多層フィルム。
  13. 前記第2の樹脂が、高密度ポリエチレンである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の多層フィルム。
  14. 請求項1〜13のいずれか一項に記載の多層フィルムを備える、包装体。
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