JP2019157462A - ガス生産システム、及びガス生産方法 - Google Patents
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Abstract
Description
天然ガスハイドレートは、メタン分子を水分子が籠状に取り囲んだ結晶構造を有する包接化合物である。天然ガスハイドレートは、低温、高圧の環境下で、固体の状態で存在し、このような環境を満たす、深海の海底の表層や海底面下の地層中に安定して存在している。
減圧法では、具体的に、天然ガスを海底から海上に向けて運ぶ管(ライザー管)を用いて、管内の海水を排出することで液面を下げ、ライザー管内の海水の低い圧力を、天然ガスハイドレートを含んだ海底内の地層(ハイドレート層)に作用させ、分解させる。天然ガスハイドレートが分解して生成した天然ガスは、液体と混ざり合った混相流(気液混合物)としてライザー管内の海水に取り込まれる。混相流を取り込んだ海水は、ライザー管内で、天然ガスと海水とに分離され(気液分離され)、それぞれ海上に排出される。
地中内に埋設されるように構成された先端部を有する長尺状の管であって、前記先端部から上方に延びる前記管内の液体によって生じる圧力を用いて前記管の外部にあるガスハイドレートに作用する圧力を低減することにより、前記ガスハイドレートから分解して生成される気泡を含む気液混合物を前記管内の前記液体に取り込むように、前記先端部に設けられ前記管の外部に開口した孔を備えたライザー管と、
前記ライザー管内に設けられ、前記気液混合物を取り込んだ前記ライザー管内の前記液体から前記液体の液面で前記気泡を分離する気液分離装置と、
前記気泡から生成されたガスを、生産するガスとして、前記気液分離装置から取り出すガス生成管を備えるガス生成ラインと、
前記気液分離装置で前記ガスが分離された前記液体を前記ライザー管から排出するために前記液体を吸い上げるポンプと、
前記ポンプで吸い上げられた前記液体を前記ライザー管から取り出す液体排出管を備える液体排出ラインと、
前記ライザー管内の前記液体の液面位置情報を取得する液面位置取得装置と、
前記液体の液面の位置が、前記気液分離装置の空間内に位置するように、前記液面位置取得装置が取得した前記液面位置情報に基づいて前記ポンプの回転数を制御する液面制御を行う制御装置と、を備える。
地中内に埋設された先端部を有し、前記先端部から上方に延びるライザー管内の液体によって前記ライザー管内に生じる前記先端部における圧力を用いて前記ライザー管の外部にあるガスハイドレートに作用する圧力を低減させるステップと、
前記ガスハイドレートに作用する、低減された圧力によって前記ガスハイドレートから分解して生成される気泡を含む気液混合物を、前記ライザー管の外部に開口した孔から前記ライザー管内の前記液体に取り込むステップと、
気液分離装置で、前記気液混合物を取り込んだ前記液体から前記液体の液面で気液分離を行ってガスを取り出すステップと、
前記気液分離した前記液体を、前記ライザー管から排出するためにポンプにより吸い上げるステップと、
前記液体の液面の位置が、前記気液分離装置の空間内に位置するように、前記ポンプの回転数を制御する液面位置制御のステップと、
を備える。
前記液面位置制御のステップでは、前記ハイドレート分解制御のステップで制御した前記ポンプの回転数に対して制御が行われる、ことが好ましい。
また、本明細書でいうガス生産システムは、地中に埋設されているガスハイドレートを減圧して分解することによりガスを生成するものであり、海底表面にあるガスハイドレートからガスを生成するシステムと異なる。
一実施形態のガスの生産システム(以下、システムともいう)は、地中内のガスハイドレートを分解してガスを生産するシステムである。システムは、ライザー管と、気液分離装置と、ガス生成ラインと、ポンプと、液体排出ラインと、液面位置取得装置と、制御装置と、を主に備える。
気液分離装置は、ライザー管内に設けられ、気液混合物を取り込んだライザー管の内の液体から液体の液面で気泡を分離するように構成される。
ガス生成ラインは、気泡から生成されたガスを、生産するガスとして、ライザー管から取り出すガス生成管を備える。
ポンプは、気液分離装置でガスが分離された液体をライザー管から排出するために液体を吸い上げるように構成されている。
液体排出ラインは、ポンプで吸い上げられた液体をライザー管から取り出すように構成された液体排出管を備える。
液面位置取得装置は、ライザー管内の液体の液面位置情報を取得する装置である。
制御装置は、ライザー管内の液体の液面の位置が、気液分離装置の空間内に位置するように、液面位置取得装置が取得した液面位置情報に基づいてポンプの回転数を制御する液面制御を行うように構成される。
例えば、気液分離するための気液分離装置内の空間から液面が上昇して、気液分離装置内の空間から上方に延びるガス生成管内まで進入する場合もある。このような場合、ガス生成管から取り出されるガスに、液体が含まれる場合が多い。すなわち、気液分離装置が機能しない場合がある。気液分離装置における気液分離性能は、液体の液面の位置が、気液分離装置に設けられている広い空間内にある場合に効果的に機能する。このため、ライザー管内の液体の液面位置情報を取得する液面位置取得装置が設けられる。この液面位置情報は、上述したように、液体内に存在する気泡によって液面が上昇した(ガスホールドアップ)状態における液面の位置情報である。
図1は、一実施形態のシステム1を概略的に示す図である。図2は、ライザー管10の先端部10a付近の内部構成を説明する図である。以下、海底の地中内の天然ガスハイドレートを分解して天然ガスを生産するシステム1を例に説明する。
システム1は、ライザー管10と、気液分離装置20と、ポンプ23と、ガス生成ライン12と、液体排出ライン13と、制御装置40と、液面位置取得装置50と、を主に備える。
気液分離装置20と、ポンプ23と、ガス生成ライン12と、液体排出ライン13と、ヒータ26とが、管本体11内に設けられている。
孔18aに設けられたスクリーン19は、天然ガスハイドレートの分解によって生成した気泡及び水、さらには海水を取り込み、砂や泥を分離除去する部材である。スクリーン19は、気泡、水、海水を通過させるが、砂や泥を通過させない機能を有している。スクリーン19は、例えば、多数の孔を有するシート状又は板状の構造体であって、互いに孔の大きさや形態が異なる複数の構造体から構成される。複数の構造体の組み合わせの具体例として、ジョンソンスクリーン、メッシュ、及びグレーチングが挙げられる。ジョンソンスクリーンは、ジョンソンスクリーン社製の金網状の構造体として周知である。グレーチングは鋼材を格子状に組んだ部材である。ジョンソンスクリーン、メッシュ、グレーチングは、揚収管部分18の側からハイドレート5層の側に向かって、この順に、揚収管部分18に重ねて配置される。
坑底圧とは、ライザー管10の先端部10aから上方に延びるライザー管10内の液体によってライザー管10内の先端部10aにおいて生じる圧力と後述する気相空間Gの圧力の和であり、後述する液面Sの下方の液体によって、ライザー管10の下端が受ける水頭圧によって略定まる圧力である。ライザー管10の下端は、坑井7の穴底(坑底)と略同じ高さに位置している。先端部10aは、下端と略同じ位置にあり、この先端部10aに孔18aが設けられている。
ライザー管10内の液体には、天然ガスハイドレートから分解して生成された気液混合物が取り込まれるほか、孔18aを通して進入した水や海水が取り込まれる。気液混合物は気泡を含むので、ライザー管10内の液体には気泡が混在している。水や海水は、ハイドレート層5に含まれる水や海水、ハイドレート層5と接する他の地層に含まれる水や海水を起源としている。
すなわち、気液分離装置20は、液体の流路が上方に向いた上昇路と、液体から気泡の一部を排除するために、上昇路に接続され液体の流路を上方から下方に変更させる下降路と、を備える。このような気液分離の方式を、気体と液体にかかる重力(比重)を利用して分離するので、重力分離方式という。
気液分離装置20は、重力分離方式と遠心分離方式を併用するが、一実施形態によれば、重力分離方式のみで気液分離を行うことができる。また、一実施形態によれば、遠心分離方式のみで気液分離を行うこともできる。
ガス生成管12aは、液面Sに浮上した気泡から生成され、気相空間Gに流入したガスを、生産する天然ガスとしてライザー管10から取り出す。ガス生成管12aは、気相空間G内のガスを生産する天然ガスとして掘削船3に向けて運ぶ。ガス生成管12aは、管本体11内に、液面Sの上方に配置されており、ガス生成管12aの下端は、気相空間Gに接続されている。ガス流量計測装置12bは、ガス生成管12aの先端の掘削船3上の部分に設けられ、天然ガスの単位時間当たりの生成量を計測する。計測された天然ガスの生成量の情報は、後述する液面位置取得装置50に送信される。
また、ガス生成管12aの上方の先端は、例えば、掘削船3あるいは他の船舶に備え付けられた貯蔵タンク(図示せず)、あるいは陸地にある貯蔵システムに延びるパイプラインに接続されている。貯蔵タンクに貯蔵された天然ガスは、適宜、液化され、掘削船3あるいは他の船舶で海上を輸送される。
液体排出管13aは、図1に示す例において、気液分離装置20から空間15aまで延びる液体輸送管14と、管本体11から分岐して、空間15aから掘削船3まで延びる管16と、を有している。空間15aは、隔壁17a,17bで仕切られた空間である。
液体流量計測装置13bは、管16の上端の、掘削船3上の部分に設けられ、ポンプ23によって排出される液体の単位時間当たりの排出量を計測する。計測された液体の排出量の情報は、後述する液面位置取得装置50に送信される。
排出された液体は、例えば掘削船3から海上に廃棄される。
なお、別の一実施形態によれば、液面位置取得装置50は、ライザー管10内に設けられた液面検出センサからの計測信号を用いて液面Sの位置の情報を取得してもよい。液面検出センサは、例えば、レーザーや超音波を利用した公知のセンサを用いることができる。しかし、ライザー管10内の圧力は数10MPaの高圧状態になっているので、センサに耐圧機能を備えるための装置構成が煩雑になり易い。この点から、単位時間当たりのガス生成量の情報と、単位時間当たりの液体排出量の情報から計算されるガスホールドアップの情報を用いて、液面位置情報を取得することが好ましい。
さらに、制御装置40は、液体の液面Sの位置が、気液分離装置20の空間内に位置するように、液面位置取得装置50で取得したライザー管10内の液体の液面位置情報に基づいてポンプ23の回転数を制御(液面制御)するように構成されている。
制御装置40が行う上記2つの制御については後述する。制御装置40は、CPU、メモリ等を含むコンピュータで構成される。制御装置40は、図1に示す例において、掘削船3に設けられている。
制御装置40は、圧力計31で計測した、先端部10aにおける圧力の計測結果の情報に応じて、天然ガスハイドレートに作用する圧力を制御して天然ガスハイドレートの分解の速度を制御し、これにより、気液混合物の生成量を調整する。以降、この制御をハイドレート分解制御という。上述したように、通常、液面Sの位置が高くなると、先端部10aにおける圧力(坑底圧)は高くなり、先端部10aにおける圧力(坑底圧)が高くなると、天然ガスハイドレートに作用する圧力も高くなる。このため、先端部10aにおける圧力(坑底圧)を制御するために、ポンプ23の回転数を制御して液体の液面Sの位置を制御する。
制御装置40は、一定の時間間隔で、先端部10aにおける圧力の計測結果の情報が目標圧力の範囲にあるか否かを判定する。この判定において、先端部10aにおける圧力の計測結果の情報が目標圧力の範囲内にあれば、ポンプ23の回転数を維持する。一方、先端部10aにおける圧力の計測結果の情報が目標圧力の範囲内を超えて高くなっている場合、天然ガスハイドレートの分解の速度が所定の範囲にないので、先端部10aにおける圧力が低くなるようポンプ23の回転数を上げる制御を行う。これにより、天然ガスハイドレートの分解の速度を促進させることができる。
また、先端部10aにおける圧力の計測結果、すなわち、圧力計31の計測結果の情報が目標圧力の範囲内より低くなっている場合、天然ガスハイドレートの分解の速度が所定の範囲にないので、先端部10aにおける圧力が高くなるように、ポンプ23の回転数を下げる制御を行う。これにより、天然ガスハイドレートの分解の速度を抑制することができる。
以上が、制御装置40が行うハイドレート分解制御である。
地中内に埋設された先端部10aを有し、先端部10aから上方に延びるライザー管10内の液体によってライザー管10内に生じる先端部10aにおける圧力を用いてライザー管10の外部にある天然ガスハイドレートに作用する圧力を低減させる。
次に、天然ガスハイドレートに作用する、低減された圧力によって天然ガスハイドレートから分解して生成される気泡を含む気液混合物を、ライザー管10の外部に開口した孔10aからライザー管10内の液体に取り込む。
気液分離装置20で、気液混合物を取り込んだライザー管10内の液体から液体の液面で気液分離を行ってガスを取り出す。
気液分離した液体を、ライザー管10から排出するためにポンプ23により吸い上げる。
このとき、液体の液面Sの位置が、気液分離装置20の空間内に位置するように、ポンプ23の回転数を制御する。
2 海底面
3 掘削船
4 上層
5 ハイドレート層
7 坑井
10 ライザー管
10a 先端部
11 管本体
12 ガス生成ライン
13 液体排出ライン
13a 液体排出管
14 液体輸送管
15a 空間
16 管
17a,17b,17c 隔壁
18 揚収管部分
20 気液分離装置
21 囲み容器
21a 側壁
21b 底壁
22 遠心分離器
23 ポンプ
24 モータ
25 スクリュー
26 ヒータ
31 圧力計
40 制御装置
50 液面位置取得装置
Claims (8)
- 地中内のガスハイドレートを分解してガスを生産するガス生産システムであって、
地中内に埋設されるように構成された先端部を有する長尺状の管であって、前記先端部から上方に延びる前記管内の液体によって生じる圧力を用いて前記管の外部にあるガスハイドレートに作用する圧力を低減することにより、前記ガスハイドレートから分解して生成される気泡を含む気液混合物を前記管内の前記液体に取り込むように、前記先端部に設けられ前記管の外部に開口した孔を備えたライザー管と、
前記ライザー管内に設けられ、前記気液混合物を取り込んだ前記ライザー管内の前記液体から前記液体の液面で前記気泡を分離する気液分離装置と、
前記気泡から生成されたガスを、生産するガスとして、前記気液分離装置から取り出すガス生成管を備えるガス生成ラインと、
前記気液分離装置で前記ガスが分離された前記液体を前記ライザー管から排出するために前記液体を吸い上げるポンプと、
前記ポンプで吸い上げられた前記液体を前記ライザー管から取り出す液体排出管を備える液体排出ラインと、
前記ライザー管内の前記液体の液面位置情報を取得する液面位置取得装置と、
前記液体の液面の位置が、前記気液分離装置の空間内に位置するように、前記液面位置取得装置が取得した前記液面位置情報に基づいて前記ポンプの回転数を制御する液面制御を行う制御装置と、を備えることを特徴とするガス生産システム。 - 前記液面位置取得装置は、前記ガス生成管を介して生成される前記ガスの単位時間当たりのガス生成量の情報と、前記液体排出管から排出される前記液体の単位時間当たりの液体排出量の情報から計算されるガスホールドアップの情報を用いて、前記液面位置情報を算出する、請求項1に記載のガス生産システム。
- 前記液面位置取得装置は、前記先端部における前記液体の圧力が、前記ガスハイドレートが分解を開始する前記圧力の分解開始圧力となるような前記液体の液面位置を基準として、前記液面位置情報を算出する、請求項2に記載のガス生産システム。
- 前記制御装置は、前記ガスハイドレートの分解が制御できるように、前記ポンプの回転を前記先端部における前記圧力に応じて制御するハイドレート分解制御を行い、前記ハイドレート分解制御によって制御された前記ポンプの回転数を、さらに、前記液面制御によって制御する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガス生産システム。
- 地中内のガスハイドレートを分解してガスを生産するガス生産方法であって、
地中内に埋設された先端部を有し、前記先端部から上方に延びるライザー管内の液体によって前記ライザー管内に生じる前記先端部における圧力を用いて前記ライザー管の外部にあるガスハイドレートに作用する圧力を低減させるステップと、
前記ガスハイドレートに作用する、低減された圧力によって前記ガスハイドレートから分解して生成される気泡を含む気液混合物を、前記ライザー管の外部に開口した孔から前記ライザー管内の前記液体に取り込むステップと、
気液分離装置で、前記気液混合物を取り込んだ前記液体から前記液体の液面で気液分離を行ってガスを取り出すステップと、
前記気液分離した前記液体を、前記ライザー管から排出するためにポンプにより吸い上げるステップと、
前記液体の液面の位置が、前記気液分離装置の空間内に位置するように、前記ポンプの回転数を制御する液面位置制御のステップと、
を備えることを特徴とするガス生産方法。 - 前記液体の液面の位置の情報は、生成される前記ガスの単位時間当たりのガス生成量の情報と、排出される前記液体の単位時間当たりの液体排出量の情報から計算されるガスホールドアップの情報を用いて算出される、請求項5に記載のガス生産方法。
- 前記液面位置情報は、前記先端部における前記液体の圧力が、前記ガスハイドレートが分解を開始する前記圧力の分解開始圧力となるような前記液体の液面位置を基準として、算出される、請求項6に記載のガス生産方法。
- さらに、前記ガスハイドレートの分解が制御できるように、前記ポンプの回転を前記先端部における前記圧力に応じて制御するハイドレート分解制御のステップを含み、
前記液面位置制御のステップでは、前記ハイドレート分解制御のステップで制御した前記ポンプの回転数に対して制御が行われる、請求項5〜7のいずれか1項に記載のガス生産方法。
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