JP2019131533A - 口腔内粘膜付着粉末及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、PVA系樹脂については、口腔内粘膜付着錠に使用可能であることは記載されているが、口腔内粘膜付着粉末の剤形についての詳細な検討はされていない。口腔内粘膜付着粉末は錠剤に比べて少量で塗布範囲を広くできるため近年注目されており、PVA系樹脂を用いた口腔内粘膜付着粉末の更なる検討が求められている。
(1)ケン化度が70〜95モル%のポリビニルアルコール系樹脂を含有してなることを特徴とする口腔内粘膜付着粉末。
(2)前記口腔内粘膜付着粉末の平均粒子径が1〜300μmであることを特徴とする前記(1)に記載の口腔内粘膜付着粉末。
(3)前記ポリビニルアルコール系樹脂の含有量が1〜50質量%であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の口腔内粘膜付着粉末。
(4)有効成分と、ケン化度が70〜95モル%のポリビニルアルコール系樹脂を含有するポリビニルアルコール系樹脂水溶液とを混合すること、及び混合液を乾燥することを含むことを特徴とする口腔内粘膜付着粉末の製造方法。
したがって本発明によれば、有効成分の製剤化率の高い、口腔内粘膜付着粉末を提供することができる。
本発明の口腔内粘膜付着粉末は、ケン化度が70〜95モル%のポリビニルアルコール系樹脂(以下、「特定PVA系樹脂」と言うことがある。)を含有してなるものである。
まず、本実施形態の特定PVA系樹脂について説明する。
本実施形態の特定PVA系樹脂は、ビニルエステル系モノマーを重合して得られるポリビニルエステル系重合体をケン化して得られる、ビニルアルコール構造単位を主体とする樹脂であり、ケン化度相当のビニルアルコール構造単位とケン化されずに残ったビニルエステル構造単位から構成される。
なお、本発明において、PVA系樹脂のケン化度は、JIS K 6726に準拠する方法で求められた値とする。
特定PVA系樹脂の平均重合度が低すぎると、口腔内粘膜付着粉末の口腔内への付着力が低下する傾向があり、平均重合度が高すぎると、吸水し、付着力を発揮するまでに時間を要する傾向がある。
なお、本発明において、PVA系樹脂の平均重合度は、JIS K 6726に準拠する方法で求めた平均重合度を用いるものとする。
特定PVA系樹脂は、例えば、ビニルエステル系モノマーを重合して得られたポリビニルエステル系重合体をケン化することにより得られる。
かかるビニルエステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられ、実用的に酢酸ビニルが好適である。
アルカリ金属塩の含有量の調整方法としては、例えば、ケン化で用いる時のアルカリ触媒の量を調節したり、エタノールやメタノールなどのアルコールでPVA系樹脂を洗浄する方法が挙げられる。
本発明で用いるアルカリ金属塩の定量法としては、PVA系樹脂粉末を水に溶かして、メチルオレンジを指示薬とし、塩酸にて中和滴定を行い求める方法が挙げられる。
本発明の口腔内粘膜付着粉末は、有効成分として以下のような薬効成分を含有することができる。
本発明で用いられる薬効成分としては、例えば、解熱鎮痛消炎薬、滋養強壮保健薬、向精神薬、抗うつ薬、抗不安薬、催眠鎮静薬、鎮痙薬、中枢神経作用薬、脳代謝改善剤、脳循環改善剤、抗てんかん剤、交感神経興奮剤、胃腸薬、制酸剤、抗潰瘍剤、鎮咳去痰剤、制吐剤、呼吸促進剤、気管支拡張剤、アレルギー用薬、抗ヒスタミン剤、歯科口腔用薬、強心剤、不整脈用剤、利尿薬、血圧降下剤、血管収縮薬、冠血管拡張薬、末梢血管拡張薬、血液凝固阻止剤、高脂血症用剤、利胆剤、抗生物質、化学療法剤、糖尿病用剤、骨粗しょう症用剤、骨格筋弛緩薬、鎮けい剤、抗リウマチ薬、ホルモン剤、アルカロイド系麻薬、サルファ剤、痛風治療薬、抗悪性腫瘍剤などが挙げられる。
抗うつ薬としては、例えば、アンフェタミン、イミプラミン及び塩酸マプロチリンなどが例示される。
抗不安薬としては、例えば、ジアゼパム、アルプラゾラム及びクロルジアゼポキシドなどが挙げられる。
催眠鎮静薬としては、例えば、エスタゾラム、ジアゼパム、ニトラゼパム、ペルラピン及びフェノバルビタールナトリウムなどが例示される。
鎮痙薬には、例えば、臭化水素酸スコポラミン、塩酸ジフェンヒドラミン及び塩酸パパベリンなどが含まれる。
脳代謝改善剤としては、例えば、塩酸メクロフェニキセートなどが挙げられる。
脳循環改善剤としては、例えば、ビンポセチンなどが挙げられる。
抗てんかん剤としては、例えば、フェニトイン及びカルバマゼピンなどが挙げられる。
交感神経興奮剤としては、例えば、塩酸イソプロテレノールなどが挙げられる。
制酸剤としては、例えば、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、沈降炭酸カルシウム及び酸化マグネシウムなどが挙げられる。
抗潰瘍剤としては、例えば、ランソプラゾール、オメプラゾール、ラベプラゾール、シメチジン、ファモチジン及び塩酸ラニチジンなどが挙げられる。
制吐剤としては、例えば、塩酸ジフェニドール及びメトクロプラミドなどが挙げられる。
呼吸促進剤としては、例えば、酒石酸レバロルファンなどが挙げられる。
気管支拡張剤としては、例えば、テオフィリン及び硫酸サルブタモールなどが挙げられる。
アレルギー用薬としては、例えば、アンレキサノクス及びセラトロダストなどが挙げられる。
抗ヒスタミン剤としては、例えば、塩酸ジフェンヒドラミン、プロメタジン、塩酸イソチペンジル及びdl−マレイン酸クロルフェニラミンなどが挙げられる。
強心剤としては、例えば、ジゴキシン及びカフェインなどが挙げられる。
不整脈用剤としては、例えば、塩酸プロカインアミド、塩酸プロプラノロール及びピンドロールなどが含まれる。
利尿薬としては、例えば、フロセミド、イソソルピド及びヒドロクロロチアジドなどが挙げられる。
血管収縮薬としては、例えば、塩酸フェニレフリンなどが挙げられる。
冠血管拡張薬としては、例えば、塩酸カルボクロメン、モルシドミン及び塩酸ペラパミルなどが挙げられる。
末梢血管拡張薬としては、例えば、シンナリジンなどが挙げられる。
血液凝固阻止剤としては、例えば、ジクマロールが挙げられる。
高脂血症用剤としては、例えば、セリバスタチンナトリウム、シンバスタチン、プラバスタチンナトリウム及びアトルバスタチンカルシウム水和物などが挙げられる。
利胆剤としては、例えば、デヒドロコール酸及びトレピプトンなどが挙げられる。
化学療法剤としては、例えば、スルファメチゾールなどが挙げられる。
骨粗しょう症用剤としては、例えば、イプリフラボンなどが挙げられる。
骨格筋弛緩薬としては、メトカルバモールなどが挙げられる。
抗リウマチ薬としては、例えば、メソトレキセート及びブシラミンなどが挙げられる。
ホルモン剤としては、例えば、リオチロニンナトリウム、リン酸デキメタゾンナトリウム、プレドニゾロン、オキセンドロン及び酢酸リュープロレリンなどが挙げられる。
アルカロイド系麻薬として、アヘン、塩酸モルヒネ、トコン、塩酸オキシコドン、塩酸アヘンアルカロイド及び塩酸コカインなどが挙げられる。
サルファ剤としては、例えば、スルフィソミジン及びスルファメチゾールなどが挙げられる。
痛風治療薬としては、例えば、アロプリノール及びコルヒチンなどが挙げられる。
抗悪性腫瘍剤としては、例えば、5−フルオロウラシル、ウラシル及びマイトマイシンなどが挙げられる。
本発明の口腔内粘膜付着粉末には、本発明の効果を損なわない範囲において、各種添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えば、崩壊剤、pH調整剤、流動化剤、界面活性剤、着色剤、甘味剤及びコーティング剤等が挙げられる。
本発明の口腔内粘膜付着粉末の製造方法は、例えば、(1)有効成分と、ケン化度が70〜95モル%のPVA系樹脂(特定PVA系樹脂)を含有するPVA系樹脂水溶液とを混合すること、及び混合液を乾燥することを含むことにより製造する方法、(2)PVA系樹脂粉末に液状の有効成分を含浸させ、乾燥することにより製造する方法、(3)固体の有効成分をPVA水溶液を用いて造粒する方法などが挙げられる。前記(1)の方法としては、具体的に、(i)特定PVA系樹脂を含有するPVA系樹脂水溶液と液状の有効成分を混合し、乳化させた後に乾燥することにより製造する方法、(ii)特定PVA系樹脂を含有するPVA系樹脂水溶液と固体状の有効成分を混合し、有効成分を分散させた後に乾燥することにより製造する方法などが挙げられる。中でも、有効成分の含有量や均一性の高い製剤が得られることから前記(i)の方法が好ましい。
かかるPVA系樹脂水溶液の濃度は、通常、0.1〜10質量%、好ましくは1〜5質量%である。かかる濃度が小さすぎると乾燥に時間がかかり効率が悪くなる傾向があり、高すぎると粘度が増大して、乳化しづらくなる傾向がある。
また、有効成分を上記のような溶媒に溶かした際の濃度は、通常、0.1〜30質量%、好ましくは1〜10質量%である。かかる濃度が小さすぎると乾燥に時間がかかり効率が悪くなる傾向があり、高すぎると粘度が増大して、乳化しづらくなる傾向がある。
上記撹拌条件としては、例えば、撹拌回転速度は、通常2000〜15000rpm、好ましくは3000〜12000rpmで、特に好ましくは4000〜10000rpmである。また、撹拌混合時間は、通常1〜60分間、好ましくは1〜30分間である。
濾過の方法としては、例えば、膜濾過、吸引濾過などが挙げられる。
乾燥温度は、通常、20〜150℃であり、特に30〜130℃、殊に40〜110℃が好ましい。
かくして得られた本発明の口腔内粘膜付着粉末の平均粒子径は1〜300μmであることが好ましく、より好ましくは20〜100μmである。かかる平均粒子径が小さすぎると取り扱いが困難になり、大きすぎると有効成分の含有量が低下する傾向がある。
PVA系樹脂1の製造
酢酸ビニル100質量部、アセトアルデヒド1.4質量部、メタノール4.9質量部及び酢酸ビニルに対して、0.0071質量%の2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを重合缶に仕込み、缶内を窒素置換した後、加熱して、沸点下で重合反応を開始して約7時間反応を行い、重合率が80.5質量%に達した時点で反応を停止した。
次いで、重合後の溶液から未反応の酢酸ビニルモノマーを除去したものに、メタノールを加えて、ポリ酢酸ビニルを54質量部、メタノールを45.9質量部、水を0.14質量部の割合で含有する溶液(溶液全体の誘電率:31.4c.g.s.e.s.u.)を調製した。そして、この溶液について、水酸化ナトリウムを触媒とし、ニーダーを用いて鹸化反応を行い、得られたポリビニルアルコールのスラリーを固液分離した後、乾燥機にて乾燥してPVA系樹脂1を得た。PVA系樹脂1の平均重合度は700、ケン化度は72モル%、平均粒子径は250μmであり、ヨード呈色度は、0.65であった。
なお、PVA系樹脂のブロック性はヨード呈色度により測定したものであり、0.5未満を「低」、0.5以上0.7未満を「中」、0.7以上を「高」とした。
PVA系樹脂として上記で得られたPVA系樹脂1を用いた。PVA系樹脂100mgを5mLの水に溶解し、2%PVA水溶液5mLを準備した。また、有効成分としてインドメタシン100mgを2mLエタノールに溶解したインドメタシンエタノール溶液を準備した。
インドメタシンエタノール溶液中に2%PVA水溶液を滴下して撹拌し、窒素ガス還流下、室温で400rpmの撹拌回転速度で1時間撹拌してエタノールを留去し、70℃で加熱下、400rpmの撹拌回転速度で10分間撹拌した。その液を孔径0.45μmのメンブレンフィルターで濾過した後、フィルター上の固形物を常温(15〜25℃)で減圧乾燥して、粉砕し、口腔内粘膜付着粉末を得た。
口腔内粘膜付着粉末の平均粒子径をスペクトリス社性マスターサイザー3000により測定した。結果を表1に示す。
有効成分の製剤化率(%)を以下の式により求めた。結果を表1に示す。
インドメタシン製剤化率(%)=(製剤中のインドメタシン含有量mg)/(インドメタシン仕込量mg)×100
PVA系樹脂の組成を表1に記載の通りとした以外は、実施例1と同様にして口腔内粘膜付着粉末を作製した。粘膜付着粉末の平均粒子径及び有効成分(インドメタシン)の製剤化率を求め、結果を表1に示す。
なお、実施例4、5で使用したPVA系樹脂1は以下により作製した。
次いで、重合後の溶液から未反応の酢酸ビニルモノマーを除去したものに、酢酸メチル及びメタノールを加えて、ポリ酢酸ビニルを54質量部、酢酸メチルを11.5質量部、メタノールを34.4質量部、水を0.14質量部の割合で含有する溶液(溶液全体の誘電率:25.3c.g.s.e.s.u.)を調製した。そして、この溶液について、水酸化ナトリウムを触媒とし、ニーダーを用いて鹸化反応を行い、得られたポリビニルアルコールのスラリーを固液分離した後、乾燥機にて乾燥してポリビニルアルコールを得た。ヨード呈色度は、0.71であった。
ケン化99モル%、平均重合度500の未変性PVAを用いた以外は実施例1と同様にしたが、PVAがインドメタシンのエタノール溶液に析出し、粘膜付着粉末が得られなかった。
Claims (4)
- ケン化度が70〜95モル%のポリビニルアルコール系樹脂を含有してなることを特徴とする口腔内粘膜付着粉末。
- 前記口腔内粘膜付着粉末の平均粒子径が1〜300μmであることを特徴とする請求項1に記載の口腔内粘膜付着粉末。
- 前記ポリビニルアルコール系樹脂の含有量が1〜50質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の口腔内粘膜付着粉末。
- 有効成分と、ケン化度が70〜95モル%のポリビニルアルコール系樹脂を含有するポリビニルアルコール系樹脂水溶液とを混合すること、及び混合液を乾燥することを含むことを特徴とする口腔内粘膜付着粉末の製造方法。
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