JP2019160800A - 加熱電極装置、通電加熱ガラス - Google Patents
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Description
このような通電加熱ガラス10は例えば自動車のフロントガラスとして自動車に備えられる。その他、いわゆるガラス窓を有する所に窓として用いることができ、これには例えば上記自動車をはじめ、鉄道車両、航空機、及び船舶等の乗り物の窓、建物の窓、並びに、冷蔵庫、展示箱、戸棚等の収納乃至保管設備の窓を挙げることができる。なお、ここで言う「窓」とは、狭義の窓、即ち、乗り物、建物、或いは収納乃至保管設備の壁面にあり、通常人乃至物が出入りせず外界の視認、換気等を主目的とする透視性開口部の他に、人乃至物の出入りを主目的とする、いわゆる、扉も包含する。
第一パネル11及び第二パネル15は板ガラスにより構成することができる。これには、当該通電加熱ガラス10が適用される設備(例えば乗り物や建物)が通常に有する窓に用いられる板ガラスと同じものを用いることができる。例えばソーダライム硝子(青板硝子)、硼珪酸硝子(白板硝子)、石英硝子、ソーダ硝子、カリ硝子等から成る普通板ガラス、フロート板ガラス、強化板ガラス、部分板ガラス等が挙げられる。また、必要に応じて3次元的に曲面状に湾曲部を有するものであってもよい。
ただし必ずしもガラス板である必要はなく、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の樹脂から成る樹脂板であってもよい。ただし、耐候性、耐熱性、透明性等の観点から板ガラスであることが好ましい。
これら第一パネル11及び第二パネル15の厚さは特に限定されることはないが、1.5mm以上5mm以下であることが一般的である。
接着層12の厚さは特に限定されることはないが、0.1mm以上1.0mm以下であることが一般的である。
このような第一バスバー電極21a及び第二バスバー電極21bは公知の形態を適用することができ、帯状である当該電極の幅は3mm以上15mm以下が一般的である。
ここで、発熱部22は複数の発熱帯23が間隙25を有して配列されている。従って、発熱帯23と間隙25とが交互に並ぶ形態である。図3には図1にIIIで示した部分で、2つの発熱帯23と、その間に形成された間隙25を表した。
また、網目を構成する発熱導体自体は図3の如く直線状であっても良く、波状に形成されていてもよい。尚、網目形状は、複数の単位格子を互いに隣接させて平面内を隙間無く敷き詰めて構成される。各単位格子は導体線条からなる線分により囲繞、区画された多角形等の閉領域からなり、該単位格子の外周部は導体線条からなり、外周部の導体線条の内部は導体の存在し無い開口部をなす。単位格子の形状は、3角形、4角形、5角形、6角形、7角形、8角形等多角形、或いはこれら多角形の辺(外周部をなす導体線条)が直線では無く曲線とした形状でもよい。該曲線としては、円又は楕円の弧、抛物線、双曲線、正弦曲線、双曲線正弦曲線、楕円関数曲線、Bessel関数曲線、サイクロイド曲線等が用いられる。網目(メッシュ)形状を構成する単位格子は全て同一(合同)な形状から構成されていても良いし、一分又は全部の単位格子が互いに他と異なり、平面内の何れの方向にも一定の周期を持たない非周期格子から構成されていてもよい。かかる非周期格子の網目パターンとしては、例えば、特開2013−238029号公報に開示の如き、隣接母点間距離がある上限値及び下限値内に分布するランダム2次元分布した母点から生成されるボロノイ図形が好適に用いることができる。
従って、図3にBで示した間隙25の幅(発熱帯23と間隙25が交互に配列する方向における間隙25の大きさ)は、通電加熱ガラス10を透過させるべき電波の波長に基づいて決めることができる。例えば間隙25の幅Bの下限値は、透過させたい電波の波長の波長帯域の最小波長が該間隙により構成される開口部の遮断波長以下となるように決定する。又、間隙25の幅Bの上限は、通電加熱ガラス10の凍結や曇りの解消効果を、全面に亘って、目視上支障の無い程度に、均一化させるに足るように決定する。
ここで、図1において、発熱帯23の間隙25の幅をB、発熱帯23の長手方向(延在方向、図1に於いては上下方向)の長さをLとすると、発熱部22における各間隙部25は縦横各辺の長さが各々B、Lである長方形の開口部をなす。かかる開口部は、電磁波の透過に関しては、伝播方向の長さが極端に短い(本発明の発熱部22の厚みがこれに相当する)矩形(断面)導波管と見なし得る。従って、当該間隙25を電波が透過するか或いは遮断するかは、即ち、断面の各辺の長さがB及びLの矩形導波管中を電波が伝播するか或いは遮断されるかと等価な問題となる。
導波管の分野においては、既に矩形導波管中の電波伝搬特性は解明されており、断面各辺の長さがB及びL(B<L)の矩形導波管においては、固有の遮断波長λc以下の波長の電波;
λ≦λc
のみ伝播することが知られている。即ち、導体(発熱帯23)の矩形開口部を透過可能な電波はλc以下の波長のもののみとなる。ここで、
λc=2/{(n/B)2+(m/L)2}1/2 ・・・(式1)
である。又、m、nは伝播する電波のモード数、B、Lは各々矩形開口部(矩形断面)の辺長さであり、B<Lである。
今、図1及び図3において、隣接する2つの発熱帯23の間の間隙25を矩形導波管の開口部とする。開口部の幅が相対的に小さくて、より遮断波長が小さくなる幅B方向(図1においてはX方向)について、遮断波長λcを求める。モード数をm=0、n=1として、式1により遮断波長λcの最大値を求める(モード数n≧2以上のモードを想定するとよりλcは小となる為)。式2より、
λc=2B ・・・(式2)
となる。
よって、通電加熱ガラス10を透過して送受信を想定する電波の周波数帯域乃至はスペクトルの最長波長をλmaxである場合には、
λmax≦λc=2B (式3)
即ち、これをBについて解くと、
B≧λmax/2 (式4−1)
とする。但し、間隙25の幅Bに余裕を持たせて大きく設定し過ぎると、通電加熱ガラス10全面の均一加熱が困難となってゆく。その為、通常、
(λmax/2)×1.05≦B≦(λmax/2)×2.00 (式4−2)
とする。
通常想定される電波の波長帯域の透過性及び全面の均一加熱適性を勘案すると、発熱帯間の間隙25の幅Bは、0.5mm以上50mm以下、好ましくは1.2mm以上8.0mm以下とする。
尚、通電加熱ガラス10を透して送信又は受信される電波の種類は特に限定されることなく、各種波長帯域の電波に各種変調方式により所望の情報を載せたものが用いられる。ここで、波長帯域としては、長波、中波、短波、超短波、極超短波等が用いられる。変調方式としては、振幅変調、周波数変調等のアナログ変調、周波数偏移変調、位相偏移変調等のデジタル変調、パルス符号変調、パルス幅変調等のパルス変調等の変調方式が用いられる。情報としては、各種の音声信号、映像信号、デジタル信号等が用いられる。具体的には、AM(振幅変調波)又は/FM(周波数変調波)ラジオ放送波の電波、テレビジョンのUHF放送波、VHF放送波の電波、デジタル放送波の電波、自動車電話、携帯電話、ETC(電子料金収受システム(Electronic Toll Collection System)の略称)、パーソナル無線、業務用無線等で用いる電波、及びGPS(全地球測位システム(Global Positioning System)の略称)で用いるGPS衛星の測位用電波などの各種電波を挙げることができる。
これにより電波が透過できる間隙25が通電加熱ガラス10の全体に亘って複数形成されるので、電波の透過にムラが発生し難い。そしてこのように複数の間隙を形成することで、1つ1つの間隙25の幅は小さく抑えることができるので、隣接する発熱帯23により間隙25の部位も十分に加熱され、加熱ムラも抑えることが可能となる。
このような電源接続電極26は公知の構成を適用すればよい。
(1)先ず、金属箔を樹脂フィルムからなる基材層13上に接着剤層を介して貼り合せ積層した積層体を製造する。
(2)次いで、該積層体の金属箔上に感光性レジスト層を塗工形成する。
(3)次いで、所望のパターン、例えば、図1及び図3に図示の如き網目状の直線線条の外輪郭線形状が長方形の帯状をなし、該長方形が平行配列したパターンの発熱部22、バスバー電極21a及びバスバー電極21bからなる加熱電極装置20の平面視パターンの遮光パターンを有するフォトマスクを用意する。
(4)次いで、該フォトマスクを該感光性レジスト層上に密着させて載置する。そして、該フォトマスクを通して紫外線露光し、フォトマスクを除去後、公知の現像処理により未露光の感光性レジスト層を溶解除去して、所望パターンに合致する形状のレジストパターン層を該金属箔上に形成する。
(5)次いで、該レジストパターン層上から該積層体を腐蝕液によるエッチング(腐蝕)加工を行い、該レジストパターン層非形成部の金属箔を腐蝕除去する。そして、該レジストパターン層を溶解除去(脱膜)する。斯くして、基材層13上に図1の平面視形状及び図2の断面形状の所定パターンの発熱部22、バスバー電極21a及びバスバー電極21bが形成された積層部材を製造する。
(6)次いで、第一パネル11、接着層12、基材層と加熱電極装置20とからなる積層部材、接着層14、及び第二パネル15をこの順に重ねたものを、真空パックに投入し140℃で60分間加熱しながら真空該真空パック内を吸引し、真空成型する。その後、オートクレーブにて140℃の温度、1.5MPaの圧力にて60分間加熱及び加圧した。
これにより、該複数層を接着積層して一体化する。
(7)以上の工程により、図1の平面図及び図2の断面図に示す、本発明の通電加熱ガラス10を製造する。
通電加熱ガラス10が自動車のフロントパネルの位置に配置される。この際には電源接続端子26に電源30が接続され、開閉器50を閉じることによりバスバー電極21を介して発熱部22の発熱帯23に電流を通電し、ジュール熱により発熱させることができる。電源30としては、水滴(曇り)、凍結(霜)等を溶解或いは蒸発させるに必要な電力を供給可能なものであれば特に限定されず、適宜の電圧、電流、或いは周波数を有する公知の直流又は交流電源を用いればよい。本発明の通電加熱ガラス10を自動車の窓として用いる場合は、自動車に既設の鉛蓄電池、リチウムイオン蓄電池等のバッテリーを用いることが可能である。勿論、別途専用の電源(電池、発電機等)を用いても良い。又、電動機を動力とする鉄道車両の場合は架線から給電された直流又は交流電力を適宜の電圧及び電流に変換して用いることもできる。又、建物の窓の場合は建物に供給されている商用交流電源を適宜の電圧及び電流に変換して用いることもできる。当該発熱帯23の発熱により第一パネル11、第二パネル12が加熱されるのでフロントパネルとして機能する通電加熱ガラス10の温度が上昇し、凍結及び曇りが解消される。このとき、間隙25の幅が小さく抑えられているので、間隙25の部分も十分に加熱され、加熱ムラが抑えられることから、凍結及び曇りの解消のムラも抑制できる。
このような通電加熱ガラス110でも、加熱電極装置20が含まれているので上記した通電加熱ガラス10と同様の効果を奏するものとなる。通電加熱ガラス110では通電加熱ガラス10より層の数を減らすことが可能である。
11 第一パネル
12 接着層
13 基材層
14 接着層
15 第二パネル
20 加熱電極装置
21 バスバー電極
22 発熱部
23 発熱帯
25 間隙
30 電源
Claims (1)
- 通電して加熱されるガラスに用いられる加熱電極装置であって、
間隔を有して配置され対となる複数のバスバー電極と、
前記複数のバスバー電極を渡して配置される発熱部と、を有し、
前記発熱部は、発熱導体が網目状に形成され且つ該発熱導体は其の網目の外輪郭線形状が長手方向に延在して帯状とされた複数の発熱帯を具備し、
複数の前記発熱帯は、該発熱帯の長手方向とは異なる方向に間隙を形成して配列されている、加熱電極装置。
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