JP2019156264A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
前記空気入りタイヤのサイドウォールに、表面の凹凸によって互いに識別可能に形成された2種類の濃淡要素でドットパターンを形成した矩形形状の二次元コードが設けられ、
前記二次元コードは、前記空気入りタイヤに規定内圧の空気を充填したとき、タイヤ周方向に沿ったサイドウォールの表面凹凸の高さ分布に関して、前記空気入りタイヤの回転中心軸周りの見込み角度が5度のタイヤ周上の範囲において、前記表面凹凸の高さの最大値と最小値の差が0.5mm未満となる部分に設けられている。
前記部分は、前記補強材重なり部から離れている、ことが好ましい。
本明細書において、タイヤ幅方向は、空気入りタイヤの回転軸と平行な方向である。タイヤ幅方向外側は、タイヤ幅方向において、タイヤ赤道面を表すタイヤ赤道線CL(図1参照)から離れる側である。また、タイヤ幅方向内側は、タイヤ幅方向において、タイヤ赤道線CLに近づく側である。タイヤ周方向は、空気入りタイヤの回転軸を回転の中心として回転する方向である。タイヤ径方向は、空気入りタイヤの回転軸に直交する方向である。タイヤ径方向外側は、前記回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ径方向内側は、前記回転軸に近づく側をいう。
図1は、一実施形態の空気入りタイヤ10(以降、単にタイヤ10という)の構成の一例を示す図である。図1は、タイヤ赤道線CLに対してタイヤ幅方向の一方の側のプロファイル断面を示す。
この他に、ベルト材14bとトレッドゴム部材18との間には、ベルト14のタイヤ径方向外側からベルト14を覆う、有機繊維をゴムで被覆した3層のベルトカバー30を備える。ベルトカバー30は、必要に応じて設ければよく、必須ではない。ベルトカバー30の層数も3枚に限定されず、1枚あるいは2枚であってもよい。
このようなタイヤ10のサイドウォール部10Sの表面(サイドウォールの面)に二次元コード40(図1では太線で表示されている)が設けられている。
図2(a),(b)は、一実施形態の二次元コード40の例を説明する図である。
二次元コード40は、図1に示すように、サイドウォール部10Sのサイドゴム部材20の表面(サイドウォール)に刻印されている。一実施形態によれば、二次元コード40は、タイヤ幅方向の両側にあるサイドウォール部10Sの双方の、サイドゴム部材20の表面に形成される。別の一実施形態によれば、いずれか一方のサイドウォール部10Sのサイドゴム部材20の表面に形成される。
二次元コード40は、表面の凹凸によって互いに識別可能に形成された2種類の濃淡要素でドットパターンを形成したものである。二次元コード40は、レーザ光をサイドウォール部10Sの表面で集束させてエネルギを集中しサイドゴム部材20を局所的に加熱焼却して表面に微小なドット孔40a(図2(b)参照)を複数刻印することにより形成されたパターンである。ドット孔40aは、例えば円錐形状の孔であり、トレッド表面における直径は、例えば0.1〜1.0mmであり、深さ(図3(b)中のb)は、例えば0.3〜1.0mmである。
二次元コード40は、図2(a)に示すように、二次元コード40の濃淡要素を区分けする単位セルのうち濃領域の単位セル領域に1つのドット孔40a(凹部)が設けられて構成されている。すなわち、二次元コード40は、格子状に分割した同一サイズの矩形形状の複数の単位セル領域に対応して、1つのドット孔40aが濃淡要素の濃い1つの単位セル領域を形成するように、ドット孔40aが配置された構成を有する。図2(a)中、単位セル領域の濃領域は、黒く塗りつぶされた領域で示されている。
図2(a)に示す二次元コード40はQRコード(登録商標)であるので、ドットパターン領域42は、QRコード(登録商標)のデータセルを表示したデータセル領域42aと、切り出しシンボルを表示した切り出しシンボル領域42bとを含む。
見込み角度が5度であるとは、例えば、リムサイズ12〜22インチのタイヤの場合、例えば15〜32mmの長さに概略相当する。この長さは、サイドウォールに実用上設けられる二次元コード40のタイヤ周方向の長さ以上であって、その長さの200%以下、あるいは、180%以下に相当する。
二次元コード40の刻印を、空気入りタイヤ10の空気充填前に行う場合、規定内圧の空気を充填したときのサイドウォールのタイヤ周上の表面凹凸の情報を得ることはできない。しかし、カーカスプライ材がタイヤ周上で二層に重なるカーカスプライ材重なり部のタイヤ周上の位置の情報は、タイヤ製造工程内で取得できることから、二次元コード40の打刻場所からカーカスプライ材重なり部を外すことができる。
カーカスプライ12は、カーカスコード11とカーカスコード11を被覆したコーティングゴム13とで構成されたシート状のカーカスプライ材がタイヤ周上にトロイダル状に巻き回され、カーカスプライ材の端部同士が接合した構成である。すなわち、カーカスプライ材重なり部(以降、重なり部という)50では、図4(a)に示すように、カーカスプライ材の端部に含まれるカーカスコード11が厚さ方向に重なるように配置されているため、重なり部50は、重なり部50以外のカーカスプライ12の部分と比べて引っ張りに対する伸び量が小さい。このため、空気入りタイヤ10をリムに組み付け、空気を充填したときに、重なり部50のカーカスコード11の伸び量が、重なり部50以外のカーカスコード11の伸び量と比べ小さく、サイドウォールの面には、重なり部50に対応する位置に凹部が表れやすい。特に、凹部は、タイヤの軽量化、転がり抵抗の低下のために、さらに、ゴム材料のコストを抑えるために、例えばサイドゴムの厚さを薄くした場合に目立ちやすい。
重なり部50は、カーカスプライ材をタイヤ成形ドラム上で巻き回した時に、カーカスプライ材の端部同士を部分的に重ね合わせて形成される部分であってもよく、また、長尺状のカーカスプライ材を作製するために、長さの限られたシート状のカーカスプライ材の端部同士を継ぎ当てることで形成される部分であってもよい。
リッジ模様領域に二次元コード40を設けても、リッジ模様領域の濃淡の程度は、略一定であるので、二次元コード40の濃淡要素を正確に読み取ることができる。リッジ模様領域は、空気入りタイヤ10の加硫工程において、タイヤ金型と加硫中の未加硫タイヤの間に存在する空気をリッジに沿って流し、ベントホールからタイヤ金型の外部に排出することができるので、サイドウォールの加硫が十分でない加硫故障は発生しにくい。確認できない程度の軽微な加硫故障の場所でも、この場所に、熱を付与して局部的にサイドゴムを変質させてドット孔40aを設けることで二次元コード40を刻印すると、空気入りタイヤ10の長期使用に伴ってサイドゴムにクラック等が発生しその結果、二次元コード40の表面凹凸は大きく変化し、濃淡要素も変化し易い。この点から、加硫故障の発生が極めて少ないリッジ模様領域に二次元コード40を設けることは、長期使用後の二次元コード40の読み取り性の低下を抑制する点から好ましい。
なお、二次元コード40全部が、リッジ模様領域内に設けられていること、あるいは、平滑面領域内に設けられていることが好ましい。
上述の実施形態の効果を確認するためにサイドウォールの表面凹凸が異なる空気入りタイヤ10(タイヤサイズ:195/65R15 91H)を種々作製して、表面凹凸の異なる場所に二次元コード40、具体的には、QRコード(登録商標)を設けた。空気入りタイヤ10は、図1に示すタイヤ構成とした。サイドウォールの表面凹凸は、サイドゴム部材20の厚さを変更して調整した。空気入りタイヤ10は、ETRTOで規定される「Measuring Rim」にリム組し、ETRTOで規定される「INFLATION PRESSURES」の内圧の空気を充填した。空気入りタイヤ10は、実施例、比較例それぞれにおいて、照明光の当て方を種々変化させて携帯端末で二次元コード40の読み取りの可否を調べた。
下記表1,2は、二次元コード40を刻印した部分のサイドウォールの表面凹凸の情報とそのときの読み取り率を示す。
また、実施例1,2の比較より、二次元コード40は、傾斜領域を含まないことが読み取り性向上の点で好ましいことがわかる。さらに、実施例3,4の比較より、見込み角度10度における最大値と最小値の差が0.3mm未満であることが、読み取り性向上の点で、好ましいことがわかる。
10T トレッド部
10S サイドウォール部
10B ビード部
11 カーカスコード
12 カーカスプライ
13 コーティングゴム
12a,12b プライ
12ae,12be,12e カーカスプライ端
14 ベルト
14a,14b ベルト材
16 ビードコア
18 トレッドゴム部材
20 サイドゴム部材
22 ビードフィラーゴム部材
24 リムクッションゴム部材
26 インナーライナゴム部材
30 ベルトカバー
40 二次元コード
42 ドットパターン領域
42a データセル領域
42b 切り出しシンボル領域
44 空白領域
50 カーカスプライ材重なり部
52a,52b 傾斜領域
Claims (7)
- 空気入りタイヤであって、
前記空気入りタイヤのサイドウォールに、表面の凹凸によって互いに識別可能に形成された2種類の濃淡要素でドットパターンを形成した矩形形状の二次元コードが設けられ、
前記二次元コードは、前記空気入りタイヤに規定内圧の空気を充填したとき、タイヤ周方向に沿ったサイドウォールの表面凹凸の高さ分布に関して、前記空気入りタイヤの回転中心軸周りの見込み角度が5度のタイヤ周上の範囲において、前記表面凹凸の高さの最大値と最小値の差が0.5mm未満となる部分に設けられている、ことを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記部分は、前記見込み角度が2.5度の範囲で、前記表面凹凸の高さの変化が前記最大値と最小値の差の半分以上を占める、連続的に減少あるいは増加する傾斜領域を含まない、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記二次元コードは、前記見込み角度が10度のタイヤ周上の範囲において、前記表面凹凸の高さ分布に関して、前記表面凹凸の高さの最大値と最小値の差が0.3mm未満となる部分に設けられている、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記部分は、前記空気入りタイヤのカーカスプライ材がタイヤ周上の一部で二層に重なっているカーカスプライ材重なり部から離れている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記空気入りタイヤは、前記空気入りタイヤのカーカスプライ材と前記サイドウォールの表面との間に補強繊維がゴムで被覆された補強材が設けられ、前記空気入りタイヤは、前記補強材がタイヤ周上の一部で二層に重なっている補強材重なり部を有し、
前記部分は、前記補強材重なり部から離れている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。 - 前記部分は、線状のリッジが複数形成されたリッジ模様領域、あるいは、前記リッジが設けられない平滑面領域に設けられている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記二次元コードが設けられる前記部分において、前記サイドウォールを形成するサイドゴム部材の前記表面から、前記部分に最も近い前記空気入りタイヤのカーカスプライ材の側にある前記サイドゴム部材の内側面までの距離は、2.5mm以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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