WO2023210538A1 - ベルト、及び被服 - Google Patents

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Abstract

【課題】導電性繊維生地、又は導電性エラストマー生地のみで形成された電極に比べて耐ノイズ性、耐久性の高い電極を用いたベルト、又は被服を提供する。 【解決手段】被服Cは、検出領域F1において電極1と、絶縁性繊維生地2とを有する。電極1は、着用者Pの身体に接触するように被服Cにおいて検出領域F1の内側に設けられている。絶縁性繊維生地2は、着用者Pに着用される被服素材であって、被服Cの大部分を構成する生地である。電極1は、導電性繊維生地層11、導電性エラストマー層12、を有する。導電性繊維生地層11は、導電性を有する導電性繊維を含む糸を織り、又は編む等して形成された繊維生地である。導電性エラストマー層12は、導電性繊維生地層11の内側の面にエラストマー組成物120、及び導電性フィラー121を含むペーストを塗布し、そのペーストを乾燥させて形成される。

Description

ベルト、及び被服
 本発明は、生体電位を検出可能な電極を有するベルト、及び被服に関する。
 着用者の生体電位を検出するために導電性繊維を用いた繊維生地が開発されている。特許文献1には、選択的に露出される導電性繊維と、繊維構造に弾力性を与える非導電性繊維と、が個別に織られた組合せで形成される繊維生地インタフェースが記載されている。
特表2007-527956号公報
 特許文献1に示す通り、例えば、導電性を有する繊維(導電性繊維)を含む糸を織って形成された繊維生地インタフェースは、表面に繊維特有の凹凸があり、身体との密着性が低い。そのため、従来の繊維生地インタフェース等の電極は、体動によって電極がノイズを拾ってしまうことがあった。また、従来の電極のシート抵抗は、10-1Ω/□程度であった。
 また、この繊維生地インタフェースは、衣服に編み込まれて利用されることがあるが、この衣服を複数回にわたって洗濯すると、その一部が剥離、脱落して導電性を失い、機能しなくなることがあった。特に、洗濯に用いられる洗剤、リネン液には、酸性のもの、アルカリ性のもの等、各種の薬品が含まれるため、繊維生地インタフェースは、洗濯の際にそれら薬品と反応し、導電性を失うことがある。これらの体動における耐ノイズ性、洗濯等に対する耐久性は、糸を織ったもの、編んだものに限らず、例えば不織布等も含めて繊維生地インタフェース全般に関する課題である。
 ところで、生体電位等を測定するための電極は、繊維生地インタフェースのほか、導電性エラストマー生地も含まれる。しかし、導電性エラストマー生地だけで構成された電極にも、繊維生地インタフェースと同様に耐ノイズ性、耐久性に課題があった。
 本発明は、導電性繊維生地、又は導電性エラストマー生地のみで形成された電極に比べて耐ノイズ性、耐久性の高い電極を用いたベルト、又は被服を提供することを目的とする。
 本発明の請求項1に係る被服は、着用者に着用される被服素材と、前記被服素材の表面のうち、着用時に前記着用者の身体に接触する位置に設けられている電極と、を有し、前記電極は、導電性を有する繊維生地である導電性繊維生地層と、前記導電性繊維生地層の少なくとも一方の面に形成された、エラストマー組成物及び導電性フィラーを含む導電性エラストマー層と、を有することを特徴とする被服である。
 本発明の請求項2に係る被服は、請求項1に記載の態様において、前記電極は、前記着用者の胴体のうち、剣状突起と同じ高さの部位に接触することを特徴とする被服である。
 本発明の請求項3に係るベルトは、伸縮性を有するベルト部材と、前記ベルト部材の表面のうち、該ベルト部材を着用者に巻きつけたときに該着用者の身体に接触する位置に設けられている電極と、を有し、前記電極は、導電性を有する繊維生地である導電性繊維生地層と、前記導電性繊維生地層の少なくとも一方の面に形成された、エラストマー組成物及び導電性フィラーを含む導電性エラストマー層と、を有することを特徴とするベルトである。
 本発明の請求項4に係るベルトは、請求項3に記載の態様において、前記電極は、前記着用者の胴体のうち、剣状突起と同じ高さの部位に接触することを特徴とするベルトである。
 本願に係る発明によれば、導電性繊維生地、又は導電性エラストマー生地のみで形成されたものに比べて耐ノイズ性、耐久性が向上する。
本実施形態に係る被服Cの外観を示す図。 被服Cの検出領域F1における断面の例を示す図。 絶縁性繊維生地2の構成の例を示す図。 導電性繊維生地層11の構成の例を示す図。 導電性複合糸111の例を示す図。 ペーストを塗布する前の導電性繊維生地層11の様子を示す図。 ペーストを塗布したときの導電性繊維生地層11の様子を示す図。 ペーストを乾燥させた後の電極1の様子を示す図。 検出領域F1の位置の例を示す図。 検出領域F2の位置の例を示す図。 変形例における導電性エラストマー層12の形成初期の例を示す図。 変形例における導電性エラストマー層12の形成中の例を示す図。 変形例における導電性エラストマー層12の最終段階の例を示す図。 変形例におけるベルトBの例を示す図。 変形例におけるベルトBの着用状態の例を示す図。 洗濯を模擬した負荷による電極への影響実験の流れを示すフロー図。 未処理の試料A1の表面を撮影したもの。 未処理の試料A1の断面を撮影したもの。 5回処理をした試料A1の表面を撮影したもの。 5回処理をした試料A1の断面を撮影したもの。 未処理の試料A2の表面を撮影したもの。 未処理の試料A2の断面を撮影したもの。 5回処理をした試料A2の表面を撮影したもの。 5回処理をした試料A2の断面を撮影したもの。 表2を示すグラフ。
<実施形態>
<被服の外観>
 図1は、本実施形態に係る被服Cの外観を示す図である。被服Cは、着用者Pに着用され、その身体に接触してその生体電位を検出する。
 生体情報は、検出した生体電位から得られる情報であり、例えば、心電、心拍、呼吸、脈波、体温、筋電、脳波、眼球電位、血圧、発汗量、血糖値、湿度等が挙げられる。生体情報は、着用者Pの身体が電極領域に触れることで得られる情報であれば何でもよい。以下の説明で生体情報は心電である。また、以下の説明で被服C等の「内側」とは、着用者Pの身体に近い側であり、「外側」とは、着用者Pの身体から遠い側である。
 図1に示す被服Cは、着用者Pが上半身に着用する衣服である。被服Cの前面で、着用者Pの胸部と腹部との間には、検出領域F1が設けられている。
<電極の構成>
 図2は、被服Cの検出領域F1における断面の例を示す図である。図2に示す通り、被服Cは、検出領域F1において電極1と、絶縁性繊維生地2とを有する。電極1は、着用者Pの身体に接触するように被服Cにおいて検出領域F1の内側に設けられている。したがって、この被服Cは、着用者に着用される被服素材と、被服素材の表面のうち、着用時に着用者の身体に接触する位置に設けられている電極と、を有する被服の例である。
 なお、被服Cは、電極1で検出される生体信号を外部機器に送信する送信機、送信機と電極1とを通信可能に接続する配線、及び配線と電極1とをそれぞれ保護するための絶縁部材、等を有してもよい。絶縁部材は、例えば、加熱及び加圧することにより絶縁性繊維生地2に接着されるウレタンシート等である。
 絶縁性繊維生地2は、着用者Pに着用される被服素材であって、被服Cの大部分を構成する生地である。この絶縁性繊維生地2は、電気を伝え難い繊維(絶縁性繊維という)を織り、又は編む等して形成された繊維生地である。絶縁性繊維生地2は、例えば、編地、織地、不織布等である。
 図3は、絶縁性繊維生地2の構成の例を示す図である。図3に示す絶縁性繊維生地2は、絶縁性繊維21を編んで形成される。
 絶縁性繊維21は、着用者Pの身体に密着しやすいように、弾性の高い繊維(弾性繊維)であることが望ましい。弾性繊維は、伸縮率が少なくとも50%以上である繊維が望ましい。この弾性繊維は、例えば、ポリウレタンである。また、絶縁性繊維21に用いられる弾性繊維は、ポリウレタンに限られず、例えば、弾性を有するポリエステル、天然ゴム繊維、熱収縮させたナイロン等であってもよい。また、絶縁性繊維21は、複数種類の絶縁性繊維で形成される複合糸であってもよい。
 図2に示す電極1は、導電性繊維生地層11、導電性エラストマー層12、及び浸漬層13を有する。この電極1のうち、導電性繊維生地層11は、最も外側の層であり、導電性エラストマー層12は最も内側の層である。そして、浸漬層13は、導電性繊維生地層11に含まれる層であって、導電性繊維生地層11と導電性エラストマー層12との間に挟まれた層である。
 導電性繊維生地層11は、導電性を有する繊維生地である導電性繊維生地層の例である。ここで導電性繊維生地層11は、導電性を有する繊維(導電性繊維という)を含む糸を織り、又は編む等して形成された繊維生地である。図2に示す導電性繊維生地層11は、絶縁性繊維生地2と一体に形成される。なお、導電性繊維生地層11は、絶縁性繊維生地2と一体に形成されるものに限らない。導電性繊維生地層11は、例えば、絶縁性繊維生地2と別に導電性繊維を含む糸を用いて編地、織地等として形成され、絶縁性繊維生地2に縫い付けられてもよい。
 図4は、導電性繊維生地層11の構成の例を示す図である。例えば、導電性繊維生地層11は、図4に示すように、上述した絶縁性繊維21に導電性複合糸111を編み込んで形成される。導電性繊維生地層11は、共通の絶縁性繊維21を編み込むことにより絶縁性繊維生地2と段差がないように一体に形成されてもよい。
 図5は、導電性複合糸111の例を示す図である。この導電性複合糸111は、弾性繊維1110に導電性繊維1111を巻きつけて形成される複合糸である。
 弾性繊維1110は、比較的、弾性の高い繊維である。この弾性繊維1110は、伸縮率が少なくとも50%以上である繊維が望ましい。この弾性繊維1110は、例えば、ポリウレタンである。この弾性繊維1110は、例えば、弾性を有するポリエステル、天然ゴム繊維、熱収縮させたナイロン等であってもよい。また、この弾性繊維1110は、絶縁性繊維21に共通して用いられていてもよい。
 導電性繊維1111は、導電性を有する繊維であり、非導電性の繊維(非導電性繊維という)に導電性物質を付加したものである。導電性物質は、例えば、銀、銅、ステンレス、ニッケル、アルミ等の金属である。また、導電性物質は、カーボン、導電性高分子等の非金属であってもよい。
 つまり、図5に示す導電性複合糸111は、導電性繊維を含む糸の例であり、導電性繊維を弾性繊維に巻きつけてなる導電性複合糸の例である。そして、この導電性複合糸111を絶縁性繊維21に編み込んで形成される導電性繊維生地層11は、電気を絶縁する絶縁性繊維に導電性繊維を含む糸を編み込んで形成される導電性繊維生地層の例である。
 非導電性繊維への導電性物質の付加は、例えば、無電解金属めっき処理等の湿式皮膜処理により行われる。図5に示す導電性繊維1111は、例えば、ナイロンに銀めっきを施した糸である。この導電性繊維1111は、生体電位を安定して検出するため、ナイロンに対する銀の比率は10質量パーセント以上であればよいが、20質量パーセント以上であることが望ましく、30質量パーセント以上であることがより望ましい。
 なお、非導電性繊維に導電性物質を付加する方法は湿式皮膜処理に限られず、例えば、蒸着、スパッタリング、金属泊の接着、含浸等であってもよい。導電性繊維1111は、例えば、アクリル繊維に硫化銅を含浸させて形成されてもよい。
 導電性繊維1111に用いられる非導電性繊維は、例えば、ナイロンである。なお、この非導電性繊維は、導電性が決められた閾値を下回る繊維であればよい。したがって、非導電性繊維は、例えば、セルロース、生糸等の天然繊維、又は他の合成繊維であってもよい。非導電性繊維に天然繊維を用いることにより、被服Cは、着用者Pが合成繊維にアレルギーがある場合でも着用可能となる。
 なお、導電性繊維1111は、導電性を有していれば、非導電性繊維を含まなくてもよい。また、導電性繊維生地層11は、全体として導電性を有していれば、絶縁性繊維21に編み込まれていなくてもよい。例えば、導電性繊維生地層11は、導電性複合糸111のみを編んで形成されてもよい。
 図5に示す導電性複合糸111は、弾性繊維1110を芯糸としてその周囲に二重に導電性繊維1111を巻きつけて形成される。すなわち、導電性複合糸111は、ダブルカバードヤーンにより形成される。
 この導電性複合糸111は、図5に示す通り、まず、弾性繊維1110に導電性繊維1111である下巻糸1111aを巻きつけ、その上に逆方向に導電性繊維1111である上巻糸1111bを巻きつけて形成される。
 導電性エラストマー層12は、導電性繊維生地層11の内側の面にペーストを塗布し、そのペーストを乾燥させて形成される。
 図6は、ペーストを塗布する前の導電性繊維生地層11の様子を示す図である。上述した通り、導電性繊維生地層11は、絶縁性繊維生地2の少なくとも一方の面に、例えば段差がないように形成される。面110は、導電性繊維生地層11のうち、着用者P(図6において図示せず)に近い側、つまり内側の面である。
 図7は、ペーストを塗布したときの導電性繊維生地層11の様子を示す図である。図7に示す通り、この導電性繊維生地層11の内側の面110には、エラストマー組成物120、及び導電性フィラー121を含むペーストが塗布される。
 図7に示すエラストマー組成物120は、エラストマーを溶媒に溶解したものである。このエラストマーは、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、スチレンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム等である。
 上述したエラストマーを溶解する溶媒は、例えば、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ハロアルカン類、カルボン酸アミド類、スルホキシド類等が用いられる。
 脂肪族炭化水素類は、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、オクタン、デカン、テトラデカン等である。芳香族炭化水素類は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、トリフルオロメチルベンゼン、ベンゾトリフルオリド等である。エーテル類は、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキサン、テトラヒドロフラン等である。ハロアルカン類は、ジクロロメタン、クロロホルム、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン等である。カルボン酸アミド類は、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等である。スルホキシド類は、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等である。なお、溶媒は、これらのうち一種類であってもよく、また、これらの二種類以上を任意の比率で混合したものであってもよい。
 ペースト中におけるエラストマーの含有量は、ペーストの固形分全体に対して、3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、7質量%以上であることがさらに好ましい。また、ペースト中におけるエラストマーの含有量は、ペーストの固形分全体に対して、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。
 図7に示す導電性フィラー121は、導電性を有する微細な固体である。この導電性フィラー121は、特に限定はされないが、例えば、銅、銀、金、ニッケル、錫、鉛、亜鉛、ビスマス、アンチモン、或いはこれらを合金化した金属粉、導電有機化合物、導電性カーボン材料のうちの少なくとも一種類、あるいは、これらのうちの二種以上を含む。
 導電性フィラーは、導電性の高さ、又は入手容易性の高さから、銀、又は銅を含むことが好ましい。すなわち、導電性フィラーは、銀粉、又は銅粉を含むことが好ましい。導電性フィラーは他種金属でコートしたものでもよい。
 導電性フィラーの形状には制限がないが、樹枝状、球状、リン片状等の従来から用いられているものが使用できる。
 上述したペーストは、エラストマー組成物120に導電性フィラー121を添加して製造される。添加された導電性フィラー121は、エラストマー組成物120の中で互いに接触し、ペースト全体に導電性を付与する。
 ペースト中における導電性フィラーの含有量は、ペーストの固形分全体に対して、60質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。また、ペースト中における導電性フィラーの含有量は、ペーストの固形分全体に対して、90質量%以下であることが好ましく、88質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下であることがさらに好ましい。
 上述したペーストは、必要に応じ、シリカ粒子を含んでいてもよい。このシリカ粒子を含ませることにより、ペーストから形成される硬化物の硬さや機械的強度の向上を図ることができる。
 このシリカ粒子は、比表面積が10~400m2/gであることが好ましく、20~400m2/gであることがより好ましい。また、そのメディアン径D50が1~100nmであることが好ましく、5~20nmであることがより好ましい。シリカ粒子として、かかる比表面積およびメディアン径の範囲内であるものを用いることにより、上述したシリカ粒子としての機能を顕著に発揮させることができる。
 なお、シリカ粒子の粒径は、たとえば、ペーストあるいはこの硬化物について透過型電子顕微鏡等で観察の上、画像解析を行い、任意に選んだシリカ粒子200個の平均値として定義することができる。
 シリカ粒子としては、特に限定されないが、例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ等を用いることができる。
 なお、シリカ粒子は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 上述したペースト中におけるシリカ粒子の含有量は、ペーストの固形分全体に対して、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることがさらに好ましい。また、ペースト中におけるシリカ粒子の含有量は、ペーストの固形分全体に対して、15質量%以下であることが好ましく、12質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
 シリカ粒子の含有量を上記下限値以上、上限値以下とすることにより、ペーストの硬化物が適度な機械的強度を持つことができる。また、シリカ粒子の含有量を上記上限値以下とすることにより、硬化物が適度な導電特性を持つことができる。
 図8は、ペーストを乾燥させた後の電極1の様子を示す図である。乾燥することによってペーストは、例えば一定量の溶媒が揮発することにより、図8に示す導電性エラストマー層12になる。これにより、導電性繊維生地層11の面110の内側には、導電性エラストマー層12が形成される。つまり、この導電性エラストマー層12は、導電性繊維生地層の少なくとも一方の面に形成された、エラストマー組成物及び導電性フィラーを含む導電性エラストマー層の例である。
 また、導電性繊維生地層11の面110は、塗布されたペーストが浸漬する。そして、浸漬したペーストが乾燥することで、導電性繊維生地層11には、面110の側に浸漬層13が形成される。浸漬層13は、導電性繊維生地層11の繊維の隙間に、エラストマー組成物120、及び導電性フィラー121を含有している。したがって、この浸漬層13を面110の側に含んでいる導電性繊維生地層11は、少なくとも一方の面に、エラストマー組成物及び前記導電性フィラーが浸漬された浸漬層を有する導電性繊維生地層の例である。
 電極1は、最も内側に導電性エラストマー層12を有する。この導電性エラストマー層12は、エラストマー組成物120を含んで形成されているため、例えば導電性繊維に比べて表面が滑らかである。そのため、電極1は、導電性エラストマー層12を有しない他の電極に比べて、着用者Pの身体に隙間なく密着し易く、ノイズの影響を受け難い。
 また、浸漬層13は、導電性繊維生地層11を形成する導電性複合糸111の隙間に、導電性エラストマー層12と通電している導電性フィラー121が複雑に入り込んだ構成を有する。そのため、浸漬層13は、導電性繊維生地層11と導電性エラストマー層12との通電を強化する。
 なお、この電極1は、(1)導電性繊維生地層11を絶縁性繊維生地2の少なくとも一方の面に形成する、(2)導電性繊維生地層11の内側の面110にペーストを塗布する、(3)ペーストを乾燥させて導電性エラストマー層12(及び浸漬層13)を形成する、という順序で作成されたが、電極1の作成工程はこれに限らない。電極1は、例えば、(2)→(1)→(3)の順序で作成されてもよいし、(2)→(3)→(1)の順序で作成されてもよい。
 また、(1)の工程は、上述した通り、導電性繊維生地層11を絶縁性繊維生地2と一体に形成するものに限らない。したがって、例えば、電極1は、(2)導電性繊維生地層11の内側の面110にペーストを塗布してから、(1)導電性繊維生地層11を絶縁性繊維生地2の少なくとも一方の面に縫い付けて、(3)ペーストを乾燥させて導電性エラストマー層12を形成する、という工程で作成されてもよい。
<検出領域の位置>
 本実施形態において、検出の目的とする生体情報は心電であるため、筋電位はノイズになる。例えば、大胸筋、腹直筋等に近い部位に導電性繊維生地層11を設けると、筋電位が影響して心電を測定し難い。そのため電極1は、被服Cにおいて着用者Pの胸部と腹部との間であって、大胸筋及び腹直筋等の筋電位からの影響を受け難い部位に接する検出領域F1に設けられる。
 図9は、検出領域F1の位置の例を示す図である。検出領域F1は、生体情報が心電である場合、上述した通り、大胸筋及び腹直筋等の筋電位からの影響を受け難い部位であることが望ましい。図9に示す検出領域F1は、着用者Pの胴体の前面のうち、第5肋骨r5から第6肋骨r6までを覆う皮膚に接触する領域である。
 また、検出領域F1は、着用者Pの胴体のうち、剣状突起Eと同じ高さの皮膚に接触する領域であってもよい。すなわち、この検出領域F1に設けられる電極1は、着用者の胴体のうち、剣状突起と同じ高さの部位に接触する電極の例である。
 図10は、検出領域F2の位置の例を示す図である。検出領域F2は、従来技術において、電極が設けられていた領域である。図10に示す検出領域F2は、着用者Pの胴体のうち、剣状突起Eよりも低い位置にある。また、図10に示す検出領域F2は、第7肋骨r7から第8肋骨r8までを覆う皮膚に接触する領域である。
 検出領域F1に電極1を設けた被服Cは、検出領域F2に電極を設けた他の被服に比べてノイズが低減することが実験により示されている。
<変形例>
 以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例を組合せてもよい。
<1>
 上述した実施形態において、電極1の導電性繊維生地層11は、導電性繊維を含む糸として導電性複合糸111を用いていたが、この糸は複合糸に限らない。導電性繊維生地層11は、例えば、導電性繊維1111がそのまま用いられてもよい。導電性繊維生地層11は、例えば、ナイロンに銀めっきを施した糸である導電性繊維を、ポリウレタン弾性繊維に編み込んで形成された繊維生地であってもよい。
<2>
 上述した実施形態、及び変形例において、導電性繊維生地層11は、導電性繊維を含む糸を編み込んで形成されていたが、導電性を有する繊維生地であればよい。導電性繊維生地層11は、導電性がない絶縁性の繊維生地の面、又は導電性が一定水準に満たない非導電性の繊維生地の面に、導電性物質を形成させた繊維生地であってもよい。この導電性物質の形成は、例えば、メッキによる皮膜析出等により行われる。
 例えば、導電性繊維生地層11は、ナイロンとポリウレタンとを編み込んだ絶縁性生地に、銀めっきを施した繊維生地であってもよい。この変形例におけるこの導電性繊維生地層11は、少なくとも一方の面に、電気を絶縁する絶縁性繊維により形成される絶縁性繊維生地に導電性皮膜を析出させた導電性皮膜層を有する導電性繊維生地層の例である。
<3>
 上述した実施形態において、導電性エラストマー層12は、一種類のペーストが塗布・乾燥されることにより形成されていたが、二種類以上のペーストが順次、塗布されることによって形成されてもよい。
 図11は、変形例における導電性エラストマー層12の形成初期の例を示す図である。図11に示す通り、導電性繊維生地層11の面110には、第1のペーストが塗布される。この第1のペーストは、乾燥した後に第1導電性エラストマー層12aを形成する。
 図12は、変形例における導電性エラストマー層12の形成中の例を示す図である。図12に示す通り、第1導電性エラストマー層12aの面には、第2のペーストが塗布される。この第2のペーストは、乾燥した後に第2導電性エラストマー層12bを形成する。
 そして、第1導電性エラストマー層12aは、乾燥する過程で導電性繊維生地層11に浸漬し、その内部で浸漬層13を形成する。図13は、変形例における導電性エラストマー層12の最終段階の例を示す図である。図13に示す電極1は、内側に浸漬層13が形成された導電性繊維生地層11と、第1導電性エラストマー層12aと、第2導電性エラストマー層12bとを有する。第1導電性エラストマー層12aは、浸漬層13の内側に形成される。第2導電性エラストマー層12bは、第1導電性エラストマー層12aの内側に形成される。
 ここで第1のペーストと、第2のペーストには、導電性フィラー121(図7参照)の濃度に差があってもよい。例えば、この変形例における第2のペーストは、第1のペーストに比べて導電性フィラー121の濃度が濃い。つまり、この変形例における第1のペーストは、第2のペーストよりも導電性フィラーの濃度が薄い。
 その結果、第1導電性エラストマー層12aは、第2導電性エラストマー層12bよりも導電性繊維生地層11に近く、かつ、導電性フィラー121の濃度が薄い層となる。
 つまり、変形例におけるこの導電性エラストマー層12は、導電性繊維生地層に近づくほど、導電性フィラーの濃度が薄くなる領域を有する導電性エラストマー層の例である。
 この導電性エラストマー層12は、導電性繊維生地層11から離れ、着用者Pの身体に近い側ほど導電性フィラー121の濃度が濃い。そのため、この導電性エラストマー層12は、衝撃、摩擦等に晒され易く、剥離しやすい部分ほど、大量の導電性フィラー121を含んでいるので、均一濃度のものに比べて衝撃、摩擦等に耐久性を示すことが期待される。
<4>
 上述した実施形態において、電極1は、被服Cに設けられていたが、ベルトに設けられてもよい。
 図14は、変形例におけるベルトBの例を示す図である。ベルトBは、伸縮性を有するベルト部材2aと、このベルト部材2aの表面に設けられた電極1と、を有する。
 電極1は、ベルトBが着用者Pに巻きつけられたときに、この着用者Pの身体に接触する位置に設けられている。
 つまり、このベルトBは、伸縮性を有するベルト部材と、ベルト部材の表面のうち、このベルト部材を着用者に巻きつけたときに着用者の身体に接触する位置に設けられている電極と、を有するベルトの例である。
 図15は、変形例におけるベルトBの着用状態の例を示す図である。ベルトBは、検出領域F1に電極1が配置されるように着用者Pの胸部と腹部との間に巻きつけられる。図15に示す検出領域F1は、図9に示す検出領域F1と共通の位置にある。つまり、このベルトBに設けられた電極1は、着用者の胴体のうち、剣状突起と同じ高さの部位に接触する電極の例である。
 被服Cのように着用者Pの胴体を覆わなくても、ベルトBは、電極1が検出領域F1において着用者Pの身体に接触し、生体信号を検出することができる。この場合にも、電極1は、導電性繊維生地層11と、導電性エラストマー層12とを有するので、着用者Pの身体に密着し易く、ノイズの影響を受け難い。
<実験例>
<実験A(模擬洗濯実験)>
<試料>
 本願の発明者らは、洗濯を模擬した処理を試料に対して施し、その処理前後の試料の外観を撮影してそれぞれ評価する実験(以下、実験Aという)を行った。実験Aに供される試料は、ミツフジ株式会社製のAGPoss(登録商標、以下同じ)のみで構成されるもの(以下、試料A1という)、及び、AGPossの表面に住友ベークライト株式会社製のDuraQ(登録商標、以下同じ)を印刷(塗布、乾燥)したもの(以下、試料A2という)を用いた。ここで、AGPossは、導電性繊維生地層11の例である。また、DuraQは、導電性エラストマー層12の例である。この実験Aで、AGPossは、ナイロン・ポリウレタン弾性繊維に10質量%以上の銀をめっき処理により付加したものを用いた。また、この実験Aで、DuraQは、シリコーンゴムをデカン、テトラデカン等の炭化水素系溶剤に溶解し、銀粉を加えて混合し、固形分濃度が約70質量%となったペースト状のものを用いた。
 試料A2は、AGPossの繊維の目に対してほぼ垂直方向に導電性ペーストを塗布、乾燥して形成された。試料A2は、AGPossの表面のうち1.3センチメートル四方にDuraQを形成したものである。導電性ペースト中の導電性フィラーの濃度は86質量%であり、ペーストの付着量は39.5mg/cm2(ミリグラム毎平方センチメートル)であった。
<実験の流れ>
 図16は、洗濯を模擬した負荷による電極への影響実験の流れを示すフロー図である。実験者は、以下のステップS101からステップS105を行って、試料に対し、洗濯を模擬した負荷を与えた。
 まず、実験者は、決められた規定回数の処理をしたか否かを判断し(ステップS101)、規定回数の処理をした、と判断すると(ステップS101;YES)、試料を走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)で撮影し、これを評価した(ステップS102)。
 一方、実験者は、規定回数の処理をしていない、と判断する間(ステップS101;NO)、ステップS103からステップS105までの処理を繰り返した。
 実験者は、まず、50%の伸縮比で300回にわたり、試料を縦方向、及び横方向のそれぞれに伸縮させた(ステップS103)。ここで伸縮比は、無負荷下における試料の長さに対する、伸ばされて増加した長さの百分率である。つまり、この伸縮実験で、試料は最大で1.5倍の長さに引き伸ばされる。
 次に、実験者は、試料をリネン液に浸漬しこれを20時間にわたって撹拌した(ステップS104)。リネン液は、水1リットルに対し、過酸化水素を1.5ミリリットル、30w/v%水酸化ナトリウム水溶液を1.5ミリリットル、それぞれ加えたものである。リネン液の温度は、85℃に保たれる。なお、本発明において、w/v%とは、全体積100ミリリットルに対する質量(グラム)の割合を示す。
 次に、実験者は、110℃で20分間にわたり試料を乾燥させた(ステップS105)。
<実験結果>
 図17は、未処理の試料A1の表面を撮影したものである。図18は、未処理の試料A1の断面を撮影したものである。これらは、未処理であるため、上述した規定回数は0である。図17、及び図18に示す通り、未処理の状態において、試料A1に繊維の表面に形成された銀めっきの損傷等は認められない。
 図19は、5回処理をした試料A1の表面を撮影したものである。図20は、5回処理をした試料A1の断面を撮影したものである。これらの規定回数は5である。図19、及び図20に示す通り、5回にわたって上述したステップS103からステップS105までの処理を繰り返すことで、試料A1に銀めっきの損傷が認められた。
 一方、図21は、未処理の試料A2の表面を撮影したものである。図22は、未処理の試料A2の断面を撮影したものである。これらは、未処理であるため、上述した規定回数は0である。図21、及び図22に示す通り、未処理の状態において、試料A2に繊維表面の銀めっきに損傷等は認められなかった。また、試料A2の表面は、導電性エラストマー層12の例であるDuraQに覆われているため、導電性繊維生地層11の例であるAGPossの繊維の形状は視認されなかった。なお、図22に示す通り、試料A2の断面において、導電性エラストマー層12と、導電性繊維生地層11との間に、浸漬層13が形成されていることが認められた。この浸漬層13は、AGPossの繊維に、DuraQが浸漬している層である。
 図23は、5回処理をした試料A2の表面を撮影したものである。図24は、5回処理をした試料A2の断面を撮影したものである。これらの規定回数は5である。図23、及び図24に示す通り、5回にわたって上述した処理を繰り返した後でも、試料A2に銀めっきの損傷が認められなかった。この5回の処理後においても、上述した浸漬層13は消失されていなかった。
<実験B(電極の耐久性実験)>
 上述した電極1は、導電性エラストマー層12を有するため、洗濯に対する耐久性が向上していることが実験により示されている。本願の発明者らは、洗濯を模擬した処理を試料に対して施し、その処理に対する耐性を評価する実験(以下、実験Bという)を行った。この耐性は、試料のシート抵抗を処理時間ごとに測定することで評価された。
 次の表1は、本発明に係る電極1を洗濯した時間ごとにシート抵抗の変化を記録した表である。この表において試料B2は、電極1を市販の塩素系漂白剤によって洗濯した場合のシート抵抗を示す。試料B2における電極1は、上述したAGPossの表面に上述したDuraQを印刷(塗布、乾燥)したものである。
 また、この表において試料B1は、上述した導電性繊維生地層11と共通構成の電極を市販の塩素系漂白剤によって洗濯した場合のシート抵抗を示す。試料B1における電極は、上述したAGPossのみで構成される。表においてN/Dは非検出を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 この表1に示す通り、試料B2、すなわち、本発明に係る電極1は、300分にわたって塩素系漂白剤で洗濯してもシート抵抗が検出された。一方、試料B1、すなわち、導電性エラストマー層12を有しない電極は、同じ塩素系漂白剤で洗濯した場合、60分でシート抵抗が検出されなくなった。
 このことより、導電性エラストマー層12は、導電性繊維生地層11を保護し、洗濯の摩擦、衝撃等による導電性物質の剥離を防いでいると推察される。
 なお、導電性エラストマー層12は、単体で電極を構成すると割れて導電性を失うことが推測される。しかし、本発明に係る電極1は、導電性エラストマー層12の下層(つまり外側)に導電性繊維生地層11が配されている。そのため、たとえ導電性エラストマー層12が割れたとしても、割れたそれぞれの導電性エラストマー層12に電気的に接続している導電性繊維生地層11が導電性エラストマー層12によって保護されているため、電極1の導電性は維持される。
 また、洗濯前において、従来の電極(試料B1)のシート抵抗は1.34×10-1Ω/□である。一方、洗濯前において、本発明に係る電極1(試料B2)のシート抵抗は3.40×10-2Ω/□である。
 つまり、従来の電極(試料B1)のシート抵抗は、1×10-1Ω/□程度であったのに対し、本発明に係る電極1(試料B2)のシート抵抗は、1×10-3Ω/□程度に向上している。すなわち、電極1は、従来の電極に比べてシート抵抗が低く抑えられている。これは、導電性エラストマー層12による効果のほか、浸漬層13による効果が考えられる。
<実験C(実機リネン洗濯実験)>
 本願の発明者らは、試料を実際に洗濯して、その洗濯回数ごとに試料の表面抵抗値を測定し、それらを評価する実験(以下、実験Cという)を行った。
 実験Cにおける洗濯は、予備洗濯温度が40℃であり、本番洗濯温度が80℃で10分間行うものである。この洗濯は、東京洗染機械製作所製の業務用洗濯機であるSWX-60WUを用いた。洗剤は、30w/v%の水酸化ナトリウムを1回ごとに300ミリリットル用いた。この洗剤を用いたことによりpHは10になると予想された。また、この洗濯には、35w/v%の過酸化水素を1回ごとに300ミリリットル用いた。1回の洗濯ごとに行う乾燥は、試料を80℃で13分間加熱することで行われた。
 次の表2は、本発明にかかる被服Cを洗濯した回数ごとに電極の表面抵抗値を記録した表である。この表において試料C2は、被服Cをリネン実機で洗濯した場合の電極1の表面抵抗値を示す。試料C2における電極1は、上述したAGPossの表面に上述したDuraQを塗布乾燥したものであり、その厚みはマスク6枚分である。
 ここで用いたDuraQは、マスクという単位でその厚みを表現する。このマスクは、1枚につき125μm(マイクロメートル)の厚みの層である。したがって、この試料C2は、マスク6枚分であるため、厚みが750μm(マイクロメートル)のDuraQの層(導電性エラストマー層12)を有する。また、この試料C2は、DuraQの前駆体である導電性ペーストとして、導電性フィラーの濃度が71質量%のものを用いた。
 また、この表において試料C1は、上述した導電性繊維生地層11と共通構成の電極を設けた被服をリネン実機で洗濯した場合の電極の表面抵抗値を示す。試料C1における電極は、上述したAGPossのみで構成される。表においてO/Lは測定の上限を超えたことを示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 図25は、上述した表2を示すグラフである。図25において、基準線Qは、表面抵抗値が1.0Ω(オーム)を示す線であり、電極の品質基準を示している。この基準線Qよりも、表面抵抗値が低い場合、電極は品質基準を満たしている。一方、この基準線Qで示される1.0Ω(オーム)以上の表面抵抗値が測定される場合、電極は品質基準を満たさない。
 図25に破線で示すグラフは、表2における試料C1の測定結果を表す。図25に示す通り、試料C1は、10回の洗濯を経た時点で既に品質基準を満たさず、30回を超える洗濯をすると表面抵抗値が測定の上限を超える。つまり、導電性繊維生地層11の例であるAGPossのみで構成される試料C1は、10回の洗濯をしただけで品質基準を満たさなくなる。
 一方、図25に実線で示すグラフは、表2における試料C2の測定結果を表す。図25に示す通り、試料C2は、60回の洗濯を経た時点でも品質基準を満たしており、70回を超える洗濯をしてはじめて品質基準を満たさなくなった。つまり、本発明の電極1の例である試料C2は、60回にわたって洗濯をしても品質基準を満たす。
<実験D(耐ノイズ性実験)>
 本願の発明者らは、本願に係る発明の電極1を用いて耐ノイズ性を検証する実験(以下、実験Dという)を行った。この実験Dに用いた試料は、従来技術の例である試料D1、及び、本願に係る発明の例である電極1を含む試料D2である。
 試料D1は、従来の導電性繊維生地層11のみからなる電極を設けたベルトである。試料D2は、導電性繊維生地層11にペーストを塗布、乾燥させて導電性エラストマー層12を形成した、本願の発明に係る電極1を設けたベルトである。ここで導電性繊維生地層11は、上述したAGPossである。また、導電性エラストマー層12は、上述したDuraQである。
 被験者は、試料D1、及び試料D2をいずれも図9に示す検出領域F2に電極が位置するように装着し、指定された4種類の動作を行ってそれぞれの状態で心電波形を測定される。被験者の状態は、「歩行」「直立」「座位」及び「フリー」の4つである。
 この表3における「歩行」とは、メトロノームで刻まれるテンポ80に合わせて歩行した状態である。ここで「テンポ80」とは1分間あたりの拍数であり、80bpm(beats per minute)とも言われる。つまり、この歩行をする被験者は1分間に80歩進む。
 また、この表3における「直立」とは直立姿勢で静止した状態である。この表3における「座位」とは座位で静止した状態である。この表3における「フリー」とは、特に動作に制限を課さずに行動した状態である。いずれの状態も5分間にわたって観察された。
 観察は、各試料を装着した被験者の各状態における心電波形からR波を抽出し、そのR波が正常値であるか否かを判断して、R波の正常値の割合を求めることにより行った。表3に示される数値は、取得した全てのR波を分母とし、正常値と判断されたR波を分子とした百分率(R波の正常率という)である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 上述した表3に示す通り、試料D1と試料D2とでR波の正常率に有意な差は認められなかった。したがって、本願発明に係る電極1は、従来の導電性繊維生地層11のみからなる電極と比較して、同程度の耐ノイズ性を示すことがわかった。
<実験E(検出領域比較実験)>
 本願の発明者らは、本願に係る発明の電極1が接触する検出領域が耐ノイズ性に与える影響を比較する実験(以下、実験Eという)を行った。この実験Eは、上述した実験Dに使用した試料D2に含まれる電極が、図9に示す検出領域F1、及び図10に示す検出領域F2にそれぞれ位置するように装着することで行われた。
 次の表4は、実験Eにおける観察結果を示す表である。表4において実験E1は、上述した試料D2の電極を被験者の検出領域F1(図9参照)に配置して、被験者の状態ごとにR波の正常率によってその被験者を観察したデータである。また、表4において実験E2は、実験E1と共通する試料D2の電極を被験者の検出領域F2(図10参照)に配置して、被験者の状態ごとにR波の正常率によってその被験者を観察したデータである。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 上述した表4に示す通り、被験者の全ての状態で、実験E1は、実験E2よりも優れた耐ノイズ性を示した。すなわち、図10に示す検出領域F2に配置した場合に比べて、図9に示す検出領域F1に電極を配置した方が、著しくノイズを低減することが明らかになった。
1…電極、11…導電性繊維生地層、110…面、111…導電性複合糸、1110…弾性繊維、1111…導電性繊維、1111a…下巻糸、1111b…上巻糸、12…導電性エラストマー層、120…エラストマー組成物、121…導電性フィラー、12a…第1導電性エラストマー層、12b…第2導電性エラストマー層、13…浸漬層、2…絶縁性繊維生地、21…絶縁性繊維、2a…ベルト部材、E…剣状突起、F1…検出領域、F2…検出領域、r5…第5肋骨、r6…第6肋骨、r7…第7肋骨、r8…第8肋骨。

Claims (4)

  1.  着用者に着用される被服素材と、
     前記被服素材の表面のうち、着用時に前記着用者の身体に接触する位置に設けられている電極と、を有し、
     前記電極は、導電性を有する繊維生地である導電性繊維生地層と、前記導電性繊維生地層の少なくとも一方の面に形成された、エラストマー組成物及び導電性フィラーを含む導電性エラストマー層と、を有する
     ことを特徴とする被服。
  2.  前記電極は、前記着用者の胴体のうち、剣状突起と同じ高さの部位に接触する位置に設けられている
     ことを特徴とする請求項1に記載の被服。
  3.  伸縮性を有するベルト部材と、
     前記ベルト部材の表面のうち、該ベルト部材を着用者に巻きつけたときに該着用者の身体に接触する位置に設けられている電極と、を有し、
     前記電極は、導電性を有する繊維生地である導電性繊維生地層と、前記導電性繊維生地層の少なくとも一方の面に形成された、エラストマー組成物及び導電性フィラーを含む導電性エラストマー層と、を有する
     ことを特徴とするベルト。
  4.  前記電極は、前記着用者の胴体のうち、剣状突起と同じ高さの部位に接触する位置に設けられている
     ことを特徴とする請求項3に記載のベルト。
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