JP2016175390A - 多層フィルムおよび包装体 - Google Patents

多層フィルムおよび包装体 Download PDF

Info

Publication number
JP2016175390A
JP2016175390A JP2015059369A JP2015059369A JP2016175390A JP 2016175390 A JP2016175390 A JP 2016175390A JP 2015059369 A JP2015059369 A JP 2015059369A JP 2015059369 A JP2015059369 A JP 2015059369A JP 2016175390 A JP2016175390 A JP 2016175390A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
multilayer film
resin
layer
flexible layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015059369A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6645019B2 (ja
Inventor
英樹 甲斐
Hideki Kai
英樹 甲斐
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Bakelite Co Ltd filed Critical Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority to JP2015059369A priority Critical patent/JP6645019B2/ja
Publication of JP2016175390A publication Critical patent/JP2016175390A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6645019B2 publication Critical patent/JP6645019B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Packages (AREA)
  • Wrappers (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】フィルム全体として、ガスバリア性を維持しつつ、柔軟性にも優れる多層フィルムおよび包装体を提供する。【解決手段】結晶性樹脂を含むバリア層2と、エラストマーを含む柔軟層3と、を備え、バリア層2の少なくとも一方の面側に柔軟層3が積層されている、多層フィルム1を選択する。また、上記多層フィルム1を備える包装体を選択する。【選択図】図1

Description

本発明は、多層フィルムおよび包装体に関する。
食品や医薬品などは、販売の際に、包装袋や包装容器などの包装体よって包装されるのが一般的である。このような包装体には、内容物の保護などのため、様々な性能が要求されている。そのため、一部の包装体では、複合化(多層化)された多層フィルムが用いられている。
包装体に用いられる多層フィルムは、包装体に内容物の保護などの機能を付与するために、耐衝撃性やガスバリア性が要求される。例えば、特許文献1には、耐衝撃性やガスバリア性を向上させる手段として、高分子材料で構成される多層フィルムを延伸することで、多層フィルム中の結晶を配向させる方法が開示されている。
特開2007―283569号公報
しかしながら、特許文献1に開示された多層フィルムでは、多層フィルム中の結晶が配向しているため、耐衝撃性やガスバリア性には優れるが、フィルム全体の柔軟性に劣るといった問題があった。そのため、例えば、錠剤を包装するPTP包装の外装として多層フィルムを用いる場合、外装の柔軟性が劣ることにより、錠剤を取り出しにくいなどの問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、フィルム全体として、ガスバリア性を維持しつつ、柔軟性にも優れる多層フィルムおよび包装体を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、結晶性樹脂を含むバリア層と、エラストマーを含む柔軟層と、を備え、前記バリア層の少なくとも一方の面側に前記柔軟層が積層されている、多層フィルムである。
また、請求項2に係る発明は、結晶性樹脂を含むバリア層と、エラストマーを含む柔軟層と、を備え、前記柔軟層の両方の面側に前記バリア層が積層されている、多層フィルムである。
また、請求項3に係る発明は、結晶性樹脂を含むバリア層と、エラストマーを含む柔軟層と、を備え、前記柔軟層の一方の面側に、第1のバリア層が積層され、前記柔軟層の他方の面側に、前記第1のバリア層とは異なる結晶性樹脂を含む第2のバリア層が積層されている、多層フィルムである。
また、請求項4に係る発明は、前記柔軟層の総厚は、当該多層フィルムの厚みの1/10以上である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の多層フィルムである。
また、請求項5に係る発明は、前記柔軟層が、前記エラストマーを重量比で20%以上有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の多層フィルムである。
また、請求項6に係る発明は、前記エラストマーは、オレフィン系エラストマーである、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の多層フィルムである。
また、請求項7に係る発明は、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の多層フィルムを備える包装体である。
本発明の多層フィルムは、結晶性樹脂を含むバリア層とエラストマーを含む柔軟層とを備え、バリア層の一方の面側に柔軟層が積層された構成であるため、フィルム全体として、ガスバリア性を維持しつつ、柔軟性にも優れる。
また、本発明の包装体は、上記多層フィルムを備えるため、ガスバリア性および柔軟性に優れる。
本発明を適用した一実施形態である多層フィルムの模式断面図である。 本発明を適用した一実施形態である包装体の斜視図である。 図2の包装体のA−A線における模式断面図である。 本発明を適用した一実施形態である多層フィルムの他の構成を示す模式断面図である。 包装体の錠剤押出性の評価方法を説明するための図である。 錠剤押出性評価により得た荷重と変位の関係を示すグラフである。 多層フィルムの結晶性樹脂に由来するX線回折像を示す図である。
以下、本発明を適用した一実施形態である多層フィルムおよびこれを用いた包装体について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
<多層フィルム>
先ず、本発明を適用した一実施形態である多層フィルム1の構成について説明する。
図1は、本発明を適用した一実施形態である多層フィルム1の断面模式図である。図1に示すように、本実施形態の多層フィルム1は、バリア層2と、柔軟層3と、を備え、バリア層2の両面に柔軟層3が積層されて概略構成されている。本実施形態の多層フィルム1は、食品や医薬品などを包装するために用いられる包装袋、包装容器のような包装体の材料として用いることができる。
(バリア層)
バリア層2は、一対の柔軟層3,3の間に設けられており、多層フィルム1にガスバリア性を付与する樹脂層である。バリア層2は、複数の第1のフィルム4と、複数の第2のフィルム5と、を備え、第1のフィルム4と第2のフィルム5とが交互に繰り返し積層されて概略構成されている。
(第1のフィルム)
第1のフィルム4は、後述する第2のフィルム5と交互に積層されており、多層フィルム1に優れたガスバリア性を付与する。
第1のフィルム4は、結晶性樹脂を有した樹脂膜である。結晶性樹脂としては、結晶性を有する熱可塑性樹脂であれば特に限定されないが、具体的には、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)、ポリメチルペンテン樹脂のようなポリオレフィン系樹脂、ナイロン6樹脂、ナイロン66樹脂のようなポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリエチレン‐2,6‐ナフタレート樹脂のようなポリエステル系樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリグリコール酸樹脂ポリカプロラクトン樹脂、および上記樹脂を形成するモノマーを含む共重合体樹脂などが挙げられる。これらのうちの1種または2種以上を組み合せて用いることができる。
これらの中でも、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、ポリエチレン樹脂がより好ましく、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE樹脂)がさらに好ましい。これにより、結晶性樹脂の結晶成分をより確実に配向制御することができる。
なお、ポリエチレン樹脂を用いる場合、ポリエチレン樹脂の結晶成分に由来する示唆熱分析法で求めた融解熱量(ΔH)は20J/g以上であることが好ましく、30J/g以上であることがより好ましい。ΔHが上記数値範囲にあることにより、ポリエチレン樹脂の結晶生長を十分に行うことができ、優れたガスバリア性を発揮することができる。
融解熱量は、市販の示差走査熱量計(Differential scanning calorimetry;DSC、例えば、セイコーインスツル社製、「DSC−6200」など)を用いて求めることができる。具体的には、示差走査熱量計による測定で得られたDSC曲線のピーク面積から求めることができる。
なお、以下において、第1のフィルム4が有す結晶性樹脂を、「結晶性樹脂A」と記す。
結晶性樹脂Aの重量平均分子量の上限値としては、具体的には、例えば、200,000が好ましく、150,000がより好ましく、120,000がさらに好ましい。重量平均分子量が上限値以下であることにより、第1のフィルム4がナノメートル領域の厚みに成形される際に、ポリマーの分子運動が著しく阻害されるのを抑制することができる。
一方、結晶性樹脂Aの重量平均分子量の下限値としては、具体的には、例えば、40,000が好ましく、45,000がより好ましく、50,000がさらに好ましい。重量平均分子量が下限値以上であることにより、第1のフィルム4がナノメートル領域の厚みに成形される際に、結晶性樹脂Aに含まれる結晶の分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜方向に配向した状態または水平方向に配向した状態で、結晶性樹脂Aを結晶化することができる。
重量平均分子量は、市販のゲル浸透クロマトグラム(Gel Permeation Chromatography;GPC、例えば、東ソー社製、「HLC−8320」など)により測定することができる。以下同様にして重量平均分子量を測定することができる。
また、第1のフィルム4は、上述した結晶性樹脂の他に、添加剤が添加されていてもよい。添加剤としては、具体的には、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無期粒子、有機粒子、減粘剤、増粘剤、熱安定化剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
第1のフィルム4の平均膜厚の上限値としては、具体的には、例えば、1000nmが好ましく、300nmがより好ましい。平均膜厚が上限値以下であることにより、第1のフィルム4中において、結晶性樹脂Aに含まれる結晶を、その分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜方向に配向した異方性結晶、あるいは水平方向に配向した異方性結晶とすることができる。
一方、第1のフィルム4の平均膜厚の下限値としては、具体的には、例えば、10nmが好ましく、70nmがより好ましい。平均膜厚が下限値以上であることにより、層切れを発生させることなく成膜することが可能であり、第1のフィルム4において、傾斜方向に配向した異方性結晶、あるいは水平方向に配向した異方性結晶を確実に形成することができる。さらに、多層フィルム1を折り曲げた際に第1のフィルム4が破断するのを防止することができる。
なお、「第1のフィルム4の平均膜厚」とは、本実施形態の多層フィルム1が備える全ての第1のフィルム4の膜厚の和を、本実施形態の多層フィルム1が備える第1のフィルム4の積層数で除したものをいう。
フィルムの積層数は、例えば、ミクロトームを用いて多層フィルムの断面を切り出した後、多層フィルムの断面を市販の電子顕微鏡(例えば、日本電子社製、「JSM‐7500FA」など)を用いて観察することにより求めることができる。以下同様にしてフィルムの積層数を求めることができる。
また、第1のフィルム4の平均膜厚の標準偏差の上限値としては、具体的には、例えば、100nmが好ましく、50nmがより好ましい。平均膜厚の標準偏差が上限値以下であることにより、多層フィルム1を折り曲げた際に第1のフィルム4が破断するのを防止することができる。さらに、第1のフィルム4において、傾斜方向に配向した異方性結晶、あるいは水平方向に配向した異方性結晶を確実に形成することができる。
このように、多層フィルム1において、第1のフィルム4は、結晶性樹脂Aを含有し、結晶性樹脂Aの結晶成分の分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜方向に配向した異方性結晶、あるいは水平方向に配向した異方性結晶を有するものである。そのため、第1のフィルム4を水蒸気が透過すると仮定した場合、水蒸気が透過するのに通過する経路が長くなることから、かかる構成の第1のフィルム4を備える多層フィルム1は、延伸工程を伴うことなく、優れたガスバリア性を発揮する。多層フィルム1が優れたガスバリア性を発揮することにより、これを用いた包装体は、例えば、水蒸気の侵入を防ぐことができる。
なお、結晶成分の分子鎖軸の傾斜方向の測定については後述する。
(第2のフィルム)
第2のフィルム5は、上述した第1のフィルム4と交互に積層されている。第2のフィルム5で第1のフィルム4をはさむことにより、第1のフィルム4の膜厚を維持し、第1のフィルム4中において、結晶性樹脂Aの結晶成分の分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜方向に配向した状態または水平方向に配向した状態で、結晶性樹脂Aを結晶化することができる。すなわち、第2のフィルム5により、第1のフィルム4を延伸させることなく結晶化することができるため、第1のフィルム4の優れたガスバリア性を発揮させることができる。さらに、第1のフィルム4を延伸させる必要がないため、多層フィルム1に優れた成形加工性を付与することができる。
第2のフィルム5は、上述した結晶性樹脂Aとは異なる熱可塑性樹脂を有した樹脂膜である。熱可塑性樹脂としては、上述した結晶性樹脂Aとは異なる熱可塑性樹脂であれば、特に限定されないが、例えば、上述した第1のフィルム4に用いることができる結晶性樹脂として挙げたものの他、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、アクリル樹脂、およびエチレン‐環状オレフィン共重合体樹脂のような上記樹脂を形成するモノマーを含む共重合体樹脂などが挙げられる。これらのうちの1種または2種以上を組み合せて用いることができる。
これらの中でも、ポリプロピレン樹脂、エチレン‐環状オレフィン共重合体樹脂のいずれか1つ以上を含むことが好ましい。これにより、上述した第2のフィルム5の機能をより顕著に発揮することができる。
なお、以下において、第2のフィルム5が有す熱可塑性樹脂を、「熱可塑性樹脂B」と記す。
熱可塑性樹脂Bは、第1のフィルム4における結晶性樹脂Aと同様に、結晶性を示すことが好ましく、熱可塑性樹脂Bの結晶成分の分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜方向に配向した状態、または水平方向に配向した状態で存在していることがより好ましい。このように、第2のフィルム5において熱可塑性樹脂Bが結晶性を示し、さらに、第2のフィルム5における熱可塑性樹脂Bの結晶生長が制御されることで、第2のフィルム5におけるガスバリア性を向上させることができる。
熱可塑性樹脂Bの重量平均分子量の上限値としては、具体的には、例えば、400,000が好ましく、370,000がより好ましく、350,000がさらに好ましい。重量平均分子量が上限値以下であることにより、第2のフィルム5がナノメートル領域の厚みに成形される際に、ポリマーの分子運動が著しく阻害されるのを抑制することができる。
一方、熱可塑性樹脂Bの重量平均分子量の下限値としては、具体的には、例えば、10,000が好ましく、150,000がより好ましく、200,000がさらに好ましい。重量平均分子量が下限値以上であることにより、第2のフィルム5がナノメートル領域の厚みに成形される際に、熱可塑性樹脂の結晶の分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜方向に配向した状態または水平方向に配向した状態で、結晶化することができる。
また、第2のフィルム5は、上述した熱可塑性樹脂の他に、添加剤が添加されていてもよい。添加剤としては、具体的には、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無期粒子、有機粒子、減粘剤、増粘剤、熱安定化剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
第2のフィルム5の平均膜厚の上限値としては、具体的には、例えば、1000nmが好ましく、200nmがより好ましい。平均膜厚が上限値以下であることにより、第2のフィルム5中において、熱可塑性樹脂Bに含まれる結晶を、その分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜方向に配向した異方性結晶、あるいは水平方向に配向した異方性結晶とすることができる。
一方、第2のフィルム5の平均膜厚の下限値としては、具体的には、例えば、10nmが好ましく、50nmがより好ましい。平均膜厚が下限値以上であることにより、層切れを発生させることなく成膜することが可能であり、第2のフィルム5において、傾斜方向に配向した異方性結晶、あるいは水平方向に配向した異方性結晶を確実に形成することができる。さらに、多層フィルム1を折り曲げた際に第2のフィルム5が破断するのを防止することができる。
なお、「第2のフィルム5の平均膜厚」とは、多層フィルム1が備える全ての第2のフィルム5の膜厚の和を、多層フィルム1が備える第2のフィルム5の積層数で除したものをいう。
また、第2のフィルム5の平均膜厚の標準偏差の上限値としては、具体的には、例えば、100nmが好ましく、50nmがより好ましい。平均膜厚の標準偏差が上限値以下であることにより、多層フィルム1を折り曲げた際に第2のフィルム5が破断するのを防止することができる。さらに、第2のフィルム5において、傾斜方向に配向した異方性結晶、あるいは水平方向に配向した異方性結晶を確実に形成することができる。
バリア層2は、上述の第1のフィルム4と第2のフィルム5とを交互に繰り返し積層した繰り返し部6を備える。繰り返し部6内に積層される第1のフィルム4および第2のフィルム5の積層数の上限値は、特に限定されないが、20000が好ましく、10000がより好ましい。積層数が上限値以下であることにより、優れたガスバリア性を維持しつつ、多層フィルム1を薄型化することができる。
一方、繰り返し部6内に積層される第1のフィルム4および第2のフィルム5の積層数の下限値は、特に限定されないが、20が好ましく、200がより好ましい。積層数が下限値以上であることにより、優れたガスバリア性を発揮することができる。
さらに具体的には、本実施形態の多層フィルム1は、膜厚が100nm以下の第1のフィルム4を100層以上積層することにより形成されるのが好ましく、膜厚が100nm以下の第1のフィルム4を1000層以上積層することにより形成されるのがより好ましい。このような多層フィルム1を選択することにより、多層フィルム1のガスバリア性を特に向上させることができる。
(柔軟層)
柔軟層3は、バリア層2の両面に積層されている。柔軟層3は、多層フィルム1に柔軟性を付与する。柔軟層3により、多層フィルム1に柔軟性を付与する。
柔軟層3は、エラストマーおよびポリオレフィン系樹脂を含む。エラストマーとしては、多層フィルム1に柔軟性を付与することができるものであれば、特に限定されないが、具体的には、例えば、オレフィン系エラストマーやα―オレフィンコポリマーなどが挙げられる。エラストマーを選択することにより、オレフィン系樹脂の柔軟性を飛躍的に向上させることができると同時に、透明性を維持あるいは向上させることもできる。
また、オレフィン系エラストマーとしては、具体的には、例えば、三井化学社製のノティオSN0285などが挙げられる。
また、α―オレフィンコポリマーとしては、具体的には、例えば、三井化学社製のタフマーXM7080などが挙げられる。
また、ポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)、ポリメチルペンテン樹脂などが挙げられる。
柔軟層3中のエラストマーの含有率としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、柔軟層3に対して重量比で20%以上が好ましく、60%以上がより好ましい。これにより、多層フィルム1に優れた柔軟性を付与することができる。
柔軟層3の総厚としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、多層フィルム1の厚みの1/10以上であるのが好ましく、1/5以上であるのがより好ましい。これにより、多層フィルム1に優れた柔軟性を付与することができる。
(多層フィルム)
また、多層フィルム1の厚みの上限値は、特に限定されないが、具体的には、例えば、1000μmが好ましく、500μmがより好ましく、250μmがさらに好ましい。厚みが上限値以下であることにより、結晶性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bの種類によっては、成膜が困難であったり、層の数が多くなりすぎるため生産効率が悪くなったり、厚すぎるため加工時などに取り扱い性が悪くなるのを防止することができる。
一方、多層フィルム1の厚みの下限値は、特に限定されないが、具体的には、例えば、1μmが好ましく、50μmがより好ましく、100μmがさらに好ましい。厚みが下限値以上であることにより、結晶性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bの種類によっては、皺が入りやすいなど、取り扱い性が悪くなるのを防止することができる。
(結晶構造)
本実施形態の多層フィルム1では、第1のフィルム4および第2のフィルム5において、それぞれ、結晶性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bが結晶化することが好ましいが、これら結晶性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bの結晶成分の配向状態は、X線回折により評価する。また、配向結晶の傾きは広角散乱測定(wide angle X−ray scattering;WAXS)や小角散乱測定(small angle X−ray scattering;SAXS)により評価する。
なお、X線回折は、市販のX線回折装置(例えば、リガク社製、「NANO Viewer」など)を用いて測定することができる。
例えば、多層フィルム1における、結晶性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bの少なくともいずれかの結晶成分に由来するX線回折像が、円周方向(Φ)に強度分布のある点状、円弧上のいずれか1種類以上の形状に出現することにより、結晶の分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜方向に配向した異方性結晶、あるいは水平方向に配向した異方性結晶が形成されており、結晶成分が高い配向性を示していると言える。
したがって、主に、円周方向(Φ)に強度分布のある点状、円弧上のいずれか1種類以上の形状に出現することがより好ましい。これにより、多層フィルム1が、球晶を多く有する従来の高分子材料よりも優れたバリア性を発揮することができる。
また、上記結晶の分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜している場合には、分子鎖軸とフィルム平面の成す最少角度が10°以上、80°以下であることが好ましい。分子鎖軸とフィルム平面の成す最少角度が上記範囲内にあることで、分子鎖がフィルム平面に垂直である場合と同様に結晶ラメラ中の結晶面を、フィルム平面に対して広範囲に分布することができる。このように、結晶面を、広範囲に分布させることができると言う観点から、多層フィルム1のガスバリア性を向上させることができる。
なお、配向結晶の傾きは、例えば、WAXSやSAXS測定から得られた結晶性樹脂の結晶ラメラ由来の1次元データから角度を読み取ることで確認できる。
また、第1のフィルム4および第2のフィルム5において、傾斜方向および平行方向に結晶性樹脂Aまたは熱可塑性樹脂Bが配向した異方性結晶の配向度は、0.80以上1.00未満であることが好ましく、0.90以上1.00未満であることがより好ましい。配向度が上記範囲内となることで、多層フィルム1は、より優れたガスバリア性を発揮する。
なお、この配向度(Π)は、第1のフィルム4に含まれる結晶性樹脂Aまたは第2のフィルム5に含まれる熱可塑性樹脂Bのうち、結晶の分子鎖軸が、多層フィルム1の平面に対して傾斜方向または水平方向に配向したものについて、X線回折像を一次元化して得られる回折ピークの半値幅(H)を用いて下記式(1)で求めた値をいう。
Π=(180−H)/180 ・・・(1)
<多層フィルムの製造方法>
次に、上述した多層フィルム1の製造方法について説明する。
多層フィルム1の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、数台の押出機により、原料となる樹脂などを溶融押出するフィードブロック法や、マルチマニホールド法などの共押出Tダイ法、空冷式または水冷式共押出インフレーション法が挙げられ、なかでも、共押出Tダイ法で製膜する方法が各層の厚み制御に優れる点で特に好ましい。
具体的には、先ず、数台の押出機により、溶融状態の樹脂をフィードブロックで溶融押出する。その後、フィードブロックにより、樹脂を積層してフィルムを成形する。
次に、マルチプライヤーにより、フィルムの切断と積層を繰り返して、樹脂を交互に積層し、積層フィルムを成形する。
次に、エラストマーとポリオレフィン系樹脂とをドライブレンドあるいは溶融混練し、上記とは異なる数台の押出機により、溶融状態の樹脂を別のフィードブロックに溶融押出し、エラストマーとポリオレフィン系樹脂を含むフィルムを形成する。形成したフィルムを柔軟層3として用いる。
次に、上述したバリア層2の両面に柔軟層3を積層させる。
次に冷却ロールにより積層フィルムを冷却固化することで、積層フィルムの結晶配向を制御し、多層フィルム1を作製する。
本実施形態により作製した多層フィルム1は、フィルムを延伸していないため、成形加工性に優れる。
なお、本実施形態の多層フィルムの製造方法は、上述した製造方法に限定されるものではない。例えば、柔軟層をバリア層の片面にのみに積層して、多層フィルムを作製してもよい。
また、柔軟層の両面にバリア層を積層して、多層フィルムを作製してもよい。
<包装体>
次に、本発明を適用した一実施形態である包装体11の構成について、図2および図3を参照して説明する。図2は、本発明を適用した一実施形態である包装体11の斜視図である。また、図3は、図2の包装体11のA−A線における模式断面図である。図3に示すように、本実施形態の包装体11は、バリア層2と、柔軟層3と、カバーフィルム12と、収納部13と、を備え概略構成されている。すなわち、本実施形態の包装体11は、上述した多層フィルム1と、カバーフィルム12と、収納部13と、を備えて概略構成されている。よって、重複する部分については説明を省略する。本実施形態の包装体11は、ブリスターパックとしてのPTPフィルム(包装容器)であり、収納部13に錠剤14を密封収納することができる。
多層フィルム1は、カバーフィルム12に接着している。多層フィルム1には、カバーフィルム12の反対側の面を突き出すようにして複数の収納部13が形成されている。
多層フィルム1は、ガスバリア層として機能することにより、収納部13内にガス(水蒸気)が透過するのを防止することができる。
カバーフィルム12の材質としては、具体的には、例えば、アルミニウムなどが挙げられる。
上述した多層フィルム1およびカバーフィルム12には、スリット15を入れてもよい。これにより、収納部13に収容された錠剤14を必要な数毎に切り分けることが容易となり、包装体11に優れた利便性を付与することができる。
本実施形態の包装体11は、多層フィルム1を備えることにより、収納部13にガスが透過するのを防ぐことができる。この多層フィルム1によるガスバリア性(水蒸気バリア性)は、例えば、収納部13を水蒸気が透過するときの水蒸気透過量を測定することにより評価することができる。多層フィルム1の水蒸気透過量は、内壁面が内径φ10.0mm×高さ4.5mmの大きさの収納部13を形成した場合、40℃、90%RHの雰囲気下において24時間放置する条件で、10.0mg/10pockets−day以下であることが好ましく、5.0mg/10pockets−day以下であることがより好ましく、2.0mg/10pockets−day以下であることがさらに好ましい。
<包装体の製造方法>
次に、上述した包装体11の製造方法について説明する。
包装体11の製造方法としては、特に限定されないが、一般的に使用されるPTP包装機が用いられる。
例えば、先ず、真空成形、圧空成形、またはプラグ成形などにより、多層フィルム1に収納部13を成形する。
次に、多層フィルム1の収納部13に内容物である錠剤14を充填した後、カバーフィルム12を重ね合せ、多層フィルム1とカバーフィルム12とを接着させる。
次に、多層フィルム1およびカバーフィルム12に、ミシン刃やハーフカット刃を用いてスリット15を入れる。
以上の工程により、包装体11が製造される。
以上説明したように、本実施形態の多層フィルム1によれば、結晶性樹脂を含むバリア層2とエラストマーを含む柔軟層3とを備え、バリア層2の両面に柔軟層3が積層された構成であるため、ガスバリア性および柔軟性に優れる。
また、本実施形態の多層フィルム1によれば、バリア層2が、結晶性樹脂を有し、平均膜厚が10〜1000nm以下である第1のフィルム4と、平均膜厚が10〜1000nm以下である第2のフィルム5と、を交互に繰り返し積層した繰り返し部6を備えた構成をとる。そのため、製造の際に延伸工程を伴わないで結晶を配向しているため、ガスバリア性および成形加工性に優れる。
また、本実施形態の包装体11によれば、多層フィルム1を備えるため、ガスバリア性および柔軟性に優れる。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計なども含まれる。例えば、上述した多層フィルム1は、バリア層2の両面に一対の柔軟層3,3が積層されている例について説明した。しかしこれに限定されず、図4に示すように、2層のバリア層22a,22bと、柔軟層23と、を備え、柔軟層23の両面に2層のバリア層22a,22bが積層された多層フィルム21であってもよい。
柔軟層23としては、上述した柔軟層3と同様の樹脂層を用いることができる。
バリア層22a,22bとしては、上述したバリア層2と同様の樹脂層を用いてもよいし、単層または複数層からなり、少なくとも1層に結晶性樹脂が含まれる樹脂層を用いてもよい。
また、2層のバリア層22a,22bの組み合わせとしては、互いに同じ構成の樹脂層を用いてもよいし、多層フィルム21に要求される特性に応じて、互いに異なる構成の樹脂層を用いてもよい。
また、上述した多層フィルム1は、バリア層2の両面に一対の柔軟層3,3が積層されている例について説明したが、バリア層の片面にのみ柔軟層が積層されていてもよい。
また、上述した多層フィルム1では、繰り返し部6は、第1のフィルム4と、第2のフィルム5とを交互に繰り返し積層してなるものとして説明したが、繰り返し部6は、本発明の効果を阻害しない範囲で、結晶性樹脂Aを有する第1のフィルム4、熱可塑性樹脂Bを有する第2のフィルム5以外の層として、例えば、熱可塑性樹脂Cを含有する第3のフィルムを有しても良い。
例えば、結晶性樹脂Aを含有する第1のフィルム4(A)、熱可塑性樹脂Bを含有する第2のフィルム5(B)、熱可塑性樹脂Cを含有する第3のフィルム(C)の3種類の層を有する場合、繰り返し部6は、(A)、(B)および(C)がそれぞれ少なくとも1つ含まれるものであればよい。例えば、繰り返し部6は、(BAC)nおよびB(ACAB)nなどの様に規則的順列で積層されているものであってもよい。ここで、nは繰り返しの単位数である。
また、上述した多層フィルム1は、バリア層2と柔軟層3とが接するようにして積層されている例について説明したが、バリア層と柔軟層の間に別の機能を有する層が挿入されていてもよい。
また、上述した多層フィルム1は、バリア層2として、結晶性樹脂を有し、平均膜厚が10〜1000nm以下である第1のフィルム4と、平均膜厚が10〜1000nm以下である第2のフィルム5と、を交互に繰り返し積層した繰り返し部6を備えた構成をとる例について説明した。しかし、バリア層2が多層フィルム1にガスバリア性を付与することができるものであれば特に限定されない。例えば、バリア層2が単層または複数層からなり、少なくとも1層に結晶性樹脂が含まれるものであってもよい。
また、上述した包装体11は、収納部13の全体形状が円錐台状、平面視形状が円形状の例について説明したが、収納部13の形状はこれに限定されず、収納すべき錠剤14のワークの形状に対応して、例えば、その平面視形状が、三角形、四角形、五角形、六角形のような多角形状や、長円形状などをなしていてもよい。
また、上述した包装体11は、収納部13を8つ備える例について説明したが、収納部13の数はこれに限定されず、1つ以上であればよい。
また、上述した包装体11は、収納部13を備える多層フィルム1にカバーフィルム12を重ね合わせることで包装体11とした例について説明したが、これに限定されず、包装体11は、例えば、2つの多層フィルム1を重ね合わせた状態で縁部を熱圧着することで袋体とし、この袋体の内部に、ワークとして食肉、加工肉および青果物などの食材、または、注射針、シリンジ、検査キットおよびカテーテルなどの医療器具を収納する包装袋などであってもよい。
<多層フィルムの作製>
(実施例1)
実施例1では、バリア層に含まれる結晶性樹脂AとしてHDPE樹脂(プライムポリマー社製、「2100J」、密度:953kg/m、重量平均分子量:63000)を用意した。
また、バリア層に含まれる熱可塑性樹脂BとしてPP樹脂(プライムポリマー社製、「J106G」、密度:910kg/m、重量平均分子量:214000)を用意した。
また、柔軟層に含まれるエラストマーとしてオレフィン系エラストマー(三井化学社製、「ノティオSN0285」を用意した。
また、柔軟層に含まれるポリオレフィン系樹脂としてPP樹脂(プライムポリマー社製、「J106G」、密度:910kg/m、重量平均分子量:214000)を用意した。
先ず、上記HDPE樹脂、PP樹脂をそれぞれ押出機(株式会社サン・エヌ・ティー社製、「SNT40−28型番」、以下同様である。)で、240℃の溶融状態とし、フィードブロックを用いて5層の溶融積層体を形成した。その後、マルチプライヤーにより、形成した溶融積層体の切断と積層を繰り返して、2053層のバリア層を形成した。ここで、積層厚み比が、結晶樹脂A:熱可塑性樹脂B=3:2になるように吐出量を調整した。
次に、上記オレフィン系エラストマーとPP樹脂とをドライブレンドし、押出機で、240℃の溶融状態とし、柔軟層を形成した。ここで、柔軟層に含まれるエラストマーの含有率を重量比で60%となるように調整した。
次に、この柔軟層をフィードブロック法により、2053層のバリア層の両面に積層させることで、2055層の溶融積層体を形成した。ダイを用いてこの溶融積層体を共押出しして、フィルム形成した。
なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。また、1層の柔軟層の厚みは、多層フィルムの厚みの1/10であった。よって、柔軟層の総厚は、多層フィルムの厚みの1/5であった。
(実施例2)
実施例2では、バリア層としてポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)/ポリ塩化ビニル(PVC)2層フィルム(住友ベークライト社製、「FCL−1122」)を用いた。
また、柔軟層に含まれるエラストマーとしてオレフィン系エラストマー(三井化学社製、「ノティオSN0285」)を用意した。
また、柔軟層に含まれるポリオレフィン系樹脂としてPP樹脂(プライムポリマー社製、「J106G」、密度:910kg/m、重量平均分子量:214000)を用意した。
先ず、上記オレフィン系エラストマーとPP樹脂とをドライブレンドあるいは溶融混練し、フィルムを形成した。形成したフィルムを柔軟層とした。ここで、柔軟層に含まれるエラストマーの含有率を重量比で60%となるように調整した。
次に、ドライラミネート法により、上述したバリア層の両面に柔軟層を積層し、多層フィルムを作製した。
なお、多層フィルムの厚みは375μmであった。また、1層の柔軟層の厚みは、多層フィルムの厚みの1/10であった。よって、柔軟層の総厚は、多層フィルムの厚みの1/5であった。
(比較例1)
比較例1では、バリア層に含まれる結晶性樹脂AとしてHDPE樹脂(プライムポリマー社製、「2100J」、密度:953kg/m、重量平均分子量:63000)を用意した。
また、バリア層に含まれる熱可塑性樹脂BとしてPP樹脂(プライムポリマー社製、「J106G」、密度:910kg/m、重量平均分子量:214000)を用意した。
先ず、上記HDPE樹脂、PP樹脂を用いて、実施例1と同様にして2053層のフィルムを形成し、これをバリア層とした。ここで、積層厚み比が、結晶樹脂A:熱可塑性樹脂B=3:2になるように吐出量を調整した。
比較例1では、柔軟層を積層せずに、バリア層のみからなる多層フィルムを作製した。
なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。
(比較例2)
比較例2では、バリア層としてポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)/ポリ塩化ビニル(PVC)2層フィルム(住友ベークライト社製、「FCL−1122」)を用いた。
比較例2では、柔軟層を積層せずに、バリア層のみからなる多層フィルムを作製した。
なお、多層フィルムの厚みは301μmであった。
(比較例3)
比較例3では、2055層のバリア層を作製した。また、柔軟層の1層の厚みを多層フィルムの厚みの1/40に調整し、バリア層の両面に積層した。つまり、柔軟層の総厚を1/20に調整した。
それ以外は実施例1と同様にして多層フィルムを作製した。
なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。
(比較例4)
比較例4では、柔軟層に含まれるエラストマーの含有率を10%に調整したこと以外は実施例1と同様にして多層フィルムを作製した。
なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。
<積層数の評価および結晶構造の観察>
各実施例および各比較例で作製した多層フィルムの積層数は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、電子顕微鏡(日本電子社製、「JSM‐7500FA」)を用いて観察することにより求めた。また、各層の結晶構造について、上記電子顕微鏡を用いて観察することで、バリア層における傾斜方向におよび水平方向に配向した異方性結晶の有無を観察した。具体的には、フィルム断面を1000〜100000倍に拡大観察した。
<配向度の評価>
各実施例および各比較例で作製したバリア層の第1のフィルムおよび第2のフィルムにおける配向度(Π)を、X線回折像を一次元化して得られる回折ピークの半値幅(H)を用いて下記式(1)により求めた。
Π=(180−H)/180 ・・・(1)
<水蒸気バリア性の評価(多層フィルム)>
各実施例および各比較例で作製した多層フィルムの水蒸気バリア性は、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製、「PERMATRAN‐W(登録商標)3/33」)を用いて、JIS K7126(B法、等圧法)に記載の方法に準拠して評価した。
<水蒸気バリア性の評価(包装体)>
各実施例および各比較例で作製した多層フィルムを備えた包装体の水蒸気バリア性を評価した。具体的には、先ず、各実施例および各比較例の多層フィルムについて、それぞれ、ブリスタ包装機(CKD社製、「FBP−300E」)を用いて、長手方向に沿って5つ、短手方向に沿って2つずつ並ぶように計10つの収納部(φ10.0mm×4.5mm)を形成した。次に、10つの収納部にそれぞれゼオライト(φ7.0mm×7.0mm)を充填した状態で、アルミ製のカバーフィルムを用いて収納部の開口を密封することで包装体を作製した。
この状態で40℃、90%RHの雰囲気下に24時間放置した後のゼオライトの重量変化を測定した。そして、この測定結果に基づいて収納部を透過した水蒸気量を求めることで評価した。
<錠剤押出性の評価>
各実施例および各比較例で作製した多層フィルムを備えた包装体の錠剤押出性を評価した。具体的には、先ず、各実施例および各比較例の多層フィルムについて、それぞれ、ブリスタ包装機(CKD社製、「FBP−300E」)を用いて収納部(φ10.0mm×4.5mm)を形成した。次に、アルミ製のカバーフィルムを用いて収納部の開口を密封することで包装体を作製した。
作製した包装体を圧縮試験機に専用押し出し治具を取付け、 一定の試験速度でPTPから錠剤を取り出すまでの荷重変化を測定し、錠剤押出性を評価した。
具体的には、図5に示すように、収納部13に錠剤14を充填した状態で、直径5mmの円柱状の押し具31により、多層フィルム1の面側から収納部13が変形するように、50mm/minの速度で押圧することで、荷重と変位の関係を示すグラフを得た(図6)。なお、はじめに収納部13の先端と押し具31とが接した地点の変位をゼロとした。次にこのグラフから、最大荷重を読み取ることにより、錠剤押出性を評価した。また、最大荷重は複数回測定し、その平均を「平均最大荷重」とした。
以上の各実施例および各比較例の評価結果を表1に示す。
表1に示されるように、各多層フィルムの水蒸気バリア性について、実施例1、2および比較例1〜4の多層フィルムの水蒸気透過量は、0.6g/m−day(100μm換算)以下であり、優れた水蒸気バリア性を有することを確認した。
また、各包装体の水蒸気バリア性について、実施例1、2および比較例1〜4の多層フィルムの水蒸気透過量は、2.0mg/10pockets−day以下であり、優れた水蒸気バリア性を有することを確認した。
次に、各包装体の錠剤押出性について、柔軟層を備えた包装体である実施例1では平均最大荷重が15.0Nであるのに対し、柔軟層を備えていない包装体である比較例1では平均最大荷重が24.6Nであった。また、柔軟層を備えた包装体である実施例2では平均最大荷重が22.2Nであるのに対し、柔軟層を備えていない包装体である比較例2では平均最大荷重が29.5Nであった。この結果から、多層フィルムに柔軟層を備えることにより、平均最大荷重が小さくなり、錠剤押出性が向上することを確認した。
また、柔軟層の総厚の割合が1/5の包装体である実施例1では平均最大荷重が15.0Nであるのに対し、柔軟層の総厚の割合が1/20の包装体である比較例3では平均最大荷重が23.4Nであった。この結果から、柔軟層の総厚が薄い場合、錠剤押出性が低下することを確認した。
また、柔軟層中のエラストマーの含有率が60%の包装体である実施例1では平均最大荷重が15.0Nであるのに対し、柔軟層中のエラストマーの含有率が10%の包装体である比較例4では平均最大荷重が22.8Nであった。この結果から、柔軟層中のエラストマーの含有率が低い場合、錠剤押出性が低下することを確認した。
以上の結果より、実施例1、2の多層フィルムおよび包装体は、優れた錠剤押出性および水蒸気バリア性を示すことを確認することができた。
<X線散乱測定による結晶構造>
各実施例および各比較例で作製したバリア層を、X線回折装置(リガク社製、「NANO Viewer」)を用いて評価した。
図7(a)、(b)に、それぞれ、実施例1および比較例1のバリア層のX線回折像を示す。実施例1および比較例1のX線回折像の両方に、ポリエチレン樹脂の結晶面(200)に由来するX線回折像が円弧を示した。この結果から、結晶の分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜または水平方向に配向していることを確認することができた。
本発明の多層フィルムは、包装体などの材料として利用可能性がある。また、本発明の包装体は、食品、医薬品、医療器具などを包装するための包装袋、包装容器などへの利用可能性がある。
1,21…多層フィルム
2,22a,22b…バリア層
3,23…柔軟層
4…第1のフィルム
5…第2のフィルム
6…繰り返し部
11…包装体
12…カバーフィルム
13…収納部
14…錠剤
15…スリット
31…押し具

Claims (7)

  1. 結晶性樹脂を含むバリア層と、
    エラストマーを含む柔軟層と、を備え、
    前記バリア層の少なくとも一方の面側に前記柔軟層が積層されている、多層フィルム。
  2. 結晶性樹脂を含むバリア層と、
    エラストマーを含む柔軟層と、を備え、
    前記柔軟層の両方の面側に前記バリア層が積層されている、多層フィルム。
  3. 結晶性樹脂を含むバリア層と、
    エラストマーを含む柔軟層と、を備え、
    前記柔軟層の一方の面側に、第1のバリア層が積層され、
    前記柔軟層の他方の面側に、前記第1のバリア層とは異なる結晶性樹脂を含む第2のバリア層が積層されている、多層フィルム。
  4. 前記柔軟層の総厚は、当該多層フィルムの厚みの1/10以上である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の多層フィルム。
  5. 前記柔軟層が、前記エラストマーを重量比で20%以上有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の多層フィルム。
  6. 前記エラストマーは、オレフィン系エラストマーである、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の多層フィルム。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の多層フィルムを備える包装体。
JP2015059369A 2015-03-23 2015-03-23 多層フィルムおよび包装体 Expired - Fee Related JP6645019B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015059369A JP6645019B2 (ja) 2015-03-23 2015-03-23 多層フィルムおよび包装体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015059369A JP6645019B2 (ja) 2015-03-23 2015-03-23 多層フィルムおよび包装体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016175390A true JP2016175390A (ja) 2016-10-06
JP6645019B2 JP6645019B2 (ja) 2020-02-12

Family

ID=57070911

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015059369A Expired - Fee Related JP6645019B2 (ja) 2015-03-23 2015-03-23 多層フィルムおよび包装体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6645019B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019162838A (ja) * 2018-03-20 2019-09-26 住友ベークライト株式会社 多層フィルム及び包装体
JP2019166748A (ja) * 2018-03-23 2019-10-03 住友ベークライト株式会社 多層フィルム及び包装体
JP2019182446A (ja) * 2018-04-04 2019-10-24 住友ベークライト株式会社 多層フィルム及び包装体
CN110475666A (zh) * 2017-03-30 2019-11-19 住友电木株式会社 多层膜及包装体
WO2020262675A1 (ja) * 2019-06-27 2020-12-30 住友ベークライト株式会社 多層フィルム及び包装体
CN113646142A (zh) * 2019-04-11 2021-11-12 日本发条株式会社 可挠构件

Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02204033A (ja) * 1989-02-02 1990-08-14 Sumitomo Bakelite Co Ltd 積層体
JPH03187743A (ja) * 1982-03-15 1991-08-15 W R Grace & Co ナイロン多層包装体及びその製造方法並びにその製造装置
WO2005118289A1 (ja) * 2004-06-04 2005-12-15 Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. ガスバリア性多層構造物およびその製造法
US20060024486A1 (en) * 2002-09-12 2006-02-02 Pause Barbara H Non-woven protective garments with thermo-regulating properties
JP2008087829A (ja) * 2006-10-03 2008-04-17 Sumitomo Bakelite Co Ltd 成形包装体用多層シート、成形包装体及びその製造方法
WO2011043031A1 (ja) * 2009-10-08 2011-04-14 株式会社クラレ 積層体、それを用いた包装材料および成形品、ならびに当該積層体の製造方法
US20120258326A1 (en) * 2010-04-14 2012-10-11 Avery Dennison Corporation Blends of Ethylene Copolymers and Propylene Based Plastomers in Multilayer Films for Low Noise and RF Welding
JP2013240941A (ja) * 2012-05-22 2013-12-05 Sumitomo Bakelite Co Ltd 積層フィルム
WO2014050743A1 (ja) * 2012-09-28 2014-04-03 日本ゼオン株式会社 複合ガスバリア積層体及びその製造方法、並びに複合電極
JP2014068770A (ja) * 2012-09-28 2014-04-21 Sumitomo Bakelite Co Ltd 薬剤包装用シート、薬剤包装用ブリスターパック、および薬剤包装体
JP6318725B2 (ja) * 2014-03-11 2018-05-09 住友ベークライト株式会社 多層フィルム、成形フィルム、包材および包装体

Patent Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03187743A (ja) * 1982-03-15 1991-08-15 W R Grace & Co ナイロン多層包装体及びその製造方法並びにその製造装置
JPH02204033A (ja) * 1989-02-02 1990-08-14 Sumitomo Bakelite Co Ltd 積層体
US20060024486A1 (en) * 2002-09-12 2006-02-02 Pause Barbara H Non-woven protective garments with thermo-regulating properties
WO2005118289A1 (ja) * 2004-06-04 2005-12-15 Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. ガスバリア性多層構造物およびその製造法
JP2008087829A (ja) * 2006-10-03 2008-04-17 Sumitomo Bakelite Co Ltd 成形包装体用多層シート、成形包装体及びその製造方法
WO2011043031A1 (ja) * 2009-10-08 2011-04-14 株式会社クラレ 積層体、それを用いた包装材料および成形品、ならびに当該積層体の製造方法
US20120258326A1 (en) * 2010-04-14 2012-10-11 Avery Dennison Corporation Blends of Ethylene Copolymers and Propylene Based Plastomers in Multilayer Films for Low Noise and RF Welding
JP2013240941A (ja) * 2012-05-22 2013-12-05 Sumitomo Bakelite Co Ltd 積層フィルム
WO2014050743A1 (ja) * 2012-09-28 2014-04-03 日本ゼオン株式会社 複合ガスバリア積層体及びその製造方法、並びに複合電極
JP2014068770A (ja) * 2012-09-28 2014-04-21 Sumitomo Bakelite Co Ltd 薬剤包装用シート、薬剤包装用ブリスターパック、および薬剤包装体
JP6318725B2 (ja) * 2014-03-11 2018-05-09 住友ベークライト株式会社 多層フィルム、成形フィルム、包材および包装体

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110475666A (zh) * 2017-03-30 2019-11-19 住友电木株式会社 多层膜及包装体
EP3603961A4 (en) * 2017-03-30 2020-12-30 Sumitomo Bakelite Co., Ltd. MULTI-LAYER FILM AND PACKAGING
JP7081247B2 (ja) 2018-03-20 2022-06-07 住友ベークライト株式会社 多層フィルム及び包装体
JP2019162838A (ja) * 2018-03-20 2019-09-26 住友ベークライト株式会社 多層フィルム及び包装体
JP2019166748A (ja) * 2018-03-23 2019-10-03 住友ベークライト株式会社 多層フィルム及び包装体
JP2019182446A (ja) * 2018-04-04 2019-10-24 住友ベークライト株式会社 多層フィルム及び包装体
CN113646142A (zh) * 2019-04-11 2021-11-12 日本发条株式会社 可挠构件
JPWO2020262675A1 (ja) * 2019-06-27 2021-10-28 住友ベークライト株式会社 多層フィルム及び包装体
JP2021169216A (ja) * 2019-06-27 2021-10-28 住友ベークライト株式会社 多層フィルム及び包装体
JP7036267B2 (ja) 2019-06-27 2022-03-15 住友ベークライト株式会社 多層フィルム及び包装体
JP7036282B2 (ja) 2019-06-27 2022-03-15 住友ベークライト株式会社 多層フィルム及び包装体
WO2020262675A1 (ja) * 2019-06-27 2020-12-30 住友ベークライト株式会社 多層フィルム及び包装体
EP3991966A4 (en) * 2019-06-27 2023-07-19 Sumitomo Bakelite Co.Ltd. MULTILAYER FILM AND PACKAGING

Also Published As

Publication number Publication date
JP6645019B2 (ja) 2020-02-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6645019B2 (ja) 多層フィルムおよび包装体
JP6369064B2 (ja) 多層フィルム、成形フィルムおよび包装体
US11981487B2 (en) Recyclable film for thermoforming
JP2006281675A (ja) 易開封性共押出フィルムならびに該フィルムを用いた蓋材および深絞り成形容器
US20220118746A1 (en) Multilayer film and package
JP6927263B2 (ja) 未延伸多層フィルムおよび包装体
JP2016221755A (ja) 多層フィルム及び包装体
JP2016221760A (ja) 多層フィルム及び包装体
JP6369063B2 (ja) 多層フィルム、成形フィルムおよび包装体
JP2017193100A (ja) 多層フィルム及び包装体
JP6897886B2 (ja) フィルム成形体及び包装体
WO2015137429A1 (ja) 多層フィルム、成形フィルムおよび包装体
JP6369097B2 (ja) 多層フィルム、成形フィルムおよび包装体
JP7081247B2 (ja) 多層フィルム及び包装体
JP6881661B2 (ja) 多層フィルム及び包装体
JP2019209694A (ja) 多層フィルム及び包装体
JP6318725B2 (ja) 多層フィルム、成形フィルム、包材および包装体
JP2020199775A (ja) 多層フィルム及び包装体
JP6746879B2 (ja) シーラントフィルム、多層フィルム、および包装体
JP6369062B2 (ja) 多層フィルム、成形フィルムおよび包装体
JP6859699B2 (ja) 再封性シーラントフィルム
JP2019166748A (ja) 多層フィルム及び包装体
JP7036267B2 (ja) 多層フィルム及び包装体
JP2019182446A (ja) 多層フィルム及び包装体
JP2021138413A (ja) 成形体及び包装体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180209

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181017

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181023

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181128

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A132

Effective date: 20190514

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190712

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20191210

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191223

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6645019

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees