JP2017178857A - 口腔内粘膜付着錠及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、PVA系樹脂については、口腔内粘膜付着錠として使用可能であることは記載されているが、なんら詳細な検討はされておらず、PVA系樹脂を用いた口腔内粘膜付着錠として、更なる検討が求められている。
(1)平均重合度が1000〜3300のポリビニルアルコール系樹脂を含有してなることを特徴とする口腔内粘膜付着錠。
(2)前記ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度が80〜95モル%であることを特徴とする前記(1)に記載の口腔内粘膜付着錠。
(3)前記ポリビニルアルコール系樹脂の平均粒子径が10〜200μmであることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の口腔内粘膜付着錠。
(4)前記ポリビニルアルコール系樹脂の含有量が1〜50質量%であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の口腔内粘膜付着錠。
(5)平均重合度が1000〜3300のポリビニルアルコール系樹脂及び有効成分を混合する工程、及び得られた混合物を、直接粉末圧縮法、湿式顆粒圧縮法及び乾式顆粒圧縮法からなる群から選択される少なくとも1つの方法により打錠成形する工程を有することを特徴とする口腔内粘膜付着錠の製造方法。
(6)前記打錠成形が、直接粉末圧縮法により行われることを特徴とする前記(5)に記載の口腔内粘膜付着錠の製造方法。
したがって本発明によれば、口腔内の粘膜への付着性に優れ、製造が容易である口腔内粘膜付着錠及びその製造方法を提供することができる。
本発明の口腔内粘膜付着錠は、平均重合度が1000〜3300のポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVA系樹脂と言うことがある)を含有してなるものである。
まず、PVA系樹脂について説明する。
PVA系樹脂は、ビニルエステル系モノマーを重合して得られるポリビニルエステル系樹脂をケン化して得られる、ビニルアルコール構造単位を主体とする樹脂であり、ケン化度相当のビニルアルコール構造単位とビニルエステル構造単位から構成される。
PVA系樹脂の平均重合度が低すぎると、口腔内粘膜付着錠の口腔内への付着力が低下し、平均重合度が高すぎると、吸水し、付着力を発揮するまでに時間を要することとなり、本発明の目的が得られない。
なお、本発明において、ポリビニルアルコールの平均重合度は、JIS K 6726に準拠する方法で求めた平均重合度を用いるものとする。
なお、本発明において、ポリビニルアルコールのケン化度は、JIS K 6726に準拠する方法で求められた値とする。
なお、平均粒子径とは、レーザー回折式粒度分布計により乾式法にて測定した粒度分布より算出された、体積基準によるメジアン径(d50)をいう。
PVA系樹脂は、例えば、ビニルエステル系モノマーを重合して得られたポリビニルエステル系重合体をケン化することにより得られる。
かかるビニルエステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられ、実用的に酢酸ビニルが好適である。
また、重合反応は、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイルなどの公知のラジカル重合触媒や公知の各種低温活性触媒を用いて行われる。また、反応温度は35℃〜沸点程度の範囲から選択される。
アルカリ金属塩の含有量の調整方法としては、例えば、ケン化で用いる時のアルカリ触媒の量を調節したり、エタノールやメタノールなどのアルコールでPVA系樹脂を洗浄する方法が挙げられる。
本発明で用いるアルカリ金属塩の定量法としては、PVA系樹脂粉体を水に溶かして、メチルオレンジを指示薬とし、塩酸にて中和滴定を行い求める方法が挙げられる。
本発明の口腔内粘膜付着錠は、有効成分として以下のような薬効成分を含有することができる。
本発明で用いられる薬効成分としては、例えば、解熱鎮痛消炎薬、滋養強壮保健薬、向精神薬、抗うつ薬、抗不安薬、催眠鎮静薬、鎮痙薬、中枢神経作用薬、脳代謝改善剤、脳循環改善剤、抗てんかん剤、交感神経興奮剤、胃腸薬、制酸剤、抗潰瘍剤、鎮咳去痰剤、制吐剤、呼吸促進剤、気管支拡張剤、アレルギー用薬、抗ヒスタミン剤、歯科口腔用薬、強心剤、不整脈用剤、利尿薬、血圧降下剤、血管収縮薬、冠血管拡張薬、末梢血管拡張薬、血液凝固阻止剤、高脂血症用剤、利胆剤、抗生物質、化学療法剤、糖尿病用剤、骨粗しょう症用剤、骨格筋弛緩薬、鎮けい剤、抗リウマチ薬、ホルモン剤、アルカロイド系麻薬、サルファ剤、痛風治療薬、抗悪性腫瘍剤などが挙げられる。
抗うつ薬としては、例えば、アンフェタミン、イミプラミン及び塩酸マプロチリンなどが例示される。
抗不安薬としては、例えば、ジアゼパム、アルプラゾラム及びクロルジアゼポキシドなどが挙げられる。
催眠鎮静薬としては、例えば、エスタゾラム、ジアゼパム、ニトラゼパム、ペルラピン及びフェノバルビタールナトリウムなどが例示される。
鎮痙薬には、例えば、臭化水素酸スコポラミン、塩酸ジフェンヒドラミン及び塩酸パパベリンなどが含まれる。
脳代謝改善剤としては、例えば、塩酸メクロフェニキセートなどが挙げられる。
脳循環改善剤としては、例えば、ビンポセチンなどが挙げられる。
抗てんかん剤としては、例えば、フェニトイン及びカルバマゼピンなどが挙げられる。
交感神経興奮剤としては、例えば、塩酸イソプロテレノールなどが挙げられる。
制酸剤としては、例えば、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、沈降炭酸カルシウム及び酸化マグネシウムなどが挙げられる。
抗潰瘍剤としては、例えば、ランソプラゾール、オメプラゾール、ラベプラゾール、シメチジン、ファモチジン及び塩酸ラニチジンなどが挙げられる。
制吐剤としては、例えば、塩酸ジフェニドール及びメトクロプラミドなどが挙げられる。
呼吸促進剤としては、例えば、酒石酸レバロルファンなどが挙げられる。
気管支拡張剤としては、例えば、テオフィリン及び硫酸サルブタモールなどが挙げられる。
アレルギー用薬としては、例えば、アンレキサノクス及びセラトロダストなどが挙げられる。
抗ヒスタミン剤としては、例えば、塩酸ジフェンヒドラミン、プロメタジン、塩酸イソチペンジル及びdl−マレイン酸クロルフェニラミンなどが挙げられる。
強心剤としては、例えば、ジゴキシン及びカフェインなどが挙げられる。
不整脈用剤としては、例えば、塩酸プロカインアミド、塩酸プロプラノロール及びピンドロールなどが含まれる。
利尿薬としては、例えば、フロセミド、イソソルピド及びヒドロクロロチアジドなどが挙げられる。
血管収縮薬としては、例えば、塩酸フェニレフリンなどが挙げられる。
冠血管拡張薬としては、例えば、塩酸カルボクロメン、モルシドミン及び塩酸ペラパミルなどが挙げられる。
末梢血管拡張薬としては、例えば、シンナリジンなどが挙げられる。
血液凝固阻止剤としては、例えば、ジクマロールが挙げられる。
高脂血症用剤としては、例えば、セリバスタチンナトリウム、シンバスタチン、プラバスタチンナトリウム及びアトルバスタチンカルシウム水和物などが挙げられる。
利胆剤としては、例えば、デヒドロコール酸及びトレピプトンなどが挙げられる。
化学療法剤としては、例えば、スルファメチゾールなどが挙げられる。
骨粗しょう症用剤としては、例えば、イプリフラボンなどが挙げられる。
骨格筋弛緩薬としては、メトカルバモールなどが挙げられる。
抗リウマチ薬としては、例えば、メソトレキセート及びブシラミンなどが挙げられる。
ホルモン剤としては、例えば、リオチロニンナトリウム、リン酸デキメタゾンナトリウム、プレドニゾロン、オキセンドロン及び酢酸リュープロレリンなどが挙げられる。
アルカロイド系麻薬として、アヘン、塩酸モルヒネ、トコン、塩酸オキシコドン、塩酸アヘンアルカロイド及び塩酸コカインなどが挙げられる。
サルファ剤としては、例えば、スルフィソミジン及びスルファメチゾールなどが挙げられる。
痛風治療薬としては、例えば、アロプリノール及びコルヒチンなどが挙げられる。
抗悪性腫瘍剤としては、例えば、5−フルオロウラシル、ウラシル及びマイトマイシンなどが挙げられる。
本発明の口腔内粘膜付着錠には、本発明の効果を損なわない範囲において、各種添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えば、賦形剤、崩壊剤、pH調整剤、流動化剤、界面活性剤、着色剤、甘味剤及びコーティング剤等が挙げられる。
糖アルコール類としては、例えば、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール及びマルチトールなどが挙げられる。糖類としては、例えば、ブドウ糖、果糖、乳糖、白糖、トレハロース、麦芽糖及びオリゴ糖などが挙げられる。
本発明の口腔内粘膜付着錠の製造方法は、上記した各種成分を配合し、直接又は造粒した後打錠成形して製造される。
かかる成形には、医薬品分野で通常行われるロータリー打錠機、単発式打錠機等を用いた固形製剤の圧縮成形による製造法の何れをも用いることができる。例えば、各種成分を均一に混合した後に打錠する直接粉末圧縮法、各種成分を湿式造粒あるいは乾式造粒し、得られた顆粒を打錠する湿式顆粒圧縮法や乾式顆粒圧縮法により製造することができる。
中でも、製造工程が簡単であり、院内製造の医薬錠剤としても好適であるという観点から、直接粉末圧縮法(直接打錠法)により製造することが好ましい。
かかる造粒方法としては、湿式造粒あるいは乾式造粒が挙げられ、湿式造粒の方法としては、例えば、湿式破砕造粒法、押し出し造粒法、流動層造粒法、攪拌造粒法などが挙げられる。また、乾式造粒の方法としては、破砕造粒法等が挙げられる。これらの中でも、造粒性の点から湿式造粒法が好ましく、特に攪拌造粒法が好ましい。
尚、実施例、比較例において「部」とあるのは質量基準を意味する。
以下の方法により、口腔内粘膜付着錠を作製した。
1)100メッシュ(目開き150μm)篩で篩過した、PVA系樹脂(平均重合度2400、ケン化度88モル%、平均粒子径105μm)、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ株式会社製「セオラスKG−1000」)、乳糖、ステアリン酸マグネシウム及びインドメタシンを準備し、PVA系樹脂10部、結晶セルロース41.5部、乳糖41.5部、及び有効成分としてのインドメタシン5部を、混合機に投入して2分間混合した。
2)更に、ステアリン酸マグネシウム2部を加え、1分間混合することにより均一に混合した。
3)調製した粉体を0.2g秤量し、直径10mmの型に入れて、2kNで15秒間プレスして製錠した。得られた錠剤の形状は直径10mm、高さ約2mmの円柱形である。
PVA系樹脂、錠剤の組成を表1に記載の通りとした以外は、実施例1と同様にして口腔内粘膜付着錠を作製した。
膜付着性は、FUDOH RHEO METER(株式会社レオテック製「RTC−2005D−D」)を用いて測定した。
専用アダプター(直径10mm)に錠剤を固定した。37℃に加熱したポリテトラフルオロエチレン製の板をFUDOH RHEO METERのテーブル上に設置し、その上に、ろ紙に10%ムチン水溶液を浸潤し、乾燥させた膜を固定した。膜に人口唾液を50μl滴下し、錠剤と膜とを5Nの力で30秒間付着させた後、錠剤が膜からはがれるときの応力(N)を測定した。
結果を表1に併せて示す。
Claims (6)
- 平均重合度が1000〜3300のポリビニルアルコール系樹脂を含有してなることを特徴とする口腔内粘膜付着錠。
- 前記ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度が80〜95モル%であることを特徴とする請求項1に記載の口腔内粘膜付着錠。
- 前記ポリビニルアルコール系樹脂の平均粒子径が10〜200μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の口腔内粘膜付着錠。
- 前記ポリビニルアルコール系樹脂の含有量が1〜50質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の口腔内粘膜付着錠。
- 平均重合度が1000〜3300のポリビニルアルコール系樹脂及び有効成分を混合する工程、及び
得られた混合物を、直接粉末圧縮法、湿式顆粒圧縮法及び乾式顆粒圧縮法からなる群から選択される少なくとも1つの方法により打錠成形する工程
を有することを特徴とする口腔内粘膜付着錠の製造方法。 - 前記打錠成形が、直接粉末圧縮法により行われることを特徴とする請求項5に記載の口腔内粘膜付着錠の製造方法。
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