JP2019155211A - 粉砕機及びその監視方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このような粉砕機は、回転テーブルの中央に粉砕原料が供給されると回転テーブルの回転により、粉砕原料が回転テーブルの外周部へと移動する。外周部には、粉砕ローラが圧接して回転しているので、粉砕原料は、粉砕ローラと回転テーブルの間へ侵入して粉砕される。
ところで粉砕機を長時間運転していると、粉砕ローラとローラ軸の間に設けたオイルシールの経年劣化によって生じる粉砕ローラとローラ軸の隙間にダスト(粉粒体)が堆積してオイルシールが摩耗して破損するなどして、オイル漏れやベアリングの摩耗で回転不良となる不具合を生じてしまう。
また発電所においては、粉砕機を用いて塊状の石炭を微粉炭にして燃料としているが、時として粉砕時に粉砕ローラが滑って大きく揺れることがあり、この振動を自動検知して粉砕機を停止させてしまうなど粉砕設備の稼働に支障をきたしてしまう。
粉砕機は外気と遮断されたケーシング内部に粉砕ローラを設置しているため、粉砕ローラが正常回転しているか否かを確認することは困難であり、万一粉砕ローラの不具合が生じた場合、粉砕機を停止後、分解して点検や部品を交換するしかなかった。
一般に運転中の粉砕機はケーシング内に熱空気を供給及び排気する状態であり、ケーシング内外で圧力差が生じている。このため、この圧力差を利用して、図8に示すシールボックス50の外気供給管52から外気(シールエア)を上部ケーシング1B内に取り込み、ダストの溜まり易い箇所60(シールボックス50と粉砕ローラ3の隙間)に噴出させることにより、ダストの堆積を防いでいた。
特許文献2によれば、計測器の取付け箇所は粉砕ローラから離れた場所にある。このため真の値とずれる測定誤差のおそれがあり、対応に遅れが生じるおそれがあった。
前記シールボックスは、外部から前記オイルシールを視認できる開口と、内部に前記ローラ軸が貫通する貫通孔と前記ケーシング内にシールエアを供給可能な供給孔を有するシール部を設け、前記開口から前記供給孔を経由してシールエアを取り込む第1室と、前記開口から点検窓を介して前記オイルシールを視認可能な第2室からなることを特徴とする粉砕機を提供することにある。
上記第1の手段によれば、シールエアを取り込むルートとオイルシールを分けているため、シールエアを取り込むルートによってダストを押し戻すことができ、オイルシールの摩耗や破損して隙間が生じたとしてもオイルシールへのダストの侵入を防ぐことができる。また従来、ボックスに覆われていたオイルシールが開口及び点検窓を介して外部から視認できるようになり、点検又は清掃などのメンテナンスが容易となり、かつオイル漏れ、ダストの侵入、回転不良等の不具合を運転中に発見することができ、トラブル発生に速やかに対処できる。
上記第2の手段によれば、シールエアをシールボックスと粉砕ローラが接触する箇所へ均一に供給して、堆積するダストを効果的に除去できる。またシールボックスのメンテナンス時において、上部の供給孔からエアを吹き付けてダストを落下させて、最下端に設けた供給孔から外部へダストを排出させることができる。
上記第3の手段によれば、運転中の粉砕機において、粉砕ローラとシールボックスの隙間からシールエアが排気される箇所に付着するダストを自動的に取り除くことができる。
上記第4の手段によれば、シールボックスの開口から視認できるローラ軸へ振動計を容易に取り付けることができる。また粉砕ローラに近いローラ軸上に振動計を取り付けることにより、測定誤差の少ない真の値に近いデータが得られる。
上記第5の手段によれば、シールボックスの開口から視認できる粉砕ローラへ回転計測部を容易に取り付けることができる。回転計測部により時間当たりの回転による移動速度や脈動の有無を測定することができ、粉砕機の精度良い運転ができる。
前記シールボックスの開口から視認できる前記ローラ軸を介して前記粉砕ローラの振動状態又は前記粉砕ローラの回転速度を測定する工程と、
前記振動状態又は前記回転速度の測定に基づいて、前記回転テーブルの回転速度又は粉砕原料の投入量を制御する工程と、
を有することを特徴とする粉砕機の監視方法を提供することにある。
上記第6の手段によれば、粉砕ローラの振動状態の測定値に基づいて回転テーブルの回転速度や粉砕原料の投入量を調整し、運転中の粉砕機を監視できる。
また粉砕ローラの回転速度の測定値に基づいて回転数、及びそのばらつき(脈動)の有無のデータを取得し、粉砕機の精度良い運転が可能となり、運転中の粉砕機を監視できる。
また本発明によれば、シールボックスの開口から点検窓を介してオイルシールを目視できる。これにより大掛かりな粉砕機の分解作業を行うことなく容易に点検できる。
本発明によれば、シールボックスと粉砕ローラが接触する箇所に堆積するダストを運転中自動で掻き取ることができる。
本発明によれば、粉砕ローラの振動状態の計測をローラの近くで行うことができる。これにより、オイルシールの摩耗や破損に起因する異常動作を未然に防ぐことができる。
[粉砕機1]
図1は本発明の粉砕機の説明図である。図示のように粉砕機1は、粉砕機1の外郭を形成する上部ケーシング1B、下部ケーシング1A、粉砕機1の下部に設置された減速機2B、駆動モータ2Mによって駆動される回転テーブル2、並びに、コニカル型の粉砕ローラ3を備えている。また、粉砕機1は、駆動モータ2Mの駆動用電源として図示しないインバータ電源を備えて、運転中、回転テーブル2の回転速度が任意に変更可能な可変速式の粉砕機1である。
そして粉砕機1は、上部に形成された原料投入口35Aから原料投入シュート35を介して、回転テーブル2上に原料を投入する構成となっている。原料投入シュート35から回転テーブル2上に供給された原料は、粉砕ローラ3により粉砕される。
ここで、粉砕機1は、機内の上部に固定式の一次分級羽根24、回転式の回転分級羽根23、及び、回転軸25、で構成される分級機構26を備えており、回転分級羽根23の外周側に固定式の一次分級羽根24が配置されている構造となっている。
また、粉砕機1は、回転テーブル2の下方に熱空気を導入するための熱空気供給口33と、極端に大きな重量の原料を取り出すための下部取出口34(排出シュート34と称することもある)と、を備えており、回転テーブル2の上方には、熱空気と共に製品(粉砕されて所望の粒径となった原料)を機外に取り出すことのできる原料取出口39(上部取出口39と称することもある)を備えている。
粉砕機1は前述の構成によって、運転中に、熱空気供給口33より熱空気を導入することによって、回転テーブル2下方から一次分級羽根24及び回転分級羽根23を通過して原料取出口39へと流れる熱空気の気流が生じている。
シールボックス50Aは、上部ケーシング1Bと、上部ケーシング1Bの外部からローラ軸10Bを覆うローラ軸カバー14の間に取り付けて、内部のオイルシール70を覆うと共に、粉砕ローラ3に接する部材である。このシールボックス50Aは、ローラ軸10Bの軸心を同一軸心とする小筒501と大筒502の二重の円筒状に形成し、小筒501の端部がローラ軸カバー14に接続し、大筒502の外周面が上部ケーシング1Bに接続し、かつ端部側で粉砕ローラ3の端部を覆うように接している。また小筒501には点検窓503を設けている。点検窓503は、内部(ローラ軸10B側)のオイルシール70が視認できる窓であり、着脱可能としている。
このようなシールボックス50Aは、ローラ軸カバー14と上部ケーシング1Bの間に形成された開口(小筒501を設けた箇所)からシール部54の供給孔54Bを介してシールエアを取り込む第1室41と、オイルシール70を覆うと共に点検窓503を介してオイルシール70を視認できる第2室42の二部屋に分かれた構成となる。そして第2室42の構成により、オイルシール70からシールエアを隔てているため、オイルシール70が経年劣化による摩耗や破損して隙間が生じたとしてもオイルシール70へのダストの付着を防止できる。
[粉砕機1の運転中]
粉砕機1の運転中は熱空気によるケーシング内の負圧により、開口(小筒501を設けた箇所)からシールエアがシール部54の供給孔54Bを介してシールボックス50Aの第1室41に供給される。そして大筒502の内周面と接する粉砕ローラ3の隙間からシールエアが粉砕機1内へ供給される。このとき、大筒502と粉砕ローラ3が接する箇所(粉砕機1内)に堆積するダストをシールエアによって吹き飛ばすことができる。このようなシールエアは、シール部54に放射状に設けた供給孔54Bによって、大筒502と粉砕ローラ3が接する箇所(粉砕機1内)に均等に吹き付けているため、ダストの堆積を効果的に防止できる。
粉砕機1内が負圧下にないメンテナンス中は、シール部54に設けた複数の供給孔54Bの内で最上部にある箇所からエアを吹き込み(矢印X1)、第1室41内に堆積したダストを最下部にある供給孔54Bから吹き出し(矢印X2)容易にダストを除去できる。
[ダスト掻き取り部62]
図5はダスト掻き取り部の説明図である。図示のようにダスト掻き取り部62は、粉砕ローラ3に取り付けている。より具体的には粉砕ローラ3からシールボックス50Aの大筒502外表面へ跨るようにブラシまたはスクレーバなどを設けている。このような構成のダスト掻き取り部62は、粉砕ローラ3の回転に追従して大筒502の外表面を軸回りに回転しながら、大筒502と粉砕ローラ3が接する箇所(粉砕機1内)に堆積するダストを運転中掻き取ることができる。
運転中の粉砕機1は、シールボックス50A内に以下に示す粉砕ローラの計測器を取り付けることにより運転状態を監視している。
[振動計64]
図6は振動計の説明図である。図示のようにシールボックス50Aの小筒501の点検窓503から(点検窓503を取り外して)視認できるローラ軸10Bに振動計64を取り付けている。振動計64はローラ軸10Bの振動状態を測定できる。振動計64は粉砕機1の中央制御室(不図示)と電気的に接続している。
このような構成の振動計64は、粉砕ローラ3の振動測定を粉砕ローラ3に最も近いローラ軸10B上から測定することができる。このため真の値に近い、換言すると測定誤差の少ない測定が行える。
振動計の測定値を受信した中央制御室では、測定値に基づいて回転テーブルの回転速度や粉砕原料の投入量を調整できる。
図7は回転計測部の説明図である。図示のようにシールボックス50Aの開口(小筒501を設けた箇所)の点検窓503から(点検窓503を取り外して)視認できる粉砕ローラ3に反射マーク(黒点など)を取り付け、回転計測部66となる光電式検出部をローラ軸10Bに取り付けている。光電式検出部は反射マークにレーザ光を照射した反射光を検出して粉砕ローラの回転速度を測定できる。回転計測部66は粉砕機1の中央制御室(不図示)と電気的に接続している。
このような構成の回転計測部66は、粉砕ローラ3と共にローラ軸10Bの軸回りを回転する反射マークにレーザ光を照射し、その反射光を検出して粉砕ローラ3の回転速度を測定している。本実施例は、一例として光電式の回転計測器を用いて説明したが、計測器はこれに限定されることなく、反射マークを磁性体としこれを検出する磁力式などその他の近接式計測器を使用しても同様の効果が得られる。
回転計測部66の測定値を受信した中央制御室では、測定値に基づいて回転数、及びそのばらつき(脈動)の有無のデータを取得し、粉砕機1の精度良い運転が可能になる。
また、本発明は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
Claims (6)
- ケーシング内の回転テーブルに従動する粉砕ローラと、前記粉砕ローラを軸支するローラ軸と、前記粉砕ローラと前記ローラ軸の隙間をシールするオイルシールと、前記ローラ軸に取り付けて前記オイルシールを覆って前記粉砕ローラに接するシールボックスを有する粉砕機において、
前記シールボックスは、外部から前記オイルシールを視認できる開口と、内部に前記ローラ軸が貫通する貫通孔と前記ケーシング内にシールエアを供給可能な供給孔を有するシール部を設け、前記開口から前記供給孔を経由してシールエアを取り込む第1室と、前記開口から点検窓を介して前記オイルシールを視認可能な第2室からなることを特徴とする粉砕機。 - 前記供給孔は、前記シール部の軸心から放射状に複数設け、少なくとも1つは最下端に設けたことを特徴とする請求項1に記載の粉砕機。
- 前記ケーシング内で前記粉砕ローラと前記シールボックスの隙間から前記シールエアが排気される箇所に付着するダストのダスト掻き取り部を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の粉砕機。
- 前記シールボックスの開口から視認できる前記ローラ軸に取り付けて前記粉砕ローラの振動状態を測定可能な振動計を設けたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1に記載の粉砕機。
- 前記シールボックスの開口から視認できる前記粉砕ローラの回転速度を測定可能な回転計測部を設けたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1に記載の粉砕機。
- ケーシング内の回転テーブルに従動する粉砕ローラと、前記粉砕ローラを軸支するローラ軸と、前記粉砕ローラと前記ローラ軸の隙間をシールするオイルシールと、前記ローラ軸に取り付けて前記オイルシールを覆って前記粉砕ローラに接するシールボックスを有する粉砕機の監視方法において、
前記シールボックスの開口から視認できる前記ローラ軸を介して前記粉砕ローラの振動状態を測定又は前記粉砕ローラの回転速度を測定する工程と、
前記振動状態又は前記回転速度の測定に基づいて、前記回転テーブルの回転速度又は粉砕原料の投入量を制御する工程と、
を有することを特徴とする粉砕機の監視方法。
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