JP2019156380A - 異物除去可動部付き垂直離着陸飛行体 - Google Patents
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Abstract
Description
機体が大きい飛行機やプロペラが大きいヘリコプターであってもバードストライクによってトラブルが起きているが、複数のプロペラを回転して垂直離着陸する飛行体においては、各々のプロペラと鳥類の大きさの対比は既存の航空機と鳥類の対比より衝突時の衝撃はより大きなものとなるのは明らかである。
人が乗らないドローンのバードストライクでは機体の墜落破損は免れないとしても人命に害を及ぼす率は低いが、世界各国で開発されつつある人が乗る垂直離着陸飛行体においては、ドローンより各プロペラが大きく鳥類との衝突により飛行困難になった場合は、操縦者の人命はもとより墜落地域の被害は甚大になる可能性がある。
特に垂直離着陸飛行体ではプロペラ上部が空気取込口となるため、鳥類や他の異物が空気流により空気取込口に張り付く事態も考慮したバードストライクの危機回避対策が重要である。
このような状況の中で下記5件の非特許文献、特許文献が散見される。
特許文献3(特開平5−301600)にはヘリコプターのプロペラの周囲にロータフレームを付けてその上に網が設けられることが記載されているが、異物除去の方法までは何ら記載されていない。
特許文献4(実用新案登録第3106206号)にはエンジン吸気ファンの回転でエンジン前のカバーを高速回転させ異物を弾き飛ばすことが記載されているものの、あくまで水平に高速で飛行するエンジン部への高速飛行中に飛び込んでくる異物を弾き飛ばして異物混入を防止するのが目的であり、垂直離着陸飛行体のように垂直方向にエンジン部が設けられ、一定の高度を確保するまでは高速上昇動作をするものの、一定の高度を確保した後は、ホバリング飛行も含め一定の高度での飛行形態を維持するので、垂直離着陸飛行体では一般の翼を有する高速飛行する飛行体とは異物との接触状況は異なる。よって特許文献4の技術は垂直離着陸飛行体のとしては採用できるものではない。
この空飛ぶ車は人が座った座席を中心に、その足元の周りに複数のプロペラを配置し、プロペラの上に網を覆って異物がプロペラに入らないようにして空を飛べるようにした車が動画で開示されている。
複数の推進機(プロペラ)の回転する方向と速さで飛行をコントロールして、空中で留まる状態のホバリングや、ホバリング状態から垂直、水平方向への飛行や、前後左右など各方向へ低速で移動することも可能であり、室内で飛ばせる小さな玩具から前述した多用途な作業に用いるいろいろなサイズの機体が見受けられる中、人が乗れる空を飛ぶ車の試作機が各国で発表されており、空飛ぶタクシーで交通渋滞の緩和など新たな期待が持たれている。
現在飛行機のエンジンなど空気取込口に鳥が吸い込まれて墜落するというバードストライク事故があるが、固定翼のついた飛行機の場合はエンジンが故障しても翼によりある程度滑空するためすぐに墜落することはないが、垂直離着陸飛行体は複数のプロペラが均衡を保って飛ぶ飛行体であるためプロペラの一部でも壊れたら飛行継続は不安定になり、墜落ともなれば操縦者の死傷事故や墜落地域への甚大な被害など大事故に発展する可能性がある。
比較的上空(約10キロメートル)を高速で水平飛行する飛行機に比べてドローンの高度は数百メートル程度を飛行することが多く、時にはホバリング飛行で機体を空中の一点に静止させたり低速で移動する飛行も可能であるため、空中を飛翔する鳥にとって生活空間を脅かす存在となりかねない。ゆえに高速で水平飛行する飛行機とは異なり、垂直離着陸飛行体は鳥類の攻撃や衝突の対象になりバードストライクが発生する可能性も高く、鳥類および浮遊物などによりプロペラへの損傷を起こさない安全対策が重要である。
現時点、取り敢えずの対策としてプロペラの上に網を張って鳥や空中の浮遊物がプロペラにあたらないようにしている例は散見されるが、この対策だけでは、網の上に載った鳥や浮遊物が、プロペラの回転によって起こる吸引力により網に張り付いてしまう危険性が容易に推測される。
この異物を振り落とす異物除去可動部は、飛行体の推進機の駆動とは異なる駆動源を持っている。なぜなら一般のジェットやプロペラで推力を生み出す飛行機とは異なり、垂直離着陸飛行体に設けられた複数の推進機は単純に揚力や推力を生み出すだけでなく、ホバリング飛行で空中の一点に静止したり非常に低速で移動するなど、複数の推進機を正逆回転させたり回転速度を変えるなどして各々のプロペラをバランスよく制御することで飛行の安定性を保っている。よって、本願の異物除去可動部の駆動は垂直離着陸飛行体の揚力を発生させる推進機の駆動とは関係ない駆動源で異物除去可動部を動かすことにより、推進機の多様な駆動制御に影響を与えず異物進入防止部材の上面から異物を除去して空気取込口に異物を混入させず、垂直離着陸飛行体を安定して飛行させることを可能にするものである。
なお、この異物除去可動部の駆動源には異物進入防止部材への空気流も含まれる。特に垂直離着陸飛行体のプロペラ以外の範囲には飛行体操縦のための操縦席や機器類などが配置され、ホバリング飛行で空中静止などもする垂直離着陸飛行体の上面には、鳥など飛翔体が安易に留まる場合も有る。
その際に異物除去可動部を高速可動して異物を跳ね飛ばすことは、飛行体の操縦席の視界を妨げたり機器類に損傷をもたらす可能性があると同時に、命ある鳥などへの配慮の点からも好ましくない。よって、垂直離着陸飛行体での異物除去可動部では異物を跳ね飛ばすのではなく振り落とす動作が好ましく、そのために異物除去可動部は低速で可動して異物を除去するようにしている。
1つは、この異物除去可動部として空気取込口の上に張られた異物進入防止部材(網や桟など)を可動可能にし、空気取込口の上で異物進入防止部材を回転させることで、空気取込口の上の異物進入防止部材上面から異物を振り落とす。この異物進入防止部材の回転方法としては、異物進入防止部材に空気流で回転する補助翼を設けて、空気取込口への空気の流れで異物進入防止部材が回転可能にすることで実現できる。
他の方法としては、異物進入防止部材の縁などに駆動部を設けて駆動部の力で異物進入防止部材を回転させることでも実現できる。回転させる異物進入防止部材の形状は円形とし、駆動部は常時または一定間隔で駆動させたり、異物を検知して駆動させて異物を除去することもできれば、操縦者の操作で必要に応じて駆動させ異物進入防止部材を回転させることで空気取込口の上の異物進入防止部材の上面から異物を振り落とすこともできる。
特に、回転する異物進入防止部材の上下何れかに沿わせて配置する筋部材、例えば推進機のフレームに筋部材の一方または両端を固定的に取り付けておけば、異物進入防止部材に載るまたは空気取込口の吸引力により異物進入防止部材に張り付いた異物は、回転する異物進入防止部材と筋部材との隙間で掻き落とされることになり、異物除去にはより効果的である。
一部が湾曲する筋部材など空気流によって自然に回転する構造とした筋部材の動きで異物進入防止部材に載る異物を掻き落とす、または筋部材に駆動部を設けてその駆動力で筋部材を回転させることも可能で、駆動部を設けた筋部材の回転は常時または一定間隔で駆動させたり、異物を検知して駆動させて異物を除去することもできれば、操縦者の操作で必要に応じて駆動させることも可能である。
さらに他の方法として異物進入防止部材そのものを駆動部の駆動により振動させることで空気取込口の上の異物進入防止部材上面から異物を振り落としたり、異物進入防止部材が回転可能な円形で構成できない場合には、その異物進入防止部材の上面自体が、異物の重みで回転したり空気流で回る回転棒などを配置することで異物を振り落とす異物除去可動部とすることも可能である。
仮に鳥が飛行体の上に留まる場合にも本願の異物除去可動部によって鳥を振り落とすことで、鳥を殺すことなくバードストライク事故を防止するとともに、操縦席や機器類などに対する二次的損傷を低減させる効果を生む。そして、その異物除去可動部の駆動は垂直離着陸飛行体の推進機の制御とは別の駆動源で行うため、垂直離着陸飛行体の安全安定飛行に寄与する効果をも生む。
(1ーA)は後で述べる垂直離着陸飛行体(1)における推進機のフレーム(2)の一つを取り出して説明している図であって、垂直離着陸飛行体の垂直方向に揚力や推力を発生する推進機のフレーム(2)の中にはプロペラ(4)とそれを回転させるエンジンが設置されており、プロペラ(4)の回転により空気流が発生し推進機のフレーム(2)の上部は空気取込口(3)となる。ここで上記エンジンは、電気やガソリンをエネルギー源とする回転力発生ユニットを意味し、別の構成としては図1のプロペラで無くてもジェットエンジンなどを下向きに設けて代替とすることも考えられる。これによって垂直離着陸飛行体(1)は飛行に必要な垂直方向に働く揚力を得ることが可能となる。本願の図ではプロペラを回転させる構造で以下の説明をする。
(1ーA)は、推進機のフレーム(2)は丸形状の筒型で構成される空気取込口(3)の上に異物進入防止部材(5)が配置された構造となっていることを示しており、推進機のフレーム(2)の上部に設けたガイドレール(2a)で異物進入防止部材の縁(5d)を保持し、異物進入防止部材(5)の上には補助翼(5c)が1枚〜数枚設けられている外観を現わしている。
推進機のフレーム(2)内でプロペラ(4)が図で示すαからβの方向に回転して推進機のフレーム(2)が浮上する揚力が発生した場合は、空気取込口(3)に流れ込む空気流が発生し、異物進入防止部材(5)に設けられた補助翼(5c)にあたる空気流により異物進入防止部材(5)は例えば図で示すα’からβ’の方向に追従して回転する。(1−B)は推進機のフレーム(2)の一部を拡大した図で、上枠がコの字型に形成されたガイドレール(2a)で異物進入防止部材の縁(5d)を保持している構造を示しており、異物進入防止部材の縁(5d)はガイドレール(2a)に保持された状態で摺動可能である。
図1の異物進入防止部材(5)には網が張られており、図では上部から空気取込口(3)に流れ込む吸引力で引き込まれる異物は異物進入防止部材(5)で止められ、かつ補助翼(5c)にあたる空気流で異物進入防止部材(5)が異物除去可動部(6)として回転することにより異物は振り落とされてしまう。このように空気取込口(3)に吸い込まれる異物は異物進入防止部材(5)で止められ振り落とされるので大きな事故を未然に防ぐことが可能となる。
特にこの異物除去可動部(6)の回転は、単に異物進入防止部材の上に誤って着地した異物を振り落とす程度の動きで良いので、垂直離着陸飛行体が飛行するプロペラ(4)の回転により自然発生する空気流で異物除去可動部(6)が回転するだけで事足り、プロペラ(4)など推進機の駆動制御に影響を及ぼさない。
垂直離着陸飛行体はホバリング飛行など複数の各プロペラは回転方向や速度が異なる制御をされるため、各々のプロペラ上に発生する空気流は一定ではない。そのため空気流とは関係のない駆動部を用いた例として示しており、異物進入防止部材を回転させる独立した駆動部(6a)を設けているためプロペラ(4)など推進機の推進制御に影響を及ぼさない。
つまり、(2−A)は異物進入防止部材の縁(5d)に駆動部(6a)を設けた状況を断面図で示しており、(2−B)はその動作を表すイメージ図で、異物進入防止部材の縁(5d)に設けた駆動部(6a)によって異物進入防止部材(5)をαまたはβの方向に回転させることが可能になるので、異物進入防止部材(5)は異物除去可動部(6)として異物を振り落とすことで大きな事故を未然に防ぐことが可能になる。
つまり、図3の(3−A)(3−B)は図1と下記の点で異なる。
図1では推進機のフレーム(2)の上に設けた異物進入防止部材(5)が空気取込口(3)へ空気が吸い込まれる空気流で回転するのに対して、図3の(3−A)(3−B)の異物進入防止部材(5)は回転しない。その代わり異物進入防止部材(5)の上に設けられた筋部材(9)である異物除去可動部(6)が、駆動部(6a)の駆動力により図3で示すαまたはβの方向に回転する。これによって、異物進入防止部材(5)の上から空気取込口(3)に入ろうとする異物は、異物進入防止部材(5)の上で異物除去可動部(6)により掻き落とし、かつ振り落とされるので大きな事故を未然に防ぐことが可能となる。
ここで図3の(3−A)は異物進入防止部材(5)として異物進入防止部材の桟(5b)を使っている例であり、(3−B)は異物進入防止部材(5)として異物進入防止部材の網(5a)を使っている例である。異物進入防止部材の網(5a)では異物進入防止部材の隙間(5e)は格子状の穴で構成されるが、異物進入防止部材の桟(5b)では異物進入防止部材の隙間(5e)は長細い溝穴で構成される違いがあるのみで、その効果はほぼ同じである。
図3の(3−C)は(3−A)(3−B)では隠れていた駆動部(6a)と垂直離着陸飛行体(1)の揚力および推進力を生むプロペラ(4)との位置関係を参考までに示しているが、異物除去可動部(6)と駆動部(6a)の連結方法や設置位置はこの図示の形に限定するものではない。ただし異物除去可動部である筋部材(9)を回転させる独立した駆動部(6a)を設けることにより、プロペラ(4)など推進機の推進制御に影響を及ぼさない構造である。
なお、図3では駆動部(6a)の力で回転する筋部材(9)を異物除去可動部(6)として説明しているが、この筋部材(9)を空気の流れで回転可能な湾曲を持たせた構造にすれば、空気取込口に流入する空気流のみでも筋部材(9)は回転可能となる。
(4−A)のように筋部材(9)の形状を鎌形状にし、その片側に刃を設けるとさらに異物(8)の除去が容易になる。包丁や鎌のように一片を切削可能な刃にした異物除去可動部(6)であれば、一方向の回転では背側で異物を払いのけるに留め、逆に刃のある方向に回転させると異物を切り落とすことが可能になる。鳥類などは筋部材(9)の背側が接近して驚かせれば飛び立つし、木の枝葉など異物進入防止部材(5)の隙間に留まる異物(8)は筋部材(9)の刃の側で切り落とすなども可能である。
なお図4には異物除去可動部(6)を動かす駆動部(6a)を図示していないが、図3のように筋部材(9)に駆動部(6a)を設けて異物除去可動部(6)として機能させても良いし、筋部材(9)の先端を推進機のフレーム(2)に固着して図2のように異物進入防止部材(5)に駆動部(6a)を設けて異物除去可動部(6)として機能させても良い。
つまり、回転しない異物進入防止部材(5)に載った異物(8)に向けて異物除去可動部(6)である筋部材(9)が接近して異物(8)を掻き落とすか、異物除去可動部(6)である異物進入防止部材(5)が回転してその上に載った異物(8)が固定された筋部材(9)に接近して掻き落とされるかの違いであって、その効果は変わらず異物(8)を振り落とすだけではなく、近接する異物進入防止部材(5)と筋部材(9)により掻き落とすので、より迅速に効率よく異物を除去して大きな事故を未然に防ぐことが可能になる。
なお、異物(8)が異物除去可動部(6)に当たる場合は掻き落とす、異物(8)が異物除去可動部(6)の動きで落とされる場合は振り落とすであって、両者における異物除去可動部(6)の動きは低速動作であり目的は同じである。
この図5では(5−A)、(5−B)、(5−C)の3つの図にて異物進入防止部材(5)の上で異物(8)が異物進入防止部材の隙間(5e)に挟まった場合に、異物除去可動部(6)にてどのように異物(8)が排除されるのかを説明している。
初めに(5−A)では異物進入防止部材の隙間(5e)に挟まった異物(8)の部位の状態を示しており、(5−B)では異物進入防止部材(5)の上で異物除去可動部(6)が右横方向に移動するために、異物(8)の部位が異物除去可動部(6)に押されて起き上がり、異物(8)に亀裂が入って切断される直前の様子を現わしている。さらに異物除去可動部(6)が右横方向に移動した場合は、異物(8)は切断されるか、折曲がって異物進入防止部材の隙間(5e)から抜け出る。
(5−C)では異物進入防止部材(5)の上で異物除去可動部(6)が左横方向に移動するために、異物除去可動部(6)に横から押されて異物進入防止部材の隙間(5e)より押し出される状態を説明している。
このように異物進入防止部材(5)の上で異物除去可動部(6)を横移動することで異物(8)の部位が異物進入防止部材の隙間(5e)に入っても、その部位は切断されたり変形したりして異物(8)は異物進入防止部材(5)の上で横移動しながら最終的には掻き落とされて除去されることになり、仮に空気取込口(3)の中に異物が入っても異物進入防止部材の隙間(5e)の空間で切断された異物(8)の小さな部位に留まり、大きな事故になることは無い。
この動きは、一般の車のワイパーのようにガラス平面を撫でる動きとは異なり、異物進入防止部材の隙間(5e)に絡まった異物の部位を切断、変形させることも可能とするものであるため、その目的から構造は車のワイパーとは異なるものである。
なお、図5の説明では異物進入防止部材(5)の上に異物除去可動部(6)を配置したが、異物進入防止部材(5)の下に異物除去可動部(6)を配置しても同様の効果は得られる。ここでは筋部材(9)が異物除去可動部(6)として動き、異物進入防止部材(5)の上の異物(8)が変形、切断、除去される様子を図示したが、筋部材(9)が固定され異物進入防止部材(5)が異物除去可動部(6)として動く場合も、異物進入防止部材(5)の上の異物(8)が筋部材(9)にあたることで同様の効果となり、異物進入防止部材(5)の上の異物(8)は変形、切断、除去される。
図6の垂直離着陸飛行体(1)は人間が一人乗れる飛ぶ車としての外観を示しており、一般に広まっている小型無人飛行体であるドローンより大きな飛行体である。小型無人飛行体はサイズが小さいため空を飛ぶ鳥類との接触事故は稀で、もし接触事故が起きたときは機体の墜落を免れないが無人飛行体であるがゆえに操縦者の死傷事故にはつながらない。
しかしながら人が乗れる大きさの垂直離着陸飛行体(1)の場合、図6は操縦席(7)の前後左右に各1個、計4個の推進機のフレーム(2)を設けた垂直離着陸飛行体(1)の図であり、各々の推進機のフレーム(2)の大きさは人を乗せて飛ぶ推進力を得る必要から直径1m前後の大きな形状になる。そして移動速度も数十Km/H〜数百Km/Hの速度になり、空を飛ぶ鳥類と何時バードストライクなる事故に合ってもおかしくない状況にある。
図6ではそのような状況の中でも事故を防ぐために各々の推進機のフレーム(2)には異物進入防止部材(5)を備えかつ筋部材(9)をも備え、今まで説明したように異物進入防止部材(5)または筋部材(9)を異物除去可動部(6)として機能させることにより、異物が異物進入防止部材(5)に張り付いても、図1〜図5で説明したように異物(8)の除去を可能とするものである。
図7の垂直離着陸飛行体(1)には図示していないが推進力を生むプロペラおよびプロペラ駆動部、またはジェットエンジンなどが設けられ、複数の推進機のフレーム(2)には空気取込口の上に異物進入防止部材(5)が配置されている。本願はその異物進入防止部材(5)の上に筋部材(9)で構成した異物除去可動部(6)を配置し駆動させることでより確実に異物を除去することを目的としている。
ただし、図1の異物進入防止部材(5)や図4の筋部材(9)が、垂直離着陸飛行体(1)の推進力で空気取込口(3)に生じる空気流で自動的に回転して異物除去可動部(6)として異物を除去することもできれば、図2の異物進入防止部材(5)や図3の筋部材(9)のように異物除去可動部(6)が、駆動部(6a)の駆動力により回転し異物を除去することも可能である。
ここで図7は異物除去可動部(6)を操縦者(7a)の指示で駆動させる場合の説明図であり(7−A)は異物除去可動部の回転方向を示す説明図で、(7−B)は7−Aの異物除去可動部を操作する動作説明図である。
(7−A)は垂直離着陸飛行体(1)を上から見た図であって、中央に操縦者(7a)が座る操縦席(7)、その前後左右に各々推進機のフレーム(2)が配置され、その上に図では示していないが異物進入防止部材(5)が設けられており、図ではその上に配置される筋部材(9)で構成した異物除去可動部(6)を一例として羽根状に記載している。そして各々の異物除去可動部(6)、図での記号としてはW1、W2、W3、W4で示し、異物除去可動部(6)の動きを右回りについてはW1R、W2R、W3R、W4R、左回りについてはW1L、W2L、W3L、W4Lで示している。これらW1、W2、W3、W4、W1R、W2R、W3R、W4R、W1L、W2L、W3L、W4Lについての動作説明として(7−B)で詳細に説明する。
(7−B)では図の上部に操作部(6b)のスイッチの状況を示している。この操作部(6b)に記載しているW1R、W2R、W3R、W4R、W1L、W2L、W3L、W4L各々のスイッチを操作部(6b)上で押下すれば、(7−A)で図示している各異物除去可動部(6)はその示す方向に回転するようにしている。具体的には(7−B)の下部で示しているように操作部(6b)の情報を制御部(6c)が受けて駆動部(6a)のW1、W2、W3、W4を指示されるW1R、W2R、W3R、W4R、W1L、W2L、W3L、W4Lの内容に照らして駆動することで各々の異物除去可動部(6)は指示される方向に指示される時間駆動することが可能となる。
説明では(7−A)の操縦者(7a)が操作部(6b)を操作しているとして説明を行ったが、各々の異物進入防止部材(5)に異物センサー(図は省略)を設けて、異物が異物進入防止部材(5)に載ったときに自動的に反応して予め定めた動きで各々の異物除去可動部(6)を動かしても良いし、飛行体に人が乗らない場合には飛行体の外からリモコンで異物除去可動部(6)を動かしても良い。特に小型の飛行体や、危険地域飛行用に開発された無人飛行体の場合には飛行体の外からのリモコン操作が要求される。
なお、異物センサー(図は省略)は、異物進入防止部材(5)近傍で異物接触による変化をスイッチやレーダーや光で検出したり、空気取込口(3)をカメラで撮像して異物有無の状況を認識して異物感知することは実現可能である。そして異物除去可動部(6)の駆動は、上記操縦者(7a)の指示以外に、この異物センサーの検出情報を元に予めプログラムされた仕様に基づき自動駆動しても良い。
図7ではここまで筋部材(9)で構成した異物除去可動部(6)を駆動することで異物を除去する説明をしてきたが、さらに、図では説明していないが筋部材(9)は動かずに、異物進入防止部材(5)を異物除去可動部(6)として飛行体の空気取込口枠体の中で相対的に回転する構造にて制御部を操作することでも同様の効果が得られる。
図8、図9では異物進入防止部材(5)の上に筋部材(9)を配置し、筋部材(9)は推進機のフレーム(2)に固着して異物進入防止部材(5)を異物除去可動部(6)とする例を図8に示す。
図8は異物進入防止部材(5)の上に十字型の筋部材(9)を配置した状態で、異物進入防止部材(5)を異物除去可動部(6)とし、異物進入防止部材の縁(5d)から駆動部(6a)を駆動して異物進入防止部材(5)を回転させる構造を示す説明図であって、(8−A)は、お椀形の異物進入防止部材(5)の横からの断面図であり、(8−B)は推進機のフレーム(2)を省略した斜視図で、十字型に筋部材(9)を配置した異物進入防止部材(5)の動作説明図である。
図8には推進機のフレーム(2)の枠に設けられた駆動部(6a)にて異物進入防止部材の縁(5d)に回転を与えて異物進入防止部材(5)をαまたはβ方向に回転する様子を示しており、このとき異物進入防止部材(5)の回転を妨げない隙間をあけて筋部材(9)の端は推進機のフレーム(2)に固着しており筋部材(9)は回転しない。それにより、異物進入防止部材(5)の上に載った異物(8)は回転する異物進入防止部材(5)に振り落とされ、それで落ちない異物(8)は異物進入防止部材(5)の回転に伴って筋部材(9)にぶつかり掻き落として振り落とされることになり、より迅速に効率よく異物を除去して大きな事故を未然に防ぐことが可能になる。
(9−A)は1本の筋部材(9)を推進機のフレーム(2)から異物進入防止部材(5)の中央へと配置した斜視図であり、筋部材(9)は図8のように異物進入防止部材(5)の直径に相当する範囲にかかる大きさではなく、異物進入防止部材(5)の回転を妨げない隙間をあけて推進機のフレーム(2)の半径に相当する大きさで、筋部材(9)の一端は推進機のフレーム(2)に固着して回転しない構造であることを示している。
(9−B)の断面図で示すように異物進入防止部材(5)が駆動部(6a)の駆動力により回転することで、異物進入防止部材(5)に載った異物はその回転で振り落とされるとともに異物進入防止部材(5)の回転に伴って固定された筋部材(9)に異物がぶつかり掻き落とされることになる。
(9−C)は推進機のフレーム(2)の枠に設けられた異物進入防止部材(5)を異物除去可動部(6)として回転させるため駆動部(6a)との関連を一例として拡大図で示しているが、駆動部(6a)の位置や向きなど異物進入防止部材(5)を回転させる構成はこの限りではないし、(9−C)の図中で推進機のフレーム(2)の上端にある丸形の図はベアリングであって、異物進入防止部材(5)がスムーズに回転する仕組みの一例を現わしている。
(10−A)は推進機のフレーム(2)に異物進入防止部材(5)が設けられ、異物進入防止部材の縁(5d)に接して駆動部(6a)を配置した図の断面図で、(10−B)はその斜視図(図では推進機のフレーム(2)の記載は省略)で、駆動部(6a)が駆動すると異物進入防止部材(5)が振動する様子を模試的に波型波形で示している。
この振動の発生方法について説明すると、次の図11では振動発生用カム(10)などの動きにて異物進入防止部材の縁(5d)が上下に振動する動作を示しており、(11−A)はカムの回転により異物進入防止部材の縁(5d)が上下する説明図で、(11−B)は異物進入防止部材の縁(5d)の受け部の形状により異物進入防止部材の縁(5d)が上下する説明図であり、(11−C)は異物進入防止部材(5)に配した回転部材の偏芯形状により(11−A)のカムの回転と同様の効果を生み出す説明図である。
回転を振動に変える方法の例を詳しく述べると、図10のように異物進入防止部材(5)を異物除去可動部(6)として駆動部(6a)で回転させるにあたり、(11−A)は非円形である振動発生用カム(10)の動作により異物進入防止部材の縁(5d)が上下に振動し、(11−B)はその振動発生用カム(10)の代わりに異物進入防止部材の縁(5d)の受け部(推進機のフレームの面)を波状の凸凹形状にして異物進入防止部材の縁(5d)が振動する構造を示したものであり、(11−C)は異物進入防止部材の縁(5d)に設けた回転部材として車軸中心が偏心した車を設けることで振動を発生させる事例を示している。
(11−B)(11−C)では異物進入防止部材(5)を駆動部(6a)で回転させる必要があるが、(11−A)では振動発生用カム(10)そのものを駆動部(6a)で回転させることも可能で、構造設計の際に異物進入防止部材(5)自体を駆動部(6a)で回転させなくても異物進入防止部材(5)は振動する。(異物除去の振動効果は低減するが構造は簡単になる)
このように、垂直離着陸飛行体(1)の設計仕様によっては異物進入防止部材(5)を回転ではなく、振動のみさせて異物進入防止部材(5)を異物除去可動部(6)として異物を振り落とすことができるし、図11の構造に他図面の筋部材(9)も加えることで、異物進入防止部材(5)の異物除去可動部(6)としての異物除去機能を高めることもできる。
この異物除去可動部(6)として機能させる部材については、異物進入防止部材(5)を固定にして筋部材(9)を回転させて異物除去可動部(6)としても良いし、筋部材(9)を固定にして異物進入防止部材(5)を異物除去可動部(6)として回転させても良く、この場合、図では1本の筋部材(9)で説明しているが、複数の筋部材を円周部に配置しても良い。
いずれにしても、複数のプロペラに対して1つの異物進入防止部材(5)を設けた構造の垂直離着陸飛行体(1)であっても、その異物進入防止部材(5)が異物除去可動部(6)として空気流により回転する、または駆動部(6a)の駆動力で回転させることで異物(8)を振り落とす構造もあれば、異物進入防止部材(5)の上に配置した筋部材(9)が異物除去可動部(6)として空気流により回転する、または駆動部(6a)の駆動力で回転させることで異物(8)を掻き落とす構造もあるし、異物進入防止部材(5)が異物除去可動部(6)としてその回転により異物を振り落とし、かつその回転中に異物(8)が筋部材(9)にあたって掻き落とされるなど、異物進入防止部材(5)の大きさ、形状と筋部材(9)の大きさ、形状の組合せは様々な構成で異物除去が可能である。
異物進入防止部材の振動については、先の図10、図11で説明済みのため、ここではそのイメージ図を発明の説明とするにとどめる。
詳しく述べると、回転可能な複数の軸が並列に配置された矩形の異物進入防止部材(5)は、各プロペラ(4)の上方に垂直離着陸飛行体(1)の外周の側が低くなるよう斜めに配置している。
その矩形枠を上面から見た場合、あたかも網や桟を設けたように異物(8)が通り抜けし難い隙間で並列に軸を並べた構造であり、軸そのものにはスクリュー状の突起や複数の凸部を設けてあるため、空気取込口(3)で発生する空気流によって軸は自動回転する。空気の流れが弱い場合であっても異物(8)が載った場合はその重みで軸が回転して低い側へと転がり落ちることになる。
空気流や異物の重みで自動的に回転する軸を複数配置する構造であるため、図14の異物進入防止部材(5)は操縦者(7a)の操作がなくても常に可動可能な異物除去可動部(6)であり、鳥類や他の異物(8)が張り付こうとしても異物進入防止部材(5)を通り抜けられず、かつ網や桟と違って鳥がしがみつくこともできず飛行体の外側へと滑り落ちて除去される。
図15では異物進入防止部材(5)を弾頭型にする事で、図では省略しているが垂直離着陸飛行体(1)の上下方向に対する空気抵抗を少なくし、異物(8)が衝突した場合に速やかに垂直離着陸飛行体(1)の下方へ異物(8)を落下させられるので安定飛行することが期待できる。
一例として(15−A)の外観図のように、弾頭型の格子状カバーの異物進入防止部材(5)の中心軸または推進機のフレーム(2)などに、図示していないが駆動部(6a)を配置しその駆動力で異物進入防止部材(5)を回転させる構造とする、または(15−B)では異物進入防止部材(5)の格子状カバーの上部に飛行中に異物進入防止部材(5)が受ける空気流によって自動でカバーが回転するための補助翼を設けた状態を示しているが、このように異物進入防止部材(5)が弾頭型で空気抵抗も少なく鳥類や他の異物が載っても滑り落ち易く、かつ異物進入防止部材(5)の格子状のカバーが任意に回転出来る構造にすることで、異物(8)が異物進入防止部材(5)に載っても留まることなくサラリと受け流せる。ここで、(15−B)の半断面図中央で縦方向の上下2か所に矩形が中心軸より突起したように図示しているのはベアリングであって、異物進入防止部材(5)がスムーズに回転する仕組みを現わしている。
すべての飛行体には一つもしくは複数設置される推進機(プロペラ)による揚力と推力の発生が求められ、本願の垂直離着陸飛行体の場合は、複数の推進機(プロペラ。ローターとも呼ばれる回転翼)で揚力を発生し、空中で留まる状態のホバリングや、ホバリング状態から垂直、水平方向へ低速移動することが可能であり、周囲の気流の変化に対応し、各々の推進機(プロペラ)の回転はこれら変化に対応して機体の安定飛行のために高度な制御技術が求められる。しかし滑走路を滑走して離着陸する一般の飛行体の場合は、ジェットエンジンの噴射もしくはプロペラの回転から推力を得て加速前進し、その前進移動と固定翼によって得る揚力は飛行体の翼に設けられたフラップの角度で制御される点が異なる。
垂直離着陸飛行体を安定飛行させるためには複数の推進機(プロペラ)の各々を、回転方向と回転速度の調整により制御する必要があり、突発的な負荷変動をもたらす異物を除去するための駆動を推進機の駆動源に含めることは、本来の推進機(プロペラ)の制御をさらに難しくするものであって好ましくない。
特に、垂直離着陸飛行体においては飛行体の上面に人が乗る操縦席が設けられる場合もあれば飛行操作のための重要部位が搭載されることもあるし、複数の推進機が水平位置の各所に配置されており、高速で弾き飛ばすと異物がそれら重要部位に衝突して破損したり操縦困難に陥るなどの二次障害を発生する可能性があり、単に異物進入防止部材上の異物を取り除くことのみを異物除去可動部は目的とするので、本願実施例に記載している各種方法をもって周囲に低速で振り落とすことで異物が上記重要部位を破損することなく異物を除去すれば、二次障害の発生も食い止められるので垂直離着陸飛行体においては闇雲に異物除去可動部を高速で回転させて異物を弾き飛ばすのは好ましくない。
そして複数の推進機(プロペラ)を安定して制御コントロールするためにも、飛行体の推進力を生み出す駆動手段とは別の駆動手段、つまり異物進入防止部材の上下における空気流を異物除去可動部の駆動源に用いたり、筋部材や異物進入防止部材の一部の面などを駆動させたり、異物除去可動部を振動や回転させる駆動部を設けて駆動するなど、飛行体の推進力を生み出す駆動手段とは別の駆動源とすることで、その目的を得ることが可能になる。
ここで、異物対象を昆虫まで広げる理由はドローンの機体にも色々な大きさが世に提供されており、大きなものでは大型の物資を搬送する大型ドローンから、小さなものではカメラなどを含む各種センサーを搭載して上空から情報収集をする機体や、玩具としてのドローンなど多様なドローンが存在し、空中を浮遊する昆虫も相対的に小さなドローンの飛行に致命的になる可能性があるので本願の異物除去可動部の技術は重要である。
2 推進機のフレーム
2a ガイドレール
3 空気取込口
4 プロペラ
5 異物進入防止部材
5a 異物進入防止部材の網
5b 異物進入防止部材の桟
5c 補助翼
5d 異物進入防止部材の縁
5e 異物進入防止部材の隙間
6 異物除去可動部
6a 駆動部
6b 操作部
6c 制御部
7 操縦席
7a 操縦者
8 異物
9 筋部材
10 振動発生用カム
Claims (13)
- 上面に開放された空気取込口の上に異物進入を防止する異物進入防止部材を設け、該異物進入防止部材の上で該空気取込口を塞ぐ異物があれば該異物を該異物進入防止部材の上から振り落として除去する異物除去可動部付き垂直離着陸飛行体。
- 前記異物除去可動部は、前記異物を振り落とすために低速で可動する、請求項1に記載の異物除去可動部付き垂直離着陸飛行体。
- 前記異物除去可動部は、前記異物進入防止部材が前記空気取込口の上で回転することにより前記異物を除去する請求項1または請求項2に記載の異物除去可動部付き垂直離着陸飛行体。
- 前記異物進入防止部材の回転は、該異物進入防止部材に補助翼を設けて空気取込口への空気流にて回転する請求項3に記載の異物除去可動部付き垂直離着陸飛行体。
- 前記異物進入防止部材の回転は、該異物進入防止部材の縁に駆動部を設けて該駆動部の力で回転する請求項3に記載の異物除去可動部付き垂直離着陸飛行体。
- 前記異物除去可動部は、前記異物進入防止部材の上で筋部材が回転することにより前記異物を除去する請求項1または請求項2に記載の異物除去可動部付き垂直離着陸飛行体。
- 前記筋部材の回転は、前記異物進入防止部材の上で筋部材にあたる空気流にて回転する請求項6に記載の異物除去可動部付き垂直離着陸飛行体。
- 前記筋部材の回転は、前記異物進入防止部材の上で筋部材に駆動部を設けて該駆動部の力で回転する請求項6に記載の異物除去可動部付き垂直離着陸飛行体。
- 前記異物除去可動部は、前記異物進入防止部材を振動させるために駆動部を設けて前記異物進入防止部材の振動にて前記異物を除去する請求項1または請求項2に記載の異物除去可動部付き垂直離着陸飛行体。
- 前記異物進入防止部材の上面に筋部材を設けて、該異物進入防止部材または該筋部材を可動することで、該異物進入防止部材の上面の前記異物を除去する請求項1または請求項2に記載の異物除去可動部付き垂直離着陸飛行体。
- 前記可動は、前記異物進入防止部材または前記筋部材を可動するために駆動部を設けて可動する請求項10に記載の異物除去可動部付き垂直離着陸飛行体。
- 前記異物除去可動部は、前記異物進入防止部材の面の一部を可動可能にする前記異物を除去する請求項1または請求項2に記載の異物除去可動部付き垂直離着陸飛行体。
- 前記駆動部は飛行体の操縦者の操作にて駆動可能とする請求項5、請求項8、請求項9、および請求項11のいずれかに記載の異物除去可動部付き垂直離着陸飛行体。
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