JP2019157317A - 果実袋用紙及び果実袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐折性及び引裂き強度に優れる果実袋用紙及び果実袋を提供する。【解決手段】ストックインレット11からパルプスラリーをワイヤー13上に流出させて、脱水する工程(a)、圧搾脱水工程(b)、乾燥工程(c)を経て、原紙16を得る第1の工程(ST1)と、原紙16に、波長変換色素及びバインダーを含有する外添剤液を塗布する第2の工程(ST2)と、外添剤液が塗布された原紙16を乾燥する第3の工程(ST3)と、を有して果実袋用紙を抄紙する。【選択図】図1

Description

本発明は、果実袋用紙及び果実袋に関する。
従来、果実袋は虫、鳥、病原菌、直射日光、紫外線、雨、風、枝、葉等から果実を守るために用いられている。また、果実袋は、袋内が保湿及び保温され、果実の成長を促すという効果も有している。
近年、果実の糖度及び外観等を更に向上させる果実袋について検討がなされている。例えば、特許文献1には、パルプ中にオレンジ色の有機顔料又は無機顔料及び屈折率が1.55〜2.70のフィラーを主成分として含有し、分光光度計による光の透過率が400〜500nmにおいては0〜5%、700〜800nmにおいては30〜50%の果実袋用紙が記載されている。白桃にこの果実袋用紙を用いた果実袋を袋掛けし、60日後に収穫調査した実施例では、生理落下が減少し、良好な着色のものが増え、糖度も向上している。
また、特許文献2には、樹上の果実に、赤色又は青色フィルムを透過した自然光を照射する、果実の成熟、減酸又は増糖を促進する方法が記載されている。
またさらに、特許文献3〜5では、蛍光色素、色素、紫外線吸収剤等を組み合わせた農業用波長変換資材、及びそれらを用いた植物の栽培方法が記載されている。特許文献3〜5の実施例では、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリプロピレン等のプラスティック製の透明資材に蛍光色素を添加してフィルムを調製し、そのフィルムで植物全体を被覆して試験を行った結果、作物の生育が促進され、果樹の場合、糖度を高め、高品質の果実を得ることができたことが記載されている。
特公平4−3176号公報 特開2009−77652号公報 特開平10−42721号公報 特開平6−38635号公報 特開平6−46685号公報
果実袋においては、上記のように、鳥、昆虫、風雨等によって紙が破損するという問題が従来から存在する。一方で、果実袋を果実に袋掛けする際には、果実を傷つけないように、果実の軸付き部分で袋の端を軽く捩って固定するという方法が多く用いられている。このため、捩った部分又は袋掛け時に皺になった部分は弱くなり、風雨によってその部分から果実袋の破損が広がるという問題もある。しかしながら、上記特許文献に記載の果実袋又は果実袋用紙では、耐折性及び強度という観点では、充分に満足のできるものではなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、耐折性及び引裂き強度に優れる果実袋用紙及び果実袋を提供することを目的とするものである。
本発明者の鋭意検討の結果、従来の手法である、内添剤液(パイプスラリーとも称される)に波長変換色素を配合して抄紙するのに対し、外添剤液に波長変換色素(以下、色素と記載する場合がある)を配合して抄紙することにより、格段に、紙の耐折度及び引裂き強度が向上することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の果実袋用紙は、
パルプスラリーから原紙を得る第1の工程と、
原紙に、波長変換色素及びバインダーを含有する外添剤液を塗布する第2の工程と、
外添剤液が塗布された原紙を乾燥する第3の工程と、
を有して抄紙されるものである。
外添剤液中の波長変換色素の含有量は、外添剤液100質量%に対して、0.01質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
第2の工程において、外添剤液はサイズプレスによって塗布されてもよい。
バインダーは、澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、アクリレート、スチレン−アクリル系ポリマー、ポリアミノポリアミド樹脂、ポリアミドポリアミン−エピクロロヒドリン樹脂、及びスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
外添剤液は、さらに撥水剤を含有してもよい。
外添剤液は、さらに界面活性剤を含有してもよい。
本発明の果実袋は、本発明の果実袋用紙を用いたものである。
本発明の果実袋用紙及び果実袋によれば、耐折性及び引裂き強度に優れる。また、本発明の果実袋用紙及び果実袋は、波長変換色素が含まれるため、果実にとって好ましくない紫外線及び可視光を減らし、果実に有益な波長の可視光のみを果実に付与することができ、果実の糖度及び外観を向上させ、高品質の果実を安定して収穫することができる。
図1は、本発明の果実袋用紙を製造する抄紙機の一例を示す概略図である。
以下、本発明の果実袋用紙について、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の果実袋用紙を製造する抄紙機の一例を示す概略図である。
[果実袋用紙]
本発明の果実袋用紙は、パルプスラリーから原紙を得る第1の工程と、原紙に、波長変換色素及びバインダーを含有する外添剤液を塗布する第2の工程と、外添剤液が塗布された原紙を乾燥する第3の工程と、を有して抄紙されるものである。
以下、各工程の詳細を説明する。
<第1の工程>
第1の工程(図1におけるST1)は、パルプスラリーから原紙を得る工程である。
ここでいう「原紙」とは、上記工程(a)、(b)及び(c)を経て作製される、波長変換色素を含まない乾燥した紙をいう。
さらに、第1の工程(ST1)は、図1示すように、パルプスラリーをワイヤー13上に供給して脱水する工程(a)と、圧搾脱水工程(b)と、乾燥工程(c)とを備える。
工程(a)は、ストックインレット11から、回転するワイヤー13上にパルプスラリーを吐出して、湿紙12を作製する工程である。この時、湿紙12中の水分の20%程度は、湿紙12がワイヤー13上で搬送される過程で脱水される。
圧搾脱水工程(b)は、数組のローラー14とフェルト(不図示)によって、圧搾により脱水する工程である。圧搾脱水は、水分率が50〜60%程度になるまで行うことが好ましい。
乾燥工程(c)は、湿紙12を乾燥する工程であり、例えば、複数のヒートローラー15によって行うことができる。
また、乾燥は、ヤンキードライヤーで行ってもよい。ヤンキードライヤー面に接触しない紙の面(以下、ザラ面という)の平滑度がヤンキードライヤーへの接触面(以下、艶面という)より低くなる。それにより、果実袋の一方の面がザラザラするため、例えば、その面を表側にすれば、農家の作業者が、高所において果実を果実袋で包みこむときに、片手(例えば、親指と人差し指)だけで容易に果実袋を開くことが可能となり、作業性が向上する。
(パルプスラリー)
パルプスラリーは、叩解処理されたパルプが水に分散されたパルプ分散液を少なくとも含むものである。
−パルプ−
果実袋用紙に用いられるパルプとしては、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、砕木パルプ(GP)、再生繊維、合成繊維等から選択でき、1種を又は2種以上を混合して用いることができる。果実袋用紙は、果実の包装に用いられるだけではなく、農作業での作業性の面から、柔軟で強靭な品質が望まれる。そこで、針葉樹及び広葉樹から得られる化学パルプ、及び脱墨古紙パルプを用いることが好ましい。これらの化学パルプ及び機械パルプは、未晒パルプ及び晒パルプの状態で、あるいは未叩解又は叩解パルプの状態で、単独又は適宜混合して使用できる。場合によっては、古紙パルプ100%を使用してもよい。例えば、NBKPとLBKPを5:95〜70:30の質量比で混合したものが好ましく、10:90〜30:70の質量比で混合したものがより好ましい。
パルプ分散液は、叩解処理されたパルプを水に分散させて得る。パルプを2種以上用いることもでき、その場合は十分に混合させる。叩解処理において、JIS P 8121に規定のショッパーリグラー法による叩解度が、例えば、20°SR〜50°SRとなるようにすることが好ましく、30°SR〜45°SRとなるようにすることがより好ましい。パルプスラリーの濃度としては、例えば2〜8質量%が挙げられ、好ましくは2.5〜5質量%が挙げられる。
−その他の成分−
パルプスラリーには、さらに紙力増強剤、サイズ剤、定着剤、填料、凝集剤、硫酸バンド、歩留まり向上剤、顔料、着色剤、染料、消泡剤、pH調整剤等を添加することができる。
紙力増強剤は、紙の強度、例えば、引張り強さ、破裂、耐折強さ等を高めるためのものである。紙の乾燥強度を高める紙力増強剤としては、例えば、カチオン化澱粉等の澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等のポリマー等が挙げられる。紙が水に濡れた時の強度(湿潤紙力)を高める湿潤紙力増強剤としては、例えばポリアミン・エピクロロヒドリン系湿潤紙力増強剤等が挙げられる。
生育中の果実を雨等から保護して品質低下を抑えるために、また果実袋ごと果実を収穫する際に収穫しやすくするために、果実袋用紙に撥水性を付与することが好ましい。本発明の果実袋用紙に用いられる撥水剤としては、いかなるものも用いうるが、例えば、パラフィン系ワックス、スチレン又はスチレン誘導体とビニル系モノマーの共重合物、塩素化パラフィン、ナフテン酸コバルト、ジルコニウム化合物、アルキルケテンダイマー等が挙げられる。撥水剤の紙中の配合量としては、例えば、紙100質量部に対して、0.5〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。
紙力増強剤の配合量としては、パルプスラリー中のパルプ100質量部に対して、2〜15質量部が好ましく、5〜10質量部がより好ましい。
サイズ剤の配合量としては、パルプスラリー中のパルプ100質量部に対して、0.1〜5質量部が好ましく、0.2〜1質量部がより好ましい。
定着剤の配合量としては、パルプスラリー中のパルプ100質量部に対して、0.1〜5質量部が好ましいく、0.2〜1質量部がより好ましい。
<第2の工程>
第2の工程は、原紙16に、波長変換色素及びバインダーを含有する外添剤液を塗布する工程である。
例えば、図1に示すように、原紙16を平行な位置に配置された2本のローラー17で挟み、2本のローラー17の間に、外添剤液供給ノズル18から外添剤液19を供給し、原紙16に外添剤液19を塗布するサイズプレスが挙げられる。また、サイズプレスに限られず、表面に凹凸を有するグラビアロールを外添剤液が収容された層に浸漬し、グラビアロールで塗工してもよく、又は、原紙を外添剤液に浸漬した後、エアナイフによって塗工量を調節する方法で行ってもよい。
(外添剤液)
−波長変換色素−
外添剤液19には、波長変換色素が含まれる。外添剤液19を原紙16に塗布することによって、原紙16の表面及び内部に波長変換色素がとりこまれる。
波長変換色素としては、果実にとって好ましくない紫外線又は可視光の波長を、果実に有益な波長に変換する色素が挙げられる。例えば、蛍光顔料及び蛍光染料等の色素が挙げられる。親水性の色素(蛍光染料)は、果実袋に雨等の水分が付着した際、果実袋に含まれる色素が流出しうるため、水に溶解しない色素(蛍光顔料)が好ましい。蛍光顔料には有機顔料及び無機顔料が含まれるが、好ましくは有機顔料が挙げられる。
蛍光顔料として、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、チオインジゴ系、ペリレン系、ジオキサジン系等が挙げられる。
蛍光染料としては、ローダミンB、ローダミン6G等のキサンテン系色素、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチルリン)−4H−ピラン(DCM)等のシアニン系色素、1−エチル−2−(4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル)ピリジウム−パーコラレイト(ピリジン1)等のピリジン系色素、オキサジン系色素、クリセン系色素、チオフラビン系色素、ペリレン系色素、ピレン系色素、アントラセン系色素、アクリドン系色素、アクリジン系色素、フルオレン系色素、ターフェニル系色素、エテン系色素、ブタジエン系色素、ヘキサトリエン系色素、オキサゾール系色素、クマリン系色素、スチルベン系色素、ジ−及びトリフェニルメタン系色素、チアゾール系色素、チアジン系色素、ナフタルイミド系色素、アントラキノン系色素等が挙げられる。
無機蛍光顔料として、例えばY:Eu、La:Eu、Al:Cr、ZnO:Zn、CaF:Sm、BaF:Sm、ZnS:Mn、CaS:Er、SrS:Ce、YS:Eu、ZnSiO:Mn、ZnSiO:Ti、BaSi:Pb、YSiO:Tb、YPO:Nd,Yb、Ca(PO:Ce,Mn、CaWO:Pb、YA1O:Ce、YAl12:Tb、SrAl:Eu、SrAl1425:Eu、CaTiO:Nd、CaZrO:Yb、CaMoO:Nd,Yb、CaSO:Tm、InBO:Tb、MgGa:Mn、YVO:Dy等が挙げられる。
近紫外光から青紫色の光を、青色の光に変換する蛍光色素として、1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン、トランス−4,4−ジフェニルスチルベン等のスチルベン系色素、7−ヒドロキシ−4−メチルクマリン〔別称;クマリン4〕等のクマリン系色素が挙げられる。
青色、青緑色又は白色の光を、緑色の光に変換する蛍光色素として、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフロルメチルキノリジノ(9,9a,1−gh)クマリン〔別称;クマリン153〕、3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン〔別称;クマリン6〕、3−(2’−ベンゾイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン〔別称;クマリン7〕等のクマリン系色素、ベーシックイエロー51、ソルベントイエロー11、ソルベントイエロー116等のナフタルイミド系色素等が挙げられる。
青色、緑色又は白色の光を、橙色〜赤色の光に変換する蛍光色素として、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチルリル)−4H−ピラン等のシアニン系色素、1−エチル−2−〔4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル〕−ピリジニウム−パークロレート等のピリジン系色素、ローダミンB、ローダミン6G等のローダミン系色素、オキサジン系色素等が挙げられる。
特に好ましい波長変換色素としては、3,4−ジヒドロキシ−9,10−ジオキシ−2−アントラセンスルホン酸ナトリウム塩(Alizarin Red S,SIGMA−ALDRICH社製)、及びペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物(SIGMA−ALDRICH社製)等が挙げられる。
例えば、桃(例えば、白鳳等)、葡萄(例えば、ピオーネ等)、及びみかん(例えば、温州等)等の果物において、糖度、外観(果実の発色等)等を上昇させる波長変換色素としては、440nm付近及び520nm付近の光をそれぞれ460〜520nm及び540〜590nmの光に変換するものが好ましい。かかる色素の例としては、例えば3,4−ジヒドロキシ−9,10−ジオキシ−2−アントラセンスルホン酸ナトリウム塩(Alizarin Red S,SIGMA−ALDRICH社製)、及びペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物(SIGMA−ALDRICH社製)等の波長変換色素が挙げられる。
波長変換色素の含有量は、用いる波長変換色素の種類によって変わるが、外添剤液100質量%に対して0.01〜30.0質量%が好ましく、より好ましくは、1.0〜25.0質量%であり、さらに好ましくは0.5〜5.0質量%である。0.01質量%以上とすることにより、良好に波長変換を行うことができる。30.0質量%以下であることにより、着色のある波長変換色素の場合、濃度消光を防止して、果実の生育を良くすることができる。また、着色の無い波長変換色素では、紙に波長変換色素が良好に溜まり、波長変換色素の脱落を防止することができる。
−バインダー−
外添剤液に使用されるバインダーは、例えば、澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、アクリレート、スチレン−アクリル系ポリマー、ポリアミノポリアミド樹脂、ポリアミドポリアミン−エピクロルヒドリン樹脂、及びスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスが挙げられる。これらは、1種のみで配合されてもよいし、2種以上を配合されてもよい。
−界面活性剤−
本発明の果実袋用紙には、界面活性剤が含まれてもよい。界面活性剤は外添剤液に配合され、波長変換色素を均一に分散させる効果がある。波長変換色素が外添剤液中で均一に分散されることで、果実袋用紙にも波長変換色素が均一に分散される。したがって、濃度消光による波長変換効率の低下が抑制され、果実の糖度や外観の向上に効果的に作用し、また色むらがなく均一な色の果実を得ることができる。界面活性剤としては、例えば非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤は、エステル型、エーテル型、エステル・エーテル型及びその他に分類される。エステル型非イオン性界面活性剤は、例えばポリエチレングリコール脂肪酸エステル等、グリセリン、ソルビトール、しょ糖等の多価アルコールと脂肪酸がエステル結合した構造を有するものが挙げられる。エーテル型非イオン性界面活性剤は、例えば高級アルコールやアルキルフェノール等の水酸基をもつ原料に、主として酸化エチレンを付加させて得られるものであり、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、それらの酸化エチレンの一部を酸化プロピレンに代えたもの等が挙げられる。エステル・エーテル型非イオン性界面活性剤は、例えばポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のソルビタン誘導体等、グリセリンやソルビトール等の多価アルコールと脂肪酸とからなるエステルに酸化エチレンを付加したもの等が挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、例えば高級カルボン酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホこはく酸塩、高級アルコールを硫酸化して得られるアルキル硫酸エステル塩、高級アルコールに酸化エチレンを付加して硫酸化したポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、高級アルコールやその酸化エチレン付加物等のリン酸エステル塩、アシル−N−メチルタウリン塩、アミノ酸型活性剤等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、アミン塩型カチオン界面活性剤、第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、カルボン酸塩型両性界面活性剤、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。
波長変換色素を分散させる界面活性剤として、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等のいずれも好適に用いることができるが、より均一に分散させることができる点で、非イオン性界面活性剤が好ましく、より好ましくは高級アルコール系界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤の配合量は、用いる波長変換色素の種類及び界面活性剤の種類によって変わるが、例えば、波長変換色素100質量部に対して0.02〜40.0質量部が挙げられ、好ましくは0.2〜20.0質量部が挙げられ、より好ましくは1.0〜10.0質量部が挙げられる。0.02質量部より低いと、波長変換色素の分散が不十分となり、40.0質量部より高いと果実袋用紙の耐水性が低下することがある。
−その他の成分−
外添剤液には、上記波長変換色素及びバインダー以外にも、上記パルプスラリーで記載したその他の成分及び撥水剤の中から、適宜選択して添加することができる。
<第3の工程>
第3の工程は、外添剤液が塗布された原紙16を乾燥する工程である。例えば、複数のヒートローラー20で乾燥する。
最後に、乾燥された果実袋用紙21をリール22で巻き取る(ST4)。
<果実袋用紙の坪量/厚さ>
果実袋用紙の強度を確保して紙中の光の透過を適度な量とするために、紙の厚さとしては、例えば30〜100μmが挙げられ、好ましくは40〜90μmが挙げられ、より好ましくは50〜80μmが挙げられる。紙の坪量としては、例えば20〜80g/mが挙げられ、好ましくは25〜60g/mが挙げられ、より好ましくは30〜50g/mが挙げられる。
果実の糖度及び外観を向上させるために、果実袋用紙の透気度は重要な要件である。透気度をコントロールすることで、病原菌や害虫の進入を防ぐことができ、果実自身の呼吸による水分や土地、果樹園等の環境による袋内の環境もコントロールできる。好ましい果実袋用紙のガーレー透気度(JIS P 8117)としては、例えば5〜30秒/100mlであり、より好ましくは7〜15秒/100mlが挙げられる。この範囲の透気度であれば、果実の生理作用を円滑にし、果実の育成、澱粉の糖化を促し、品種固有の香気を熟成させることができる。本発明の果実袋用紙の透気度は、紙の厚さ及び坪量を増減させることで調整することができる。
得られた果実袋用紙の表面に、常法に従って撥水剤を塗布することもできる。例えば、パラフィンワックス系撥水剤及び酸化澱粉を含む水性エマルジョン撥水液を調製し、紙の表面に塗布して乾燥する。パラフィンワックス系撥水剤の水性エマルジョン撥水液の濃度としては、例えば0.5〜5質量%が挙げられ、好ましくは0.7〜2質量%が挙げられる。酸化澱粉の水性エマルジョン撥水液の濃度としては、例えば、1〜5質量%が挙げられ、好ましくは2〜4質量%が挙げられる。撥水液の塗布量としては、乾燥後の固形分が1〜5g/mとなる量が挙げられ、好ましくは2〜4g/mとなる量が挙げられる。
本発明の果実袋用紙の抄紙は、少なくとも、第1の工程、第2の工程、及び第3の工程を実施できればよく、例えば、トップワイヤー等を含む長網抄紙機、オントップフォーマー、ギャップフォーマー、丸網抄紙機、ヤンキーマシン等を用いて行うことができる。抄紙時のpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでもよいが、酸性が好ましい。抄紙速度は、特に限定されない。
本発明の果実袋用紙は、従来技術である、内添剤液に波長変換色素を配合して抄紙した場合に比べて、耐折度及び引裂き強度に優れる。したがって、袋が破損し難いため、虫、鳥、病原菌、直射日光、紫外線、雨、風、枝、葉等から果実を良好に保護することができる。
[果実袋]
本発明の果実袋用紙を袋状に加工することで、果実袋を調製することができる。本発明の果実袋を用いて生育される果実としては、例えば葡萄、桃、梨、りんご、マンゴー、キウイ、みかん、びわ等が挙げられる。対象の果実の大きさに応じて、果実袋の大きさを調整することができる。
本発明の果実袋は、通常の果実袋と同様に常法に従って用いることができる。例えば、果実袋を膨らませて、果実を袋の中央に入れ、袋を捩ることにより、又は止め金等で枝に果実袋を固定する。果実の種類によって異なるが、果実袋をつけて、一般には2〜4ヶ月間生育させることで、果実の糖度及び外観等を向上させ、高品質の果実を安定して収穫することができる。
本発明の果実袋用紙及び果実袋によれば、耐折度及び引裂き強度に優れるため、虫、鳥、病原菌、直射日光、紫外線、雨、風、枝、葉等から果実を守り、袋内が保湿及び保温されると共に、果実の糖度及び外観等を向上させ、高品質の果実を安定して収穫することができる果実袋を提供することができる。
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
[実施例1]
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)15質量%と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)85質量%からなるパルプをショッパーリグラー法による叩解度が30°SRとなるように叩解処理し、これを水に分散して濃度約2.7質量%のパルプ分散液を得た。このパルプ分散液中のパルプ100質量部に対して、ポリアミン・エピクロロヒドリン系湿潤紙力剤(星光PMC社製、商品名「湿潤紙力剤WS4011」7質量部、サイズ剤として両性タピオカ澱粉(ジーエスエルジャパン社製、商品名「Geltron245」0.4質量部、及び定着剤として硫酸アルミニウム0.4質量部をそれぞれ添加したパルプスラリーを得た。このパルプスラリーを長網多筒式抄紙機を用いて抄紙し厚さ67μm及び坪量40g/mの原紙を得た。
また、波長変換色素(ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸二無水物(SIGMA-ALDRICH社製)1.0質量部、パラフィンワックス系撥水剤(荒川化学工業社製、商品名「サイズパインW-116H」)3.8質量部、酸化澱粉(日本コーンスターチ社製、商品名「SK-20」)2.5質量部、水92.7質量部配合して、濃度が4.7質量%のサイズプレス用の外添剤液を用意した。
長網多筒式抄紙機による原紙の抄紙に続いて、この外添剤液を乾燥後の固形分が約3g/mとなるようにサイズプレスにより塗布した後、100℃で1分間乾燥し、撥水度がR8の果実袋用紙を得た。得られた果実袋用紙を袋状にして果実袋を作製した。
なお、実施例1で使用した波長変換色素は、波長440nmの光を486nm〜516nmに変換するものである。
[実施例2]
波長変換色素として、有機無機ハイブリッド色素(天津包鋼稀土研究院有限責任公司:中国メーカー、商品名「光変換材料」)を配合した外添剤液を用いた以外は実施例1と同様にして果実袋用紙を得た。この果実袋用紙の撥水度はR8であった。得られた果実袋用紙を袋状にして果実袋を作製した。
なお、実施例2で用いた波長変換色素は、波長365nmの光を614nmに変換するものである。
[比較例1]
水に、波長変換色素(ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸二無水物(SIGMA-ALDRICH社製)及び非イオン性界面活性剤として高級アルコール系界面活性剤(日華化学社製、商品名「フォームレックスSAF-86」)を加えて十分に撹拌して波長変換色素の分散液を得た。分散液の波長変換色素の濃度は1質量%、非イオン界面活性剤の濃度は0.02質量%(波長変換色素100質量部に対して2質量部)となるように調整した。
また、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)15質量%と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)85質量%からなるパルプをショッパーリグラー法による叩解度が30°SRとなるように叩解処理し、これを水に分散して濃度2.7質量%パルプ分散液を得た。このパルプ分散液中のパルプ100質量部に対して、波長変換色素の分散液を200質量部、ポリアミン・エピクロロヒドリン系湿潤紙力剤(星光PMC社製、商品名「湿潤紙力剤WS4011」7質量部、サイズ剤として両性タピオカ澱粉(ジーエスエルジャパン社製、商品名「Geltron245」0.4質量部、及び定着剤として硫酸アルミニウム0.4質量部をそれぞれ添加したパルプスラリーを得た。
このパルプスラリーを長網多筒式抄紙機を用いて抄紙し、厚さ67μm及び坪量40g/mの果実袋用紙を抄紙した。
[評価]
<耐折度>
耐折度は、JIS P 8115に従って測定した。
<引裂き強度>
撥水度は、JIS K 7128−2及びJIS P 8116に従って測定した。
測定結果を表1に示す。
表1に示すように、外添剤に波長変換色素を添加した実施例1及び実施例2の果実袋用紙は、波長変換色素を内添剤に配合して作製した比較例1と比べて、耐折度が6倍〜7.7倍に向上しており、引裂き強度においては、7%程度向上していることがわかる。
本発明の果実袋用紙及び果実袋が、パルプスラリーに波長変換色素を配合して抄紙した場合に比べて耐折度及び引裂き強度に優れる理由は定かではないが、パルプ中のヒドロキシ基同士で形成される水素結合による架橋構造が、従来のパルプスラリーに波長変換色素が添加される場合に比較して強固であるためと考えられる。すなわち、波長変換色素を含むパルプスラリーを乾燥させて抄紙する従来技術では、乾燥工程で、ヒドロキシ基間に波長変換色素が介在するため、水素結合が弱い箇所、又は、水素結合が形成されない箇所が多く存在すると考えられる。
一方、波長変換色素を含まないパルプスラリーを乾燥させて原紙を得る本発明の場合、乾燥工程では、波長変換色素が介在しないため、パルプのヒドロキシ基同士が水素結合し強固に架橋構造を形成していると考えらえる。そのため、その後の工程で、波長変換色素を含む外添剤液を塗布した場合、水分が多少存在しても、波長変換色素によって水素結合の多くは維持され、耐折度及び引裂き強度が高くなったと推測される。
10 抄紙機
11 ストックインレット
12 湿紙
13 ワイヤー
14、17 ローラー
15、20 ヒートローラー
16 原紙
18 外添剤液供給ノズル
19 外添剤液
21 果実袋用紙
22 リール

Claims (7)

  1. パルプスラリーから原紙を得る第1の工程と、
    原紙に、波長変換色素及びバインダーを含有する外添剤液を塗布する第2の工程と、
    前記外添剤液が塗布された原紙を乾燥する第3の工程と、
    を有して抄紙される果実袋用紙。
  2. 前記外添剤液中の前記波長変換色素の含有量が、前記外添剤液100質量%に対して、0.01質量%以上20質量%以下である請求項1記載の果実袋用紙。
  3. 前記第2の工程において、外添剤液がサイズプレスによって塗布される請求項1又は2記載の果実袋用紙。
  4. 前記バインダーが、澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、アクリレート、スチレン−アクリル系ポリマー、ポリアミノポリアミド樹脂、ポリアミドポリアミン−エピクロルヒドリン樹脂、及びスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスから選ばれる少なくとも1種である請求項1から3いずれか1項記載の果実袋用紙。
  5. 前記外添剤液が、さらに撥水剤を含有する請求項1から4いずれか1項記載の果実袋用紙。
  6. 前記外添剤液が、さらに界面活性剤を含有する請求項1から5いずれか1項記載の果実袋用紙。
  7. 請求項1から6いずれか1項記載の果実袋用紙を用いた果実袋。
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