JP2019134033A - 積層圧電セラミック部品及び圧電デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】機械的な信頼性が高く、高コスト化が抑制された積層圧電セラミック部品を提供する。【解決手段】上記部品において、圧電セラミック体は、第1領域、第2領域を有する。第1内部電極は、第1領域で第1端面に引き出される。第2内部電極は、第2領域で第1端面に引き出される。第3内部電極は、第1領域及び第2領域で第2端面に引き出され、第1内部電極と厚さ方向に所定の距離をおいて交互に積層され、第2内部電極と厚さ方向に所定の距離をおいて交互に積層される。第1表面電極は、上面に形成され、第3端子電極と電気的に接続され、第1内部電極と対向する。第2表面電極は、下面に形成され、第3端子電極と電気的に接続され、第2内部電極と対向し、第1表面電極の長さより短い。【選択図】図1

Description

本発明は、圧電アクチュエータとして利用することが可能な積層圧電セラミック部品及び圧電デバイスに関する。
圧電アクチュエータは、圧電材料と電極を備える圧電素子から構成され、電極に電圧が印加されると、逆圧電効果により圧電材料に生じる変形を利用したアクチュエータである。圧電アクチュエータには、二つの圧電アクチュエータから構成されたバイモルフ型圧電アクチュエータと呼ばれるものがある。
一般的なバイモルフ型圧電アクチュエータは、金属板の表裏両面に圧電アクチュエータを貼付した構造を備え、圧電アクチュエータの一方を伸ばし、他方を縮ませることにより全体を大きく変位させることが可能である。また、バイモルフ型圧電アクチュエータには、二つの圧電アクチュエータを一体型とした素子バイモルフ構造の圧電アクチュエータ(素子バイモルフアクチュエータ)が提供されている(例えば、特許文献1)。
このような圧電アクチュエータにおいては、大きく変位することで生じる屈曲による破壊を抑制する手法も提案されている(例えば、特許文献2)。例えば、この技術では、中心付近の圧電材料を厚くし、外部に向かって薄層化することで、圧電アクチュエータ内の電界強度に選択性を生じさせている。
国際公開2013/051328号 特開平09−289342号公報
しかしながら、特許文献2に記載のような技術では、1つの素子内で層厚を変更しようとすると、層厚の異なるグリーンシートを数種類用いて積層体とするため、特殊本数のロールを具備した成型機を用いることになる。このため、製造時のリードタイムが長くなり、コスト増を招来してしまう。また、素子バイモルフアクチュエータの一端を固定冶具で固定して使用する場合には、固定冶具付近で屈曲に伴う負荷が大きくなり、固定冶具付近で機械的な素子破壊に至る場合もある。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、高コスト化が抑制され、機械的な信頼性を向上させた積層圧電セラミック部品及び圧電デバイスを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る積層圧電セラミック部品は、圧電セラミック体と、第1の内部電極と、第2の内部電極と、第3の内部電極と、第1の端子電極と、第2の端子電極と、第3の端子電極と、第1の表面電極と、第2の表面電極とを具備する。
上記圧電セラミック体は、長さ>幅>厚さである直方体形状であり、厚さ方向に対向する上面及び下面と、長さ方向に対向する第1の端面及び第2の端面と、幅方向に対向する一対の側面とを有し、厚さ方向において上記上面側の第1の領域及び上記下面側の第2の領域を有する。
上記第1の内部電極は、上記第1の領域の内部に形成され、上記第1の端面に引き出される。
上記第2の内部電極は、上記第2の領域の内部に形成され、上記第1の端面に引き出される。
上記第3の内部電極は、上記第1の領域の内部及び上記第2の領域の内部に形成され、上記第2の端面に引き出され、上記第1の領域の内部では上記第1の内部電極と厚さ方向に所定の距離をおいて交互に積層され、上記第2の領域の内部では上記第2の内部電極と厚さ方向に所定の距離をおいて交互に積層される。
上記第1の端子電極は、上記第1の端面に形成され、上記第1の内部電極と電気的に接続される。
上記第2の端子電極は、上記第1の端面に形成され、上記第1の端子電極とは電気的に絶縁され、上記第2の内部電極と電気的に接続される。
上記第3の端子電極は、上記第2の端面に形成され、上記第3の内部電極と電気的に接続される。
上記第1の表面電極は、上記上面に形成され、上記第3の端子電極と電気的に接続され、上記第2の端面から伸びて上記第1の内部電極と対向する。
上記第2の表面電極は、上記下面に形成され、上記第3の端子電極と電気的に接続され、上記第2の端面から伸びて上記第2の内部電極と対向し、上記第1の表面電極の長さより短い。
このような構成によれば、第1の内部電極と第3の内部電極の間で電圧を印加することにより第1の領域の圧電セラミック体を変形させ、第2の内部電極と第3の内部電極の間で電圧を印加することにより第2の領域の圧電セラミック体を変形させることができる。従って、第1の領域と第2の領域の変形はそれぞれ独立して制御することが可能である。さらに、この構成では、上記上面に形成され、第3の端子電極と電気的に接続され、第2の端面から伸びて第1の内部電極と対向する第1の表面電極と、上記下面に形成され、第3の端子電極と電気的に接続され、第2の端面から伸びて第2の内部電極と対向する第2の表面電極とが配置され、第2の表面電極の長さよりも第1の表面電極の長さが短く構成されている。このため、積層圧電セラミック部品においては、固定冶具で固定されたときに、固定冶具付近に印加される応力が分散されて、素子破壊が抑制される。
上記の積層圧電セラミック部品では、上記第1の内部電極、上記第2の内部電極及び上記第3の内部電極の幅と、上記一対の側面の間の距離は、同じでもよい。
このような構成によれば、第1の内部電極、第2の内部電極及び第3の内部電極の幅が圧電セラミック体の幅と同一であり、第1の内部電極、第2の内部電極及び第3の内部電極は圧電セラミック体の側面に露出している。第1の内部電極、第2の内部電極及び第3の内部電極が圧電セラミック体の内部に埋設され、側面に露出していない場合には、これらの内部電極の側面を被覆する圧電セラミック体(サイドマージン)による拘束によって積層圧電セラミック部品の変形が抑制されるが、上記構成によればサイドマージンによる拘束が生じず、変位性能の低下を防止することが可能である。
上記の積層圧電セラミック部品では、上記一対の側面、上記上面の一部及び上記下面の一部は、上記圧電セラミック体とは異なる絶縁膜で覆われ、上記上面に形成された上記絶縁膜の長さは、上記第2の表面電極の長さと同じでもよい。
このような構成によれば、上記上面側で第1の端子電極、第2の端子電極及び第1の表面電極が絶縁膜から露出され、第1の端子電極、第2の端子電極及び第1の表面電極からなる3端子への電気的接続が可能になる。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る圧電デバイスは、振動部材と、上記振動部材に実装された積層圧電セラミック部品とを具備する。
上記積層圧電セラミック部品は、圧電セラミック体と、第1の内部電極と、第2の内部電極と、第3の内部電極と、第1の端子電極と、第2の端子電極と、第3の端子電極と、第1の表面電極と、第2の表面電極とを有する。
上記圧電セラミック体は、長さ>幅>厚さである直方体形状であり、厚さ方向に対向する上面及び下面と、長さ方向に対向する第1の端面及び第2の端面と、幅方向に対向する一対の側面とを有し、厚さ方向において上記上面側の第1の領域及び上記下面側の第2の領域を有する。
上記第1の内部電極は、上記第1の領域の内部に形成され、上記第1の端面に引き出される。
上記第2の内部電極は、上記第2の領域の内部に形成され、上記第1の端面に引き出される。
上記第3の内部電極は、上記第1の領域の内部及び上記第2の領域の内部に形成され、上記第2の端面に引き出され、上記第1の領域の内部では上記第1の内部電極と厚さ方向に所定の距離をおいて交互に積層され、上記第2の領域の内部では上記第2の内部電極と厚さ方向に所定の距離をおいて交互に積層される。
上記第1の端子電極は、上記第1の端面に形成され、上記第1の内部電極と電気的に接続される。
上記第2の端子電極は、上記第1の端面に形成され、上記第1の端子電極とは電気的に絶縁され、上記第2の内部電極と電気的に接続される。
上記第3の端子電極は、上記第2の端面に形成され、上記第3の内部電極と電気的に接続される。
上記第1の表面電極は、上記上面に形成され、上記第3の端子電極と電気的に接続され、上記第2の端面から伸びて上記第1の内部電極と対向する。
上記第2の表面電極は、上記下面に形成され、上記第3の端子電極と電気的に接続され、上記第2の端面から伸びて上記第2の内部電極と対向し、上記第1の表面電極の長さより短い。
このような構成によれば、振動部材に実装された積層圧電セラミック部品が固定冶具で固定されたときに、固定冶具付近に印加される応力が分散されて、素子破壊が抑制される。
以上述べたように、本発明によれば、高コスト化が抑制され、機械的な信頼性が高い積層圧電セラミック部品及び圧電デバイスが提供される。
本実施形態に係る積層圧電セラミック部品100の斜視図である。 本実施形態に係る積層圧電セラミック部品100の斜視図である。 第1側面101aを示す平面図である。 第2側面101bを示す平面図である。 第1端面101cを示す平面図である。 第2端面101dを示す平面図である。 上面101eを示す平面図である。 下面101fを示す平面図である。 第1内部電極102を示す積層圧電セラミック部品100の断面図である。 第2内部電極103を示す積層圧電セラミック部品100の断面図である。 第3内部電極103を示す積層圧電セラミック部品100の断面図である。 積層圧電セラミック部品100に印加される電圧波形の例である。 図(a)は、比較例に係る積層圧電セラミック部品500が動作する例であり、図(b)は、本実施形態に係る積層圧電セラミック部品100が動作する例である。 さらに別の比較例に係る積層圧電セラミック部品300の斜視図である。 絶縁膜112を備える積層圧電セラミック部品100を示す斜視図である。 シート部材を示す模式図である。 積層圧電セラミック部品100を備える圧電デバイス400の模式図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。各図面には、XYZ軸座標が導入される場合がある。本発明の実施形態に係る積層圧電セラミック部品について説明する。
[蓄電圧電セラミック部品の構成]
図1及び図2は、本実施形態に係る積層圧電セラミック部品100の斜視図であり、図2は、図1の反対側から見た図である。
図1及び図2に示すように、積層圧電セラミック部品100は、圧電セラミック体101、第1内部電極102、第2内部電極103、第3内部電極104、第1表面電極105、第2表面電極106、第1端面端子電極107、第2端面端子電極108、第3端面端子電極109、第1表面端子電極110及び第2表面端子電極111を備える。
圧電セラミック体101は、圧電性セラミック材料からなる。圧電セラミック体101は、Z軸方向に並ぶ複数の圧電セラミック層を含む。圧電セラミック層は、Z軸方向において、第1内部電極102と第3内部電極104との間に設けられるとともに、第2内部電極103と第3内部電極104との間に設けられる。本実施形態では、圧電セラミック層も圧電セラミック体101と呼称する。
圧電セラミック体101は、例えば、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)又は、チタン酸ジルコン酸鉛(PbZrO−PbTiO)等からなるものとすることができる。
図1及び図2に示すように圧電セラミック体101は、直方体形状を有する。X軸方向を長さ方向、Y軸方向を幅方向、Z軸方向を厚さ方向とすると、圧電セラミック体101は、長さ>幅>厚さとなる形状を有する。
圧電セラミック体101の表面について、幅方向(Y軸方向)に対向する面を第1側面101a及び第2側面101bとし、長さ方向(X軸方向)に対向する面を第1端面101c及び第2端面101dとする。また、厚み方向(Z軸方向)に対向する面を上面101e及び下面101fとする。
図3は、第1側面101aを示す平面図であり、図4は、第2側面101bを示す平面図である。
図5は、第1端面101cを示す平面図であり、図6は、第2端面101dを示す平面図である。
図7は、上面101eを示す平面図であり、図8は、下面101fを示す平面図である。
図3及び図4に示すように、圧電セラミック体101は、Z軸方向において区分けされた、上面101e側の第1領域101gと、下面101f側の第2領域101hを有する。第1領域101gの厚みと第2領域101hの厚みは、1:1が好適である。
第1内部電極102は、第1領域101gの内部に形成され、圧電セラミック体101を介して第3内部電極104及び第1表面電極105と対向する(図3及び図4参照)。図9は、第1内部電極102を示す積層圧電セラミック部品100の断面図であり、図3及び図4のA−A線での断面図である。図9に示すように第1内部電極102は、第1端面101cに引き出されて第1端面101cに部分的に露出し、第1端面端子電極107に電気的に接続されている。
また、第1内部電極102は、圧電セラミック体101の幅(Y軸方向)と同一の幅を有し、第1側面101a及び第2側面101bに露出する(図3及び図4参照)。第1内部電極102の層数は、特に限定されず、一層又は複数層とすることができる。
第2内部電極103は、第2領域101hの内部に形成され、圧電セラミック体101を介して第3内部電極104及び第2表面電極106と対向する(図3及び図4参照)。図10は、第2内部電極103を示す積層圧電セラミック部品100の断面図であり、図3及び図4のB−B線での断面図である。図10に示すように第2内部電極103は、第1端面101cに引き出されて第1端面101cに部分的に露出し、第2端面端子電極108に電気的に接続されている。
また、第2内部電極103は、圧電セラミック体101の幅(Y軸方向)と同一の幅を有し、第1側面101a及び第2側面101bに露出する(図3及び図4参照)。第2内部電極103の層数は、特に限定されず、一層又は複数層とすることができる。
第3内部電極104は、第1領域101g及び第2領域101hの内部に形成されている。
第3内部電極104は、第1領域101gの内部では、第1内部電極102と厚さ方向(Z軸方向)に所定の距離をおいて第1内部電極102と交互に積層され、圧電セラミック体101を介して第1内部電極102と対向する(図3及び図4参照)。
また、第3内部電極104は、第2領域101hの内部では、第2内部電極103と厚さ方向(Z軸方向)に所定の距離をおいて第2内部電極103と交互に積層され、圧電セラミック体101を介して第2内部電極103と対向する(図3及び図4参照)。
図11は、第3内部電極103を示す積層圧電セラミック部品100の断面図であり、図3及び図4のC−C線での断面図である。図11に示すように第3内部電極104は、第2端面101dに引き出されて第2端面101dに露出し、第3端面端子電極109に電気的に接続されている。
また、第3内部電極104は、圧電セラミック体101の幅(Y軸方向)と同一の幅を有し、第1側面101a及び第2側面101bに露出する(図3及び図4参照)。第3内部電極104の層数は、第1内部電極102及び第2内部電極103の層数に応じた数とすることができる。
第1表面電極105は、第2端面101d側から伸びて上面101eに形成され(図1参照)、第3端面端子電極109に電気的に接続されている。第1表面電極105は、Z軸方向において圧電セラミック体101を介して第1内部電極102に対向する。また、第1表面電極105は、上面101eにおいて第1表面端子電極110及び第2表面端子電極111とは離間し、これらとは電気的に絶縁されている(図7参照)。
第2表面電極106は、第2端面101d側から伸びて下面101fに形成され、第3端面端子電極109に電気的に接続されている。(図2参照)。第2表面電極106は、圧電セラミック体101を介して第2内部電極103と対向する。但し、X軸方向において、第2表面電極106の長さは、第1表面電極105の長さより短い。
第1端面端子電極107は、第1端面101cに形成され(図1参照)、第1内部電極102に電気的に接続されている。また、第1端面端子電極107は、第2内部電極103及び第2端面端子電極108とは、電気的に絶縁されている。第1端面端子電極107は、第1端面101cにおいて上面101eと下面101fの間に形成され、第1表面端子電極110に電気的に接続されている。
第2端面端子電極108は、第1端面101cに形成され(図1参照)、第2内部電極103に電気的に接続されている。また、第2端面端子電極108は、第1内部電極102及び第1端面端子電極107とは、電気的に絶縁されている。第2端面端子電極108は、第1端面101cにおいて上面101eと下面101fの間に形成され、第2表面端子電極111に電気的に接続されている。
第3端面端子電極109は、第2端面101dに形成され(図2参照)、第3内部電極104に電気的に接続されている。また、第3端面端子電極109は、第2端面101dにおいて上面101eと下面101fの間に形成され、第1表面電極105及び第2表面電極106に電気的に接続されている。
第1表面端子電極110は、上面101eに形成されている(図1参照)。第1表面端子電極110は、第1端面端子電極107に電気的に接続され、第2表面端子電極111及び第1表面電極105とは、電気的に絶縁されている。
第2表面端子電極111は、上面101eに形成されている(図1参照)。第2表面端子電極111は、第2端面端子電極108に電気的に接続され、第1表面端子電極110及び第1表面電極105とは、電気的に絶縁されている。
第1内部電極102、第2内部電極103、第3内部電極104、第1表面電極105、第2表面電極106、第1端面端子電極107、第2端面端子電極108、第3端面端子電極109、第1表面端子電極110及び第2表面端子電極111は、導電性材料からなる。この導電性材料は、例えばAg、Ag/Pd、Pd、Cu及びNiのいずれかとすることができる。
積層圧電セラミック部品100は、以上のような構成を有する。上記のように第1内部電極102、第2内部電極103及び第3内部電極104は、圧電セラミック体101の内部に形成され、圧電セラミック体101を介して第1内部電極102と第3内部電極104が対向し、第2内部電極103と第3内部電極104が対向する。第1内部電極102、第2内部電極103及び第3内部電極104は、互いに絶縁されている。
積層圧電セラミック部品100のサイズは、特に限定されないが、長さ(X軸方向)をL、幅(Y軸方向)をWとすると、L/Wは、16〜50程度が好適である。また厚み(Z軸方向)は、0.5mm〜1.5mm程度が好適である。また、第1表面電極105から露出された圧電セラミック体101の長さに対する第2表面電極106から露出された圧電セラミック体101の長さの割合は、1.7%以上50%以下である。この割合が1.7%よりも小さくなると、セラミック部品をクランピングするための位置決め精度が悪くなるため好ましくなく、50%より大きくなると、第2端面101dにおける変位量が損なわれ、好ましくない。一例として、X軸方向において、第1表面電極105から露出された圧電セラミック体101の長さは、2mmであり、第2表面電極106から露出された圧電セラミック体101の長さは、5mmである。
[蓄電圧電セラミック部品の動作]
積層圧電セラミック部品100は、第1内部電極102と第3内部電極104の間と、第2内部電極103と第3内部電極104の間にそれぞれ独立して電圧を印加することができる。
第1内部電極102と第3内部電極104の間に電圧を印加すると、第1内部電極102と第3内部電極104の間の圧電セラミック体101に逆圧電効果が発生し、第1領域101gにX軸方向において変形(伸縮)を生じる。また、第2内部電極103と第3内部電極104の間に電圧を印加すると、第2内部電極103と第3内部電極104の間の圧電セラミック体101に逆圧電効果が発生し、第2領域101hにX軸方向において変形(伸縮)を生じる。
このように積層圧電セラミック部品100では、第1領域101gと第2領域101hの変形を独立して制御することができる。第1領域101g及び第2領域101hがそれぞれX軸方向に変形することにより、積層圧電セラミック部品100をZ軸方向において変形(屈曲)させることが可能である。
図12(a)、(b)は、積層圧電セラミック部品100に印加される電圧波形の例である。図12(a)は、第1内部電極102と第3内部電極104の間の電圧(V1)の波形であり、図12(b)は、第2内部電極103と第3内部電極104の間の電圧(V2)の波形である。なお、Vは、第3内部電極104の電位を示す。同図に示すように、電圧V1と電圧V2を同位相の逆バイアスとすることにより、第1領域101gと第2領域101hの一方を伸張させ、他方を縮小させることが可能である。
なお、第1領域101gの厚みと第2領域101hの厚みを1:1とすることにより、第1領域101gと第2領域101hの変形量が対称的となり、好適である。また、電圧V1及び電圧V2の波形は、図9に示すものに限られず、サイン波や三角波であってもよい。
ここで、積層圧電セラミック部品100の一端がクランプ等の固定冶具で固定されたときの動作を説明する。
まず、図13(a)に、比較例に係る積層圧電セラミック部品500が動作する例を示す。
比較例に係る積層圧電セラミック部品500では、X軸方向において、第2表面電極506の長さが第1表面電極105の長さと同じになっている。このような構成の場合、固定冶具251として、上部把持部251uの長さと、下部把持部251dの長さとが同じ冶具が用いられる。これは、固定冶具251を用いれば、第1表面電極105及び第2表面電極506が固定冶具251によって噛まれず、広い面積にわたって圧電セラミック体101の機能が発揮され、積層圧電セラミック部品において大きな振動Vが得られるからである。
しかしながら、積層圧電セラミック部品500を動作しつつ、固定冶具251によって積層圧電セラミック部品500の一端が把持され続けると、上部把持部251uの先端と下部把持部251dの先端とを結ぶ線500Lを基準に積層圧電セラミック部品500が振動することから、線500L付近にZ軸方向の局所的な応力S1が発生する。これにより、固定冶具251付近において、圧電セラミック体101が粉砕したり、圧電セラミック体101と各電極とが剥離したりする現象がおき得る。
これに対して、図13(b)は、本実施形態に係る積層圧電セラミック部品100が動作する例である。
本実施形態に係る積層圧電セラミック部品100では、X軸方向において、第2表面電極106の長さが第1表面電極105の長さよりも短く構成されている。このような構成であれば、第2表面電極106がより短くなった分、変位が抑制された不活性領域が増加する。さらに、このような構成であれば、第1表面電極105及び第2表面電極106が供に噛まれない固定冶具として、上部把持部252uと、上部把持部252uよりも長さが長い下部把持部252dとを持つ固定冶具252を用いることができる。
これにより、固定冶具252に把持された積層圧電セラミック部品100においては、固定冶具252によっても強制的に変位が抑制され、内部応力は、上部把持部252uの先端と下部把持部252dの先端とを結ぶ線100Lに沿って主に発生する(応力S2)。この応力S2は、図示するように、Z軸方向とは非平行の斜め成分を多く持つことになり、応力S1に比べて積層圧電セラミック部品内で力が分散される。
これにより、積層圧電セラミック部品100を動作させたときには、固定冶具252で固定された一端付近に負荷がかかりにくくなり、例えば、圧電セラミック体101の粉砕、圧電セラミック体101と各電極との剥離が抑制される。この結果、積層圧電セラミック部品100では、素子破壊がより起こりにくくなり、信頼性が向上する。
また、積層圧電セラミック部品100では、圧電セラミック体101、第1内部電極102、第2内部電極103及び第3内部電極104のそれぞれの層厚を略同じに設定できるので、特殊な成型法や層厚の異なるグリーンシートを必要としない。これにより、工程簡略化とリードタイム向上が実現し、高コスト化が抑制される。
なお、本実施形態では、第2表面電極106の長さが第1表面電極105の長さよりも長く構成されてもよい。このような構成あれば、固定冶具252を図13(b)とは逆さにして用いることとができ、同様の効果が得られる。
また、固定冶具252は、絶縁材で構成されてもよく、金属で構成されてもよい。特に、固定冶具252が金属で構成された場合には、第1端面端子電極107と第2端面端子電極108とが短絡しないように、固定冶具252と積層圧電セラミック部品100との間に絶縁材(接着剤)等が介設される。
[サイドマージンレス構造について]
積層圧電セラミック部品100は、上述のように第1内部電極102、第2内部電極103及び第3内部電極104が第1側面101a及び第2側面101bに露出した構造を有する。
図14は、さらに別の比較例に係る積層圧電セラミック部品300の斜視図である。
同図に示すように積層圧電セラミック部品300は、圧電セラミック体301、表面電極302、第1端子電極303及び第2端子電極304を備える。また、積層圧電セラミック部品300は、第1内部電極102、第2内部電極103及び第3内部電極104に相当する図示しない内部電極を備える。
積層圧電セラミック部品300では、内部電極は、側面に露出しておらず、圧電セラミック体301の内部に埋設されている。内部電極の側面側には、図14に示すように圧電材料からなるサイドマージンSが設けられている。
このサイドマージンSは、積層圧電セラミック部品300が駆動される際、Z軸方向において内部電極によって挟まれていないため、積層圧電セラミック部品300の変位を抑制する拘束部として作用する。これにより、積層圧電セラミック部品300の変位性能を低下させる。
これに対し、積層圧電セラミック部品100では、第1内部電極102、第2内部電極103及び第3内部電極104のそれぞれの幅と、一対の側面101a、101bの間の距離は、同じである。すなわち、積層圧電セラミック部品100では、第1内部電極102、第2内部電極103及び第3内部電極104が第1側面101a及び第2側面101bに露出し、サイドマージンを有していない。このため、サイドマージンによる拘束作用を受けず、大変位を生じさせることが可能であり、かつ変位性能の低下を防止することが可能である。
[絶縁膜について]
積層圧電セラミック部品100は、絶縁膜を備えていてもよい。図15は、絶縁膜112を備える積層圧電セラミック部品100を示す斜視図である。
同図に示すように絶縁膜112は、積層圧電セラミック部品100の外周を被覆する。ここで、X軸方向において、上面101eに形成された絶縁膜112の長さが第2表面電極106の長さと同じになっている。すなわち、絶縁膜112には、第1表面端子電極110、第2表面端子電極111及び第1表面電極105の一部を露出させる開口112aが設けられている。積層圧電セラミック部品100では、1つの開口112aを介して第1表面端子電極110、第2表面端子電極111及び第1表面電極105への電気的接続(3端子接続)が可能になる。これにより、配線構造がコンパクトになる。
絶縁膜112が被覆する範囲は、図15に示すものに限られず、第1内部電極102、第2内部電極103及び第3内部電極104が露出する第1側面101a及び第2側面101bを少なくとも被覆するものであればよい。
絶縁膜112の材料は、絶縁性材料であれば特に限定されないが、例えばSiNやアクリル樹脂等の絶縁性樹脂が好適である。なお、絶縁膜112は、圧電セラミック体101とは異なる材料であり、軟らかい材料を利用することが可能であるため、絶縁膜112による拘束作用は、極めて小さいものとすることができる。すなわち、積層圧電セラミック部品100では、変位性能の低下が防止される。
[製造方法について]
積層圧電セラミック部品100の製造方法について説明する。
積層圧電セラミック部品100は、シート部材を積層することによって製造することができる。図16(a)〜図16(e)は、シート部材を示す模式図である。図16(a)は、第1表面電極105、第1表面端子電極110、第2表面端子電極111及び圧電セラミック体201からなるシート部材210を示し、図16(b)は、第1内部電極102及び圧電セラミック体201からなるシート部材220を示す。
図16(c)は、第3内部電極104及び圧電セラミック体201からなるシート部材230を示し、図16(d)は、第2内部電極103及び圧電セラミック体201からなるシート部材240を示す。図16(e)は、第2表面電極106及び圧電セラミック体201からなるシート部材250を示す。
まず、シート部材250上に、圧電セラミック体のみからなるシート部材(以下、圧電体シート部材)を積層し、その上にシート部材240、圧電体シート部材、シート部材230を順に積層する。さらに、圧電体シート部材を介してシート部材240とシート部材230を交互に積層する。
続いて、圧電体シート部材を介してシート部材220とシート部材230を交互に積層し、その上に圧電体シート部材及びシート部材210を順に積層する。続いてこの積層体を圧着し、加熱等によりバインダーを除去する。
続いて、焼成を行う。この段階では、各内部電極は、圧電セラミック体201に埋設され、サイドマージンが形成される。続いて熱処理により第1端面101cに第1端面端子電極107及び第2端面端子電極108を形成し、第2端面101dに第3端面端子電極109を形成する。
続いて、サイドマージンをカットし、除去する。これにより、圧電セラミック体201から圧電セラミック体101が形成される。サイドマージンのカットは、ダイシングやレーザ照射により行うことができる。サイドマージンのカットにより、第1側面101a及び第2側面101bが形成され、第1内部電極102、第2内部電極103及び第3内部電極104が第1側面101a及び第2側面101bから露出する(図1参照)。
続いて、開口112aを除いて絶縁膜112を形成する(図16参照)。絶縁膜112は、ミストデポジッション、スパッタ又はディップ等の方法で形成することができる。その後、第1表面端子電極110及び第2表面端子電極111と電気的導通をとり、直流電圧を印加する。これにより分極処理がなされ、圧電セラミック体101が活性化する。
積層圧電セラミック部品100は、以上のようにして製造することが可能である。なお、積層圧電セラミック部品100の製造方法は、ここに示すものに限られない。
[圧電デバイスについて]
積層圧電セラミック部品100は、振動部材に実装され、圧電デバイスを構成することができる。図17は、積層圧電セラミック部品100を備える圧電デバイス400の模式図である。同図に示すように圧電デバイス400は、積層圧電セラミック部品100、振動部材410及び固定冶具252を備える。
振動部材410は、ディスプレイのガラスパネルや金属板であり特に限定されない。接合部420は、樹脂等であり、積層圧電セラミック部品100を振動部材410に接合する。
積層圧電セラミック部品100は、上面101eのうち、第1端面101c側の領域が固定冶具252に接合されている。第1表面端子電極110、第2表面端子電極111及び第1表面電極105には、図示しない配線が電気的に接続されている。
各電極に電圧が印加されると、上述のように積層圧電セラミック部品100には、Z軸方向に変形を生じる(図中矢印)。これにより、振動部材410を振動させることが可能である。なお、積層圧電セラミック部品100の実装方法は、ここに示すものに限られず、例えば上面101eの全体を接合部420に接合してもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。各実施形態は、独立の形態とは限らず、技術的に可能な限り複合させることができる。
100、300、500…積層圧電セラミック部品
101…圧電セラミック体
100L、500L…線
101a…第1側面
101b…第2側面
101c…第1端面
101d…第2端面
101e…上面
101f…下面
101g…第1領域
101h…第2領域
102…第1内部電極
103…第2内部電極
104…第3内部電極
105…第1表面電極
106、506…第2表面電極
107…第1端面端子電極
108…第2端面端子電極
109…第3端面端子電極
110…第1表面端子電極
111…第2表面端子電極
112…絶縁膜
112a…開口
201、301…圧電セラミック体
210、230、240、250…シート部材
251、252…固定冶具
251u、252u…上部把持部
251d、252d…下部把持部
302…表面電極
303…第1端子電極
304…第2端子電極
400…圧電デバイス
410…振動部材
420…接合部

Claims (4)

  1. 長さ>幅>厚さである直方体形状であり、厚さ方向に対向する上面及び下面と、長さ方向に対向する第1の端面及び第2の端面と、幅方向に対向する一対の側面とを有し、厚さ方向において前記上面側の第1の領域及び前記下面側の第2の領域を有する圧電セラミック体と、
    前記第1の領域の内部に形成され、前記第1の端面に引き出された第1の内部電極と、
    前記第2の領域の内部に形成され、前記第1の端面に引き出された第2の内部電極と、
    前記第1の領域の内部及び前記第2の領域の内部に形成され、前記第2の端面に引き出され、前記第1の領域の内部では前記第1の内部電極と厚さ方向に所定の距離をおいて交互に積層され、前記第2の領域の内部では前記第2の内部電極と厚さ方向に所定の距離をおいて交互に積層された第3の内部電極と、
    前記第1の端面に形成され、前記第1の内部電極と電気的に接続された第1の端子電極と、
    前記第1の端面に形成され、前記第1の端子電極とは電気的に絶縁され、前記第2の内部電極と電気的に接続された第2の端子電極と、
    前記第2の端面に形成され、前記第3の内部電極と電気的に接続された第3の端子電極と、
    前記上面に形成され、前記第3の端子電極と電気的に接続され、前記第2の端面から伸びて前記第1の内部電極と対向する第1の表面電極と、
    前記下面に形成され、前記第3の端子電極と電気的に接続され、前記第2の端面から伸びて前記第2の内部電極と対向し、前記第1の表面電極の長さより短い第2の表面電極と
    を具備する
    積層圧電セラミック部品。
  2. 請求項1に記載の積層圧電セラミック部品であって、
    前記第1の内部電極、前記第2の内部電極及び前記第3の内部電極の幅と、前記一対の側面の間の距離は、同じである
    積層圧電セラミック部品。
  3. 請求項1又は2に記載の積層圧電セラミック部品であって、
    前記一対の側面、前記上面の一部及び前記下面の一部は、前記圧電セラミック体とは材料が異なる絶縁膜で覆われ、前記上面に形成された前記絶縁膜の長さは、前記第2の表面電極の長さと同じである
    積層圧電セラミック部品。
  4. 振動部材と、
    前記振動部材に実装された積層圧電セラミック部品とを具備し、
    前記積層圧電セラミック部品は、
    長さ>幅>厚さである直方体形状であり、厚さ方向に対向する上面及び下面と、長さ方向に対向する第1の端面及び第2の端面と、幅方向に対向する一対の側面とを有し、厚さ方向において前記上面側の第1の領域及び前記下面側の第2の領域を有する圧電セラミック体と、
    前記第1の領域の内部に形成され、前記第1の端面に引き出された第1の内部電極と、
    前記第2の領域の内部に形成され、前記第1の端面に引き出された第2の内部電極と、
    前記第1の領域の内部及び前記第2の領域の内部に形成され、前記第2の端面に引き出され、前記第1の領域の内部では前記第1の内部電極と厚さ方向に所定の距離をおいて交互に積層され、前記第2の領域の内部では前記第2の内部電極と厚さ方向に所定の距離をおいて交互に積層された第3の内部電極と、
    前記第1の端面に形成され、前記第1の内部電極と電気的に接続された第1の端子電極と、
    前記第1の端面に形成され、前記第1の端子電極とは電気的に絶縁され、前記第2の内部電極と電気的に接続された第2の端子電極と、
    前記第2の端面に形成され、前記第3の内部電極と電気的に接続された第3の端子電極と、
    前記上面に形成され、前記第3の端子電極と電気的に接続され、前記第2の端面から伸びて前記第1の内部電極と対向する第1の表面電極と、
    前記下面に形成され、前記第3の端子電極と電気的に接続され、前記第2の端面から伸びて前記第2の内部電極と対向し、前記第1の表面電極の長さより短い第2の表面電極とを有する
    圧電デバイス。
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