JP6330806B2 - 不飽和酸エステル又は不飽和酸の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、不飽和酸エステル又は不飽和酸の製造方法に関する。
メタクリル酸及びメタクリル酸メチルの製法としては、アセトンと青酸(シアン化水素)とからメタクリル酸及び/又はメタクリル酸メチルを製造するACH法(アセトンシアノヒドリン法)が工業的に広く用いられている。
しかし、青酸は毒性が高く、その使用は好ましくない。
青酸を使用しない方法としては、イソブテン又はターシャリーブチルアルコールを酸化する方法、及びプロピオン酸又はプロピオン酸エステルとホルムアルデヒド等とを反応させる方法等が知られている。
しかし、イソブテンは、エチレンプラント又は分解ガソリンプラントのC4留分であり、メタクリル酸メチルの製造向けに入手するには制約がある。また、ナフサクラッカーがある場所でないと製造できない。
プロピオン酸からの製法では、メタクリル酸メチルへの転化率が低く、触媒の寿命が短い。また、エチレンからプロピオン酸を得る際に用いる触媒であるPd錯体の合成が容易でなく、安定性に問題がある。
一方、1,1,1−トリハロ−2−メチル−2−プロパノールからメタクリル酸又はメタクリル酸エステルを得る方法も知られている。たとえば、1,1,1−トリクロロ−2−メチル−2−プロパノールから2−メトキシ−2−メチルプロパン酸を得た後、そのメチルエステルを得て、さらにその脱アルコールによってメタクリル酸メチルを得る方法が知られている(非特許文献1)。
しかし、この方法では2−メトキシ−2−メチルプロパン酸を得るにあたり、原料アルコールの3倍モル以上の塩基性化合物を使用する必要がある。また、2−メトキシ−2−メチルプロパン酸メチルからメタクリル酸メチルを得るにあたっても当量以上のリン化合物や金属塩化物等を必要とし、工業的に実施可能な製法とは言えない。さらに、原料中の塩素分は該塩基性化合物との塩となるが、塩の形態のままでは有効利用し難い。
他のメタクリル酸の製造方法として、2−クロロ−2−メチルプロパン酸を塩化カルシウム等の触媒の存在下で250℃から600℃に加熱する方法が知られている(特許文献1)。また、メタクリル酸メチルの製造方法として、2−クロロ−2−メチルプロパン酸メチルを原料として、無触媒で480℃から550℃に加熱した後に、金属塩化物等の脱ハロゲン化水素触媒の存在下で250〜350℃に加熱する方法が知られている(特許文献2)。該2−クロロ−2−メチルプロパン酸、2−クロロ−2−メチルプロパン酸メチルは、たとえば、1,1,1−トリブロモ−2−メチル−2−プロパノールと水酸化カリウムとの反応によって2−ブロモ−2−メチルプロパン酸を得る方法 (非特許文献2)に従い作ることができる。
しかし、これらの方法においても、原料アルコールの2倍モル以上の塩基性化合物を使用する必要がある。また、得られるハロゲン塩も、有効利用し難い。
日本国特開昭48−64018号公報 日本国特開昭49−18823号公報
J.Am.Chem.Soc.(1948),Vol.70,pp.1153−1158 Khimicheskii Zhurnal Armenii(2000),Vol.53(1−2),pp.99−104、英文抄録;CAN 134:41908
本発明は、毒性の高い化合物を使用することなく、また、塩基性化合物等の薬剤を多量に使用することなく、不飽和酸エステル又は不飽和酸を工業規模で製造する方法の提供を目的とする。
本発明は、下記[1]〜[7]に記載の不飽和酸エステル又は不飽和酸の製造方法である。
[1]ルイス酸触媒存在下に、下式(1)で表される化合物(1)と、下式(2)で表される化合物(2)(ただし、化合物(1)を除く。)とを、化合物(1)の沸点以上350℃以下で反応させ、下式(3)で表される化合物(3)を含む生成物を得る工程を備える、不飽和酸エステル又は不飽和酸の製造方法。
Figure 0006330806
[前記式(1)において、R、R及びRは、互いに独立に、水素原子、重水素原子、又はハロゲン原子及び/又は重水素原子で置換されていてよい炭素数1〜3のアルキル基であり、R及びRは、互いに独立に、水素原子又は重水素原子であり、Xは、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、又はヨウ素原子である。]
−OR・・・(2)
[前記式(2)において、Rは、水素原子、重水素原子、ハロゲン及び/又は重水素で置換されていてよい炭素数1〜11のアルキル基、又はハロゲン原子及び/又は重水素原子で置換されていてよい炭素数1〜11のアリール基であり、Rは、水素原子又は重水素原子である。]
Figure 0006330806
[前記式(3)において、R、R及びRは、前記式(1)の定義と同様であり、Rは、前記式(2)の定義と同様である。]
[2]前記ルイス酸触媒が、下式(4)で表わされる化合物又はそれらの混合物である、前記[1]に記載の製造方法。
・・・(4)
[前記式(4)において、Mは、水素又は、周期表第2族及び第4〜14族の元素からなる群から選ばれる金属若しくは半金属のカチオンであり、Yは、酸化物イオン、ハロゲン化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硫化物イオン、水酸化物イオン、アルコキシドイオン、リン酸イオン、酢酸イオン、及び過塩素酸イオンからなる群から選ばれるアニオンであり、n及びmは、カチオンMの価数×n=アニオンYの価数×mを満たす数である。]
[3]前記Mが、亜鉛、ジルコニウム、ケイ素、クロム、鉄、アルミニウム、鉛、マグネシウム、インジウム、コバルト、マンガン、及びニッケルからなる群から選ばれる金属又は半金属のカチオンである、前記[2]に記載の製造方法。
[4]前記Yが、酸化物イオンである、前記[2]又は[3]に記載の製造方法。
[5]前記ルイス酸触媒が、固体酸である、前記[1]に記載の製造方法。
[6]前記固体酸が、活性白土、酸性白土、ゼオライト、ヘテロポリ酸及びイオン交換樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である、前記[5]に記載の製造方法。
[7]前記反応が、気相で行われる、前記[1]〜[6]のいずれか一に記載の製造方法。
本発明によれば、毒性の高い化合物を使用することなく、また、塩基性化合物等の薬剤を多量に使用することなく、不飽和酸エステル又は不飽和酸を工業規模で製造できる。
本明細書においては、式(1)で表される化合物を「化合物(1)」と、式(2)で表される化合物(ただし、化合物(1)を除く。)を「化合物(2)」と、式(3)で表される化合物を「化合物(3)」と記す。
また、本明細書においては、メタクリル酸を「MAA」と、メタクリル酸メチルを「MMA」と、1,1,1−トリクロロ−2−メチル−2−プロパノールを「TCMP」とも称する。
以下の用語の定義は、本明細書及び特許請求の範囲にわたって適用される。
「ルイス酸」とは、電子対受容体を意味し、ブレンステッド酸を包含する概念である。
「ブレンステッド酸」とは、陽子供与体を意味する。
「固体酸」とは、固体であって酸性を示す物質を意味する。
「バッチ式」とは、原料と触媒を任意の反応器内に入れ、所定の反応温度で一定時間反応させた後、反応物を一度に取り出す反応方式である。少量から処理ができ、反応時間、反応温度、反応処理量等を任意に変更することができる。
「連続式」とは、原料を、任意雰囲気下で、連続して触媒層に一定速度で供給し一定時間該層に滞留させ反応させて、反応物を連続的に製造する反応方式である。連続運転で大容量の製造が可能なため、工業化に適した方式である。
「沸点」とは、常圧(1気圧、101,325Pa)における沸点を言う。
本発明の不飽和酸エステル又は不飽和酸の製造方法は、ルイス酸触媒存在下に、化合物(1)と、化合物(2)とを、化合物(1)の沸点以上350℃以下で反応させ、化合物(3)を含む生成物を得る工程を備える。
以下、本発明を詳細に説明する。
<化合物(1)>
本発明においては、化合物(1)が、原料の一つとして用いられる。
化合物(1)は、下式(1)で表される化合物である。
Figure 0006330806
[前記式(1)において、R、R及びRは、互いに独立に、水素原子、重水素原子、又はハロゲン原子及び/又は重水素原子で置換されていてよい炭素数1〜3のアルキル基であり、R及びRは、互いに独立に、水素原子又は重水素原子であり、Xは、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、又はヨウ素原子である。]
ハロゲン原子及び/又は重水素原子で置換されていてよい炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基及びこれらの基の水素の少なくとも1つがハロゲン原子及び/又は重水素原子で置換された基が挙げられる。
前記R、R、Rとしては、互いに独立に水素原子、重水素原子、又は重水素原子で置換されていてよい炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。
前記Rとしては、水素原子又は重水素原子が好ましい。
また、これらの定義により表される化合物の中でも、該R〜Rが、互いに独立に水素原子又は重水素原子であり、該Rが、いずれかの水素原子が重水素原子であってよいメチル基である化合物が、より好ましい。
また、化合物(1)は、その水和物等の形態であってもよい。
本発明に用いられる化合物(1)は、市販品を用いてもよく、他の化合物から合成してもよい。
他の化合物から合成する方法としては、たとえば、ケトン又はアルデヒドとトリハロメタンとを塩基性化合物の共存下で反応させる方法(日本国特開昭49−82611号公報、米国特許2462389号明細書、J.Org.Chem.(2000),Vol.65,pp.7211−7212)、ケトンと四塩化炭素を電気化学的に反応させる方法(Tetrahedron Lett.(1986),Vol.27(27),pp.3129−32)、トリハロアセトアルデヒドやトリハロアセトンと芳香族化合物とを反応させる方法(J.Org.Chem.(2000),Vol.65,pp.1597−1599、日本国特許第3883354号公報)が挙げられる。
化合物(1)において、R〜Rが、互いに独立に、水素原子又は重水素原子であり、Rが重水素原子で置換されていてよいメチル基である場合には、重水素原子で置換されていてよいアセトンと、ハロゲノホルム若しくは重ハロゲノホルムから、化合物(1)を調製するのが好ましい。
重ハロゲノホルム、特に重クロロホルムは、シアン化重水素に比べて入手しやすく、重水素化された不飽和酸エステルの製造に用いる原料として適している。
<化合物(2)>
本発明においては、化合物(2)が、もう一つの原料として用いられる。
化合物(2)は、化合物(1)を除く、下式(2)で表される化合物である。
−OR・・・(2)
[前記式(2)において、Rは、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子及び/又は重水素原子で置換されていてよい炭素数1〜11のアルキル基、又はハロゲン原子及び/又は重水素原子で置換されていてよい炭素数1〜11のアリール基であり、Rは、水素原子又は重水素原子である。]
がハロゲン原子及び/又は重水素原子で置換されていてよいアルキル基、又はハロゲン原子及び/又は重水素原子で置換されていてよいアリール基である場合、その炭素数は1〜8が好ましい。
化合物(2)としては、水、重水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、ターシャリーブチルアルコール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、2−エチルエヘキサノール、フェノール、ベンジルアルコール、トリルアルコールなどのアルコール類、及びこれら分子中の水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子及び/又は重水素原子で置換されているものが挙げられる。
ハロゲン原子で置換されたアルコール(ハロゲン置換アルコール)としては、2,2,2−トリクロロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、一般式C2p+1(CHOH(pは1〜8の整数、qは1〜3の整数)で表わされるフルオロアルキルアルコールが挙げられる。該C2p+1(CHOHの具体例としては、CFCHOH、CFCFCHOH、CFCFCFCHOH、CF(CFCHOH、CF(CFCHOH、CFCFCHCHOH、CF(CFCHCHOH、CF(CFCHCHOH、CF(CFCHCHOH、CFCF(CHOH、CF(CF(CHOH、CF(CF(CHOH等が挙げられる。中でも、CF(CFCHCHOH、CF(CFCHCHOHが好ましい。
重水素原子で置換されたアルコール(重水素置換アルコール)としては、少なくとも一部が重水素原子で置換された炭素数1〜3のアルコールが挙げられる。
これらの化合物(2)の中でも、水、重水、メタノール、エタノール、又はこれらの水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子及び/又は重水素原子で置換されているものが好ましく、重水素原子で置換されていてよいメタノールがより好ましい。
本発明において、化合物(2)の使用量は、化合物(1)の1molに対して0.5〜20molが好ましく、1〜10molがより好ましく、1〜5molが最も好ましい。
化合物(2)の使用量が、該下限値以上であれば、充分な転化率が得られ、また、該上限値以下であれば、容積効率が上がる。したがって、不飽和酸エステル又は不飽和酸の製造効率が向上する。
本発明においては、化合物(2)としてアルコールを用いれば不飽和酸エステルが一段階で効率的に得られ易く、また、水又は重水を用いれば不飽和酸が一段階で効率的に得られ易い。
なお、化合物(2)は、後述する溶媒又は希釈ガスと混合して用いても構わない。
<化合物(3)>
本発明によれば、不飽和酸エステル又は不飽和酸である化合物(3)が、目的の反応生成物として得られる。
化合物(3)は、下式(3)で表される。
Figure 0006330806
[前記式(3)において、R、R及びRは、前記式(1)の定義と同様であり、Rは、前記式(2)の定義と同様である。]
の例としては、水素原子、重水素原子、並びにメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、トリル基、及びこれらの基の水素原子の少なくとも1つがハロゲン原子及び/又は重水素原子で置換された基が挙げられる。
該ハロゲン原子で置換された基としては、2,2,2−トリクロロエチル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル基、一般式C2p+1(CH(pは1〜8の整数、qは1〜3の整数)で表わされるフルオロアルキル基が挙げられる。該C2p+1(CH基の具体例としては、CFCH基、CFCFCH基、CFCFCFCH基、CF(CFCH基、CF(CFCH基、CFCFCHCH基、CF(CFCHCH基、CF(CFCHCH基、CF(CFCHCH基、CFCF(CH基、CF(CF(CH基、CF(CF(CH基等が挙げられる。中でも、CF(CFCHCH基、CF(CFCHCH基が好ましい。
ハロゲン原子で置換された基以外のRとしては、水素原子、重水素原子、又は重水素原子で置換されていてよい炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、重水素原子で置換されていてよいメチル基がより好ましい。
本発明により得られる化合物(3)は、化成品又はコーティング材を含め、様々な用途の合成樹脂のモノマー原料として用いられ、工業的に極めて有用である。
また、重水素化された不飽和酸エステルを用いた重合体は、大容量高速伝送システム等に使用可能な光ファイバーとして利用できる。
また、本発明により製造された化合物(3)から、公知の方法により、他のエステル類又はカルボン酸を合成してもよい。
そのような方法としては、触媒量の酸又は塩基の存在下、水又はアルコール類と不飽和酸エステル又は不飽和酸とを加熱する方法が挙げられる。
特に、アクリル酸からは、アルコールとエステル化することにより、容易に、相当するアクリル酸エステルが得られる。
<反応>
本発明は、特に、ルイス酸触媒下に、所定の温度で反応を進める点に特徴がある。
以下、本発明におけるルイス酸触媒及び反応条件等について、詳述する。
(ルイス酸触媒)
本発明の反応には、ルイス酸触媒が用いられる。
本発明に用いられるルイス酸触媒としては、たとえば、下式(4)で表わされる化合物(ただし、水を除く。)からなる群から選ばれる1種、又は2種以上の混合物が挙げられる。
・・・(4)
[前記式(4)において、Mは、水素又は、周期表第2族及び第4〜14族の元素からなる群から選ばれる金属若しくは半金属のカチオンであり、Yは、酸化物イオン、ハロゲン化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硫化物イオン、水酸化物イオン、アルコキシドイオン、リン酸イオン、酢酸イオン、及び過塩素酸イオンからなる群から選ばれるアニオンであり、n及びmは、カチオンMの価数×n=アニオンYの価数×mを満たす数である。]
より効率的に不飽和酸エステル又は不飽和酸を得るためには、前記Mが、亜鉛、ジルコニウム、ケイ素、クロム、鉄、アルミニウム、鉛、マグネシウム、インジウム、コバルト、マンガン、及びニッケルからなる群から選ばれる金属又は半金属のカチオンであるのが好ましい。中でも、亜鉛、ケイ素、インジウム、コバルト、マンガン、及びニッケルからなる群から選ばれる金属又は半金属のカチオンが特に好ましい。
また、前記Yについては、酸化物イオンが好ましい。
本発明に用いられるルイス酸触媒の他の例としては、活性白土、酸性白土、ゼオライト、ヘテロポリ酸又はイオン交換樹脂等の固体酸が挙げられる。
活性白土とは、天然に産出する酸性白土(モンモリロナイト系粘土)を硫酸等の鉱酸で処理したものであり、多孔質構造をもった化合物である。活性白土は、その成分としてSiO、Al、Fe、CaO、MgO等を含有する。
ゼオライトとは、二酸化ケイ素を基本骨格とする物質のケイ素(Si)原子の一部がアルミニウム(Al)原子で置換された構造を有する物質全般をいう。具体的には、国際ゼオライト学会(International Zeolite Association(IZA))により規定されるゼオライト類をいい、骨格構造を構成する原子として、少なくとも酸素、アルミニウム(Al)、リン(P)を含むものや、少なくとも酸素、アルミニウム、ケイ素(Si)を含むもの等が挙げられる。
ヘテロポリ酸とは、一般的には異なる2種以上の酸化物複合体からなる複合酸化物酸、及びこれらのプロトンの一部若しくはすべてを他のカチオンで置き換えたものである。ヘテロポリ酸は、たとえば、リン、ヒ素、スズ、ケイ素、チタン、ジルコニウム等の元素の酸素酸イオン(たとえば、リン酸、ケイ酸)とモリブデン、タングステン、バナジウム、ニオブ、タンタル等の元素の酸素酸イオン(たとえば、バナジン酸、モリブデン酸、タングステン酸)とで構成されており、その組み合わせにより種々のヘテロポリ酸が可能である。
ヘテロポリ酸を構成する酸素酸の元素は特に限定されるものではないが、たとえば、銅、ベリリウム、ホウ素、アルミニウム、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン、ジルコニウム、セリウム、トリウム、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、ウラン、セレン、テルル、マンガン、ヨウ素、鉄、コバルト、ニッケル、ロジウム、オスミウム、イリジウム、白金等が挙げられる。
イオン交換樹脂とは、フッ化炭素系、炭化水素系等の高分子を骨格とし、イオン交換基が導入された樹脂である。イオン交換基としては、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基等のカチオン交換基を一つ又は複数有するものを使用できる。特に、耐薬品性をもつパーフルオロカーボン骨格にイオン交換基としてスルホン酸基を有するイオン交換樹脂が望ましい。たとえば、旭硝子(株)製フレミオン、デュポン社製ナフィオン等が挙げられる。
本発明のルイス酸触媒は、担体に担持してもよい。
連続式で反応を行う場合の担体の種類は、特に限定されない。たとえば、金属や半金属の酸化物、及びそれらの塩、無機炭素が挙げられる。具体的には、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ゼオライト、活性炭が挙げられる。
バッチ式で反応を行う場合の担体の種類は、連続式と同様である。具体的には、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア等が挙げられる。
これら担体がルイス酸の場合は、該担体もルイス酸触媒として機能し得る。
本発明に用いるルイス酸触媒又は担体に担持されたルイス酸触媒としては、ZnO−ZrO、ZnO−Al、ZnO−TiO、In−ZrO、NiO−ZrO、CoO−ZrO、MnO−ZrO、活性炭、シリカゲル、γ−アルミナ、ZrO、ZnO−SiO、Zr・PbO、Al−ZrO、MgO−ZrO、ZnO−Cr、TiO、Zr−NiOが好ましく、ZnO−ZrO、ZnO−SiO、ZrO、ZnO−TiO、In−ZrO、NiO−ZrO、CoO−ZrO、MnO−ZrOがさらに好ましく、ZnO−ZrO、ZnO−SiO、ZnO−TiO、In−ZrO、NiO−ZrOが最も好ましい。
触媒の使用量は、バッチ式では反応器中の化合物(1)の1molに対して、また、連続式では反応器中に滞留する化合物(1)の1molに対して、いずれも、0.001〜1molが好ましく、0.01〜0.2molがより好ましく、0.02〜0.1molが最も好ましい。
触媒の使用量を該下限値以上とすれば、不飽和酸エステル又は不飽和酸の製造効率が向上でき、また、該上限値以下とすれば、容積効率が向上する。
本発明における、ルイス酸触媒の作用機構は必ずしも明確ではないが、下反応式に例示するような作用機構が推定される。すなわち、TCMPとメタノールを原料とし、ZnOを触媒としてMMAを製造する場合、TCMP中の水酸基とZnが相互作用し、三員環中間体、脱Cl等を経由してMMAが生成する。
Figure 0006330806
したがって、本発明において、ルイス酸触媒は、上記の作用機構のように、反応で消費されないことから、再利用できる。
また、触媒が失活した場合には、その一部又は全部を再生して使用することもできる。再生方法としては、不活性ガス又は酸素を含むガス中で加熱する方法、触媒をハロゲン化水素ガス又はハロゲン化水素の水溶液で処理する方法、及びそれらの組合せが挙げられる。
(反応温度)
本発明の反応は、化合物(1)の沸点以上350℃以下で行う。
反応温度は、原料の化合物又は触媒の種類に応じて、適宜設定される。
具体的には、170〜350℃が好ましく、200〜300℃がより好ましい。
反応温度が該下限値以上であれば、不飽和酸エステル又は不飽和酸が効率よく得られ、また、該上限値以下であれば、原料や生成物の分解及び副反応の増加が起こりにくくなる。
(反応相)
本発明によれば、反応を、気相で行っても、液相で行っても、化合物(3)が得られる。気相で行えば、より効率的に化合物(3)が得られる。
反応を気相又は液相のいずれで行うかは、原料の沸点に依存するが、上述の反応温度又は後述する反応圧力の設定により、適宜変更できる。
(溶媒又は希釈ガス)
本発明の反応においては、原料の取り扱いや反応熱のコントロールの観点から、原料及び反応生成物と化学反応しない化合物又はガスを、溶媒又は希釈ガスとして用いることができる。
溶媒としては、たとえば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、酢酸、安息香酸、無水酢酸、酢酸エチル、アセトン、2−ブタノン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ベンゾニトリル、ニトロメタン、ニトロベンゼン、及びそれらの混合物が挙げられる。
希釈ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴン及びそれらの混合物が挙げられる。中でも、入手が容易で安価な、窒素が好ましい。
用いる溶媒又は希釈ガスの量は、化合物(1)の濃度が5質量%以上を維持する範囲が好ましく、10質量%以上がより好ましい。
化合物(1)の濃度を該下限値以上にすれば、より効率的に不飽和酸エステル又は不飽和酸を製造することができる。
(反応方式)
本発明の反応方式は、バッチ式でも、連続式でもよい。いずれの方式を採用しても、本発明による効果は得られる。
また、連続式で行う場合、空間速度は、1〜500000h−1が好ましく、100〜50000h−1がより好ましく、100〜10000h−1が最も好ましい。
本明細書において「空間速度」とは、触媒質量当たりの質量空間速度であり、化合物(1)の流量(kg/h)を、担体等を含む触媒の質量(kg)で除した値である。なお、空間速度の逆数は、接触時間又は滞留時間と呼ばれる。
(反応圧力)
反応圧力は、化合物(1)、溶媒、その他のガスの蒸気圧に応じて適宜調整することが好ましく、加圧下であっても減圧下であってもよい。絶対圧で0MPaから10MPaがより好ましく、0.05MPaから2MPaがより好ましく、0.1MPaから1MPaが最も好ましい。
(反応時間)
反応時間は、触媒、温度を含む諸条件により適宜設定され得る。
たとえば、バッチ式で行う場合には、10分間〜12時間が好ましく、30分間〜3時間がより好ましい。
また、連続式で行う場合には、0.1秒間〜60分間が好ましく、0.5秒間〜30分間がより好ましい。特に、連続式で、気相反応で行う場合には、0.5秒間〜30秒間が好ましい。なお、連続式の場合、反応時間は、接触時間又は滞留時間とも呼ぶ。
又は、反応を進めながら反応粗液を一部採取し、ガスクロマトグラフィー等により反応生成物の濃度を測定し、その濃度から生成量を推定し、そして、所望量の反応生成物が生成された時点で、該反応を終了してもよい。
(反応副産物)
本発明においては、ハロゲン化水素(ハロゲン化重水素を含む)が、反応副産物の一つとして得られる。
該ハロゲン化水素は、様々な用途に利用可能である。
たとえば、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化メタン若しくはその他のハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリール、ハロゲンガス、又は金属ハロゲン化物の原料となる。又はハロゲン化メタン又はハロゲンガスが得られれば、これを化合物(1)の合成の原料としてリサイクルできる。
なお、本発明の反応では、反応副産物として強酸であるハロゲン化水素が生成されるため、本発明に用いる反応装置は、強酸に耐え得るものが好ましい。
たとえば、鉄、クロム、ニッケル若しくはこれらを主成分とする合金、石英、ガラス若しくはガラスライニング、又は、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素樹脂若しくはフッ素樹脂ライニングが挙げられる。耐腐食性の観点から、ハステロイ、インコネル、カーペンター等のニッケル−クロム合金、ガラス、又は、フッ素樹脂が好ましい。
<化合物(3)の精製>
本発明においては、反応により得た化合物(3)を精製してもよい。
化合物(3)の精製方法としては、蒸留、晶析、昇華、液体による洗浄、ろ過、又はこれらの組合せが挙げられる。
本発明においては、蒸留又は晶析による精製が好ましく、蒸留がより好ましい。
蒸留は、公知の方法で行うことができる。
蒸留塔としては、一般的な蒸留塔、たとえば、シーブトレイ、デュアルトレイ、泡鐘トレイ、スルザーパッキング、テクノパック、メラパック、ラシヒリング、ポールリング、カスケードミニリング又はこれらの組み合わせが挙げられる。
蒸留においては、重合禁止剤を添加してもよい。
重合禁止剤としては、ヒドロキノン(HQ)、ヒドロキノンのモノメチルエーテル(MEHQ)、フェノチアジン(PTZ)、ヒンダードアミンラジカル捕獲化合物又はカテコール、たとえば第三級ブチルカテコール若しくはジ第三級ブチルカテコール等が挙げられる。また、酸素含有ガスを存在させるのも、重合を抑制するために有効である。また、銅を含有する金属も、重合を抑制することができる。
重合禁止剤を添加しない場合においては、意図しない重合を防ぐために、滞留部分の少ない蒸留塔型式を選定することが好ましい。
蒸留操作における温度、圧力は、不飽和酸又はそのエステルの蒸留において通常採用される条件でよい。たとえば、温度は塔底部において重合を抑えるために、80℃を超えない温度が選ばれ、該温度の設定に対応して蒸気圧が決まる。
晶析も、公知の方法で行うことができる。
晶析とは、溶解度の温度や圧力依存性を利用して冷却又は加熱、減圧等により溶液からある成分を結晶化させ、選択的に分離する操作をいう。
本発明による反応生成物がMMAの場合、メタノールとの混合物として得られることがある。これら化合物は共沸混合物を形成することが知られている。
このような場合、共沸溶剤を用いて蒸留を行う方法、層分離を利用して分離する方法によってMMA及びメタノールを回収する方法等がある(日本国特開平11−124347号公報)。
精製を行うことにより不純物を除くことができるため、本発明により得られた不飽和酸エステル又は不飽和酸の用途の幅が拡がり、また、より耐熱性、透明性に優れ、着色の無い、高品質の高分子材料の製造が可能になる。
(作用効果)
本発明によれば、塩基性化合物等の薬剤を多量に使用することなく、不飽和酸エステル又は不飽和酸を工業規模で製造することができる。特に、本発明の反応を気相で行えば、効率良く不飽和酸エステル又は不飽和酸を製造することができる。
本発明においては、化合物(2)として、アルコールを用いれば不飽和酸エステルが効率的に得られ易く、また、水を用いれば不飽和酸が効率的に得られ易い。
また、本発明に用いるルイス酸触媒は、再利用可能である。
さらに、本発明によれば、原料のハロゲン分から生じる副産物を、有効利用し易いハロゲン化水素として得ることができる。
以下、実施例により、本発明の不飽和酸エステル又は不飽和酸の製造方法を詳述する。ただし、本発明は、本実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
含浸法によって、5質量%のジルコニウム担持酸化亜鉛(5%ZnO−ZrO)触媒を得た。
長さ30cm、内径14mmのガラス管に、5%ZnO−ZrO触媒を8.2g充填し、温度を200℃に保った。
該ガラス管に窒素ガスを0.05L/分の流速でフィードしながら、メタノールに溶解した50質量%のTCMP0.5水和物を、10.0g/時間の流速でフィードし、気相で反応を行った。本実施例では、26.5gの50質量%のTCMP0.5水和物メタノール溶液、すなわち、12.6g(0.071mol)のTCMPをフィードした。TCMPの使用量をX(mol)とする。
反応により得たガスをドライアイスにより冷却し、反応粗液を得た。本実施例においては、22.6gの反応粗液が得られた。反応粗液量をW(g)とする。
内部標準としてジクロロメタンを用い、ガスクロマトグラフィーによって反応粗液におけるMMAの濃度Z(mol/g)を測定した。
反応により得られたMMAの総量T(mol)を、式「T=Z×W」により算出した。
また、MMAの収率Y(%)は、式「Y=(T/X)×100」により算出した。
(実施例2〜15)
実施例2〜15においては、触媒の種類、触媒の充填量、反応温度、TCMP溶液及び窒素ガスの流速、並びにTCMPの溶液量及び使用量X(mol)を表1に示すとおりにして実施した以外は、実施例1と同様に反応を行って反応粗液を得、該反応粗液におけるMMAの濃度Z(mol/g)を測定した。
Figure 0006330806
得られた反応粗液W(g)におけるMMAの総量T(mol)と、MMAの収率Y(%)は、実施例1と同様に算出した。
(比較例1)
ジムロートをつけた50mlのナスフラスコに、実施例1と同様に含浸法により得た5%ZnO−ZrO触媒を1.4g準備した。
そこに、TCMPを3.0g(16.9mmol)、メタノールを0.5g(16.9mmol)加えた。
140℃で1時間、スターラーにより撹拌し、液相で反応を行った。
撹拌後、室温まで冷却し、触媒を除いた。
本比較例においては、3.47gの反応粗液が得られた。
実施例1〜15と同様に、該反応粗液におけるMMAの濃度Z(mol/g)を測定し、本比較例で得られたMMAの総量T(mol)及び収率Y(%)を算出した。
実施例1〜15及び比較例1の結果、得られた反応粗液の量W(g)、MMAの収量T(mol)、TCMPを基準としたMMAの収率Y(%)を、表2に示す。
Figure 0006330806
以上の結果から、ルイス酸触媒を用い、高温で反応を行った実施例1〜15においては、充分な収率のMMAが得られることが示された。
すなわち、本発明によれば、原料のTCMPとメタノールから、一段階でMMAが得られることが立証された。
中でも、触媒にZnO−ZrO、ZnO−SiO、In−ZrO、NiO−ZrO、CoO−ZrO、MnO−ZrOを用いた実施例1〜3、7、12〜15は、比較的MMAの収率が高かった。特に、ZnO−ZrO、ZnO−SiO、In−ZrO、NiO−ZrOを用いた実施例1〜3、7、12、13では、収率が顕著に高かった。
一方、140℃で反応を行った比較例1では、充分なMMAは得られなかった。
実施例1〜15におけるMMAの収率が比較例1に比べ顕著に高い要因としては、実施例1〜15と比較例1との間において、反応が気相で行われたか液相で行われたかの違いが挙げられる。
液相で反応を行った場合、メタノールはルイス塩基として作用し、ルイス酸触媒と結合してその触媒機能を失活させる可能性が高い。
一方、気相で反応を行った場合、メタノールは気体になるため、反応場での濃度が薄く、ルイス酸触媒を失活させにくい。よって、触媒反応が進行し易いために、MMAが高収率で生成すると考えられる。
したがって、本発明の反応を気相で行えば、メタクリル酸エステルがより効率的に得られる。
そして、TCMPの沸点169℃に対し、反応温度を170℃以上に設定すれば、本発明による効果がより高まると結論付けられた。
(実施例16)
本実施例では、反応の原料としてTCMPと水を用い、200℃にて反応を行った。
長さ20cm、内径21.3mmのハステロイC−276製金属管(森本製管社製)に、実施例1と同様に含浸法により得た5%ZnO−TiO触媒を43.12g充填し、温度を200℃に保持した。
本実施例では反応をより効率的に行うため、原料をあらかじめガス化させた。具体的には、反応管とは別に200℃に加熱したハステロイC-276製金属管(予熱管)を用意し、該予熱管に、クロロホルムに溶解させた85重量%のTCMP及び水をそれぞれ57.3g/時間、4.9g/時間の流量でフィードし、ガス化した。生成したガスを29.5mL/分の窒素に混合し、上記反応管にフィードし、3時間反応を行った。TCMPの85質量%クロロホルム溶液のフィード量は164.5g、水のフィード量は13.3gであった。
反応により得たガスをドライアイスにより冷却し、114.7gの反応粗液を得た。また副生する塩化水素ガスは苛性カリに吸収させて回収した。
内部標準としてジクロロメタンを用い、ガスクロマトグラフィーによって反応粗液中のMAAの濃度を測定した。
実施例1〜15と同様にMAAの総量及び収率、塩化水素量を算出した。
その結果、MAAの収率は70.1%であり、55.01gの塩化水素が回収され、理論値に対する塩化水素回収率は74.6%であった。
(比較例2)
本比較例では、反応の原料として、メタノールに替えて水を0.3g(16.9mmol)用いた以外は、比較例1と同様に反応を行った。
本比較例においては、3.47gの反応粗液が得られた。
実施例1〜3、16及び比較例2において、内部標準としてジクロロメタンを用いたガスクロマトグラフィーによって反応粗液中のMAAの濃度を測定し、MAAの収率を算出した。
表3に、実施例1〜3、16及び比較例2のMAAの収率を示す。
Figure 0006330806
以上の結果から、本発明によれば、原料のTCMPとメタノール又は水とから、一段階でMAAが得られることが立証された。
特に、原料に水を用い、気相で反応を行えば、MAAが効率よく得られることが示された。
(実施例17)
本実施例では、本発明によるMMAの量産化の検討を行った。
長さ30cm、内径21.3mmのハステロイC−276製金属管(森本精管(株)製)(反応管)に、実施例1と同様に含浸法により得た5%ZnO−ZrO触媒を77.5g充填し、温度を200℃に保った。
本実施例では、反応をより効率的に行うため、該反応管にフィードする前に、原料をあらかじめガス化した。具体的には、反応管とは別に170℃に加熱したハステロイC−276製金属管(予熱管)を用意し、該予熱管に、アセトンに溶解した85質量%のTCMPと、メタノールとを、それぞれ13.17g/時間、16.9g/時間の流量でフィードし、ガス化した。生成したガスを27.4mL/分の窒素に混合し、上記反応管にフィードした。反応を11.5時間行った。TCMPの85質量%アセトン溶液のフィード量は155.5g、メタノールのフィード量は187.6gであった。
反応により得たガスを氷浴により冷却し、反応粗液を得た。また副生する塩化水素とメタノールが反応して得られるクロロメタンを捕集するため、ガスをドライアイスにより冷却し、副生ガスを捕集した。本実施例においては、216.0gの反応粗液および113.2gのクロロメタンが得られた。
内部標準としてテトラエチレングリコールジメチルエーテルを用い、ガスクロマトグラフィーによって反応粗液中のMMAの濃度を測定した。
実施例1〜16と同様に、MMAの総量及び収率を算出した。
その結果、MMAの収率は93.9%であり、反応によって副生した塩化水素はほぼ全量クロロメタンに転化していることが確認された。
すなわち、本実施例の結果は、本発明が、工業的規模でMMAを製造できる方法であることを示す。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2013年7月12日出願の日本特許出願2013−146864に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

Claims (2)

  1. ルイス酸触媒存在下に、下式(1)で表される化合物(1)と、下式(2)で表される化合物(2)(ただし、化合物(1)を除く。)とを、化合物(1)の沸点以上350℃以下で反応させ、下式(3)で表される化合物(3)を含む生成物を得る工程を備え、
    前記ルイス酸触媒が、下式(4)で表わされる化合物又はそれらの混合物である、不飽和酸エステル又は不飽和酸の製造方法。
    Figure 0006330806
    [前記式(1)において、R、R及びRは、互いに独立に、水素原子、重水素原子、又はハロゲン原子及び/又は重水素原子で置換されていてよい炭素数1〜3のアルキル基であり、R及びRは、互いに独立に、水素原子又は重水素原子であり、Xは、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、又はヨウ素原子である。]
    −OR・・・(2)
    [前記式(2)において、R6は、水素原子、重水素原子、ハロゲン原子及び/又は重水素原子で置換されていてよい炭素数1〜11のアルキル基、又はハロゲン原子及び/又は重水素原子で置換されていてよい炭素数1〜11のアリール基であり、Rは、水素原子又は重水素原子である。]
    Figure 0006330806
    [前記式(3)において、R、R及びRは、前記式(1)の定義と同様であり、Rは、前記式(2)の定義と同様である。]
    ・・・(4)
    [前記式(4)において、Mは、亜鉛、ジルコニウム、ケイ素、クロム、鉄、アルミニウム、鉛、マグネシウム、インジウム、コバルト、マンガン、及びニッケルからなる群から選ばれる金属又は半金属のカチオンであり、Yは、酸化物イオンであり、n及びmは、カチオンMの価数×n=アニオンYの価数×mを満たす数である。]
  2. 前記反応が、気相で行われる、請求項1に記載の製造方法。
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