JP2019119158A - 化粧シート及び化粧部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐候性の低下を抑制可能な化粧シート及び化粧部材を提供する。【解決手段】基材135と、基材135の表面135a側に、アクリル系樹脂組成物を主剤とし、ポリイソシアネートを硬化剤としたイソシアネート硬化型アクリル系樹脂組成物により形成した表面保護層131とを備えるようにした。そして、ポリイソシアネートのイソシアネートプレポリマーとしては、側鎖にウレタン結合を含むヘキサメチレンジイソシアネートの三量体を用いるようにした。【選択図】図2

Description

本発明は、化粧シート及び化粧部材に関する。
従来、基材と、基材の表面側に、紫外線吸収剤等が添加されたアクリル系樹脂組成物を含む表面保護層と、を備える化粧シートがある(例えば、特許文献1参照。)。このような構成により、特許文献1に記載の化粧シートでは、耐候性を向上可能となっている。
しかし、特許文献1に記載の化粧シートでは、例えば、ラッピング加工や折り曲げ加工等の後加工が行われ、化粧シートが伸ばされると、伸ばされた部分の表面保護層にクラックが発生する可能性がある。そのため、クラックの発生箇所に紫外線や風雨等を受けることで、化粧シートの劣化が促進され、化粧シートの耐候性が低下する可能性がある。
特開2008−238444号公報
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、耐候性の低下を抑制可能な化粧シート及び化粧部材を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、(a)基材と、(b)基材の表面側に、アクリル系樹脂組成物を主剤とし、ポリイソシアネートを硬化剤としたイソシアネート硬化型アクリル系樹脂組成物により形成した表面保護層と、を備える化粧シートであって、(c)ポリイソシアネートのイソシアネートプレポリマーは、側鎖にウレタン結合を含むヘキサメチレンジイソシアネートの三量体である化粧シートであることを要旨とする。
また、本発明の他の態様は、(a)木質系材料または金属系材料により形成された基板と、(b)基板の表面側に設けられた上記した化粧シートと、を備える化粧部材であることを要旨とする。
本発明によれば、表面保護層に柔軟性を付与することができる。それゆえ、例えば、ラッピング加工や折り曲げ加工等の後加工が行われ、化粧シートが伸ばされたときに、伸ばされた部分の表面保護層へのクラックの発生を防止できる。そのため、クラックの発生箇所に紫外線や風雨等を受けることによる化粧シートの劣化の促進を防止することができ、耐候性の低下を抑制可能な化粧シート及び化粧部材を提供することができる。
本発明の第1実施形態及び第2実施形態に係る化粧部材を表す断面図である。 本発明の第1実施形態及び第2実施形態に係る化粧シートを表す断面図である。 本発明の変形例の化粧シートを表す断面図である。
以下、本発明の第1、第2実施形態に係る化粧シート及び化粧部材について、図面を参照しつつ説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付し、第1、第2実施形態に係る化粧シート及び化粧部材の説明において、実質的に同様な構成等についての重複する説明を省略する。また、本発明は、以下に記載する実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識を基に設計の変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も、本発明の範囲に含まれるものである。また、各図面は、理解を容易にするため適宜誇張して表現している。
(第1実施形態)
(構成)
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る化粧部材10は、基板11と、基板11の表面11a側に設けられた化粧シート13と、を備えている。本発明の第1実施形態に係る化粧部材10には、化粧シート13を基板11に貼り付けた後に基板11を折り曲げて、所望の内装部材・外装部材(例えば、建築物の床、壁等の内装、家具、キャビネット等の表面装飾材料、建具の表面化粧)の形状とする折り曲げ加工が施されている。
なお、本第1実施形態では、化粧部材10に折り曲げ加工が施されている例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、化粧部材10は、3次元構造を有する基板11(例えば、ルーバー等の内装部材・外装部材の形状に形成されている基材11)に化粧シート13によりラッピング加工が施されて形成されている構成であってもよい。
(基板)
基板11の材料としては、例えば、木質系材料、金属系材料を用いることができる。木質系材料としては、例えば、木材単板、木材合板、集成材、パーティクルボード、中密度繊維板、硬質繊維板を採用することができる。また、金属系材料としては、例えば、鋼板、真鍮板、アルミニウム板、ジュラルミン板、ステンレス板を採用することができる。基板11と化粧シート13との間には、必要に応じて、例えば、接着剤層を設けてもよい。
(化粧シート)
図2に示すように、本発明の第1実施形態に係る化粧シート13は、基材135と、基材135の表面135a側に設けられた表面保護層131と、を有する複層構成の化粧シートを形成している。化粧シート13の厚さは40μm以上300μm以下が好ましい。
基材135、及び後述する熱可塑性樹脂層132の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、従来の化粧シートで基材に使用されていた熱可塑性樹脂と同様のものを使用できる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体等のポリオレフィン樹脂や、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体金属中和物(アイオノマー)等のオレフィン系共重合体樹脂等のポリオレフィン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体、1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系樹脂、6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等のビニル系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフロロエチレン、エチレン−テトラフロロエチレン共重合体、エチレン−パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体等のフッ素系樹脂等或いはそれらの2種以上の混合物、共重合体、複合体、積層体等を使用できる。
ここで、基材135や熱可塑性樹脂層132に使用可能な熱可塑性樹脂として、多数の熱可塑性樹脂を挙げたが、近年の環境問題に対する社会的な関心の高まりに鑑みれば、ポリ塩化ビニル樹脂等の塩素(ハロゲン)を含有する熱可塑性樹脂を使用することは望ましくなく、非ハロゲン系の熱可塑性樹脂を使用することが望ましい。特に、各種物性や、加工性、汎用性、経済性等の面からは、非ハロゲン系の熱可塑性樹脂としてポリオレフィン系樹脂又はポリエステル系樹脂(非晶質又は二軸延伸)を使用することが最も望ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、既に列挙した多くの種類から、化粧シート13の使用目的等に応じて適宜選択して使用すればよい。特に、一般的な用途に最も好適なのは、ポリプロピレン系樹脂、すなわち、プロピレンを主成分とする単独又は共重合体である。例えば、ホモポリプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂等を単独又は適宜配合したり、それらに更にアタクチックポリプロピレンを適宜配合した樹脂等を使用することができる。また、プロピレン以外のオレフィン系単量体を含む共重合体であってもよく、例えば、ポリプロピレン結晶部を有し、且つプロピレン以外の炭素数2〜20のα−オレフィン、好ましくはエチレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1又はオクテン−1のコモノマーの1種又は2種以上を15モル%以上含有するプロピレン−α−オレフィン共重合体等を例示できる。また、通常ポリプロピレン系樹脂の柔軟化に用いられている低密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体又はその水素添加物等の改質剤を適宜添加できる。
さらに、基材135には、必要に応じて、例えば、着色剤、充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、難燃剤、抗菌剤、防黴剤、減摩剤、光散乱剤及び艶調整剤等の各種の添加剤から選ばれる1種以上の添加剤を添加してもよい。なお、熱可塑性樹脂層132は、例えば、熱可塑性樹脂層132の裏面132b側に配置されているシート等を透視可能な程度の透明性を有するものとするのが好ましい。例えば、無色透明、有色透明、半透明とする。また、基材135は、基板11の表面11aの色のばらつきや欠陥等を隠蔽する場合には、隠蔽性の不透明に着色されたものとするのが好ましい。また、基板11の表面11aの質感を活かす場合には、基材135の表面11aを透視可能な程度の透明性を有するものとするのが好ましい。
表面保護層131の材料としては、例えば、表面保護層131の耐候性を向上させることを考慮すると、アクリル系樹脂組成物を主剤とし、ポリイソシアネートを硬化剤とした反応生成物(以下、「イソシアネート硬化型アクリル系樹脂組成物」とも呼ぶ)を用いることができる。アクリル系樹脂組成物としては、例えば、アクリルポリオールを用いることができる。アクリルポリオールとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル等の通常のアクリル系モノマーに、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル等の水酸基を含有するモノマーと、必要に応じてスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、酢酸ビニル、酪酸ビニル、バーサチック酸ビニル、エチルビニルエーテル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の共重合可能な重合性モノマーとを配合して、共重合させて得られる、側鎖に水酸基を有するアクリル系の高分子化合物を採用することができる。
また、ポリイソシアネートのイソシアネートプレポリマーとしては、例えば、表面保護層131の耐候性を考慮すると、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体を使用することができる。また、イソシアネートプレポリマーの側鎖としては、例えば、表面保護層131に柔軟性を付与することを考慮すると、ウレタン結合を使用することができる。
表面保護層131の厚さは、特に限定されるものではないが、薄すぎると効果に乏しく、厚すぎると可撓性が低下して割れ易くなる。そのため、例えば、2μm以上20μm以下が好ましく、特に、9μm以上15μm以下が最も好ましい。なお、表面保護層131には、必要に応じて、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、着色剤、難燃剤、抗菌剤、防黴剤、帯電防止剤、滑剤、減摩剤及び艶調整剤等の各種の充填剤、つまり、各種のフィラーから選ばれる1種以上のフィラーを添加してもよい。なお、表面保護層131は、例えば、後述するように、表面保護層131の裏面131b側に配置されている熱可塑性樹脂層132の表面132aを透視可能な程度の透明性を有するものとするのが好ましい。例えば、無色透明、有色透明、半透明とする。
また、化粧シート13は、従来の複層構成の化粧シートと同様に、基材135及び表面保護層131以外にも、例えば、絵柄層134、接着層133、熱可塑性樹脂層132及びプライマー層136等を適宜備えるようにしてもよい。図2では、絵柄層134、接着層133及び熱可塑性樹脂層132は、基材135と表面保護層131との層間に積層されて設けられている。より具体的には、絵柄層134が基材135側に設けられ、熱可塑性樹脂層132が表面保護層131側に設けられ、接着層133が絵柄層134と熱可塑性樹脂層132との間に設けられている。さらに、プライマー層136は、基材135の裏面135bに設けられている。すなわち、基材135の表面135aに、絵柄層134、接着層133、熱可塑性樹脂層132及び表面保護層131がこの順に積層されて設けられ、基材135の裏面135bにプライマー層136が設けられた構成となっている。
なお、本発明の第1実施形態に係る化粧シート13では、絵柄層134を基材135側に設け、熱可塑性樹脂層132を表面保護層131側に設け、接着層133を絵柄層134と熱可塑性樹脂層132との間に設ける例を示したが、他の構成を採用することもできる。絵柄層134、接着層133及び熱可塑性樹脂層132は、製造手順等に応じて任意の配列とすることができる。例えば、基材135の表面135aに絵柄層134を設けた後、接着層133を介して、絵柄層134と熱可塑性樹脂層132の裏面132bとを接着してなる配列としてもよい。また、例えば、熱可塑性樹脂層132の裏面132bに絵柄層134を設けた後、接着層133を介して絵柄層134と基材135の裏面132bとを接着してなる配列としてもよい。さらに、例えば、熱可塑性樹脂層132の表面132a及び裏面132bのそれぞれに絵柄層134を設けた後、接着層133を介して裏面132bの絵柄層134と基材135の表面135aとを接着してなる配列としてもよい。
また、化粧シート13の表面13a、すなわち表面保護層131の表面131aには、エンボス模様137、つまりエンボス加工により形成された凹凸模様が設けられている。
絵柄層134は、化粧シート13に絵柄による意匠性を付与するために、必要に応じて設けられるものである。絵柄層134は、基材135の着色で代用できる場合には、省略も可能である。絵柄層134は、染料又は顔料等の着色剤を適当なバインダー樹脂とともに適当な希釈溶媒中に溶解又は分散してなる印刷インキ又は塗料等を用いて形成される。印刷インキ又は塗料等は、例えば、グラビア印刷法又はオフセット印刷法等の各種印刷法や、グラビアコート法又はロールコート法等の各種塗工法等によって塗布される。また、バインダー樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化酢酸ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、硝化綿等、或いはそれらの混合物等を用いることができるが、勿論これらに限定されるものではない。また、絵柄としては、任意の絵柄を用いることができ、例えば、木目柄、石目柄、布目柄、抽象柄、幾何学模様、文字、記号、単色無地等、或いはそれらの組み合わせ等を用いることできる。また、化粧シート13の隠蔽性を向上するために、絵柄層134と基材135との層間に、二酸化チタンや酸化鉄等の不透明顔料を多く含む不透明な印刷インキや塗料による隠蔽層を設けてもよい。
接着層133は、基材135と熱可塑性樹脂層132とを接着させるために、必要に応じて設けられるものである。接着層133は、他の層が有する接着性を利用可能な場合には、省略も可能である。接着層133は、接着層133に使用する接着剤の種類には、特に制限はないが、イソシアネート系硬化剤を使用する2液硬化型ウレタン系接着剤を使用することが最も望ましい。2液硬化型ウレタン系接着剤の主剤としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等、硬化剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を用いることができる。
プライマー層136は、基板11との接着に用いられる接着剤との密着性を向上させるために、必要に応じて施されるものである。例えば、基板11が木質系材料で形成されている場合には、接着剤として、酢酸ビニルエマルジョン系、2液硬化型ウレタン系等の接着剤が使用されるため、プライマー層136は、これらの接着剤に合わせた樹脂設計とすることが望ましい。例えば、ウレタン系、アクリル系、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系、ポリエステル系等を用いることができる。特に、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの配合による2液硬化型ウレタン系のプライマー剤等が好ましい。また、例えば、シリカや硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の無機質粉末を添加すると、巻取保存時のブロッキングの防止や投錨効果による接着力の向上に有効である。
エンボス模様137は、化粧シート13の表面に立体的な意匠感を付与するために、必要に応じて設けられるものである。エンボス模様137としては、任意の凹凸形状を用いることができ、例えば、木目導管状、石目状、布目状、抽象柄状、和紙状、スウェード状、皮革状、梨地状、砂目状、ヘアーライン状、平行直線群、平行曲線群或いはそれらの組み合わせ等を用いることができる。またエンボス模様137の形成方法としては、例えば、基材135の表面135aに対する熱可塑性樹脂層132の積層前、積層後又は積層と同時に行われる、ダブリングエンボス法、押出ラミネート同時エンボス法等を用いることができる。
以上説明したように、本発明の第1実施形態に係る化粧シート13では、表面保護層131を、アクリル系樹脂組成物を主剤とし、ポリイソシアネートを硬化剤としたイソシアネート硬化型アクリル系樹脂組成物により形成した。そして、ポリイソシアネートのイソシアネートプレポリマーを、側鎖にウレタン結合を含むヘキサメチレンジイソシアネートの三量体とした。それゆえ、表面保護層131に柔軟性を付与でき、例えば、ラッピング加工や折り曲げ加工等の後加工が行われ、化粧シート13が伸ばされたときに、伸ばされた部分の表面保護層131へのクラックの発生を防止することができる。そのため、クラックの発生箇所に紫外線や風雨等を受けることによる化粧シート13の劣化の促進を防止でき、耐候性の低下を抑制可能な化粧シート13を提供することができる。また、熱可塑性樹脂層132への表面保護層131の樹脂の塗工時に、塗工後の樹脂に触れても樹脂が指先に付着しない状態になるまでのタックフリー(タック切れ)タイムを短縮できるため、化粧シート13の生産性を向上することができる。さらに、表面保護層131の黄変性を抑制でき、化粧シート13の意匠性の低下をより確実に抑制することができる。
また、例えば、耐候剤の添加量を増やして化粧シート13の耐候性を向上させる方法では、耐候剤の種類によってはブリードアウトが発生し、またコストが増大する。そのため、耐候剤の添加量を増やすことには限界があった。さらに、経時による耐候剤の分解で性能が失活してしまい、所望の性能が得られず、長期の耐候性を得ることが困難であった。
これに対し本発明の第1実施形態に係る化粧シート13では、表面保護層131に柔軟性を付与することで、耐候性の低下を防止するため、耐候剤の添加量を増やす必要がなく、ブリードアウトの発生を防止でき、またコストの増大を防止できる。さらに、表面保護層131へのクラックの発生を防止できるため、紫外線や風雨等に長期間晒されても、化粧シート13の意匠性の低下が少なくて済み、長期の耐候性を得ることができる。
さらに、本発明の第1実施形態に係る化粧シート13では、表面保護層131が、フィラーを含むようしてもよい。フィラーを含むことにより、マット調意匠を再現することができる。また、フィラーによる機能性、例えば、耐擦傷性、難燃性、抗菌性等の各種の機能を表面保護層131に付与することができる。
また、本発明の第1実施形態に係る化粧シート13では、表面保護層131の厚さを2μm以上20μm以下とし、化粧シート13の厚さを40μm以上300μm以下としてもよい。このような数値範囲とすることにより、製膜製に優れ、折り曲げ加工等の後加工の際に表面保護層131にクラックが発生し難い化粧シート13を得ることができる。
さらに、本発明の第1実施形態に係る化粧シート13では、基材135が、ポリオレフィン樹脂系により形成され、基材135の表面135aに、絵柄層134、接着層133、熱可塑性樹脂層132及び表面保護層131がこの順に積層されて設けられており、基材135の裏面135bにプライマー層136が設けられている構成としてもよい。このような構成により、化粧シート13の耐久性、意匠性、基板密着性を向上できる。
また、本発明の第1実施形態に係る化粧シート13では、表面保護層131にエンボス模様137(凹凸模様)を形成してもよい。エンボス模様137を形成することにより、木目導管状等、所望する任意の凹凸形状を表面保護層131に立体的に形成できる。
さらに、本発明の第1実施形態に係る化粧部材10では、木質系材料または金属系材料により形成された基板11と、基板11の表面11a側に設けられた、本発明の第1実施形態に係る化粧シート13と、を備えるようにした。それゆえ、化粧シート13と基板11とが剥離し難く、長期間にわたり意匠性を維持可能な化粧部材10を提供できる。
また、本発明の第1実施形態に係る化粧部材10では、化粧部材10が、折り曲げ加工が施されて形成されている、または3次元構造を有する基板11に化粧シート13によりラッピング加工が施されて形成されているものとしてもよい。このような構成により、化粧部材10を立体的とし、化粧部材10の意匠性を向できる。また、折り曲げ加工後やラッピング加工後の表面保護層131にクラックのない化粧部材10を得ることができる。
(変形例)
なお、上記第1実施形態では、化粧シート13を、基材135、絵柄層134、接着層133、熱可塑性樹脂層132、表面保護層131及びプライマー層136を備える構成とする例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、図3に示すように、化粧シート13を、基材135及び表面保護層131のみを備える構成としてもよい。
(第2実施形態)
(構成)
次に、本発明の第2実施形態に係る化粧部材10について説明する。
第2実施形態では、耐擦傷性に優れたものとするとともに、深いエンボス模様を形成可能とするために、表面保護層131の材料を変更した点が、第1実施形態と異なる。
図2に示した表面保護層131の材料としては、例えば、耐擦傷性・耐候性・耐久性を考慮すると、電離放射線硬化型樹脂と、イソシアネート硬化型アクリル系樹脂組成物との混合物を用いることができる。耐傷性としては、表面保護層131は、JIS K 5600に準じた鉛筆硬度試験の硬度がB以上であることが好ましい。また、電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、電離放射線の照射により架橋反応する性質を有する(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合を有するプレポリマー、オリゴマー及びモノマーの少なくとも何れかを主成分とする組成物を用いることができる。電離放射線としては、例えば電子線、紫外線を用いることができる。電離放射線硬化性樹脂には、例えば必要に応じて重合開始剤や増感剤等の添加剤を添加してもよい。
重合性不飽和結合を有するプレポリマーやオリゴマーとしては、例えば、メラミン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート等を用いることができる。また、モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の単官能モノマーや、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート等の2官能モノマー、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の多官能モノマー等を用いることができる。
イソシアネート硬化型アクリル系樹脂組成物としては、例えば、アクリル系樹脂組成物を主剤とし、ポリイソシアネートを硬化剤とした反応生成物を用いることができる。アクリル系樹脂組成物としては、例えば、アクリルポリオール化合物を採用することができる。アクリルポリオール化合物としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル等の通常のアクリル系モノマーに、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル等の水酸基を含有するモノマーと、必要に応じてスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、酢酸ビニル、酪酸ビニル、バーサチック酸ビニル、エチルビニルエーテル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の共重合可能な重合性モノマーとを配合して、共重合させて得られる、側鎖に水酸基を有するアクリル系の高分子化合物を採用することができる。
また、ポリイソシアネートのイソシアネートプレポリマーとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート(水添MDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(水添XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等を使用することができる。特に、耐候性・黄変性・生産性を考慮すると、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の三量体を使用できる。すなわち、HDIを原料とするイソシアヌレート型、つまり、HDIの誘導体であるHDIイソシアヌレートを使用できる。また、イソシアネートプレポリマーの側鎖としては、例えば、表面保護層131に柔軟性への付与を考慮すると、ウレタン結合を使用することができる。
さらに、エンボス加工に適した柔軟性を付与することを考慮すると、ポリイソシアネートとしては、例えば、そのポリイソシアネートをDIC製アクリディックA801にNCO/OH=1.0の割合で添加した樹脂組成物からなる厚さ40μmの試験片に、23℃雰囲気下で、引張速度50mm/minの条件で、引張試験を行ったときに試験片の破断直前の最大の引張応力が10N/mm2以上30N/mm2以下となるポリイソシアネート(以下、「好適ポリイソシアネート」とも呼ぶ)が好ましい。すなわち、このような好適ポリイソシアネートであるかを判断する方法としては、まず、判断対象となるポリイソシアネートをDIC製アクリディックA801にNCO/OH=1.0の割合で添加した樹脂組成物からなる試験片を作成する。試験片の厚さは40μmとする。続いて、引張試験機を用いて、作成した試験片に、23℃雰囲気下において、引張速度50mm/minの条件で、引張試験を行う。引張試験としては、例えば、JIS K 7127に準拠した引張試験を採用できる。そして、試験片の破断直前の最大の引張応力が10N/mm2以上30N/mm2以下となった場合、判断対象のポリイソシアネートは好適ポリイソシアネートであると判断できる。また、イソシアネート硬化型アクリル系樹脂組成物の比率は、表面保護層131の全質量に対して、25質量部以上45質量部以下とするのが好ましい。
また、エンボス加工に適した柔軟性としては、化粧シート13に対して、版深70μm、開口部径100μmのエンボス版を120℃まで加熱して25MPaで10分間押圧した後40℃まで冷却したエンボスクラック試験を行ったときに表面保護層131にクラックが発生しない柔軟性を有することが好ましい。また、エンボスクラック試験で生成されるエンボス模様137の凹部と凸部の平均高低差が60μm以上であることが好ましい。
以上説明したように、本発明の第2実施形態に係る化粧シート13では、表面保護層131が、電離放射線硬化型樹脂と、アクリル系樹脂組成物を主剤としポリイソシアネートを硬化剤としたイソシアネート硬化型アクリル系樹脂組成物との混合物により形成されており、ポリイソシアネートは、そのポリイソシアネートをDIC製アクリディックA801にNCO/OH=1.0の割合で添加した樹脂組成物からなる厚さ40μmの試験片に、23℃雰囲気下で、引張速度50mm/minの条件で、引張試験を行ったときに試験片の破断直前の最大の引張応力が10N/mm2以上30N/mm2以下となるポリイソシアネートであり、イソシアネート硬化型アクリル系樹脂組成物の比率は、表面保護層131の全質量に対して、25質量部以上45質量部以下とした。それゆえ、表面保護層131の硬度を向上でき、また表面保護層131にエンボス加工に適した柔軟性を付与できる。それゆえ、例えば、エンボス版が押圧されたときに、表面保護層131を大きく凹ませることができ、深いエンボス模様137を形成できる。そのため、耐擦傷性に優れるとともに、深いエンボス模様137を形成可能な化粧シート13を提供できる。そのため、優れた耐擦傷性を維持しつつ、優れた意匠性や防滑性を得ることができる。
また、本発明の第1実施形態に係る化粧シート13では、ポリイソシアネートのイソシアネートプレポリマーを、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体としてもよい。ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体により、化粧シート13の耐擦傷性を維持しつつ、化粧シート13の柔軟性をより向上できる。そのため、より深いエンボス模様137を形成でき、また、ラッピング加工や折り曲げ加工等の際にクラックの発生を抑制できる。
以下に、本発明の第1実施形態に係る実施例及び比較例について説明する。なお、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
まず、図2に示すように、基材135として、着色されたポリエチレン樹脂(PE)のシートを用意した。基材135の厚さは55μmとした。続いて、基材135の一方の面(表面135a)に、コロナ放電処理を施した。続いて、コロナ放電処理を施した基材135の表面135aに、ウレタン系印刷インキを塗布して絵柄層134を形成した。続いて、形成した絵柄層134の表面に、ウレタン系接着剤を塗布して接着層133を形成した。続いて、形成した接着層133の表面に、ポリプロピレン(PP)のフィルムを設けて熱可塑性樹脂層132を形成した。熱可塑性樹脂層132の厚さは70μmとした。
続いて、熱可塑性樹脂層132の表面に、アクリルポリオールを主剤とし、ポリイソシアネートを硬化剤としたイソシアネート硬化型アクリル系樹脂組成物により表面保護層131を形成した。ポリイソシアネートの固形分は100%、NCO比率は12%とした。またポリイソシアネートのイソシアネートプレポリマーとしては、側鎖にウレタン結合を含むヘキサメチレンジイソシアネートの三量体を用いた。ポリイソシアネートの添加量は、アクリル系樹脂組成物に対して10質量部添加した。表面保護層131の厚さは10μmとした。
続いて、基材135の裏面135bにコロナ放電処理を施した。続いて、コロナ放電処理を施した裏面135bにプライマー層136を形成した。プライマー層136の厚さは1μmとした。これにより、実施例1の化粧シート13を形成した。化粧シート13の厚さは135μmとした。
(比較例1)
比較例1では、ポリイソシアネートのイソシアネートプレポリマーとして、側鎖にウレタン結合を含まないヘキサメチレンジイソシアネートの三量体を用いた。ポリイソシアネートの固形分は100%、NCO比率は20.7%とした。それ以外は、実施例1と同じ材料・手順で、化粧シート13を作製した。
(比較例2)
比較例2では、ポリイソシアネートのイソシアネートプレポリマーとして、キシリレンジイソシアネートを用いた。ポリイソシアネートの固形分は100%、NCO比率は18.67%とした。それ以外は、実施例1と同じ材料・手順で、化粧シート13を作製した。
(比較例3)
比較例3では、ポリイソシアネートのイソシアネートプレポリマーとして、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリレンジイソシアネートとをブレンドしたものを用いた。ポリイソシアネートの固形分は80%、NCO比率は13.3%とした。それ以外は、実施例1と同じ材料・手順で、化粧シート13を作製した。
(性能評価)
実施例1、比較例1〜3の化粧シート13に対し、ダンベル引っ張り試験、ラッピング適正試験、耐候性試験、ブロッキング試験による評価を行った。
(ダンベル引っ張り試験(引っ張り加工性))
ダンベル引っ張り試験では、JIS K 6732に準じた引っ張り試験を行った。すなわち、引張速度4mm/min、伸び50%における、化粧シート13のクラックを光学顕微鏡で観察した。クラックが発生しなかった場合を合格「○」とし、クラックが発生した場合を不合格「×」とした。
(ラッピング適正試験(曲げ加工性))
ラッピング適正試験では、厚さ1mm、角部1Rのスパンドレル形状のアルミ板に化粧シート13をラッピング加工し、アルミ板の角部における、化粧シート13のクラックを光学顕微鏡で観察した。クラックが発生しなかった場合を合格「○」とし、クラックが発生した場合を不合格「×」とした。
(耐候性試験(メタルウェザー))
耐候性試験では、ライトモード(照度65W/cm2、ブラップパネル温度53℃、湿度50%、20時間)→シャワー30秒→湿潤モード(ブラックパネル温度30℃、湿度98%、4時間)→シャワー30秒のサイクルを、42サイクル行った後、化粧シート13の外観を観察した。外観に異常(例えば、クラック、黄変、チョーキング、剥離等)がなかった場合を合格「○」とし、外観に異常があった場合を不合格「×」とした。
(ブロッキング試験(生産性))
ブロッキング試験では、化粧シート13を500m巻き上げ、翌日巻き替えを行い、化粧シート13のブロッキング状態を観察した。異常(例えば、紙切れ、裏面プライマー取られ)がなかった場合を合格「○」とし、異常があった場合を不合格「×」とした。
(評価結果)
これらの評価結果を表1に示す。
Figure 2019119158
表1に示すように、実施例1の化粧シート13は、ダンベル引っ張り試験、ラッピング適正試験、耐候性試験及びブロッキング試験のすべてが合格「○」となった。一方、比較例1〜3の化粧シート13は、ブロッキング試験は合格「○」となったが、ダンベル引っ張り試験、ラッピング適正試験及び耐候性試験の何れかが不合格「×」となった。
具体的には、比較例1〜3の化粧シート13は、ポリイソシアネートのイソシアネートプレポリマーの側鎖にウレタン結合を含まないため、表面保護層131の柔軟性が低く、クラックが発生し易く、ダンベル引張試験やラッピング適正試験が不合格「×」となった。
これに対し、実施例1の化粧シート13では、ポリイソシアネートのイソシアネートプレポリマーの側鎖にウレタン結合を含むため、表面保護層131の柔軟性が高く、クラックが発生し難く、ダンベル引張試験やラッピング適正試験が合格「○」となった。
また、比較例2、3の化粧シート13は、イソシアネートプレポリマーとして、キシリレンジイソシアネートや、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリレンジイソシアネートとをブレンドしたものを用いたため、ヘキサメチレンジイソシアネートのみを用いたものに比べ、表面保護層131の耐候性が低くなるので、耐候性試験が不合格「×」となった。
これに対し、実施例1の化粧シート13では、イソシアネートプレポリマーとして、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体のみを含むため、表面保護層131の耐候性が高く、耐候性試験が合格「○」となった。
したがって、実施例1の化粧シート13は、比較例1〜3の化粧シートよりも、引っ張りに対する耐性、曲げ加工性、耐候性及び生産性が良好であることが確認された。
次に、本発明の第2実施形態に係る実施例及び比較例について説明する。なお、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例2)
まず、図2に示すように、基材135として、着色されたポリエチレン樹脂(PE)のシートを用意した。基材135の厚さは55μmとした。続いて、基材135の一方の面(表面135a)に、コロナ放電処理を施した。続いて、コロナ放電処理を施した基材135の表面135aに、ウレタン系印刷インキを塗布して絵柄層134を形成した。続いて、形成した絵柄層134の表面に、ウレタン系接着剤を塗布して接着層133を形成した。続いて、形成した接着層133の表面に、ポリプロピレン(PP)のフィルムを設けて熱可塑性樹脂層132を形成した。熱可塑性樹脂層132の厚さは70μmとした。
続いて、熱可塑性樹脂層132の表面に、電離放射線硬化樹脂と、アクリルポリオールを主剤としポリイソシアネートを硬化剤としたイソシアネート硬化型アクリル系樹脂組成物との混合物により表面保護層131を形成した。ポリイソシアネートとしては、そのポリイソシアネートをDIC製アクリディックA801にNCO/OH=1.0の割合で添加した樹脂組成物からなる厚さ40μmの試験片に、23℃雰囲気下で、引張速度50mm/minの条件で、引張試験を行ったときに試験片の破断直前の最大の引張応力が20N/mm2、つまり10N/mm2以上30N/mm2以下となるもの(以下「改良硬化剤」とも呼ぶ)を用いた。また、ポリイソシアネートのイソシアネートポリマーは、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体とした。また、イソシアネート硬化型アクリル系樹脂組成物の比率は、表面保護層131の全質量に対して30質量部、つまり25質量部以上45質量部以下とした。ポリイソシアネートの添加量は、アクリル系樹脂組成物に対して10質量部添加(NCO/OH=1.0)した。表面保護層131の厚さは10μmとした。
続いて、基材135の裏面135bにコロナ放電処理を施した。続いて、コロナ放電処理を施した裏面135bにプライマー層136を形成した。プライマー層136の厚さは1μmとした。これにより、実施例2の化粧シート13を形成した。化粧シート13の厚さは140μmとした。
(実施例3)
実施例3では、アクリルポリオールの比率は、表面保護層131の全質量に対して40質量部、つまり、25質量部以上45質量部以下とした。それ以外は、実施例2と同じ材料・手順で化粧シート13を作製した。
(比較例4)
比較例4では、アクリルポリオールの比率は、表面保護層131の全質量に対して20質量部、つまり、25質量部未満とした。それ以外は、実施例2と同じ材料・手順で化粧シート13を作製した。
(比較例5)
比較例5では、アクリルポリオールの比率は、表面保護層131の全質量に対して50質量部、つまり、45質量部より大きくした。それ以外は、実施例2と同じ材料・手順で化粧シート13を作製した。
(比較例6)
比較例6では、硬化剤のポリイソシアネートとして、そのポリイソシアネートをDIC製アクリディックA801にNCO/OH=1.0の割合で添加した樹脂組成物からなる厚さ40μmの試験片に、23℃雰囲気下で、引張速度50mm/minの条件で、引張試験を行ったときに前記試験片の破断直前の最大の引張応力が50N/mm2、つまり、10〜30N/mm2の範囲外となるポリイソシアネート(以下、「従来硬化剤」とも呼ぶ)を用いた。それ以外は、実施例2と同じ材料・手順で、化粧シート13を作製した。
(比較例7)
比較例5では、硬化剤として、従来硬化剤を用いた。それ以外は、実施例3と同じ材料・手順で、化粧シート13を作製した。
(比較例8)
比較例8では、硬化剤として、従来硬化剤を用いた。それ以外は、比較例4と同じ材料・手順で、化粧シート13を作製した。
(比較例9)
比較例9では、硬化剤として、従来硬化剤を用いた。それ以外は、比較例5と同じ材料・手順で、化粧シート13を作製した。
(性能評価)
実施例2、2、比較例4〜6の化粧シート13に対し、鉛筆硬度試験、エンボスクラック試験及びエンボス高さ試験による評価を行った。
(鉛筆硬度試験(耐擦傷性))
鉛筆硬度試験では、表面保護層131について、JIS K 5600に準じた鉛筆硬度試験の硬度がB以上であるかを判定した。すなわち、硬度3B、2B、B、HB、F、H、2H、3Hの鉛筆を用い、化粧シート13に対して鉛筆の角度を45±1°に固定して、鉛筆に1kgの荷重を付加した状態でスライドさせて表面保護層131に傷が形成されるかを判定した。傷を形成した鉛筆の硬度がB以上であった場合を合格「○」とし、B未満であった場合を不合格「×」とした。
(エンボスクラック試験)
エンボスクラック試験では、化粧シート13に対して、版深70μm、開口部径100μmのエンボス版を120℃まで加熱して25MPaで10分間押圧した後40℃まで冷却し、表面保護層131にクラックが発生したかを判定した。クラックが発生しなかった場合を合格「○」とし、クラックが発生した場合を不合格「×」とした。
(エンボス高さ試験)
エンボス高さ試験では、エンボスクラック試験で生成されたエンボス模様137の凹部と凸部の平均高低差が60μm以上であるかを判定した。60μm以上であった場合を合格「○」とし、60μm未満であった場合を不合格「×」とした。
(評価結果)
これらの評価結果を表2、表3に示す。
Figure 2019119158
Figure 2019119158
表2、表3に示すように、実施例2、3の化粧シート13は、鉛筆硬度試験、エンボスクラック試験、エンボス高さ試験のすべてが合格「○」となった。一方、比較例4〜9の化粧シート13は、鉛筆硬度試験、エンボスクラック試験、エンボス高さ試験の何れかが不合格「×」となった。具体的には、比較例4、8は、イソシアネート硬化型アクリル系樹脂組成物の比率が小さいため、表面保護層131の柔軟性が低くなり、エンボスクラック試験やエンボス高さ試験が不合格「×」となった。また、比較例6、7は、表面保護層131の弾性が高いため、エンボスクラック試験やエンボス高さ試験が「×」となった。
これに対し、実施例2、3は、イソシアネート硬化型アクリル系樹脂組成物の比率や、表面保護層131の弾性が適切であるため、表面保護層131にエンボス加工に適した柔軟性を付与でき、エンボスクラック試験やエンボス高さ試験が合格「○」となった。
また、実施例3、比較例9は、電離放射線硬化型樹脂の比率が小さいため、表面保護層131の硬度が低くなり、鉛筆硬度試験は不合格「×」となった。
これに対し、実施例2、3は、電離放射線硬化型樹脂の比率が大きいため、表面保護層131の硬度が高くなり、鉛筆硬度試験は合格「○」となった。
したがって、実施例2、3の化粧シート13は、比較例4〜9の化粧シートよりも、耐擦傷性及びエンボス加工性が良好であることが確認された。
10…化粧部材、11…基板、11a…表面、13…化粧シート、13a…表面、131…表面保護層、131a…表面、131b…裏面、132…熱可塑性樹脂層、132a…表面、132b…裏面、133…接着層、134…絵柄層、135…基材、135a…表面、135b…裏面、136…プライマー層、137…エンボス模様

Claims (7)

  1. 基材と、
    前記基材の表面側に、アクリル系樹脂組成物を主剤とし、ポリイソシアネートを硬化剤としたイソシアネート硬化型アクリル系樹脂組成物により形成した表面保護層と、を備える化粧シートであって、
    前記ポリイソシアネートのイソシアネートプレポリマーは、側鎖にウレタン結合を含むヘキサメチレンジイソシアネートの三量体であることを特徴とする化粧シート。
  2. 前記表面保護層は、フィラーを含むことを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記表面保護層の厚さは、2μm以上20μm以下であり、
    前記化粧シートの厚さは、40μm以上300μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の化粧シート。
  4. 前記基材は、ポリオレフィン樹脂系により形成され、
    前記基材の表面には、絵柄層、接着層、熱可塑性樹脂層及び前記表面保護層がこの順に積層されて設けられており、前記基材の裏面には、プライマー層が設けられていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載した化粧シート。
  5. 前記表面保護層にエンボス模様が形成されていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の化粧シート。
  6. 木質系材料または金属系材料により形成された基板と、
    前記基板の表面側に設けられた請求項1から5の何れか1項に記載の化粧シートと、を備えることを特徴とする化粧部材。
  7. 前記化粧部材は、折り曲げ加工が施されて形成されている、または3次元構造を有する前記基板に前記化粧シートによりラッピング加工が施されて形成されていることを特徴とする請求項6に記載の化粧部材。
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