JP2019132857A - センサ、駆動機構、およびロボット - Google Patents

センサ、駆動機構、およびロボット Download PDF

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Abstract

【課題】例えばロボット装置の関節に配置されるトルクセンサで高精度かつ高分解能なトルク検出を行えるようにする。【解決手段】トルクセンサの弾性体501は、バネ部506、第1締結部504、第2締結部505を有する。バネ部506は、第1、第2の締結部の間に放射状に配置され、両者を結合する。バネ部506は、放射状配置の方向の寸法よりも、回転軸を中心とする円の接線方向の寸法が小さい。また、放射状配置の方向の寸法よりも、第1締結部および第2締結部間の寸法が小さく構成される。光学式エンコーダ502a、502bは、弾性体501の回転変位の回転軸503を中心とする同心円の円周上の、例えば同じ直径上の対向位置に配置する。例えば、複数の光学式エンコーダの出力信号を平均化することにより、他軸力などの外乱の影響を低減できる。【選択図】図3

Description

本発明は、回転軸廻りに働く力を検出するセンサ、センサを用いる駆動機構、およびロボット、に関する。
近年、様々な工業製品の生産ラインで、多関節ロボットが利用されるようになってきた。しかしながら、多関節ロボットでは実現が困難な工程も数多く存在する。例えば、自動車部品などを組み立てる生産ラインにおいて、特に数百グラムから数キログラムの荷重が部品に加わるような工程には、多関節ロボットが広く用いられている。これに対して、柔軟物、軽量物、あるいは低強度部材などから成るワークの組付けなど、部品に与える荷重が数グラム程度であることを要求されるような工程や、精密嵌合を行う工程を多関節ロボットで実現するには種々の困難がある。
上述のような柔軟物、軽量物、あるいは低強度部材といったワークを取り扱う場合、例えば、ワークの破損や変形を防ぐため、これらのワークには大きな力を作用させることができない。もしこの種のワークを多関節ロボットで操作する場合には、高精度に関節やリンクを介してワークに作用する力を制御する必要がある。
例えば、従来より多関節ロボットの先端に搭載するハンドやグリッパのようなエンドエフェクタとともに力覚センサを配置する構成が知られている。この力覚センサの出力値をエンドエフェクタの駆動制御にフィードバックすることにより、ワークに作用する力を制御することができる。また、手先のエンドエフェクタのみならず、例えば、多関節ロボットのアームを構成する各リンクに作用する力を測定して、多関節ロボットの駆動制御にフィードバックすることが考えられる。特に、ロボットアームのリンクに作用する力のうち、多関節ロボットの高精度な駆動制御のために測定する必要がある力は、関節の駆動軸周りに作用するトルクである。
多関節ロボットで上述のような柔軟物、軽量物、あるいは低強度部材といったワークを取り扱う場合、精密嵌合のような作業を行わせる場合、アームの関節に配置されたトルクセンサを高精度化ないし高分解能化する必要がある。
一方、駆動力を伝達する弾性体に生じた変形量を検出ヘッドで検出する構成では、トルクセンサを高分解能にするために、力に対する弾性体の変形量を増加させる必要がある。しかし、同じ力で生じる弾性体の変形量を増加させると、一方では、トルクセンサのトルク検出方向の剛性が低下する可能性がある。トルクセンサの剛性が低下すれば、関節機構の剛性が低くなり、また、多関節ロボットの駆動制御帯域が狭くなるため制御性が低下する可能性がある。関節に働く力を検出するトルクセンサを高分解能化する場合でも、関節機構の剛性低下を可能な限り抑制するのが好ましい。
関節機構の剛性確保、ないし関節に働く他軸力(関節の駆動軸周りを除く5方向に作用する力)を考慮して、特許文献1や2ではガイド部材を配置する構成が用いられている。例えば特許文献1では、他軸力を支持するガイド部材として、関節で接続される2つのリンクの相対変位部にベアリングを設けている。また、特許文献2のトルクセンサは、弾性体が他軸力方向へ変形するのを規制するガイド部材を弾性体上に設ける構成となっている。
特開平10−286789号公報 特開2012−189516号公報
しかしながら、関節の剛性確保、あるいは他軸力を支持するためにベアリングのようなガイド部材を配置すると、このガイド部材は関節の駆動軸周りの駆動に対して負荷として働くことになる。例えばトルクセンサをガイド部材で保持、規制すると、関節の駆動軸周りのトルクが影響を受け、本来トルクセンサで検出すべき関節の駆動軸周りのトルクを正確に検出できなくなる可能性がある。
従って、トルクセンサが関節の駆動軸周りのトルクを正確に検出するためには、ガイド部材を用いることなく、トルクセンサの弾性体で他軸力を支持できる必要がある。即ち、トルク検出精度を高めるためには、ガイド部材を用いないのが望ましく、また、同時に他軸力方向の剛性が低下するのを防ぐ必要がある。
本発明のセンサは、相対変位する測定対象にそれぞれ締結可能な第1締結部、および第2締結部と、前記第1締結部および前記第2締結部が回転変位する回転軸を中心に放射状に配置され前記第1締結部および前記第2締結部を連結するバネ部と、前記第1締結部および前記第2締結部のいずれかにそれぞれ対向して配置されたスケール部および光学検出部を備えた光学式エンコーダと、を備えることを特徴とする。
また、本発明の駆動機構は、第1のリンクと第2のリンクとを相対的に駆動させる駆動機構であって、固定部および駆動部を有し、前記固定部に対して前記駆動部を駆動させる駆動装置を備え、前記固定部および前記駆動部の一方は前記第1のリンクに固定され、前記固定部および前記駆動部の他方と前記第2のリンクの間を結合するように、前記固定部および前記駆動部の他方と前記第2のリンクに作用する力を求めるためのセンサが取り付けられ、前記センサは、前記第1のリンクと締結された第1締結部、および前記第2のリンクと締結された第2締結部と、を備えていることを特徴とする。
本発明によれば、高分解能な位置検出が可能な光学式エンコーダをトルクセンサの検出素子に用いる。このため、トルクセンサの弾性体の微小変位の検出が可能であり、トルクセンサに求められる検出トルク分解能を満たす弾性体の変形量を小さくできる。従って、トルクセンサのトルク検出方向の剛性を高くでき、高分解能と高剛性を両立することができる。
本発明を実施可能なロボット装置の概略構成を示した説明図である。 図1のロボット装置の関節の構成を示した断面図である。 図1のロボット装置のトルクセンサの構成を示した斜視図である。 図3のトルクセンサの構成を示した上面図である。 図4のトルクセンサのA方向から示した断面矢視図である。 図5の断面図において、実施例1のトルクセンサにトルクが作用した時にスケール固定部に生じる変形の様子を示す説明図である。 スケール固定部の変形によるスケールの回転中心が、スケール固定部と異なっている状態を示した説明図である。 図1のロボット装置におけるトルクセンサの配置および他軸力を示した説明図である。 図1のロボット装置におけるトルクセンサの異なる配置および他軸力を示した説明図である。 スケール固定部の変形によるスケールの回転中心が、スケール面と一致している他の構成を示した説明図である。 ロボット制御装置の構成を示したブロック図である。 ロボット制御装置の制御機能を示したブロック図である。 ロボット制御装置が実行するロボット制御手順の流れを示したフローチャート図である。
以下、添付図面に示す実施例を参照して本発明を実施するための形態につき説明する。なお、以下に示す実施例はあくまでも一例であり、例えば細部の構成については本発明の趣旨を逸脱しない範囲において当業者が適宜変更することができる。また、本実施形態で取り上げる数値は、参考数値であって、本発明を限定するものではない。
<実施例1>
(ロボット装置の概略構成)
本実施例によるロボット装置の概略構成について説明する。図1は、本実施例のロボット装置の概略構成を示している。図1において、ロボット装置100は、多関節ロボットとして構成されたロボットアーム200と、ロボットアーム200を制御するロボット制御装置300と、ティーチングペンダント400を備えている。
ティーチングペンダント400は、ロボット制御装置300に複数の教示点のデータを送信する教示装置であり、主にロボット装置100の設置現場において、操作者がロボットアーム200の動作を指定するのに用いられる。
ロボットアーム200は、本実施例では、6軸多関節で構成されている。ロボットアーム200は、各関節J1〜J6を各関節軸A1〜A6周りにそれぞれ回転駆動する複数(6つ)のサーボモータ201〜206を有している。即ち、サーボモータ201〜206は、各関節J1〜J6が各々連結する第1のリンクおよび第2のリンクを相対変位させる駆動力を発生する駆動源を構成する。本実施例ではサーボモータの例を示すが、これに限らず、固定部と駆動部とを有し、固定部に対して駆動部を駆動させる駆動機構であればよい。
ロボット制御装置300が、各J1〜J6の回転角度をそれぞれ制御することにより、ロボットアーム200は、可動範囲の中であれば任意の3次元位置で任意の3方向の姿勢に手先(ロボットアーム200の先端)を向けることができる。
一般に、ロボットアーム200の位置及び姿勢は、3次元直交(XYZ)座標系で表現される。例えば、図1中のToはロボットアーム200の台座に固定した座標系、Teはロボットアーム200の手先に固定した座標系を示している。
ロボットアーム200の各関節J1〜J6は、図2のように固定(支持)側の第1のリンクのフレーム241に対して、可動(被駆動)側の第2のリンクのフレーム242を相対回転可能に連結する。これら関節J1〜J6の相対回転角度は、サーボモータ201〜206によって制御される。サーボモータ201〜206は、各関節J1〜J6の駆動源を構成し、電動モータ211〜216と、関節のトルクを検出するトルクセンサ221〜226とを備える。
サーボモータ201〜206の図中左側の基部は固定(支持)側の第1のリンクのフレーム241に固着されている。また、後述する構成を有するトルクセンサ221〜226は、サーボモータ201〜206の出力駆動軸と、可動(被駆動)側の第2のリンクのフレーム242の間に配置されている。トルクセンサ221〜226は、後述のように弾性体およびその変形量を検出する光学式エンコーダを備える。関節駆動時には、第2のリンクのフレーム242とサーボモータ201〜206の駆動軸の相対変位に伴なうトルクセンサ221〜226の弾性体の変形量が光学式エンコーダによって検出される。
なお、簡略化のため、図示を省略しているが、サーボモータ201〜206の部位には、他に波動歯車機構などを利用した減速機が含まれていてよい。
電動モータ211〜216の一端はトルクセンサ221〜226の一端に固定されており、電動モータ211〜216の他端は固定側のフレーム241に固定され、トルクセンサ221〜226の他端は可動側のフレーム242に固定されている。
図11にロボット制御装置300のハードウェア構成の一例を示す。同図に示すように、ロボット制御装置300は、CPU(演算部)601、ROM602、RAM603、HDD(記憶部)604、インターフェース605、606を備えている。
ROM602には、CPU601が実行する制御プログラムや定数データを格納するために用いられる。RAM603は、CPU601が後述のロボット制御プログラムを実行する際にワークエリアとして用いられる。HDD604は、例えばCPU601の演算処理結果である各種のデータ等を記憶する記憶部として用いられる。後述のロボット制御プログラムは、例えばROM602に格納しておく他、HDD604にファイル形式で格納しておくことができる。
ROM602の制御プログラム格納領域は、例えばEEPROMのような書き換え可能なメモリデバイスから構成しておくことができる。また、後述のロボット制御プログラムは、各種規格のフラッシュメモリや光ディスク(いずれも不図示)などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体を介して上記のROM602の制御プログラム格納領域や、HDD604にインストールすることができる。あるいは、既にROM602やHDD604に記憶されているプログラム内容をアップデートすることもできる。
さらに、ネットワークインターフェース(不図示)をロボット制御装置300に設けておいてもよい。その場合、ネットワークインターフェース(不図示)を介して、後述のロボット制御プログラムをネットワーク経由でROM602やHDD604にインストールする、あるいは既に記憶されている内容をアップデートする構成を用いることができる。
ロボット制御装置300と、ロボットアーム200の間には、サーボモータ201〜206の電動モータ211〜216を駆動制御するドライバインターフェースとしてサーボ制御部230が配置される。図11ではインターフェース606中のサブブロックとしてこのサーボ制御部230を図示してあるが、サーボ制御部230のハードウェア的な配置は任意である。また、図11では、サーボモータ201〜206の電動モータ211〜216は、単一のブロック(607)として簡略図示してある。
サーボ制御部230は、例えばCPU601が入力したトルク指令値に基づき、関節J1〜J6のトルクが指令トルクに追従するよう、電動モータ211〜216に電流指令を出力する。これにより電動モータ211〜216の動作が制御される。サーボ制御部230は例えば電動モータ211〜216を独立してサーボ制御できる制御チャネルを有する1コントローラとして構成する他、電動モータ211〜216にそれぞれ対応した独立したサーボ制御部によって構成してもよい。
図11において、インターフェース605には、上述のティーチングペンダント400が接続され、CPU601はティーチングペンダント400の操作データをインターフェース605を介して取得する。また、CPU601は、各関節に配置されるトルクセンサ221〜226の出力をインターフェース605を介して取得することができる。図11では、簡略化のため、各関節に配置されるトルクセンサ221〜226を、608で示した1ブロックにより図示している。
上記のロボット制御装置300がロボットアーム200の各関節J1〜J6の動作を制御することにより、所定の動作、例えば工業製品の組立てなどの作業を行わせることができる。このロボット制御装置300が制御するロボットアーム200の動作は、例えばロボットアーム200先端部などの基準部位の位置姿勢に相当する教示点のリストの形式で記述される。このような教示点リストは、ティーチングペンダント400によって、ロボットアーム200の姿勢を実際に変更しながら、所定のポイントで教示点のデータをロボット制御装置300に対して指定することにより作成される。
図12は、ロボット制御装置300(特にCPU601)が後述の制御プログラムを実行することにより実現される制御機能をブロック表現で図示している。図12において、指令トルク609は、例えばロボットアーム200によって発生させるトルクの指令値である。指令トルク609は、ティーチングペンダント400の操作指令により指定された教示点や、ロボットアーム200に行わせる作業内容を記述したロボット制御プログラムに応じて生成される。
図12において、加減算器の形式で図示したフィードバック制御部612の加算側入力端に指令トルク609が入力され、フィードバック制御部612の出力側から各関節の電動モータ607(211〜216)に各々のトルク制御値が与えられる。
6関節にそれぞれ配置されたトルクセンサ608(221〜226)の1つには、後述の例ではそれぞれ少なくとも2つ(図3〜図8:502a、502b)、あるいは4つの光学式エンコーダ(図9:502a〜502d)が配置される。各関節のトルクセンサ608(221〜226)のそれぞれ配置された、2つまたは4つの光学式エンコーダのトルク検出値A、B、C、Dは、所定の演算処理によって組み合せられる。そして、その演算結果がフィードバック制御部612の他の入力端(この例では減算側)にフィードバックされる。図12の例では、複数(図示の例ではA、B、C、Dの4つ:後述の制御例を参照)のトルク検出値611に対して平均値演算処理(610)を実行し、フィードバック制御部612にフィードバックさせる。
図13は、図12に機能ブロックで示したロボット制御装置300(CPU601)の制御手順の流れをフローチャート図の形式で示している。図13のステップS11では、ティーチングペンダント400の操作指令により指定された教示点や、ロボットアーム200に行わせる作業内容を記述したロボット制御プログラムに応じて、指令トルク(609)が生成される。
ステップS12は、図12においてフィードバック制御部612として示した指令トルクの補正処理に相当する。このステップS12において、平均化処理(S15)で補正された補正量によって各関節の電動モータ607(211〜216)に送信される各々のトルク制御値が補正される。ステップS13では、補正されたトルク制御値が各関節の電動モータ607(211〜216)に送信され、上記のサーボ制御部230がその値に応じて例えば各モータに対する駆動電流指令を生成する。
ステップS14は、複数のトルク検出値を取得する検出工程に相当する。このステップS14では、6関節にそれぞれ配置されたトルクセンサ608(221〜226)から各関節で発生されているトルクの検出値を取得する。
ステップS15では、各関節にそれぞれ配置されたトルクセンサ608(221〜226)に関して、トルクセンサ608の光学式エンコーダから得られた2つ(ないし4つの)トルク検出値に対して所定の演算を行う。この処理は、上記のようにして取得した複数のトルク検出値を組み合せる演算処理を実行する演算工程に相当する。この演算処理より、各関節に関して、ステップS12にフィードバックするための演算値を生成する。
ステップS15で行う演算処理としては、例えば平均値演算が考えられる。例えば、図13の図示では、後述の図9のように1つのトルクセンサ608に4つの光学式エンコーダが設けられる場合の演算例で、トルク検出値の平均化演算(T=(A+B+C+D)/4)を行っている。このように、トルクセンサ608の各々から得られた例えば4つのトルク検出値(A、B、C、D)に対して平均値演算を行う。
そして、その演算結果をステップS12において、そのトルクセンサ608に対応する電動モータ607(211〜216)を制御する駆動制御量にフィードバックさせる。この処理は、上記の複数のトルク検出値を組み合せる演算結果の結果に基づき、各関節の駆動源である電動モータ607(211〜216)の駆動条件を制御する駆動制御工程に相当する。
なお、1つのトルクセンサ608に2つの光学式エンコーダを設ける構成(後述の図8)では、各々からそれぞれ得られた2つのトルク検出値(A、B)に対して平均値演算(T=(A+B)/2)を行いその演算結果をステップS12にフィードバックする。
(トルクセンサの構造)
トルクセンサ221〜226は、図3のように、弾性体501と、光学式エンコーダ502a、502bの各ユニットにより構成されている。光学式エンコーダ502a、502bは、例えば弾性体501に対してトルクが作用する回転軸503を中心とする同心円の同じ直径上の位置を占める対向位置に配置する。
弾性体501は、第1締結部504、第2締結部505、およびこれら両者を結合する放射状に配置されたバネ部506により構成されている。図3、図4の例では、前記第1締結部504にはスケール固定部512が設けられる。第1締結部504、および第2締結部505は、相対変位する測定対象にそれぞれ締結可能に構成される。
弾性体501の各部位は、目的のトルク検出範囲およびその必要分解能などに応じた弾性(バネ)係数を有する所定の材質、例えば樹脂や、金属(鋼材、ステンレスなど)の材質から構成される。弾性体501は、3Dプリンタによって製造してもよい。具体的には、弾性体501の設計データ(例えばCADデータ)から、3Dプリンタ用データであるスライスデータを作成し、そのデータを従来の3Dプリンタに入力することにより製造してもよい。
第1締結部504と第2締結部505は、例えば円形または図示のようなドーナツ(リング)状の形状に構成される。これらの締結部(504、505)は、相対変位する測定対象、例えば図2の電動モータ211〜216および可動(被駆動)側のフレーム242にそれぞれ締結するためのフランジ部位を構成する。
バネ部506は、例えば円形ないしリング形状の第1締結部504と、第2締結部505の間を結合するリブ形状の部材として構成されている。この複数のバネ部506はトルクが作用する回転軸503を中心として放射状に配置する。
例えば、バネ部506は、トルクが作用する回転軸503に対して放射状に複数(この例では8)箇所に配置する。また、第1締結部504と第2締結部505には電動モータ211〜216、フレーム242とそれぞれ締結するための締結部位507(例えばビス孔やタップ孔)が複数(この例では12)個、配置される。なお、光学式エンコーダ502a(502b)の近傍(直近)の締結部位507、バネ部506の好適な位置関係に関しては後述する。
光学式エンコーダ502a(502b)は、光学式の位置センサ(エンコーダ)としての機能を有する。図5のように、光学式エンコーダ502a(502b)は、スケール508(スケール部)と、スケール508から位置情報を検出する検出ヘッド509を備える。検出ヘッド509は、第1締結部504、および第2締結部505の相対的な回転変位を検出する光学検出部を構成する。
スケール508(スケール部)、検出ヘッド509は、それぞれスケール取付部510と、検出ヘッド取付部511を介して第1締結部504、第2締結部505に装着される。なお、図5は、図4の光学式エンコーダ502bの部分に相当する断面XのA方向からの矢視断面に相当する。
スケール508(スケール部)はスケール取付部510を介して、また、検出ヘッド509は検出ヘッド取付部511を介して弾性体501に固定される。
本実施例では、スケール取付部510は弾性体501に対してスケール固定部512に固定される。図3に示すように、スケール固定部512の全体は、第1締結部504に設けられた凹部512aの形状を有する。この凹部512aの外周側は、検出ヘッド509とスケール508を対向させるための切り欠き部512b(開口部)となっている。
また、検出ヘッド取付部511は、弾性体501に対して第2締結部505に固定されている。検出ヘッド509は、不図示の発光素子と受光素子を備えた反射型の光学センサから構成される。スケール508の検出ヘッド509に対向するパターン面には、表面にスケールパターン(詳細不図示)を配置する。このスケールパターンは、例えば規則的に濃淡や反射率を特定のパターンで異ならせて配置することにより構成される。
なお、このスケールパターンは、検出演算の方式によっては1条のみならず、(例えば配置位相の異なる)複数条の濃淡パターンを複数条配置することもできる。スケールパターンのピッチは、位置検出に必要とされる分解能などに応じて決定するが、近年ではエンコーダの高精度化/高分解能化に伴ない、μmオーダのピッチのものも利用可能である。
検出ヘッド509は、発光素子から光をスケール508に対して照射し、スケール508に反射した光を受光素子が受光する。ここで、回転軸503まわりのトルクが作用し、弾性体501がx軸方向に変形すると、検出ヘッド509とスケール508の相対位置が変化するため、スケール508に照射されている光の照射位置がスケール508上を移動する。
このとき、スケール508に照射されている光がスケール508上に設けられたパターンを通過すると、検出ヘッド509の受光素子で検出される光の光量が変化する。この光量の変化から、スケール508と検出ヘッド509との相対移動量を検出する。検出ヘッド509が検出した移動量は、CPU601が実行する制御ルーチンによって構成されたトルク検出制御部(不図示)によって弾性体501に作用したトルクに換算される。なお、このトルク検出制御は、ハードウェアにより構成されたトルク検出制御部により構成されていてもよい。検出ヘッド509の出力値(移動量)は、上記のトルク検出制御部によって検出ヘッド509が検出した移動量を弾性体501に作用したトルクに変換する感度係数を用いて、トルク検出値(例えば図12、図13のA〜D)に変換される。
以上のようにして、トルクセンサ221〜226は、それぞれが設置された関節においてトルクが作用する回転軸503(図1におけるA1〜A6軸)まわりのトルクを検出することができる。
本実施例では、図3、図4に示すように2つの光学式エンコーダ502a、502bを弾性体501に対してトルクが作用する回転軸503を基準として同じ直径上の対向位置に配置する。この場合、上述のように、2つの光学式エンコーダ502a、502bの検出ヘッド509から出力されるトルク検出値(A、B)を平均化(図12の610、図13のS15)する平均値演算処理を行う。これにより、目的のトルク検出に係る回転軸503廻り以外に働く他軸力の影響を低減することができる。また、回転軸503を中心とする同じ直径上の線ないし点対称位置配置された光学式エンコーダ502a、502bから相対変位に係る検出値を得るようにしている。従って、光学式エンコーダ502a、502bの出力を平均化することによって高精度かつ信頼性の高い相対変位情報、ないしこれに基づくトルク検出値を取得することができる。
トルクセンサ221〜226は、ロボットアーム200に行わせる動作に応じた検出トルク分解能が要求される。前述のように、柔軟物、軽量物、あるいは低強度部材などから成るデリケートなワークを取り扱う場合などにおいては、高精度に関節やリンクを介してワークに作用する力を制御する必要がある。そして、このようなワークが対象物である場合にはトルクセンサ221〜226には高分解能(高精度なトルク検出)が要求される。
ここで、今、トルクセンサ221〜226に求められる検出トルクの必要分解能をtとする。また、光学式エンコーダ502(502a、502b)で検出されるスケール508と検出ヘッド509との相対移動量の分解能をdとする。
ここで、必要分解能tのトルクが作用したとき、弾性体501が変形して生じるスケール508と検出ヘッド509との相対変位量をxとする。その場合、光学式エンコーダ502(502a、502b)で検出できるスケール508と検出ヘッド509との相対移動量の分解能dとxの関係は、
d ≦ x …(1)
である。
また、バネ部506は弾性体501にトルクが作用した時、弾性体501の変形の大部分を担う箇所であり、バネ部506の寸法はトルクセンサの221〜226の性能に大きく影響する。ここで、バネ部506の寸法で、弾性体501の外周の接線方向の寸法を厚み寸法S、弾性体501の半径方向に沿った寸法(長さ)をW、トルク作用軸に平行な方向の寸法を高さ寸法H(図3)とする。
そして、本実施例では、バネ部506の厚み寸法Sと高さ寸法Hは、弾性体501にトルクが作用した時の弾性体501の変形量が上記の式(1)を満たすように設定する。また、バネ部506の厚み寸法Sと寸法Wの関係は、好ましくは
W ≧ 2S (2)
の関係を満たすように設定する。
即ち、バネ部506は、その放射状配置の方向に沿った寸法(上記の寸法W)よりも、その放射状配置の方向および回転軸503の方向に直交する方向の寸法の方(上記厚み寸法S)が小さく構成される。このような寸法設定を採用することにより、目的のトルク検出方向に関しては変形し易い低剛性、それ以外の方向に関しては変形し難い高剛性、というようにバネ部506の剛性に異方性を持たせることができる。
また、バネ部506の高さ寸法Hに関しては、例えば放射状配置の方向に沿った長さ寸法Wよりも小さく、ただし、バネ部506の高さ寸法Hは、式(1)に示される必要分解能の範囲内を満たすように取る。これにより、目的のトルク検出方向以外の方向に関しては変形し難い高剛性を確保し、ガイド部などの配置を不要としつつ、トルク検出方向に関してはトルク検出の必要分解能を満たす(低)剛性を得ることができる。
以上のようにして、弾性体501全体は、検出を目的とする第1および第2の締結部(504、505)の相対的な回転変位の方向(厚み方向)に関しては、小さなトルクによって大きな変形量が得られる。このため、光学式エンコーダを用いて高精度かつ高分解能に変位検出が可能であり、これによりトルク検出の必要分解能を向上させ、またその高精度化が可能となる。
また、弾性体501全体は、他軸力に相当する、それ以外の方向に関する並進力および回転力(トルク)に関しては変形しにくい高剛性を示すことになる。このため、他軸力方向への弾性体501の変形に起因して光学式エンコーダから検出されるトルク検出誤差を低減することができる。また、従来必要であった例えば他軸力方向への弾性体501の変形を規制するガイド部材などを配置する必要がなくなる。
ここで、トルクが作用する回転軸503廻りのねじり剛性をEM、他方向の軸まわりのねじり剛性をEM、EM、軸に対して並進方向の剛性をEF、EF、EFとする。ここで、各剛性を表す記号の添え字のx、y、zは、図3〜図5における座標に対応している。
そして、上式(2)で示したように、バネ部506の剛性に異方性を持たせることで、トルクが作用する回転軸503廻りのねじり剛性EMに対して、並進方向の剛性EF、EFを高めることができる。
さらに、バネ部506は第1締結部504と第2締結部505をトルクが作用する回転軸503方向に連結している。このため、トルクが作用する回転軸503方向の他軸力F、および他方向の軸周りの他軸力M、Mをバネ部506の座屈方向で支持できる。これにより、例えば従来構成において必要であったベアリングのようなガイド部材を用いることなく、トルクセンサ、従ってその関節部位に充分な剛性を確保できる。
以上のようにバネ部506の寸法関係および配置によりバネ部506の剛性に異方性を持たせることで、トルクが作用する回転軸503まわりの弾性体501のねじり剛性EMに対して、他方向の剛性を高めることができる。
一方、トルクセンサの高剛性化と高分解能化を両立すべく光学式エンコーダに求められる必要分解能がμmオーダ以下になると、弾性体501の変形によるスケール508と検出ヘッド509との相対変位量を検出する際に、検出誤差の影響が強くなる。
光学式エンコーダ502(502a、502b)で検出される変位量に生じる誤差はトルク検出誤差に直結するため、トルクセンサの構成に関しては、例えば、以下に示すような配慮が必要となる。以下、(弾性体501の一体構成)、(締結部位507の配置)、(光学式エンコーダのスケール/検出ヘッドの配置)の欄において、トルク検出誤差を低減するために採用可能なトルクセンサの各部の構成につき、詳細に説明する。
(弾性体501の一体構成)
弾性体501は、好ましくは、第1締結部504、第2締結部505およびバネ部506を一体構成するのが望ましい。例えば弾性体501の第1締結部504、第2締結部505およびバネ部506を一体構成する手法としては、樹脂や金属などの所定材料の注型や削り出し加工が考えられる。
第1締結部504、第2締結部505およびバネ部506を別体とし、ネジ止め、接(溶)着、溶接などによって結合する構造も考えられる。しかしながら、このような別体構造では、上記各部間の接続部で生じる部の滑りなどによるトルク検出誤差が発生する。これ対して、弾性体501の第1締結部504、第2締結部505およびバネ部506を一体構成する場合には、各部の接続部で生じる部の滑り等によるトルク検出誤差の発生を抑制でき、トルク検出誤差を低減でき、より高精度なトルク検出が可能となる。
(締結部位507の配置)
弾性体501にトルクTが作用すると弾性体が変形し、図6に示すように弾性体の変形に応じてスケール固定部512も変形する。スケール固定部512に生じる変形は、スケール固定部512に固定されたスケール508の移動に繋がるため、トルク検出誤差が発生する。
本実施例では弾性体501の第1締結部504と第2締結部505は、リンクとの締結部位507を備えている。この締結部位507は、本実施例では、上記のようなスケール固定部512の変形を考慮して、図4に示すようにバネ部506とスケール固定部512との間に配置している。このような締結部位507の配置により、弾性体501にトルクTが作用した際にスケール固定部512に生じる変形を抑制することができ、トルク検出誤差の発生を抑制できる。
例えば、図4において、バネ部506からスケール固定部512まで伸びるベクトルX’の長さをLとする。この時、スケール固定部512のz軸方向の変形は、締結部位507がバネ部506とスケール固定部512との間に配置されていなければ、バネ部506を起点として長さLの片持ち梁のたわみ量に相当する。
これに対して、締結部位507をバネ部506とスケール固定部512との間に配置すると、変形の起点は締結部位507からとみなすことができる。この場合、変形の起点からスケール固定部512までの距離を長さLより短くできるため、スケール固定部512のz軸方向の変形を抑制できる。
本実施例では、締結部位507の配置を、締結部位507からスケール固定部512までの距離をベクトルX’の長さLの約1/3となるように配置している。これにより、スケール固定部512のz軸方向の変形量を、締結部位507をバネ部506とスケール固定部512との間に配置していない場合と比較して、約27分の1に抑制することができる。
(光学式エンコーダのスケール/検出ヘッドの配置)
前述のように、スケール固定部512の全体は、第1締結部504に設けられた凹部512aの形状を有する。そして、この凹部512aの外周側は、検出ヘッド509とスケール508を対向させるための切り欠き部512b(開口部)となっている。このため、スケール固定部512の部位は、第1締結部504の他の部分よりZ方向の厚みが薄く、図6、図7などに示すように弾性体501全体にトルクTが作用した際に不規則に変形する可能性がある。
例えば、図6、図7に示すように弾性体501にトルクTが作用すると、スケール固定部512の切り欠き部512b(開口部)の一方がめくれ上り、他方は下る、というように図中のy軸廻りに不規則に変形する可能性がある。このようにスケール固定部512が変形すると、スケール508は図示のようにy軸周りに回転する。このスケール508のy軸周りの回転により、パターン面514(スケール面)全体が揺動して、x軸方向に移動する。このことは、検出ヘッド509とスケール508の配置関係が逆で、例えばスケール508が第2締結部505に配置される場合でも同様である。
そこで、本実施例では、図6に示すように例えば、スケール取付部510を介して位置決めされるスケール508のスケール面の位置を決定してある。即ち、本実施例の構成は、スケール固定部512の構造などによって、弾性体501の相対変位によってスケール508がその配置面に対して回転変位する構成である。
この場合、スケール508の回転変位の回転中心が、スケール508のスケール面(パターン面514)上に一致するような位置にスケール508を支持する。このスケール508の支持位置(高さ)は、例えばスケール508を第1締結部504(または第2締結部505)に装着される高さであり、スケール固定部512がスケール取付部510を支持する高さにより決定できる。
この時、スケール508の支持高さを次のように定めておく。即ち、図6に示すように、トルクTが作用して生じるスケール固定部512の(不規則)変形によるスケール508のy軸周りの回転中心513が、そのパターン面514(スケール面)上に一致するようスケール取付部510をスケール固定部512に配置する。
特に、上記のようなスケール508の支持高さを得るために、スケール508はスケール取付部510の下面に、スケール取付部510とパターン面514(スケール面)が面一となるように装着されている。例えば、このようなスケール取付部510との面一配置は、スケール508を、スケール取付部510の下面に設けた凹部内に配置することにより容易に実現できる。
上記構成によれば、スケール508がy軸周りに回転しても、スケールのパターン面514が図中のx軸方向(トルク検出方向)に移動する量を抑制することができ、トルク検出誤差の発生を抑制できる。このことを示すため、図7に、スケール508のパターン面514とスケールの回転中心513がDeだけずれている構成を示す。
図7の構成において、スケール固定部512の変形によりスケール508がy軸周りにθyだけ回転すると、スケール508の全体が揺動してx軸方向に(tanθy)*Deだけ移動する量が増幅される。これにより、図7の光学式エンコーダからは、図6の構成よりも大きな位置検出誤差、従ってトルク検出誤差が発生することになる。これに対して、本実施例では図6のようにスケール508の回転中心513とスケール508のパターン面514上を一致させDe=0となるようトルクセンサを構成している。このため、スケール固定部512の(不規則)変形によってスケール508のパターン面がx軸方向(トルク検出方向)に移動するのを防ぎ、トルク検出誤差を低減できる。
(トルク検出誤差の補正方法)
図3のように、光学式エンコーダ502a、502bは、トルクが作用する回転軸503を基準として、弾性体501に対して対向方向に2個取り付けられている。この構成を利用して、弾性体501に他軸力が作用したときに生じるトルク検出誤差、即ち他軸干渉により生じたトルク検出誤差を補正することができる。
例えば、以下のように、複数の光学式エンコーダ502a、502bの各検出ヘッド509(光学検出部)からそれぞれ得られるトルク検出値の平均値を弾性体501の変形量に相当する検出するトルク検出情報として出力する。
ここで、図8のように弾性体501にトルクTと同時に他軸力Fが作用した時、各光学式エンコーダ502a、502bの検出信号から計算されるトルク検出値をそれぞれA、Bとし、他軸干渉により検出されるトルク検出誤差をそれぞれδT、δTとする。このとき、δTとδTは、それぞれプラス方向とマイナス方向で符号が異なるため、例えば下式(3)のようにしてトルク検出値AとBの平均値演算を以下のように行う。
(A+B)/2 ={(T+δT)+(T−δT)}/2
=T+(δT−δT)/2 =T+δT …(3)
ここで、δT、とδTの絶対値の差異は、トルクが作用する回転軸503に対するバネ部506の配置の対称性や、光学式エンコーダ502a、502bを構成する508〜511の要素の取付誤差などの要因により変動するが、その差異は微小である。このため、δT<δT、δTであって、式(3)のようにトルク検出誤差の影響を、検出誤差の残留成分δTに抑制できる。
本実施例のように、光学式エンコーダを備えたトルクセンサを構成し、近年の高分解能な光学式エンコーダを用いることで弾性体の微小変位の検出が可能となり、高分解能と高剛性を両立することができる。このため、実施形態1で示すトルクセンサでは、関節の力を保持するガイドを用いない関節構成のロボットであっても、ロボットの関節の剛性を高く保つことができ、剛性の低下によるロボットの制御性が低下するのを防ぐことができる。
また、本実施例のトルクセンサによれば、トルク検出誤差の発生を抑制できるため、高精度なトルク検出が可能である。このため、高精度に検出されたトルクをロボットの駆動制御に用いて、柔軟物や低強度部の組付け工程のような、部品に与える荷重が数グラム程度であることを要求されるような工程により製造される物品の製造の自動化を多関節ロボットにより実現できる。
また、本実施例のトルクセンサでは、トルクセンサの弾性体のバネ部を、その放射状配置の方向の寸法よりも、前記回転軸を中心とする円の接線方向の寸法が小さい。さらに、本実施例のトルクセンサは、これに加えて、前記放射状配置の方向の寸法よりも、前記第1締結部および前記第2締結部間の寸法が小さい構成としている。これにより、トルク検出方向には低剛性、一方、他軸力に関しては高剛性というように、トルクセンサの弾性体のバネ部の剛性に異方性を持たせることができる。これにより、他軸力方向の高剛性化とトルク検出の高精度化を両立できる。例えば、トルクセンサをロボット装置などの関節に配置した場合、関節機構の剛性を容易に確保でき、また微小なトルクの検出が必要とされる場合でも、他軸力の影響を低減し、高精度なトルク検出を行える。
また、本実施形態によれば、光学式エンコーダの配置に関する構成として、トルクセンサの弾性体の回転変位の回転軸を中心とする同心円の円周上に、配置された複数の光学式エンコーダと、を備えることによって、高分解能かつ高精度なトルク検出を行える。また、ロボット制御においては、複数の光学式エンコーダの光学検出部の出力に対する演算結果に基づき、ロボット関節の駆動源を制御することができる。これにより、関節により連結されるリンクの相対変位に伴い前記弾性体に作用するトルクに応じて、関節の駆動源を制御することができる。光学検出部のそれぞれの出力に対する演算としては、例えば光学検出部からそれぞれ得られるトルク検出値に対する平均値演算が考えられる。また、例えば複数の光学式エンコーダは、トルクセンサの弾性体の回転変位の回転軸を通る直径上に対向配置する構成が考えられる。このような構成においては、複数の光学式エンコーダの出力を平均化することによって、他軸力成分のような外乱の影響を低減し、高精度なトルク検出を行える。
<実施例2>
(トルク検出誤差の補正方法)
実施例1では、2個の光学式エンコーダ502a、502bを、トルクが作用する回転軸503を基準として弾性体501に対して対向方向に取り付け、他軸干渉によるトルク検出誤差を抑制する構成を示した。
本実施例2では、図9に示すように、トルクが作用する回転軸503を基準として弾性体501に対して光学式エンコーダ502a〜502dを回転軸503を中心とする円周上に90°間隔で均等に合計4個配置してトルクセンサを構成する。これらのうち、光学式エンコーダ502a、502cと、光学式エンコーダ502b、502dは、それぞれ回転軸503を中心とする同心円の直径上に対向配置されている。
このような構成により、実施例1の構成よりも精度よく他軸干渉によるトルク検出誤差の補正を行える。以下、本実施例2のトルク検出誤差の補正方法について説明する。
図9では、弾性体501にトルクTと同時にX軸方向に他軸力Fが作用する状態を考える。この他軸力Fは、例えば第1締結部504と第2締結部505をx軸方向に平行移動するように働く。このような他軸力Fが第1締結部504と第2締結部505に働くと、例えば光学式エンコーダ502a、502cに関しては検出ヘッド509とスケール508の相対位置がx軸方向にずれる可能性がある。即ち、光学式エンコーダ502a、502cの出力に他軸干渉によって検出誤差が生じる可能性がある。
ここで、トルクが作用する回転軸503を基準とし、図9の12時の方向に配置された光学式エンコーダ502aの検出信号から計算されるトルク検出値をA、3時の方向に配置された光学式エンコーダ502の検出信号から計算されトルク検出値をBとする。また、6時の方向に配置された光学式エンコーダ502の検出信号から計算されるトルク検出値をC、9時の方向に配置された光学式エンコーダ502の検出信号から計算されるトルク検出値をDとする。
このとき、トルク検出値BとDは、他軸力の作用方向が、光学式エンコーダ502b、502dの検出方向であるy軸方向と直交するため、上記の他軸力Fの影響は受けない。すなわち、トルク検出値BとDの平均値演算を以下の式(4)のように行う。この成分には他軸干渉は影響していない。
(B+D)/2 = T …(4)
一方、トルク検出値AとCは、他軸力の作用方向が、光学式エンコーダ502a、502cの位置検出方向であるX軸方向と同方向であるため、他軸力の影響を受ける。ここで、これら他軸力の影響を受けているエンコーダから出力される2つのトルク検出値の平均値(A+C)/2は、式(3)の(A+B)/2と同様に(A+C)/2=T+δTと計算できる。
本実施例では、4個の光学式エンコーダ502a〜502dから出力されるトルク検出値A、B、CおよびDの平均値演算を行うが、その演算は上記の式(3)の演算、および式(4)より、次式(5)のような演算となる。
(A+B+C+D)/4={(A+C)/2+(B+D)/2}/2
={(T+δT)+T}/2
=T+0.5δT …(5)
図9の例では、他軸干渉によるトルク検出誤差は、光学式エンコーダ502a、502cの出力のみに作用している。このため、例えば図9の光学式エンコーダ502a、502cのみが配置された(実施例1と同等の)構成に比して、他軸干渉によるトルク検出誤差の残留成分δTrの影響を実施例1の半分にすることができる。
なお、図9では、4個の光学式エンコーダを配置する構成を示したが、さらに多数個の光学式エンコーダをトルクセンサの弾性体(501)に配置してもよい。その場合、全体の光学式エンコーダの個数に対して、特定の方向の他軸力の影響を受ける光学式エンコーダの個数が占める確率をより減少でき、他軸干渉による検出誤差をより低減できる可能性がある。
(変形例など)
トルクセンサ221〜226の弾性体501のバネ部506の本数は、本実施例で示した本数に限定されるものではない。実施例では、光学式エンコーダ(502a〜502d)に隣接する2個のバネ部506は、他の箇所よりも配置の間隔を広く図示しているが、バネ部の配置間隔は本実施例で示した配置間隔に限定されるものではない。また、スケール508および検出ヘッド509の設置数についても、本実施例で示した設置個数に限定されるものではなく、例えば4個以上設置しても良い。
また、図6では、スケール固定部512の(不規則)変形が生じ、スケール508がその配置平面に対して回転変位しても、スケール508のy軸周りの回転中心513がスケール508のパターン面514に一致するような配置例を示した。このために、図6では、スケール508のパターン面514と、スケール取付部510の表面とが同一面となるよう配置している。
しかしながら、いずれかの手法により図10に示すようにスケール508のy軸周りの回転中心513がスケール508のパターン面514に一致するような配置を得れば上記同様のトルク検出誤差低減の効果を期待できる。例えば、スケール取付部510とスケール固定部512との間にスペーサやシム(いずれも不図示)を配置したり、スケール固定部512の凹部512aの縁部形状を変更し、スケール取付部510の支持高を調節する、といった構成が考えられる。
さらに、以上では、光学式エンコーダとして検出ヘッド509から照射される光をスケール508のパターン面で反射させて移動量を読み取る反射方式の光学式エンコーダを例示したが、反射方式以外の方式の光学式エンコーダを採用しても良い。
また、以上ではロボットアーム200が6つの関節を有する6関節ロボットである場合を説明したが、関節の数はこれに限定されるものではない。またロボットアーム200の形式として、垂直多軸構成を示したが、パラレルリンク型など異なる形式のロボットアームの関節においても、上記同等の構成を実施することができる。
また、以上では、ロボットアーム200の関節の構成例を図2により示したが、関節の構成はこれだけに限定されるものではなく、当業者において任意に設計変更が可能である。また、各サーボモータ201〜206は、上述の構成に限定されるものではなく、各関節を駆動する駆動源は例えば人工筋肉のようなデバイス等であってもよい。
本発明は、上述の実施例の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現でき。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
100…ロボット装置、200…ロボットアーム、211〜216…電動モータ、221〜226…トルクセンサ、300…ロボット制御装置、400…ティーチングペンダント、501…弾性体、502a〜502d…光学式エンコーダ、503…回転軸、504…第1締結部、505…第2締結部、506…バネ部、507…締結部位、508…スケール、509…検出ヘッド、510…スケール取付部、511…検出ヘッド取付部、601…CPU、602…ROM、603…RAM、604…HDD、J1〜J6…関節。
本発明のセンサは、第1部材と、前記第1部材に対向して配置される第2部材と、前記第1部材と前記第2部材との間に配置され、前記第1部材と前記第2部材を連結する複数のバネ部と、前記第1部材と前記第2部材の相対的な変位量を検出する複数の光学式エンコーダと、を備え、前記複数のバネ部はそれぞれ、前記第1部材および/または前記第2部材が回転する方向に沿って間隔を空けて配置され、回転中心から離れる方向に延在する部分を有し、前記複数の光学式エンコーダはそれぞれ、前記第1部材に配置されるスケール部と、前記第2部材に配置され、前記スケール部と対向して配置された光学検出部を備え、前記複数の光学式エンコーダのうち、第1エンコーダと第2エンコーダは、前記第1エンコーダと前記第2エンコーダの間に前記回転中心が位置して、かつ、対向するように配置されていることを特徴とする。

Claims (16)

  1. 相対変位する測定対象にそれぞれ締結可能な第1締結部、および第2締結部と、
    前記第1締結部および前記第2締結部が回転変位する回転軸を中心に放射状に配置され前記第1締結部および前記第2締結部を連結するバネ部と、
    前記第1締結部および前記第2締結部のいずれかにそれぞれ対向して配置されたスケール部および光学検出部を備えた光学式エンコーダと、
    を備えることを特徴とするセンサ。
  2. 前記バネ部は、前記放射状の配置の方向の寸法よりも、前記回転軸を中心とする円の接線方向の寸法が小さく、かつ、前記放射状の配置の方向の寸法よりも、前記第1締結部および前記第2締結部の間の寸法が小さく構成されている請求項1記載のセンサ。
  3. 前記光学式エンコーダが、前記第1締結部、および前記第2締結部の前記回転変位の回転軸を中心とする同心円の円周上に複数、配置されていることを特徴とする請求項1または2記載のセンサ。
  4. 複数の前記光学式エンコーダのうち2つが前記同心円の1つの直径上の位置にそれぞれ配置されたことを特徴とする請求項3記載のセンサ。
  5. 複数の前記光学式エンコーダが前記同心円の円周上において均等に配置された請求項3記載のセンサ。
  6. 複数の前記光学式エンコーダの前記光学検出部からそれぞれ得られる検出値の平均値を出力することを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項記載のセンサ。
  7. 前記第1締結部、前記第2締結部および前記バネ部は一体に構成された弾性体であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項記載のセンサ。
  8. 前記第1締結部または前記第2締結部には、当該の締結部を前記測定対象に締結するための締結部位が設けられ、前記締結部位が、前記第1締結部または前記第2締結部に配置される前記スケール部または前記光学検出部と、前記スケール部または前記光学検出部に直近の前記バネ部との間に配置されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項記載のセンサ。
  9. 前記スケール部は、前記光学検出部によって検出されるパターン面を有し、前記スケール部がその配置平面に対して回転変位する場合、その回転変位の回転中心が、前記スケール部のスケール面に一致するよう、前記スケール部が前記第1締結部または前記第2締結部に装着されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項記載のセンサ。
  10. 前記第1締結部、前記第2締結部および前記バネ部は、3Dプリンタによって製造されていることを特徴とする請求項7記載のセンサ。
  11. 請求項10記載のセンサを製造するための3Dプリンタ用データ。
  12. 第1のリンクと第2のリンクとを相対的に駆動させる駆動機構であって、
    固定部および駆動部を有し、前記固定部に対して前記駆動部を駆動させる駆動装置を備え、
    前記固定部および前記駆動部の一方は前記第1のリンクに固定され、前記固定部および前記駆動部の他方と前記第2のリンクの間を結合するように、前記固定部および前記駆動部の他方と前記第2のリンクに作用する力を求めるためのセンサが取り付けられ、
    前記センサは、前記第1のリンクと締結された第1締結部、および前記第2のリンクと締結された第2締結部と、を備えた駆動機構。
  13. 請求項1記載のセンサを有するロボット。
  14. 請求項13に記載のロボットを用いて物品を製造することを特徴とする物品の製造方法。
  15. 請求項13に記載のロボットを駆動させるためのプログラム。
  16. 請求項15に記載のプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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