JP2019125810A - 半導体デバイス用基板洗浄液及び半導体デバイス用基板の洗浄方法 - Google Patents

半導体デバイス用基板洗浄液及び半導体デバイス用基板の洗浄方法 Download PDF

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Abstract

【課題】半導体デバイス用基板、特に表面に金属配線を有する半導体デバイス用基板におけるCMP工程後の洗浄工程に用いられ、金属配線に対する十分な防食性を有し、残渣の発生及び基板表面への残渣の付着を抑制することができる洗浄液及び洗浄方法を提供する。【解決手段】(A)ヒスチジンおよびヒスチジン誘導体に代表される一般式(1)で示される化合物、(B)アスコルビン酸、(C)没食子酸及び(D)水を含有するpHが8以上の半導体デバイス用基板洗浄液。【選択図】なし

Description

本発明は、半導体デバイス用基板洗浄液及び半導体デバイス用基板の洗浄方法に係り、詳しくは化学的機械的研磨を行った後の、表面にCu等の金属が露出した半導体デバイス用基板表面を効果的に洗浄するための洗浄液とこの洗浄液を用いた洗浄方法に関する。
半導体デバイス用基板は、シリコンウェハ基板の上に、配線となる金属膜や層間絶縁膜の堆積層を形成した後に、研磨微粒子を含む水系スラリーからなる研磨剤を使用する化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing、以下、「CMP」と称す。)工程によって表面の平坦化処理を行い、平坦となった面の上に新たな層を積み重ねて行くことで製造される。半導体デバイス用基板の微細加工においては、各層における精度の高い平坦性が必要であり、CMPによる平坦化処理の重要性はますます高まっている。
近年の半導体デバイス製造工程では、デバイスの高速化・高集積化のために抵抗値の低い銅(Cu)膜からなる配線(Cu配線)が導入されている。
Cuは加工性がよいため微細加工に適するが、酸成分やアルカリ成分によって腐食しやすいことから、CMP工程において、Cu配線の酸化や腐食が問題となっている。
そのため、従来、Cu配線を有する半導体デバイス用基板のCMPにおいて、研磨剤にはベンゾトリアゾール(BTA)、トリルトリアゾールやそれらの誘導体等の防食剤が添加されており、この防食剤がCu表面に強く吸着して保護膜を形成することにより、CMPにおけるCu配線の腐食を抑制している(例えば特許文献1)。
CMP工程後の半導体デバイス用基板表面には、CMP工程で使用されたコロイダルシリカなどの砥粒や、スラリー中に含まれる防食剤由来の有機残渣などが多量に存在することから、これらを除去するために、CMP工程後の半導体デバイス用基板は洗浄工程に供される。
CMP後の洗浄においては、酸性洗浄液とアルカリ性洗浄液が用いられている。酸性水溶液中では、コロイダルシリカが正に帯電し、基板表面は負に帯電し、電気的な引力が働き、コロイダルシリカの除去は困難となる。これに対し、アルカリ性水溶液中ではOHが豊富に存在するため、コロイダルシリカと基板表面は共に負に帯電し、電気的な斥力が働き、コロイダルシリカの除去が行いやすくなる。一方で、Cuは酸性水溶液中ではCu2+に酸化して液中に溶解するが、アルカリ性水溶液中ではCuOやCuOといった不動態膜を表面に形成する。このため、酸性洗浄液に比べてアルカリ性洗浄液を用いた方が洗浄工程における腐食をある程度軽減することができるが、Cu表面の酸化膜の均一性が低い事や、洗浄条件や基板の微細加工(Cu配線)の状態によっては腐食が起こる可能性があった。
この酸化劣化や腐食を防止するために、洗浄工程に用いる洗浄液に防食剤を添加する方法が提案されているが、従来、CMPに使用されている防食剤は、Cu配線から溶出したCuイオンと錯体を形成して基板への付着性を有する残渣を発生させるという問題があった。また、これまでに知られている残渣生成の少ない防食剤を使用すると、上述の残渣は生成しないが、Cu配線の酸化劣化や腐食の抑制が不十分となるという問題があった。
また、Cuが層間絶縁膜中に拡散することを防ぐために、バリアメタルが使用されている。バリアメタルとして、タンタル(Ta)やタンタル化合物、チタン(Ti)やチタン化合物、ルテニウム(Ru)やルテニウム化合物、コバルト(Co)やコバルト化合物などが多く使用されている。
特許文献2には、銅又は銅合金の配線を有する半導体の製造において、化学的機械的研磨後の工程で使用する洗浄剤として、L−ヒスチジンやL−システインなどのアミノ酸、モノエタノールアミン又はペンタメチレンジエチレントリアミンなどの脂肪族アミン、そして水を必須成分とするものが開示されており、銅又は銅合金の配線の腐食を抑制し、金属残渣の除去に優れる洗浄剤として利用できることが記載されている。
特許第4406554号公報 特開2013−157516号公報
上記特許文献2に記載の半導体デバイス用基板洗浄液では、配線に使用される銅などの金属の低腐食性及び残渣除去性の両立という点で十分な機能を有する洗浄液とは言えず、特にpHが高いアルカリ領域における洗浄において、これらの両立が困難であった。
かかる状況下、本発明の目的は、半導体デバイス用基板、特に表面に金属配線を有する半導体デバイス用基板におけるCMP工程後の洗浄工程に用いられ、金属配線に対する十分な防食性を有し、残渣の発生及び基板表面への残渣の付着を抑制することができる洗浄液及び洗浄方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の要旨は以下の[1]〜[10]に存する。
[1] 以下の成分(A)〜(D)を含有するpHが8以上の半導体デバイス用基板洗浄液であって、成分(B)の洗浄液中の濃度が0.01質量%以上であり、成分(C)の洗浄液中の濃度が0.01質量%以上である半導体デバイス用基板洗浄液。
(A)下記一般式(1)で示される化合物
Figure 2019125810
(上記式(1)において、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基を示す。Rはカルボキシル基、カルボニル基、エステル結合を有する官能基、炭素数1〜4のアルキル基又は水素原子を示す。Rは水素原子、アセチル基、炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
(B)アスコルビン酸
(C)没食子酸
(D)水
[2] 前記成分(A)一般式(1)で示される化合物がヒスチジンおよびヒスチジン誘導体とそれらの塩である、[1]に記載の半導体デバイス用基板洗浄液
[3] 更に成分(E)pH調整剤として、酸化合物またはアルカリ化合物を含むことを特徴とする[1]又は[2]に記載の半導体デバイス用基板洗浄液。
[4] 前記成分(E)に含まれるアルカリ化合物が、アルカリ金属を含む無機アルカリ化合物及び/又は下記式(2)で示される有機第4級アンモニウム水酸化物を含むことを特徴とする[3]に記載の半導体デバイス用基板洗浄液。
(R+OH- ・・・(2)(上記式(2)において、Rは、水酸基、アルコキシ基、又はハロゲンにて置換されていてもよいアルキル基を示し、4個のRは全て同一でもよく、互いに異なっていてもよい。)
[5] 前記成分(E)に含まれる酸化合物が、酢酸、シュウ酸、酒石酸及びクエン酸からなる群より選ばれる有機酸並びにその塩からなる群から選ばれた少なくとも1種、または、硫酸及び硝酸からなる群より選ばれる無機酸並びにその塩から成る群から選ばれた少なくとも1種を含むことを特徴とする[3]に記載の半導体デバイス用基板洗浄液。
[6] 更に成分(F)界面活性剤を含むことを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1に記載の半導体デバイス用基板洗浄液。
[7] 前記成分(F)界面活性剤が、アニオン性界面活性剤であることを特徴とする[6]に記載の半導体デバイス用基板洗浄液。
[8] 前記アニオン界面活性剤が、アルキルスルホン酸及びその塩、アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸及びその塩、アルキルメチルタウリン酸及びその塩、並びにスルホコハク酸ジエステル及びその塩からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする[7]に記載の半導体デバイス用基板洗浄液。
[9] 更に1,2−ジアミノプロパンを含むことを特徴とする[1]〜[8]のいずれか1に記載の半導体デバイス用基板洗浄液。
[10] [1]〜[9]のいずれか1に記載の半導体デバイス用基板洗浄液を用いて、半導体デバイス用基板を洗浄することを特徴とする半導体デバイス用基板の洗浄方法。
[11] 半導体デバイス用基板が、基板表面にCu配線と低誘電率絶縁膜を有し、かつ、化学的機械的研磨を行った後の基板であることを特徴とする[10]に記載の半導体デバイス用基板の洗浄方法。
本発明の半導体デバイス用基板洗浄液を用いることにより、CMP工程後の半導体デバイス用基板の洗浄工程において、金属配線の腐食を防止した上で、残渣の発生及び基板表面への残渣の付着を抑制して、効率的な洗浄を行える。
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明するが、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更して実施することができる。
[半導体デバイス用基板洗浄液]
本発明の半導体デバイス用基板洗浄液(以下、「本発明の洗浄液」と称す場合がある。)は、半導体デバイス用基板の洗浄、好ましくは、半導体デバイス製造における化学的機械的研磨(CMP)工程の後に行われる、半導体デバイス用基板の洗浄工程に用いられる洗浄液であって、以下の成分(A)〜(D)を含有するpHが8以上の半導体デバイス用基板洗浄液。
(A)下記一般式(1)で示される化合物
Figure 2019125810
(上記式(1)において、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基を示す。Rはカルボキシル基、カルボニル基、エステル結合を有する官能基、炭素数1〜4のアルキル基又は水素原子を示す。Rは水素原子、アセチル基、炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
(B)アスコルビン酸
(C)没食子酸
(D)水
前述のように、アルカリ性水溶液中では、OHが豊富に存在するため、コロイダルシリカ等のパーティクル表面が負に帯電し、洗浄対象となる基板表面も同様に負に帯電する。液中のゼータ電位が同符号に制御されることにより、電気的な反発力が発生する。その結果、基板表面からの前記パーティクルの除去を容易にすることができ、また、一度除去したパーティクルが基板表面に再付着することを防ぐこともできる。
なお、本発明の洗浄液におけるpHは、洗浄液に含まれる各成分の添加量により調整することができる。本発明の洗浄液のpHは8以上であればよく、その上限については、特に制限はないが、水溶液であることから、pHの上限は通常14以下である。
通常、アルカリ性溶液中では、半導体デバイス用基板表面に配線等として存在するCu(以下、「Cu配線」と呼ぶことがある。)は、その表面が酸化され酸化銅となる。酸化銅は洗浄液中のキレート剤などにより溶解され、腐食の原因となるが、本発明においては、洗浄液中の成分(B)が水溶液の酸化還元電位を低下させることによって、Cu表面の酸化状態を制御することができる。
以上より、本発明の洗浄液においては、上記成分(A)〜(D)の存在により、金属配線に対する十分な防食性を有し、残渣の発生及び基板表面への残渣の付着を抑制することができる。
以下、本発明の洗浄液に含まれる各成分についてその作用と共に詳細に説明する。
<成分(A):一般式(1)で示される化合物>
本発明の洗浄液に用いる成分(A)の下記一般式(1)で示される化合物
Figure 2019125810
(上記式(1)において、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基を示す。Rはカルボキシル基、カルボニル基、エステル結合を有する官能基、炭素数1〜4のアルキル基又は水素原子を示す。Rは水素原子、アセチル基、炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
本発明の成分(A)について、上記一般式(1)で示される化合物は、構造中にアミノ基とイミダゾイル基を持つ。これらが金属イオンと配位するため、キレート作用を有する。洗浄液に成分(A)を含有させることによって、Cu−BTA(ベンゾトリアゾール)錯体などの不溶性の金属錯体中の金属イオンを補足して溶解を促進させるため、残渣除去性に寄与する。
成分(A)としては、具体的には、L−ヒスチジン、D−ヒスチジン、N−アセチル−L−ヒスチジン及びこれらの塩が好ましいものとして挙げられる。特に好ましいものとしては、L−ヒスチジンが挙げられる。これらの化合物は優れた残渣除去性能を有し且つ安全性が高く、さらにはアルカリ性のpHにおいて水への溶解度が高いため、本発明の洗浄液の溶媒である(E)水に容易に溶解させることができるという利点がある。
<成分(B):アスコルビン酸>
本発明に用いる成分(B)アスコルビン酸としては、L−アスコルビン酸、D−アスコルビン酸、イソアスコルビン酸が好ましいものとして挙げられ、また、これらの塩も好適に用いることができる。さらに好ましくはL−アスコルビン酸が用いられる。アスコルビン酸は水溶液の酸化還元電位を低下させ、銅などの金属の酸化状態を制御することができる。
<成分(C):没食子酸>
本発明に用いる成分(C)没食子酸としては、没食子酸及び/又はその誘導体が挙げられ、具体的には、没食子酸、没食子酸水和物、没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸プロピル、没食子酸ブチル、没食子酸イソブチルが好ましいものとして挙げられ、またこれらの塩も好適に用いることができる。特に好ましくは、没食子酸、没食子酸水和物が用いられる。
<成分(D):水>
本発明の洗浄液における溶媒として用いられる(D)水としては、不純物を極力低減させた脱イオン水や超純水を用いることが好ましい。
<成分(E):pH調整剤>
本発明の洗浄液において、上述の成分(A)〜(D)に加えて、更に成分(E)として、pH調整剤を含むことが好ましい。pH調整剤としては、その目的とするpHに調整できる成分であれば、特に限定されず、酸化合物又はアルカリ化合物を使用することができる。酸化合物としては硫酸及び硝酸などの無機酸及びその塩、又は、酢酸、乳酸、シュウ酸、酒石酸及びクエン酸などの有機酸及びその塩が好適な例として挙げられる。
また、アルカリ化合物については、有機アルカリ化合物および無機アルカリ化合物を用いることができ、有機アルカリ化合物としては、以下に示す有機第4級アンモニウム水酸化物などの四級アンモニウム及びその誘導体の塩、トリメチルアミン及びトリエチルアミンなどのアルキルアミン及びその誘導体の塩、が好適な例として挙げられる。
有機アルカリ化合物としての有機第4級アンモニウム水酸化物としては、以下の一般式(2)で表されるものが挙げられる。
(R+OH- (2)
(上記一般式(2)において、Rは、水酸基、アルコキシ基、又はハロゲンにて置換されていてもよいアルキル基を示し、4個のRは全て同一でもよく、互いに異なっていてもよい。)
有機第4級アンモニウム水酸化物としては、上記一般式(2)において、Rが、水酸基、炭素数1〜4のアルコキシ基又はハロゲンにて置換されていてもよい、直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜4のアルキル基、特に直鎖の炭素数1〜4のアルキル基及び/又は直鎖の炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基であるものが好ましい。Rのアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等の炭素数1〜4の低級アルキル基が挙げられる。ヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基及びヒドロキシブチル基等の炭素数1〜4の低級ヒドロキシアルキル基が挙げられる。
この有機第4級アンモニウム水酸化物としては具体的には、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチル(ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド(通称:コリン)及びトリエチル(ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
上述の有機第4級アンモニウム水酸化物の中でも、洗浄効果、金属の残留が少ないこと、経済性および洗浄液の安定性などの理由から、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチル(ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドおよびテトラブチルアンモニウムヒドロキシドが特に好ましい。
無機アルカリ化合物は、水溶液でアルカリ性を示すもののうち、アンモニア又は主にアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属を含む無機化合物及びその塩のことであり、これらのうち、無機アルカリとして、アルカリ金属を含む水酸化物を用いることが、安全性およびコストの面で好ましい。具体的には、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム及び水酸化セシウムなどが挙げられる。
これらの酸化合物又はアルカリ化合物は、本発明の洗浄液のpHを調整することを目的として用いられる場合は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を任意の割合で併用してもよい。
特に好ましい酸化合物又はアルカリ化合物としては、酢酸、シュウ酸、酒石酸およびクエン酸などの有機酸及びその塩、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムなどの無機アルカリ及びその塩、並びにテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド及びコリンなどの四級アンモニウム及びその誘導体の塩が挙げられる。
<成分(F):界面活性剤>
本発明の洗浄液には、上記成分(A)〜(D)に加えて、更に成分(F)界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤は、層間絶縁膜に疎水性材料が使用されている場合、水をベース組成とする洗浄液では洗浄が困難となる。成分(F)の界面活性剤は、疎水性基板表面と洗浄液の親和性を向上させる作用を有するものである。界面活性剤を配合して基板表面との親和性を向上させることで、基板上に存在するパーティクルなどとの間にも洗浄液の作用を及ぼすことができ、残渣の除去に貢献することができる。特に疎水性が強い基板表面を洗浄する場合においては、界面活性剤を含まない洗浄液では、洗浄液と基板表面との親和性が低いために、洗浄効果が不十分となる。
成分(F)の界面活性剤としては特に制限はなく、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤および両性界面活性剤のいずれも使用することができる。
本発明の洗浄液において好適に用いることができる成分(F)の界面活性剤として、アニオン性界面活性剤がある。アニオン性界面活性剤の例として、アルキルスルホン酸及びその塩、アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸及びその塩、アルキルメチルタウリン酸及びその塩、並びにスルホコハク酸ジエステル及びその塩が挙げられ、特に好ましいスルホン酸型アニオン性界面活性剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸(DBS)、ドデカンスルホン酸及びこれらのアルカリ金属塩等が挙げられる。この中でも、品質の安定性や入手のしやすさから、ドデシルベンゼンスルホン酸及びそのアルカリ金属塩が特に好ましい。
別のアニオン性界面活性剤の例として、カルボン酸型アニオン性界面活性剤が挙げられる。カルボン酸型アニオン性界面活性剤は、分子内にカルボキシル基を含むアニオン性界面活性剤であり、その中でも下記一般式(3)で表される化合物が好ましい。
−O−(AO)−(CH−COOH (3)
上記一般式(3)において、Rは直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基であり、その炭素数は8〜15、好ましくは10〜13である。また、AOはオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基であり、aは3〜30、好ましくは4〜20、より好ましくは4.5〜10である。また、bは1〜6、好ましくは1〜3である。
上記一般式(3)で表されるカルボン酸型アニオン性界面活性剤として、具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸及びポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸などを挙げることができる。
これらのアニオン性界面活性剤等の界面活性剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を任意の割合で併用してもよい。
なお、界面活性剤は、通常市販されている形態において1〜数千質量ppm程度のNa、K及びFe等の金属不純物を含有している場合があり、この場合には、界面活性剤が金属汚染源となる。そのため、成分(F)に金属不純物が含まれる場合には、各々の金属不純物の含有量が、通常10ppm以下、好ましくは1ppm以下、更に好ましくは0.3ppm以下となるように、成分(F)を精製して使用することが好ましい。この精製方法としては、例えば、成分(F)を水に溶解した後、イオン交換樹脂に通液し、樹脂に金属不純物を捕捉させる方法が好ましい。このようにして精製された界面活性剤を使用することで、金属不純物含有量が極めて低減された洗浄液を得ることができる。
<その他の成分>
本発明の洗浄液には、上記成分(A)〜(F)以外に、クエン酸及びジアミノアルカンを含むことが好ましい。このジアミノアルカンの中でも、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパンがより好ましく、1,2−ジアミノプロパンが更により好ましい。
その他、上記成分以外に、本発明の洗浄液の効果を損なわない範囲で、含んでいてもよい成分としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
シュウ酸、酒石酸、リンゴ酸、ピコリン酸、エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸、グリシン、アスパラギン酸、イミノジ酢酸、アラニン及び竅|アラニン等のキレート
剤:ベンゾトリアゾール、3−アミノトリアゾール、N(R(Rは互いに同一であっても異なっていてもよい炭素数1〜4のアルキル基及び/又は炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基)、アンモニア、ウレア及びチオウレア等の含窒素有機化合物;ポリエチレングリコール及びポリビニルアルコール等の水溶性ポリマー;ROH(Rは炭素数1〜4のアルキル基)等のアルキルアルコール系化合物;等の防食剤:水素、アルゴン、窒素、二酸化炭素およびアンモニア等の溶存ガス:フッ酸、フッ化アンモニウム及びBHF(バッファードフッ酸)等のドライエッチング後に強固に付着したポリマー等の除去効果が期待できるエッチング促進剤:ヒドラジン等の還元剤:過酸化水素、オゾンおよび酸素等の酸化剤:モノエタノールアミン:アルギニンなどのアミノ酸、また、溶媒としてエタノールなどの、水以外の成分を含んでいてもよい。
<洗浄液の製造方法>
本発明の洗浄液の製造方法は、特に限定されず従来公知の方法によればよく、例えば、洗浄液の構成成分(成分(A)〜(D)、必要に応じて用いられるその他の成分)を混合することで製造することができる。通常、溶媒である(D)水に、成分(A)〜(C)、必要に応じて用いられるその他の成分を添加することにより製造される。
その際の混合順序も、反応や沈殿物が発生するなど特段の問題がない限り任意であり、洗浄液の構成成分のうち、何れか2成分又は3成分以上を予め配合し、その後に残りの成分を混合してもよいし、一度に成分を混合してもよい。
本発明の洗浄液は、洗浄に適した濃度になるように、各成分の濃度を調整して製造することもできるが、輸送、保管時のコストを抑制する観点から、それぞれの成分を高濃度で含有する洗浄液(以下、「洗浄原液」と称す場合がある。)を製造した後に水で希釈して使用されることも多い。希釈倍率としては5〜200倍であり、好ましくは10〜100倍である。
この洗浄原液における各成分の濃度は、特に制限はないが、成分(A)〜(D)及び必要に応じて添加される他の成分並びにこれらの反応物が、洗浄原液中で分離したり、析出しない範囲であることが好ましい。
具体的には、洗浄原液の好適な濃度範囲は、成分(A)が、0.1〜10質量%、成分(B)が、1〜10質量%、成分(C)が、1〜10質量%、成分(E)が、0.1〜30質量%、成分(F)が、0.01〜10質量%の濃度である。
このような濃度範囲であると、輸送、保管時において、含有成分の分離が起こり難く、また、(D)水を添加することにより容易に洗浄に適した濃度の洗浄液として好適に使用することができる。
半導体デバイス用基板の洗浄を行う際における洗浄液の各成分の濃度は、洗浄対象となる半導体デバイス用基板に応じて適宜決定される。
なお、洗浄に供する洗浄液は、洗浄対象となる半導体デバイス用基板に対して各成分の濃度が適切なものとなるように洗浄原液を希釈して製造してもよいし、その濃度になるように直接各成分を調整して製造してもよい。
<洗浄液の各成分濃度>
本発明の洗浄液の各成分濃度、即ち、上述の洗浄原液を水などの溶媒等で希釈して、洗浄液として用いられる際の本発明の洗浄液中の各成分濃度は以下の通りである。
成分(A)の洗浄液中の濃度は、好ましくは0.001〜1質量%であり、より好ましくは0.01〜0.5質量%である。成分(A)の濃度が、0.01質量%未満では、半導体デバイス用基板の汚染の除去効果が発揮できない可能性があり、1質量%を超えてもそれ以上の効果は得られないことに加え、洗浄液のコストがよりかかることになる。
成分(B)アスコルビン酸の洗浄液中の濃度は、好ましくは0.001〜1質量%であり、より好ましくは0.01〜0.5質量%である。成分(B)の濃度が0.01質量%未満では、酸化還元電位が十分低下させることができず、金属表面の酸化状態の制御ができない。1質量%を超えてもそれ以上の効果は得られないことに加え、洗浄液のコストがよりかかることになる。
成分(C)没食子酸の洗浄液中の濃度は、このましくは0.001〜1質量%であり、より好ましくは0.01〜0.5質量%である。成分(C)の濃度が0.01質量%未満では、半導体デバイス用基板の汚染の除去効果が発揮できない可能性があり、1質量%を超えてもそれ以上の効果は得られないことに加え、洗浄液のコストがよりかかることになる。
成分(E)pH調整剤の洗浄液中の濃度は、好ましくは0.001〜3質量%であり、より好ましくは0.05〜1質量%であるが、洗浄液のpHを目的の値に設定するために必要となる量を添加することができる。
成分(F)界面活性剤の洗浄液中の濃度は、好ましくは0.0001〜1質量%、より好ましくは0.001〜0.5質量%、さらに好ましくは0.001〜0.1質量%である。成分(F)の濃度が低すぎると、界面活性剤の添加効果が不十分となり、成分(F)の濃度が高すぎてもそれ以上の効果は得られず、過度の泡立ちが発生したり、廃液処理の負荷が増加する。
<半導体デバイス用基板の洗浄方法>
次いで、本発明の半導体デバイス用基板の洗浄方法(以下、「本発明の洗浄方法」と称す場合がある。)について説明する。
本発明の洗浄方法は、上述の本発明の洗浄液を半導体デバイス用基板に直接接触させる方法で行なわれる。
洗浄対象となる半導体デバイス用基板としては、半導体、ガラス、金属、セラミックス、樹脂、磁性体、超伝導体などの各種半導体デバイス用基板が挙げられる。
この中でも、本発明の洗浄液は、短時間のリンスで除去ができるため、配線などとして表面に金属又は金属化合物を有する半導体デバイス用基板に対して特に好適であり、特に表面にCu配線を有する半導体デバイス用基板に対して好適である。
ここで、半導体デバイス用基板に使用される上記金属としては、W、Cu、Ta、Ti、Cr、Co、Zr、Hf、Mo、Ru、Au、Pt、Ag等が挙げられ、金属化合物としては、これらの金属の窒化物、酸化物、シリサイド等が挙げられる。これらの中では、Cu、Ta、Ti、Co、Ru並びにこれらを含有する化合物が好適な洗浄対象である。
また、本発明の洗浄方法は、疎水性の強い低誘電率絶縁材料に対しても洗浄効果が高いため、低誘電率絶縁材料を有する半導体デバイス用基板に対しても好適である。
このような低誘電率材料としては、Polyimide、BCB(Benzocyclobutene)、Flare(Honeywell社)、SiLK(Dow Chemical社)等の有機ポリマー材料やFSG(Fluorinated silicate glass)などの無機ポリマー材料、BLACK DIAMOND(Applied Materials社)、Aurora(日本ASM社)等のSiOC系材料が挙げられる。
ここで、本発明の洗浄方法は、半導体デバイス用基板が、基板表面にCu配線と低誘電率絶縁膜を有し、かつ、CMP処理後に基板を洗浄する場合に特に好適に適用される。
CMP工程では、研磨剤を用いて基板をパッドに擦り付けて研磨が行われる。
研磨剤には、コロイダルシリカ(SiO)、フュームドシリカ(SiO)、アルミナ(Al)、セリア(CeO)などの研磨粒子が含まれる。このような研磨粒子は、半導体デバイス用基板の微粒子汚染の主因となるが、本発明の洗浄液は、基板に付着した微粒子を除去して洗浄液中に分散させると共に再付着を防止する作用を有しているため、微粒子汚染の除去に対して高い効果を示す。
また、研磨剤には、酸化剤、分散剤等の研磨粒子以外の添加剤が含まれることがある。
特に、その表面に金属配線としてCu膜を有する半導体デバイス用基板におけるCMP研磨では、Cu膜が腐食しやすいため、防食剤が添加されることが多い。
防食剤としては、防食効果の高いアゾール系防食剤が好ましく用いられる。より具体的には、へテロ原子が窒素原子のみの複素環を含むものとして、ジアゾール系やトリアゾール系、テトラゾール系が挙げられ、窒素原子と酸素原子の複素環を含むものとして、オキサゾール系やイソオキサゾール系、オキサジアゾール系が挙げられ、窒素原子と硫黄原子の複素環を含むものとして、チアゾール系やイソチアゾール系、チアジアゾール系が挙げられる。その中でも特に、防食効果に優れるベンゾトリアゾール(BTA)系の防食剤が好ましく用いられている。
本発明の洗浄液は、このような防食剤を含んだ研磨剤で研磨した後の基板表面に適用すると、これら防食剤に由来した汚染を極めて効果的に除去できる点において優れている。
即ち、研磨剤中にこれらの防食剤が存在すると、Cu膜表面の腐食を抑える反面、研磨時に溶出したCuイオンと反応し、多量の不溶性析出物を生じる。本発明の洗浄液は、このような不溶性析出物を効率的に溶解除去することができ、更に、金属表面に残りやすい界面活性剤を、短時間のリンスで除去することができ、スループットの向上が可能である。
そのため、本発明の洗浄方法は、Cu膜と低誘電率絶縁膜が共存した表面をCMP処理した後の半導体デバイス用基板の洗浄に好適であり、特にアゾール系防食剤が入った研磨剤でCMP処理した上記基板の洗浄に好適である。
上述のように本発明の洗浄方法は、本発明の洗浄液を半導体デバイス用基板に直接接触させる方法で行われる。なお、洗浄対象となる半導体デバイス用基板の種類に合わせて、好適な成分濃度の洗浄液が選択される。
洗浄液の基板への接触方法には、洗浄槽に洗浄液を満たして基板を浸漬させるディップ式、ノズルから基板上に洗浄液を流しながら基板を高速回転させるスピン式、基板に液を噴霧して洗浄するスプレー式などが挙げられる。この様な洗浄を行うための装置としては、カセットに収容された複数枚の基板を同時に洗浄するバッチ式洗浄装置、1枚の基板をホルダーに装着して洗浄する枚葉式洗浄装置などがある。
本発明の洗浄液は、上記の何れの方法にも適用できるが、短時間でより効率的な汚染除去ができる点から、スピン式やスプレー式の洗浄に好ましく使用される。この場合において、洗浄時間の短縮、洗浄液使用量の削減が望まれている枚葉式洗浄装置に適用するならば、これらの問題が解決されるので好ましい。
また、本発明の洗浄方法は、物理力による洗浄方法、特に、洗浄ブラシを使用したスクラブ洗浄や周波数0.5メガヘルツ以上の超音波洗浄を併用すると、基板に付着した微粒子による汚染の除去性が更に向上し、洗浄時間の短縮にも繋がるので好ましい。特に、CMP後の洗浄においては、樹脂製ブラシを使用してスクラブ洗浄を行うのが好ましい。樹脂製ブラシの材質は、任意に選択し得るが、例えばPVA(ポリビニルアルコール)やその変性物であるPVF(ポリビニルホルマール)を使用するのが好ましい。
更に、本発明の洗浄方法による洗浄の前及び/又は後に、水による洗浄を行ってもよい。
本発明の洗浄方法において、洗浄液の温度は、通常は室温でよいが、性能を損なわない範囲で40〜70℃程度に加温してもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
<洗浄液原液の調製>
成分(A)の化合物として、4質量%のヒスチジン(和光純薬工業株式会社)、成分(B)として、4質量%のアスコルビン酸(和光純薬工業株式会社)、成分(C)として、1質量%の没食子酸(和光純薬工業株式会社)、及び成分(E)として、8質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(株式会社トクヤマ)を、成分(E)の水と混合して、表1に示す組成の実施例1の半導体デバイス用基板洗浄液の原液を調製した。
<pH測定>
40倍に希釈した洗浄液をマグネティックスターラーを用いて攪拌しながら、pH計((株)堀場製作所「D−24」)でpHの測定を行なった。測定サンプルは恒温槽中で25℃に液温を保った。測定結果を表2に示した。
<ORP(酸化還元電位)測定>
40倍に希釈した洗浄液をマグネティックスターラーを用いて攪拌しながら、マルチメーター(東亜ディーケーケー株式会社「MM−60R」)でORPの測定を行なった。測定結果を表2に示した。
<エッチレート測定>
PVD(物理蒸着)法によって製膜した銅シード基板(市販品)を2.5cm角に裁断した。カットした基板の銅の膜厚(nm)を蛍光X線分析装置(XRF)(日本電子(株) RIX−3000)で測定した。上記の40倍に希釈した洗浄液中にその銅基板を120分間浸漬させた。浸漬後の基板を超純水でよくすすぎ、エアーブローで乾燥させた後。再度、XRFで銅の膜厚(nm)を測定した。エッチレートは下記(4)式で算出した。
((浸漬前の膜厚(nm))−(浸漬後の膜厚(nm)))/120分 ・i4)測定
結果を表2に示した。
[実施例2]
成分(A)の化合物として、1質量%のヒスチジン(和光純薬工業株式会社)、成分(B)として、4質量%のアスコルビン酸(和光純薬工業株式会社)、成分(C)として、1質量%の没食子酸(和光純薬工業株式会社)、及び成分(E)として、8質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(株式会社トクヤマ)を、成分(E)の水と混合して、表1に示す組成の実施例1の半導体デバイス用基板洗浄液の原液を調製した。
この洗浄液について、実施例1と同様に評価を行なった結果を表2に示した。
[比較例1]
成分(A)の化合物として、1質量%のヒスチジン(和光純薬工業株式会社)、成分(E)として、8質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(株式会社トクヤマ)を、成分(E)の水と混合して、表1に示す組成の実施例1の半導体デバイス用基板洗浄液の原液を調製した。
この洗浄液について、実施例1と同様に評価を行なった結果を表2に示した。
[比較例2]
成分(A)の化合物として、1質量%のヒスチジン(和光純薬工業株式会社)、成分(B)として、4質量%のアスコルビン酸(和光純薬工業株式会社)、成分(E)として、8質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(株式会社トクヤマ)を、成分(E)の水と混合して、表1に示す組成の実施例1の半導体デバイス用基板洗浄液の原液を調製した。
この洗浄液について、実施例1と同様に評価を行なった結果を表2に示した。
Figure 2019125810
Figure 2019125810
[考察]
実施例1、実施例2についてはORPがそれぞれ−310mV、−330mVと充分に低いことから、Cu表面の酸化膜はCuOが安定に存在する環境である。エッチレートはそれぞれ0.02nm/min、0.03nm/minと充分に低く、Cu上での腐食は起こりにくい。Cu−BTA錯体の溶解度は500mg/L以上と充分に高く、CMP工程で生成される不溶性のCu錯体の除去能力は高い。
比較例1は、成分(B)と成分(C)が含有されていない。成分(B)が含有されていないため、ORPが−50mVと高くなっており、Cu表面の酸化状態の制御ができないと考えられる。Cu表面の酸化膜が不均一となり、腐食の懸念が残る。
比較例2は、成分(C)没食子酸が含有されておらず、Cu−BTA錯体の溶解度が150mg/Lと低く、CMP工程で生成される不溶性のCu錯体の除去能力が低いと考えられる。
以上の結果から、本発明の洗浄液を用いることで、Cu配線に腐食を引き起こすことなく、効果的な洗浄を行えることが明らかであり、また、Cu配線表面を防食することによって半導体デバイス用基板の優れた清浄効果が奏されることが明らかである。
本発明の半導体デバイス用基板洗浄液は、半導体デバイス用基板表面に腐食を起こすことなく、効率的に洗浄を行うことが可能であり、本発明は、半導体デバイスやディスプレイデバイスなどの製造工程における汚染半導体デバイス用基板の洗浄処理技術として、工業的に非常に有用である。

Claims (11)

  1. 以下の成分(A)〜(D)を含有するpHが8以上の半導体デバイス用基板洗浄液であって、成分(B)の洗浄液中の濃度が0.01質量%以上であり、成分(C)の洗浄液中の濃度が0.01質量%以上である半導体デバイス用基板洗浄液。
    (A)下記一般式(1)で示される化合物
    Figure 2019125810
    (上記式(1)において、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基を示す。Rはカルボキシル基、カルボニル基、エステル結合を有する官能基、炭素数1〜4のアルキル基又は水素原子を示す。Rは水素原子、アセチル基、炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
    (B)アスコルビン酸
    (C)没食子酸
    (D)水
  2. 前記成分(A)一般式(1)で示される化合物がヒスチジンおよびヒスチジン誘導体とそれらの塩である、請求項1に記載の半導体デバイス用基板洗浄液
  3. 更に成分(E)pH調整剤として、酸化合物またはアルカリ化合物を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体デバイス用基板洗浄液。
  4. 前記成分(E)に含まれるアルカリ化合物が、アルカリ金属を含む無機アルカリ化合物及び/又は下記式(2)で示される有機第4級アンモニウム水酸化物を含むことを特徴とする請求項3に記載の半導体デバイス用基板洗浄液。
    (R+OH- ・・・(2)
    (上記式(2)において、Rは、水酸基、アルコキシ基、又はハロゲンにて置換されていてもよいアルキル基を示し、4個のRは全て同一でもよく、互いに異なっていてもよい。)
  5. 前記成分(E)に含まれる酸化合物が、酢酸、シュウ酸、酒石酸及びクエン酸からなる群より選ばれる有機酸並びにその塩からなる群から選ばれた少なくとも1種、または、硫酸及び硝酸からなる群より選ばれる無機酸並びにその塩から成る群から選ばれた少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項3に記載の半導体デバイス用基板洗浄液。
  6. 更に成分(F)界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体デバイス用基板洗浄液。
  7. 前記成分(F)界面活性剤が、アニオン性界面活性剤であることを特徴とする請求項6に記載の半導体デバイス用基板洗浄液。
  8. 前記アニオン界面活性剤が、アルキルスルホン酸及びその塩、アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸及びその塩、アルキルメチルタウリン酸及びその塩、並びにスルホコハク酸ジエステル及びその塩からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項7記載の半導体デバイス用基板洗浄液。
  9. 更に1,2−ジアミノプロパンを含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の半導体デバイス用基板洗浄液。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の半導体デバイス用基板洗浄液を用いて、半導体デバイス用基板を洗浄することを特徴とする半導体デバイス用基板の洗浄方法。
  11. 半導体デバイス用基板が、基板表面にCu配線と低誘電率絶縁膜を有し、かつ、化学的機械的研磨を行った後の基板であることを特徴とする請求項10に記載の半導体デバイス用基板の洗浄方法。
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