JP6369063B2 - 多層フィルム、成形フィルムおよび包装体 - Google Patents

多層フィルム、成形フィルムおよび包装体 Download PDF

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Description

本発明は、多層フィルム、成形フィルムおよび包装体に関するものである。
食品や医薬品等を包装するために用いられる包装袋、包装容器のような包装体において、要求される様々な性能を満足させるために、これら包装体の少なくとも一部において、複合化(多層化)された多層フィルムが多く用いられる。
このような包装袋や包装容器である包装体に用いられる多層フィルムには、耐衝撃性やガスバリア性が要求される。すなわち、一般的には、内容物保護の観点から機械的強度を、内容物の長期保管の観点から酸素や水蒸気といったガスバリア性に優れた包装材料(多層フィルム)が要求されることが多い。これら強度やガスバリア性を向上させる手段として、高分子材料で構成される多層フィルムを延伸することで、多層フィルム中において、得られる高分子材料の結晶を配向させる方法が提案されている。(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記のような多層フィルムを延伸する手法では、優れた機械的強度およびガスバリア性の他に、さらに、多層フィルムを2次元的に成形して、錠剤等のワークを収納する収納部を形成し得る成形加工性に優れたものとすることが非常に困難であった。
特開2007−283569号公報
本発明の目的は、延伸工程を伴うことなくガスバリア性と成形加工性とを両立した多層フィルム、成形フィルムおよび包装体を提供することである。
このような目的は、下記(1)〜()の本発明により達成される。
(1) 熱可塑性を有する結晶性樹脂Aを含有する第1の層と、前記結晶性樹脂Aとは異なる熱可塑性樹脂Bを含有する第2の層とを交互に繰り返し積層してなる繰り返し部を含む未延伸の多層フィルムであって、
当該多層フィルムの厚さ方向に突出して形成された収納部にワークを収納するために用いられ、
前記繰り返し部の数は、1025以上5000以下であり、
前記第1の層は、その平均層厚みが29nm以上500nm以下であり、
内壁面が内径φ10.0mm×高さ4.5mmの大きさの前記収納部を形成したとき、当該多層フィルムのガスバリア性は、2.0 mg/10pockets-day・40℃・90%RH以下であることを特徴とする多層フィルム。
(2) 前記第1の層中において、前記結晶性樹脂Aは、結晶の分子鎖軸が、前記多層フィルム平面に対して傾斜方向に配向した異方性結晶、および水平方向に配向した異方性結晶のうちの少なくとも1種を形成している上記(1)に記載の多層フィルム。
) 前記結晶性樹脂Aは、その重量平均分子量が40,000以上、200,000以下である上記(1)または(2)に記載の多層フィルム。
) 前記第2の層中において、前記熱可塑性樹脂Bは、結晶性を有する上記(1)ないし()のいずれかに記載の多層フィルム。
) 前記第2の層は、その平均層厚みが10nm以上、1000nm以下である上記()に記載の多層フィルム。
) 前記熱可塑性樹脂Bは、その重量平均分子量が100,000以上、400,000以下である上記()または()に記載の多層フィルム。
) 上記(1)ないし()のいずれかに記載の多層フィルムを2次成形することにより形成された前記収納部を備えることを特徴とする成形フィルム。
) 上記()に記載の成形フィルムを備えることを特徴とする包装体。
本発明によれば、延伸工程を伴うことなく、ガスバリア性と成形加工性とを両立した多層フィルム、ガスバリア性に優れた成形フィルム、および、かかる成形フィルムを備える包装体を提供することができる。
本発明の成形フィルムを備える包装体の実施形態を示す斜視図である。 図1中におけるA−A線断面図である。 実施例6の多層フィルムにおけるTEM断面写真である。 (a)、(b)は、ぞれぞれ、実施例1、2の多層フィルムにおけるポリエチレン樹脂の結晶面(200)に由来するX線回折像である。 (a)、(b)は、ぞれぞれ、実施例4、5の多層フィルムにおけるポリエチレン樹脂の結晶面(200)に由来するX線回折像である。
以下、本発明の多層フィルム、成形フィルムおよび包装体を、添付図面に示す好適実施形態に基づいて、詳細に説明する。
本発明の多層フィルムは、熱可塑性を有する結晶性樹脂Aを含有する第1の層と、結晶性樹脂Aとは異なる熱可塑性樹脂Bを含有する第2の層とを交互に繰り返し積層してなる繰り返し部を含む多層フィルムであって、かかる多層フィルムの厚さ方向に突出して形成された収納部にワークを収納するために用いられ、内壁面が内径φ10.0mm×高さ4.5mmの大きさの前記収納部を形成したとき、当該多層フィルムのガスバリア性は、10.0 mg/10pockets-day・40℃・90%RH以下であることを特徴とする。
かかる構成の多層フィルムは、延伸工程を伴うことなく、ガスバリア性と成形加工性とを両立したものと言える。したがって、この多層フィルムから得られる収納部を備える成形フィルム(成形体)、および、かかる成形フィルムを備える包装体は、収納部を形成するための成形加工がなされた後にも、優れたガスバリア性を発揮するものとなる。
以下では、まず、本発明の多層フィルムおよび成形フィルムを説明するのに先立って、本発明の成形フィルムを備える包装体について説明する。
<包装体>
図1は、本発明の成形フィルムを備える包装体の実施形態を示す斜視図、図2は、図1中におけるA−A線断面図である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
包装体100は、ブリスターパックとしてのPTPフィルム(包装容器)であり、ワークとしての錠剤(薬剤)40を収納する収納部(凹部;ポケット)20を備える成形フィルム1と、成形フィルム1の収納部20の開口を封止(密封)するようにして成形フィルム1に取着(重ね合わ)されたカバーフィルム30とを有している。
図1、2に示す成形フィルム1は、樹脂製のものであり、全体形状が帯状(短冊状)をなすフィルム(シート)からなり、このフィルムのカバーフィルム30と反対側の面から突出するように収納部20が形成され、このようにフィルムを突出させることで、収納部20は、フィルムのカバーフィルム30側の面に、錠剤40を収納し得る凹部を備えるものとなっている。かかる構成の収納部20を、本実施形態では、成形フィルム1の長手方向に沿って4つ、短手方向に沿って2つずつ並ぶようにして、計8つ設けられている。
また、カバーフィルム30は、全体形状が成形フィルム1に対応するような帯状をなしており、本実施形態では、アルミニウムで構成されている。
なお、本実施形態では、ワークとして薬剤である錠剤40が収納部20に収納されているが、これに代えて、ワーク(薬剤)としては、カプセル等が収納されていてもよい。以上のような構成の包装体100において、成形フィルム1が、本発明の成形(多層)フィルムで構成され、成形フィルム1は、帯状(フィルム状)をなす多層フィルムに、二次元的に収納部20が形成された成形フィルムからなるものである。
以下、成形フィルム1、すなわち、本発明の多層フィルムについて詳述する。
成形フィルム1は、前述の通り、全体形状が帯状をなすフィルムに収納部20が形成されたものであるが、図2に示す通り、熱可塑性を有する結晶性樹脂Aを含有する第1の層11と、結晶性樹脂Aとは異なる熱可塑性樹脂Bを含有する第2の層12とを積層した積層体で構成される繰り返し部15を、複数積層してなるものである。すなわち、成形フィルム1は、繰り返し部15を複数積層したものとすることで、結晶性樹脂Aを含有する第1の層11を、結晶性樹脂Aとは異なる熱可塑性樹脂Bを含有する第2の層12で挟み込む構成のものである。
成形フィルム1をかかる構成のものとすることで、結晶性樹脂Aの結晶成分の成長方向が制御される。その結果、従来の高分子材料で構成されるフィルムのように球晶を多く有し、その結晶の分子鎖軸が、フィルム平面に対して垂直方向に配向した異方性結晶(On−edge)となることなく、結晶性樹脂Aの結晶の分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜方向に配向した異方性結晶、あるいは水平方向に配向した異方性結晶(In−plane)を有する有利な配向状態を形成したものとなる。
このように成形フィルム1において、第1の層11は、結晶性樹脂Aを含有し、結晶性樹脂Aの結晶成分の分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜方向に配向した異方性結晶、あるいは水平方向に配向した異方性結晶(In−plane)を有するものである。そのため、第1の層11を水蒸気が透過すると仮定した場合、水蒸気が透過するのに通過する経路(パス)が長くなることから、かかる構成の第1の層11を備える成形フィルム(多層フィルム)1は、延伸工程を伴うことなく、優れたガスバリア性(水蒸気バリア性)を発揮するものとなる。
すなわち、成形フィルム1において、第1の層11は、ガス(水蒸気)の透過を防止するガスバリア層としての機能を発揮する。
なお、結晶性樹脂Aの結晶の分子鎖軸は、フィルム平面に対して傾斜、または水平方向に配向していればよいが、水平方向に配向していることが好ましい。これにより、水蒸気が透過するのに通過する経路がさらに長くなるため、成形フィルム1は、より優れたガスバリア性を発揮することとなる。
また、前記結晶の分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜している場合には、分子鎖軸とフィルム平面の成す最少角度が10°以上、80°以下であることが好ましい。分子鎖軸とフィルム平面の成す最少角度が前記範囲内にあることで、分子鎖がフィルム平面に垂直である場合と同様に結晶ラメラ中の結晶面を、フィルム平面に対して広範囲に分布することができる。このように、結晶面を、広範囲に分布させることができると言う観点から、成形フィルム1のガスバリア性を向上させることができる。
なお、配向結晶の傾きは、例えば、SAXS測定から得られた結晶性樹脂の結晶ラメラ由来の1次元データから角度を読み取ることで確認できる。
また、第1の層11中において、傾斜方向および平行方向に結晶性樹脂Aが配向した異方性結晶の配向度は、0.80以上1.00未満であることが好ましく、0.90以上1.00未満であることがより好ましい。前記配向度が前記範囲内となることで、成形フィルム1は、より優れたガスバリア性を発揮する。なお、この配向度(Π)は、第1の層11中に含まれる結晶性樹脂Aのうち、結晶の分子鎖軸が、成形フィルム1の平面に対して傾斜方向または水平方向に配向したものについて、X線回折像を一次元化して得られる回折ピークの半値幅(H)を用いてΠ=(180- H)/180の式で求めた値を言う。
この第1の層11は、その平均層厚みが10nm以上、1000nm以下であることが好ましく、10nm以上、500nm以下であることがより好ましく、10nm以上、100nm以下であることがさらに好ましい。第1の層11の平均層厚さを、かかる範囲内に設定することで、サイズ効果による高分子結晶の特異的な構造を形成し、結晶性樹脂Aの結晶成分の生長をより精密に制御できる。そのため、結晶性樹脂Aの結晶成分の分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜方向に配向した異方性結晶、あるいは水平方向に配向した異方性結晶が第1の層11中に形成されることから、熱可塑性樹脂の特徴を損なうことなく第1の層11ひいては成形フィルム1のガスバリア性を向上させることができる。なお、第1の層11の平均層厚みが前記上限値よりも厚い場合には、結晶性樹脂Aの種類によっては、第1の層11中に占める高分子結晶の構造制御が達成された部位の割合が低下し、これに起因して、ガスバリア性向上の効果が十分に得られないおそれがある。また、第1の層11の平均層厚みが前記下限値より薄い場合にも、また同様である。
なお、第1の層11の平均層厚みとは、成形フィルム1が備える全ての第1の層11の厚さの和を、成形フィルム1が備える第1の層の総数で除したものをいう。
また、第1の層11の平均層厚みの標準偏差は、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。
前記標準偏差を上記のような値に設定されることで、成形フィルム1が備える各第1の層11が均一な厚さを有するものであると言える。そのため、成形フィルム1が備える各第1の層11において、傾斜方向に配向した異方性結晶、あるいは水平方向に配向した異方性結晶が、確実に形成されることから、各第1の層11がそれぞれ優れたガスバリア性を発揮し、かかる第1の層11の集合体である成形フィルム1は、より優れたガスバリア性を発揮することとなる。
また、第1の層11に含まれる結晶性樹脂Aとしては、結晶性を有する熱可塑性樹脂であれば、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンのようなオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン66のようなポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートのようなポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリグリコール酸樹脂およびポリカプロラクトン樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合せて用いることができる。これらの中でも、ポリオレフィン樹脂が好ましく、ポリエチレン樹脂がより好ましく、高密度ポリエチレンがさらに好ましい。これにより、結晶性樹脂Aの結晶成分をより確実に配向制御することができる。そのため、第1の層11の平均層厚みを、前記範囲内に設定することで、第1の層11中において、結晶性樹脂Aの結晶を、その分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜方向に配向した異方性結晶、あるいは水平方向に配向した異方性結晶とすることができる。
なお、結晶性樹脂Aをポリエチレン樹脂とする場合、ポリエチレン樹脂の結晶成分に由来する示唆熱分析法で求めた熱融解量(ΔH)は20J/g以上であることが好ましく、30J/g以上であることがより好ましい。ポリエチレン樹脂の結晶成分に由来する示唆熱分析法で求めた熱融解量(ΔH)が前記数値未満である場合、ポリエチレン樹脂の結晶生長が十分ではなく、第1の層11の平均層厚みが薄い場合には、ガスバリア性の効果が低減するおそれがある。
また、結晶性樹脂Aの重量平均分子量は、40,000以上、200,000以下であることが好ましく、45,000以上、150,000以下であることがより好ましく、50,000以上、120,000以下であることがさらに好ましい。これにより、第1の層11の平均層厚みが前記範囲内に設定された際、すなわち、第1の層11がナノメートル領域の厚み空間に設定された際に、結晶性樹脂Aの分子運動が著しく阻害されることなく、結晶性樹脂Aの結晶の分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜方向に配向した状態または水平方向に配向した状態で、結晶化することが可能となることから、成形フィルム1に優れたガスバリア性を付与することができる。
また、第2の層12は、図2に示すように、隣接する第1の層11同士の間に介在し、これにより、前記第1の層11を適切な厚さに設定することで、第1の層11中において、結晶性樹脂Aの結晶成分の分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜方向に配向した状態または水平方向に配向した状態で、結晶性樹脂Aを結晶化させる機能を発揮する。さらに、第2の層12は、平板状をなす多層フィルムに、かかる多層フィルムから突出するように成形された収納部20を形成して成形フィルム1とする際に、多層フィルムに優れた成形加工性を付与する機能を有するものである。
したがって、前述した第1の層11同士の間に、この第2の層12が介在することで、第1の層11が優れたガスバリア性を発揮するとともに、多層フィルムに錠剤40を収納する収納部20を2次成形して成形フィルム1を形成したとしても、前記ガスバリア性を維持し得るものとなる。すなわち、多層フィルムを、延伸工程を伴うことなく、ガスバリア性と成形加工性とを両立したものとすることができ、その結果、成形フィルム1は、収納部20を成形する成形加工を施した後にも、優れたガスバリア性を発揮するものとなる。
この第2の層12に含まれる熱可塑性樹脂Bとしては、結晶性樹脂Aとは異なる熱可塑性樹脂であれば、特に限定されないが、例えば、上述した第1の層11に含まれる結晶性樹脂Aとして挙げたものの他、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、アクリル樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合せて用いることができる。
また、第2の層12は、上記の通り、多層フィルムに優れた成形加工性を付与する機能を有するが、かかる機能をより顕著に発揮させるためには、熱可塑性樹脂Bとしては、上述したものの中でも、ポリプロピレン、エチレン−環状オレフィンのいずれか1つ以上を含むことが好ましい。
さらに、第2の層12において、熱可塑性樹脂Bは、第1の層11における結晶性樹脂Aと同様に、結晶性を示すことが好ましく、熱可塑性樹脂Bの結晶成分の分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜方向に配向した状態、または水平方向に配向した状態で存在していることがより好ましい。このように、第2の層12における熱可塑性樹脂Bの結晶生長が制御されることで、第2の層12におけるガスバリア性を向上させることができる。
また、熱可塑性樹脂Bの結晶の分子鎖軸は、フィルム平面に対して傾斜、または水平方向に配向していればよいが、水平方向に配向していることが好ましい。これにより、水蒸気が透過するのに通過する経路がさらに長くなるため、成形フィルム1は、より優れたガスバリア性を発揮することとなる。
さらに、前記結晶の分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜している場合には、分子鎖軸とフィルム平面の成す最少角度が10°以上、80°以下であることが好ましい。分子鎖軸とフィルム平面の成す最少角度が前記範囲内にあることで、分子鎖がフィルム平面に垂直である場合と同様に結晶ラメラ中の結晶面を、フィルム平面に対して広範囲に分布することができる。このように、結晶面を、広範囲に分布させることができると言う観点から、成形フィルム1のガスバリア性を向上させることができる。
また、第2の層12中において、傾斜方向および平行方向に熱可塑性樹脂Bが配向した異方性結晶の配向度は、0.80以上1.00未満であることが好ましく、0.90以上1.00未満であることがより好ましい。前記配向度が前記範囲内となることで、成形フィルム1は、より優れたガスバリア性を発揮する。なお、この配向度は、第2の層12中に含まれる熱可塑性樹脂Bのうち、結晶の分子鎖軸が、成形フィルム1の平面に対して傾斜方向または水平方向に配向したものについて、X線回折像を一次元化して得られる回折ピークの半値幅(H)を用いてΠ=(180- H)/180の式で求めた値を言う。
上記のように第2の層12におけるガスバリアを向上させるには、すなわち、第2の層12における結晶生長を制御するには、第2の層12は、その平均層厚みが10nm以上、1000nm以下であることが好ましく、10nm以上、500nm以下であることがより好ましく、10nm以上、100nm以下であることがさらに好ましい。第2の層12の平均層厚みが前記上限値よりも厚い場合には、熱可塑性樹脂Bの種類によっては、第2の層12中に占める高分子結晶の構造制御が達成された部位の割合が低下し、これに起因して、ガスバリア性向上の効果が十分に得られないおそれがある。また、第2の層12の平均層厚みが前記下限値より薄い場合にも、同様であり、さらに、成形フィルム(多層フィルム)1の成形性が低下するおそれがある。なお、この場合、熱可塑性樹脂Bとしては、ポリプロピレン、エチレン−環状オレフィンのいずれか1つ以上を含むことが好ましい。これにより、第2の層12における結晶生長をより確実に制御させることができる。
なお、第2の層12の平均層厚みとは、第1の層11と同様に、成形フィルム1が備える全ての第2の層12の厚さの和を、成形フィルム1が備える第1の層の総数で除したものをいう。
また、第2の層12の平均層厚みの標準偏差は、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。
前記標準偏差を上記のような値に設定されることで、成形フィルム1が備える各第2の層12が均一な厚さを有するものであると言える。そのため、成形フィルム1が備える各第2の層12において、傾斜方向に配向した異方性結晶、あるいは水平方向に配向した異方性結晶が、確実に形成されることから、各第2の層12がそれぞれ優れたガスバリア性を発揮し、かかる第2の層12の集合体である成形フィルム1は、より優れたガスバリア性を発揮することとなる。
さらに、熱可塑性樹脂Bの重量平均分子量は、10,000以上、400,000以下であることが好ましく、150,000以上、370,000以下であることがより好ましく、200,000以上、350,000以下であることがさらに好ましい。前記熱可塑性樹脂Bの重量平均分子量が前記範囲内にあることにより、成形フィルム(多層フィルム)1のフィルム物性や成形性を阻害することなく、第2の層12における熱可塑性樹脂Bの配向結晶化を達成することが出来る。
なお、前記結晶性樹脂Aの重量平均分子量が前記好ましい範囲であるときに、前記熱可塑性樹脂Bの分子量が前記好ましい範囲を満足していることが好ましい。これにより、前記効果をより顕著に発揮することができる。
なお、上記のような第1の層11および第2の層12では、それぞれ、結晶性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bの結晶の分子鎖軸が、いずれもフィルム平面に対して傾斜、あるいは水平方向に配向した異方性結晶を有するものであることがより好ましく、水平方向に配向した異方性結晶を有するものであることがより一層好ましい。これにより、結晶ラメラ中の結晶面が成形フィルム1の平面上に広範囲に分布することから、さらに、より一層ガスバリア性の高い成形フィルム1とすることができる。
また、第1の層11および第2の層12にそれぞれ含まれる結晶性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bは、それぞれ、1種の単量体(モノマー)が重合したホモ(ポリマー)樹脂であってもよく、2種以上の単量体が重合した共重合樹脂(コポリマー)、または、2種類以上の前記ホモ樹脂および/もしくは共重合樹脂を含むブレンド体であってもよい。 また、第1の層11および第2の層12中には、それぞれ、結晶性樹脂A、熱可塑性樹脂Bの他に、各種添加剤が添加されていても良く、具体的には、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無期粒子、有機粒子、減粘剤、増粘剤、熱安定化剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
なお、前述の通り、本発明では、第1の層11に含まれる結晶性樹脂Aと、第2の層12に含まれる熱可塑性樹脂Bとは、異なるものである。ここで、本明細書中において、「結晶性樹脂Aとは異なる熱可塑性樹脂B」とは、結晶性樹脂Aと化学構造が異なるということであり、結晶性樹脂Aの化学構造が単量体の繰り返し構造を有する際には、まず、この単量体の繰り返し構造が熱可塑性樹脂Bが有する単量体の繰り返し構造が異なる場合のことを言い、また、結晶性樹脂Aの繰り返し構造が熱可塑性樹脂Bとは異なるものでなかったとしても、樹脂全体に対する繰り返し構造の重量比率、または、繰り返し構造以外に含まれる他の化学構造が熱可塑性樹脂Bと異なる場合には、熱可塑性樹脂Bは「結晶性樹脂Aとは異なる」ものであると言う。さらに、結晶性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bが2種類以上の樹脂(前記ホモ樹脂および/もしくは共重合樹脂)のブレンド体である際には、結晶性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bにそれぞれ含まれる樹脂の種類が異なるものでなかったとしても、結晶性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bにそれぞれ含まれる樹脂の配合比率が異なるものである場合には、熱可塑性樹脂Bは「結晶性樹脂Aとは異なる」ものであると言う。
また、結晶性樹脂Aと、結晶性樹脂Aとは異なる熱可塑性樹脂Bとの組み合わせとしては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン樹脂と、ポリプロピレンおよびエチレン−環状オレフィンのうちのいずれか1つ以上との組み合わせであることが好ましく、ポリエチレン樹脂と、ポリプロピレンおよびエチレン−環状オレフィンのうちのいずれか1つ以上との組み合わせであることがより好ましく、高密度ポリエチレンと、ポリプロピレンおよびエチレン−環状オレフィンのうちのいずれか1つ以上との組み合わせであることがさらに好ましい。このような組み合わせとすることで、前述したような効果がより顕著に発揮されるため、より一層厳密な結晶生長制御および配向制御が可能となり、成形フィルム1をより優れたガスバリア性を有するものとすることができるとともに、成形フィルム1をより優れた成形性を有するものとすることができる。特に、高密度ポリエチレンと、ポリプロピレンとの組み合わせでは、第1の層11と第2の層12との界面において、これらが互いに接触し、これが起点として、第1の層11および第2の層12における結晶形成を促進させることができる。また、このように、双方の結晶が第1の層11と第2の層12との界面において形成されるため、得られる成形フィルム1は、前記界面で優れた密着性を発揮するものとなる。
さらに、成形フィルム(多層フィルム)1全体に対する、第1の層11の重量比率は、特に限定されないが、10wt%以上、90wt%以下であることが好ましく、20wt%以上、80wt%以下であることがより好ましい。換言すれば、成形フィルム1の厚さをA[nm]とし、成形フィルム1が備える全ての第1の層11の厚さの和をB[nm]としたとき、B/Aが、0.1以上、0.9以下であることが好ましく、0.2以上、0.8以下であることがより好ましい。成形フィルム1全体に対する、第1の層11の重量比率が前記範囲内に設定することにより、第1の層11中において、確実に結晶生長制御および配向制御がなされることとなる。なお、成形フィルム1全体に対する、第1の層11の重量比率が前記下限値未満の場合、結晶性樹脂Aの種類によっては、結晶の配向制御が十分ではなく、ガスバリア性向上の効果が低減するおそれがある。また、成形フィルム1全体に対する、第1の層11の重量比率が前記上限値より大きい場合でも同様である。
また、成形フィルム1は、第1の層11と第2の層12とが積層された積層体で構成される繰り返し部15を、複数積層してなるものであるが、この繰り返し部15の数は、特に限定されないが、10以上、10000以下であることが好ましく、100以上、5000以下であることがより好ましい。成形フィルム1が有する繰り返し部15の数が前記範囲内である場合、さらに、第1の層11の平均層厚みを前記範囲内とすることにより、結晶性樹脂Aの結晶成分の生長をより精密に制御できるため、より確実にガスバリア性の高いフィルムを得ることができる。
特に、100nm以下の第1の層11が100層以上、成形フィルム1に形成されている場合には、成形フィルム1のガスバリア性をさらに向上させることができ、さらに、100nm以下の第1の層11が1000層以上、成形フィルム1に形成されている場合には、成形フィルム1のガスバリア性を特に向上させることができる。なお、上限値は特に設定されないが、10000層以下であることが好ましい。
さらに、成形フィルム1の全体の厚さ(総厚さ)は、特に限定されないが、例えば、1μm以上、1000μm以下であることが好ましく、50μm以上、500μm以下であることがより好ましく、100μm以上、250μm以下であることがさらに好ましい。成形フィルム1全体の厚さが、前記下限値未満では、結晶性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bの種類によっては、皺が入りやすいなど取り扱い性が悪くなるおそれがある。また、成形フィルム1全体の厚さが前記上限値より厚い場合には、結晶性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bの種類によっては、成膜が困難であったり、層の数が多くなりすぎるため生産効率が悪くなったり、厚みが大きすぎるため加工時等に取り扱い性が悪くなるおそれがある。
本発明では、成形フィルム1を、上記のような第1の層11と第2の層12とを積層した積層体で構成される繰り返し部15を、複数積層してなる構成のものとすることにより、前述の通り、成形フィルム1は、収納部20を成形した後にも優れたガスバリア性を発揮する。この成形フィルム1のガスバリア性を、具体的には、成形フィルム1を水蒸気が透過する水蒸気透過度で規定することができ、内壁面が内径φ10.0mm×高さ4.5mmの大きさの収納部20を形成したとき、かかる収納部20を備える成形フィルム1は、そのガスバリア性(水蒸気バリア性)が10.0 mg/10pockets-day・40℃・90%RH以下を示すものとなる。すなわち、収納部20が形成された成形フィルム1を得るために用いられる多層フィルムは、ガスバリア性と成形加工性との双方の特性を併せ持つものと言うことができる。
また、内壁面が内径φ10.0mm×高さ4.5mmの大きさの収納部20を備える成形フィルム1のガスバリア性は、10.0 mg/10pockets-day40℃・90%RH以下であればよいが、5.0 mg/10pockets-day・40℃・90%RH以下であることが好ましく、2.0 mg/10pockets-day40℃・90%RH以下であることがより好ましい。
なお、この水蒸気透過度は、JIS K7126(B法、等圧法)に記載の方法により測定される。
また、この成形フィルム1は、収納部20を形成する前のガスバリア性、すなわち多層フィルムのガスバリア性が、1.5g/m・24hrs・100μm厚・40℃・90%RH以下であることが好ましく、0.5g/m・24hrs・100μm厚・40℃・90%RH以下であることがより好ましい。収納部20を形成する前のガスバリア性が前記範囲内の多層フィルムを用いることで、収納部20を形成したとしても、成形フィルム1を優れたガスバリア性を発揮するものとすることができる。
なお、成形フィルム(多層フィルム)1では、第1の層11において結晶性樹脂Aが結晶化し、第2の層12において熱可塑性樹脂Bが結晶化することが好ましいが、これら結晶性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bの結晶成分の配向状態は、X線回折により、以下のようにして、評価することができる。
すなわち、成形フィルム1における、結晶性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bの少なくともいずれかの結晶成分に由来するX線回折像が、円周方向(Φ)に強度分布のある点状、円弧上のいずれか1種類以上の形状に出現することにより、結晶の分子鎖軸が、フィルム平面に対して傾斜方向に配向した異方性結晶、あるいは水平方向に配向した異方性結晶が形成されており、結晶成分が高い配向性を示していると言える。したがって、主に、円周方向(Φ)に強度分布のある円状にX線回折像が出現する、球晶を多く有する従来の高分子材料よりも優れたガスバリア性を成形フィルム1が発揮する。
なお、結晶性樹脂Aの結晶成分に由来するX線回折像が、いずれも円周方向(Φ)に強度分布のある点状、円弧上のいずれか1種類以上の形状に出現するとともに、さらに熱可塑性樹脂Bの結晶成分に由来するX線回折像が、いずれも円周方向(Φ)に強度分布のある点状、円弧上のいずれか1種類以上の形状に出現することがより好ましい。これにより、球晶を多く有する従来の高分子材料よりもより一層優れたガスバリア性を成形フィルム1が発揮する。
なお、本実施形態では、繰り返し部15を、第1の層11と、第2の層12とを交互に繰り返し積層してなるもの、すなわち、第1の層11と、この第1の層11の一方の面側に位置する第2の層12とを有する積層体が繰り返し積層してなるものとして説明したが、繰り返し部15は、本発明の効果を阻害しない範囲で、結晶性樹脂Aを有する第1の層11、熱可塑性樹脂Bを有する第2の層12以外の層として、例えば、熱可塑性樹脂Cを含有する第3の層を有しても良い。
例えば、結晶性樹脂Aを含有する第1の層11(A)、熱可塑性樹脂Bを含有する第2の層12(B)、熱可塑性樹脂Cを含有する第3の層(C)の3種類の層を有する場合、繰り返し部15は、(A)、(B)および(C)がそれぞれ少なくとも1つ含まれるものであればよいが、繰り返し部15が(BAC)および(ACAB)のような順で積層された積層体で構成され、成形フィルム1は、これらを繰り返し部15として含む、(BAC)nおよびB(ACAB)n等の様に規則的順列で積層されているものであることがより好ましい。ここで、nは繰り返しの単位数である。
以上のような成形フィルム1は、例えば、平板状をなす本発明の多層フィルムを用意した後、この多層フィルムに収納部20を2次形成することにより得ることができる。
なお、多層フィルムの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、数台の押出機により、原料となる樹脂等を溶融押出するフィードブロック法や、マルチマニホールド法などの共押出Tダイ法、空冷式または水冷式共押出インフレーション法が挙げられ、なかでも、共押出Tダイ法で製膜する方法が各層の厚さ制御に優れる点で特に好ましい。
また、上記のような製造方法で得られた多層フィルムを、製膜する方法としては、特に限定されないが、徐冷により結晶性樹脂Aの結晶化を促す方法とすることが好ましい。徐冷によって結晶性樹脂Aの結晶化速度を最適化することにより、第1の層11において結晶性樹脂Aの結晶配向が進行し、その結果、よりガスバリア性の優れた多層フィルムを作製することができる。
また、多層フィルムに収納部20を形成する方法、すなわち、多層フィルムを2次成形する方法としては、特に限定されないが、例えば、多層フィルムを真空成型または圧空成形、プラグ成形等する方法が挙げられる。
なお、本実施形態では、図2に示すように、錠剤40は、タブレット状をなし、さらに、この錠剤40を収納すべき収納部20は、錠剤40の形状に対応して、その全体形状が円錐台状、平面視形状が円形状をなしているが、収納すべき錠剤40のワークの形状に対応して、収納部20は、例えば、その平面視形状が、三角形、四角形、五角形、六角形のような多角形状や、長円形状等をなしていてもよい。
また、本実施形態では、成形フィルム1が収納部20を8つ備える場合としたが、収納部20の数は、これに限定されず、1つ以上であればよい。
以上、本発明の多層フィルム、成形フィルムおよび包装体について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の多層フィルムおよび成形フィルムには、同様の機能を発揮し得る、任意の層が追加されていてもよい。
さらに、本発明の包装体において、各構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成のものを付加することができる。
また、前記実施形態では、収納部を備える成形フィルムにカバーフィルムを重ね合わせることで包装体としたが、これに限定されず、包装体は、例えば、2つの多層フィルムを重ね合わせた状態で縁部を熱圧着することで袋体とし、この袋体の内部に、ワークとして食肉、加工肉および青果物等の食材、または、注射針、シリンジ、検査キットおよびカテーテル等の医療器具を収納する包装袋等であってもよい。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
1.多層フィルムおよび成形フィルムの製造
1−1.多層フィルムの製造
(実施例1)
結晶性樹脂Aとして高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)(プライムポリマー社製、「2100J」、密度:953kg/m、重量平均分子量:63000)を、熱可塑性樹脂Bとしてポリプロピレン樹脂(PP)(プライムポリマー社製、「J106G」、密度:910kg/m、重量平均分子量:214000)を、それぞれ、用意した。
上記高密度ポリエチレン樹脂およびポリプロピレン樹脂を、それぞれ押出機(株式会社サン・エヌ・ティー社製、「SNT40-28型番」)で、240℃の溶融状態とし、フィードブロックおよびダイを用いて共押出しして、フィルム形成した後、このものを145℃で熱処理(アニール処理)することで、33層の多層フィルムを作製した。ここで、積層厚み比がA:B=1:4になるように吐出量を調整した。
なお、多層フィルムの厚みは80μmであった。
(実施例2)
積層数を65層としたこと以外は、前記実施例1と同様の設備・条件で実施例2の多層フィルムを作製した。
なお、多層フィルムの厚みは100μmであった。
(実施例3)
積層数を129層としたこと以外は、前記実施例1と同様の設備・条件で実施例3の多層フィルムを作製した。
なお、多層フィルムの厚みは50μmであった。
(実施例4)
積層数を257層としたこと以外は、前記実施例1と同様の設備・条件で実施例4の多層フィルムを作製した。
なお、多層フィルムの厚みは100μmであった。
(実施例5)
積層数を257層としたこと以外は、前記実施例1と同様の設備・条件で実施例5の多層フィルムを作製した。
なお、多層フィルムの厚みは50μmであった。
(実施例6)
積層数を1025層としたこと以外は、前記実施例1と同様の設備・条件で実施例6の多層フィルムを作製した。
なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。
(実施例7)
積層数を4097層としたこと以外は、前記実施例1と同様の設備・条件で実施例7の多層フィルムを作製した。
なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。
(実施例8)
積層厚み比をA:B=3:7となるようにしたこと以外は、前記実施例7と同様の設備・条件で実施例8の多層フィルムを作製した。
なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。
(実施例9)
積層厚み比をA:B=1:1となるようにしたこと以外は、前記実施例7と同様の設備・条件で実施例9の多層フィルムを作製した。
なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。
(実施例10)
積層厚み比をA:B=1:1となるようにしたこと以外は、前記実施例6と同様の設備・条件で実施例10の多層フィルムを作製した。
なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。
(実施例11)
積層厚み比をA:B=7:3となるようにしたこと以外は、前記実施例7と同様の設備・条件で実施例11の多層フィルムを作製した。
なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。
(実施例12)
積層厚み比をA:B=4:1となるようにしたこと以外は、前記実施例7と同様の設備・条件で実施例12の多層フィルムを作製した。
なお、多層フィルムの厚みは300μmであった。
(実施例13)
結晶性樹脂Aとして高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)(旭化成ケミカルズ社製、「T4750」、密度:950kg/m、重量平均分子量:53000)を用いた以外は、前記実施例4と同様の設備・条件で実施例13の多層フィルムを作製した。
なお、多層フィルムの厚みは100μmであった。
(実施例14)
結晶性樹脂Aとしてポリカプロラクトン樹脂(PCL)(Perstorp社製、「Capa6500 」、密度:1020kg/m、重量平均分子量:84500)を、熱可塑性樹脂Bとしてポリスチレン樹脂(PS)(dic社製、「CR3500」、密度:1060kg/m、重量平均分子量:210000)を用いた以外は、前記実施例4と同様の設備・条件で実施例14の多層フィルムを作製した。
なお、多層フィルムの厚みは100μmであった。
(実施例15)
結晶性樹脂Aとしてポリカプロラクトン樹脂(PCL)(Perstorp社製、「Capa6800 」、密度:1020kg/m、重量平均分子量:120000)を、熱可塑性樹脂Bとしてポリスチレン樹脂(PS)dic社製、「CR4500」、密度:1060kg/m、重量平均分子量:330000)を用いた以外は、前記実施例4と同様の設備・条件で実施例15の多層フィルムを作製した。
なお、多層フィルムの厚みは100μmであった。
(実施例16)
熱可塑性樹脂Bとしてノルボルネン・エチレン共重合樹脂(NB・E 重量比4:1)(ポリプラスチック社製、「TOPAS6013」、密度:1020kg/m、重量平均分子量:83300)を用いた以外は、前記実施例4と同様の設備・条件で実施例16の多層フィルムを作製した。
なお、多層フィルムの厚みは100μmであった。
(比較例1)
実施例14で結晶性樹脂Aとして用いたポリカプロラクトンを用いて実施例1と同様の条件で単層フィルムを作製した。
1−2.成形フィルムの製造
各実施例および比較例の多層フィルムについて、それぞれ、ブリスタ包装機(CKD社製、「FBP-300E」)を用いて、長手方向に沿って5つ、短手方向に沿って2つずつ並ぶように計10つの収納部(φ10.0mm×4.5mm)が形成された各実施例および比較例の成形フィルムを製造した。
2.評価
2−1.多層フィルムの評価
各実施例および比較例で作製した多層フィルムについて、積層数、異方性結晶の有無、X線散乱測定による結晶構造、水蒸気バリア性、配向度の評価を行った。以下に、これらの評価方法について説明する。
<積層数、異方性結晶の有無>
各実施例および比較例で作製した多層フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、電子顕微鏡観察により求めた。すなわち、日本電子(株)製のJSM−7500FAを用いて、フィルム断面を1000〜100000倍に拡大観察し、断面写真を撮影、層構成(第1の層、第2の層における傾斜方向におよび水平方向に配向した異方性結晶の有無)および層数を測定した。
なお、図3に、実施例6の多層フィルムにおけるTEM断面写真を示す。
<X線散乱測定による結晶構造>
各実施例および比較例で作製した多層フィルムを、(株)リガク製のX線回折装置NANO Viewerを用いて評価した。
なお、図4(a)、(b)、図5(a)、(b)に、それぞれ、実施例1、2、4、5の多層フィルムにおけるポリエチレン樹脂の結晶面(200)に由来するX線回折像を示す。
<水蒸気バリア性>
各実施例および比較例で作製した多層フィルムの水蒸気バリア性は、MOCON製のPERMATRAN−W(登録商標)3/33を用いて、JIS K7126(B法、等圧法)に記載の方法に準拠して評価した。
<配向度>
各実施例および比較例で作製した多層フィルムの第1の層および第2の層における配向度を、X線回折像を一次元化して得られる回折ピークの半値幅(H)を用いてΠ=(180- H)/180の式で求めた。することにより求めた。
2−2.成形フィルムの評価
各実施例および比較例で作製した成形フィルムについて、水蒸気バリア性の評価を行った。以下に、この評価方法について説明する。
<水蒸気バリア性>
各実施例および比較例で作製した成形フィルムの水蒸気バリア性は、各実施例および比較例の成形フィルムが有する10つの収納部にそれぞれゼオライト(φ7.0mm×7.0mm)を充填した状態で、アルミ性のカバーフィルムを用いて収納部の開口を密封し、この状態で40℃・90%RHの雰囲気下に24時間放置した後のゼオライトの重量変化を測定した。そして、この測定結果に基づいて収納部を透過した水蒸気量を求めることで評価した。
以上の各実施例、比較例の評価結果を表1に示す。
Figure 0006369063
表1から明らかなように、各実施例の多層フィルムでは、収納部を形成した成形フィルムにおいて、10.0mg/10pockets-day・40℃・90%RH以下の水蒸気バリア性を有していた。
なお、実施例1、2の多層フィルムでは、図4に示すように、ポリエチレン樹脂の結晶面(200)に由来するX線回折像がともに円弧の配向を示しており、実施例4、5の多層フィルムでは、図5に示すように、ポリエチレン樹脂の結晶面(200)に由来するX線回折像がともに点状の配向を示していた。
また、実施例6の多層フィルムでは、図3に示すように、第1の層と第2の層との双方において、結晶の分子鎖軸が、多層フィルム平面に対して傾斜方向に配向した異方性結晶が認められた。
これに対して、比較例の多層フィルムでは、収納部を形成した成形フィルムにおいて、10.0mg/10pockets-day・40℃・90%RH以上の水蒸気バリア性を示し、比較例の成形フィルムは、各実施例の成形フィルムと比較して、水蒸気バリア性に劣る結果となった。
1 成形フィルム
11 第1の層
12 第2の層
15 繰り返し部
20 収納部
30 カバーフィルム
40 錠剤
100 包装体

Claims (8)

  1. 熱可塑性を有する結晶性樹脂Aを含有する第1の層と、前記結晶性樹脂Aとは異なる熱可塑性樹脂Bを含有する第2の層とを交互に繰り返し積層してなる繰り返し部を含む未延伸の多層フィルムであって、
    当該多層フィルムの厚さ方向に突出して形成された収納部にワークを収納するために用いられ、
    前記繰り返し部の数は、1025以上5000以下であり、
    前記第1の層は、その平均層厚みが29nm以上500nm以下であり、
    内壁面が内径φ10.0mm×高さ4.5mmの大きさの前記収納部を形成したとき、当該多層フィルムのガスバリア性は、2.0 mg/10pockets-day・40℃・90%RH以下であることを特徴とする多層フィルム。
  2. 前記第1の層中において、前記結晶性樹脂Aは、結晶の分子鎖軸が、前記多層フィルム平面に対して傾斜方向に配向した異方性結晶、および水平方向に配向した異方性結晶のうちの少なくとも1種を形成している請求項1に記載の多層フィルム。
  3. 前記結晶性樹脂Aは、その重量平均分子量が40,000以上、200,000以下である請求項1または2に記載の多層フィルム。
  4. 前記第2の層中において、前記熱可塑性樹脂Bは、結晶性を有する請求項1ないしのいずれか1項に記載の多層フィルム。
  5. 前記第2の層は、その平均層厚みが10nm以上、1000nm以下である請求項に記載の多層フィルム。
  6. 前記熱可塑性樹脂Bは、その重量平均分子量が100,000以上、400,000以下である請求項またはに記載の多層フィルム。
  7. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の多層フィルムを2次成形することにより形成された前記収納部を備えることを特徴とする成形フィルム。
  8. 請求項に記載の成形フィルムを備えることを特徴とする包装体。
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