JP2019136014A - 青果物の保存方法 - Google Patents

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Shuji Tawara
田原  修二
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Tokuo Nakayama
徳夫 中山
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Masataka Iwata
匡隆 岩田
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隆三 八木
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永安 葉
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Abstract

【課題】青果物の変質及び腐敗を抑制できる青果物の保存方法を提供する。【解決手段】保存前の青果物が含有する抗菌性物質Rの青果物の表面における濃度SC1(μmol/g)と、保存後の青果物が含有する抗菌性物質Rの前記青果物の表面における濃度SC2(μmol/g)が、SC1<SC2を満たすように青果物を保存する青果物の保存方法。また、2層以上の多層構造を有するガス透過フィルムであって、透湿度(試験温度40℃、試験湿度90%)が10〜80g/m2・24hの範囲にあり、ヒートシール温度140℃におけるヒートシール強度が6〜50N/15mmの範囲にあり、最大径50μm以上の孔が1m2あたり1個以下であり、多層構造の少なくとも1層が、4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位を有する重合体を含有するガス透過フィルムを備える包装材を用いて青果物を包装して保存する、青果物の保存方法。【選択図】なし

Description

本開示の発明は、青果物の保存方法に関する。
青果物は、青果物それぞれの生理活性の違いはあるものの、収穫後もその品質を維持している。しかし、収穫後における青果物の流通過程で、長期間を経ると品質は低下していく。その要因として微生物の増殖による変質又は腐敗が挙げられる。また、青果物の変質及び腐敗の進行速度は、温度、湿度、ガス条件等の環境条件によって様々である。
例えば、マンゴーにおける炭疽病は、被害の大きい防除困難な病害である。炭疽病を引き起こす微生物(以下、炭疽菌という。)は、多犯性植物病原菌であり、主にマンゴーの表面(例えば表皮)において増殖する。これに対しマンゴーは、炭疽菌に抵抗性を示す抗真菌性物質を産生することが知られている。例えば非特許文献1において、抗真菌性物質として、5−n−ヘプタデセニルレゾルシノール(5−n−heptadecenylresorcinol)及び5−n−ペンタデシルレゾルシノール(5−n−pentadecylresorcinol)が挙げられており、アルキル(アルケニル)レゾルシノール(以下、ARという。)又はその誘導体が、炭疽菌に対し直接阻害効果を有し、収穫後のマンゴーにおける炭疽菌の休止又は潜伏期を維持させる旨の記載がある。また、ARは、未成熟の果実中で最高濃度で見出され、果実が熟すにつれて濃度が減少する。青果物は、ARの濃度が減少すると、黒色の変質を伴う炭疽病を発症すると記載されている。
マンゴーの表面に傷がついた場合には、傷部分に抗真菌性物質が移送されることで、傷部分からの変質又は腐敗の進行が抑制されている。
ScienceDirect Physiological and Molecular Plant Pathology 71 (2007) 158-165
上記のとおり、収穫後の青果物の流通過程において、微生物の増殖による病害(特に、炭疽病)が引き起こす損失は重大な問題であるものの、表面における抗菌性物質の含有量に着目し、青果物の微生物に対する抵抗性を改善する試みはなされていない。
そこで、本発明者は表面における抗菌性物質の濃度を高めることで、青果物を長期にわたり変質又は腐敗を抑制して保存できる方法を検討した。
本開示の一実施形態が解決する課題は、青果物の変質及び腐敗を抑制できる青果物の保存方法を提供することである。
前記課題を達成するための具体的手段には以下の態様が含まれる。
<1> 保存前の青果物が含有する抗菌性物質Rの前記青果物の表面における濃度SC1(μmol/g)と、保存後の青果物が含有する抗菌性物質Rの前記青果物の表面における濃度SC2(μmol/g)が、以下の式1を満たすように青果物を保存する青果物の保存方法である。
SC1<SC2 (式1)
<2> 前記青果物が、マンゴー、マスカット、イチゴ、メロン、桜桃及びアボガドの群から選ばれる少なくとも1つである<1>に記載の青果物の保存方法である。
<3> 前記抗菌性物質Rが、5−n−ヘプタデセニルレゾルシノール(5−n−heptadecenylresorcinol)、5−n−ペンタデシルレゾルシノール(5−n−pentadecylresorcinol)、5−n−ノナデシルレゾルシノール(5−n−nonadecylresorcinol)及び5−n−ヘネイコシルレゾルシノール(5−n−heneicosylresorcinol)の群から選ばれる少なくとも1つである<1>又は<2>に記載の青果物の保存方法である。
<4> 2層以上の多層構造を有するガス透過フィルムであって、透湿度(JIS Z0208に準拠、試験温度40℃、試験湿度90%)が10g/m・24h〜80g/m・24hの範囲にあり、ヒートシール温度140℃におけるヒートシール強度が6N/15mm〜50N/15mmの範囲にあり、最大径50μm以上の孔が1mあたり1個以下であり、前記多層構造の少なくとも1層が、4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位を有する重合体を含有するガス透過フィルムを備える包装材を用いて青果物を包装して保存する<1>〜<3>のいずれか1つに記載の青果物の保存方法である。
<5> 前記透湿度が25g/m・24h〜70g/m・24hの範囲にある<4>に記載の青果物の保存方法である。
本開示の一実施形態によれば、青果物の変質及び腐敗を抑制できる青果物の保存方法を提供することができる。
抗菌性物質1のMSシグナルパターンである。 抗菌性物質2のMSシグナルパターンである。 包材としてMAフィルムを用いた場合の表皮に存在する抗菌性物質の量の変化である。 包材なしの場合の表皮に存在する抗菌性物質の量の変化である。
以下、本開示の青果物の保存方法について、詳細に説明するが、本開示は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、「フィルム」は、一般的に「フィルム」と呼ばれているものだけでなく、一般的に「シート」と呼ばれているものをも包含する概念である。
本明細書において、組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
≪青果物の保存方法≫
本開示の青果物の保存方法は、保存前の青果物が含有する抗菌性物質Rの前記青果物の表面における濃度SC1(μmol/g)と、保存後の青果物が含有する抗菌性物質Rの前記青果物の表面における濃度SC2(μmol/g)と、が以下の式1を満たすように青果物を保存する。
SC1<SC2 (式1)
青果物は、自身を微生物による変質及び腐敗から守るため、前記微生物に抵抗性を有する抗菌性物質を産生する。
しかし、青果物を収穫した後は、青果物自身が抗菌性物質を産生する能力がなくなるため、収穫直後に青果物が含有していた抗菌性物質が時間の経過によって減少し、微生物の増殖を抑制し難くなる。
微生物の増殖は主に青果物の表面から起こることから、本開示者らは、収穫後の青果物における微生物の増殖を抑制するために、青果物自身が産生した抗菌性物質の、青果物の表面に含まれる含有量を、増加させる方法について検討した。
その結果、青果物を保存する際の環境条件(例えば、温度、湿度、ガス条件等)を制御することで、青果物自身の生理活性により、青果物内部の抗菌性物質が表面に移送させられることを見出した。これによって、表面に移送された抗菌性物質が、表面における微生物の増殖による変質及び腐敗を抑制するため、青果物の長期間に亘る保存が可能となる。
<保存>
本開示における保存は、青果物の収穫後において湿度、温度及びガス条件等の環境条件を制御することで行われる。これにより、保存前の青果物が含有する、後述の抗菌性物質Rの前記青果物の表面における濃度SC1(μmol/g)と、保存後の青果物が含有する、後述の抗菌性物質Rの前記青果物の表面における濃度SC2(μmol/g)と、が以下の式1を満たすことができる。その結果、青果物の表面における微生物の増殖による変質及び腐敗を抑制することができる。
SC1<SC2 (式1)
青果物を収穫した後は、青果物自身が抗菌性物質を産生する能力がなくなる。従って、時間が経過すると収穫直後に青果物が含有していた抗菌性物質が減少するため、青果物の表皮においてSC1>SC2となるのが通常である。
しかし、本開示の青果物の保存方法により、青果物を保存する際の環境条件(例えば、温度、湿度、ガス条件等)を制御することで、青果物自身の生理活性により、青果物内部の抗菌性物質が表面に移送させられるため、SC1<SC2を満たすことができる。
青果物の内部から青果物の表面へ、抗菌性物質が移送される理由は定かではないが、以下のように推測される。
即ち、青果物の表面に傷がついた場合に、傷がついた箇所には菌が増殖し始める。青果物自身が、青果物の表面に傷がつき、かつ、菌が増殖し始めたことを認識し、傷を修復するために青果物内部の抗菌性物質を青果物の表面に移送すると推察される。
式1は、SC1+0.05<SC2が好ましく、SC1+0.1.0<SC2がより好ましい。
本開示の青果物の保存方法は、保存前の青果物が含有する抗菌性物質Rの青果物の内部における濃度IC1(μmol/g)と、保存後の青果物が含有する抗菌性物質Rの青果物の内部における濃度IC2(μmol/g)と、が以下の式2を満たすように青果物を保存することが好ましい。
IC1>IC2 (式2)
抗菌性物質Rの青果物の内部における濃度の測定法は、後述する実施例の項において説明する抗菌性物質Rの青果物の表面における濃度(表面存在量)の測定法と、マンゴー表皮の代わりにマンゴーの内部を用いる以外は、同様の方法で測定できる。
上記の環境条件としては、湿度、温度及びガス条件(酸素濃度、二酸化炭素濃度)が挙げられ、保存時は下記の条件にて制御されることが好ましい。
保存時の環境条件は、いずれの方法で制御されてもよく、例えば以下の方法が挙げられる。
(1)下記環境条件を形成し得るガス透過フィルムで包装する方法。
(2)下記環境条件を形成し得るガス透過箱に収納する方法
(3)保存室内の雰囲気を下記環境条件に管理する方法
上記(1)〜(3)の中でも、(1)がより好ましい。
(湿度)
本開示における保存の湿度としては、60%〜99%であることが好ましい。湿度が60%以上であることで、蒸散が抑えられ抗菌物質が移送されやすくなる。湿度が99%以下であることで、菌の増殖を抑えることができる。
湿度は、本開示の発明の効果がより奏される点から高いことが望ましく、より好ましくは70%〜98%であり、80%〜95%がさらに好ましい。
本開示における湿度は、相対湿度を指し、小型環境試験機SH−222(エスペック株式会社製)を用いて測定される値である。
(温度)
本開示における保存の温度としては、0℃〜35℃であることが好ましい。温度が0℃以上であることで、低温障害を防ぐことができる。温度が35℃以下であることで、菌の増殖を遅くすることができる。
温度は、より好ましくは1℃〜30℃であり、5℃〜25℃がさらに好ましい。
(ガス条件)
保存の酸素濃度としては、常温(23℃)で0.1%〜10%であることが好ましい。酸素濃度が0.1%以上であることで、青果物の嫌気呼吸状態による品質低下を防止することができる。酸素濃度が10%以下であることで、青果物の呼吸活動を抑え休眠状態にすることにより、有用成分の分解が抑制され、品質低下を抑制することができる。
本開示における保存の二酸化炭素濃度としては、0.1%〜20%であることが好ましい。二酸化炭素濃度が0.1%以上であることで、青果物の呼吸活動を抑え休眠状態にすることにより、有用成分の分解が抑制され、品質低下を抑制することができる。二酸化炭素濃度が20%以下であることで、嫌気呼吸状態による品質低下を防止することができる。
なお、各青果物の最適なガス濃度(MA条件:modified Atmosphere条件)の説明についてはKader, A.A., 1986. Biochemical and physiological basis for effects of controlled and modified atmospheres on fruits and vegetables. Food Technology.に記載がある。例えばマンゴーの最適なMA条件として、Mario Scetar, et al,2010,Trends in Fruit and Vegetable Packaging−a Reviewには、酸素濃度が3〜7%、二酸化炭素濃度が5〜8%が最適であるとの記載がある。
酸素濃度及び二酸化炭素濃度は、ポータブルガス濃度系計(DANSENSOR社製、CheckPoint)を用いて測定する。
<青果物>
本開示において、青果物には、野菜(青物)と果物とが含まれる。
野菜としては特に限定されないが、例えば以下のものが挙げられる。ホウレンソウ、レタス、キャベツ、ハクサイ、コマツナ、チンゲンサイ、オオバ、ミズナ、パセリ、セロリ、セリ、ネギ、トマト、ミニトマト、ナス、カボチャ、ピーマン、キュウリ、ミョウガ、カリフラワー、ブロッコリー、シュンギク、タマネギ、アスパラガス、ウド、フキ、ゴボウ、ニンジン、ダイコン、ラディッシュ、カブ、ナガイモ、ヤマイモ、ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ、レンコン、オクラ、カボチャ、ゴーヤ、トウモロコシ、エダマメ、サヤエンドウ、ソラマメ、サヤインゲン。
果物としては特に限定されないが、例えば以下のものが挙げられる。カリン、ナシ、リンゴ、アメリカンチェリー、サクランボ、ウメ、アンズ、スモモ、モモ、イチジク、カキ、キウイフルーツ、クランベリー、ブドウ、ブルーベリー、ブラクベリー、ラズベリー、ビワ、ヤマモモ、イチゴ、スイカ、メロン、マンゴー、パパイヤ、パッションフルーツ、パイナップル、マスカット、柑橘類、桜桃及びアボガド。
本開示の青果物の保存方法は、上記の中でも、マンゴー、マスカット、イチゴ、メロン、桜桃及びアボガドに用いられることが好ましい。
<抗菌性物質R>
本開示における抗菌性物質Rは、青果物自身が産生する抗菌性物質であり、微生物に対して抵抗性を有する。これにより、青果物が微生物の増殖による変質及び腐敗することを抑制することができる。
本開示における抗菌性物質Rとしては、青果物自身が産生する抗菌性物質であれば、特に制限はないが、例えば、5−n−pentadecylresorcinol、5−n−heptadecenylresorcinol、5−n−nonadecylresorcinol及び5−n−heneicosylresorcinol等が挙げられる。
上記の中でも、5−n−nonadecylresorcinol及び5−n−heneicosylresorcinolが好ましい。
<抗菌性物質Rの青果物の表面における濃度>
本開示の一実施形態によれば、特定の環境条件下で青果物を保存することで、青果物内部の抗菌性物質を表面に移送することができる。これによって、抗菌性物質Rの青果物の表面における濃度が増加し、表面に移送された抗菌性物質Rが、青果物の表面における微生物の増殖による変質及び腐敗を抑制するため、青果物の品質を低下させずに長期間の保存が可能となる。
抗菌性物質Rの青果物の表面における濃度は、0.10μmol/g〜0.30μmol/gが好ましく、0.10μmol/g〜0.25μmol/gがより好ましく、0.10μmol/g〜0.20μmol/gがさらに好ましい。
抗菌性物質Rの青果物の表面における濃度(表面存在量)の測定法は、実施例の項において説明する。
本開示の青果物の保存方法において、青果物自身が産生する抗菌性物質R以外に、抗菌性物質(例えば、プロタミン系の抗菌性物質)を青果物に添加してもよい。これにより、上記抗菌性物質による微生物の増殖抑制効果と、本開示の保存方法による微生物の増殖抑制効果と、が相乗効果により増幅される。
本開示の青果物の保存方法は、例えば、青果物をガス透過フィルムで包装した形態で、他の部材(不織布、紙)を重ね合わせたガス透過フィルムで包装した形態で、又はラミネートされたガス透過フィルムで包装した形態で、以下のように保存することができる。
上記ガス透過フィルムは、無孔であってもよく、有孔であってもよい。
無孔のガス透過フィルムとしては、以下に示す態様A及び態様Bにおけるガス透過フィルムが挙げられる。
また、有孔のガス透過フィルムとしては、例えば、p−プラス(住友ベークライト株式会社製)が挙げられる。
本開示の青果物の保存方法は、例えば、以下に示す態様A又は態様Bであってもよい。
(態様A)
態様Aの青果物の保存方法は、2層以上の多層構造を有するガス透過フィルムであって、透湿度(JIS Z0208に準拠、試験温度40℃、試験湿度90%)が10g/m・24h〜80g/m・24hの範囲にあり、ヒートシール温度140℃におけるヒートシール強度が6N/15mm〜50N/15mmの範囲にあり、最大径50μm以上の孔が1mあたり1個以下であり、前記多層構造の少なくとも1層が、4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位を有する重合体を含有するガス透過フィルムを備える包装材を用いて青果物を包装して保存する。
態様Aにおけるガス透過フィルムを、第1のガス透過フィルムという。
(第1のガス透過フィルム)
本開示の第1のガス透過フィルムでは、透湿度が上記範囲であること、及び、最大径50μm以上の孔が1mあたり1個以下であることにより、第1のガス透過フィルムからのガス透過が均一に生じやすくなる。また、140℃におけるヒートシール強度が上記範囲であることにより、低温でのヒートシール性が確保されている。その上で、本開示の第1のガス透過フィルムは、多層構造の少なくとも1層が、高いガス透過性を持つ4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位を有する重合体を含有している。
これにより、高いガス透過性を保持したまま、4−メチル−1−ペンテン系重合体をフィルムとして用いたときの上記欠点(1)である透明性、上記欠点(2)(3)であるヒートシール性が改善された第1のガス透過フィルムが得られる。
したがって、本開示によれば、ガス透過性、低温でのヒートシール性、及び透明性に優れた第1のガス透過フィルムを実現することができる。
以下、本開示における第1のガス透過フィルムが有する上記特性の好ましい範囲について順に説明する。
本開示における第1のガス透過フィルムにおける透湿度(JIS Z0208に準拠、試験温度40℃、試験湿度90%)は、10g/m・24h〜80g/m・24hであり、好ましくは25g/m・24h〜70g/m・24hである。
上記範囲の透湿度は、多層構造が有する各層(例えばヒートシール層、ガス透過層、表面層)の組成を調整することで達成しやすい。
第1のガス透過フィルムの透湿度(単位:g/m・24h)は、特開2017−186080号公報(段落番号0154)に記載の方法で測定される値である。
本開示における第1のガス透過フィルムにおける低温でのヒートシール性は、例えば、特開2017−186080号公報(段落番号0021)に記載の方法で判断できる。
ヒートシール温度(加熱温度)140℃、160℃又は220℃におけるヒートシール強度は、特開2017−186080号公報(段落番号0151)に記載の方法で測定する。
本開示における第1のガス透過フィルムにおいて、最大径50μm以上の孔は1mあたり1個以下である。
最大径50μm以上の孔の数が上記範囲にあることで、第1のガス透過フィルムにおいてより均一なガス透過性が得られる。また、第1のガス透過フィルムを、例えば包装資材、包装材として用いた際に、包装資材内、包装材内への衛生性が保持される点で好ましい。
なお、上記孔の最大径及び数は、目視及び必要に応じて公知の走査型電子顕微鏡、光学顕微鏡などを使用して確認することができる。
本開示における第1のガス透過フィルムは、2層以上の多層構造を有する。
多層構造の少なくとも1層は、4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位を有する重合体(4−メチル−1−ペンテン系重合体(A))を含有する。
4−メチル−1−ペンテンは嵩高い骨格を有するため、第1のガス透過フィルムの少なくとも1層が4−メチル−1−ペンテン系重合体を含有することにより、高いガス透過性と、透明性を付与することができる。
なお、上記4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)は、ポリオレフィンを主成分とする重合体であることがよく、4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位と、エチレン又は炭素原子数3〜20のα−オレフィン(但し、4−メチル−1−ペンテンを除く。)から導かれる構成単位とを有する共重合体であることが好ましい。
なお、第1のガス透過フィルムの少なくとも1層が、4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位を含有することは、後述する13C−NMR分析により確認することができる。
本開示における第1のガス透過フィルムは、前述の通り、2層以上の多層構造を有するが、好ましくは3層以上、より好ましくは3層〜5層の多層構造を有する。
以下、本開示における第1のガス透過フィルムの好ましい態様について説明する。
本開示における第1のガス透過フィルムは、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)及び1−ブテン系重合体(B1−1)をそれぞれ特定の割合で含有するヒートシール層と、前記4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)以外の4−メチル−1−ペンテン系重合体(D2)を特定の割合で含有するガス透過層とを備える多層構造であることが好ましい。
より詳細には、本開示における第1のガス透過フィルムにおいて、前記多層構造が、
4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)50質量%〜95質量%及び1−ブテン系重合体(B1−1)5質量%〜50質量%を含有するヒートシール層(但し、前記4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)及び前記1−ブテン系重合体(B1−1)の合計を100質量%とする。)と、
前記4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)以外の4−メチル−1−ペンテン系重合体(D2)を80質量%以上含有するガス透過層と、
を備え、
前記4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)が、4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位と、エチレン又は炭素原子数3〜20のα−オレフィン(但し、前記4−メチル−1−ペンテンを除く。)から導かれる構成単位との合計を100モル%としたときに、前記4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位が60モル%〜99モル%の範囲にあり、示差走査熱量計で測定される融点Tmが199℃以下であるか、又は示差走査熱量計で融点Tmが観測されない重合体であり、
前記1−ブテン系重合体(B1−1)が、1−ブテンから導かれる構成単位と、エチレンから導かれる構成単位と、プロピレンから導かれる構成単位との合計を100モル%としたときに、前記1−ブテンから導かれる構成単位が5モル%〜100モル%の範囲にある重合体であり、
前記4−メチル−1−ペンテン系重合体(D2)が、全構成単位に対して4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位が90モル%以上であり、示差走査熱量計で測定される融点Tmが200℃〜250℃である重合体であることが好ましい。
本開示における第1のガス透過フィルムは、上記態様である場合には、上述した透湿度、ヒートシール強度、及び最大径50μm以上の孔の数が特定の範囲に調整された第1のガス透過フィルムを達成しやすくなる。
すなわち、ガス透過性、低温でのヒートシール性、及び透明性に優れた第1のガス透過フィルムを実現しやすくなる。
また、ヒートシール層が有する前記1−ブテン系重合体(B1−1)において、1−ブテンから導かれる構成単位は50モル%〜100モル%の範囲にあることが好ましい。
これにより、上述した透湿度、ヒートシール強度、及び最大径50μm以上の孔の数が特定の範囲に調整された第1のガス透過フィルムをより達成しやすくなる。
すなわち、ガス透過性、低温でのヒートシール性、及び透明性に優れた第1のガス透過フィルムをより実現しやすくなる。
本開示における第1のガス透過フィルムは、さらに4−メチル−1−ペンテン系重合体(A3)、1−ブテン系重合体(B3)、及び前記4−メチル−1−ペンテン系重合体(A3)以外の4−メチル−1−ペンテン系重合体(D3)をそれぞれ特定の割合で含有する表面層を備える多層構造であることが好ましい。
これにより、上述した透湿度、ヒートシール強度、及び最大径50μm以上の孔の数が特定の範囲に調整された第1のガス透過フィルムを達成しやすくなる。
すなわち、ガス透過性、低温でのヒートシール性、及び透明性に優れた第1のガス透過フィルムをより実現しやすくなる。
より詳細には、本開示における第1のガス透過フィルムにおいて、前記多層構造が、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A3)50質量%〜95質量%、1−ブテン系重合体(B3)5質量%〜50質量%、及び前記4−メチル−1−ペンテン系重合体(A3)以外の4−メチル−1−ペンテン系重合体(D3)0質量%〜20質量%を含有する表面層(但し、前記4−メチル−1−ペンテン系重合体(A3)及び前記1−ブテン系重合体(B3)の合計を100質量%とする。)をさらに備え、
前記4−メチル−1−ペンテン系重合体(A3)が、4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位と、エチレン又は炭素原子数3〜20のα−オレフィン(但し、前記4−メチル−1−ペンテンを除く。)から導かれる構成単位との合計を100モル%としたときに、前記4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位が60モル%〜99モル%の範囲にあり、示差走査熱量計で測定される融点Tmが199℃以下であるか、又は示差走査熱量計で融点Tmが観測されない重合体であり、
前記1−ブテン系重合体(B3)が、1−ブテンから導かれる構成単位と、エチレンから導かれる構成単位と、プロピレンから導かれる構成単位との合計を100モル%としたときに、前記1−ブテンから導かれる構成単位が5モル%〜100モル%の範囲にある重合体であり、
前記4−メチル−1−ペンテン系重合体(D3)が、全構成単位に対して4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位が90モル%以上であり、示差走査熱量計で測定される融点Tmが200℃〜250℃である重合体であることが好ましい。
また、表面層が有する前記1−ブテン系重合体(B3)において、1−ブテンから導かれる構成単位は50モル%〜100モル%の範囲にあることが好ましい。
これにより、上述した透湿度、ヒートシール強度、及び最大径50μm以上の孔の数が特定の範囲に調整された第1のガス透過フィルムをより達成しやすくなる。
すなわち、ガス透過性、低温でのヒートシール性、及び透明性に優れた第1のガス透過フィルムをより実現しやすくなる。
次に、第1のガス透過フィルムの各層に含まれる成分について説明する。
以下では、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)を単に重合体(A1)と称して説明することがある。同様に、1−ブテン系重合体(B1−1)等についても、重合体の構成要素を省略して、単に重合体(B1−1)等と称して説明することがある。
<ヒートシール層>
ヒートシール層は、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)を50質量%〜95質量%含有することが好ましく、65質量%〜95質量%含有することがより好ましい。
また、ヒートシール層は、1−ブテン系重合体(B1−1)を5質量%〜50質量%を含有することが好ましく、5質量%〜35質量%含有することがより好ましい。
但し、前記4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)及び前記1−ブテン系重合体(B1−1)の合計を100質量%とする。
ヒートシール層が、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)及び1−ブテン系重合体(B1−1)を上記範囲で含有することにより、ガス透過層との層間接着力が十分なものとなりやすい。
(4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1))
4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)は、4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位と、エチレン又は炭素原子数3〜20のα−オレフィン(但し、4−メチル−1−ペンテンを除く。)から導かれる構成単位とを有する共重合体である。
4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位と、エチレン又は前記炭素原子数3〜20のα−オレフィンから導かれる構成単位との合計を100モル%としたときに、4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位は、60モル%〜99モル%の範囲にあり、好ましくは65モル%〜98モル%の範囲、より好ましくは65モル%〜97モル%の範囲にある。
4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位が60モル%以上であると、ヒートシール層のガス透過性を高めることができる。その結果、ガス透過性の高い第1のガス透過フィルムを得ることができる。4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位が99モル%以下であると、フィルム伸び等の機械物性が良好なヒートシール層及び第1のガス透過フィルムを得ることができる。
エチレン又は炭素数が3以上20以下のα−オレフィンには、例えば、直鎖状又は分岐状のα−オレフィン、環状オレフィン、芳香族ビニル化合物、共役ジエン、非共役ポリエン、官能化ビニル化合物等が含まれる。
直鎖状又は分岐状のα−オレフィン、環状オレフィン、芳香族ビニル化合物、共役ジエン、非共役ポリエン、官能化ビニル化合物の具体例としては、例えば、特開2017−186080号公報(段落番号0037〜0044)等に記載の具体例が含まれる。
4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)は、エチレン又は炭素原子数3〜20のα−オレフィンから導かれる構成単位を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。4−メチル−1−ペンテン以外の炭素原子数2以上20以下のα−オレフィンの好ましい態様としては、例えば、特開2017−186080号公報(段落番号0045)に記載の態様が含まれる。
重合体(A1)が有する、構成単位の含有率(モル%)は、下記の方法により測定することができる。
〜条件〜
測定装置:核磁気共鳴装置(ECP500型、日本電子(株)製)
観測核:13C(125MHz)
シーケンス:シングルパルスプロトンデカップリング
パルス幅:4.7μ秒(45°パルス)
繰り返し時間:5.5秒
積算回数:1万回以上
溶媒:オルトジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン(容量比:80/20)混合溶媒
試料濃度:55mg/0.6mL
測定温度:120℃
ケミカルシフトの基準値:27.50ppm
4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)は、示差走査熱量計で測定される融点Tmが199℃以下であるか、又は示差走査熱量計で融点Tmが観測されない重合体である。
なお、「融点Tmが観測されない」とは、−150℃〜200℃の範囲において、結晶融解熱量が1J/g以上である結晶融解ピークが実質的に観測されないことをいう。
示差走査熱量計で測定される重合体(A1)の融点Tmを199℃以下に、又は示差走査熱量計で重合体(A1)の融点Tmを観測されないように調整するためには、重合体(A1)中の4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位と、エチレン又は炭素原子数3〜20のα−オレフィン(但し、4−メチル−1−ペンテンを除く。)から導かれる構成単位との合計を100モル%としたときに、4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位を60モル%〜99モル%の範囲にすることがよい。
重合体(A1)の融点Tmが199℃以下であるか、又は重合体(A1)の融点Tmが観測されないことにより、低温での成形及び低温でのヒートシールが可能なヒートシール層及び第1のガス透過フィルムを得ることができる。重合体(A1)の融点Tmは、好ましくは100℃〜180℃であるか、又は重合体(A1)の融点Tmは観測されないことが好ましい。
上記重合体(A1)の融点Tmは、示差走査熱量計(DSC:Differential scanning calorimetry)を用い、下記の方法により測定される値である。
約5mgの重合体(A1)を、セイコーインスツル(株)製の示差走査熱量計(DSC220C型)の測定用アルミニウムパン中に密封し、室温から10℃/minで200℃まで加熱する。重合体(A1)を完全融解させるために、200℃で5分間保持し、次いで、10℃/minで−50℃まで冷却する。−50℃で5分間置いた後、10℃/minで200℃まで2度目の加熱を行ない、この2度目の加熱でのピーク温度(℃)を重合体(A1)の融点Tmとする。なお、複数のピークが検出される場合には、最も高温側で検出されるピークを採用する。
重合体(A1)は、上記要件に加えてさらに極限粘度[η]、重量平均分子量(Mw)、メルトフローレート(MFR)及び密度について、例えば、特開2017−186080号公報(段落番号0052〜0057)に記載の、一つ以上の要件を満たすことが好ましい。
4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)の製法
重合体(A1)の調製に用いることのできる重合触媒としては、従来公知の触媒、例えば、マグネシウム担持型チタン触媒、国際公開第01/53369号、国際公開第01/27124号、特開平3−193796号公報、又は特開平02−41303号公報に記載のメタロセン触媒等が好適である。重合体(A1)の製造方法としては、例えば、国際公開第01/27124号、国際公開14/050817号等に記載の方法を採用することができる。
(1−ブテン系重合体(B1−1))
1−ブテン系重合体(B1−1)は、1−ブテンから導かれる構成単位と、エチレンから導かれる構成単位と、プロピレンから導かれる構成単位とを有する重合体である。
1−ブテンから導かれる構成単位と、エチレンから導かれる構成単位と、プロピレンから導かれる構成単位との合計を100モル%としたときに、1−ブテンから導かれる構成単位は、5モル%〜100モル%の範囲にある。
1−ブテンから導かれる構成単位がこの範囲であると、層間接着力において好ましい。
1−ブテン系重合体(B1−1)の一態様において、前記1−ブテンから導かれる構成単位は、より好ましくは50モル%〜100モル%、さらに好ましくは70モル%〜90モル%の範囲にある。1−ブテンから導かれる構成単位がこの範囲であると、層間接着力において特に好ましい。
また、1−ブテン系重合体(B1−1)の他の態様において、前記1−ブテンから導かれる構成単位は、より好ましくは5モル%以上50モル%未満、さらに好ましくは5モル%〜35モル%の範囲にある。1−ブテンから導かれる構成単位がこの範囲であると、ヒートシール層及び第1のガス透過フィルムの透明性において特に好ましい。
1−ブテンから導かれる構成単位と、エチレンから導かれる構成単位と、プロピレンから導かれる構成単位との合計を100モル%としたときに、エチレンから導かれる構成単位は、好ましくは5モル%〜50モル%の範囲にあり、より好ましくは5モル%〜30モル%の範囲にあり、更に好ましくは5モル%〜20モル%の範囲にある。
1−ブテンから導かれる構成単位と、エチレンから導かれる構成単位と、プロピレンから導かれる構成単位との合計を100モル%としたときに、プロピレンから導かれる構成単位は、好ましくは5モル%〜90モル%の範囲にあり、より好ましくは10モル%〜80モル%の範囲にあり、更に好ましくは20モル%〜80モル%の範囲にあり、特に好ましくは20モル%〜70モル%の範囲にある。
1−ブテン系重合体(B1−1)中の各構成単位の含有量は、例えば、重合反応中に添加するそれぞれの成分量によって調整することができる。1−ブテン系重合体(B1−1)を重合する際、エチレンおよびプロピレンは1種単独で用いてもよく、2種を併用してもよい。その比率は特に限定されない。
なお、1−ブテン系重合体(B1−1)は、例えば1−ブテンと、エチレン及びプロピレンの少なくとも一方とが重合した重合体であってもよい。すなわち、1−ブテン系重合体(B1−1)は、プロピレンから導かれる構成単位を有さない重合体であっても、エチレンから導かれる構成単位を有さない重合体であってもよい。
1−ブテンから導かれる構成単位と、エチレンから導かれる構成単位と、プロピレンから導かれる構成単位との合計は、全構成単位の通常90モル%以上であり、好ましくは95モル%以上、より好ましくは98モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。すなわち、重合体(B1−1)は、発明の効果を損なわない範囲であれば、1−ブテン、エチレン及びプロピレンから導かれる構成単位以外の構成単位を有してもよい。他の構成単位としては例えば炭素原子数20以下のα−オレフィンが挙げられる。例えば、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどが挙げられる。
重合体(B1−1)は、上記要件に加えてさらに、例えば特開2017−186080号公報(段落番号0065)に記載のメルトフローレート(MFR)の要件を満たすことが好ましい。
(1−ブテン系重合体(B1−1)の製法)
重合体(B1−1)の調製に用いることのできる重合触媒としては、従来公知の触媒、例えば、マグネシウム担持型チタン触媒、国際公開第01/53369号、国際公開第01/27124号、特開平3−193796号公報、又は特開平02−41303号公報に記載のメタロセン触媒等が好適である。重合体(B1−1)の製造方法としては、例えば、国際公開第2014/042249号、国際公開第2006/057361等に記載の方法を採用することができる。
<ガス透過層>
ガス透過層は、前記4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)以外の4−メチル−1−ペンテン系重合体(D2)を、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上含有することが好ましい。なお、上限は100質量%であることが好ましい。4−メチル−1−ペンテン系重合体(D2)の含有量(質量%)は、ガス透過層全体に対する含有量である。
重合体(D2)の含有量が上記範囲にあることで、得られる第1のガス透過フィルムのガス透過性が高まりやすい。また、得られる第1のガス透過フィルムに適度な剛性が得られるため好ましい。
また、ガス透過層は、さらに1−ブテン系重合体(B2)を含むことが好ましい。ガス透過層が1−ブテン系重合体(B2)を含むと、得られる第1のガス透過フィルムの層間接着力において好ましい。好ましい1−ブテン系重合体(B2)の含有比率は、重合体(D2)と重合体(B2)の合計を100質量%としたときに、重合体(B2)が20質量%以下、より好ましくは5質量%〜15質量%である。
1−ブテン系重合体(B2)としては、ヒートシール層に含まれる1−ブテン系重合体(B1−1)と同様のものが挙げられ、好ましい態様も同様である。
1−ブテン系重合体(B2)は、上述した1−ブテン系重合体(B1−1)と同様の物性を有していることが好ましい。
なお、1−ブテン系重合体(B2)と1−ブテン系重合体(B1−1)とは同一であっても異なるものであってもよい。
(4−メチル−1−ペンテン系重合体(D2))
4−メチル−1−ペンテン系重合体(D2)は、4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位を有する重合体である。
4−メチル−1−ペンテン系重合体(D2)は、全構成単位に対して4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位が90モル%以上であることが好ましい。
また、4−メチル−1−ペンテン系重合体(D2)は、全構成単位に対して4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位が90モル%以上であり、エチレン及び4−メチル−1−ペンテン以外のα−オレフィンから導かれる構成単位の全構成単位に対する割合が0モル%以上10モル%以下である重合体であることがより好ましい。
重合体(D2)は、前述の通り、4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位を90モル%以上100モル%以下有していることが好ましく、90モル%以上99.9モル%以下有していることがより好ましく、91モル%以上99モル%以下有していることがさらに好ましい。
重合体(D2)が有する4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位が90モル%以上であると、ガス透過層のガス透過性を高めることができる。その結果、ガス透過性のより高い第1のガス透過フィルムを得ることができる。
重合体(D2)は、エチレン及び4−メチル−1−ペンテン以外のα−オレフィンから導かれる構成単位の全構成単位に対する割合が、前述の通り、0モル%以上10モル%以下であることが好ましく、0.1モル%以上10モル%以下であることがより好ましく、1モル%以上9モル%以下であることがさらに好ましい。
重合体(D2)における4−メチル−1−ペンテン以外のα−オレフィンから導かれる構成単位の全構成単位に対する割合が上記範囲内にあると、ガス透過層のガス透過性を高めることができる。その結果、ガス透過性のより高い第1のガス透過フィルムを得ることができる。
重合体(D2)が4−メチル−1−ペンテン以外のα−オレフィンから導かれる構成単位を有する場合、重合体(D2)は、4−メチル−1−ペンテン以外のα−オレフィンから導かれる構成単位を1種のみ有していてもよく、2種以上有していてもよい。4−メチル−1−ペンテン以外の炭素原子数2以上20以下のα−オレフィンの好ましい態様としては、例えば、特開2017−186080号公報(段落番号0072)に記載の態様が含まれる。
重合体(D2)が有する4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位及び4−メチル−1−ペンテン以外のα−オレフィンから導かれる構成単位の割合(含有率)の測定方法は、重合体(A1)の項に記載の方法と同様の条件により測定することができる。
4−メチル−1−ペンテン系重合体(D2)は、示差走査熱量計で測定される融点Tmが好ましくは200℃〜250℃、より好ましくは200℃〜240℃、さらに好ましくは210℃〜240℃である重合体である。
融点Tmは、示差走査熱量計(DSC)により測定される値である。4−メチル−1−ペンテン系重合体(D2)の融点Tmが上記範囲にあることにより、耐熱性の高いガス透過層及び第1のガス透過フィルムを得ることができる。
重合体の融点Tmは、測定装置として示差走査熱量計(DSC220C型、セイコーインスツル(株)製)を用いて測定される。
約5mgの重合体を測定用アルミニウムパン中に密封し、室温から10℃/minで200℃まで加熱した。重合体を完全融解させるために、200℃で5分間保持し、次いで、10℃/minで−50℃まで冷却した。−50℃で5分間置いた後、10℃/minで200℃まで2度目の加熱を行なった。この2度目の加熱でのピーク温度(℃)を重合体の融点Tmとする。
重合体(D2)は、上記要件に加えてさらに、例えば特開2017−186080号公報(段落番号0076〜0077)に記載のメルトフローレート(MFR)及び密度の要件を満たすことが好ましい。
(4−メチル−1−ペンテン系重合体(D2)の製法)
4−メチル−1−ペンテン系重合体(D2)の製造方法としては、例えば、国際公開第01/27124号、国際公開14/050817号等に記載の方法を採用することができる。重合体の製造方法においては、従来公知の重合触媒を用いることができる。
<表面層>
本開示における第1のガス透過フィルムは、ヒートシール層と、ガス透過層と、表面層とをこの順で備える層構成であってもよい。
表面層は、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A3)50質量%〜95質量%、1−ブテン系重合体(B3)5質量%〜50質量%、及び前記4−メチル−1−ペンテン系重合体(A3)以外の4−メチル−1−ペンテン系重合体(D3)0質量%〜20質量%(好ましくは5質量%〜15質量%)を含有する。但し、前記4−メチル−1−ペンテン系重合体(A3)及び前記1−ブテン系重合体(B3)の合計を100質量%とする。
表面層を設けることで、表面層への印刷が容易となるため好ましい。また、表面層が重合体(D3)を含むことにより、ヒートシール層よりも融点が高く、剛性が高い傾向となる。また、表面層に含まれる重合体(D3)の含有量が多いほど、表面層及び第1のガス透過フィルムのガス透過性が高くなる傾向となる。したがって、求められる第1のガス透過フィルムの性質に応じて、上記重合体(D3)の含有量を適宜調節することがよい。
(4−メチル−1−ペンテン系重合体(A3))
4−メチル−1−ペンテン系重合体(A3)としては、ヒートシール層に含まれる4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)と同様のものが挙げられ、好ましい態様も同様である。
4−メチル−1−ペンテン系重合体(A3)は、上述した4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)と同様の物性を有していることが好ましい。
なお、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A3)と4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)とは同一であっても異なるものであってもよい。
(1−ブテン系重合体(B3))
1−ブテン系重合体(B3)としては、ヒートシール層に含まれる1−ブテン系重合体(B1−1)と同様のものが挙げられ、好ましい態様も同様である。
1−ブテン系重合体(B3)は、上述した1−ブテン系重合体(B1−1)と同様の物性を有していることが好ましい。
なお、1−ブテン系重合体(B3)と1−ブテン系重合体(B1−1)とは同一であっても異なるものであってもよい。
(4−メチル−1−ペンテン系重合体(D3))
4−メチル−1−ペンテン系重合体(D3)としては、ガス透過層に含まれる4−メチル−1−ペンテン系重合体(D2)と同様のものが挙げられ、好ましい態様も同様である。
4−メチル−1−ペンテン系重合体(D3)は、上述した4−メチル−1−ペンテン系重合体(D2)と同様の物性を有していることが好ましい。
なお、4−メチル−1−ペンテン系重合体(D3)と4−メチル−1−ペンテン系重合体(D2)とは同一であっても異なるものであってもよい。
<各層の構成及びその他の層>
本開示における第1のガス透過フィルムは、ヒートシール層、及びガス透過層をそれぞれ1以上含む複数の層で構成されていても良く、さらに表面層を含む複数の層で構成されていてもよい。
また、本開示における第1のガス透過フィルムは、本開示の効果を阻害しない範囲でヒートシール層、ガス透過層、及び表面層以外のその他の層を含んでいてもよい。
(その他の成分)
本開示における第1のガス透過フィルムは、本開示の目的を損なわない範囲内において、各層に上述の樹脂(例えば重合体(A1)(A3)、重合体(B1−1)〜(B3)、重合体(D2)(D3))以外の樹脂、添加剤等のその他の成分を含有してもよい。
添加剤としては、例えば、耐熱安定剤、耐候安定剤、スリップ剤、発錆防止剤、耐銅害安定剤、帯電防止剤、防曇剤等が挙げられる。
(第1のガス透過フィルムの厚さ、各層の厚さ、好ましい比率)
第1のガス透過フィルムの厚さ、各層の厚さ及び好ましい比率については、例えば、特開2017−186080号公報(段落番号0087)に記載の要件を満たすことが好ましい。
〔第1のガス透過フィルムの物性〕
−ガス透過性−
本開示における第1のガス透過フィルムにおける透湿度(JIS Z0208に準拠、試験温度40℃、試験湿度90%)は、前述の通り、10g/m・24h〜80g/m・24hであり、好ましくは25g/m・24h〜70g/m・24hである。
本開示における第1のガス透過フィルムにおける酸素透過度は、特に制限はないが、好ましくは1000cm/(m・24h・atm)〜50000cm/(m・24h・atm)であり、より好ましくは2000cm/(m・24h・atm)〜40000cm/(m・24h・atm)であり、更に好ましくは6000cm/(m・24h・atm)〜40000cm/(m・24h・atm)であり、特に好ましくは10000cm/(m・24h・atm)〜40000cm/(m・24h・atm)である。
本開示における第1のガス透過フィルムにおける二酸化炭素透過度は、特に制限はないが、好ましくは5000cm/(m・24h・atm)〜250000cm/(m・24h・atm)であり、より好ましくは10000cm/(m・24h・atm)〜150000cm/(m・24h・atm)であり、更に好ましくは20000cm/(m・24h・atm)〜150000cm/(m・24h・atm)であり、特に好ましくは40000cm/(m・24h・atm)〜150000cm/(m・24h・atm)である。
第1のガス透過フィルムの酸素透過度(単位:cm/(m・24h・atm))及び二酸化炭素透過度(単位:cm/(m・24h・atm))は、下記の方法により測定される。
第1のガス透過フィルムを、幅30mm×長さ30mmの形状に切断したものを試験片として用いる。
酸素透過度及び二酸化炭素透過度は、JIS K7126−1に準拠し、差圧法ガス透過率測定装置(東洋精機製作所製)を用いて、試験温度23℃及び試験湿度0%RHの条件で、第1のガス透過フィルムの測定面積を5cmにして測定する。第1のガス透過フィルムの測定面積は、中央部に直径25mmの孔を開けたモダンコトロール社製の粘着剤付きアルミマスクを2枚用意し、この2枚のマスクで、測定対象の第1のガス透過フィルムを挟み込むように積層し、調整する。詳細には、第1のガス透過フィルムを中央部の孔が2枚のマスクで重なるように配置する。
−引張弾性率及び引張破断伸び−
引張弾性率及び引張破断伸びについては、例えば、特開2017−186080号公報(段落番号0089〜0093)に記載の要件を満たすことが好ましい。
〔第1のガス透過フィルムの製造方法〕
本開示における第1のガス透過フィルムの製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、本開示における第1のガス透過フィルムの構成成分として含まれる各層が界面付近で混ざり合うことで接着し、第1のガス透過フィルムが形成される方法が好ましい。このような方法としては、例えば、溶融させた樹脂を積層する共押出法、予め形成された樹脂フィルムを熱融着させる熱融着法等が挙げられる。これらの方法の中でも、各層(例えばヒートシール層、ガス透過層、必要に応じて表面層、その他の層)における層間接着性がより高く、層間剥離がより生じ難い第1のガス透過フィルムを形成することができる点において、溶融させた樹脂を積層する共押出法がより好ましい。
〔包装材〕
本開示における包装材は、上述の第1のガス透過フィルム(本開示における第1のガス透過フィルム)を備える。
すなわち、本開示における包装材は、上述の第1のガス透過フィルムを用いて得られる包装材である。
包装材としては、特に限定されないが、例えば、特開2017−186080号公報(段落番号0099)に記載の包装材が挙げられ、好ましい態様も同様である。
<態様B>
態様Bの青果物の保存方法は、プロピレン系重合体(C1)を80質量%以上含有するヒートシール層と、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A2)10質量%〜95質量%、1−ブテン系重合体(B2)2質量%〜30質量%、及びプロピレン系重合体(C2)3質量%〜70質量%を含有する中間層(但し、前記4−メチル−1−ペンテン系重合体(A2)、前記1−ブテン系重合体(B2)及び前記プロピレン系重合体(C2)の合計を100質量%とする。)と、プロピレン系重合体(C3)を80質量%以上含有する表面層と、をこの順に備え、前記4−メチル−1−ペンテン系重合体(A2)が、4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位と、エチレン又は炭素原子数3〜20のα−オレフィン(但し、前記4−メチル−1−ペンテンを除く。)から導かれる構成単位との合計を100モル%としたときに、前記4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位が60モル%〜99モル%の範囲にあり、示差走査熱量計で測定される融点Tmが199℃以下であるか、又は示差走査熱量計で融点Tmが観測されない重合体であり、前記1−ブテン系重合体(B2)が、1−ブテンから導かれる構成単位と、エチレンから導かれる構成単位と、プロピレンから導かれる構成単位との合計を100モル%としたときに、前記1−ブテンから導かれる構成単位が5モル%〜50モル%の範囲にある重合体であり、前記プロピレン系重合体(C1)、前記プロピレン系重合体(C2)、及び前記プロピレン系重合体(C3)の各々が、全構成単位に対してプロピレンから導かれる構成単位が90モル%以上である重合体であるガス透過フィルムを備える包装材を用いて青果物を包装して保存する。
態様Bにおけるガス透過フィルムは、第2のガス透過フィルムという。
(第2のガス透過フィルム)
態様Bにおいては、第2のガス透過フィルムを、プロピレン系重合体(C1)を特定の割合で含有するヒートシール層と、4−メチル−1−ペンテンを骨格に多く含む特定の4−メチル−1−ペンテン系重合体(A2)、1−ブテンから導かれる構成単位を特定量含有する1−ブテン系重合体(B2)、及び特定量のプロピレン系重合体(C2)を含有する中間層と、プロピレン系重合体(C3)を特定の割合で含有する表面層と、をこの順に積層した層構成とする。
これにより、低温でのヒートシール性及び透明性に優れ、ガス透過性が制御された第2のガス透過フィルムが実現される。
態様Bの作用機構は明確ではないが、本発明者等は、以下の如く推測している。
態様Bにおける第2のガス透過フィルムでは、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A2)と、1−ブテン系重合体(B2)と、プロピレン系重合体(C2)とを特定の割合で混合して中間層を形成すると、前述した第2のガス透過フィルムの欠点(1)である「4−メチル−1−ペンテン系重合体とオレフィン系重合体との相溶性」が改善され、中間層中において、ガス透過性を担う4−メチル−1−ペンテン系重合体(A2)と、層間接着性を担う1−ブテン系重合体(B2)と、プロピレン系重合体(C2)とが適度に分散した状態で存在すると考えられる。
態様Bにおける第2のガス透過フィルムでは、この中間層中における上記重合体(A2)、上記重合体(B2)及び上記重合体(C2)の分散状態(適度に分散した状態)が、透明性の向上に寄与していると考えられる。
また、中間層に含まれる1−ブテン系重合体(B2)が1−ブテンから導かれる構成単位を特定量含有することによって、層間接着性を高めているのみならず、上記分散状態によって、第2のガス透過フィルム(多層フィルム)としての透明性を非常に高いレベルで達成していると推定する。これにより、前述した第2のガス透過フィルムの欠点(2)である前記接着力が改善される。また、上記欠点(1)である透明性も改善される。
また、中間層に含まれる4−メチル−1−ペンテン系重合体(A2)が示差走査熱量計で測定される融点Tmが199℃以下であるか、又は示差走査熱量計で融点Tmが観測されない重合体であることによって、前述した第2のガス透過フィルムの欠点(3)、(4)である前記ヒートシール性が改善され、ヒートシール温度の低温化が実現される。
さらにヒートシール層がプロピレン系重合体(C1)を特定の割合で含有し、かつ表面層がプロピレン系重合体(C3)を特定の割合で含有することによって、低温でのヒートシール性が実現されると考えられる。また、中間層におけるガス透過性が低減され、その結果、第2のガス透過フィルムのガス透過性が制御されると考えられる。
従って、態様Bによれば、中間層の両面に、ヒートシール層及び表面層を各々積層した層構成とすることにより、ガス透過性が制御され、かつ低温でのヒートシール性及び透明性に優れた第2のガス透過フィルムが実現されると考えられる。
前述の通り、態様Bにおける第2のガス透過フィルムは、ガス透過性が制御されたガス透過フィルムである。
態様Bにおける第2のガス透過フィルムの透湿度(JIS Z0208に準拠、試験温度40℃、試験湿度90%)は、例えば70g/m・24h以下、好ましくは50g/m・24h以下、より好ましくは40g/m・24h以下、更に好ましくは30g/m・24h以下である。下限は、例えば8g/m・24h、好ましくは10g/m・24hである。
上記範囲の透湿度は、各層(ヒートシール層、中間層、及び表面層)の組成を調整することでより達成しやすい。透湿度の測定方法は、上述の測定方法と同様である。
態様Bにおける第2のガス透過フィルムの酸素透過度は、例えば30000cm/(m・24h・atm)以下、好ましくは20000cm/(m・24h・atm)以下、より好ましくは17000cm/(m・24h・atm)以下、更に好ましくは10000cm/(m・24h・atm)以下である。下限は、例えば1000cm/(m・24h・atm)、好ましくは3000cm/(m・24h・atm)である。
態様Bにおける第2のガス透過フィルムの二酸化炭素透過度は、例えば150000cm/(m・24h・atm)以下、好ましくは100000cm/(m・24h・atm)以下、より好ましくは60000cm/(m・24h・atm)以下、更に好ましくは40000cm/(m・24h・atm)以下である。下限は、例えば3000cm/(m・24h・atm)、好ましくは5000cm/(m・24h・atm)である。
通常、酸素透過度と二酸化炭素透過度は、透湿度と相関があるため、透湿度を調整することで上記酸素透過度と上記二酸化炭素透過度を達成しやすくなる。酸素透過度と二酸化炭素透過度の測定方法は、上述の測定方法と同様である。
態様Bにおける第2のガス透過フィルムは、低温でのヒートシール性に優れたガス透過フィルムである。
態様Bにおける低温でのヒートシール性は、例えば、特開2017−186080号公報(段落番号0021)に記載の方法で判断できる。また、ヒートシール温度(加熱温度)140℃、160℃又は220℃におけるヒートシール強度は、特開2017−186080号公報(段落番号0151)に記載の方法で測定する。
以下、態様Bにおける第2のガス透過フィルムの各層について説明する。
<ヒートシール層>
ヒートシール層は、プロピレン系重合体(C1)を80質量%以上含有し、好ましくは85質量%〜95質量%含有する。なお、プロピレン系重合体(C1)の含有量(質量%)は、ヒートシール層全体に対する含有量である。
ヒートシール層がプロピレン系重合体(C1)を上記範囲で含むことにより、低温でのヒートシール性が確保される。また、中間層におけるガス透過性が低減され、その結果、第2のガス透過フィルムのガス透過性が制御される。
ヒートシール層は、さらに1−ブテン系重合体(B1−2)を1質量%〜20質量%含有することが好ましい。
1−ブテン系重合体(B1−2)としては、後述の中間層に含まれる1−ブテン系重合体(B2)と同様のものが挙げられ、好ましい態様も同様である。
ヒートシール層が、1−ブテン系重合体(B1−2)を上記範囲で含有することにより、中間層との層間接着力が十分なものとなりやすい。
また、ヒートシール層が1−ブテン系重合体(B1−2)を20質量%以下で含有することは、フィルム(ヒートシール層)及び第2のガス透過フィルムの表面のべたつきを抑制する観点において好ましい。すなわち、製膜工程での不具合防止や、ヒートシール層及び第2のガス透過フィルムの取扱い性を確保する観点において好ましい。
なお、ヒートシール層は、前述の通り、1−ブテン系重合体(B1−2)を1質量%〜20質量%含有することが好ましいが、5質量%〜15質量%含有することがより好ましい。
(プロピレン系重合体(C1))
プロピレン系重合体(C1)は、全構成単位に対してプロピレンから導かれる構成単位が90モル%以上の重合体である。
プロピレン系重合体(C1)としては具体的には、プロピレンホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー等が挙げられる。好ましくはランダムコポリマーである。
プロピレン系重合体(C1)の好ましい物性は、後述する中間層に含まれるプロピレン系重合体(C2)と同様である。
プロピレン系重合体(C1)のメルトフローレート(MFR)は、フィルム(ヒートシール層)の成形性、並びに、ヒートシール層及び第2のガス透過フィルムの機械物性の観点から、0.1g/10min〜100g/10minであることが好ましく、0.5g/10min〜50g/10minであることがより好ましい。メルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238に準拠し230℃で2.16kgの荷重にて測定される値である。
<中間層>
中間層は、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A2)10質量%〜95質量%、1−ブテン系重合体(B2)2質量%〜30質量%、及びプロピレン系重合体(C2)3質量%〜70質量%を含有する。
但し、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A2)、1−ブテン系重合体(B2)、及びプロピレン系重合体(C2)の合計は、100質量%とする。
中間層に含まれる4−メチル−1−ペンテン系重合体(A2)、1−ブテン系重合体(B2)、及びプロピレン系重合体(C2)の含有比率の好ましい範囲としては、上記重合体(A2)が50質量%以上となる場合と、上記重合体(A2)が50質量%未満となる場合とに大別して考えられる。
上記重合体(A2)が50質量%以上となる場合には、上記重合体(A2)が65質量%〜95質量%、上記重合体(B2)が2質量%〜15質量%、上記重合体(C2)が3質量%〜30質量%であることが好ましい。
上記重合体(A2)、上記重合体(B2)、及び上記重合体(C2)の含有比率が上記範囲であることにより、中間層における透明性が確保され、その結果、第2のガス透過フィルムの透明性が確保される。また、層間接着力が良好になる。
上記重合体(A2)が50質量%未満となる場合には、上記重合体(A2)が10質量%〜35質量%、上記重合体(B2)が15質量%〜30質量%、上記重合体(C2)が40質量%〜65質量%が好ましい。
上記重合体(A2)、上記重合体(B2)、及び上記重合体(C2)の含有比率が上記範囲であることにより、中間層における透明性が確保され、その結果、第2のガス透過フィルムの透明性が確保される。また、層間接着力が良好になる。
(4−メチル−1−ペンテン系重合体(A2))
4−メチル−1−ペンテン系重合体(A2)については、上述の4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)と同様であり、好ましい範囲等も同様である。
なお、4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位が60モル%以上であると、中間層のガス透過性を確保することができる。その結果、第2のガス透過フィルムのガス透過性を制御することができる。
4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位が99モル%以下であると、フィルムの伸び等の機械物性が良好な中間層及び第2のガス透過フィルムを得ることができる。
(4−メチル−1−ペンテン系重合体(A2)の製法)
4−メチル−1−ペンテン系重合体(A2)の製法は、上述の4−メチル−1−ペンテン系重合体(A1)の製法と同様である。
(1−ブテン系重合体(B2))
1−ブテン系重合体(B2)は、1−ブテンから導かれる構成単位と、エチレンから導かれる構成単位と、プロピレンから導かれる構成単位とを有する重合体である。
1−ブテンから導かれる構成単位と、エチレンから導かれる構成単位と、プロピレンから導かれる構成単位との合計を100モル%としたときに、1−ブテンから導かれる構成単位は、5モル%〜50モル%の範囲にあり、好ましくは5モル%〜35モル%の範囲にある。
1−ブテンから導かれる構成単位が5モル%以上であると、層間接着力が十分なものとなりやすい。
1−ブテンから導かれる構成単位が50モル%以下であると、中間層における透明性が高まり、その結果、透明性に優れた積層フィルムを得ることができる。
1−ブテンから導かれる構成単位と、エチレンから導かれる構成単位と、プロピレンから導かれる構成単位との合計を100モル%としたときに、エチレンから導かれる構成単位は、好ましくは5モル%〜50モル%の範囲にあり、より好ましくは5モル%〜30モル%の範囲にあり、更に好ましくは5モル%〜20モル%の範囲にある。
1−ブテンから導かれる構成単位と、エチレンから導かれる構成単位と、プロピレンから導かれる構成単位との合計を100モル%としたときに、プロピレンから導かれる構成単位は、好ましくは5モル%〜90モル%の範囲にあり、より好ましくは10モル%〜80モル%の範囲にあり、更に好ましくは40モル%〜80モル%の範囲にあり、特に好ましくは50モル%〜80モル%の範囲にある。
1−ブテン系重合体(B2)中の各構成単位の含有量は、例えば、重合反応中に添加するそれぞれの成分量によって調整することができる。1−ブテン系重合体(B2)を重合する際、エチレンおよびプロピレンは1種単独で用いてもよく、2種を併用してもよい。その比率は特に限定されない。
なお、1−ブテンから導かれる構成単位と、エチレンから導かれる構成単位と、プロピレンから導かれる構成単位との合計は、全構成単位の通常90モル%以上であり、好ましくは95モル%以上、より好ましくは98モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。すなわち、重合体(B2)は、発明の効果を損なわない範囲であれば、1−ブテン、エチレン及びプロピレンから導かれる構成単位以外の構成単位を有してもよい。他の構成単位としては例えば炭素原子数20以下のα−オレフィンが挙げられる。前記炭素原子数20以下のα−オレフィンとしては、例えば、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどが挙げられる。
重合体(B2)のメルトフローレート(MFR)は、フィルム(中間層)の成形性、並びに、中間層及び積層フィルムの機械物性の観点から、0.1g/10min〜100g/10minであることが好ましく、0.5g/10min〜50g/10minであることがより好ましい。
重合体(B2)のメルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238に準拠し、230℃で2.16kgの荷重にて測定される値である。
(1−ブテン系重合体(B2)の製法)
重合体(B2)の調製に用いることのできる重合触媒としては、従来公知の触媒、例えば、マグネシウム担持型チタン触媒、国際公開第01/53369号、国際公開第01/27124号、特開平3−193796号公報、又は特開平02−41303号公報に記載のメタロセン触媒等が好適である。重合体(B2)の製造方法としては、例えば、国際公開第2014/042249号、国際公開第2006/057361等に記載の方法を採用することができる。
(プロピレン系重合体(C2))
プロピレン系重合体(C2)は、全構成単位に対してプロピレンから導かれる構成単位が90モル%以上の重合体である。
プロピレン系重合体(C2)としては、プロピレンの単独重合体(ホモポリマー)であっても、プロピレンと他のモノマーとの共重合体(コポリマー)であってもよく、例えば、アイソタクティックプロピレン系重合体、シンジオタクティックプロピレン系重合体、これらの混合物等を挙げることができる。アイソタクティックプロピレン系重合体は、ホモプロピレン系重合体であっても、プロピレン・炭素数2以上20以下のα−オレフィン(但し、プロピレンを除く。)ランダム共重合体であっても、プロピレンブロック共重合体であってもよい。
プロピレン系重合体(C2)のメルトフローレート(MFR)は、フィルム(中間層)の成形性、並びに、中間層及び第2のガス透過フィルムの機械物性の観点から、0.1g/10min〜100g/10minであることが好ましく、0.5g/10min〜50g/10minであることがより好ましい。
上記プロピレン系重合体(C2)のメルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238に準拠し230℃で2.16kgの荷重にて測定される値である。
<表面層>
表面層は、プロピレン系重合体(C3)を80質量%以上含有し、好ましくは85質量%〜95質量%含有する。なお、プロピレン系重合体(C3)の含有量(質量%)は、表面層全体に対する含有量である。
表面層がプロピレン系重合体(C3)を上記範囲で含むことにより、中間層におけるガス透過性が低減され、その結果、第2のガス透過フィルムのガス透過性が制御される。
表面層は、さらに1−ブテン系重合体(B3)を1質量%〜20質量%含有することが好ましい。
表面層が、1−ブテン系重合体(B3)を上記範囲で含有することにより、中間層との層間接着力が十分なものとなりやすい。
また、表面層が1−ブテン系重合体(B3)を20質量%以下で含有することは、フィルム(表面層)及び第2のガス透過フィルムの表面のべたつきを抑制する観点において好ましい。すなわち、製膜工程での不具合防止や、表面層及び第2のガス透過フィルムの取扱い性を確保する観点において好ましい。
なお、表面層は、前述の通り、1−ブテン系重合体(B3)を1質量%〜20質量%含有することが好ましいが、5質量%〜15質量%含有することがより好ましい。
1−ブテン系重合体(B3)としては、上述の中間層に含まれる1−ブテン系重合体(B2)と同様のものが挙げられ、好ましい態様も同様である。
なお、表面層に含まれる1−ブテン系重合体(B3)、ヒートシール層に含まれる1−ブテン系重合体(B1−2)及び中間層に含まれる1−ブテン系重合体(B2)は同一のものであっても互いに異なるものであってもよい。
(プロピレン系重合体(C3))
プロピレン系重合体(C3)は、全構成単位に対してプロピレンから導かれる構成単位が90モル%以上の重合体である。
プロピレン系重合体(C3)としては具体的には、プロピレンホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー等が挙げられる。好ましくはホモポリマーである。
プロピレン系重合体(C3)の好ましい物性(メルトフローレート等)は、前述した中間層に含まれるプロピレン系重合体(C2)と同様であることが好ましい。
なお、ヒートシール層に含まれるプロピレン系重合体(C1)、中間層に含まれるプロピレン系重合体(C2)、及び表面層に含まれるプロピレン系重合体(C3)は同一のものであっても互いに異なるものであってもよい。
<各層の構成及びその他の層>
態様Bにおける第2のガス透過フィルムは、ヒートシール層、中間層及び表面層をそれぞれ1以上含む複数の層で構成されていてもよい。また、態様Bにおける第2のガス透過フィルムは、態様Bの効果を阻害しない範囲でヒートシール層、中間層及び表面層以外のその他の層を含んでいてもよい。
その他の層としては、例えば、ガス透過性を調整するための4−メチル−1−ペンテン重合体からなる層が挙げられる。この場合の第2のガス透過フィルムの構成は、例えば、ヒートシール層、中間層、その他の層、中間層、表面層の様な5層フィルムとなる。
第2のガス透過フィルムは3層〜5層で構成されることが好ましく、3層で構成されることが最も好ましい。
<その他の成分>
その他の成分については、上述した第1のガス透過フィルムのその他の成分と同様である。
〔第2のガス透過フィルムの厚さ、各層の厚さ、好ましい比率〕
態様Bにおける第2のガス透過フィルムの厚さは、取り扱い性が容易である点において、10μm〜500μmであることが好ましく、10μm〜300μmであることがより好ましく、10μm〜100μmであることが更に好ましい。
ヒートシール層の厚さは、低温でのヒートシール性および層間接着性の点において、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上、さらに好ましくは5μm以上である。
ヒートシール層の厚さ(比率)は、第2のガス透過フィルム全体の厚さに対して、好ましくは1%〜40%、より好ましくは10%〜30%である。
中間層の厚さは、第2のガス透過フィルムとしての厚さが上記範囲内となれば特に制約はないが、中間層の厚さ(比率)は、第2のガス透過フィルム全体の厚さに対して、好ましくは10%〜90%、より好ましくは20%〜80%、さらに好ましくは40%〜80%である。
表面層の厚さは、好ましくは1μm〜50μmである。
また、表面層の厚さ(比率)は、第2のガス透過フィルム全体の厚さに対して、好ましくは1%〜40%、より好ましくは10%〜30%である。
〔第2のガス透過フィルムの物性〕
第2のガス透過フィルムの物性は、上述した第1のガス透過フィルムと同様であり、好ましい範囲も同様である。
〔第2のガス透過フィルムの製造方法〕
第2のガス透過フィルムの製造方法は、上述した第1のガス透過フィルムの製造方法と同様である。
〔包装材〕
態様Bにおける包装材は、上述の包装材と同様であり、好ましい範囲等も同様である。
以下、本開示の発明を実施例により更に具体的に説明するが、本開示の発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
<MAフィルムの製造>
MAフィルムは、特開2017−186080の実施例1の製造方法と同様の製造方法で製造した。また、MAフィルムの酸素透過度、二酸化炭素透過度及び透湿度は、フィルムの各層の厚さを調整することで調整した。
<マンゴーの保存>
(実施例1)
収穫後2日のマンゴー(サンサンマンゴー、藤農園製)を、包材であるMAフィルム(酸素透過度12,000cm/(m・24h・atm)、二酸化炭素透過度40,000cm/(m・24h・atm)、透湿度30g/m・24h、厚み50μm)で包み、温度23℃、RH60%(小型環境試験機SH−222、エスペック株式会社製)、7日間の条件下、保存した。
保存後のMAフィルム内の酸素濃度は23℃下で2%であった。また、保存後のMAフィルム内の二酸化炭素濃度は23℃下で8%であった。
(比較例1)
MAフィルムを用いずに保存した以外は、実施例1と同様とした。
<抗菌性物質の抽出>
マンゴーの表皮は、セラミック刃のピラーを用いて上から下へ帯状に薄く採取した。
次に、マンゴー表皮10gを、5mm角程度の大きさに細分化し、95%エタノール(ナカライテスク株式会社製、試薬特級)30mlを添加した。エタノール中のマンゴー表皮を、ファイバーミキサー(パナソニック株式会社製、MX−X701−T)を用いて18000rpm(revolutions per minute)、60秒の条件下、破砕及び均質化した後、氷中にて2分以上冷却する作業を7回繰り返した。
その後、ろ紙(アドバンテック東洋株式会社製、5C)を用いて、エタノール抽出液をろ過した後に回収した(1回目)。ろ紙上に残ったデブリは、再度95%エタノール20mlに分散し、18000rpm×60秒の条件下、破砕を3回繰り返し、ろ紙を用いてろ過した後エタノール抽出液を回収し(2回目)、先のエタノール抽出液(1回目)と混合した。
得られたエタノール抽出液を、エバポレーター(東京理化器械株式会社製、ロータリーエバポレーター N-N型)を用いて、50rpm、10分の条件下、室温にて10mlに減圧濃縮した。
得られたエタノール濃縮液にジクロロメタン(ナカライテスク株式会社製、試薬特級)10mlを添加し、抗菌性物質をジクロロメタン相に抽出し、分液ロートを用いてジクロロメタン相のみを回収した。上層に残った水相にジクロロメタン10mlを添加し、2回目の抽出を実施し、ジクロロメタン相を回収した。
ジクロロメタン抽出液に無水MgSO(ナカライテスク株式会社製)を2.0g添加することで脱水し、ろ紙を用いて脱水後のジクロロメタン抽出液をろ過回収した。
ジクロロメタン溶液を室温にてエバポレーター(50rpm、10分)により減圧し、ジクロロメタンを留去し、蒸発乾固させた。
蒸発乾固物に酢酸エチル(ナカライテスク株式会社製、HPLC用)2.0mlを加えて溶解させ、0.45μmPTFEフィルター(ADVANTEC製、DISMIC-25HP045AN)を用いて不溶物を除去した。得られた抽出液1は下記分析まで冷凍保存した。
<抗菌性物質の表皮存在量の分析>
抗菌性物質の表皮存在量の分析は、下記式3で表される抗菌性物質1(5−n−pentadecylresorcinol)及び下記式4で表される抗菌性物質2(5−n−heptadecenylresorcinol)を対象に、上記で得られた抽出液1のLC−TOF/MS分析により行った。LC−TOF/MS分析において、ESI−ネガティブモードを用いて、抽出液1を酢酸エチルで520ppmに溶解した溶液を標準試料とし、MSシグナルパターン及び保持時間を確認した。分析条件を下記表1に示す。
抗菌性物質1は溶出時間33.8min、抗菌性物質2は溶出時間34.0minであった。抗菌性物質1及び抗菌性物質2のMSシグナルパターンを図1及び図2に示す。
上記の方法により分析した結果を下記表2、図3及び図4に示す。
上記表2、下記図3及び図4から、実施例1では、7日間保存されたマンゴーの表皮には黒色化部分(変質又は腐敗部分)はほとんど認められなかった。また、マンゴーの表皮(変化なし部分)における抗菌性物質1及び2の表面存在量が、ともに増加した。
これに対し、比較例1は、黒色化した部分が発生し、黒色化部分において抗菌性物質1及び抗菌性物質2の表面存在量が増加した。特に、抗菌性物質2の表面存在量が顕著に増加した。また、黒色化部分以外の変化なし部分においては、抗菌性物質1及び抗菌性物質2の表面存在量はともに低下した。

Claims (5)

  1. 保存前の青果物が含有する抗菌性物質Rの前記青果物の表面における濃度SC1(μmol/g)と、保存後の青果物が含有する抗菌性物質Rの前記青果物の表面における濃度SC2(μmol/g)が、以下の式1を満たすように青果物を保存する青果物の保存方法。
    SC1<SC2 (式1)
  2. 前記青果物が、マンゴー、マスカット、イチゴ、メロン、桜桃及びアボガドの群から選ばれる少なくとも1つである請求項1に記載の青果物の保存方法。
  3. 前記抗菌性物質Rが、5−n−ヘプタデセニルレゾルシノール、5−n−ペンタデシルレゾルシノール、5−n−ノナデシルレゾルシノール及び5−n−ヘネイコシルレゾルシノールの群から選ばれる少なくとも1つである請求項1又は請求項2に記載の青果物の保存方法。
  4. 2層以上の多層構造を有するガス透過フィルムであって、
    透湿度(JIS Z0208に準拠、試験温度40℃、試験湿度90%)が10g/m・24h〜80g/m・24hの範囲にあり、
    ヒートシール温度140℃におけるヒートシール強度が6N/15mm〜50N/15mmの範囲にあり、
    最大径50μm以上の孔が1mあたり1個以下であり、
    前記多層構造の少なくとも1層が、4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位を有する重合体を含有するガス透過フィルムを備える包装材を用いて青果物を包装して保存する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の青果物の保存方法。
  5. 前記透湿度が25g/m・24h〜70g/m・24hの範囲にある請求項4に記載の青果物の保存方法。
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