JP2024009644A - 口腔内付着剤及びその製造方法 - Google Patents

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延能 吉村
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Abstract

【課題】膜付着性及び強度に優れ、かつ崩壊時間が好適な範囲にある口腔内付着剤並びにその製造方法を提供すること。【解決手段】本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂(A)及び糖類(B)を含む口腔内付着剤であって、前記ポリビニルアルコール系樹脂(A)の含有量に対する前記糖類(B)の含有量の比(B/A)が、質量比で1.5以下である、口腔内付着剤に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、口腔内付着剤及びその製造方法に関する。
口腔粘膜細胞は化学療法や放射線治療により障害を受けやすく、口腔内アフタや難治性の潰瘍を伴う口内炎を発症しやすい。口内炎などの口腔内粘膜障害の治療法としては、抗菌剤を含むうがい薬や塗り薬等が使用されている。しかし、これらの剤型の製剤は口腔粘膜への付着、滞留量が十分ではなく、患部への塗布を繰り返さなければならない。
それに対して、近年、口腔内の粘膜に付着させ、有効成分を直接患部にあてることにより、薬効が得られやすいということから、口腔内付着剤の検討が進められている。
口腔内付着剤には、口腔内の粘膜に付着するためのバインダーが必要となる。かかるバインダーとして、例えばポリビニルアルコール(PVA)系樹脂が提案されている。
例えば、特許文献1には、平均重合度が1000~3300のポリビニルアルコール系樹脂を含有してなることを特徴とする口腔内粘膜付着錠が記載されている。特許文献1に記載の口腔内粘膜付着錠によれば、口腔内の粘膜への付着性に優れ、製造が容易である口腔内粘膜付着錠を提供できることが記載されている。
特開2017-178857号公報
しかしながら、特許文献1に記載の口腔内粘膜付着錠は、口腔内の粘膜への付着性(膜付着性)とともに、さらに優れた強度と好適な崩壊時間とを両立する観点では不十分な場合があった。
そこで、本発明は膜付着性及び強度に優れ、かつ崩壊時間が好適な範囲にある口腔内付着剤並びにその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、口腔内付着剤がポリビニルアルコール系樹脂及び糖類を含み、かつこれらの含有比率が所定の範囲にあることで、膜付着性及び強度に優れ、かつ崩壊時間が好適な範囲にある口腔内付着剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の1~11に関する。
1.ポリビニルアルコール系樹脂(A)及び糖類(B)を含む口腔内付着剤であって、
前記ポリビニルアルコール系樹脂(A)の含有量に対する前記糖類(B)の含有量の比(B/A)が、質量比で1.5以下である、口腔内付着剤。
2.引張強度が3.0N/mm以上である、前記1に記載の口腔内付着剤。
3.前記口腔内付着剤100質量部に対する前記ポリビニルアルコール系樹脂(A)の含有割合が15質量部以上である、前記1に記載の口腔内付着剤。
4.前記口腔内付着剤100質量部に対する前記糖類(B)の含有割合が0.1~35質量部である、前記1に記載の口腔内付着剤。
5.さらに結晶セルロース(C)を含有し、前記口腔内付着剤100質量部に対する前記結晶セルロース(C)の含有割合が5~80質量部である、前記1に記載の口腔内付着剤。
6.前記糖類(B)の含有量に対する前記結晶セルロース(C)の含有量の比(C/B)が、質量比で0.5以上である、前記5に記載の口腔内付着剤。
7.前記糖類(B)が乳糖を含む、前記1に記載の口腔内付着剤。
8.前記ポリビニルアルコール系樹脂(A)は、平均粒子径が10~300μmであるポリビニルアルコール系樹脂を含む、前記1に記載の口腔内付着剤。
9.前記1~8のいずれか1に記載の口腔内付着剤の製造方法であって、
糖類(B1)にポリビニルアルコール系樹脂(A1)の水溶液を配合して造粒する工程と、
前記造粒する工程で得られた造粒物と、ポリビニルアルコール系樹脂(A2)とを混合して成形する工程と、を含む、口腔内付着剤の製造方法。
10.前記成形する工程において、さらに糖類(B2)を混合する、前記9に記載の口腔内付着剤の製造方法。
11.前記造粒する工程において、前記糖類(B1)と結晶セルロース(C)とを含む混合物に前記ポリビニルアルコール系樹脂(A1)の水溶液を配合して造粒する、前記9に記載の口腔内付着剤の製造方法。
本発明によれば、膜付着性及び強度に優れ、崩壊時間が好適な範囲にある口腔内付着剤及びその製造方法を提供できる。
以下、本発明の実施形態に係る口腔内付着剤について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、本明細書において「ポリビニルアルコール系樹脂」を「PVA系樹脂」という場合がある。
本発明の実施形態に係る口腔内付着剤は、ポリビニルアルコール系樹脂(A)及び糖類(B)を含む口腔内付着剤であって、前記ポリビニルアルコール系樹脂(A)の含有量に対する前記糖類(B)の含有量の比(B/A)が、質量比で1.5以下である。
<PVA系樹脂(A)>
本発明の実施形態に係る口腔内付着剤はPVA系樹脂(A)を含む。PVA系樹脂(A)は、ビニルエステル系モノマーを重合して得られるポリビニルエステル系樹脂をケン化して得られる、ビニルアルコール構造単位を主体とする樹脂であり、ケン化度相当のビニルアルコール構造単位とビニルエステル構造単位から構成される。
本発明の実施形態に使用されるPVA系樹脂(A)の平均重合度は、1000~3300が好ましく、1500~3000がより好ましく、2000~2800が更に好ましい。
PVA系樹脂(A)の平均重合度が上記下限値以上であることで、口腔内の粘膜への付着性(膜付着性)により優れる口腔内付着剤を得やすいため好ましい。また、平均重合度が上記上限値以下であることで、吸水し、付着力を発揮するまでの時間を比較的短くできるため好ましい。
なお、本発明の実施形態において、PVA系樹脂(A)の平均重合度は、JIS K 6726に準拠する方法で求めた平均重合度を用いるものとする。
PVA系樹脂(A)のケン化度は80~95モル%であることが好ましく、83~93モル%であることがより好ましく、85~91モル%であることが更に好ましい。PVA系樹脂(A)のケン化度が上記範囲内にあることで、唾液で溶けやすくなり、膜付着性がより優れたものとなりやすい。
なお、本発明の実施形態において、PVA系樹脂(A)のケン化度は、JIS K 6726に準拠する方法で求められた値とする。
口腔内付着剤において、PVA系樹脂(A)は、平均粒子径が10~300μmであるPVA系樹脂を含むことが好ましい。PVA系樹脂(A)は、より好ましくは平均粒子径が50~200μmであるPVA系樹脂を含み、さらに好ましくは平均粒子径が100~150μmであるPVA系樹脂を含む。
PVA系樹脂(A)がかかる平均粒子径のPVA系樹脂を含むことで、得られる口腔内付着剤の強度をより優れたものとできる。平均粒子径が上記下限値以上であるPVA系樹脂を含むことで、PVA系樹脂の流動性が向上し、口腔内付着剤を成形する際の取り扱い性が向上しやすい。また、平均粒子径が上記上限値以下であるPVA系樹脂を含むことで、粒子の比表面積が大きくなり、圧縮成形性が向上し、口腔内付着剤の強度がより優れたものとなる。
なお、後に詳述するが、口腔内付着剤の製造方法によって、口腔内付着剤はPVA系樹脂(A1)と、PVA系樹脂(A2)とを用いて製造される場合がある。この場合は、PVA系樹脂(A2)の平均粒子径が上記範囲にあることが好ましい。これにより、得られる口腔内付着剤におけるPVA系樹脂(A)は、平均粒子径が上記範囲にあるPVA系樹脂を含むこととなる。一方で、PVA系樹脂(A1)は、水溶液の状態を経て口腔内付着剤に含有されることとなるため、その平均粒子径は特に限定されない。本明細書において、口腔内付着剤に用いられる各材料についての平均粒子径とは、レーザー回折式粒度分布計により乾式法にて測定した粒度分布より算出された、体積基準によるメジアン径(d50)のことをいう。
口腔内付着剤100質量部に対するPVA系樹脂(A)の含有割合は15質量部以上であることが好ましい。PVA系樹脂(A)の含有割合は20質量部以上がより好ましく、30質量部以上がさらに好ましい。一方で、PVA系樹脂(A)の含有割合は60質量部以下が好ましく、55質量部以下がより好ましく、50質量部以下がさらに好ましい。
口腔内付着剤中のPVA系樹脂(A)の含有割合が上記下限値以上であることで、口腔内粘膜への付着性が十分なものとなりやすい。また、PVA系樹脂(A)の含有割合が上記上限値以下であることで、口腔内付着剤に含有される有効成分の含有量を十分なものとしやすく、また、錠剤の崩壊性を向上しやすい。
本発明で使用されるPVA系樹脂の製造方法を更に詳しく説明する。
PVA系樹脂は、例えば、ビニルエステル系モノマーを重合して得られたポリビニルエステル系重合体をケン化することにより得られる。
かかるビニルエステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられ、実用的に酢酸ビニルが好適である。
また、本発明の効果を阻害しない程度に、上記ビニルエステル系モノマーと共重合性を有するモノマーを共重合させることもでき、このような共重合モノマーとしては、例えば、エチレンやプロピレン、イソブチレン、α-オクテン、α-ドデセン、α-オクタデセン等のオレフィン類、3-ブテン-1-オール、4-ペンテン-1-オール、5-ヘキセン-1-オール、3,4-ジヒドロキシ-1-ブテン等のヒドロキシ基含有α-オレフィン類及びそのアシル化物などの誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、ウンデシレン酸等の不飽和酸類、その塩、モノエステル、あるいはジアルキルエステル、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸類あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、ジメチルアリルビニルケトン、N-ビニルピロリドン、塩化ビニル、ビニルエチレンカーボネート、2,2-ジアルキル-4-ビニル-1,3-ジオキソラン、グリセリンモノアリルエーテル、等のビニル化合物、酢酸イソプロペニル、1-メトキシビニルアセテート等の置換酢酸ビニル類、塩化ビニリデン、1,4-ジアセトキシ-2-ブテン、1,4-ジヒドロキシ-2-ブテン、ビニレンカーボネート、1,3-ジアセトキシ-2-メチレンプロパン、1,3-ジプロピオニルオキシ-2-メチレンプロパン、1,3-ジブチロニルオキシ-2-メチレンプロパン等のヒドロキシメチルビニリデンジアセテート等が挙げられる。かかる共重合モノマーの含有量は、重合体全量を基準として、例えば10モル%以下、好ましくは5モル%以下、特に好ましくは1モル%以下である。本発明の実施形態においては、膜付着性を向上する観点で、ビニルアルコール構造単位と未ケン化部分のビニルエステル構造単位のみからなる未変性PVA系樹脂が好ましい。
上記ビニルエステル系モノマー及び共重合モノマーを重合するにあたっては特に制限はなく、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、分散重合、又は乳化重合等の公知の方法を採用することができるが、例えば溶液重合が好適に行われる。
かかる重合で用いられる溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-プロパノール、ブタノール等の炭素数1~4の脂肪族アルコールやアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等が挙げられ、工業的にはメタノールが好適に使用される。
また、重合反応は、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイルなどの公知のラジカル重合触媒や公知の各種低温活性触媒を用いて行われる。また、反応温度は35℃~沸点程度の範囲から選択される。
得られたポリビニルエステル系重合体は、次いで連続式又はバッチ式にてケン化される。かかるケン化にあたっては、アルカリケン化又は酸ケン化のいずれも採用できるが、工業的には重合体をアルコールに溶解してアルカリ触媒の存在下に行われる。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール等が挙げられる。アルコール中の重合体の濃度は例えば20~60質量%の範囲から選ばれる。また、必要に応じて、0.3~10質量%程度の水を加えてもよく、更には、酢酸メチル等の各種エステル類やベンゼン、ヘキサン、DMSO(ジメチルスルホキシド)等の各種溶剤類を添加してもよい。
ケン化触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒を具体的に挙げることができ、かかる触媒の使用量はモノマーに対して1~100ミリモル当量にすることが好ましい。
ケン化後、得られたポリビニルエステル系重合体ケン化物を、洗浄液で洗浄する。洗浄液としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類が挙げられ、洗浄効率と乾燥効率の観点からメタノールが好ましい。
洗浄方法としては、連続式(回転円筒型、向流接触型、遠心分離ふりかけ洗浄など)でもよいが、好ましくはバッチ式が採用される。洗浄時の攪拌方式(装置)としては、スクリュー翼、リボンブレンダー、ニーダー等が挙げられる。浴比(洗浄液の質量/ポリビニルエステル系重合体粒子の質量)は、例えば1~30であり、特に2~20が好ましい。浴比が大きすぎると、大きな洗浄装置が必要となり、コスト増につながる傾向があり、浴比が小さすぎると、洗浄効果が低下し、洗浄回数を増加させる傾向がある。
洗浄時の温度は、例えば10~80℃であり、特に20~70℃が好ましい。温度が高すぎると、洗浄液の揮発量が多くなり、還流設備を必要とする傾向がある。温度が低すぎると、洗浄効率が低下する傾向がある。洗浄時間は、例えば5分~12時間であり、特に30分~4時間が好ましい。洗浄時間が長すぎると、生産効率が低下する傾向があり、洗浄時間が短すぎると、洗浄が不十分となる傾向がある。また、洗浄回数は、通常、1~10回であり、特に1~5回が好ましい。洗浄回数が多すぎると、生産性が低下し、コストがかかる傾向がある。
洗浄されたポリビニルエステル系重合体ケン化物の粒子を連続式又はバッチ式にて熱風などで乾燥し、本発明で用いられるPVA系樹脂の粉体を得る。乾燥温度は、通常、50~150℃であり、特に60~130℃、殊に70~110℃が好ましい。乾燥温度が高すぎると、PVA系樹脂が熱劣化する傾向があり、乾燥温度が低すぎると、乾燥に長時間を要する傾向がある。乾燥時間は、通常、1~48時間であり、特に2~36時間が好ましい。乾燥時間が長すぎると、PVA系樹脂が熱劣化する傾向があり、乾燥時間が短すぎると、乾燥が不十分となったり、高温乾燥を要したりする傾向がある。
乾燥後のPVA系樹脂の粉体中に含まれる溶媒の含有量は、例えば0~10質量%であり、特に0.01~5質量%、殊に0.1~1質量%とするのが好ましい。
なお、PVA系樹脂の粉体には、ケン化時に用いるアルカリ触媒に由来する酢酸のアルカリ金属塩が含まれている場合がある。アルカリ金属塩の含有量は、PVA系樹脂粉体に対して例えば0.001~2質量%、好ましくは0.005~1質量%であり、更に好ましくは0.01~0.1質量%である。
アルカリ金属塩の含有量の調整方法としては、例えば、ケン化で用いる時のアルカリ触媒の量を調節したり、エタノールやメタノールなどのアルコールでPVA系樹脂を洗浄する方法が挙げられる。
本発明で用いるアルカリ金属塩の定量法としては、PVA系樹脂粉体を水に溶かして、メチルオレンジを指示薬とし、塩酸にて中和滴定を行い求める方法が挙げられる。
<糖類(B)>
本発明の実施形態に係る口腔内付着剤は糖類(B)を含む。
糖類(B)としては、例えば乳糖、ブドウ糖、果糖、白糖、トレハロース、麦芽糖及びオリゴ糖等の単糖類、二糖類及び多糖類や、糖アルコール類等が挙げられる。糖アルコール類としては例えばマンニトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール及びマルチトール等が挙げられる。
糖類(B)は、乳糖を含むことが好ましい。乳糖は、比較的安価であり、かつ、安定性に優れることから口腔内付着剤に好適に用いられる。
なお、後に詳述する、造粒を経る口腔内付着剤の製造方法において、造粒工程で用いる糖類(B1)として乳糖を含むことが好ましい。そして、造粒後の成形工程でさらに糖類(B2)を用いることも好ましく、この場合、糖類(B2)は乳糖及び糖アルコール類の少なくとも一方を含むことが好ましく、糖アルコールを含むことがより好ましい。したがって、口腔内付着剤における糖類(B)は糖アルコール類を含むことも好ましく、この場合、糖類(B)は乳糖を含み、さらに糖アルコール類を含むことがより好ましい。
糖類(B)が乳糖を含む場合、糖類(B)における乳糖の含有割合は60質量%以上が好ましく、65質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
口腔内付着剤100質量部に対する糖類(B)の含有割合は0.1~35質量部であることが好ましい。すなわち、糖類(B)の含有割合は0.1質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。また、糖類(B)の含有割合は35質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく、25質量部以下がさらに好ましい。
口腔内付着剤中の糖類(B)の含有割合が上記下限値以上であることで、膜付着性がより優れたものとなりやすい。また、糖類(B)の含有割合が上記上限値以下であることで、崩壊時間が短くなりすぎるのを抑制できる。
<(B/A)>
口腔内付着剤において、ポリビニルアルコール系樹脂(A)の含有量に対する糖類(B)の含有量の比(B/A)が、質量比で1.5以下である。本発明者らは、かかる比(B/A)が1.5以下であることで、膜付着性及び強度に優れ、かつ崩壊時間が好適な範囲にある口腔内付着剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。この理由は、次のように考えられる。すなわち、PVA系樹脂(A)及び糖類(B)は、いずれも水に溶解するため、それぞれ膜付着性の向上に寄与し得る。ここで、糖類(B)はポリビニルアルコール系樹脂(A)に比べて水への溶解性(濡れ性)が大きく、膜付着性の向上により大きく寄与すると考えられ、膜付着性を向上するためには、糖類(B)を比較的多く含有させることが考えられる。しかしながら、糖類(B)の含有量を多くし過ぎると、崩壊時間が短くなりすぎてしまう場合がある。また、PVA系樹脂(A)は、バインダーとして口腔内付着剤の強度の向上にも寄与し得るため、PVA系樹脂(A)の含有量が少なくなり過ぎると、強度が低下してしまう場合がある。これに対し、本発明においては、膜付着性の向上に特に寄与しやすい糖類(B)を含有させつつ、その比率をPVA系樹脂(A)に対し所定値以下とすることで、優れた膜付着性及び強度、並びに好適な崩壊時間を両立できると考えられる。
かかる比(B/A)は、1.5以下であり、1.3以下が好ましく、1.1以下がより好ましい。一方で、比(B/A)は、0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましく、0.3以上がさらに好ましい。
<結晶セルロース(C)>
口腔内付着剤は結晶セルロース(C)をさらに含むことが好ましい。口腔内付着剤が結晶セルロース(C)を含むことで、成形性が向上し、口腔内付着剤の強度をより優れたものとできる。また、結晶セルロース(C)は水に溶解しないことから、結晶セルロース(C)は崩壊時間をより長くすることにも寄与し得る。
口腔内付着剤100質量部に対する結晶セルロース(C)の含有割合は5~80質量部であることが好ましい。すなわち、結晶セルロース(C)の含有割合は5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、15質量部以上がさらに好ましい。また、結晶セルロース(C)の含有割合は80質量部以下が好ましく、65質量部以下がより好ましく、60質量部以下がさらに好ましい。
口腔内付着剤中の結晶セルロース(C)の含有割合が上記下限値以上であることで、口腔内付着剤の強度がより優れたものとなりやすい。また、結晶セルロース(C)の含有割合が上記上限値以下であることで、崩壊時間が長くなりすぎるのを抑制できる。
<(C/B)>
口腔内付着剤において、糖類(B)の含有量に対する結晶セルロース(C)の含有量の比(C/B)が、質量比で0.5以上であることが好ましい。上述のように、結晶セルロース(C)も、口腔内付着剤の強度や崩壊時間に寄与し得る成分である。そのため、上述の比(B/A)を所定値以下としつつ、かつ、比(C/B)を所定値以上とすることで、優れた膜付着性及び強度、並びに好適な崩壊時間の両立という観点で、より好適である。具体的には、比(C/B)が所定値以上であることで、強度がより優れたものとなりやすく、かつ、崩壊時間を適切な長さに調整しやすいと考えられる。
比(C/B)は、0.5以上が好ましく、0.7以上がより好ましく、0.8以上がさらに好ましく、1.0以上がよりさらに好ましい。一方で、比(C/B)は、4.0以下が好ましく、3.0以下がより好ましく、2.0以下がさらに好ましい。
<物性>
口腔内付着剤の強度は、例えば引張強度により評価できる。口腔内付着剤の引張強度は、3.0N/mm以上が好ましく、3.2N/mm以上がより好ましく、3.5N/mm以上がさらに好ましい。
引張強度が上記値以上であることで、口腔内付着剤が破損し難くなるため好ましい。引張強度の上限は特に限定されないが、例えば錠剤の場合、10N/mm以下であることが好ましい。
口腔内付着剤が錠剤である場合、その引張強度は例えば錠剤硬度計を用いて測定した硬度より求められる。
口腔内付着剤の膜付着性(N/cm)は、以下の方法で応力を測定して求められる。膜付着性は5N/cm以上が好ましく、5.5N/cm以上がより好ましく、6N/cm以上がさらに好ましい。膜付着性が上記値以上であることで、口腔内の粘膜への付着性に優れた口腔内付着剤となる。膜付着性の上限は特に限定されないが、例えば15N/cm以下であることが好ましい。
(方法)
膜付着性は、FUDOH RHEOMETER(株式会社レオテック製「RTC-2005D-D」)を用いて測定する。専用アダプター(直径10mm)に口腔内付着剤を固定する。37℃に加熱したポリテトラフルオロエチレン製の板をFUDOH RHEO METERのテーブル上に設置し、その上に、ろ紙に10%ムチン水溶液を浸潤し、乾燥させた膜を固定する。膜に人口唾液を50μL滴下し、口腔内付着剤と膜とを5Nの力で30秒間付着させた後、口腔内付着剤が膜からはがれるときの応力(N)を測定する。
口腔内付着剤の崩壊時間は60~240分が好ましく、90~210分がより好ましく、120~180分がさらに好ましい。崩壊時間が上記範囲にあることで、口腔内に適切な時間保持された後に口腔内での崩壊が可能となるため好ましい。崩壊時間は第18改正日本薬局方崩壊試験法により測定できる。
<剤型>
口腔内付着剤の剤型は、口腔内に付着できる形態であれば特に限定されない。例えば、錠剤、フィルム剤、顆粒剤、半固形剤等が挙げられ、患部に直接貼付し、患部を保護する観点から錠剤が好ましい。錠剤の場合、その形状として、楕円体、円柱形、ドーナツ形、球形等の任意の形状を採用することができる。
また、口腔内付着剤の剤型は粉剤であってもよく、この場合、膜付着性に優れ、かつ好適な崩壊時間の口腔内付着剤が得られる。
<有効成分>
本発明の実施形態に係る口腔内付着剤は、有効成分として以下のような薬効成分を含有することができる。
<薬効成分>
本発明で用いられる薬効成分としては、例えば、解熱鎮痛消炎薬、滋養強壮保健薬、向精神薬、抗うつ薬、抗不安薬、催眠鎮静薬、鎮痙薬、中枢神経作用薬、脳代謝改善剤、脳循環改善剤、抗てんかん剤、交感神経興奮剤、胃腸薬、制酸剤、抗潰瘍剤、鎮咳去痰剤、制吐剤、呼吸促進剤、気管支拡張剤、アレルギー用薬、抗ヒスタミン剤、歯科口腔用薬、強心剤、不整脈用剤、利尿薬、血圧降下剤、血管収縮薬、冠血管拡張薬、末梢血管拡張薬、血液凝固阻止剤、高脂血症用剤、利胆剤、抗生物質、化学療法剤、糖尿病用剤、骨粗しょう症用剤、骨格筋弛緩薬、鎮けい剤、抗リウマチ薬、ホルモン剤、アルカロイド系麻薬、サルファ剤、痛風治療薬、抗悪性腫瘍剤などが挙げられる。
解熱鎮痛消炎薬としては、例えば、アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェン、エテンザミド、ジフェンヒドラミン塩酸塩、dl-マレイン酸クロルフェニラミン、ジクロフェナクナトリウム、リン酸ジヒドロコデイン、サリチルアミド、アミノピリン、ノスカピン、dl-メチルエフェドリン塩酸塩、塩酸フェニルプロパノールアミン、セラペプターゼ、塩化リゾチーム、トルフェナム酸、メフェナム酸、フルフェナム酸、ケトプロフェン、インドメタシン、ブコローム、ペンタゾシン、カフェイン及び無水カフェインなどが挙げられる。
滋養強壮保健薬には、例えば、ビタミンA、ビタミンB1(ジベンゾイルチアミン及びフルスルチアミン塩酸塩など)、ビタミンB2(酪酸リボフラビンなど)、ビタミンB6(塩酸ピリドキシンなど)、ビタミンB12(酢酸ヒドロキソコバラミン及びシアノコバラミンなど)、ビタミンC(アスコルビン酸及びL-アスコルビン酸ナトリウムなど)、ビタミンD及びビタミンE(酢酸d-α-トコフェロールなど)などのビタミン、カルシウム、マグネシウム及び鉄などのミネラル、タンパク、アミノ酸、オリゴ糖及び生薬などが含まれる。
向精神薬としては、例えば、クロルプロマジン塩酸塩及びレセルピンなどが挙げられる。
抗うつ薬としては、例えば、アンフェタミン、イミプラミン塩酸塩及びマプロチリン塩酸塩などが例示される。
抗不安薬としては、例えば、ジアゼパム、アルプラゾラム及びクロルジアゼポキシドなどが挙げられる。
催眠鎮静薬としては、例えば、エスタゾラム、ジアゼパム、ニトラゼパム、ペルラピン及びフェノバルビタールナトリウムなどが例示される。
鎮痙薬には、例えば、スコポラミン臭化水素酸水和物、ジフェンヒドラミン塩酸塩及びパパベリン塩酸塩などが含まれる。
中枢神経作用薬としては、例えば、シチコリンなどが例示される。
脳代謝改善剤としては、例えば、メクロフェニキセート塩酸塩などが挙げられる。
脳循環改善剤としては、例えば、ビンポセチンなどが挙げられる。
抗てんかん剤としては、例えば、フェニトイン及びカルバマゼピンなどが挙げられる。
交感神経興奮剤としては、例えば、イソプロテレノール塩酸塩などが挙げられる。
胃腸薬には、例えば、ジアスターゼ、含糖ペプシン、ロートエキス、セルラーゼAP3、リパーゼAP及びケイヒ油などの健胃消化剤及びベルベリン塩化物、耐性乳酸菌及びビフィズス菌などの整腸剤などが含まれる。
制酸剤としては、例えば、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、沈降炭酸カルシウム及び酸化マグネシウムなどが挙げられる。
抗潰瘍剤としては、例えば、ランソプラゾール、オメプラゾール、ラベプラゾール、シメチジン、ファモチジン及び塩酸ラニチジンなどが挙げられる。
鎮咳去痰剤としては、例えば、クロペラスチン塩酸塩、デキストロメルトファン臭化水素酸、テオフィリン、グアヤコールスルホン酸カリウム、グアイフェネシン及びリン酸ジヒドロコデインなどが挙げられる。
制吐剤としては、例えば、ジフェニドール塩酸塩及びメトクロプラミドなどが挙げられる。
呼吸促進剤としては、例えば、レバロルファン酒石酸塩などが挙げられる。
気管支拡張剤としては、例えば、テオフィリン及びサルブタモール硫酸塩などが挙げられる。
アレルギー用薬としては、例えば、アンレキサノクス及びセラトロダストなどが挙げられる。
抗ヒスタミン剤としては、例えば、ジフェンヒドラミン塩酸塩、プロメタジン、イソチペンジル塩酸塩及びdl-マレイン酸クロルフェニラミンなどが挙げられる。
歯科口腔用薬としては、例えば、オキシテトラサイクリン、トリアムシノロンアセトニド、クロルヘキシジン塩酸塩及びリドカインなどが例示される。
強心剤としては、例えば、ジゴキシン及びカフェインなどが挙げられる。
不整脈用剤としては、例えば、プロカインアミド塩酸塩、プロプラノロール塩酸塩及びピンドロールなどが含まれる。
利尿薬としては、例えば、フロセミド、イソソルビド及びヒドロクロロチアジドなどが挙げられる。
血圧降下剤としては、例えば、カプトプリル、デラプリル塩酸塩、ヒドララジン塩酸塩、ラベタロール塩酸塩、マニジピン塩酸塩、カンデサルタンシレキセチル、メチルドパ水和物及びペリンドプリルエルブミンなどが挙げられる。
血管収縮薬としては、例えば、フェニレフリン塩酸塩などが挙げられる。
冠血管拡張薬としては、例えば、塩酸カルボクロメン、モルシドミン及びペラパミル塩酸塩などが挙げられる。
末梢血管拡張薬としては、例えば、シンナリジンなどが挙げられる。
血液凝固阻止剤としては、例えば、ジクマロールが挙げられる。
高脂血症用剤としては、例えば、セリバスタチンナトリウム、シンバスタチン、プラバスタチンナトリウム及びアトルバスタチンカルシウム水和物などが挙げられる。
利胆剤としては、例えば、デヒドロコール酸及びトレピプトンなどが挙げられる。
抗生物質には、例えば、セファレキシン、アモキシシリン水和物、セファクロル、ピブメシリナム塩酸塩、セフォチアムヘキセチル塩酸塩、セファドロキシル、セフィキシム、セフジトレンピボキシル、セフテラムピボキシル及びセフポドキシムプロキセチルなどのセフェム系、アンピシリン水和物、シクラシリン、ナリジクス酸及びエノキサシン水和物などの合成抗菌剤カルモナムナトリウムなどのモノバクタム系、ペネム系及びカルバペネム系抗生物質などが挙げられる。
化学療法剤としては、例えば、スルファメチゾールなどが挙げられる。
糖尿病用剤としては、例えば、グリミジンナトリウム、グリピジド、フェンフォルミン塩酸塩、ブフォルミン塩酸塩、メトフォルミン塩酸塩、トルブタミド、ボグリボース、ピオグリタゾン塩酸塩、グリベンクラミド及びトログリタゾンなどが挙げられる。
骨粗しょう症用剤としては、例えば、アレンドロン酸ナトリウム水和物、リセドロン酸ナトリウム水和物、ミノドロン酸水和物、イプリフラボンなどが挙げられる。
骨格筋弛緩薬としては、メトカルバモールなどが挙げられる。
鎮けい剤としては、例えば、塩酸メクリジン及びジメンヒドリナートなどが挙げられる。
抗リウマチ薬としては、例えば、メトトレキサート及びブシラミンなどが挙げられる。
ホルモン剤としては、例えば、リオチロニンナトリウム、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム、プレドニゾロン、オキセンドロン及びリュープロレリン酢酸塩などが挙げられる。
アルカロイド系麻薬として、アヘン、塩酸モルヒネ、トコン、オキシコドン塩酸塩、アヘンアルカロイド塩酸塩及びコカイン塩酸塩などが挙げられる。
サルファ剤としては、例えば、スルフィソミジン及びスルファメチゾールなどが挙げられる。
痛風治療薬としては、例えば、アロプリノール及びコルヒチンなどが挙げられる。
抗悪性腫瘍剤としては、例えば、5-フルオロウラシル、ウラシル及びマイトマイシンなどが挙げられる。
上記の活性成分は、バイオアベイラビリティーに応じて含有量を適宜調整する。活性成分は、一般に医療、食品分野などで用いられる希釈剤などによって希釈されたものであってもよい。また活性成分の苦味のマスキングを目的として処理したものを用いてもよい。
<その他の添加剤>
本発明の実施形態に係る口腔内付着剤には、本発明の効果を損なわない範囲において、各種添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えば、賦形剤、崩壊剤、pH調整剤、流動化剤、滑沢剤、界面活性剤、着色剤、甘味剤及びコーティング剤等が挙げられる。
賦形剤としては、例えば、リン酸カルシウム類、デンプン類、リン酸ナトリウム類及びゼラチンなどから選ばれた1種又は2種以上の成分が用いられる。
崩壊剤としては、例えば、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、セルロース又はその誘導体及びデンプン又はその誘導体等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、クエン酸及びその塩、リン酸及びその塩、炭酸及びその塩、酒石酸及びその塩、フマル酸及びその塩、酢酸及びその塩、アミノ酸及びその塩、コハク酸及びその塩並びに乳酸及びその塩などが挙げられる。
流動化剤としては、例えば、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、酸化チタン、ステアリン酸、トウモロコシゲル及び重質無水ケイ酸などが挙げられる。
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、硬化油、フマル酸ステアリルナトリウムなどが挙げられる。なお滑沢剤は、剤型が錠剤である場合に、粉体の流動性を向上させて圧縮形成を容易にするための添加剤として好ましく用いられる。
界面活性剤としては、例えば、リン脂質、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート類、リン酸水素ナトリウム類及びリン酸水素カリウム類などが挙げられる。
着色剤としては、例えば、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、食用黄色5号、食用黄色4号、アルミニウムキレート、酸化チタン及びタルクなどが挙げられる。
甘味剤としては、例えば、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ソーマチン及びスクラロースなどが挙げられる。
コーティング剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンアクリル酸エチル、メタクリル酸メチルコポリマー分散液、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、メタクリル酸コポリマー等が挙げられる。
<口腔内付着剤の製造方法>
口腔内付着剤の製造方法は、上記した各種成分を配合し、所望の剤型に応じて成形する方法であれば特に限定されない。例えば、各種成分を配合し、得られた混合物をそのまま(直接)成形する方法や、各種成分の一部を造粒し、得られた造粒物に残りの成分を配合して成形する方法が挙げられる。
なかでも、各種成分の一部を造粒し、得られた造粒物に残りの成分を配合して成形する方法は、得られる口腔内付着剤の均一性と強度に優れる点から好ましい。
一方で、混合物をそのまま(直接)成形する方法も、製造工程が比較的簡単であることから、院内製造の錠剤を得る場合等に好適である。
造粒を経る場合の口腔内付着剤の製造方法は、具体的には次のように例示される。
すなわち、口腔内付着剤の製造方法は、糖類(B1)にポリビニルアルコール系樹脂(A1)の水溶液を配合して造粒する工程(造粒工程)と、前記造粒する工程で得られた造粒物と、ポリビニルアルコール系樹脂(A2)とを混合して成形する工程(成形工程)と、を含む。ここで、各成分の配合を上述した範囲になるよう調整することで、上述した本発明の実施形態に係る口腔内付着剤が得られる。
造粒工程では、糖類(B1)にポリビニルアルコール系樹脂(A1)の水溶液を配合して造粒する。造粒の具体的な方法は特に限定されないが、湿式破砕造粒法、押し出し造粒法、流動層造粒法、攪拌造粒法などが挙げられ、圧縮成形性及び打錠性に優れる点から流動層造粒法が好ましい。
造粒工程では、少なくとも糖類(B1)にPVA系樹脂(A1)の水溶液を配合して造粒すればよいが、糖類(B1)を含む混合物にポリビニルアルコール系樹脂(A1)の水溶液を配合して造粒することが好ましい。
例えば口腔内付着剤が上述の有効成分を含む場合、上記混合物は当該有効成分をさらに含むことが好ましい。また、口腔内付着剤が結晶セルロース(C)を含む場合、上記混合物は結晶セルロース(C)をさらに含むことが好ましい。
また、糖類(B1)としては、上述の糖類(B)として例示したものを好適に使用できるが、得られる口腔内付着剤の物性のバランスを好適なものとする観点からは乳糖が好ましい。
流動層造粒法では、例えば、糖類(B1)又はこれを含む混合物に含まれる各成分を流動層造粒機に入れ、PVA系樹脂(A1)の水溶液をスプレーすることで造粒できる。
PVA系樹脂(A1)の水溶液において、PVA系樹脂(A1)の種類は特に限定されず、上述のPVA系樹脂(A)として例示したものを好適に使用できる。上述の通り、PVA系樹脂(A1)は水溶液の状態を経て口腔内付着剤に含有されることとなるため、その平均粒子径は特に限定されない。
PVA系樹脂(A1)の水溶液の濃度は、水溶液の粘度を好適なものとする観点から1~20質量%が好ましく、3~15質量%がより好ましい。
また、引張強度及び膜付着性を好適なものとする観点から、造粒物におけるPVA系樹脂(A1)の含有量は1~20質量%が好ましく、5~15質量%がより好ましい。
成形工程では、上記造粒工程で得られた造粒物と、PVA系樹脂(A2)とを混合して成形する。
造粒物にさらにPVA系樹脂(A2)を添加して成形することで、膜付着性が向上するため好ましい。PVA系樹脂(A2)としては、上述のPVA系樹脂(A)として例示したものを好適に使用できるが、その平均粒子径は10~300μmが好ましく、50~200μmがより好ましく、100~150μmがさらに好ましい。平均粒子径が上記下限値以上であることで、PVA系樹脂(A2)の流動性が向上し、口腔内付着剤を成形する際の取り扱い性が向上しやすい。また、平均粒子径が上記上限値以下であることで、粒子の比表面積が大きくなり、圧縮成形性が向上し、口腔内付着剤の強度がより優れたものとなる。
口腔内付着剤100質量部に対するPVA系樹脂(A2)の含有割合は、膜付着性の観点から5~50質量部が好ましく、10~40質量部がより好ましい。
また、成形工程では、さらに糖類(B2)を混合することが好ましい。膜付着性は、被付着部との接触による影響が大きい。造粒物に後から添加した成分は、造粒物中の成分と比べ、被付着部との接触により大きく影響し得ると考えられる。そのため、糖類(B2)を混合することで、膜付着性がより向上しやすく好ましい。
糖類(B2)としては、上述した糖類(B)として例示したものを好適に使用できるが、溶解性の観点から乳糖及び糖アルコール類の少なくとも一方が好ましく、糖アルコールがより好ましい。
口腔内付着剤100質量部に対する糖類(B2)の含有割合は、膜付着性を向上しつつ、崩壊時間が増大しすぎるのを抑制する観点から0~10質量部が好ましく、3~7質量部がより好ましい。
成形の方法は所望の剤型に応じて適宜選択できるが、錠剤を得る場合には打錠成形が好ましい。打錠成形には、ロータリー打錠機、単発式打錠機等の公知の打錠機を使用できる。
打錠成形に用いる装置としては、例えば、打錠機(株式会社畑鉄工所製「HT-APSS型」、「HT-AP-MS型」、「HT-X-SS型」、「HT-X-MS型」、株式会社菊水製作所製「VIRGO、AQUARIUS」、「LIBRA」)などが挙げられる。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、下記例に制限されるものではない。
尚、実施例、比較例において「部」とあるのは質量基準を意味する。
(実施例1~11、比較例1、2)
表1に示す配合となるよう各成分の含有量を調整し、以下の手順で実施例1~11、比較例1、2の口腔内付着剤(錠剤)を得た。
インドメタシン(有効成分、IMC)、結晶セルロース(MCC)(C)及び糖類(B1)として乳糖を流動層造粒機(流動層装置 FD-MP-01(パウレック社製))に入れ、PVA系樹脂(A1)としてポリビニルアルコールEG-40P(ケン化度88モル%、平均重合度2400、平均粒子径約250μm)を使用した濃度10質量%の水溶液をスプレーすることで造粒物を得た。
得られた造粒物と、PVA系樹脂(A2)としてポリビニルアルコールEG-40PW(ケン化度88モル%、平均重合度2400、平均粒子径約125μm)、糖類(B2)、および滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムを混合し、打錠機(打錠機 HT-EX12SS-U)に充填して打錠し、錠剤を得た。
(実施例12~14、比較例3)
表1に示す配合となるよう各成分の含有量を調整し、以下の手順で実施例12~14、比較例3の口腔内付着剤(錠剤)を得た。
表1に示す各成分を混合した混合物を、そのまま打錠機(打錠機 HT-EX12SS-U)に充填して打錠し、錠剤を得た。
得られた各例の口腔内付着剤について以下の評価を行った。結果を表1に示す。
なお、表中の空欄は未測定であることを示す。また、表中の配合量を示す数値の単位は、質量比を示す(B/A)及び(C/B)の列を除いて、いずれも質量部を表す。
<引張強度>
口腔内付着剤の硬度を錠剤硬度計(ロードセル式硬度計、PC-30型、岡田精工株式会社製)を用いて測定し、以下の式により引張強度(N/mm)を算出した。
引張強度=2F/πdt
F:錠剤硬度(N)、d:錠剤直径(mm)、t:錠剤厚み(mm)
<膜付着性>
膜付着性は、FUDOH RHEOMETER(株式会社レオテック製「RTC-2005D-D」)を用いて測定した。専用アダプター(直径10mm)に口腔内付着剤を固定した。
37℃に加熱したポリテトラフルオロエチレン製の板をFUDOH RHEO METERのテーブル上に設置し、その上に、ろ紙に10%ムチン水溶液を浸潤し、乾燥させた膜を固定した。膜に人口唾液を50μL滴下し、錠剤と膜とを5Nの力で30秒間付着させた後、錠剤が膜からはがれるときの応力(N)を測定し、膜付着性(N/cm)とした。
<崩壊時間の測定>
第18改正日本薬局方崩壊試験法を用いて、以下の条件にて口腔内付着剤の崩壊時間の測定を行った。
機器:崩壊試験器NT-200型(富山産業株式会社製)
溶液:蒸留水1000mL
溶液温度:37℃
Figure 2024009644000001
Figure 2024009644000002
表1の結果から、実施例1~11の口腔内付着剤は、比較例1、2の口腔内付着剤と比較して引張強度が同等又は優れており、膜付着性にも優れ、崩壊時間も好適な範囲内にある傾向があった。なお、実施例4、5の口腔内付着剤について、膜付着性は未測定であるが、これらは実施例3と糖類(B2)の種類のみが異なる関係にある。また、同様に糖類(B2)の種類のみが異なる関係にある実施例6~8又は9~11においていずれも膜付着性に優れる結果となっていることから、実施例4、5の口腔内付着剤も実施例3と同様に膜付着性に優れると考えられる。また、表1では、糖類(B2)をさらに混合した実施例において、糖類(B2)を混合していない実施例1に比べて膜付着性により優れる傾向があった。
表2の結果から、実施例12~14の口腔内付着剤は、比較例3の口腔内付着剤と比較して引張強度が優れており、崩壊時間も好適な範囲内にあった。なお、実施例12~14の口腔内付着剤について、膜付着性は未測定であるが、(B/A)が0.35~0.71の範囲であり、いずれも1.5以下であることから、膜付着性は比較例3より優れたものになると考えられる。
比較例1~3では、特に(B/A)の値が1.5を超えていることで、崩壊時間が好適な範囲に対し短すぎる結果となった。
以上説明した通り、本明細書には次の事項が開示されている。
1.ポリビニルアルコール系樹脂(A)及び糖類(B)を含む口腔内付着剤であって、
前記ポリビニルアルコール系樹脂(A)の含有量に対する前記糖類(B)の含有量の比(B/A)が、質量比で1.5以下である、口腔内付着剤。
2.引張強度が3.0N/mm以上である、前記1に記載の口腔内付着剤。
3.前記口腔内付着剤100質量部に対する前記ポリビニルアルコール系樹脂(A)の含有割合が15質量部以上である、前記1又は2に記載の口腔内付着剤。
4.前記口腔内付着剤100質量部に対する前記糖類(B)の含有割合が0.1~35質量部である、前記1~3のいずれか1に記載の口腔内付着剤。
5.さらに結晶セルロース(C)を含有し、前記口腔内付着剤100質量部に対する前記結晶セルロース(C)の含有割合が5~80質量部である、前記1~4のいずれか1に記載の口腔内付着剤。
6.前記糖類(B)の含有量に対する前記結晶セルロース(C)の含有量の比(C/B)が、質量比で0.5以上である、前記5に記載の口腔内付着剤。
7.前記糖類(B)が乳糖を含む、前記1~6のいずれか1に記載の口腔内付着剤。
8.前記ポリビニルアルコール系樹脂(A)は、平均粒子径が10~300μmであるポリビニルアルコール系樹脂を含む、前記1~7のいずれか1に記載の口腔内付着剤。
9.前記1~8のいずれか1に記載の口腔内付着剤の製造方法であって、
糖類(B1)にポリビニルアルコール系樹脂(A1)の水溶液を配合して造粒する工程と、
前記造粒する工程で得られた造粒物と、ポリビニルアルコール系樹脂(A2)とを混合して成形する工程と、を含む、口腔内付着剤の製造方法。
10.前記成形する工程において、さらに糖類(B2)を混合する、前記9に記載の口腔内付着剤の製造方法。
11.前記造粒する工程において、前記糖類(B1)と結晶セルロース(C)とを含む混合物に前記ポリビニルアルコール系樹脂(A1)の水溶液を配合して造粒する、前記9又は10に記載の口腔内付着剤の製造方法。

Claims (11)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂(A)及び糖類(B)を含む口腔内付着剤であって、
    前記ポリビニルアルコール系樹脂(A)の含有量に対する前記糖類(B)の含有量の比(B/A)が、質量比で1.5以下である、口腔内付着剤。
  2. 引張強度が3.0N/mm以上である、請求項1に記載の口腔内付着剤。
  3. 前記口腔内付着剤100質量部に対する前記ポリビニルアルコール系樹脂(A)の含有割合が15質量部以上である、請求項1に記載の口腔内付着剤。
  4. 前記口腔内付着剤100質量部に対する前記糖類(B)の含有割合が0.1~35質量部である、請求項1に記載の口腔内付着剤。
  5. さらに結晶セルロース(C)を含有し、前記口腔内付着剤100質量部に対する前記結晶セルロース(C)の含有割合が5~80質量部である、請求項1に記載の口腔内付着剤。
  6. 前記糖類(B)の含有量に対する前記結晶セルロース(C)の含有量の比(C/B)が、質量比で0.5以上である、請求項5に記載の口腔内付着剤。
  7. 前記糖類(B)が乳糖を含む、請求項1に記載の口腔内付着剤。
  8. 前記ポリビニルアルコール系樹脂(A)は、平均粒子径が10~300μmであるポリビニルアルコール系樹脂を含む、請求項1に記載の口腔内付着剤。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載の口腔内付着剤の製造方法であって、
    糖類(B1)にポリビニルアルコール系樹脂(A1)の水溶液を配合して造粒する工程と、
    前記造粒する工程で得られた造粒物と、ポリビニルアルコール系樹脂(A2)とを混合して成形する工程と、を含む、口腔内付着剤の製造方法。
  10. 前記成形する工程において、さらに糖類(B2)を混合する、請求項9に記載の口腔内付着剤の製造方法。
  11. 前記造粒する工程において、前記糖類(B1)と結晶セルロース(C)とを含む混合物に前記ポリビニルアルコール系樹脂(A1)の水溶液を配合して造粒する、請求項9に記載の口腔内付着剤の製造方法。
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