JP2019147750A - 新規な2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】煩雑な操作や特別な材質の装置を必要とすることなく、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンを効率よく製造するための、新規な製造方法の提供。【解決手段】2−メチルフェノールとアセトンとを反応させて2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンを製造する方法において、ヘテロポリ酸またはヘテロポリ酸塩および、チオール化合物存在下に反応させることを特徴とする、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンの製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、2−メチルフェノールとアセトンとを反応させて2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンを製造する、新規な製造方法に関する。
従来、ビスフェノールAと称される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンや2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンに代表されるビスフェノール化合物は、ポリカーボネート樹脂などの熱可塑性合成樹脂原料、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂原料、酸化防止剤原料、感熱記録体原料、感光性レジスト原料などの用途で用いられる重要な化合物として知られている。
その製造方法としては、例えば、非特許文献1には、フェノールとアセトンとの反応を、濃塩酸または塩化水素存在下、助触媒として3−メルカプトプロピオン酸を用いて脱水縮合させる方法が説明されている。
その他の製造方法としては、特許文献1には、2−メチルフェノール、アセトンおよび塩酸との混合物に、硫酸を滴下しながら常温で反応させて2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンを得る製造方法が、特許文献2には、濃塩酸、3−メルカプトプロピオン酸および次亜リン酸塩の混合物に、フェノール類、アセトンおよび有機溶媒との混合物を滴下して反応させるビスフェノール化合物の製造方法が説明されている。
その製造方法としては、例えば、非特許文献1には、フェノールとアセトンとの反応を、濃塩酸または塩化水素存在下、助触媒として3−メルカプトプロピオン酸を用いて脱水縮合させる方法が説明されている。
その他の製造方法としては、特許文献1には、2−メチルフェノール、アセトンおよび塩酸との混合物に、硫酸を滴下しながら常温で反応させて2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンを得る製造方法が、特許文献2には、濃塩酸、3−メルカプトプロピオン酸および次亜リン酸塩の混合物に、フェノール類、アセトンおよび有機溶媒との混合物を滴下して反応させるビスフェノール化合物の製造方法が説明されている。
これら従来の製造方法において使用する、(濃)塩酸、塩化水素ガス、硫酸などの酸性触媒には次のような問題がある。塩化水素ガスの使用は専用の設備の導入が必要であり、取り扱いが困難である。(濃)塩酸は、塩化水素ガスよりは取り扱いが比較的容易であるが、容積率が低下するほか、塩酸を回収する設備が必要なため工業的には不向きである。また、硫酸は脱水作用が強いため副生成物が多く生成されるため、目的化合物の選択率が低下する。
さらに、塩化水素ガス、(濃)塩酸、硫酸は、ともに腐食性が高いため、保管や反応時には、耐腐食性の高いグラスライニングが施されたタンクや反応容器などの装置が必要となるが、これらの装置は、汎用されるステンレス製のものより高価であり、損傷しやすく取り扱いが難しい。
加えて、塩化水素ガスを使用する製造方法では、強酸性の廃液が多量に生じる。(濃)塩酸や硫酸を使用する製造方法では中和工程が必要であり、その際に発生する多量の塩を処理するために、複数回の水洗処理が必要となり、操作が煩雑となるうえに多量の廃(水)液が生じるという問題もあった。
さらに、塩化水素ガス、(濃)塩酸、硫酸は、ともに腐食性が高いため、保管や反応時には、耐腐食性の高いグラスライニングが施されたタンクや反応容器などの装置が必要となるが、これらの装置は、汎用されるステンレス製のものより高価であり、損傷しやすく取り扱いが難しい。
加えて、塩化水素ガスを使用する製造方法では、強酸性の廃液が多量に生じる。(濃)塩酸や硫酸を使用する製造方法では中和工程が必要であり、その際に発生する多量の塩を処理するために、複数回の水洗処理が必要となり、操作が煩雑となるうえに多量の廃(水)液が生じるという問題もあった。
日本化学会誌、1982年、No.8、p.1363〜1370
本発明は、上述した事情を背景としてなされたものであって、煩雑な操作や特別な材質の装置を必要とすることなく、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンを効率よく製造するための、新規な製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンの製造方法を検討した結果、2−メチルフェノールとアセトンとを、ヘテロポリ酸またはヘテロポリ酸塩および、チオール化合物存在下に反応させることにより、腐食性の酸性触媒を使用することなく、高収率かつ高選択的に2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンを製造できることを見出し、本発明を完成した。
本発明は以下の通りである。
1.2−メチルフェノールとアセトンとを反応させて2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンを製造する方法において、ヘテロポリ酸またはヘテロポリ酸塩および、チオール化合物存在下に反応させることを特徴とする、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンの製造方法。
2.前記ヘテロポリ酸またはヘテロポリ酸塩がリンタングステン酸である、1.記載の製造方法。
3.さらに、脱水剤の存在下で反応させることを特徴とする、1.または2.記載の製造方法。
1.2−メチルフェノールとアセトンとを反応させて2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンを製造する方法において、ヘテロポリ酸またはヘテロポリ酸塩および、チオール化合物存在下に反応させることを特徴とする、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンの製造方法。
2.前記ヘテロポリ酸またはヘテロポリ酸塩がリンタングステン酸である、1.記載の製造方法。
3.さらに、脱水剤の存在下で反応させることを特徴とする、1.または2.記載の製造方法。
本発明による2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンの製造方法は、従来公知の塩化水素ガス、(濃)塩酸、硫酸などの腐食性の酸性触媒を使用しないため、グラスライニングが施された特別な装置を必要とせず、多量の廃液やその処理操作を削減することができる。
また、酸性触媒としてヘテロポリ酸またはヘテロポリ酸塩を使用する本発明の製造方法は、塩化水素ガス、(濃)塩酸、硫酸などの酸性触媒を使用する場合に比べて、触媒量を大幅に低減することができるほか、反応終了後の反応液を水洗して容易に触媒を除去することが可能であり、しかも、この水洗水よりヘテロポリ酸を回収し、再利用することも容易であるため、工業的製造方法として非常に有用である。
また、酸性触媒としてヘテロポリ酸またはヘテロポリ酸塩を使用する本発明の製造方法は、塩化水素ガス、(濃)塩酸、硫酸などの酸性触媒を使用する場合に比べて、触媒量を大幅に低減することができるほか、反応終了後の反応液を水洗して容易に触媒を除去することが可能であり、しかも、この水洗水よりヘテロポリ酸を回収し、再利用することも容易であるため、工業的製造方法として非常に有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の製造方法は、下記反応式に示される様に、2当量の2−メチルフェノールと1当量のアセトンとの脱水縮合反応により、1当量の2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンと1当量の水が生成される製造方法である。
本発明の製造方法は、下記反応式に示される様に、2当量の2−メチルフェノールと1当量のアセトンとの脱水縮合反応により、1当量の2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンと1当量の水が生成される製造方法である。
<ヘテロポリ酸またはヘテロポリ酸塩について>
本発明の製造方法において好ましく用いられるヘテロポリ酸とは、一般的には異なる2種類以上の酸化物複合体からなる複合酸化物酸、およびこれらのプロトンの一部もしくはすべてを他のカチオンで置き換えたものである。ヘテロポリ酸は、例えば、リン、ヒ素、スズ、ケイ素、チタン、ゲルマニウム、コバルト、ホウ素、ジルコニウムなどの元素の酸素酸イオン(例えば、リン酸、ケイ酸)とモリブデン、タングステン、バナジウム、ニオブ、タンタルなどの元素の酸素酸イオン(例えば、バナジン酸、モリブデン酸、タングステン酸)とで構成されており、その組み合わせにより種々のヘテロポリ酸が可能である。具体的には、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、リンタングストバナジン酸、リンモリブドニオブ酸、ケイタングステン酸、ケイモリブデン酸、ケイモリブドタングステン酸、ケイモリブドタングストバナジン酸、ゲルマニウムタングステン酸、ホウタングステン酸、ホウモリブデン酸、ホウモリブドタングステン酸、ホウモリブドバナジン酸、ホウモリブドタングストバナジン酸、コバルトモリブデン酸などが例示される。ヘテロポリ酸は無水物であってもよく、結晶水含有物であってもよい。また、ヘテロポリ酸は活性炭、アルミナ、シリカ−アルミナ、ケイソウ土などの担体に担持した形態で用いてもよい。担体に担持させる方法としては、通常行われている手法を用いれば良い(例えば、Chem.Lett.,2002,p.1104、触媒,1997,39,4,p.292などを参照)。これらのヘテロポリ酸は単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用することもできる。また、ヘテロポリ酸塩としては、必ずしも限定されないが、これらヘテロポリ酸のアルカリ金属塩(セシウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩など)、アンモニウム塩よりなる群から選ばれる。
本発明の製造方法におけるヘテロポリ酸またはヘテロポリ酸塩として、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、ケイモリブデン酸、ケイタングステン酸、リンバナドモリブデン酸、リンタングストモリブデン酸、ケイタングストモリブデン酸、リンバナドタングステン酸が挙げられる。中でも、リンタングステン酸が最も好ましい。
このようなヘテロポリ酸またはヘテロポリ酸塩を使用する場合の使用量としては、アセトン1モルに対して、下限値としては0.01モル%以上が好ましく、0.04モル%以上がより好ましく、0.1モル%以上が特に好ましい。また、上限値としては、0.5モル%以下が好ましく、0.4モル%以下がより好ましく、0.3モル%以下が特に好ましい。
本発明の製造方法において好ましく用いられるヘテロポリ酸とは、一般的には異なる2種類以上の酸化物複合体からなる複合酸化物酸、およびこれらのプロトンの一部もしくはすべてを他のカチオンで置き換えたものである。ヘテロポリ酸は、例えば、リン、ヒ素、スズ、ケイ素、チタン、ゲルマニウム、コバルト、ホウ素、ジルコニウムなどの元素の酸素酸イオン(例えば、リン酸、ケイ酸)とモリブデン、タングステン、バナジウム、ニオブ、タンタルなどの元素の酸素酸イオン(例えば、バナジン酸、モリブデン酸、タングステン酸)とで構成されており、その組み合わせにより種々のヘテロポリ酸が可能である。具体的には、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、リンタングストバナジン酸、リンモリブドニオブ酸、ケイタングステン酸、ケイモリブデン酸、ケイモリブドタングステン酸、ケイモリブドタングストバナジン酸、ゲルマニウムタングステン酸、ホウタングステン酸、ホウモリブデン酸、ホウモリブドタングステン酸、ホウモリブドバナジン酸、ホウモリブドタングストバナジン酸、コバルトモリブデン酸などが例示される。ヘテロポリ酸は無水物であってもよく、結晶水含有物であってもよい。また、ヘテロポリ酸は活性炭、アルミナ、シリカ−アルミナ、ケイソウ土などの担体に担持した形態で用いてもよい。担体に担持させる方法としては、通常行われている手法を用いれば良い(例えば、Chem.Lett.,2002,p.1104、触媒,1997,39,4,p.292などを参照)。これらのヘテロポリ酸は単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用することもできる。また、ヘテロポリ酸塩としては、必ずしも限定されないが、これらヘテロポリ酸のアルカリ金属塩(セシウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩など)、アンモニウム塩よりなる群から選ばれる。
本発明の製造方法におけるヘテロポリ酸またはヘテロポリ酸塩として、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、ケイモリブデン酸、ケイタングステン酸、リンバナドモリブデン酸、リンタングストモリブデン酸、ケイタングストモリブデン酸、リンバナドタングステン酸が挙げられる。中でも、リンタングステン酸が最も好ましい。
このようなヘテロポリ酸またはヘテロポリ酸塩を使用する場合の使用量としては、アセトン1モルに対して、下限値としては0.01モル%以上が好ましく、0.04モル%以上がより好ましく、0.1モル%以上が特に好ましい。また、上限値としては、0.5モル%以下が好ましく、0.4モル%以下がより好ましく、0.3モル%以下が特に好ましい。
<チオール化合物について>
本発明の製造方法は、ヘテロポリ酸またはヘテロポリ酸塩からなる酸性触媒と併用して、チオール化合物を助触媒として使用する。本発明のチオール化合物としては、メルカプト基を有する化合物であれば特に限定されない。そのような化合物としては、例えば、3−メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸などのメルカプト基を有するカルボン酸類、メチルメルカプタン、1−オクタンチオール(オクチルメルカプタン)、1−ドデカンチオール(ラウリルメルカプタン)などの炭素数1〜12のアルキルメルカプタン類、メルカプトエタノール、メルカプトブタノールなどのメルカプトアルコール類、メルカプトピリジン、メルカプトニコチン酸、メルカプトピリジノオキサイド、メルカプトピリジノールなどのメルカプトピリジン類、チオフェノール、チオクレゾールなどのチオフェノール類が挙げられる。中でも、1−オクタンチオールなどの炭素数1〜12のアルキルメルカプタン類が好適である。また、チオール化合物を使用する場合には、予め該チオール化合物をナトリウム塩とし、水溶液とした状態で使用してもよい。
このようなチオール化合物を使用する場合の使用量としては、アセトン1モルに対して、下限値としては1モル%以上が好ましく、3モル%以上がより好ましく、6モル%以上が特に好ましい。また、上限値としては、20モル%以下が好ましく、18モル%以下がより好ましく、15モル%以下が特に好ましい。1モル%未満であると助触媒として機能を十分に発揮することができず、20モル%を超えても、それ以上に助触媒として機能を発揮できず、選択率はほとんど同じである。
本発明の製造方法は、ヘテロポリ酸またはヘテロポリ酸塩からなる酸性触媒と併用して、チオール化合物を助触媒として使用する。本発明のチオール化合物としては、メルカプト基を有する化合物であれば特に限定されない。そのような化合物としては、例えば、3−メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸などのメルカプト基を有するカルボン酸類、メチルメルカプタン、1−オクタンチオール(オクチルメルカプタン)、1−ドデカンチオール(ラウリルメルカプタン)などの炭素数1〜12のアルキルメルカプタン類、メルカプトエタノール、メルカプトブタノールなどのメルカプトアルコール類、メルカプトピリジン、メルカプトニコチン酸、メルカプトピリジノオキサイド、メルカプトピリジノールなどのメルカプトピリジン類、チオフェノール、チオクレゾールなどのチオフェノール類が挙げられる。中でも、1−オクタンチオールなどの炭素数1〜12のアルキルメルカプタン類が好適である。また、チオール化合物を使用する場合には、予め該チオール化合物をナトリウム塩とし、水溶液とした状態で使用してもよい。
このようなチオール化合物を使用する場合の使用量としては、アセトン1モルに対して、下限値としては1モル%以上が好ましく、3モル%以上がより好ましく、6モル%以上が特に好ましい。また、上限値としては、20モル%以下が好ましく、18モル%以下がより好ましく、15モル%以下が特に好ましい。1モル%未満であると助触媒として機能を十分に発揮することができず、20モル%を超えても、それ以上に助触媒として機能を発揮できず、選択率はほとんど同じである。
本発明の製造方法における、反応条件について以下説明する。
2−メチルフェノールの使用量は、アセトン1モルに対して2〜20モルの範囲が好ましいが、5〜15モルの範囲がより好ましく、8〜12モルの範囲が特に好ましい。2−メチルフェノールの使用量が2モル未満だと、反応が遅い上に目的とする2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンの他に、2−(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンや、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンのベンゼン環に2−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピル基がさらに置換した3核体などの副生成物が多くなり好ましくない。また、20モルを超えて使用すると反応速度は向上するが、未反応の2−メチルフェノールの回収量が増大し、生産性が低下するので実用的ではない。
反応温度は20〜80℃が好ましく、25〜50℃がより好ましく、30〜40℃が特に好ましい。反応圧力は、通常、常圧下で行われるが、用いてもよい有機溶媒の沸点によっては、反応温度が前記範囲内になるように、加圧または減圧下で行ってもよい。反応時間は触媒量、反応温度にもよるが、通常は1〜50時間の範囲であるが、1〜30時間の範囲が好ましく、1〜24時間の範囲がより好ましい。
2−メチルフェノールの使用量は、アセトン1モルに対して2〜20モルの範囲が好ましいが、5〜15モルの範囲がより好ましく、8〜12モルの範囲が特に好ましい。2−メチルフェノールの使用量が2モル未満だと、反応が遅い上に目的とする2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンの他に、2−(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンや、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンのベンゼン環に2−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピル基がさらに置換した3核体などの副生成物が多くなり好ましくない。また、20モルを超えて使用すると反応速度は向上するが、未反応の2−メチルフェノールの回収量が増大し、生産性が低下するので実用的ではない。
反応温度は20〜80℃が好ましく、25〜50℃がより好ましく、30〜40℃が特に好ましい。反応圧力は、通常、常圧下で行われるが、用いてもよい有機溶媒の沸点によっては、反応温度が前記範囲内になるように、加圧または減圧下で行ってもよい。反応時間は触媒量、反応温度にもよるが、通常は1〜50時間の範囲であるが、1〜30時間の範囲が好ましく、1〜24時間の範囲がより好ましい。
本発明の製造方法の実施において、反応溶媒は操作性に問題がなければ使用する必要はない。しかしながら、工業的生産時の操作性や反応速度の向上などの理由で使用してもよい。使用する反応溶媒は、反応温度において反応容器から留出せず、反応に不活性である溶媒であれば特に制限はない。例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの脂肪族アルコール類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの脂肪族または環状エーテル類などが挙げられる。反応溶媒の中でも、芳香族炭化水素類、ハロゲン化芳香族炭化水素類が好ましく、さらにトルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンがより好ましい。その使用量は特に限定されるものではないが経済性の点から、通常、アセトンに対して0.1重量倍以上、好ましくは0.5〜100重量倍、さらに好ましくは1〜20重量倍である。
本発明の製造方法は、2−メチルフェノールとアセトンとの脱水縮合反応により水が生成する。この反応生成水や触媒含有水など、反応系内の水分を除去する脱水条件下で反応を行うことにより、脱水しない場合より反応が早く進行し、副生成物の生成が抑制され、より高収率で目的物を得ることができるため好ましい。脱水方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、脱水剤の添加による脱水、減圧による脱水、常圧または減圧下、溶媒との共沸による脱水などが挙げられる。必要に応じて添加できる脱水剤としては、特に限定されるものではないが、2,2−ジメトキシプロパン、2,2−ジエトキシプロパン、1,1−ジメトキシシクロヘキサン、ジメトキシフェニルメタン、1,1−ジメトキシエタンなどなどアセタール骨格を有する有機系脱水剤、オルソ蟻酸メチル、オルソ蟻酸エチル、オルソ酢酸メチル、オルソプロピオン酸エチル、オルソ−n−酪酸メチル、オルソ−i−酪酸メチル、1,1,1−トリメトキシオクタンなどオルソエステル骨格を有する有機系脱水剤、モレキュラーシーブ(3A)、モレキュラーシーブ(4A)などのゼオライト類、塩化カルシウム(無水)、硫酸カルシウム(無水)、塩化マグネシウム(無水)、硫酸マグネシウム(無水)、炭酸カリウム(無水)、硫化カリウム(無水)、亜硫化カリウム(無水)、硫酸ナトリウム(無水)、亜硫酸ナトリウム(無水)、硫酸銅(無水)などの分子内に結晶水を含有することが可能な無機無水塩類などが挙げられる。本発明の製造方法は、脱水条件下において反応させることが好ましく、中でも、脱水剤の添加がより好ましく、中でも、アセタール骨格を有する有機系脱水剤の添加がさらに好ましく、特に、2,2−ジメトキシプロパン、2,2−ジエトキシプロパンが脱水剤由来の不純物除去が容易であるため好ましい。
本発明の製造方法において、脱水剤の存在下で反応させる方法は、水分を留出させて除去しながら反応させる方法に比べて、より反応温度を低く設定できるなど温和な条件で反応を行うことができ、かつ、反応速度が速いという利点があるため好ましい。
脱水剤の使用量は特に限定されるものではないが、脱水効果および経済性の点から、ゼオライト類や分子内に結晶水を含有することが可能な無機無水塩類の場合、通常、アセトンに対して、0.0001重量倍以上、好ましくは0.001〜100重量倍、さらに好ましくは0.01〜10重量倍であり、有機系脱水剤の場合、通常、アセトンに対して、0.0001モル倍以上、好ましくは0.1〜0.5モル倍、さらに好ましくは0.2〜0.4モル倍である。
本発明の製造方法において、脱水剤の存在下で反応させる方法は、水分を留出させて除去しながら反応させる方法に比べて、より反応温度を低く設定できるなど温和な条件で反応を行うことができ、かつ、反応速度が速いという利点があるため好ましい。
脱水剤の使用量は特に限定されるものではないが、脱水効果および経済性の点から、ゼオライト類や分子内に結晶水を含有することが可能な無機無水塩類の場合、通常、アセトンに対して、0.0001重量倍以上、好ましくは0.001〜100重量倍、さらに好ましくは0.01〜10重量倍であり、有機系脱水剤の場合、通常、アセトンに対して、0.0001モル倍以上、好ましくは0.1〜0.5モル倍、さらに好ましくは0.2〜0.4モル倍である。
本発明の製造方法における、後処理方法について以下説明する。
反応の終点は、液体クロマトグラフィーまたはガスクロマトグラフィー分析にて確認することができる。未反応のアセトンが消失するか、目的物である2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンの増加が認められなくなった時点を、反応の終点とするのが好ましい。
反応終了後、反応溶媒に水と分離する溶媒を使用していない場合には、得られた反応混合物に水と分離する有機溶媒と水を添加し、撹拌した後、静置して水層を除去する。得られた油層に水を加えて撹拌後、静置し、水層を除去する水洗操作は、必要に応じてさらに数回行ってもよい。得られた有機溶媒層から溶媒、過剰の2−メチルフェノール、未反応のアセトン、チオール化合物を蒸留で除去した後、蒸留残渣に溶媒を添加して溶解させ、冷却し、結晶が析出する場合には析出した結晶をろ別、乾燥することで目的物を高純度もしくは粗製の結晶として得ることができる。
上記で得られた目的物はさらに溶媒を使用して再結晶を行い、精製することもできる。このときに使用する有機溶媒としてはトルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類および酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキソラン等のエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の飽和脂肪族炭化水素類が挙げられ、これらは単独でも2種類以上の混合物でも用いることができる。
上記晶析操作の代わりに反応終了後、反応溶媒などを減圧下に濃縮し、その残渣をカラムクロマトグラフィーなどにより精製することで高純度品を得ることもできる。
また、反応液を水洗し除去した水層には、ヘテロポリ酸(塩)が含まれており、この水層を濃縮し、乾燥することによりヘテロポリ酸(塩)を回収することができる。このヘテロポリ酸(塩)を本発明の製造方法に再利用する際は、トルエン等を使用した共沸脱水などにより水分を除去してから使用することが、反応率や収率を向上させる上で好ましい。具体的な再利用方法としては、反応液を水洗して得られた水層にトルエンを加え、ディーンスターク装置を用いて減圧下もしくは常圧下で水を留出させて除去すれば、ヘテロポリ酸が溶解したトルエン溶液を得られ、この溶液を反応に用いることができる。
反応の終点は、液体クロマトグラフィーまたはガスクロマトグラフィー分析にて確認することができる。未反応のアセトンが消失するか、目的物である2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンの増加が認められなくなった時点を、反応の終点とするのが好ましい。
反応終了後、反応溶媒に水と分離する溶媒を使用していない場合には、得られた反応混合物に水と分離する有機溶媒と水を添加し、撹拌した後、静置して水層を除去する。得られた油層に水を加えて撹拌後、静置し、水層を除去する水洗操作は、必要に応じてさらに数回行ってもよい。得られた有機溶媒層から溶媒、過剰の2−メチルフェノール、未反応のアセトン、チオール化合物を蒸留で除去した後、蒸留残渣に溶媒を添加して溶解させ、冷却し、結晶が析出する場合には析出した結晶をろ別、乾燥することで目的物を高純度もしくは粗製の結晶として得ることができる。
上記で得られた目的物はさらに溶媒を使用して再結晶を行い、精製することもできる。このときに使用する有機溶媒としてはトルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類および酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキソラン等のエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の飽和脂肪族炭化水素類が挙げられ、これらは単独でも2種類以上の混合物でも用いることができる。
上記晶析操作の代わりに反応終了後、反応溶媒などを減圧下に濃縮し、その残渣をカラムクロマトグラフィーなどにより精製することで高純度品を得ることもできる。
また、反応液を水洗し除去した水層には、ヘテロポリ酸(塩)が含まれており、この水層を濃縮し、乾燥することによりヘテロポリ酸(塩)を回収することができる。このヘテロポリ酸(塩)を本発明の製造方法に再利用する際は、トルエン等を使用した共沸脱水などにより水分を除去してから使用することが、反応率や収率を向上させる上で好ましい。具体的な再利用方法としては、反応液を水洗して得られた水層にトルエンを加え、ディーンスターク装置を用いて減圧下もしくは常圧下で水を留出させて除去すれば、ヘテロポリ酸が溶解したトルエン溶液を得られ、この溶液を反応に用いることができる。
本発明の製造方法により得られた2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンは高純度であるため、高耐熱性・高屈折率を有することが期待され、特に光学材料用ポリカーボネートにおいて優れた効果が期待される。すなわち、高分子量ポリカーボネートとすることで、透明性、耐熱性、機械特性、耐衝撃性、流動性などに優れ、光ディスク、レンズなどの光学用途や、エンジニアリングプラスチックとして自動車分野、電気・電子分野、各種容器など、様々な分野での使用が期待できる。
また、ポリカーボネートオリゴマーとしては、各種重合方法により、高分子量ポリカーボネートを製造する際の原料として使用することができるだけでなく、表面改質剤、難燃剤、紫外線吸収剤、流動性改質剤、可塑剤、樹脂アロイ用溶化剤などのポリマー改質剤など、添加剤としても幅広く利用することができる。
また、本発明の製造方法により得られた2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンは、末端のヒドロキシ基を利用して、ポリカーボネート以外にも、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ノボラック、レゾールなどの樹脂原料、その他感光性組成物原料、レジスト添加剤、顕色剤、酸化防止剤としての利用も期待できる。
特に、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンをアクリル酸などと反応させて得られるジアクリレートなどのアクリルモノマーやアクリル樹脂原料としての利用、およびそれらを用いた光学ハードコーティング材料としての使用が期待できる。
また、ポリカーボネートオリゴマーとしては、各種重合方法により、高分子量ポリカーボネートを製造する際の原料として使用することができるだけでなく、表面改質剤、難燃剤、紫外線吸収剤、流動性改質剤、可塑剤、樹脂アロイ用溶化剤などのポリマー改質剤など、添加剤としても幅広く利用することができる。
また、本発明の製造方法により得られた2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンは、末端のヒドロキシ基を利用して、ポリカーボネート以外にも、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ノボラック、レゾールなどの樹脂原料、その他感光性組成物原料、レジスト添加剤、顕色剤、酸化防止剤としての利用も期待できる。
特に、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンをアクリル酸などと反応させて得られるジアクリレートなどのアクリルモノマーやアクリル樹脂原料としての利用、およびそれらを用いた光学ハードコーティング材料としての使用が期待できる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例における反応終点の確認と純度測定は以下の方法により測定した。
[分析方法]
1.反応終点の確認と純度測定
装置:株式会社島津製作所製 LAB Solutions(液体クロマトグラフィー)
ポンプ:LC-20AD
カラムオーブン:CTO-20A
検出器:SPD-20A
カラム:HALO C18 内径3mm、長さ75mm
オーブン温度:50℃
流量:0.7ml/min
移動相:(A)メタノール、(B)0.2vol%酢酸水
グラジエント条件:(A)体積%(分析開始からの時間)
<反応液分析>
20%(0min)→100%(10min)→100%(15min)
<結晶分析>
50%(0min)→70%(3.75min)→100%(11.25min)→100%(15min)
試料注入量:20μl
検出波長:280nm
2.反応率の算出方法
「反応率(%)」=(反応液中の目的物の重量比)÷(目的物の理論重量比)×100
なお、上記式中の「反応液中の目的物の重量比」は、液体クロマトグラフィーを使用して作成した検量線により算出した。
3.反応選択率の算出方法
「反応選択率(%)」=(目的物の面積百分率)÷(目的物と副生成物の合計面積百分率)×100
なお、上記式中の「目的物の面積百分率」と「目的物と副生成物の合計面積百分率」は、液体クロマトグラフィー測定により得られた数値を使用した。
なお、実施例における反応終点の確認と純度測定は以下の方法により測定した。
[分析方法]
1.反応終点の確認と純度測定
装置:株式会社島津製作所製 LAB Solutions(液体クロマトグラフィー)
ポンプ:LC-20AD
カラムオーブン:CTO-20A
検出器:SPD-20A
カラム:HALO C18 内径3mm、長さ75mm
オーブン温度:50℃
流量:0.7ml/min
移動相:(A)メタノール、(B)0.2vol%酢酸水
グラジエント条件:(A)体積%(分析開始からの時間)
<反応液分析>
20%(0min)→100%(10min)→100%(15min)
<結晶分析>
50%(0min)→70%(3.75min)→100%(11.25min)→100%(15min)
試料注入量:20μl
検出波長:280nm
2.反応率の算出方法
「反応率(%)」=(反応液中の目的物の重量比)÷(目的物の理論重量比)×100
なお、上記式中の「反応液中の目的物の重量比」は、液体クロマトグラフィーを使用して作成した検量線により算出した。
3.反応選択率の算出方法
「反応選択率(%)」=(目的物の面積百分率)÷(目的物と副生成物の合計面積百分率)×100
なお、上記式中の「目的物の面積百分率」と「目的物と副生成物の合計面積百分率」は、液体クロマトグラフィー測定により得られた数値を使用した。
<実施例1>
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンの製造−1
温度計、撹拌機、冷却管を備えた四つ口フラスコ(500mL)に、2−メチルフェノール186.0g(1.72モル)、アセトン10.0g(0.172モル)、リンタングステン酸1.49g(0.448ミリモル)および1−オクタンチオール1.54g(10.5ミリモル)を仕込み、反応容器を窒素置換した後、35℃において8時間、脱水縮合反応を行った。反応終了後、反応終了液の一部を採取し、液体クロマトグラフィーで分析したところ2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンの反応率が57.9%、反応選択率が98.4%であった。
反応終了液にトルエンおよび水を加えて水洗し、水層を除去した後、過剰の2−メチルフェノール、未反応のアセトン、チオール化合物を蒸留で除去回収した。蒸留残渣にトルエンを加え、水洗し水層を除去した後、トルエン層を冷却して析出した結晶をろ過、乾燥して、純度99.9%の白色結晶23.2g(収率:53%)を得た。
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンの製造−1
温度計、撹拌機、冷却管を備えた四つ口フラスコ(500mL)に、2−メチルフェノール186.0g(1.72モル)、アセトン10.0g(0.172モル)、リンタングステン酸1.49g(0.448ミリモル)および1−オクタンチオール1.54g(10.5ミリモル)を仕込み、反応容器を窒素置換した後、35℃において8時間、脱水縮合反応を行った。反応終了後、反応終了液の一部を採取し、液体クロマトグラフィーで分析したところ2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンの反応率が57.9%、反応選択率が98.4%であった。
反応終了液にトルエンおよび水を加えて水洗し、水層を除去した後、過剰の2−メチルフェノール、未反応のアセトン、チオール化合物を蒸留で除去回収した。蒸留残渣にトルエンを加え、水洗し水層を除去した後、トルエン層を冷却して析出した結晶をろ過、乾燥して、純度99.9%の白色結晶23.2g(収率:53%)を得た。
<実施例2>
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンの製造−2
温度計、撹拌機、冷却管を備えた四つ口フラスコ(500mL)に、2−メチルフェノール186.0g(1.72モル)、アセトン10.0g(0.172モル)、リンタングステン酸1.49g(0.448ミリモル)および1−オクタンチオール1.54g(10.5ミリモル)を仕込み、反応容器を窒素置換した後、35℃において2,2−ジメトキシプロパン4.51g(43.3ミリモル)を30分かけて滴下し、7時間30分間脱水縮合反応を行った。反応終了後、反応終了液の一部を採取し、液体クロマトグラフィーで分析したところ2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンの反応率が82.9%、反応選択率が98.4%であった。
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンの製造−2
温度計、撹拌機、冷却管を備えた四つ口フラスコ(500mL)に、2−メチルフェノール186.0g(1.72モル)、アセトン10.0g(0.172モル)、リンタングステン酸1.49g(0.448ミリモル)および1−オクタンチオール1.54g(10.5ミリモル)を仕込み、反応容器を窒素置換した後、35℃において2,2−ジメトキシプロパン4.51g(43.3ミリモル)を30分かけて滴下し、7時間30分間脱水縮合反応を行った。反応終了後、反応終了液の一部を採取し、液体クロマトグラフィーで分析したところ2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンの反応率が82.9%、反応選択率が98.4%であった。
<比較例1>
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンの製造
温度計、撹拌機、冷却管を備えた四つ口フラスコ(500mL)に、2−メチルフェノール186.0g(1.72モル)、アセトン10.0g(0.172モル)、濃塩酸0.142g(1.36ミリモル)および1−オクタンチオール1.51g(10.3ミリモル)を仕込み、反応容器を窒素置換した後、35℃において8時間、脱水縮合反応を行った。反応終了後、反応終了液の一部を採取し、液体クロマトグラフィーで分析したところ2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンの反応率が44.9%、反応選択率が97.6%であった。
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンの製造
温度計、撹拌機、冷却管を備えた四つ口フラスコ(500mL)に、2−メチルフェノール186.0g(1.72モル)、アセトン10.0g(0.172モル)、濃塩酸0.142g(1.36ミリモル)および1−オクタンチオール1.51g(10.3ミリモル)を仕込み、反応容器を窒素置換した後、35℃において8時間、脱水縮合反応を行った。反応終了後、反応終了液の一部を採取し、液体クロマトグラフィーで分析したところ2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンの反応率が44.9%、反応選択率が97.6%であった。
実施例1と比較例1の結果より、本発明のヘテロポリ酸(塩)を使用する製造方法は、従来の濃塩酸を使用する製造方法に比べて、反応率が1.3倍程度高く、反応選択率も高いことが確認できた。しかも、本発明の製造方法の中でも、反応生成水など反応系内の水分を除去する脱水条件下で反応を行う実施例2は、反応系内の水分共存下で反応を行う実施例1に比べて、反応率が1.4倍程度高くなり、反応性が特異的に高まることが明らかとなった。
すなわち、本発明のヘテロポリ酸またはヘテロポリ酸塩を使用する製造方法は、従来公知の濃塩酸などの酸性触媒を使用する製造方法に比べて、反応性および選択性が特異的に高いことを特徴とする製造方法であることが明らかとなった。
本発明の製造方法は、反応性が高いことにより、従来公知の製造方法に比べて高収率および/または高転化率で反応が進行するか、または反応時間を短縮することができ、しかも、穏和な条件で反応が進行するので、工業的に有利な製造方法となり得る。
さらに、本発明の製造方法は、不純物をほとんど含有しない高純度な2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンを得ることができるため、工業的製造方法として有用である。
すなわち、本発明のヘテロポリ酸またはヘテロポリ酸塩を使用する製造方法は、従来公知の濃塩酸などの酸性触媒を使用する製造方法に比べて、反応性および選択性が特異的に高いことを特徴とする製造方法であることが明らかとなった。
本発明の製造方法は、反応性が高いことにより、従来公知の製造方法に比べて高収率および/または高転化率で反応が進行するか、または反応時間を短縮することができ、しかも、穏和な条件で反応が進行するので、工業的に有利な製造方法となり得る。
さらに、本発明の製造方法は、不純物をほとんど含有しない高純度な2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンを得ることができるため、工業的製造方法として有用である。
Claims (3)
- 2−メチルフェノールとアセトンとを反応させて2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンを製造する方法において、ヘテロポリ酸またはヘテロポリ酸塩および、チオール化合物存在下に反応させることを特徴とする、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンの製造方法。
- 前記ヘテロポリ酸またはヘテロポリ酸塩がリンタングステン酸である、請求項1記載の製造方法。
- さらに、脱水剤の存在下で反応させることを特徴とする、請求項1または2記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018032449A JP2019147750A (ja) | 2018-02-26 | 2018-02-26 | 新規な2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンの製造方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018032449A JP2019147750A (ja) | 2018-02-26 | 2018-02-26 | 新規な2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンの製造方法 |
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