JP2019143213A - 配管の電気防食装置及び電気防食方法 - Google Patents
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Description
以上のことから、プラント等のように大気中に暴露されて架台に支持された配管に対する従来の腐食対策は、架台から配管を持ち上げて架台と分離してケレン(錆取り)を行い、塗装を施すことにより腐食を抑制している。
又、従来におけるケレンや塗装では、配管の腐食を一時的に抑制できても、配管の継続的な防食を行うことができないものとなっている。
又、前記犠牲電極は、マグネシウム、マグネシウム合金、亜鉛、亜鉛合金、アルミニウム又はアルミニウム合金のうちのいずれかである。
又、前記エアモルタルは、耐久性向上のためのアクリルエマルジョンが配合されている。
電気防食装置1では、架台2上に鋼等の鉄材料からなる配管3が支持されている。架台2は鉄骨や鉄筋コンクリート或いは煉瓦等の耐火材によって形成されている。この架台2に対し、配管3は架台2に臨む底面部分が架台2と接触した接触部分4となっている。この接触部分4の周囲をブロック体5が覆っている。ブロック体5には、平板状の犠牲電極6が複数埋設されている。各犠牲電極6と配管3とはブロック体5内に設けた導線7によって接続される。これにより配管3と犠牲電極6とが導通状態となる。なお、導線7の接続に際しては、配管3における接続部分の塗装膜を予め除去する。
本発明においては、犠牲電極6を配管3の外面に接触するように配置して導通させることも可能である。これは、例えば犠牲電極6を配管3の外面に半田付けしたり、ねじ止めすることにより可能となる。犠牲電極6を配管3に接触して配置する構造とすることにより、導線7が不要となるため、部品点数が減じて組み付けを簡素化できる。
エアモルタルは液状となっているときに、配管3の架台2との接触部分4の周囲を覆うように充填され、その後、固化することによりブロック体5となる。液状のエアモルタルを配管3の接触部分の周囲に充填するため、型枠8が用いられる。
犠牲電極6としては、配管3の材料である鉄よりもイオン化傾向が大きい金属が使用される。鉄よりもイオン化傾向が大きい金属と鉄とが接続されることにより鉄の方へ電子が移動して鉄が還元される。このため鉄を材料とした配管3への防食が可能となる。鉄よりもイオン化傾向が大きい金属としては、亜鉛、マンガン、アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、カルシウム、カリウムが存在するが、安定性、反応性、取り扱い性、供給量安定性の観点から犠牲電極6としては、マグネシウム、亜鉛、アルミニウムのいずれかを用いることが好ましい。又、これらの合金であるマグネシウム合金、亜鉛合金、アルミニウム合金のいずれかを用いることもできる。
表1はエアモルタルを作成するための配合例を示す。表1は、1m3当たりの材料の使用量である。
段階a:エアモルタルからなる電気防食用イオン伝導材料を配管3と架台2との接触部分4の周囲を覆うように充填可能な流動性を有するように調製する。
段階b:鉄よりもイオン化傾向が大きい金属からなる犠牲電極6を配管3と導線7を介して接続する。
段階c:前記犠牲電極6を埋設すると共に前記接触部分4の周囲を覆うようにエアモルタルからなる電気防食用イオン伝導材料を充填して固形化することによりブロック体5を形成する。
以上のエアモルタルは配管3及び架台2が存在する現場で配合調製することができるため場所を取らない調整が容易となる。このエアモルタルを型枠8内に流し込むことにより、特に養生することなく使用することができる。
エアモルタルの固形化により犠牲電極6がブロック体5に埋設されると共に配管3が導線7を介して犠牲電極6と接続された導通状態でブロック体5に固定される。これにより配管3を架台2に固定状態で取り付けることができる。
このような構造では、犠牲電極6から配管3の方向に電子が流れて配管3が還元されるため、配管3における架台2との接触部分4の電気防食を行うことができる。このため、配管3を架台2から持ち上げたり、配管3に対して再塗装を行う必要がなく、腐食対策のための面倒な作業を不要とすることができる。さらに、固形化したエアモルタルによって周囲が囲まれているため、防食が継続的に行われ、長期間の腐食防止が可能となる。
50×40mmのサイズのSPCCからなる鋼板と同サイズの板状の犠牲電極とを10mm程度離隔して対向させ、これらを導線で接続し、周囲を表2に示す各配合例A〜Dのエアモルタルで覆った。そして、導線に電流計を接続して電位を継時的に測定した。表3は配合例A〜Dの特性値(実測値)を示す。
図3は犠牲電極としてマグネシウムを用いた場合の0〜80日間の電位変化グラフ、図4は犠牲電極として亜鉛を用いた場合の0〜80日間の電位変化グラフ、図5は犠牲電極としてアルミニウムを用いた場合の0〜80日間の電位変化グラフである。
各図における特性曲線A〜Dは表2に示す配合例A〜Dに対応している。これらの図において、電位が−0.8vを下回る場合に鋼板の防食が可能となる。図3〜図5に示すように、犠牲電極がマグネシウムの場合が最も強力な防食が可能となっている。
図6に示すように、肉厚2mm、径3inch、長さ150mmの鋼鉄製の管材61を配管とし、この管材61を架台としての鋼鉄製の平板62に載置し、管材61の底面部分を平板62との接触状態とした。表4に示す配合比によってエアモルタル63を作成し、このエアモルタル580mlを管材61と平板62の接触部分を覆うように接触部分の周囲に充填した。表4におけるポリマー混和剤としては、アクリルエマルジョンを使用した。次に、犠牲電極として図6に示すように、サイズ40×50mm、厚さ2mmのマグネシウム板63を管材61の両側に位置するようにエアモルタル63に立てて差し入れ、マグネシウム板63と管材61とを導線65によって接続し、エアモルタル63を固化してブロック体とした後、屋外に設置した
比較例として、上述と同様の管材を上述と同様の平板上に載置し、テープで組み付けを固定したものを横並び状に屋外に設置した。
屋外で1年間、大気中に暴露した後の性状を図7に示し、S1が比較例、S2がこの実施例である。比較例S1においては、管材に穴が開いているのに対し、実施例S2は穴が開くこともないと共に管材61の表面は素肌そのままであり、防食が良好に行われていることが判る。
Claims (5)
- 架台に支持された状態で大気環境中に暴露して配置された配管に対し電気防食する装置であって、
エアモルタルからなる電気防食用イオン伝導材料からなり、前記配管と架台との接触部分の周囲を覆った状態で固形化されたブロック体と、
鉄よりもイオン化傾向が大きい金属によって形成され、前記配管と導通した状態で前記ブロック体に埋設された犠牲電極と、を備えていることを特徴とする配管の電気防食装置。 - 前記電気防食用イオン伝導材料は、前記配管と架台との接触部分の周囲を覆う充填が可能な流動性を有して用いられることを特徴とする請求項1記載の電気防食装置。
- 前記犠牲電極は、マグネシウム、マグネシウム合金、亜鉛、亜鉛合金、アルミニウム又はアルミニウム合金のうちのいずれかであることを特徴とする請求項1記載の配管の電気防食装置。
- 前記エアモルタルは、耐久性向上のためのアクリルエマルジョンが配合されていることを特徴とする請求項1記載の配管の電気防食装置。
- 架台に支持された状態で大気環境中に暴露して配置された配管に対して電気防食する方法であって、
エアモルタルからなる電気防食用イオン伝導材料を前記配管と架台との接触部分の周囲を覆うように充填可能な流動性を有するように調製する段階と、
鉄よりもイオン化傾向が大きい金属からなる犠牲電極を前記配管と導通するように配置する段階と、
前記犠牲電極を埋設すると共に前記接触部分の周囲を覆うように前記電気防食用イオン伝導材料を充填して固形化することによりブロック体を形成する段階と、を備えていることを特徴とする配管の電気防食方法。
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