JP2019122565A - 衣類 - Google Patents

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義哲 権
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Abstract

【課題】脱ぎ着しやすく、着用による圧迫感が少なく、不快感が少ないにもかかわらず、生体情報を安定的に、精度良く計測できる生体情報計測用の衣類を提供する。【解決手段】着用者の肌に接触する電極が形成されている衣類であって、前記衣類を染液に30秒間浸漬した後、該衣類の肌側とその反対側を観察したときに、肌側の方の着色が少ない衣類。【選択図】なし

Description

本発明は、着用者の肌に接触する電極が形成されている生体情報測定用の衣類に関する。
近年、ヘルスモニタリング分野や医療分野、療育分野、リハビリテーション分野において、ウェアラブル生体情報計測装置(センシングウェア)が注目されている。ウェアラブル生体情報計測装置とは、生体情報計測装置が、例えば、衣類やベルト、ストラップなどに設けられており、これらを着用することによって心電図などの生体情報を簡便に計測できる装置である。生体情報計測装置としては、例えば、着用者の肌に接触する生体情報計測用の電極が形成されている。
衣類型のウェアラブル生体情報計測装置の場合は、例えば、織物や編物で構成される身頃生地に、電極が設けられており、この衣類を着用して日常生活を過ごすことによって、日常の様々な状況における心拍の変動等の生体情報を簡便に計測できる。
ウェアラブル生体情報計測装置における生体情報の計測精度を高めるには、電極の測定面と身体とを密着させる必要がある。そのため、衣類型のウェアラブル生体情報計測装置の場合は、衣類本体としてコンプレッションウェアのような上半身を強く締め付けるものが用いられており、この締め付けによって電極の測定面と身体とを密着させている。しかし、着用者は締め付けられることによって、圧迫感を感じることがあった。また、コンプレッションウェアに生体情報計測装置を設けた場合でも、電極から生体情報を安定的に、精度良く計測することは難しかった。特に、被測定者がウォーキングやジョギング、ランニングなどの運動を行うと、被測定者の動作によって、電極の測定面と身体とが充分に密着していない状態になることがあり、生体情報を計測できないことがあった。また、コンプレッションウェアは、着圧が高いため、脱ぎ着しにくい。
本発明者らは、特許文献1において、生体情報を、最も安定的に計測できる測定位置を特定し、密着性の高いフレキシブル電極を取り付けたセンシングウェアを提案した。
特開2017−29692号公報
本発明は上記の様な問題に着目してなされたものであって、その目的は、脱ぎ着しやすく、着用による圧迫感が少なく、不快感が少ないにもかかわらず、生体情報を安定的に、精度良く計測できる生体情報計測用の衣類を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明に係る衣類は、以下の構成からなる。
[1]着用者の肌に接触する電極が形成されている衣類であって、前記衣類を染液に30秒間浸漬した後、該衣類の肌側とその反対側を観察したときに、肌側の方の着色が少ないことを特徴とする衣類。
[2]前記衣類の肌側の少なくとも一部に、疎水性繊維または撥水性を有する繊維が形成されている[1]に記載の衣類。
[3]吸水時間が30秒以下で、乾燥時間が60分以下であり、前記衣類を構成する生地の肌側表面の最大静止摩擦係数が、前記電極の表面の最大静止摩擦係数よりも小さい[1]または[2]に記載の衣類。
[4]前記肌側表面の最大静止摩擦係数が3.0以下である[1]〜[3]のいずれかに記載の衣類。
[5]前記電極は、導電性ファブリックで構成されており、該導電性ファブリックは、身丈方向または身幅方向に14.7Nの荷重をかけたときに、少なくとも一方の伸長率が3%以上60%以下である[1]〜[4]のいずれかに記載の衣類。
[6]前記電極は、導電性フィラーおよびエラストマーを少なくとも含むものである[1]〜[5]のいずれかに記載の衣類。
[7]前記衣類は、胸部、手部、脚部、足部、頸部、または顔部のいずれかを少なくとも覆うものである[1]〜[6]のいずれかに記載の衣類。
[8]前記衣類は、肌着である[1]〜[7]のいずれかに記載の衣類。
本発明の衣類は、染液に30秒間浸漬した後、該衣類の肌側とその反対側を観察したときに、肌側の方の着色が少ないという特徴を有している。そのため、着用者が汗をかいたり、雨などに濡れても、肌側の水分は、その反対側へ移動する。その結果、衣類は着用者の肌にまとわりつかず、肌離れ性に優れている。従って、衣類が湿潤した状態で着用者が動いても、衣類は着用者の動きに追随しないため、引っ張られず、衣類に形成された電極は、所望の位置に密着したままとなり、生体情報を精度良く計測できる。また、コンプレッションウェアのように着用者を締め付ける必要はないため、着用者は圧迫感を感じにくく、快適に着用でき、脱ぎ着もしやすい。
また、本発明の衣類は、電極材料、配線材料、絶縁材料等との接着性が良好となる。一般に親水性の繊維は、疎水性の接着剤との接着性が劣ることが知られている。例えば、肌着として重用される木綿生地に対するホットメルト型接着剤との接着性は、化学合成繊維に対する接着性より悪い。これに対し、本発明では衣類全体としての親水性、保湿性を保ちつつ、肌側を非親水性としているために疎水性樹脂を主とする溶剤型接着剤やホットメルト型接着剤との接着性に優れる。
また、絶縁性樹脂を生地に直接塗布する場合においても同様に、親水性繊維だけで構成されている衣類よりも印刷斑や接着斑の発生が低減される。
本発明者らは、生体情報を安定的に、精度良く計測しつつ、快適に着用できる衣類を提供するために、鋭意検討を重ねてきた。その結果、従来のように、衣類で着用者を締付け、電極と着用者の肌との密着性を高めるのではなく、衣類を着用者の肌から離れやすくすれば、電極の密着性が阻害されず、生体情報を安定的に、精度良く計測できること、衣類の肌離れ性を高めることによって、締付け感を減少できるため、快適に着用できることを見出し、本発明を完成した。
以下、本発明の衣類について詳細に説明する。
本発明の衣類は、着用者の肌に接触する電極が形成されている。そして、上記衣類は、染液に30秒間浸漬した後、該衣類の肌側とその反対側を観察したときに、肌側の方の着色が少ない点に特徴がある。
上記衣類には、着用者の肌に接触する電極が設けられており、電極の電極面が、着用者の肌に直接接触することによって、身体からの電気信号を測定でき、生体情報を計測できる。生体情報としては、電極で取得した電気信号を電子ユニットで演算、処理することによって、例えば、心電、心拍数、脈拍数、呼吸数、血圧、体温、筋電、発汗などの身体の情報が得られる。
上記電極としては、心電図を測定できる電極を設けることが好ましい。心電図とは、心臓の動きによる電気的な変化を、生体表面の電極を介して検出し、波形として記録された情報を意味する。心電図は、一般的には、横軸に時間、縦軸に電位差をプロットした波形として記録される。心拍1回ごとに心電図に現れる波形は、P波、Q波、R波、S波、T波の代表的な5つの波により主に構成され、この他にU波が存在する。また、Q波の始めからS波の終わりまでは、QRS波と呼ばれることがある。
これらの波のなかでも、本発明の衣類には、少なくともR波を検知できる電極を設けることが好ましい。R波は、左右両心室の興奮を示し、電位差が最も大きい波である。R波を検知できる電極を設けることにより、心拍数も計測できる。即ち、R波の頂点と次のR波の頂点までの時間は、一般に、RR間隔(秒)と呼ばれ、1分間当たりの心拍数は、下記式に基づいて算出できる。なお、本明細書においては、特に注釈のない限り、QRS波もR波に含まれる。
心拍数(回/分)=60/RR間隔
上記電極の具体的な構成については、後で詳述する。
上記衣類は、染液に30秒間浸漬した後、該衣類の肌側とその反対側を観察したときに、肌側の方の着色が少ないものである。着色が少ない側は相対的に疎水性であることを示しており、着色が多い側は相対的に親水性であることを示している。即ち、本発明の衣類を構成する生地は、肌側が疎水性を示し、その反対側が親水性を示している。そのため、着用者が汗をかいたり、雨などに濡れ、着用者の肌に水分が付着しても、肌側の水分は、親水性を示す肌側の反対側へ速やかに移動するため、着用者の肌はベトつかず、衣類は着用者の肌にまとわりつかない。よって、衣類の肌離れ性が良好になる。一方、肌側の反対側へ移動した水分や、肌側の反対側に外部から付着した水分は、肌側へ逆戻りしにくい。従って、着用者が動いても、衣類は着用者の動きに追随しないため、引っ張られない。そのため、衣類に形成された電極は、所望の位置に密着したままとなり、生体情報を精度良く計測できる。また、通常のコンプレッションウェアのように着用者を締め付ける必要はないため、着用者は圧迫感を感じにくく、快適に着用でき、脱ぎ着もしやすい。また、脱ぎ着がしやすいため、電極や配線の断線が起こりにくくなる。
なお、肌側の反対側へ移動した水分は、生地内を拡散し、発散する。その結果、衣類は乾燥した状態を維持できる。
上記染液としては、上記衣類を構成する生地の吸水の度合いを評価できるものであれば特に限定されず、公知の染料を溶解した水溶液を用いればよい。
上記染液に30秒間浸漬した後の観察は、目視で行えばよく、例えば、光学顕微鏡を用いて観察し、画像解析してもよい。
上記衣類の肌側の少なくとも一部には、疎水性繊維または撥水性を有する繊維が形成されていることが好ましい。
上記疎水性繊維とは、例えば、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、アクリル系繊維、ポリオレフィン系繊維などが挙げられる。これらのうち、ポリエステル系繊維が好ましい。
上記ポリエステル系繊維としては、例えば、その全構成単位の少なくとも80モル%以上がエチレンテレフタレートであるポリエステル繊維が挙げられ、特にテレフタル酸またはその機能的誘導体とエチレングリコールまたはエチレンオキサイドとから製造されたポリエチレンテレフタレート繊維が好ましい。
酸成分としては、テレフタル酸またはその機能的誘導体の他に、20モル%未満、好ましくは10モル%未満の範囲でイソフタル酸、アジピン酸、セパチン酸、アゼライン酸、ナフタール酸、P−オキシ安息香酸、2.5−ジメチルテレフタル酸、ビス(P−カルボキシフエノキシ)エタン、2.6−ナフタレンジカルボン酸、3.5−ジ(カルボメトキシ)ベンゼンスルホン酸塩またはそれらの機能的誘導体を加えてもよく、グリコール成分としては、エチレングリコールの他に、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1.4−ブタンジオール、1.4−ピロキシメチルシクロヘキサン等の2価アルコールを加えてもよい。
上記疎水性繊維には、難燃性を付与するために、例えば、芳香族ポリホスホネ−トなどを加えてもよい。更に、公知の酸化防止剤、艶消剤、着色剤、染色性向上剤、難燃性向上剤、制電剤等を添加してもよい。
上記衣類の肌側に、上記疎水性繊維を形成するときの形状は特に限定されず、生地の表面に凸部を形成するように形成することが好ましい。凸部とは、生地表面よりも突出していることを意味し、凸部を形成することによって、肌との接触面積が小さくなるため、衣類の肌離れ性が良好となる。上記疎水性繊維は、衣類を構成する生地表面に、凸部ループとなるように編み込むか、織り込むことが好ましい。
上記衣類の肌側の少なくとも一部に形成されている繊維は、撥水性を有する繊維であってもよい。撥水性を示すことによって、水切れ性が向上するため、着用時のベトツキを低減できる。
上記撥水性を有する繊維は、例えば、繊維に撥水加工を施しつつ紡出して製造してもよいし、繊維の製糸時に撥水加工してもよいし、製糸後のチーズやカセ形状で撥水加工を施してもよい。
上記撥水加工には、撥水剤を用いることができる。撥水剤としては、例えば、フッ素系(例えば、旭硝子株式会社製、アサヒガードAG−7000、E−081)、シリコーン系、パラフィン系、エチレン尿素系、脂肪酸系などの撥水剤を挙げることができる。これらの中でも、洗濯耐久性の点から、フッ素系またはシリコーン系の撥水剤を用いることが好ましい。
上記繊維の撥水性は、例えば、DUPONT法などで評価できる。DUPONT法を用いる場合は、まず、衣類から撥水性を有する繊維のみを抜き出して連結し、厚紙に連結した繊維を隣同士隙間が空かないように巻き付けた板巻を作製する。次に、その板巻にイソプロピルアルコール水溶液を滴下し、液滴の浸漬具合に基づいて撥水性を評価すればよい。
上記衣類は、吸水性および速乾性に優れていることが好ましい。
上記吸水性は、JIS L1907で規定される吸水速度法の滴下法で測定した吸水時間に基づいて評価できる。具体的には、衣類を構成する生地に水を1滴滴下し、水滴が生地に吸収され、鏡面反射がなくなるまでの時間(以下、吸水時間ということがある)を測定すればよい。吸水時間は、30秒以下が好ましく、より好ましくは20秒以下である。
上記速乾性は、衣類を構成する生地に水を滴下してから、拡散性残留水分率が10%に達するまでの乾燥時間(分)に基づいて評価できる。具体的には、まず、衣類を構成する生地から10cm×10cmの供試材を切り出し、標準状態(20℃×65%RH)で保持した後の供試材の質量(W0)を測定する。次に、無張力下で広げ、供試材の中央に0.6mLの水を滴下した後の供試材の質量(W1)を測定する。次に、供試材を吊り下げた状態で、所定時間ごとに質量(W2)を測定する。測定した質量に基づいて、下記式を用いて拡散性残留水分率(%)を算出する。供試材に水を滴下してから、拡散性残留水分率が10%に達するまでの乾燥時間は、60分以下が好ましい。
拡散性残留水分率(%)=[(W2−W0)/(W1−W0)]×100
上記衣類を構成する生地の肌側表面の最大静止摩擦係数は、上記電極の表面の最大静止摩擦係数よりも小さいことが好ましい。衣類を構成する生地の肌側表面における最大静止摩擦係数を、上記電極の表面の最大静止摩擦係数よりも相対的に小さくすることによって、衣類の肌離れ性が良好となるため、着用者が動いても衣類は着用者の動きに追随せず、衣類は肌から離れやすくなる。一方、電極の表面の最大静止摩擦係数を、衣類を構成する生地の肌側表面における最大静止摩擦係数よりも相対的に大きくすることによって、着用者が動いても電極は着用者の肌に密着したままとなる。その結果、生体情報を安定的に、精度良く測定できる。
上記最大静止摩擦係数は、具体的には、カトーテック社製の表面試験機KES−SEを用い、各試料から幅12mm、長さ50mmの大きさに採取した供試材を、KES−SEの摩擦子を覆うように貼り付けてから、0.05ml(約80g/m2相当)の純水を付与した湿潤供試材と、エタノール100質量部に対してオレイン酸1.0質量部、スクアレン0.8質量部、トリオレイン2.0質量部からなる人工皮脂を付与して乾燥させたフィルム(PET製、厚さ38μm)との間の最大静止摩擦係数を測定すればよい。荷重は25g/cm2で、感度はHとすればよい。
上記衣類を構成する生地の肌側表面の最大静止摩擦係数は、3.0以下が好ましい。
本発明の衣類は、着用者の肌に接触する電極が形成されていればよく、その形態は特に限定されず、例えば、スポーツインナー、Tシャツ、ポロシャツ、キャミソール、肌着、下着、病衣、または寝間着などが挙げられる。これらの中でも、肌着が好ましい。
上記衣類が、袖を有する場合は、半袖、五分袖、七分袖、長袖等のいずれであってもよく、袖の形状は、ラグラン袖であってもよい。
上記衣類は、胸部、手部、脚部、足部、頸部、または顔部のいずれかを少なくとも覆うことが好ましい。
次に、上記衣類に設ける電極について説明する。
上記電極は、被測定者の運動動作に追従できるように伸縮性を有することが好ましい。
上記伸縮性を有する電極としては、例えば、導電性ファブリックで構成されている電極や、導電性フィラーと柔軟性を有する樹脂を含む導電性組成物から形成されたシート状の電極が挙げられる。
上記導電性ファブリックで構成されている電極としては、例えば、基材繊維に導電性高分子を被覆した導電性繊維または導電糸、あるいは銀、金、銅、ニッケルなどの導電性金属によって表面を被覆した繊維、導電性金属の微細線からなる導電糸、導電性金属の微細線と非導電性繊維とを混紡した導電糸などからなる織物、編物、不織布、あるいはこれら導電性の糸を非導電性の布帛に刺繍した物を導電性ファブリックからなる電極として用いることができる。
上記導電性ファブリックは、身丈方向または身幅方向に14.7Nの荷重をかけたときに、少なくとも一方の伸長率が3%以上60%以下であることが好ましい。上記伸長率が下限値を下回ると、電極が衣類の生地の動きに充分に追従しにくくなり、生地から電極が剥がれることがある。従って上記伸長率は、3%以上が好ましく、より好ましくは5%以上、更に好ましくは10%以上である。しかし、伸長率が上限値を超えると、電極が伸びすぎて生体情報を精度良く計測できないことがある。従って上記伸長率は、60%以下が好ましく、より好ましくは55%以下、更に好ましくは50%以下である。
上記伸長率は、身丈方向または身幅方向で上記範囲を満足することが好ましく、身丈方向および身幅方向の両方において上記範囲を満足することがより好ましい。
上記シート状の電極の材料としては、例えば、導電性が高い導電性フィラーを用いることによって、繊維状電極よりも電気抵抗値を低くすることができるため、微弱な電気信号を検知できる。
上記電極は、生体の電気的情報を検知できる導電層を含み、更に肌とは逆側、即ち、導電層の衣類側に絶縁層を有することが好ましい。以下、衣類側の絶縁層を、第一絶縁層ということがある。
また、上記衣類は、電極の他、該電極と、該電極で取得した電気信号を演算する機能を有する電子ユニット等とを接続する配線を有している。上記配線は、電極で検知した生体の電気信号を電子ユニット等へ伝達するための導電層を含み、更に肌とは逆側、即ち、導電層の衣類側に絶縁層(第一絶縁層)を有することが好ましい。上記配線は、導電層の肌側にも絶縁層を有することが好ましい。以下、肌側の絶縁層を、第二絶縁層ということがある。
以下、導電層、第一絶縁層、第二絶縁層について具体的に説明する。
(導電層)
導電層は、導通を確保するために必要である。
上記導電層は、導電性フィラーと柔軟性を有する樹脂を含むことが好ましく、各成分を有機溶剤に溶解または分散させた組成物(以下、導電性ペーストということがある)を用いて形成できる。
上記導電性フィラーとしては、金属粉、金属ナノ粒子、金属粉以外の導電材料などを用いることができる。上記導電性フィラーは、1種でもよいし、2種以上でもよい。
上記金属粉としては、例えば、銀粉、金粉、白金粉、パラジウム粉等の貴金属粉、銅粉、ニッケル粉、アルミニウム粉、真鍮粉等の卑金属粉、卑金属やシリカ等の無機物からなる異種粒子を銀等の貴金属でめっきしためっき粉、卑金属と銀等の貴金属で合金化した合金化卑金属粉等が挙げられる。これらの中でも、銀粉および/または銅粉が好ましく、低コストで、高い導電性を発現させることができる。
上記金属粉としては、フレーク状粉または不定形凝集粉を主体に(例えば、50質量%以上)用いることが好ましい。フレーク状粉および不定形凝集粉は、球状粉などよりも比表面積が大きいため、低充填量でも導電性ネットワークを形成できるので好ましい。
上記フレーク状粉の粒子径は特に限定されないが、動的光散乱法によって測定した平均粒子径(50%D)が0.5〜20μmが好ましく、より好ましくは3〜12μmである。平均粒子径が20μmを超えると微細配線の形成が困難になることがある。平均粒子径が0.5μm未満では、低充填では粒子間で接触できなくなり、導電性が悪化することがある。上記フレーク状粉としては、例えば、フレーク状銀粉を用いることが好ましい。
上記不定形凝集粉とは、球状もしくは不定形状の1次粒子が3次元的に凝集したものである。上記不定形凝集粉は単分散の形態ではないので、粒子同士が物理的に接触していることから導電性ネットワークを形成しやすいので、さらに好ましい。
上記不定形凝集粉としては、例えば、不定形凝集銀粉を用いることが好ましい。
上記金属ナノ粒子としては、上述した金属粉のうち、粒子径が数ナノ〜数十ナノの粒子を意味する。
上記導電性フィラーに占める金属ナノ粒子の割合は、20体積%以下が好ましく、より好ましくは15体積%以下、更に好ましくは10体積%以下である。金属ナノ粒子の含有割合が多すぎると、樹脂中に均一に分散させ難くなることがあり、また一般に上述のような金属ナノ粒子は高価であることからも、上記範囲に使用量を抑えることが望ましい。
上記金属粉以外の導電材料としては、例えば、グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブ等の炭素系材料が挙げられる。上記金属粉以外の導電材料は、表面に、メルカプト基、アミノ基、ニトリル基を有するか、表面が、スルフィド結合および/またはニトリル基を含有するゴムで表面処理されていることが好ましい。一般に、金属粉以外の導電材料自体は凝集力が強く、アスペクト比が高い金属粉以外の導電材料は、樹脂中への分散性が悪くなるが、表面にメルカプト基、アミノ基またはニトリル基を有するか、スルフィド結合および/またはニトリル基を含有するゴムで表面処理されていることによって、樹脂に対する親和性が増して、分散し、有効な導電性ネットワークを形成でき、高導電性を実現できる。
上記導電性フィラーに占める金属粉以外の導電材料の割合は、20体積%以下が好ましく、より好ましくは15体積%以下、更に好ましくは10体積%以下である。金属粉以外の導電材料の含有割合が多すぎると、樹脂中に均一に分散させ難くなることがあり、また一般に上述のような金属粉以外の導電材料は高価であることからも、上記範囲に使用量を抑えることが望ましい。
上記導電層は、導電性フィラーの種類や、導電性フィラーの添加量等を変化させた2種類以上の導電層を積層したり、配列させて、複数の導電層を一体化したものであっても構わない。
上記導電層は、非導電性粒子を含んでもよく、該非導電性粒子の平均粒子径は0.3〜10μmが好ましい。
上記非導電性粒子としては、例えば、金属酸化物の粒子を用いることができ、具体的には、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化鉄、硫酸バリウム粒子などの金属の硫酸塩、金属の炭酸塩、金属のチタン酸塩等を用いることができる。これらの中でも、硫酸バリウム粒子を用いることが好ましい。
上記柔軟性を有する樹脂としては、例えば、弾性率が1〜1000MPaの熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴムなどが挙げられるが、膜の伸縮性を発現させるためには、ゴムが好ましい。上記柔軟性を有する樹脂は、1種でもよいし、2種以上でもよい。
上記柔軟性を有する樹脂の弾性率は、より好ましくは3〜600MPa、更に好ましく10〜500MPa、特に好ましくは30〜300MPaである。
上記ゴムとしては、例えば、ウレタンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴムや水素化ニトリルゴムなどのニトリル基含有ゴム、イソプレンゴム、硫化ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ化ビニリデンコポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、ニトリル基含有ゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴムが好ましく、ニトリル基含有ゴムが特に好ましい。
上記ニトリル基含有ゴムとしては、ニトリル基を含有するゴムやエラストマーであれば特に限定されないが、ニトリルゴムと水素化ニトリルゴムが好ましい。ニトリルゴムはブタジエンとアクリロニトリルの共重合体であり、結合アクリロニトリル量が多いと金属との親和性が増加するが、伸縮性に寄与するゴム弾性は逆に減少する。従って、アクリロニトリルブタジエン共重合体ゴム中の結合アクリロニトリル量は18〜60質量%が好ましく、40〜55質量%が特に好ましい。
上記導電層は、上述した各成分を有機溶剤に溶解または分散させた組成物(導電性ペースト)を用い、後述する第一絶縁層上に直接形成するか、所望のパターンに塗布または印刷して塗膜を形成し、該塗膜に含まれる有機溶剤を揮散させて乾燥させることによって形成できる。上記導電層は、上記導電性ペーストを離型シート等の上に塗布または印刷して塗膜を形成し、該塗膜に含まれる有機溶剤を揮散させて乾燥させることによって予めシート状の導電層を形成しておき、それを所望のパターンで後述する第一絶縁層上に積層して形成してもよい。
上記導電性ペーストは、粉体を液体に分散させる従来公知の方法を採用して調製すればよく、柔軟性を有する樹脂を有する樹脂中に導電性フィラーを均一に分散することによって調製できる。例えば、金属粉、金属ナノ粒子、金属粉以外の導電材料などと、樹脂溶液を混合した後、超音波法、ミキサー法、3本ロールミル法、ボールミル法などで均一に分散すればよい。これらの手段は、複数を組み合わせて用いることができる。
上記導電性ペーストを塗布または印刷する方法は特に限定されないが、例えば、コーティング法、スクリーン印刷法、平版オフセット印刷法、インクジェット法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、スタンピング法、ディスペンス法、スキージ印刷などの印刷法などを採用できる。
上記導電層の乾燥膜厚は、10〜150μmが好ましく、より好ましくは20〜130μm、更に好ましくは30〜100μmである。上記導電層の乾燥膜厚が薄すぎると、電極および配線が、繰り返し伸縮を受けて劣化しやすく、導通が阻害ないし遮断される虞がある。一方、上記導電層の乾燥膜厚が厚すぎると、伸縮性が阻害され、また、電極および配線が厚くなりすぎ、着心地が悪くなる虞がある。
(第一絶縁層)
上記第一絶縁層は、絶縁層として作用する他、電極および配線の導電層を生地に形成するための接着層として作用すると共に、着用時に第一絶縁層が積層された生地の反対側(即ち、衣類の外側)からの水分が導電層に達することを防ぐ止水層としても作用する。また、導電層の衣類側に第一絶縁層を設けることによって、第一絶縁層が、生地の伸びを抑制し、導電層が過度に伸長されるのを防ぐことができる。その結果、第一絶縁層にクラックが発生することを防止できる。これに対し、上述したように、上記導電層は、良好な伸長性を有するものであるが、生地が導電層の伸長性を超えた伸び性に富む素材の場合、生地表面に導電層を直接形成すると、生地の伸びに追随して導電層が伸ばされ過ぎ、その結果、導電層にクラックが発生すると考えられる。
上記第一絶縁層は、絶縁性を有する樹脂で構成すればよく、樹脂の種類は特に制限されない。
上記樹脂としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステルエラストマー等を好ましく用いることができる。これらの中でも、ポリウレタン系樹脂がより好ましく、導電層との接着性が一層良好となる。
上記第一絶縁層を構成する樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
上記第一絶縁層の形成方法は特に限定されないが、例えば、絶縁性を有する樹脂を、溶剤(好ましくは水)に溶解または分散させて、離型紙または離型フィルム上に塗布または印刷し、塗膜を形成し、該塗膜に含まれる溶剤を揮発させて乾燥させることによって形成できる。また、市販されている樹脂シートまたは樹脂フィルムを用いることもできる。
上記第一絶縁層の平均膜厚は10〜200μmが好ましい。上記第一絶縁層が薄すぎると、絶縁効果および伸び止め効果が不充分になることがある。従って上記第一絶縁層の平均膜厚は10μm以上が好ましく、より好ましくは30μm以上、更に好ましくは40μm以上である。しかし、上記第一絶縁層が厚すぎると、電極および配線の伸縮性が阻害されることがある。また、電極および配線が分厚くなりすぎ、着心地が悪くなるおそれがある。従って上記第一絶縁層の平均膜厚は200μm以下が好ましく、より好ましくは180μm以下、更に好ましくは150μm以下である。
(第二絶縁層)
上記配線は、前記導電層の上に、第二絶縁層が形成されていることが好ましい。第二絶縁層を設けることによって、例えば、雨、雪、汗などの水分が導電層に接触することを防止できる。
上記第二絶縁層を構成する樹脂としては、上述した第一絶縁層を構成する樹脂と同様のものが挙げられ、好ましく用いられる樹脂も同じである。
上記第二絶縁層を構成する樹脂も、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。
上記第二絶縁層を構成する樹脂は、上記第一絶縁層を構成する樹脂と、同じであってもよいし、異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。同じ樹脂を用いることによって、導電層の被覆性および配線の伸縮時における応力の偏りによる導電層の損傷を低減できる。
上記第二絶縁層は、上記第一絶縁層と同じ形成方法で形成できる。また、市販されている樹脂シートまたは樹脂フィルムを用いることもできる。
上記第二絶縁層の平均膜厚は10〜200μmが好ましい。上記第二絶縁層が薄すぎると、繰り返し伸縮したときに劣化しやすく、絶縁効果が不充分になることがある。従って上記第二絶縁層の平均膜厚は10μm以上が好ましく、より好ましくは30μm以上、更に好ましくは40μm以上である。しかし、上記第二絶縁層が厚すぎると、配線の伸縮性が阻害され、また配線の厚みが厚くなりすぎて着心地が悪くなる虞がある。従って上記第二絶縁層の平均膜厚は200μm以下が好ましく、より好ましくは180μm以下、更に好ましくは150μm以下である。
上記電極および配線は、10%伸長時にかかる単位幅当りの荷重が、100N/cm以下であることが好ましい。10%伸長時にかかる単位幅当りの荷重が100N/cmを超えると、電極および配線の伸長が、生地の伸長に追従し難くなり、衣類を着用したときの着心地を阻害することがある。従って10%伸長時にかかる単位幅当りの荷重は、100N/cm以下が好ましく、より好ましくは80N/cm以下、更に好ましくは50N/cm以下である。
上記電極および配線は、20%伸長時における電気抵抗の変化倍率が5倍以下であることが好ましい。20%伸長時における電気抵抗の変化倍率が5倍を超えると、導電性の低下が著しくなる。従って20%伸長時における電気抵抗の変化倍率は5倍以下であることが好ましく、より好ましくは4倍以下、更に好ましくは3倍以下である。
上記電極と配線は、異なる材料で構成されていてもよいが、同じ材料で構成されていることが好ましい。
上記電極と配線を同じ材料で構成する場合は、配線の幅は1mm以上とすることが好ましく、より好ましくは3mm以上、更に好ましくは5mm以上である。配線幅の上限は特に限定されないが、例えば、10mm以下とすることが好ましく、より好ましくは9mm以下、更に好ましくは8mm以下である。
上記電極および配線は、衣類を構成する生地に直接形成することが好ましい。
上記電極および配線を生地に形成する方法としては、電極および配線の伸縮性を妨げない方法であれば特に限定されず、着用時の身体へのフィット性や運動時、動作時の追従性などの観点から、例えば、接着剤による積層や熱プレスによる積層など、公知の方法が採用できる。接着剤による積層や熱プレスによる積層を行う場合、上記生地には、シリコン系柔軟剤やフッ素系撥水剤のように、接着性を損なう材料が付着していないことが望ましい。該当生地の場合、構成によっては、接着面の一部に撥水剤としてシリコン含有ポリマーやフッ素含有ポリマーを用いた糸を用いているため、接着性が妨げられることがあるが、加工条件、例えば、接着時の圧力を上げたり、接着層の厚みを厚くするなどの方法によって、接着性を調整できる。
上記電極は、衣類の胸郭部または胸郭下腹部に設けられていることが好ましい。上記電極を、衣類の胸郭部または胸郭下腹部に設けることによって、生体情報を精度良く測定できる。上記電極は、衣類のうち、着用者の第七肋骨上端と第九肋骨下端との間の肌に接触する領域に設けることがより好ましい。
上記電極は、衣類のうち、着用者の左右の後腋窩線に平行な線であって、着用者の後腋窩線から着用者の背面側に10cm離れた場所に引いた線同士で囲まれる着用者の腹側の領域に設けることが好ましい。
上記電極は、着用者の胴回りに沿って、円弧状に設けることが好ましい。
上記衣類に設ける電極の数は、少なくとも2つであり、2つの電極を、衣類の胸郭部または胸郭下腹部に設けることが好ましく、2つの電極を、着用者の左右の後腋窩線に平行な線であって、着用者の後腋窩線から着用者の背面側に10cm離れた場所に引いた線同士で囲まれる着用者の腹側の領域に設けることが好ましい。なお、電極を3つ以上設ける場合は、3つ目以降の電極を設ける位置は特に限定されず、例えば、後身頃生地に設けてもよい。
上記電極面の電気抵抗値は、1000Ω/cm以下が好ましく、より好ましくは300Ω/cm以下、更に好ましくは200Ω/cm以下、特に好ましくは100Ω/cm以下である。特に、上記電極の形態がシート状の場合は、電極面の電気抵抗値を、通常、300Ω/cm以下に抑えることができる。
上記電極の形態は、シート状が好ましい。電極をシート状にすることによって、電極面を広くできるため、着用者の肌との接触面積を確保できる。上記シート状の電極は、曲げ性が良好であるものが好ましい。また、上記シート状の電極は、伸縮性を有するものが好ましい。
上記シート状の電極の大きさは、身体からの電気信号を計測できれば特に限定されないが、電極面の面積は5〜100cm2であり、電極の平均厚みは10〜500μmが好ましい。
上記電極面の面積は、より好ましくは10cm2以上、更に好ましくは15cm2以上である。上記電極面の面積は、より好ましくは90cm2以下、更に好ましくは80cm2以下である。
上記電極が薄すぎると導電性が不充分になることがある。従って平均厚みは10μm以上が好ましく、より好ましくは30μm以上、更に好ましくは50μm以上である。しかし、厚くなり過ぎると、着用者に異物感を感じさせ、不快感を与えることがある。従って平均厚みは500μm以下が好ましく、より好ましくは450μm以下、更に好ましくは400μm以下である。
上記電極の形状は、電極を配置する位置に相当する身体の曲線に沿い、且つ身体の動きに追随して密着しやすい形状であれば特に限定されず、例えば、四角形、三角形、五角形以上の多角形、円形、楕円形等が挙げられる。電極の形状が多角形の場合は、頂点に丸みを付け、肌を傷付けないようにしてもよい。
上記配線は、導電性繊維または導電性糸を用いて形成してもよい。
上記導電性繊維または導電性糸としては、絶縁物である繊維表面に金属をメッキしたもの、細い金属線を糸に撚り込んだもの、導電性の高分子をマイクロファイバーなどの繊維間に含浸させたもの、細い金属線等を用いることができる。
上記配線の平均厚みは、10〜500μmが好ましい。厚みが薄すぎると導電性が不充分になることがある。従って平均厚みは10μm以上が好ましく、より好ましくは30μm以上、更に好ましくは50μm以上である。しかし、厚みが厚くなり過ぎると、着用者に異物感を感じさせ、不快感を与えることがある。従って平均厚みは500μm以下が好ましく、より好ましくは450μm以下、更に好ましくは400μm以下である。
上記配線の形状は特に限定されず、直線、曲線の他、冗長性を有する幾何学パターンであってもよい。冗長性を有する幾何学パターンとしては、例えば、ジグザグ状、連続馬蹄状、波状などが挙げられる。冗長性を有する幾何学パターンの電極は、例えば、金属箔を用いて形成できる。
上記衣類は、電極で取得した電気信号を演算する機能を有する電子ユニット等を備えていることが好ましい。上記電子ユニット等において、電極で取得した電気信号を演算、処理することによって、例えば、心電、心拍数、脈拍数、呼吸数、血圧、体温、筋電、発汗などの生体情報が得られる。
上記電子ユニット等は、衣類に着脱できることが好ましい。
上記電子ユニット等は、更に、表示手段、記憶手段、通信手段、USBコネクタなどを有することが好ましい。
上記電子ユニット等は、例えば、気温、湿度、気圧などの環境情報を計測できるセンサや、GPSを用いた位置情報を計測できるセンサなどを備えてもよい。
上記衣類を用いることにより、人の心理状態や生理状態を把握する技術への応用もできる。例えば、リラックスの度合いを検出してメンタルトレーニングしたり、眠気を検出して居眠り運転を防止したり、心電図を計測してうつ病やストレス診断等を行うことができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前記および後記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
着用者の肌に接触する電極が形成されている衣類を製造し、吸水性および速乾性を評価した。また、衣類を構成する生地の肌側表面の最大静止摩擦係数、および電極の表面の最大静止摩擦係数を測定した。
(発明例)
上記衣類として、衣類を染液に30秒間浸漬した後、該衣類の肌側とその反対側を観察したときに、肌側の方の着色が少ないものを準備した。具体的には、28ゲージ両面丸編み機を用い、表側編組織はポリエステル110Tデシテックス48フィラメントの丸型断面の通常の仮撚加工糸を用い、裏側(肌面)編組織はポリエステル84デシテックス36フィラメント丸型断面の仮撚加工糸に撥水加工を施した糸状、および33デシテックス12フィラメントの丸型断面の通常の仮撚加工糸を用いて編成した。
ポリエステル84デシテックス36フィラメント丸型断面の仮撚加工糸への撥水加工は以下の様に行った。
まず、仮撚加工糸を密度0.29g/cm3の密度にチーズ状に捲き直し、更にプレスして密度0.45g/cm3のチーズを作った。次に、オーバーマイヤー糸染染色機で精練した後、フッ素系撥水加工剤「アサヒガードAG−7000」を5g/L溶液で40℃×20分処理し、脱水、乾燥させた。このときの脱水時のピックアップ率は40%であった。
得られた生機に対してヒラノテクシード製ピンテンターを用いて160℃×2分のプリセットを行い、その後、下記の処方で精練、染色仕上げ加工を行なった。
精練処方:日阪製作所製液流染色機NSタイプを用いて里田加工のノニゾールNを1g/l、日華化学のネオクリスタル CG1000を0.5g/l、ソーダ灰を0.5g/l、浴比1:15、95℃×30分。
染色処方:日阪製作所製液流染色機NSタイプ、浴比1:15、130℃×45分で酢酸0.2g/l、pH=4、明成化学のディスパーN 700を0.5g/l、日華化学のネオクリスタル GC1000を0.5g/l、高松油脂のSR1800を1.5%o.w.f(吸水加工剤)、蛍光染料を0.25%omf染色後、遠心脱水、乾燥(120℃×3分)を行ない、以下の条件で仕上げ剤を付与した。仕上げ剤のピックアップは70%であった。
帯電防止剤として、サンスタットのES−11を1%ows用いた。
その後、最終セットをピンテンター160℃×2分の条件で行ない、目的の密度となるように調整し、最終生地を得た。その際にもテンター幅は編地の皺を取る程度の幅として、仕上げた編地を縦横に極力引っ張らないように注意した。
(比較例)
上記衣類として、衣類を染液に30秒間浸漬した後、該衣類の肌側とその反対側を観察したときに、肌側とその反対側で着色の程度が同じものを準備した。具体的には、米国綿スーピマ100%の英式綿番手50番手コーマ糸[C50s]を用いて、18インチ−18ゲージのフライス編機LRB(永田精機)で製編したフライスを用いた。編成時の編成条件は糸長480mm/100ウェールであった。
編成した編地を開反せず、液流染色機にて精練・漂白し、綿の染色(反応染料、住化ケムテックス製の「Sumifix Supra Blue BRF」、生地付着量は1%o.w.f)を行った。その後、柔軟処理を行ってから染色機から取り出して、遠心脱水して、荒繰り、丸セット仕上げを行った。得られた生地の目付は93g/m、丸巾(W)は35cmであった。
次に、得られた生地に電極および配線を形成すると共に、電子ユニットを取り付けて上記衣類を製造した。
上記電極および配線は、次の手順で形成した。
(導電性ペースト)
ニトリルゴム(日本ゼオン社製の「Nipol DN003」)20質量部を、イソホロン80質量部に溶解し、NBR溶液を作製した。得られたNBR溶液100質量部に、銀粒子(DOWAエレクトロニクス製の「凝集銀粉G−35」、平均粒子径5.9μm)110質量部を配合し、3本ロールミルにて混練し、導電ペーストを得た。
(電極および配線)
上記導電性ペーストを離型シートの上に塗布し、120℃の熱風乾燥オーブンで30分以上乾燥することによって、離型シート付きシート状導電層を作製した。
次に、離型シート付きシート状導電層の導電層表面に、ポリウレタンホットメルトシートを貼り合わせた後、上記離型シートを剥がし、ポリウレタンホットメルトシート付きシート状導電層を得た。上記ポリウレタンホットメルトシートは、ホットプレス機を用い、圧力0.5kg/cm2、温度130℃、プレス時間20秒の条件で積層した。
次に、長さ13cm、幅2.4cmのポリウレタンホットメルトシート上に、長さ12cm、幅2cmのポリウレタンホットメルトシート付きシート状導電層のポリウレタンホットメルトシート側を、長さ方向の一端を揃えて積層し、ポリウレタンホットメルトシートとシート状導電層の積層体を作製した。ポリウレタンホットメルトシートが、上述した第一絶縁層に相当する。
次に、上記第一絶縁層と導電層の一部を覆うように、長さ5cm、幅2.4cmの領域に、上記第一絶縁層を形成したものと同じポリウレタンホットメルトシートを端から2cm離した部分から積層することにより、一部の導電層の上に第二絶縁層を形成した。即ち、端部に導電層が露出した長さ2cm×幅2cmのデバイス接続部、第一絶縁層/導電層/第二絶縁層の積層構造を有する絶縁部、反対の端部に導電層が露出した長さ5cm×幅2cmの電極がこの順で長手方向に配置された伸縮性電極パーツを作製した。
次に、得られた衣類の前身頃生地の内側、即ち、着用者の肌に電極面が接触する側の所定位置に、伸縮性電極パーツを2枚、左右対称になる形で貼り付け、上記衣類を製造した。前身頃生地に設けた電極の数は2つとし、電極2個の電極面の合計面積は22cm2、電極の平均厚みは90μmであった。
次に、電極を設けた生地の吸水性および速乾性を評価した。
吸水性は、JIS L1907で規定される吸水速度法の滴下法で測定した吸水時間に基づいて評価した。具体的には、得られた生地に水を1滴滴下し、水滴が吸収されるまでの時間(吸水時間)を測定した。その結果、発明例の生地の吸水時間は10秒であり、比較例の生地の吸水時間は50秒であった。
速乾性は、衣類を構成する生地に水を滴下してから、拡散性残留水分率が10%に達するまでの乾燥時間(分)に基づいて評価した。具体的には、まず、得られた生地から10cm×10cmの供試材を切り出し、標準状態(20℃×65%RH)で保持した後の供試材の質量(W0)を測定した。次に、無張力下で広げ、供試材の中央に0.6mLの水を滴下した後の供試材の質量(W1)を測定した。次に、供試材を吊り下げた状態で、所定時間ごとに質量(W2)を測定した。測定した質量に基づいて、下記式を用いて拡散性残留水分率(%)を算出した。その結果、供試材に水を滴下してから、拡散性残留水分率が10%に達するまでの乾燥時間は、発明例の生地は40分、比較例の生地は70分であった。
拡散性残留水分率(%)=[(W2−W0)/(W1−W0)]×100
次に、得られた生地、および電極の表面における肌離れ性を評価した。肌離れ性は、最大静止摩擦係数に基づいて評価した。具体的には、カトーテック社製の表面試験機KES−SEを用い、各試料から幅12mm、長さ50mmの大きさに採取した供試材を、KES−SEの摩擦子を覆うように貼り付けてから、0.05ml(約80g/m2相当)の純水を付与した湿潤供試材と、エタノール100質量部に対してオレイン酸1.0質量部、スクアレン0.8質量部、トリオレイン2.0質量部からなる人工皮脂を付与して乾燥させたフィルム(PET製、厚さ38μm)との間の最大静止摩擦係数を測定した。荷重は25g/cm2で、感度はHとした。その結果、発明例の生地の最大静止摩擦係数は2.2、比較例の生地の最大静止摩擦係数は3.2、電極の表面における最大静止摩擦係数は3.5であった。
以上の結果から、次のように考察できる。発明例で得られた生地は、吸水性および速乾性に優れており、しかも肌離れ性に優れていた。一方、比較例で得られた生地は、吸水性および速乾性が悪く、肌離れ性も悪かった。よって、発明例で得られた生地を用いた衣類は、湿潤しても衣類が肌から速やかに離れるため、電極が引っ張られて肌から剥離しないため、生体情報を安定的に、精度良く計測できる。

Claims (8)

  1. 着用者の肌に接触する電極が形成されている衣類であって、
    前記衣類を染液に30秒間浸漬した後、該衣類の肌側とその反対側を観察したときに、肌側の方の着色が少ないことを特徴とする衣類。
  2. 前記衣類の肌側の少なくとも一部に、疎水性繊維または撥水性を有する繊維が形成されている請求項1に記載の衣類。
  3. 吸水時間が30秒以下で、
    乾燥時間が60分以下であり、
    前記衣類を構成する生地の肌側表面の最大静止摩擦係数が、前記電極の表面の最大静止摩擦係数よりも小さい請求項1または2に記載の衣類。
  4. 前記肌側表面の最大静止摩擦係数が3.0以下である請求項1〜3のいずれかに記載の衣類。
  5. 前記電極は、導電性ファブリックで構成されており、
    該導電性ファブリックは、身丈方向または身幅方向に14.7Nの荷重をかけたときに、少なくとも一方の伸長率が3%以上60%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の衣類。
  6. 前記電極は、導電性フィラーおよびエラストマーを少なくとも含むものである請求項1〜5のいずれかに記載の衣類。
  7. 前記衣類は、胸部、手部、脚部、足部、頸部、または顔部のいずれかを少なくとも覆うものである請求項1〜6のいずれかに記載の衣類。
  8. 前記衣類は、肌着である請求項1〜7のいずれかに記載の衣類。
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