JP2019118215A - 磁石構造体、回転角度検出器および電動パワーステアリング装置 - Google Patents

磁石構造体、回転角度検出器および電動パワーステアリング装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 安定した磁気特性を有する磁石構造体、回転角度検出器および電動パワーステアリング装置を提供する。【解決手段】 磁石構造体30においては、シャフト34の第1の端部35の端面35aがボンド磁石成型体32から露出している。そのため、磁石構造体30を第2の端部36の側に押圧して電動モータの回転軸22を第2の端部36に圧入する際、露出した第1の端部35の端面35aを押圧することができる。すなわち、ボンド磁石成型体32に圧力を加えることなく圧入することができる。そのため、圧入の際のボンド磁石成型体32の破損や変形が抑制され、それらに起因する磁気特性の変化が有意に抑制されることで、磁気特性の安定化が実現されている。【選択図】 図3

Description

本発明は、磁石構造体、回転角度検出器および電動パワーステアリング装置に関する。
近年、電動パワーステアリング装置の電動モータの回転角度を、磁気センサを用いて検出する技術の開発が進んでいる。たとえば下記特許文献1には、電動モータの回転軸に取り付けられたセンサ磁石組立体のセンサ磁石に、該センサ磁石の磁界の向きを検知する回転センサを近接して対向配置させて、電動モータの回転軸の回転角を検出する技術が開示されている。また、電動モータの回転軸にセンサ磁石組立体を取り付ける際、回転軸の軸方向に沿う圧力を加えて、回転軸をセンサ磁石組立体に圧入することが示されている。
国際公開第2015/140961号
上述した従来技術においては、回転軸をセンサ磁石組立体に圧入する際、センサ磁石に対して圧力を加える必要がある。センサ磁石に圧力が加わると、センサ磁石の破損や変形が起こり得、その場合には磁気特性が変化することがあり得る。
発明者らは、鋭意研究の末、センサ磁石に対する圧力を抑制しつつ、回転軸をセンサ磁石組立体に圧入することができる技術を新たに見出した。
本発明は、安定した磁気特性を有する磁石構造体、回転角度検出器および電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
本発明の一形態に係る磁石構造体は、板状の外形を有し、厚さ方向に沿って延びる貫通孔を有するボンド磁石成型体と、ボンド磁石成型体の貫通孔に嵌合された第1の端部と、同軸配置される回転軸に取り付けられるべき第2の端部とを有するシャフトとを備え、シャフトの第1の端部の端面がボンド磁石成型体から露出している。
上記磁石構造体においては、シャフトの第1の端部の端面がボンド磁石成型体から露出しているため、露出した第1の端部の端面を押圧することで、シャフトの第2の端部に回転軸を圧入することができる。すなわち、ボンド磁石成型体に圧力を加えることなく圧入することができ、圧入の際のボンド磁石成型体の破損や変形に起因する磁気特性の変化が有意に抑制されているため、磁気特性の安定化が図られている。
他の形態に係る磁石構造体では、ボンド磁石成型体が、円形断面の貫通孔を有するとともに、シャフトの第1の端部が円柱状の外形を有し、ボンド磁石成型体の貫通孔の内周面と第1の端部の外周面とが係合する係合部が設けられている。この場合、第1の端部においてボンド磁石成型体の貫通孔に嵌合されたシャフトに対して、ボンド磁石成型体の相対的な位置ズレが生じる事態や、ボンド磁石成型体が脱離する事態が抑制され得る。
他の形態に係る磁石構造体では、係合部が第1の端部の外周面に設けられた凹部を含み、凹部にボンド磁石成型体が入り込んでいる。この場合、第1の端部の外周面に設けられた凹部にボンド磁石成型体が入り込むことで、ボンド磁石成型体の貫通孔の内周面と第1の端部の外周面とが係合される。
他の形態に係る磁石構造体では、係合部が複数の凹部を含み、第1の端部の外周面に、周方向に沿って複数の凹部が並んでいる。この場合、特に、ボンド磁石成型体の周方向に関する相対的な位置ズレが抑制される。
他の形態に係る磁石構造体では、複数の凹部が、第1の端部の円柱状外形の中心軸を基準に等角度間隔で並んでいる。この場合、磁石構造体を回転角度検出器に用いたときの周方向に関するセンサ特性の偏りが抑制される。
他の形態に係る磁石構造体では、係合部が第1の端部の外周面に周方向に沿って設けられた環状溝を含み、環状溝にボンド磁石成型体が入り込んでいる。この場合、特に、ボンド磁石成型体の軸方向に関する相対的な位置ズレやボンド磁石成型体のシャフトからの脱離が抑制される。
他の形態に係る磁石構造体では、係合部が、第1の端部の外周面に設けられた網目状の凹凸模様を含む。この場合、第1の端部の外周面に設けられた網目状の凹凸模様をボンド磁石成型体が覆うことで、ボンド磁石成型体の貫通孔の内周面と第1の端部の外周面とが係合される。
本発明の一形態に係る回転角度検出器は、上記磁石構造体と、第1の端部側において磁石構造体と対向配置された磁気センサとを備える。また、本発明の一形態に係る電動パワーステアリング装置は、上記回転角度検出器を備える。
本発明によれば、安定した磁気特性を有する磁石構造体、回転角度検出器および電動パワーステアリング装置が提供される。
図1は、実施形態に係る回転角度検出器を備えたモータ組立体を示す概略断面図である。 図2は、図1に示すモータ組立体が用いられる電動パワーステアリング装置を示すブロック構成図である。 図3は、図1に示す回転角度検出器を示す概略斜視図である。 図4は、図3に示すシャフトの第1の端部の形態を示す(a)側面図および(b)B−B線断面図である。 図5は、図4とは異なる態様の第1の端部の形態を示す側面図である。 図6は、図4とは異なる態様の第1の端部の形態を示す側面図である。 図7は、図4とは異なる態様の第1の端部の形態を示す側面図である。 図8は、図4とは異なる態様の第1の端部の形態を示す側面図である。 図9は、図4とは異なる態様の第1の端部の形態を示す(a)側面図および(b)B−B線断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、同一又は同等の要素については同一の符号を付し、説明が重複する場合にはその説明を省略する。
図1は、実施形態に係る回転角度検出器を備えたモータ組立体10を示す概略断面図である。モータ組立体10は、筐体12内に、回転角度検出器15および電動モータ20が収容された構成を有する。
電動モータ20は、トルク側端部22aとセンサ側端部22bとを有する回転軸22を備えている。回転軸22のトルク側端部22aは、筐体12に設けられたボールベアリング14Aにより回動自在に保持されており、センサ側端部22bは、筐体12に設けられたボールベアリング14Bにより回動自在に保持されている。
センサ側端部22bには、後述する磁石構造体30が取り付けられている。また、筐体12の内部には、磁石構造体30に近接して対向する位置に、回転センサ(磁気センサ)40が配置されている。本実施形態では、磁石構造体30と回転センサ40とで回転角度検出器15が構成されている。回転センサ40は磁石構造体30から発生する磁界を検出する。回転センサ40は、たとえばホイートストンブリッジ回路等で構成される検出回路を有し、上記ホイートストンブリッジ回路の磁気検出素子として、磁気抵抗効果素子(MR素子)を有する。MR素子としては、たとえば、トンネル磁気抵抗効果素子(TMR素子)、異方性磁気抵抗効果素子(AMR素子)、及び巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)等が挙げられる。本実施形態では、回転センサ40としてTMR素子が用いられる。TMR素子を用いることで、その他の素子よりも高い出力が得られ、回転角度を高い精度で検出することができる。また、TMR素子を用いることで、回転角度検出器15を小型化することができる。回転センサ40は、2つのMR素子を有する二軸型であることができ、磁石構造体30の中心軸に対して直交する面内の磁場の方向を検出する。
ここで、モータ組立体10が用いられる電動パワーステアリング装置50について、図2を参照しつつ説明する。
電動パワーステアリング装置50は、上述のモータ組立体10に加えて、一般的にECUと呼ばれる制御部52と、ステアリングホイール54の操舵力を検出するトルクセンサ56とを備えている。制御部52は、車両からの車速信号、モータ組立体10の回転センサ40が検出する回転軸22の回転角に関する情報、および、ステアリングホイール54の操舵力に関するトルクセンサ56のトルク信号を受け付けることができるように構成されている。また、制御部52は、電動モータ20を駆動する電流を調整できるように構成されている。制御部52は、上記の車速信号およびトルク信号を受け付けると、それらに応じた電流をパワーアシスト用の電動モータ20に送って電動モータ20を駆動し、回転軸22のトルクにより操舵力のアシストをおこなう。このとき、制御部52は、回転センサ40から受け付ける回転軸22の回転角に応じて、電動モータ20の電流をフィードバック制御し、パワーアシストの量を調整する。
以下、回転角度検出器15の磁石構造体30および回転センサ40の構成について、図3、4を参照しつつ説明する。
図3、4に示すように、磁石構造体30は、ボンド磁石成型体32とシャフト34とを備えている。
ボンド磁石成型体32は、円板状の外形を有している。また、ボンド磁石成型体32は、その厚さ方向に沿って延びる貫通孔33を有する。本実施形態では、貫通孔33は、ボンド磁石成型体32の円板状外形の中心軸に沿って延びている。貫通孔33の延在方向に直交する断面は円形である。図3に示すように、ボンド磁石成型体32は、回転センサ40に対向する端面32aにN極とS極の両方が現れている。
ボンド磁石成型体32は、等方性ボンド磁石成型体であってもよく、異方性ボンド磁石成型体であってもよい。ボンド磁石成型体32は、生産性およびコスト低減の観点から、等方性ボンド磁石成型体を採用することができる。
ボンド磁石成型体32の厚さ(中心軸方向長さ)は、たとえば1〜12mmとすることができ、3〜10mmとすることもできる。ボンド磁石成型体32の外径(外形の直径)は、たとえば5〜25mmとすることができ、10〜20mmとすることもできる。貫通孔33の直径は、たとえば1〜15mmとすることができ、3〜12mmとすることもできる。
ボンド磁石成型体32は樹脂と磁石粉末とを含む。上記樹脂は、特に限定されないが、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂であることができる。熱硬化性樹脂としては、たとえばエポキシ樹脂及びフェノール樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、エラストマー、アイオノマー、エチレンプロピレン共重合体(EPM)及びエチレン―エチルアクリレート共重合体等が挙げられる。また、エラストマーとしては、具体的には、スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系及びポリアミド系等が挙げられる。上記樹脂は、成型方法、成型性、耐熱性及び機械的特性等に応じて選択される。ボンド磁石成型体32を射出成型により製造する場合、上記樹脂は熱可塑性樹脂とすることができる。ボンド磁石成型体32の製造には、これら樹脂の他に、カップリング剤及びその他の添加剤等を用いる場合がある。上記熱可塑性樹脂の融点は、成型性及び耐久性等の観点から、たとえば100〜350℃とすることができ、120〜330℃とすることもできる。ボンド磁石成型体32は、1種類の樹脂を単独で含んでいてもよく、2種類以上の樹脂を含んでいてもよい。
上記磁石粉末としては、たとえば、希土類磁石粉末及びフェライト磁石粉末等が挙げられる。高い磁気特性を得る観点から、磁石粉末は希土類磁石粉末であることが好ましい。希土類磁石としては、R−Fe−B系、R−Co系及びR−Fe−N系等が挙げられる。Rは希土類元素を指す。なお、本明細書において、希土類元素は、長周期型周期表の第3族に属するスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)及びランタノイド元素を意味する。ランタノイド元素には、たとえば、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビニウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)及びルテチウム(Lu)等が含まれる。また、希土類元素は、軽希土類元素及び重希土類元素に分類することができる。本明細書における「重希土類元素」はGd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuを示し、「軽希土類元素」はSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm及びEuを示す。
磁石粉末はR−Fe−B系磁石粉末であることがより好ましい。R−Fe−B系磁石粉末は、R(希土類元素)としてNd及びPrの少なくとも一方を含んだR(Nd、Pr)−Fe−B系磁石粉末であることが好ましい。R−Fe−B系磁石粉末は、R、Fe及びB以外に、必要に応じてCo、Ni、Mn、Al、Cu、Nb、Zr、Ti、W、Mo、V、Ga、Zn及びSi等の他の元素、又は不可避的不純物を含んでいてもよい。
ボンド磁石成型体32が等方性ボンド磁石成型体である場合、磁石粉末の形状は特に制限されず、球状、破砕状、針状及び板状等のいずれであってもよい。一方、ボンド磁石成型体32が異方性ボンド磁石成型体である場合、磁石粉末の形状は針状又は板状等であることが好ましい。磁石粉末の平均粒径は30〜250μmであることが好ましく、50〜200μmであることがより好ましい。ボンド磁石成型体32は、1種類の磁石粉末を単独で含んでいてもよく、2種類以上の磁石粉末を含んでいてもよい。なお、平均粒径の定義はレーザー回折式粒度測定法における体積基準の粒度分布のd50である。
また、樹脂の含有量は、所望の磁気特性及び成型性を得る観点から、ボンド磁石成型体32の全体積に対して、40〜90体積%とすることができ、50〜80体積%とすることもできる。また、磁石粉末の含有量は、同様の観点から、ボンド磁石成型体32の全体積に対して、10〜60体積%とすることができ、20〜50体積%とすることもできる。
シャフト34は、ボンド磁石成型体32の厚さ方向に沿って延在する長尺状の部材であり、略円柱状の外径を有している。シャフト34の長さは、たとえば3〜20mmとすることができ、5〜15mmとすることもできる。また、シャフト34の直径は、シャフト34がボンド磁石成型体32の貫通孔33に嵌合する寸法に設計されており、貫通孔33の直径と同一または若干小さく設計され得る。
シャフト34を構成する材料は、非磁性材料から選択することができる。シャフト34を構成する非磁性材料としては、たとえばアルミニウム、銅、真鍮およびステンレス等が挙げられる。シャフト34は、本実施形態では真鍮で構成されている。
シャフト34は、ボンド磁石成型体32が取り付けられる第1の端部35と、電動モータ20の回転軸22に取り付けられる第2の端部36とを有する。第2の端部36には、シャフト34の軸34aに沿って延びる穴36aが設けられている。シャフト34に対して同軸配置された回転軸22を第2の端部36においてシャフト34に取り付ける際、第2の端部36の穴36aに電動モータ20の回転軸22のセンサ側端部22bが圧入される。
シャフト34の第1の端部35には、貫通孔33においてボンド磁石成型体32と嵌合されている。シャフト34の第1の端部35が、ボンド磁石成型体32の中心軸に沿って設けられた貫通孔33と嵌合することで、シャフト34とボンド磁石成型体32とは同軸配置されている。本実施形態では、シャフト34の第1の端部35の端面35aはボンド磁石成型体32の貫通孔33から露出しているが、第1の端部35はボンド磁石成型体32を完全には貫通しておらず、第1の端部35の端面35aは、ボンド磁石成型体32の端面32aから退行した位置(引っ込んだ位置)に存在している。
ここで、シャフト34の第1の端部35へのボンド磁石成型体32の取りつけは射出成型によりおこなわれる。射出成型をおこなう際には、まず、シャフト34を、第2の端部36が上方を向くように、下部金型内に固定する。下部金型は、シャフト34を収容する凹部およびボンド磁石成型体の下部を形成する空間を有する。次に、下部金型に上部金型を取り付けて金型を閉じて、金型内にボンド磁石成型体32を製造可能なキャビティが形成される。続いて、樹脂および磁石粉末を含む原料組成物を加熱等により流動化し、上記金型内のキャビティに射出し、冷却等により固化することにより、シャフト34の第1の端部35にボンド磁石成型体32が形成される。ボンド磁石成型体32が等方性ボンド磁石成型体である場合、射出成型は無磁場でおこなわれる。一方、ボンド磁石成型体32が異方性ボンド磁石成型体である場合、射出成型は磁場中でおこなわれる。ボンド磁石成型体32は、熱硬化性樹脂を用いた、いわゆるトランスファー成形を用いて形成してもよい。
また、図4に示すように、ボンド磁石成型体32に覆われたシャフト34の第1の端部35は、端面35aに近い方から順に並んだ、第1部分35b、第2部分35cおよび第3部分35dで構成されている。第1部分35bと第3部分35dとは実質的に同一の直径を有する部分であり、第2部分35cは第1部分35bおよび第3部分35dの直径よりも小さい直径を有する部分である。そのため、シャフト34の第1の端部35には、第2部分35cにおいて外周面に周方向に沿う環状溝37が設けられている。環状溝37には、ボンド磁石成型体32が入り込んでいる。また、第1の端部35の第3部分35dには、複数(本実施形態では10個)の凹部38が設けられており、各凹部38にボンド磁石成型体32が入り込んでいる。複数の凹部38は、いわゆる平目ローレットであり、シャフト34の軸34a(第1の端部35の軸と同じ軸)に沿って延びるとともにシャフト34の軸34aを基準に等角度間隔で並んでいる(図4(b)参照)。
図3に戻って、磁石構造体30において、ボンド磁石成型体32のN極およびS極は、シャフト34の軸34aに垂直な方向に離間して配置されている。これにより、磁石構造体30のまわりには、図示のMのような静磁界が発生し、シャフト34の軸34a上に、軸34aに対して垂直な方向の磁界が生ずる。軸34a上の磁界の方向は、磁石構造体30の回転方向Rにおける回転位置に応じて変化するため、第1の端部35側において磁石構造体30と対向配置された回転センサ40が磁界の方向を検出することで、磁石構造体30の回転角度を検出することができる。
回転角度検出器15では、電動モータ20の回転軸22がシャフト34の第2の端部36が取り付けられている。すると、磁石構造体30は回転軸22の回動に連動してシャフト34の軸34aを中心として方向Rに回転する。したがって、磁石構造体30の回転角度を検出することにより、電動モータ20の回転軸22の回転角度を検出することができる。
以上において説明したとおり、磁石構造体30においては、シャフト34の第1の端部35の端面35aがボンド磁石成型体32から露出している。そのため、磁石構造体30を第2の端部36の側に押圧して電動モータの回転軸22を第2の端部36に圧入する際、露出した第1の端部35の端面35aを押圧することができる。すなわち、ボンド磁石成型体32に圧力を加えることなく圧入することができる。そのため、圧入の際のボンド磁石成型体32の破損や変形が抑制され、それらに起因する磁気特性の変化が有意に抑制されることで、磁気特性の安定化が実現されている。
本実施形態では、上述の環状溝37および凹部38が、ボンド磁石成型体32の貫通孔33の内周面と第1の端部35の外周面とが係合する係合部となっている。このような係合部により、ボンド磁石成型体32のシャフト34に対する相対的な位置ズレやボンド磁石成型体32のシャフト34からの脱離が抑制され得る。環状溝37においては、第1部分35bと第2部分35cとの間の段差および第2部分35cと第3部分35dとの間の段差が、特に、軸34aの方向にボンド磁石成型体32とシャフト34とが位置ズレすることを抑制するとともに、ボンド磁石成型体32のシャフト34からの脱離を抑制している。また、複数の凹部38は、特に、シャフト34の外周の周方向にボンド磁石成型体32とシャフト34とが位置ズレすることを抑制している。それにより、回転角度検出器15によって検出される回転角の精度向上が図られている。
本実施形態では、複数の凹部38は、シャフト34の軸34aを基準に等角度間隔で並んでいるため、磁石構造体30を回転角度検出器15に用いたときの周方向に関するセンサ特性の偏りが抑制されている。
係合部については、図5〜9に示されるように様々な形態となり得る。
図5には、係合部である複数の凹部38が、シャフト34の第1の端部35の第1部分35bに設けられた態様が示されている。また、図6には、係合部である複数の凹部38が、シャフト34の第1の端部35の第2部分35c(すなわち、環状溝37の底面)に設けられた態様が示されている。図5および図6に示した態様であっても、複数の凹部38は、特に、シャフト34の外周の周方向にボンド磁石成型体32とシャフト34とが位置ズレすることを抑制している。なお、第1部分35b、第2部分35c、第3部分35dのいずれかではなく、第1部分35b、第2部分35c、第3部分35dのうちの複数の部分に、凹部38を設ける態様であってもよい。
図7に示すように、第1の端部35が均一の直径を有する円柱状部分である場合には、第1の端部35の大部分に亘って複数の凹部38を設けることができる。
図8には、係合部として、第1の端部35の外周面に網目状の凹凸模様39(いわゆるアヤ目ローレット)が設けられている。この場合でも、第1の端部35の外周面に設けられた網目状の凹凸模様39をボンド磁石成型体32が覆うことで、ボンド磁石成型体32の貫通孔33の内周面と第1の端部35の外周面とが係合され、ボンド磁石成型体32のシャフト34に対する相対的な位置ズレやボンド磁石成型体32のシャフト34からの脱離が抑制され得る。
図9には、係合部として、第1の端部35の外周面に、底面が平坦である溝37Aが設けられている。溝37AはいわゆるDカット加工により形成され、溝37Aの側面がD字状を呈する(図9(b)参照)。係合部として、第1の端部35の外周面の対向する位置に、一対の溝37Aを形成(いわゆるHカット)することもできる。このような係合部であっても、ボンド磁石成型体32のシャフト34に対する相対的な位置ズレやボンド磁石成型体32のシャフト34からの脱離が抑制され得る。
本発明は上記実施形態に限定されず様々な変形態様をとることが可能である。
たとえば、上記実施形態では、円柱形状の外形を有するシャフトを用いているが、角柱状の外形や楕円柱状の外形を有するシャフトを用いてもよい。また、磁石成型体の貫通孔の形状は、シャフトの外形に応じて、適宜変形できる。さらに、磁石成型体の外形は、円板状に限らず、その他の板状(たとえば、四角形板状や六角形板状等の多角形板状)の外形であってもよい。上記実施形態では、シャフトと磁石成型体とを同軸配置する態様を示したが、シャフトの軸と磁石成型体の軸とをズラして、磁石成型体の中心軸から外れた位置にシャフトが取り付けられた態様とすることもできる。
また、上記実施形態では、磁石構造体30のシャフト34と電動モータ20の回転軸22とが圧入により連結される構造として、シャフト34の第2の端部36側に設けた穴36aに回転軸22を挿入する態様を示したが、回転軸22側に穴を設けてその穴にシャフト34の第2の端部36を挿入する態様とすることもできる。
さらに、シャフト34は、電動モータ20の回転軸22と圧入により連結される構造であれば、中空部材や筒状部材であってもよい。
また、シャフト34の第1の端部35の端面35aがボンド磁石成型体32から露出していれば、シャフト34の第1の端部35は、ボンド磁石成型体32を完全には貫通する態様であってもよく、第1の端部35の端面35aがボンド磁石成型体32の端面32aから出っ張った位置に存在する態様であってもよい。シャフト34の第1の端部35がボンド磁石成型体32から出っ張っている場合、磁石構造体30の圧入時に端面35aを押圧しやすい一方、シャフト34が回転センサ40に接触する事態が生じやすくなる。
10…モータ組立体、15…回転角度検出器、20…電動モータ、22…回転軸、30…磁石構造体、32…ボンド磁石成型体、34…シャフト、35…第1の端部、36…第2の端部、37…環状溝、37A…溝、38…凹部、39…網目状の凹凸模様、40…回転センサ。

Claims (9)

  1. 板状の外形を有し、厚さ方向に沿って延びる貫通孔を有するボンド磁石成型体と、
    前記ボンド磁石成型体の前記貫通孔に嵌合された第1の端部と、同軸配置される回転軸に取り付けられるべき第2の端部とを有するシャフトと
    を備え、
    前記シャフトの前記第1の端部の端面が前記ボンド磁石成型体から露出している、磁石構造体。
  2. 前記ボンド磁石成型体が、円形断面の前記貫通孔を有するとともに、前記シャフトの前記第1の端部が円柱状の外形を有し、
    前記ボンド磁石成型体の前記貫通孔の内周面と前記第1の端部の外周面とが係合する係合部が設けられている、請求項1に記載の磁石構造体。
  3. 前記係合部が前記第1の端部の外周面に設けられた凹部を含み、前記凹部に前記ボンド磁石成型体が入り込んでいる、請求項2に記載の磁石構造体。
  4. 前記係合部が複数の前記凹部を含み、前記第1の端部の外周面に、周方向に沿って前記複数の凹部が並んでいる、請求項3に記載の磁石構造体。
  5. 前記複数の凹部が、前記第1の端部の円柱状外形の中心軸を基準に等角度間隔で並んでいる、請求項4に記載の磁石構造体。
  6. 前記係合部が前記第1の端部の外周面に周方向に沿って設けられた環状溝を含み、前記環状溝に前記ボンド磁石成型体が入り込んでいる、請求項2〜5のいずれか一項に記載の磁石構造体。
  7. 前記係合部が、前記第1の端部の外周面に設けられた網目状の凹凸模様を含む、請求項2〜6のいずれか一項に記載の磁石構造体。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の磁石構造体と、前記第1の端部側において前記磁石構造体と対向配置された磁気センサとを備える、回転角度検出器。
  9. 請求項8に記載の回転角度検出器を備える、電動パワーステアリング装置。
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