以下、本発明に係る放射線撮像装置の具体的な実施形態を、添付図面を参照して説明する。以下の説明及び図面において、複数の図面に渡って共通の構成については共通の符号を付している。そのため、複数の図面を相互に参照して共通する構成を説明し、共通の符号を付した構成については適宜説明を省略する。また、本発明における放射線には、放射線崩壊によって放出される粒子(光子を含む)の作るビームであるα線、β線、γ線などの他に、同程度以上のエネルギを有するビーム、例えばX線や粒子線、宇宙線なども含みうる。
第1の実施形態
図1〜7を参照して、本発明の第1の実施形態による放射線撮像装置の構成および制御方法(駆動方法)について説明する。図1は、本発明の放射線撮像装置100の放射線を検出し撮像するための撮像部150の画素アレイに配される画素Pの構成例を示す等価回路図である。画素Pは、変換部CP、増幅部AP、リセット部RP、保持部SH(SH1〜SH3)、出力部OP(OP1〜OP3)を含む。本実施形態において、これらの画素Pに含まれる構成のそれぞれが、電子回路によって構成される。例えば、変換部CPは変換回路によって構成される。
放射線を電荷に変換する変換部CPは、フォトダイオードPD、トランジスタM1、フローティングディフュージョン(FD)容量Cfd、感度切り替え用の付加容量Cfd’を含む。フォトダイオードPDは、光電変換素子であり、波長変換体であるシンチレータ(不図示)に入射した放射線に応じてシンチレータで生じた光を電荷に変換する。すなわち、放射線を光に変換するシンチレータと、光を電荷に変換するフォトダイオードと、によって、放射線を信号電荷に変換する変換素子が構成される。変換素子は波長変換体と光電変換素子の組み合わせに限られることはなく、例えば、変換素子として、放射線を直接電荷に変換する素子が用いられてもよい。変換部CPに入射した放射線に応じた電荷が、フォトダイオードPDで発生し、発生した電荷量に応じたFD容量Cfdの電圧が、増幅部APに出力される。また、感度切り替え用の付加容量Cfd’は、放射線に対する画素Pの感度を切り替えるために用いられ、スイッチ素子であるトランジスタM1を介してフォトダイオードPDに接続されている。信号WIDEが活性化された場合、トランジスタM1が導通状態になり、フォトダイオードPDで発生した電荷量に応じたFD容量Cfdと付加容量Cfd’との合成容量の電圧が増幅部APに出力される。つまり、トランジスタM1の導通状態を制御することによって、検出部CPは、2種類の感度で放射線を検出することができる。本実施形態では、画素Pの検出部CPは、付加容量Cfd’を1つ設けることによって2種類の感度で放射線の検出を行うが、2つ以上の付加容量Cfd’を設けることによって、さらに複数の種類の感度で放射線の検出を行う構成であってもよい。
変換部CPと保持部SHとの間に配される増幅部APは、制御トランジスタM3、増幅トランジスタM4、クランプ回路を構成するクランプ容量Ccl、制御トランジスタM6、増幅トランジスタM7および複数の定電流源を含む。制御トランジスタM3、増幅トランジスタM4および定電流源(例えば、カレントミラー構成のトランジスタ)は、電流経路を形成するように直列に接続される。制御トランジスタM3のゲートに入力される信号ENが活性化されることによって、変換部CPからの電圧を受ける増幅トランジスタM4が動作状態となる。このようにしてソースフォロワ回路が形成され、変換部CPからの電圧を増幅した電圧が、増幅トランジスタM4から出力される。増幅トランジスタM4から出力された電圧は、クランプ容量Cclを介して増幅トランジスタM7に入力される。制御トランジスタM6、増幅トランジスタM7および定電流源は、電流経路を形成するように直列に接続される。制御トランジスタM6のゲートに入力される信号ENが活性化されることによって、増幅トランジスタM4からの電圧を受ける増幅トランジスタM7が動作状態となる。このようにしてソースフォロワ回路が形成され、増幅トランジスタM4からの電圧を増幅した電圧が、増幅トランジスタM7から出力される。クランプ容量Cclは、増幅トランジスタM4と増幅トランジスタM7との間に直列に配される。クランプ容量Cclによるクランプ動作については、次に説明するリセット部RPとあわせて説明する。
リセット部RPは、リセットトランジスタM2とリセットトランジスタM5とを含む。リセットトランジスタM2は、信号PRESが活性化されるとフォトダイオードPDに所定の電位を供給する。これによって、フォトダイオードPDの電荷がリセット(初期化)され、増幅部APに出力される電圧がリセットされる。リセットトランジスタM5は、クランプ容量Cclと増幅トランジスタM7との間の接続ノードn2に所定の電位を供給する。これによって、増幅トランジスタM7から出力される電圧がリセットされる。リセットトランジスタM2によるリセット時の変換部CPからの電圧に応じた電圧が、クランプ容量Cclの入力端子の側のノードn1に入力される。また、クランプ信号PCLが活性化されることによって、リセットトランジスタM5が導通状態になり、所定の電位であるクランプ電圧VCLがクランプ容量Cclの出力端子の側のノードn2に入力される。このようにして、クランプ容量Cclの両端子間で生じた電位差をノイズ成分としてクランプし、その後、放射線の照射によるフォトダイオードPDでの電荷の発生および蓄積に伴い変化した電圧を信号成分として出力する。これがクランプ容量Cclを用いたクランプ動作であり、クランプ動作によって変換部CPで生じるkTCノイズや増幅トランジスタM4のオフセットなどのノイズ成分が抑制される。
変換部CPと増幅部APとによって、放射線に応じて発生し蓄積された電荷に基づく信号を生成する信号生成部が構成される。ここで、この信号を蓄積信号と呼ぶ。また、信号生成部をリセット部RPが電荷蓄積前の状態にリセットすることによって信号生成部が生成する信号をリセット信号と呼ぶ。信号生成部のリセットは、上述のように、フォトダイオードPDの電位とクランプ容量Cclの出力端子側のノードn2の電位とをリセットすることによって行われる。ここで、増幅部APから出力される信号を画素信号と呼ぶ。画素信号は、信号生成部で生成される蓄積信号とリセット信号とを含む。
図1に示す画素Pは、変換部CPの電荷に応じた信号を保持する保持部SHとして3つの保持部SH1〜SH3を備える。保持部SH1は、変換部CPから増幅部APを介して出力された画素信号を保持可能な部分であり、転送トランジスタM8と保持容量CS1とを含むサンプルホールド回路である。具体的には、サンプルホールド制御信号TS1を用いて転送トランジスタM8の状態(導通状態または非導通状態)を切り替えることによって、画素信号を保持容量CS1に転送して保持するサンプリングを行う。
図1に示す画素Pは、保持部SHに保持された信号を列信号線に出力するための出力部OPとして3つの保持部SH1〜SH3のそれぞれに対応する3つの出力部OP1〜OP3を備える。出力部OP1は、信号増幅トランジスタM10と出力スイッチSW9とを含む。信号増幅トランジスタM10は、保持容量CS1に保持された画素信号を増幅して出力するためのトランジスタである。出力スイッチSW9は、信号増幅トランジスタM10から出力される画素信号を転送するためのスイッチである。具体的には、出力スイッチSW9に入力される垂直走査信号VSRに応じて出力スイッチSW9が導通状態となり、後述する列信号線406を介して接続される後段の定電流源CCSpと信号増幅トランジスタM10とでソースフォロワ回路が形成される。これによって、保持部SH1に保持された画素信号が、出力部OP1で増幅され画素Pから列信号線406に出力される。ここで、画素Pの出力部OP1から出力された増幅後の画素信号を画素信号S1と呼ぶ。また、画素信号が蓄積信号である場合は蓄積信号S1、リセット信号である場合はリセット信号S1と呼ぶ。
保持部SH2は、変換部CPから増幅部APを介して出力された画素信号を保持可能な部分であり、転送トランジスタM11と保持容量CS2とを含むサンプルホールド回路である。具体的には、サンプルホールド制御信号TS2を用いて転送トランジスタM11の状態(導通状態または非導通状態)を切り替えることによって、画素信号を保持容量CS2に転送して保持するサンプリングを行う。
出力部OP2は、信号増幅トランジスタM13と出力スイッチSW12とを含む。信号増幅トランジスタM13は、保持容量CS2に保持された画素信号を増幅して出力するためのトランジスタである。出力スイッチSW12は、信号増幅トランジスタM13から出力される画素信号を転送するためのスイッチである。具体的には、出力スイッチSW12に入力される垂直走査信号VSRに応じて出力スイッチSW12が導通状態となり、後述する列信号線407を介して接続される後段の定電流源CCSpと信号増幅トランジスタM13とでソースフォロワ回路が形成される。これによって、保持部SH2に保持された画素信号が、出力部OP2で増幅され画素Pから列信号線407に出力される。ここで、画素Pの出力部OP2から出力された増幅後の画素信号を画素信号S2と呼ぶ。また、画素信号が蓄積信号である場合は蓄積信号S2、リセット信号である場合はリセット信号S2と呼ぶ。
保持部SH3は、変換部CPから増幅部APを介して出力された画素信号を保持可能な部分であり、転送トランジスタM14と保持容量CS3とを含むサンプルホールド回路である。具体的には、サンプルホールド制御信号TS3を用いて転送トランジスタM14の状態(導通状態または非導通状態)を切り替えることによって、画素信号を保持容量CS3に転送して保持するサンプリングを行う。
出力部OP3は、信号増幅トランジスタM16と出力スイッチSW15とを含む。信号増幅トランジスタM16は、保持容量CS3に保持された画素信号を増幅して出力するためのトランジスタである。出力スイッチSW15は、信号増幅トランジスタM16から出力される画素信号を転送するためのスイッチである。具体的には、出力スイッチSW15に入力される垂直走査信号VSRに応じて出力スイッチSW15が導通状態となり、後述する列信号線408を介して接続される後段の定電流源CCSpと信号増幅トランジスタM16とでソースフォロワ回路が形成される。これによって、保持部SH3に保持された画素信号が、出力部OP3で増幅され画素Pから列信号線408に出力される。ここで、画素Pの出力部OP3から出力された増幅後の画素信号を画素信号S3と呼ぶ。また、画素信号が蓄積信号である場合は蓄積信号S3、リセット信号である場合はリセット信号S3と呼ぶ。
保持容量CS1、CS2およびCS3のサンプルホールド後は、転送トランジスタM8、M11およびM14がオフとなり、保持容量CS1、CS2およびCS3は前段の増幅部APから切り離される。このため、保持された画素信号(蓄積信号、リセット信号)は、再度サンプルホールドされるまで非破壊で読み出すことが可能である。
本実施形態において、付加容量Cfd’が1つあることに応じて、2種類の蓄積信号およびリセット信号を保持するために、それぞれ3つの保持部SH1〜SH3および出力部OP1〜OP3が配されるが、これに限られることはない。保持部SHおよび出力部OPは、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
次に、図2(a)、2(b)を用いて、本実施形態の放射線撮像装置100の撮像部150の画素アレイ120および信号読出部20について説明する。まず、図2(a)を用いて本実施形態の撮像部150の画素アレイ120を説明する。図2(a)は、本実施形態の撮像部150の画素アレイ120の概略構成を説明するための等価回路図である。上述の図1に示される画素Pが、二次元アレイ状に複数配列されて画素アレイ120が構成される。そして、画素アレイ120からの信号は信号読出部20によって読み出される。
画素アレイ120は、複数の画素P、垂直走査回路403、水平走査回路404を含む。垂直走査回路403および水平走査回路404は、例えばシフトレジスタで構成されており、後述するパネル制御部109からの制御信号に基づいてそれぞれの画素Pから信号を読み出すための読出部として動作する。垂直走査回路403は、制御線405を介して画素Pに垂直走査信号VSRを供給し、垂直走査信号VSRに基づいて画素Pを行単位で駆動する。すなわち、垂直走査回路403は行選択部として機能し、信号読出を行うべき画素Pを行単位で選択する。また、水平走査回路404は列選択部として機能し、水平走査信号HSRに基づいて画素Pを列単位で選択して、画素Pからの信号を順に出力させる(水平転送)。ここで、行選択部(垂直走査回路403)の動作周波数は、列選択部(水平走査回路404)の動作周波数に比べて低く、即ち、行選択部(垂直走査回路403)は列選択部(水平走査回路404)に比べて動作が遅い。
また、画素アレイ120は、それぞれの画素Pの保持容量CS1に保持された画素信号を読み出すための端子Es1、保持容量CS2に保持された画素信号を読み出すための端子Es2、保持容量CS3に保持された画素信号を読み出すための端子Es3を備える。また、画素アレイ120は、セレクト端子Ecsをさらに有し、セレクト端子Ecsが受ける信号が活性化されることによって、画素アレイ120のそれぞれの画素Pの画素信号が、端子Es1、Es2及びEs3を介して読み出される。具体的には、前述の画素Pの画素信号S1、画素信号S2および画素信号S3は、それぞれの端子に対応する列信号線406〜408に供給される。
制御トランジスタSWch、増幅トランジスタAvおよび定電流源CCSvは、電流経路を形成するように直列に接続される。増幅トランジスタAvの出力は、水平走査回路404からの水平走査信号HSRに応答して導通状態になる転送トランジスタSWahを介して、アナログ信号線409〜411に接続されている。制御トランジスタSWchのゲートに入力される水平走査信号HSRが活性化されることによって、列信号線406〜408からの電圧をそれぞれに受ける増幅トランジスタAvが動作状態になる。このようにしてソースフォロワ回路が形成され、列信号線406〜408からの電圧を増幅した電圧が、水平走査信号HSRに応答して導通状態になる転送トランジスタSWahを介してアナログ信号線409〜411に出力される。
増幅トランジスタAoutと定電流源CCSoutとは、電流経路を形成するように直列に接続され、動作状態のソースフォロワ回路が形成される。これによって、アナログ信号線409〜411からの電圧を増幅した電圧が、端子Ecsが受ける信号に応答して導通状態になる転送トランジスタSWchを介して、端子Es1、Es2及びEs3から出力される。
また、画素アレイ120は、垂直走査回路403および水平走査回路404を制御するための各制御信号を受ける端子HST、CLKH、VSTおよびCLKVをさらに有する。端子HSTは、水平走査回路404に入力されるスタートパルスを受ける。端子CLKHは、水平走査回路404に入力されるクロック信号を受ける。端子VSTは、垂直走査回路403に入力されるスタートパルスを受ける。端子CLKVは、垂直走査回路403に入力されるクロック信号を受ける。これらの制御信号は、後述するパネル制御部109から入力される。水平走査回路404は、入力されたスタートパルスとクロック信号とに基づいて水平走査信号HSRを生成して出力し、垂直走査回路403は、入力されたスタートパルスとクロック信号とに基づいて垂直走査信号VSRを生成して出力する。これによって、画素信号S1、画素信号S2および画素信号S3が、それぞれの画素PからX-Yアドレス方式で順次に読み出される。すなわち、画素アレイ120では、それぞれの画素Pは行単位で制御され、各保持部に保持された信号が列単位で出力される(水平転送される)ことによって、信号が読み出される。
次いで、図2(b)を用いて本実施形態の放射線撮像装置の信号読出部20を説明する。図2(b)は、本実施形態の放射線撮像装置の信号読出部20の概略構成を説明するための等価回路図である。信号読出部20は、例えば、差動増幅器等を含む信号増幅部107とAD変換を行うAD変換部108とを含む。
端子Es3からの画素信号S3は、信号増幅部107の非反転入力端子AMP+に入力される。また、端子Es1からの画素信号S1は、制御端子に入力される制御信号TRO1に応答して導通状態になるスイッチM51を介して、信号増幅部107の反転入力端子AMP−に入力される。また、端子Es2からの画素信号S2は、制御端子に入力される制御信号TRO2に応答して導通状態になるスイッチM52を介して、反転入力端子AMP−に入力される。スイッチM51およびスイッチM52は、端子Es1および端子Es2のうち一方の信号が反転入力端子AMP−に入力されるように制御される。スイッチM51およびスイッチM52、信号増幅部107は、信号ADCLKの周期に追従可能な応答特性を有するように設計されうる。
信号増幅部107では、端子Es1からの信号と端子Es3からの信号との差分、または、端子Es2からの信号と端子Es3からの信号との差分が増幅される。この差分は、AD変換部108で端子ADCLKを介して入力されるクロック信号に基づいてAD変換される。このような構成によって、画素アレイ120の画像用信号(デジタルデータ)が得られ、端子ADOUTを介して後述するパネル制御部109に出力される。
次に、図3を用いて本実施形態の放射線撮像システムSYSを説明する。図3は、本実施形態の放射線撮像システムSYSの撮像部150と放射線発生装置104との概略構成を説明するための模式図である。
放射線撮像システムSYSは、信号処理部101および撮像部150を含む放射線撮像装置100、撮像部150に放射線を照射するための放射線発生装置104、照射制御部103、ディスプレイなどの表示部102と、を含む。放射線画像の撮像を行う際、信号処理部101によって撮像部150と照射制御部103とが同期制御されうる。被検者300を通過した放射線に基づいて撮像部150が信号を生成し、この信号に対して信号処理部101などにおいて所定の処理が行われ、放射線に基づく画像データが生成される。画像データは表示部102に放射線画像として表示される。撮像部150は、撮像領域10を有する撮像パネル105と、撮像領域10からパネル制御部109に信号を出力する信号読出部20と、それぞれの構成要素を信号処理部101に従って制御するパネル制御部109と、を含む。
撮像パネル105は、それぞれ複数の画素Pが配された複数の画素アレイ120が、板状の基台の上にタイリング(2次元配列)されて構成されうる。このような構成によって、大型の撮像パネル105が形成される。それぞれの画素アレイ120には、上述のように複数の画素Pが配されており、撮像領域10は、複数の画素アレイ120によって複数の行および複数の列を形成するように配列された複数の画素Pを含むと言える。また、本実施形態において、複数の画素アレイ120が7列×2行を形成するようにタイリングされた構成が例示されているが、この構成に限られるものではない。
パネル制御部109は、例えば信号処理部101との間で、制御コマンドや同期信号の通信を行い、また、信号処理部101へ画素Pで放射線の照射によって生成された信号の出力を行う。また、パネル制御部109は、撮像領域10やそれぞれの構成要素を制御する。例えば、パネル制御部109は、信号処理部101から入力される制御コマンドに応じて、画素アレイ120の基準電圧の設定や画素の駆動制御、動作モード制御を行う。また、パネル制御部109は、信号読出部20のAD変換部108によりAD変換された画素アレイ120の信号(デジタルデータ)を用いて1つのフレームデータに合成し、信号処理部101に出力する。パネル制御部109は、CPUなどのプロセッサと、RAMやROMなどのメモリとで構成されてもよい。パネル制御部109のプロセッサが、メモリに格納されたプログラムを実行することによって、後述する撮像部150の動作が実行されてもよい。これに代えて、パネル制御部109は、ASIC(特定用途向け集積回路)などの専用回路で構成されてもよい。
パネル制御部109と信号処理部101との間では、各種インターフェースを介して、制御コマンド、制御信号および画像用信号の授受が行われる。信号処理部101は、制御用インターフェース110を介して、ユーザが設定した動作モードや各種パラメータなどの設定情報や撮像情報をパネル制御部109に出力する。このため、信号処理部101は、放射線撮像システムSYSに対してユーザが各種の設定を行うための、ユーザインタフェースを備えていてもよい。また、パネル制御部109は、制御用インターフェース110を介して、撮像部150の動作状態などの装置情報を信号処理部101に出力する。また、パネル制御部109は、画像データインターフェース111を介して、撮像部150で得られた画像用信号を信号処理部101に出力する。また、パネル制御部109は、READY信号112を用いて、撮像部150が撮像可能な状態になったことを信号処理部101に通知する。また、信号処理部101は、同期信号113を用いて、パネル制御部109からのREADY信号112に応答してパネル制御部109に、放射線の照射開始のタイミングを通知する。また、照射許可信号114は、撮像パネル105が電荷を蓄積中であることを信号処理部101に通知する信号である。信号処理部101は、照射許可信号114がイネーブル状態の間に、照射制御部103に制御信号を出力して放射線照射を開始させる。
次に、図4、5に示すタイミングチャートを用いて、上述の放射線撮像システムSYSの制御方法(駆動方法)について説明する。この制御方法は、パネル制御部109が撮像部150の各構成要素の動作を制御することによって実行される。撮像部150は、図4に示される駆動方法によって、放射線が照射されない状態で、補正用画像データを生成するための複数の蓄積画像を生成する。また、図5に示される駆動方法によって、放射線の照射中に、複数のフレームで撮像された画像で構成される動画撮像を行う。ここで、蓄積画像とは各画素から読み出された蓄積信号に基づいて生成される画像のことを呼ぶ。
図4、5において、「SYNC」〜「WIDE」で示される行は、それぞれの信号のレベルを示す。「CS1」、「CS2」、「CS3」で示される行は、容量素子CS1、CS2、CS3にそれぞれ保持されている信号を示す。「Es1」、「Es2」、「Es3」で示される行は、垂直走査回路403および水平走査回路404によって構成される読出部が、画素アレイ120から信号読出部20へ信号を読み出す期間を示す。パネル制御部109は、「Es1」〜「Es3」がハイレベルの間に、読出部に信号の読出し動作を実行させる。「AMP−」で示される行は、信号増幅部107の反転入力端子AMP−に信号が入力される期間を示し、「AMP+」で示される行は、信号増幅部107の非反転入力端子AMP+に信号が入力される期間を示す。また、読出動作の期間Rは、信号増幅部107の出力端子から信号が出力される期間を示す。「AMP−」及び「AMP+」で示される行は、いずれもハイレベルが信号の入力期間を示す。
図4は、画素Pの変換部CPおよび増幅部APのリセットを行った後に、蓄積期間Tの間、放射線が照射されない状態で、電荷(暗電荷)を蓄積し、蓄積された蓄積信号を非破壊で複数回にわたって読み出す駆動方法の一例を示すタイムチャートである。保持部SHは、この放射線が照射されない状態の1回の撮像で変換部CPによって生成された暗電流などに起因する電荷(暗電荷)に応じた蓄積信号を保持する。信号処理部101は、保持部SHが暗電荷の蓄積信号を保持した状態で、保持部SHから非破壊で複数回にわたって読み出された複数の蓄積信号に基づいて補正用画像データを生成する。ここで、放射線が照射されない状態で保持部SHに保持される蓄積信号のことを、「第1の信号」と呼ぶ場合がある。図4では、付加容量Cfd’を付加しない撮像モードの例を説明する。また、図4の蓄積期間Tは、図5に示される動画撮像における蓄積期間Tと同じ期間(長さ)に設定された例を示す。
図4に示される駆動が行われる前に、ユーザによって撮像モードが設定される。具体的には、画素Pの感度が、感度切替用の付加容量Cfd’を付加しないFD容量Cfdのみの高感度での撮像モードが設定され、パネル制御部109は、制御信号WIDEを非活性化する。
フレーム期間Fは、変換部CPにおいて電荷を1回、蓄積した撮像を行う期間のことである。蓄積期間Tは、フレーム期間Fに対する電荷の蓄積期間を示す。蓄積期間Tとは、電荷がフォトダイオードPDに蓄積される期間のことである。
パネル制御部109は、SYNC信号におけるパルスの立ち上がりを検出すると、リセット画像を生成するための駆動を開始する。SYNC信号は外部同期信号と内部同期信号とのどちらでも構わないが、本実施形態では外部同期信号とする。
まず、駆動SRSDについて説明する。パネル制御部109は、以下に説明する駆動SRSDを撮像パネル105に含まれるすべての画素Pに対して一括して行う。駆動SRSDは、サンプルホールド駆動およびリセット駆動のことである。サンプルホールド駆動は、画素信号を保持部SHに保持するためのサンプルホールドを行う駆動のことである。また、リセット駆動は、変換部CPおよび増幅部APのリセットを行う駆動のことである。
パネル制御部109は、SYNC信号におけるパルスの立ち上がりを検出すると、フレーム期間Fで蓄積画像を生成するための駆動を開始する。
まず、パネル制御部109は、イネーブル信号ENを活性化する。これによって、変換部CPからの電圧を増幅した電圧が増幅トランジスタM4から出力される。また、増幅トランジスタM4からの電圧を増幅した電圧が増幅トランジスタM7から出力される。
パネル制御部109は、次に制御信号TS1を一時的に活性化する。これによって、蓄積信号S1が、保持部SH1の保持容量CS1に転送され保持されるが、最初の駆動SRSDで取得した蓄積信号S1は、信号処理部101などで処理に用いられない。
次に、パネル制御部109は、リセット信号PRESを活性化する。これによって、フォトダイオードPDに所定の電位であるリセット電圧VRESが供給され、フォトダイオードPDの電荷がリセットされる。その結果、リセット時の変換部CPからの電圧がクランプ容量Cclのノードn1に入力される。パネル制御部109は、次にクランプ信号PCLを活性化する。これによって、所定の電位であるクランプ電圧VCLがクランプ容量Cclのノードn2に入力される。
次いで、パネル制御部109は、クランプ信号PCLを非活性化するまでの間に制御信号TS2、TS3を一時的に活性化する。これによって、リセット信号S2、S3が保持部SH2、3の保持容量CS2、CS3に転送され保持される(すなわち、リセット信号のサンプリングが行われる)。
パネル制御部109は、制御信号TS2、TS3を一時的に活性化している間に、リセット信号PRESを非活性化する。これによって、リセットトランジスタM2が非導通状態になる。パネル制御部109は、制御信号TS2、TS3を非活性化後にクランプ信号PCLを非活性化する。これによって、リセットトランジスタM5が非導通状態になり、ノードn1とノードn2との間で生じた電位差が、クランプ容量Cclの両端子に保たれ、電荷が光電変換素子PDに蓄積される蓄積期間Tが始まる。パネル制御部109は、クランプ信号PCLを非活性化にした後、イネーブル信号ENを非活性化する。これで、フレーム期間Fにおける駆動SRSDを終了する。
フレーム期間Fで最初にサンプリングされ保持容量CS1に保持されている蓄積信号S1は、上述のように不要である。このため、画素信号(蓄積信号S1およびリセット信号S2、S3)の読み出しは行わない。パネル制御部109は、撮像を開始してから2番目のSYNC信号におけるパルスの立ち上がりを検出すると再度駆動SRSDを行い、フレーム期間Fの蓄積期間Tで蓄積・保持された画像信号の読み出しを行う。
蓄積信号S1を読み出す動作について説明する。本実施形態において、信号読出部20は、蓄積信号S1の保持開始から所定時間を経過後に蓄積信号S1およびリセット信号S3の読出しを開始する。フレーム期間Fが終了した後の駆動SRSDの終了時点で、保持部SH1の保持容量CS1にフレーム期間Fの蓄積期間Tの間で放射線が照射されていない状態の1回の撮像(蓄積)で変換部CPによって生成された電荷に応じた蓄積信号S1が、保持されている。このフレーム期間Fが終了した後に行われる駆動SRSDによってサンプリングされ、保持部SH1の保持容量CS1に保持されている蓄積信号S1が、上述の第1の信号に相当する。同様に、保持部SH2、3の保持容量CS2、CS3に、所定の電位であるクランプ電圧VCLに応じたリセット信号S2、S3が保持されている。そこで、パネル制御部109は、駆動SRSD終了から所定時間が経過後に、これらの保持容量SH1および保持容量SH3に保持された蓄積信号S1およびリセット信号S3の読み出しを開始する。具体的に、パネル制御部109は、セレクト端子Ecs及び制御信号TRO1を活性化するとともに、制御信号TRO2を不活性化する。続いて、パネル制御部109は、垂直走査回路403および水平走査回路404を制御することによって、画素アレイ120に含まれる複数の画素Pのうちの1つを選択する。これによって、選択された画素Pに保持された蓄積信号S1が信号増幅部107の反転入力端子AMP−に入力され、選択された画素Pに保持されたリセット信号S3が信号増幅部107の非反転入力端子AMP+に入力される。このように、信号読出部20は、蓄積信号S1およびリセット信号S3を同じタイミングで読み出す。
パネル制御部109は、保持部SH1および保持部SH3に保持された蓄積信号S1およびリセット信号S3を、画素アレイ120内部の2系統の画素信号の信号経路(差動信号経路)を経て読み出し、信号増幅部107に出力する。画素アレイ120からの出力を受けた信号増幅部107は、蓄積信号S1およびリセット信号S3の差分を取って得られる信号を出力する。信号増幅部107出力信号は、差動入力によって2系統の信号経路のオフセットが補正された画素信号に相当する。
信号増幅部107から出力された信号は、AD変換部108によってデジタルデータに変換され、パネル制御部109に供給される。パネル制御部109は、垂直走査回路403及び水平走査回路404を制御することによって選択画素を順次切り替え、期間Rで画像を生成するためのデジタルデータを取得し、フレーム期間Fに対応する蓄積画像を生成する。このように、各画素から読み出された蓄積信号に基づいて生成された画像を蓄積画像と呼ぶ。ここで、パネル制御部109は、蓄積期間Tで1回の撮像で蓄積した蓄積信号に対して期間Rの非破壊読み出しを複数回にわたって繰り返すことによって複数の蓄積画像を取得する。
図4に示される処理は、上述のように撮像部150に放射線が照射されていない状態で行われる。ここで、放射線が照射されない状態で生成された蓄積画像を暗画像と呼ぶ。撮像部150に放射線が照射されていない状態であっても、フォトダイオードPDでの暗電流の発生など、固定パターンノイズ(FPN)の原因となる。また、画素アレイ120内部の画素信号の信号経路には、信号線の他に増幅トランジスタや定電流源、スイッチなどの半導体素子が含まれ、個々の半導体素子起因によって、それぞれ異なる1/fノイズが発生する。この1/fノイズは、周波数が下がるほど大きい。信号読出部20を構成する信号増幅部107およびAD変換部108の半導体も1/fノイズ成分を含む。すなわち、生成される信号には、画素アレイ120内部の信号経路のノイズに、信号読出部20のノイズ成分が重畳されている。
上述では、蓄積信号S1とリセット信号S3とが、差動で伝送される。しかしながら、それぞれが伝送される伝送経路の半導体素子には固有のオフセット、1/fノイズが存在する。この、差動信号間の固有のノイズの差は生成される画像に重畳され、固有のアーチファクト、ランダムノイズ、縦線ノイズ、ブロック状アーチファクトとして画像に現れる。固有のオフセットは、撮像前にあらかじめ取得した暗画像から生成した補正用画像データを用いて、放射線を照射中に撮像部150で撮像された放射線画像データを補正することによってアーチファクトを抑制することが可能である。
時間変動する半導体素子の1/fノイズを良好に補正するために、暗画像は撮像を開始する直前に生成することが考えられる。しかし、撮像モードが数種類に限定されていたとしても、電荷を蓄積させる蓄積期間Tを含む暗画像の生成には時間を要し、特に撮像の直前に補正用画像データを生成する場合、撮像開始までタイムラグが発生する。
また、1/fノイズに代表される低周波ノイズが画像に及ぼす影響は、半導体素子が使用される回路の場所で異なる。例えば、画素アレイ120の画素Pの出力部OPの信号増幅トランジスタM10、M13、M16の低周波ノイズは、ランダムノイズとして画像に影響する。画素アレイ120の列信号線406〜408の画素信号の増幅に用いられる定電流源CCSp、増幅トランジスタAvおよび定電流源CCSvの低周波ノイズは、縦線ノイズとして画像に影響する。また、アナログ信号線409〜411の画素信号の増幅に用いられる増幅トランジスタAoutおよび定電流源CCSout、信号増幅部107およびAD変換部108の低周波ノイズは、画素アレイ全領域にノイズが重畳される。この増幅トランジスタAout、定電流源CCSout、信号増幅部107、AD変換部108に起因する低周波ノイズは、ブロック状アーチファクトとして画像に影響する。特に、大面積フラットパネルセンサを使用した3D撮像において、縦線ノイズ、ブロック状アーチファクトは3Dの再構成画像にリングアーチファクトを発生させ、ランダムノイズ以上に画像に影響を及ぼすことが知られている。
本実施形態では、放射線撮像前に1回の撮像で取得した蓄積信号が、非破壊で複数回にわたって読み出され、信号処理部101は、この複数の蓄積信号に基づいて補正用画像データを生成する。より具体的には、信号処理部101は、得られた複数の暗画像から補正用画像データを生成する。そして、信号処理部101は、放射線の照射中に撮像部150によって撮像された放射線画像データを、補正用画像データを用いて補正し、フレームごとの放射線画像を生成する。これによって、撮像開始時のタイムラグを抑制しつつ、1/fノイズに起因して発生する縦線ノイズ、ブロック状アーチファクトを補正可能である。
次いで、放射線を照射して撮像する放射線画像データの取得について説明する。図5は、蓄積期間Tを、それぞれのフレーム期間Fのなかで最大にし、動画像を撮像する駆動方法の一例を示すタイムチャートである。図5の駆動方法において、フレームレート一定であり、付加容量Cfd’を付加しない撮像モードが設定された場合について説明する。
フレーム期間F1〜F5は、撮像開始後の1番目〜5番目のフレーム期間を示す。フレーム期間とは、1つの放射線画像を生成するために反復される期間のことである。蓄積期間Tは、フレーム期間F1〜F5に対応する蓄積期間を示す。蓄積期間とは、放射線の照射に応じて発生する電荷がフォトダイオードPDに蓄積される期間のことである。蓄積期間Tの間、パネル制御部109は、放射線の照射が可能であることを信号処理部101に照射許可信号114を介して通知する。
撮像前に撮像モードが設定される。具体的に、画素Pの感度が、感度切り替え用の付加容量Cfd’を付加しないFD容量Cfdのみの撮像モードであるので、図4のタイムチャートと同様にパネル制御部109によって、制御信号WIDEは非活性化されている。例えば、撮像前に撮像モードが設定され、図4に示す補正用画像データを生成する動作が行われたのち、連続してこれから説明する図5に示す動画像を撮像する動作が行われてもよい。
パネル制御部109は、同期信号SYNCのパルスの立ち上がりを検出すると、フレーム期間F1で放射線画像を生成するための駆動を開始する。SYNC信号におけるパルスの立ち上がりによって1つのフレーム期間F1が始まり、次の立ち上がりによってこのフレーム期間F1が終わり、次のフレーム期間F2が始まる。
フレーム期間F1における駆動SRSDについて説明する。駆動に関して図4を用いた説明と重複する説明は省略する。パネル制御部109は、以下に説明する駆動SRSDを撮像パネル105に含まれるすべての画素Pに対して一括して行う。駆動SRSDは、フレーム期間F1〜F5に実行されるサンプルホールド駆動およびリセット駆動を示す。駆動SRSDを行うことによって、保持部SH1〜SH3の保持容量CS1〜CS3に信号が保持されるが、フレーム期間F1では有効な蓄積信号が保持容量CS1に保持されていないため画素信号の読み出しは行わない。
パネル制御部109は、次のSYNC信号におけるパルスの立ち上がりを検出すると、フレーム期間F2で放射線画像を生成するための駆動を開始する。フレーム期間F2においてもフレーム期間F1と同様に駆動SRSDが行われる。
まず、パネル制御部109は、イネーブル信号ENを活性化し、次に制御信号TS1を一時的に活性化する。これによって、転送トランジスタM8が非導通状態から導通状態に切り替わり、フレーム期間F1内で開始された蓄積期間Tで蓄積された蓄積信号S1が、保持部SH1の保持容量CS1に転送され保持される(すなわち、蓄積信号S1のサンプリングが行われる)。
次に、パネル制御部109は、フレーム期間F1と同様に順次リセット信号PRES、クランプ信号PCLを活性化する。次に、パネル制御部109は、制御信号TS2、TS3を一時的に活性化し、リセット信号S2、S3を保持容量CS2、CS3に保持する。
次いで、パネル制御部109は、順次リセット信号PRES、クランプ信号PCLを非活性化する。クランプ信号PCLの非活性化によりフレーム期間F2の蓄積期間Tが始まる。その後、パネル制御部109は、イネーブル信号ENを非活性化し、フレーム期間F2における駆動SRSDを終了する。
フレーム期間F2の期間Tcにおいて、蓄積信号S1およびリセット信号S3を読み出す動作について説明する。本実施形態において、信号読出部20は、蓄積信号S1の保持開始から所定時間を経過後、蓄積信号S1およびリセット信号S3の読出しを開始する。フレーム期間F2の駆動SRSD終了時点で、保持部SH1の保持容量CS1にフレーム期間F1の蓄積信号S1が、保持部SH2、3の保持容量CS2、CS3に、所定の電位であるクランプ電圧VCLによるリセット信号S2、S3が保持されている。そこで、パネル制御部109は、駆動SRSD終了から所定時間が経過後に、これらの保持容量CS1、保持容量CS3に保持された蓄積信号S1、リセット信号S3の読出しを開始する。具体的に、パネル制御部109は、セレクト端子Ecsおよび制御信号TRO1を活性化するとともに、制御信号TRO2を不活性化する。続いて、パネル制御部109は、垂直走査回路403および水平走査回路404を制御することによって、画素アレイ120に含まれる複数の画素Pのうちの1つを選択する。これによって、選択された画素Pに保持された蓄積信号S1が、信号増幅部107の反転入力端子AMP−に入力され、選択された画素Pに保持されたリセット信号S3が、信号増幅部107の非反転入力端子AMP+に入力される。このように、信号読出部20は、蓄積信号S1およびリセット信号S3を同じタイミングで読み出す。
パネル制御部109は、保持された蓄積信号S1およびリセット信号S3を、画素アレイ120内部の2系統の画素信号の信号経路(差動信号経路)を経て読み出し、信号増幅部107に出力する。画素アレイ120からの出力を受けた信号増幅部107は、蓄積信号S1およびリセット信号S3の差分をとって得られる信号を出力する。信号増幅部107から出力される信号は、差動入力により2系統の信号経路のオフセットが補正された画素信号に相当するが、2系統の信号経路に含まれるノイズの差分は残る。
この信号増幅部107から出力される信号は、AD変換部108によってデジタルデータに変換され、パネル制御部109に供給される。パネル制御部109は、垂直走査回路403および水平走査回路404を制御することによって選択する画素Pを順次切り替え、期間Rで画像を生成するための放射線画像データを取得し、フレーム期間F1に対応する蓄積画像を生成する。
続いて、フレーム期間F3以降のフレーム期間においても同様の駆動SRSDが行われる。駆動SRSDによりひとつ前のフレーム期間の蓄積信号S1が保持容量CS1に、リセット信号S2、S3が保持容量CS2、CS3にそれぞれ転送され保持される。駆動SRSDが終了すると、パネル制御部109は、選択する画素Pを順次切り替え、期間Rで画像を生成するための放射線画像データを取得し、ひとつ前のフレーム期間に対応する蓄積画像を生成する。
続いて、図6、7を参照して補正用画像データおよび放射線画像の生成方法について説明する。まず、図6を用いて放射線が照射されない状態で行われる補正用画像データを生成するための動作を説明する。図6の動作は、上述のように放射線を照射した撮像を開始する前に実行される。
ステップS101において、信号処理部101は、撮像部150のパネル制御部109に制御用インターフェース110を通して制御コマンドを発行し、撮像モードを設定する。次いで、ステップS102において、信号処理部101は、信号処理部101内部の撮像カウンタnを0にリセットし、補正用画像データの元となる蓄積画像の生成処理を開始する。
次に、ステップS103において、信号処理部101は、同期信号113を通して同期信号パルスSYNCをパネル制御部109に出力する。補正用画像データは、上述のように暗画像に基づいて生成されるので、放射線発生装置104は放射線の照射を行わない。信号処理部101は、同期信号パルスSYNCの出力後、ステップS104において、撮像カウンタnのインクリメントを行う。
ステップS105において、パネル制御部109は、同期信号113経由で同期信号パルスSYNCを受けると、図4に示したタイムチャートに従って撮像パネル105および信号読出部20を駆動する。パネル制御部109は、それぞれの画素Pに保持された蓄積信号S1およびリセット信号S3の差分をAD変換させ、画像データインターフェース111を通して、画素データとして信号処理部101に転送する。信号処理部101は転送されてくる画素データに基づいて蓄積画像(暗画像)を生成する。信号処理部101は第n暗画像を、図3に示す放射線撮像装置100の記憶部115に記憶する。図3では、信号処理部101と記憶部115とが、別々の構成として示されているが、信号処理部101が記憶部115を包含する構成を有していてもよい。
次いで、ステップS106において、信号処理部101は、撮像モードの設定において設定された既定の枚数Nの暗画像が得られたかを判定する。規定枚数Nを取得できた場合(ステップS106で「Yes」)、信号処理部101は、処理をステップS107に進める。規定枚数Nを取得できていない場合(ステップS106で「No」)、信号処理部101は、処理をステップS104に戻す。
規定枚数Nの暗画像の取得が完了した場合、ステップS107において信号処理部101は、N枚の暗画像を加算平均することによって1つの画像を生成し、この画像を補正用画像データとして記憶部115に記憶する。
次いで、ステップS108において、信号処理部101は、放射線撮像システムSYSが撮像に使用する撮像モードの種類だけ、補正用画像データの取得が完了したかを判定する。必要な種類の補正用画像データの取得が完了していない場合(ステップS108で「No」)、信号処理部101は、処理をステップS101に戻し、必要な種類だけ補正用画像データを生成する。必要な種類の補正用画像データの取得が完了した場合(ステップS108で「Yes」)、信号処理部101は、補正用画像データを生成するための処理を終了する。
続いて、図7を参照して放射線を照射して撮像される放射線画像を生成するための動作を説明する。図7に示す動作は、図6に示す補正用画像データの取得後に行われうる。また、上述の図5と同様に動画像を撮像する場合を例に説明する。
まず、ステップS201において、信号処理部101は、パネル制御部109に制御コマンドを発行し、撮像モードを設定する。次いで、ステップS202において、信号処理部101は、同期信号パルスSYNCをパネル制御部109に出力する。パネル制御部109は、同期信号パルスSYNCを受けると、図5に示したタイムチャートに従って撮像パネル105の駆動を開始し、ステップS201で設定された蓄積期間Tの間、照射許可信号114を信号処理部101に出力する。
次に、ステップS203において、信号処理部101は、蓄積期間Tの期間に合わせて放射線の照射が行われるように照射制御部103に制御信号を出力する。照射制御部103は、これに応じて放射線発生装置104を制御する。
ステップS204において、パネル制御部109はそれぞれの画素Pに保持された蓄積信号S1およびリセット信号S3の差分をAD変換させ、画像データインターフェース111を通して、画素データとして信号処理部101に転送する。信号処理部101は、順次転送されてくる画素データに基づいて放射線画像データを生成する。
ステップS205において、信号処理部101は、放射線画像データからステップS107で記憶部115に記憶された補正用画像データを減算することによって、フレーム期間ごとの放射線画像を生成する。この処理において、信号処理部101は、記憶部115に記憶された複数の補正用画像データのうち放射線画像データが撮像された撮像モードに応じた補正用画像データを用いて補正する。具体的には、信号処理部101は、解像度や蓄積期間など、放射線画像を撮像したモードと同じ撮像モードの補正用画像データが選択する。
次に、ステップS206において、信号処理部101は、撮像モードに合わせてフレーム期間ごとの放射線画像を後工程に転送する。後工程では、転送されてきた放射線画像に対し、放射線画像撮像と並行してパイプライン方式でゲイン補正処理、尖鋭化処理などの画像処理が行われてもよい。放射線透視撮像などリアルタイムに放射線画像を観察する撮像であれば処理後の放射線画像が表示部102に転送され表示される。3D撮像など複数枚の放射線画像をもとに処理を行う撮像であれば、画像処理後の放射線画像は、一旦、記憶部115に記憶され、すべての放射線画像の撮像後に画像処理がされて、表示部102に表示されてもよい。
次いで、ステップS207において、信号処理部101は、撮像を終了するかどうかを、ユーザが操作する曝射スイッチ(不図示)や、撮像モードが設定された際にプログラムされた撮像予定枚数などを元に判定する。撮像を継続する場合(ステップS207で「No」)、信号処理部101は、ステップS208においてフレーム期間Fの時間経過を判定する。撮像が終了したと判定した場合(ステップS207で「Yes」)、信号処理部101は、ステップS209において、現在の撮像モードでの放射線画像の生成の終了を伝える制御コマンドを、制御用インターフェース110を通してパネル制御部109に伝える。パネル制御部109は、この制御コマンドに応答し、放射線画像の撮像を終了する。
また、ステップS208において、信号処理部101は、フレーム期間Fが経過したか否かを判定する。フレーム期間Fが経過していないと判定した場合(ステップS208で「No」)、信号処理部101は、処理をステップS207に戻す。フレーム期間が経過したと判定した場合(ステップS208で「Yes」)、信号処理部101は、処理をステップS202に戻し、次の放射線画像の撮像を行う。
このように、本実施形態において、保持部SHは、放射線が照射されない状態の1回の撮像(蓄積)で変換部CPによって変換された電荷に応じた蓄積信号を保持する。また、信号処理部101は、保持部SHが蓄積信号S1を保持した状態で、保持部SHから非破壊で複数回にわたって読み出された複数の蓄積信号S1に基づいて補正用画像データを生成する。蓄積期間Tを伴う撮像を1回だけ行い、蓄積信号S1を複数回読み出すことによって、撮像と蓄積信号の読み出しとを繰り返す場合と比較して、短時間で補正用画像データを取得することが可能となる。
本実施形態では、1回の撮像で、蓄積信号S1とリセット信号S3とを取得し差動増幅する例を示したが、蓄積信号S1だけを取得する撮像装置においても、上述の補正用画像データを生成するための制御が適用可能である。また、上述の構成において、保持部SHは、3つの保持容量CS1〜CS3(保持部SH1〜SH3)を備える。しかしながら、上述の動作において取得する信号は、1つの蓄積信号と1つのリセット信号とのみのため、保持部SHは、2つの保持容量CS1、CS2(保持部SH1、SH2)のみを備える構成であってもよい。この場合、出力部OPも出力部OP1、OP2のみを備える構成でありうる。また、本実施形態において、放射線を照射した撮像において動画像の撮像を行う例を示したが、静止画像の撮像を行ってもよい。
第2の実施形態
図8〜11を参照して、本発明の第2の実施形態による放射線撮像装置の制御方法(駆動方法)について説明する。放射線撮像装置100および放射線撮像システムSYSの各構成については、上述の第1の実施形態と同様であってもよいため、ここでは説明を省略し、第1の実施形態と第2の実施形態との相違点を中心に説明する。
本実施形態において、2種類の感度で信号を読み出す撮像モードが設定された場合について説明する。読み出された信号から生成される2種類の感度の放射線画像は、例えば、ダイナミックレンジを拡張するための合成用の放射線画像として使用されうる。図8、9は、2種類の感度で信号を読み出す際のタイミングチャートである。撮像部150は、図8に示される駆動方法によって、放射線が照射されない状態で、補正用画像データを生成するための複数の蓄積画像(暗画像)を生成する。また、図9に示される駆動方法によって、放射線の照射中に、複数のフレームで撮像された放射線画像で構成される動画撮像を行う。
図8は、画素Pの変換部CPおよび増幅部APのリセットを行った後に、放射線が照射されない状態で、蓄積期間Tの間、電荷(暗電荷)を蓄積する。その後、蓄積信号を2種類の感度で保持部SHにサンプリングし、保持部SHに保持された蓄積信号を非破壊で複数回にわたって読み出す場合の駆動方法の一例を示すタイムチャートである。
まず、フレーム期間Fにおける駆動SRSDについて説明する。撮像を開始する前に撮像モードが設定され、パネル制御部109は、SYNC信号におけるパルスの立ち上がりを検出すると、フレーム期間Fでフレーム画像を生成するための駆動を開始する。まず、パネル制御部109は、イネーブル信号ENを活性化する。
パネル制御部109は、次に、感度切り替え用の制御信号WIDEを非活性化のまま、制御信号TS1を一時的に活性化する。これによって、FD容量Cfdに生じた電圧に応じた信号(高感度信号)が、蓄積信号S1として保持部SH1の保持容量CS1に転送され保持される。次に、パネル制御部109は、感度切り替え用の制御信号WIDEと制御信号TS2とを活性化する。WIDE信号が活性化されることによって、トランジスタM1が導通状態になり、変換部CPの容量はFD容量Cfdと容量Cfd’との合成容量となる。結果として、変換部CPの出力は、フォトダイオードPDで発生した電荷によってFD容量Cfdと容量Cfd’との合成容量に生じた電圧となる。次に、パネル制御部109は、感度切り替え用の制御信号WIDEを非活性化する。トランジスタM1が非導通状態になり、変換部CPの容量はFD容量Cfdとなるが変換部CPの出力は維持される。次いで、パネル制御部109は、制御信号TS2を非活性化する。これによって、フォトダイオードPDで発生した電荷によってFD容量Cfdと容量Cfd’との合成容量に生じた電圧に応じた信号(低感度信号)が、蓄積信号S2として保持部SH2の保持容量CS2に転送され保持される。ここで、撮像の最初の駆動SRSDで取得された蓄積信号S1、蓄積信号S2は、上述の第1の実施形態と同様に画像の生成に用いない信号である。
次いで、パネル制御部109は、リセット信号PRESを活性化し、制御信号WIDEを活性化する。これによって、フォトダイオードPDに所定の電位であるリセット電圧VRESが供給され、フォトダイオードPDの電荷、FD容量Cfd、付加容量Cfd’がリセットされる。その結果、リセット時の変換部CPからの電圧がクランプ容量Cclのノードn1に入力される。次に、パネル制御部109は、感度切り替え用制御信号WIDEを非活性化する。トランジスタM1が非導通状態になり、変換部CPの容量はFD容量Cfdとなる。
次にパネル制御部109は、クランプ信号PCLを活性化する。これによって、所定の電位であるクランプ電圧VCLがクランプ容量Cclのノードn2に入力される。クランプ電圧VCLがノードn2に入力されたのち、パネル制御部109は、リセット信号PRESを非活性化する。これによって、リセットトランジスタM2が非導通状態になる。次に、パネル制御部109は、クランプ信号PCLを非活性化するまでの間に制御信号TS3を一時的に活性化する。これによって、リセット信号S3が保持部SH3の保持容量CS3に転送され保持される。
パネル制御部109は、制御信号TS3を非活性化後にクランプ信号PCLを非活性化する。これによって、リセットトランジスタM5が非導通状態になり、ノードn1とノードn2との間で生じた電位差がクランプ容量Cclの両端子に保たれ、放射線が照射されない状態で、電荷が光電変換素子PDに蓄積される蓄積期間Tが始まる。パネル制御部109は、クランプ信号PCLを非活性化にした後、イネーブル信号ENを非活性化する。これによって、フレーム期間Fにおける駆動SRSDを終了する。期間Fでは有効な蓄積信号が保持容量CS1及び保持容量CS2に保持されていないため画素信号の読み出しは行わない。
パネル制御部109は、SYNC信号における次のパルスの立ち上がりを検出すると、蓄積画像を生成するためにフレーム期間Fと同様に駆動SRSDが行われる。この駆動SRSDによって、フレーム期間Fの蓄積期間TにフォトダイオードPDに発生した電荷に応じたFD容量Cfdの電圧に応じた信号が、蓄積信号S1として保持部SH1の保持容量CS1に転送され保持される。次いで、WIDE信号が活性化されることによってトランジスタM1が導通状態になり、フォトダイオードPDに発生した電荷に応じたFD容量Cfdと容量Cfd’との合成容量の電圧に応じた信号が、蓄積信号S2として保持容量CS2に転送され保持される。さらに、リセット部RPが変換部CPおよび増幅部APをリセットした際の増幅部APの電荷に応じたリセット信号が、リセット信号S3として保持部SH3の保持容量CS3に転送され保持される。このフレーム期間Fが終了した後に行われる駆動SRSDによってサンプリングされ、保持部SH1の保持容量CS1に保持されている蓄積信号S1が、第1の信号に相当する。また、保持部SH2の保持容量CS2に保持されている蓄積信号S2のことを「第2の信号」と呼ぶ場合がある。
次いで、放射線が照射されない状態で、フレーム期間Fの蓄積期間Tで蓄積された電荷(暗電荷)に応じた蓄積信号S1、蓄積信号S2を読み出す動作について説明する。信号読出部20は、信号の保持完了から所定時間を経過後に蓄積信号S1、蓄積信号S2およびリセット信号S3の読出しを開始する。具体的には、まず、パネル制御部109は、セレクト端子Ecsを活性化する。次に、パネル制御部109は、制御信号TRO1を活性化して制御信号TRO2を不活性化する。これによって蓄積信号S1が選択される。続いて、パネル制御部109は、垂直走査回路403及び水平走査回路404を制御することによって、画素アレイ120に含まれる複数の画素Pのうちの最初に読み出す画素を選択する。これによって、最初の画素Pの蓄積信号S1が信号増幅部107の反転入力端子AMP−に入力され、リセット信号S3が信号増幅部107の非反転入力端子AMP+に入力される。このように、信号読出部20は、蓄積信号S1とリセット信号S3の差分を同じタイミングで読み出す。
パネル制御部109は、水平走査回路404を制御することによって選択する画素Pを順次切り替え、1行分の画素データを蓄積信号S1とリセット信号S3との差分として読み出す。次に、パネル制御部109は、制御信号TRO1を非活性化して制御信号TRO2を活性化する。これによって蓄積信号S2が選択される。パネル制御部109は、水平走査回路404を制御することによって選択する画素Pを順次切り替え、1行分の画素データを蓄積信号S2とリセット信号S3の差分として読み出す。すなわち、1行を2回走査し、最初の走査で蓄積信号S1とリセット信号S3との差分を読み出し、2回目の走査で蓄積信号S2とリセット信号S3との差分を読み出す。
パネル制御部109は、垂直走査回路403及び水平走査回路404を制御しながら、制御信号TRO1と制御信号TRO2とを1走査ごとに切り替えることによって、読出期間Rで2種類の画像を生成するための画素データを生成する。パネル制御部109は、保持容量CS1に保持された蓄積信号S1に基づく高感度の蓄積画像と、保持容量CS2に保持された蓄積信号S2に基づく低感度の蓄積画像とを生成する。パネル制御部109は、蓄積期間Tで一度蓄積した蓄積信号に対して、非破壊で期間Rの読み出しを複数回にわたって行う。これによって、それぞれ補正用画像データを生成するための複数の高感度の蓄積画像と複数の低感度の蓄積画像とを取得する。信号処理部101は、複数の高感度の蓄積画像と複数の低感度の蓄積画像とを用いて、高感度撮像を行う撮像モードで用いる補正用画像データ、低感度撮像を行う撮像モードで用いる補正用画像データをそれぞれ生成する。
次に、放射線を照射して撮像する放射線画像の取得について説明する。図9は、蓄積期間Tを、それぞれのフレーム期間Fのなかで最大にし、動画像を撮像する駆動方法の一例を示すタイムチャートである。図9の駆動方法において、フレームレート一定であり、付加容量Cfd’が付加されない高感度での撮像と、付加容量Cfd’が付加された低感度での撮像との2種類の感度での撮像が行われる撮像モードが設定された場合について説明する。
フレーム期間F1〜F5は、撮像の開始から1番目〜5番目のフレーム期間を示す。まず、フレーム期間F1における駆動SRSDについて説明する。撮像モードが設定された後、パネル制御部109は、SYNC信号におけるパルスの立ち上がりを検出すると、フレーム期間F1でフレーム画像を生成するための駆動を開始する。フレーム期間F1においても、図8で説明したフレーム期間Fと同様に駆動SRSDが行われる。
駆動SRSDにおける制御信号TS1の一時的な活性化によって、FD容量Cfdに生じる電圧に応じた信号が、蓄積信号S1として保持部SH1の保持容量CS1に転送され保持される。次いで、制御信号TS2の一時的な活性化によって、FD容量Cfdと容量Cfd’との合成容量の電圧に応じた信号が、蓄積信号S2として保持部SH2の保持容量CS2に転送され保持される。さらに、制御信号TS3の一時的な活性化によって、リセット部RPが変換部CPおよび増幅部APをリセットした際の増幅部APの電荷に応じたリセット信号が、保持部SH3の保持容量CS3に転送され保持される。ここで、撮像の最初の駆動SRSDで取得される、蓄積信号S1、蓄積信号S2は、上述と同様に放射線画像の生成に用いない信号である。
パネル制御部109は、次のSYNC信号におけるパルスの立ち上がりを検出すると、フレーム期間F2でフレーム画像を生成するための駆動を開始する。フレーム期間F2においてもフレーム期間F1と同様に駆動SRSDが行われる。
フレーム期間F2の駆動SRSDによって、フレーム期間F1で、放射線の照射によってフォトダイオードPDに発生した電荷によってFD容量Cfdで生じた電圧に応じた信号(高感度信号)が、蓄積信号S1として保持容量CS1に転送され保持される。次いで、WIDE信号が活性化されることによってトランジスタM1が導通状態になる。これによって、フレーム期間F1の蓄積期間Tで発生した電荷によってFD容量Cfdと容量Cfd’との合成容量に生じた電圧に応じた信号(低感度信号)が、蓄積信号S2として保持容量CS2に転送され保持される。さらに、リセット部RPが変換部CPおよび増幅部APをリセットした際の増幅部APの電荷に応じたリセット信号が、リセット信号S3として保持容量CS3に転送され保持さる。ついで、フレーム期間F2における蓄積期間Tが開始される。
次に、フレーム期間F2の期間Tcにおいて、蓄積信号S1、蓄積信号S2およびリセット信号S3を読み出す動作について説明する。信号読出部20は、蓄積信号S1、蓄積信号S2およびリセット信号S3の保持完了から所定時間を経過後に蓄積信号S1、蓄積信号S2およびリセット信号S3の読出しを開始する。具体的には、まず、パネル制御部109は、セレクト端子Ecsを活性化する。次に、パネル制御部109は、制御信号TRO1を活性化して制御信号TRO2を不活性化する。これによって蓄積信号S1が選択される。続いて、パネル制御部109は、垂直走査回路403及び水平走査回路404を制御することによって、画素アレイ120に含まれる複数の画素Pのうちの最初に読み出す画素Pを選択する。これによって、最初に選択された画素Pの蓄積信号S1が、信号増幅部107の反転入力端子AMP−に入力され、また同じ画素Pのリセット信号S3が、信号増幅部107の非反転入力端子AMP+に入力される。このように、信号読出部20は、蓄積信号S1とリセット信号S3との差分を同じタイミングで読み出す。
パネル制御部109は、水平走査回路404を制御することによって選択される画素Pを順次切り替え、1行分の画素データを蓄積信号S1とリセット信号S3の差分として読み出す。次に、パネル制御部109は、制御信号TRO1を非活性化して制御信号TRO2を活性化する。これによって蓄積信号S2が選択される。パネル制御部109は、水平走査回路404を制御することによって選択される画素Pを順次切り替え、1行分の画素データを蓄積信号S2とリセット信号S3の差分として読み出す。すなわち、パネル制御部109は、1行を2回走査させ、最初の走査で蓄積信号S1とリセット信号S3の差分を、2回目の走査で蓄積信号S2とリセット信号S3の差分を読み出す。
パネル制御部109は、垂直走査回路403及び水平走査回路404を制御しながら、制御信号TRO1と制御信号TRO2とを1走査ごとに切り替えることによって、期間Rで2種類の感度で画像を生成するための画素データを取得する。パネル制御部109は、保持容量CS1に保持された蓄積信号S1に基づく高感度の蓄積画像(放射線画像)と、保持容量CS2に保持された蓄積信号S2に基づく低感度の蓄積画像(放射線画像)とを生成する。
続いて、フレーム期間F3以降のフレーム期間Fにおいても同様の駆動SRSDが行われる。駆動SRSDによって、ひとつ前のフレーム期間Fの蓄積信号が保持される。駆動SRSDが終了すると、パネル制御部109は、ひとつ前のフレーム期間Fに対応する蓄積画像を生成する。
続いて、図10、11を参照して補正用画像データおよび放射線画像の生成方法について説明する。図10は、放射線が照射されない状態で行われる補正用画像データを生成するための動作を説明する。図10の動作は、上述のように放射線を照射した撮像を開始する前に実行される。
図10のステップS101〜ステップS104の処理は、上述の第1の実施形態と同等である。ステップS105’において、パネル制御部109は、同期信号113経由で同期信号パルスSYNCを受けると、図8のタイムチャートに従って撮像パネル105および信号読出部20を駆動する。パネル制御部109は、それぞれの画素Pに保持された2種類の感度の蓄積信号S1、S2とリセット信号S3との差分をそれぞれAD変換し、画像データインターフェース111を通して、画素データとして信号処理部101に転送する。信号処理部101は、転送されてくる2種類の感度の画素データに基づいてそれぞれ蓄積画像(暗画像)を生成する。信号処理部101は、高感度および低感度での2種類の感度の第n暗画像をそれぞれ記憶部115に記憶させる。
次いで、ステップS106において、信号処理部101は、撮像モードの設定において設定された撮像モードで既定の枚数Nの暗画像が得られたかを判定する。規定枚数Nを取得できた場合(ステップS106で「Yes」)、信号処理部101は、処理をステップS107に進める。規定枚数Nを取得できていない場合(ステップS106で「No」)、信号処理部101は、処理をステップS104に戻す。
規定枚数Nの画像データの取得が完了した場合、ステップS107’において信号処理部101は、N枚の高感度の暗画像および低感度の暗画像をそれぞれ加算平均することによって高感度および低感度のそれぞれ1枚ずつの画像を生成する。信号処理部101は、これらの画像を高感度の補正用画像データおよび低感度の補正用画像データとしてそれぞれ記憶部115に記憶する。
次いで、ステップS108において、信号処理部101は、放射線撮像システムSYSが撮像に使用する撮像モードの種類だけ、補正用画像データの取得が完了したかを判定する。必要な種類の補正用画像データの取得が完了していない場合(ステップS108で「No」)、信号処理部101は、処理をステップS101に戻し、必要な種類だけ補正用画像データを生成する。必要な種類の補正用画像データの取得が完了した場合(ステップS108で「Yes」)、信号処理部101は、補正用画像データを生成するための処理を終了する。
続いて、図11を参照して放射線を照射して撮像される放射線画像を生成するための動作を説明する。図11に示す動作は、図10に示す補正用画像データの取得後に行われうる。
図11のステップS201〜ステップS203の処理は、上述の第1の実施形態と同等である。ステップS204’において、パネル制御部109は、それぞれの画素Pに保持された2種類の感度の蓄積信号S1、S2とリセット信号との差分をそれぞれAD変換し、画像データインターフェース111を通して、画素データとして信号処理部101に転送する。信号処理部101は、順次転送されてくる高感度および低感度の2種類の感度の画素データに基づいて高感度および低感度の放射線画像データを生成する。
ステップS205’において、信号処理部101は、高感度および低感度での放射線画像データから、ステップS107’で記憶部115に記憶された高感度および低感度の補正用画像データを減算する。これによって、高感度および低感度の2種類の感度での放射線画像が生成される。この処理において、信号処理部101は、記憶部115に記憶された複数の補正用画像データのうち放射線画像データが撮像された撮像モードに応じた補正用画像データを用いて補正する。
次に、ステップS206’において、信号処理部101は、撮像モードに合わせて高感度よび低感度の放射線画像をそれぞれ後工程に転送する。後工程では、転送されてきた2種類の感度の放射線画像に対し、放射線画像撮像と並行してパイプライン方式でゲイン補正処理、尖鋭化処理などの画像処理が行われる。放射線透視撮像などリアルタイムに画像を観察する撮像であれば処理後の画像が表示部102に転送され表示される。3D撮像など複数枚の画像をもとに処理を行うための撮像であれば、画像処理後のフレーム画像は、記憶部115に一旦、記憶されうる。図11のステップS207〜ステップS209の処理は第1実施形態と同等である。
このように、本実施形態においても、信号処理部101は、保持部SHが蓄積信号を保持した状態で、保持部SHから非破壊で複数回にわたって読み出された複数の蓄積信号S1、S2に基づいて補正用画像データを生成する。蓄積期間Tを伴う撮像を1回だけ行い、蓄積信号を複数回読み出すことによって、撮像と蓄積信号の読み出しとを繰り返す場合と比較して、短時間で補正用画像データを取得することが可能となる。また、本実施形態において、1つのフレーム期間Fにおいて、2種類の感度で補正用画像データおよび放射線画像データを取得することが可能となる。
第3の実施形態
図12、13を参照して、本発明の第3の実施形態による放射線撮像装置の制御方法(駆動方法)について説明する。放射線撮像装置100および放射線撮像システムSYSの各構成については、上述の第1の実施形態と同様であってもよいため、ここでは説明を省略する。本実施形態において、1回のリセット駆動の後、次のリセット駆動を行うまでの1回の撮像において、蓄積期間Tが異なる複数種類の蓄積信号を取得し、複数種類の暗画像を生成する場合について説明する。
図12は、1回の撮像で蓄積期間の異なる2種類の暗画像を生成する駆動方法の一例を示すタイムチャートである。図12において、説明の簡単化のため、付加容量Cfd’が付加されない撮像モードが設定された場合について説明する。しかしながら、上述の第2の実施形態のように、付加容量Cfd’を接続させることによって、感度を変化させた暗画像を生成してもよい。
まず、撮像を行う前に撮像モードが設定される。画素Pの感度が、付加容量Cfd’を付加しないFD容量Cfdのみの感度の撮像モードであるため、図4、5に示される第1の実施形態のタイムチャートと同様に、パネル制御部109によって、制御信号WIDEは非活性化されている。さらに、パネル制御部109は、撮像前に1回の撮像で蓄積期間Tの異なる2種類の暗画像を生成するための駆動を行うよう設定される。具体的には、最初の同期信号SYNCのパルスの立ち上がりを検出するとSRSD駆動が、2番目の同期信号SYNCのパルスの立ち上がりで駆動SD1が、3番目の同期信号SYNCのパルスの立ち上がりで駆動SD2が、それぞれ行われる。
駆動SRSDについて説明する。それぞれの駆動に関して、上述の第1の実施形態と重複する説明は適宜省略する。パネル制御部109は、以下に説明する駆動SRSDを撮像パネル105に含まれるすべての画素Pに対して一括して行う。駆動SRSDは、最初の同期信号SYNCにより実行されるサンプルホールド駆動およびリセット駆動を示す。
パネル制御部109は、放射線を照射せずに行われる撮像の最初の同期信号SYNCのパルスの立ち上がりを検出すると、SRSD駆動を開始する。駆動SRSDを行うことによって、保持部SH1の保持容量CS1に、蓄積信号が保持される。また、保持部SH2、3の保持容量CS2、3に、リセット信号が保持される。しかしながら、保持容量CS1に保持される蓄積信号は、上述の各実施形態と同様に不要であるため画素信号の読み出しは行われない。
信号処理部101は、暗電荷の蓄積期間が蓄積期間T1になるように、同期信号SYNCをパネル制御部109に出力する。パネル制御部109は、次のSYNC信号におけるパルスの立ち上がりを検出すると、蓄積期間T1で蓄積した蓄積信号を取得するための駆動SD1を開始する。
まず、パネル制御部109は、イネーブル信号ENを活性化し、次に制御信号TS1を一時的に活性化する。これによって、転送トランジスタM8が非導通状態から導通状態に切り替わり、蓄積期間T1の蓄積時間で蓄積された蓄積信号S1が、保持部SH1の保持容量CS1に転送され保持される(サンプリングされる)。その後、パネル制御部109は、イネーブル信号ENを非活性化し、駆動SD1を終了する。
駆動SD1終了時点で、保持容量CS1に蓄積期間T1の蓄積信号S1が、保持部SH2、3の保持容量CS2、3に所定の電位であるクランプ電圧VCLによるリセット信号S2、3が保持されている。そこで、パネル制御部109は、駆動SD1終了から所定時間が経過後、これらの保持容量CS1、3に保持された蓄積信号S1およびリセット信号S3の読出しを開始する。この駆動SD1によって、保持部SH1の保持容量CS1に保持されている蓄積信号S1を第1の信号と呼ぶ場合がある。蓄積期間T1で蓄積した信号に対して、非破壊で期間R読出動作を複数回にわたって繰り返すことによって複数の蓄積信号が取得される。
信号処理部101は、蓄積期間T1の複数の蓄積信号を取得すると、暗電荷の蓄積期間が蓄積期間T1よりも長い蓄積期間T2になるように、同期信号SYNCをパネル制御部109に出力する。パネル制御部109は、次のSYNC信号におけるパルスの立ち上がりを検出すると、蓄積期間T2で蓄積した暗画像を生成するための駆動SD2を開始する。
駆動SD2は、駆動SD1と同様の動作が行われる。駆動SD2終了時点で、保持容量CS1に蓄積期間T2の蓄積信号S1が、保持部SH2、3の保持容量CS2、3に所定の電位であるクランプ電圧VCLによるリセット信号S2、3が保持されている。この駆動SD2によって、保持部SH1の保持容量CS1に保持されている蓄積期間T1よりも長い蓄積期間T2でサンプリングされた蓄積信号S1のことを第2の信号と呼ぶ場合がある。パネル制御部109は、駆動SD2終了から所定時間が経過後に、これらの保持容量CS1、3に保持された蓄積信号S1およびリセット信号S3の読出しを開始する。蓄積期間T2で蓄積した信号に対して、非破壊で期間Rの読み出しを複数回にわたって繰り返すことによって複数の蓄積信号が取得される。
続いて、図13を参照して補正用画像データを生成するための動作を説明する。
ステップS301において、信号処理部101は、ユーザの設定に従って、放射線撮像装置100のパネル制御部109に制御用インターフェース110を通して制御コマンドを発行する。これによって、蓄積期間T1および蓄積期間T2の2種類の蓄積期間Tの異なる撮像モードが設定される。次いで、ステップS302において、信号処理部101は、信号処理部101内部の撮像カウンタnを0にリセットし、補正用画像データの元となる蓄積画像の生成処理を開始する。
次に、ステップS303において、信号処理部101は同期信号113を通して同期信号パルスSYNCをパネル制御部109に出力する。補正用画像データは、暗画像に基づいて生成されるので、放射線発生装置104は放射線の照射を行わない。信号処理部101は、ステップS304において、撮像カウンタnのインクリメントを行う。
ステップS305において、パネル制御部109は、同期信号113経由で同期信号パルスSYNCを受けると、図12に示したタイムチャートに従って撮像パネル105および信号読出部20を駆動する。パネル制御部109は、それぞれの画素Pに保持された蓄積期間T1の蓄積信号およびリセット信号をAD変換させ、画像データインターフェース111を通して、画素データとして信号処理部101に転送する。信号処理部101は転送されてくる画素データに基づいて蓄積期間T1の蓄積画像(暗画像)を生成する。信号処理部101は、蓄積期間T1の第n暗画像を記憶部115に記憶する。
次いで、ステップS306において、信号処理部101は、撮像モード設定において設定された撮像モードで既定の枚数Nの暗画像ができたかを判定する。規定枚数Nを取得できた場合(ステップS306で「Yes」)、信号処理部101は、処理をステップS307に進める。規定枚数Nを取得できていない場合(ステップS306で「No」)、信号処理部101は、処理をステップS304に戻す。
規定枚数Nの蓄積期間T1の暗画像の取得が完了した場合、ステップS307において、信号処理部101は、信号処理部101内部の撮像カウンタnを0にリセットを行い、補正用画像データの元となる蓄積期間T2の蓄積画像の生成処理を開始する。
ステップS308において、信号処理部101は、撮像カウンタnのインクリメントを行う。引き続き、補正用画像データは、暗画像に基づいて生成されるので、放射線発生装置104は放射線の照射を行わない。
ステップS309において、パネル制御部109は、同期信号113経由で同期信号パルスSYNCを受けると、図12に示したタイムチャートに従って撮像パネル105および信号読出部20を駆動する。パネル制御部109は、それぞれの画素Pに保持された蓄積期間T2の蓄積信号およびリセット信号をAD変換させ、画像データインターフェース111を通して、画素データとして信号処理部101に転送する。信号処理部101は転送されてくる画素データに基づいて蓄積期間T2の蓄積画像(暗画像)を生成する。信号処理部101は、蓄積期間T2の第n暗画像を記憶部115に記憶する。
次いで、ステップS310において、信号処理部101は、撮像モード設定において設定された撮像モードで既定の枚数Nの暗画像ができたかを判定する。規定枚数Nを取得できた場合(ステップS310で「Yes」)、信号処理部101は、処理をステップS311に進める。規定枚数Nを取得できていない場合(ステップS310で「No」)、信号処理部101は、処理をステップS308に戻す。
規定枚数Nの蓄積期間T2の暗画像の取得が完了した場合、ステップS311において信号処理部101は、蓄積期間T1およびT2それぞれN枚の暗画像を加算平均することによって、蓄積期間T1および蓄積期間T2のそれぞれ1枚ずつの画像を生成する。信号処理部101は、これらの画像を蓄積期間T1および蓄積期間T2の補正用画像データとしてそれぞれ記憶部115に記憶する。
次いで、ステップS312において、信号処理部101は、放射線撮像システムSYSが撮像に使用する撮像モードの種類だけ、補正用画像データの取得が完了したかを判定する。必要な種類の補正用画像データの取得が完了していない場合(ステップS312で「No」)、信号処理部101は、処理をステップS301に戻し、必要な種類だけ補正用画像データを生成する。必要な種類の補正用画像データの取得が完了した場合(ステップS312で「Yes」)、信号処理部101は、補正用画像データを生成するための処理を終了する。
以上のように1回のリセット駆動の後、次のリセット駆動を行う1回の撮像の間に2種類の撮像モードに対する補正用画像データ生成を行うことによって、補正用画像データの生成のさらなる効率化を実現できる。本実施形態において、2種類の補正用画像データを生成したが、これに限られることはない。例えば、蓄積期間T2の蓄積信号が非破壊で複数回にわたって読み出された後、蓄積期間T2よりも長い蓄積期間T3の蓄積信号が保持部SHにサンプリングされ、その後、非破壊で読み出されてもよい。さらに、4種類以上の蓄積期間Tの蓄積信号が読み出されてもよい。
第4の実施形態
図14、15を参照して、本発明の第4の実施形態による放射線撮像装置の制御方法(駆動方法)について説明する。上述の第3の実施形態においては、蓄積期間Tが異なる複数の暗画像の生成方法を示したが、蓄積期間T1と蓄積期間T2との差分が、複数回の読出動作を行う期間よりも短い場合、適用することができない。本実施形態において、蓄積期間T1と蓄積期間T2との差分が、複数回の読出動作を行う期間よりも短い場合であっても適用可能な駆動方法を説明する。放射線撮像装置100および放射線撮像システムSYSの各構成については、上述の各実施形態と同様であってもよいため、ここでは説明を省略する。
図14は、1回のリセット駆動の後、次のリセット駆動を行うまでの1回の撮像において、蓄積期間Tが異なる複数種類の暗画像を複数の保持容量CSを使用して取得する駆動方法の一例を示すタイムチャートである。図14において、説明の簡単化のため、付加容量Cfd’が付加されない撮像モードが設定された場合について説明する。
まず、撮像を行う前に撮像モードが設定される。画素Pの感度が、付加容量Cfd’を付加しないFD容量Cfdのみの感度の撮像モードであるため、図4、5に示される第1の実施形態のタイムチャートと同様に、パネル制御部109によって、制御信号WIDEは非活性化されている。さらに、パネル制御部109は、撮像前に1回の撮像で蓄積期間Tの異なる2種類の暗画像を生成するための駆動を行うよう設定される。具体的には、最初の同期信号SYNCのパルスの立ち上がりを検出するとSRSD駆動が、2番目の同期信号SYNCのパルスの立ち上がりで駆動SD1が、3番目の同期信号SYNCのパルスの立ち上がりで駆動SD2が、それぞれ行われる。
駆動SRSDについて説明する。それぞれの駆動に関して、上述の第1の実施形態と重複する説明は適宜省略する。パネル制御部109は、以下に説明する駆動SRSDを撮像パネル105に含まれるすべての画素Pに対して一括して行う。駆動SRSDは、最初の同期信号SYNCにより実行されるサンプルホールド駆動及びリセット駆動を示す。
パネル制御部109は、放射線を照射せずに行われる撮像の最初の同期信号SYNCのパルスの立ち上がりを検出すると、SRSD駆動を開始する。駆動SRSDを行うことによって、保持部SH1の保持容量CS1に、蓄積信号が保持される。また、保持部SH2、3の保持容量CS2、3に、リセット信号が保持される。しかしながら、保持容量CS1に保持される蓄積信号は、上述の各実施形態と同様に不要であるため画素信号の読み出しは行われない。
信号処理部101は、暗電荷の蓄積期間が蓄積期間T1になるように、同期信号SYNCをパネル制御部109に出力する。パネル制御部109は、次のSYNC信号におけるパルスの立ち上がりを検出すると、蓄積期間T1で蓄積した蓄積信号を取得するための駆動SD1を開始する。
まず、パネル制御部109は、イネーブル信号ENを活性化し、次に制御信号TS1を一時的に活性化する。これによって、転送トランジスタM8が非導通状態から導通状態に切り替わり、蓄積期間T1の蓄積時間で蓄積された蓄積信号S1が、保持部SH1の保持容量CS1に転送され保持される(サンプリングされる)。その後、パネル制御部109は、イネーブル信号ENを非活性化し、駆動SD1を終了する。
駆動SD1終了時点で、保持容量CS1に蓄積期間T1の蓄積信号S1が、保持部SH2、3の保持容量CS2、3に所定の電位であるクランプ電圧VCLによるリセット信号S2、3が保持されている。そこで、パネル制御部109は、駆動SD1終了から所定時間が経過後、これらの保持容量CS1、3に保持された蓄積信号S1およびリセット信号S3の読出しを開始する。この駆動SD1によって、保持部SH1の保持容量CS1に保持されている蓄積信号S1を第1の信号と呼ぶ場合がある。蓄積期間T1で蓄積した信号に対して、非破壊で期間R1の読出動作を複数回にわたって繰り返すことによって複数の蓄積信号S1が取得される。
信号処理部101は、蓄積期間T1の蓄積信号を取得すると、暗電荷の蓄積期間が蓄積期間T1よりも長い蓄積期間T2になるように、同期信号SYNCをパネル制御部109に出力する。パネル制御部109は、次のSYNC信号におけるパルスの立ち上がりを検出すると、蓄積期間T2で蓄積した暗画像を生成するための駆動SD2を開始する。
まず、パネル制御部109は、イネーブル信号ENを活性化し、次に制御信号TS2を一時的に活性化する。これによって、転送トランジスタM8が非導通状態から導通状態に切り替わり、蓄積期間T2で蓄積された蓄積信号S2が、保持容量CS2に転送され保持される。その後、パネル制御部109は、イネーブル信号ENを非活性化し、駆動SD2を終了する。
駆動SD2終了時点で、保持容量CS2に蓄積期間T2の蓄積信号S2が、保持容量CS3に所定の電位であるクランプ電圧VCLによるリセット信号S3が保持されている。この駆動SD2によって、保持部SH2の保持容量CS2に保持されている蓄積期間T1よりも長い蓄積期間T2でサンプリングされた蓄積信号S2のことを第2の信号と呼ぶ場合がある。パネル制御部109は、駆動SD2が終了し、さらに蓄積期間T1の読出動作である複数回の期間R1が終了した後に、これらの保持容量CS2、3に保持された蓄積信号S2およびリセット信号S3を読み出す期間R2を開始する。蓄積期間T2で蓄積した信号に対して、非破壊で期間R2の読み出しを複数回にわたって繰り返すことによって複数の蓄積信号S2が取得される。
続いて、図15を参照して補正用画像データを生成するための動作を説明する。以下、上述の第3の実施形態との相違点を中心に説明する。
図15のステップS301〜ステップS308の処理は、上述の第3の実施形態と同等である。第3の実施形態の図12のタイムチャートに変わり、本実施形態では、図14に示したタイムチャートに従って、パネル制御部109は、撮像パネル105および信号読出部20を駆動する。
ステップS309’において、パネル制御部109は、規定回数の蓄積期間T1の蓄積信号S1を読み出す期間R1が終了すると、図14に示したタイムチャートに従って撮像パネル105および信号読出部20を駆動する。パネル制御部109は、それぞれの画素Pに保持された蓄積期間T2の蓄積信号S2およびリセット信号S3をAD変換し、画像データインターフェース111を通して、画素データとして信号処理部101に転送する。信号処理部101は、転送されてくる画素データに基づいて蓄積画像(暗画像)を生成する。信号処理部101は、蓄積期間T2の第n暗画像を記憶部115に記憶する。図15のステップS310〜ステップS312の処理は、上述の第3の実施形態と同等である。
本実施形態において、1回のリセット駆動の後、次のリセット駆動を行うまで1回の撮像の間に、保持部SHの複数の保持容量CSを使用することによって、複数の蓄積期間Tが異なる撮像モードに対するオフセット生成を行うことができる。これによって、様々な蓄積期間の組み合わせに適用可能、かつ、効率的な補正用画像データの生成が可能となる。
このように、互いに異なる感度で撮像を行う2つ以上の撮像モードや互いに異なる蓄積期間で撮像を行う2つ以上の撮像モードなど、複数の撮像モードで撮像可能な放射線撮像装置100において、短時間で補正用画像データを生成、取得することが可能となる。これによって、例えば、装置の起動開始から撮像が可能になるまでの時間を短くすることができる。また、撮像と撮像との間において、短時間で補正用画像データを生成できるため、例えば、補正用画像データの更新頻度を多くすることによって、得られる放射線画像のオフセット補正の精度を向上させることができる。
以上、本発明に係る実施形態を示したが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことはいうまでもなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態は適宜変更、組み合わせが可能である。
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。