JP2019116671A - 溶融塩電解方法、溶融金属の製造方法および、溶融塩電解槽 - Google Patents

溶融塩電解方法、溶融金属の製造方法および、溶融塩電解槽 Download PDF

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Abstract

【課題】溶融塩浴の温度制御を効果的に行って、電流効率を向上させることのできる溶融塩電解方法、それを用いる溶融金属の製造方法および、溶融塩電解槽を提供する。【解決手段】この発明の溶融塩電解方法は、電解槽2の内部を溶融塩浴とし、その内部にて、陽極および陰極を含む電極が配置された電解室2aで、前記電極3への通電に基いて溶融塩を電気分解し、当該電気分解により得られる溶融金属を貯留室2bに流入させる方法であり、溶融塩の電気分解に際する溶融塩浴全体の温度制御を、少なくとも電解室2aでの温度調整により行う。【選択図】図1

Description

この発明は、電解槽の内部を溶融塩浴とし、電解槽の内部で、電解室にて陽極および陰極を含む電極に通電して溶融塩を電気分解し、その電気分解により得られる溶融金属を貯留室へ流入させる溶融塩電解方法、それを用いる溶融金属の製造方法および、溶融塩電解槽に関するものであり、特には、電流効率の向上に寄与することのできる技術を提案するものである。
たとえば、クロール法による金属チタンの製造に際し、副次的に生成される塩化マグネシウムは、溶融塩電解槽を用いて、電気分解により金属マグネシウムと塩素ガスとに分解され、それぞれ四塩化チタンの還元およびチタン鉱石の塩素化に用いられて再利用されることがある。
この種の電気分解では一般に、電解槽の内部で塩化マグネシウム等の溶融塩を貯留させて溶融塩浴とし、電解槽の内部の溶融塩を貯留室から電解室へ流して、ここで電極への通電に基き、金属マグネシウム等の溶融金属と塩素等のガスとに分解する。電解室で生成された溶融金属は電解槽の内部で貯留室へとさらに循環して、溶融塩との密度差によって溶融塩浴の液面上に浮上した後に回収され、また、ガスは電解槽に設けられたガス排出通路を経て電解槽の外部に排出される。このような技術としては従来、特許文献1〜4に記載されたもの等がある。
ところで、電気分解の途中での溶融塩浴の温度低下は、電気分解により生成される溶融金属の固化に起因する短絡現象を引き起こすおそれがある。一方、溶融塩浴の温度上昇は、一度は電気分解した溶融金属とガスとが反応して溶融塩に戻る再反応性が増大し、金属回収率の低下を招く。これらに対処するため、溶融塩浴の温度を管理するべく、溶融塩電解槽の貯留室には、内部に流す気体等の流体と溶融塩浴との間で熱エネルギーを交換する管状等の熱交換器を、溶融塩浴に浸漬させて配置している。
特開2005−089801号公報 特開2005−171357号公報 特開2007−231388号公報 特開2015−140459号公報
しかるに、上述したような溶融塩電解槽での電気分解時に主な発熱源となるのは、電極や、電極の間の箇所、また再反応が発生し得る箇所であり、それらはすべて電解室であるが、上述した熱交換器は、スペース上の制約等の理由から貯留室に配置されていた。そして、熱交換器内に冷却気体を流すことによって溶融塩浴の温度上昇を抑制する場合、貯留室の熱交換器が電解室の発熱源から離れて位置することから、発熱源から熱交換器までの領域の溶融塩浴の温度が所定の温度より上昇し、先述したように溶融塩の再反応が増大し、電流効率が低下するという問題があった。
この発明は、従来技術が抱えるこのような問題を解決することを課題とするものであり、その目的は、溶融塩浴の温度制御を効果的に行って、電流効率を向上させることのできる溶融塩電解方法、それを用いる溶融金属の製造方法および、溶融塩電解槽を提供することにある。
この発明の溶融塩電解方法は、電解槽の内部を溶融塩浴とし、その内部にて、陽極および陰極を含む電極が配置された電解室で、前記電極への通電に基いて溶融塩を電気分解し、当該電気分解により得られる溶融金属を貯留室に流入させる溶融塩電解方法であって、溶融塩の電気分解に際する溶融塩浴全体の温度制御を、少なくとも電解室での温度調整により行うことにある。
ここで、この発明の溶融塩電解方法では、溶融塩の電気分解の際に前記陽極および/または陰極の温度を変化させることにより、前記電解室の溶融塩浴の温度を調整することが好ましい。
この場合、前記陽極および/または陰極の温度の変化を、溶融塩浴からの当該電極の露出部分を冷却する冷却媒体の流量および/または温度の変更により行うことが好適である。なお、前記冷却媒体は液体とすることができる。
ここでは、溶融塩浴からの陽極の露出部分は、400℃以下にすることが好ましく、また、溶融塩浴からの陰極の露出部分は、400℃以下にすることが好ましい。
またこの場合、溶融塩の電気分解の際に、前記陽極および陰極のうち、少なくとも陽極の温度を変化させることが好適である。
この発明の溶融塩電解方法は、溶融塩の電気分解に際する溶融塩浴の温度制御に、貯留室に配置した熱交換器をさらに用いることも可能である。
この場合、前記熱交換器を温度調整管とし、温度調整管の稼働率を50%以下とすることが好適である。
この発明の溶融金属の製造方法は、上記のいずれかの溶融塩電解方法を用いて、溶融塩から溶融金属を製造することにある。
この発明の溶融塩電解槽は、内部を溶融塩浴とし、その内部が、溶融塩を電気分解する電解室と、当該電気分解により得られる溶融金属が流入する貯留室とに区分けされた電解槽と、電解室に配置した陽極及び陰極を含む電極とを備えるものであって、電解室に、該電解室の溶融塩浴の温度を調整して溶融塩の電気分解に際する溶融塩浴全体の温度を制御する電解室温度調整手段を設けてなるものである。
この発明の溶融塩電解槽では、電解室温度調整手段を、溶融塩浴からの陽極および/または陰極の露出部分に冷却媒体を流して該露出部分を冷却する電極冷却機構とすることが好ましい。
この場合においては、前記電極冷却機構が、冷却媒体の流量および/または温度を溶融塩の電気分解の際に変更可能に構成されることが好適である。
この発明によれば、溶融塩の電気分解に際する溶融塩浴全体の温度制御を、少なくとも電解室での温度調整で行うことにより、主として発熱源となる電極、電極間および再反応箇所が存在する電解室を、その近傍で効果的に冷却することができるので、高い電流効率で溶融塩浴の温度制御を有効に抑制することができる。
この発明の一の実施形態の溶融塩電解方法を実施することのできる溶融塩電解槽の一例を示す縦断面図である。 図1のII−II線に沿う部分断面図である。 図1の溶融塩電解槽が備える陰極を、溶融塩電解槽から取り出して示す側面図及び斜視図である。
以下に図面を参照しつつ、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1に例示する溶融塩電解槽1は、たとえば主としてAl23等の耐火煉瓦その他の適切な材料からなる容器形状を有し、その内部に供給された溶融塩からなる溶融塩浴で、溶融塩を電気分解するとともに、その電気分解により溶融金属が生成される電解槽2と、図2に図1のII−II線に沿う断面図で示すように、電解槽2内に溶融塩浴の深さ方向と平行に並べて配置した略平板形状の陽極3a及び陰極3bを含む電極3と、電解槽2内の温度調整を行う熱交換器としての温度調整管4とを備えてなる。
なおここでは、溶融塩を溶融塩化マグネシウム(MgCl2)とした場合を例として説明し、この場合、溶融塩化マグネシウムの電気分解により、図1に示すように、溶融金属として金属マグネシウム(Mg)が生成されるとともに、ガスとして塩素ガス(Cl2)が発生する。金属マグネシウムは、金属チタンを製造するクロール法における四塩化チタンの還元に、また塩素ガスは、同法におけるチタン鉱石の塩素化にそれぞれ用いることができる。この電気分解の原料とする塩化マグネシウムとしては、クロール法で副次的に生成されるものを使用可能である。但し、この発明の溶融塩電解方法は、溶融塩化カルシウム(CaCl2)、溶融塩化アルミニウム(AlCl3)、溶融塩化亜鉛(ZnCl2)等の他の溶融塩の電気分解にも用いることができる。
ここで、図示の溶融塩電解槽1は、電解槽2の内部に、図1に示すところでは図の略中央域に配置された隔壁5をさらに備えるものであり、かかる隔壁5により、電解槽2の内部が、図1の右側に位置して電極3が配置される電解室2aと、図1の左側に位置し、電解室2aでの電気分解により得られた溶融金属が流れ込んで該溶融金属が溶融塩との密度差により上方側に溜まる貯留室2bとに区画される。具体的には、この隔壁5は、電解槽2の上方側開口を覆蓋する、ここでは図示しない蓋部材に近接させて配置されることにより、電解槽2の下方側の底部との間に、貯留室2bから電解室2aへの溶融塩の移動を可能にする溶融塩循環路5aを形成する。また、隔壁5自体に貫通させて設けた溶融金属流路5bにより、電解室2aから貯留室2bへの溶融金属の流入が可能になる。
またここで、電解室2aに配置された電極3は、少なくとも、整流器等に接続された平板状その他の形状の陽極3a及び陰極3bを有し、たとえばMgCl2→Mg+Cl2等といった所定の反応に基き、陽極3aの表面で酸化反応により塩素等のガスが生じるとともに、陰極3bの表面で還元反応により金属マグネシウム等の溶融金属が生成される。
この溶融塩電解槽1では、電極3がさらに、図2に示すように、陽極3aと陰極3bとの間に配置されて、陽極3a及び陰極3b間への電圧の印加によって分極する、これも実質的に平板状等の二枚のバイポーラ電極3c、3dを有し、これにより電気分解の生成効率の向上等を図っているも、このようなバイポーラ電極3c、3dは必ずしも必要ではない。
このような溶融塩電解槽1を用いた溶融塩電解方法では、貯留室2bから溶融塩循環路5aを経て電解室2aに流動した溶融塩が電気分解されて、電解室2aで溶融金属が生成され、そしてこの溶融金属は、隔壁5の溶融金属流路5bを通って貯留室2bに流入し、その後、溶融塩に対する比重の小さい溶融金属は、貯留室2bの浅い箇所に浮上してそこに溜まることになり、これを図示しないポンプ等により回収することができる。したがって、ここでは、溶融塩から溶融金属を製造することができる。
ところで、貯留室2b内に延びるように配置された温度調整管4は典型的には、溶融塩浴が所期した温度になるように、内部に気体その他の流体が流されて当該流体と溶融塩浴との間で熱エネルギーの交換を行う熱交換器等として機能するものである。それにより、溶融金属や溶融塩の温度を、溶融塩化マグネシウムの電気分解では一般に650〜670℃の範囲、たとえば660℃といった所定の適切な範囲に管理して、溶融金属の固化に起因する短絡現象や、電気分解した溶融金属と塩素ガスが反応して溶融塩となる再反応性の増大を防止する。
しかしながら、電気分解時に主な発熱源となる電極3や、陽極3aと陰極3bとの間、再反応が発生し得る箇所は電解室2aにあるのに対し、温度調整管4は貯留室2bに配置されていることから、発熱反応により所定の温度を超えた溶融塩浴の温度を低下させる場合、貯留室2bのこの温度調整管4で、発熱源の電解室2aを十分有効に冷却できるとは言い難い。したがって、溶融塩浴の温度制御を温度調整管4のみに依存していた従来の方法では、電流効率の観点から改善の余地があった。
このことに関し、この発明の実施形態では、溶融塩の電気分解時の溶融塩浴全体の温度制御を、少なくとも電解室2aでの温度調整により行うこととする。この場合、発熱源となる電解室2aの箇所を容易かつ効果的に冷却することができて、電流効率向上の観点から有利になる。
また、電解槽2内の溶融塩浴は、図1に示すように、貯留室2bから溶融塩循環路5aを経て電解室2aに流入し、さらに電解室2aから溶融金属流路5bを通って貯留室2bに流れて循環するところ、この発明の実施形態のように電解室2aで溶融塩浴の温度調整を行うことにより、従来は高温になりがちであった溶融金属流路5bを、比較的低温の溶融金属が流れるので、溶融金属流路5bも効果的に冷却することが可能になる。
電解室2aでの溶融塩浴の温度調整は具体的には、たとえば、溶融塩の電気分解の際に陽極3aおよび/または陰極3bの温度を変化させることで実現することができる。陽極3a及び陰極3bは、酸化消耗防止や浴漏れ防止等を目的として、その溶融塩浴からの露出部分3e、3fを、電極冷却機構を用いて、一定の流量および温度の水その他の液体または気体等の冷却媒体に接触させて冷却して一定の温度に維持する場合があるが、溶融塩浴の温度の変動に応じて、当該冷却媒体の流量および/または温度を変更することにより、陽極3aおよび/または陰極3bの温度を変化させることが好ましい。ここでは、当該電極冷却機構は電解室温度調整手段として機能する。
なおここで、この溶融塩電解槽1では、陽極3aは、上方側開口を覆蓋する蓋部材より上方に位置する露出部分3eを、水冷もしくは空冷その他の方法により冷却することができ、また、陰極3bは、融塩電解槽1の側壁を貫通して側方に突出する露出部分3fを同様の方法にて冷却することができる。
電極冷却機構による冷却媒体の流量および/または温度の変更により、カーボン等からなる陽極3aの酸化消耗防止のため、陽極3aの露出部分3eはカーボンの燃焼速度が遅くなる温度である400℃以下にすることが好ましい。電流効率向上のためには、陽極3aの露出部分3eを250℃以下にすることが好ましい。陽極3aの露出部分3eは、より好ましくは200℃以下とする。
また冷却媒体の流量および/または温度の変更により、浴漏れ防止のため、陰極3bの露出部分3fは溶融塩の凝固点である400℃以下にすることが好ましい。電流効率向上のためには、陰極3bの露出部分3fを120℃以下とすることが好ましい。陰極3bの露出部分3fは、より好ましくは80℃以下とする。
電気分解の際に、陽極3aまたは陰極3bのいずれか一方のみの温度を変化させてもよいが、少なくとも、発熱量が多い陽極3aの温度は変化させることが好ましい。また、陰極3bの付近では電気分解によって溶融金属が生成されるので、陰極3bの温度を低下させすぎると、当該溶融金属の固化が生じることが懸念される。この観点からも、陽極3aの温度を変化させることが好適である。
したがって、陽極3aおよび陰極3bのうちの陽極3aのみの温度を変化させることで溶融塩浴全体の温度を制御することができ、あるいは、陽極3aおよび陰極3bの両方の温度を変化させる場合、溶融塩浴全体の温度制御に、陰極3bに比して陽極3aの温度変化を積極的に用いることが好ましい。
なお、電極3の冷却に用いられて温度が上昇した水等の液体その他の冷却媒体は、空冷棚段式のクーリングタワーに送られて温度を低下させた後、再度ポンプ等で電極3に向けて送給することができる。この冷却媒体の送給ポンプを複数台とすれば、稼働数を増やすことによって流量を増加させることが可能である。
また、冷却媒体の送り方向で各電極3の手前には、バルブを設けることができ、これにより、電極3ごとに流量を調整することができる。
冷却媒体としての水を追加する場合、夏場でも10℃程度の低温である井水を使用することが有効である。
たとえば、炭素鋼等からなる陰極3bには、内部に、図3(a)及び(b)に側面図及び斜視図で例示するように、陰極3bの露出部分3f側の端面で深さ方向の異なる位置に設けた二個の開口部のそれぞれから、それとは逆側の端面に向けて斜めに延びて途中でつながる孔状の冷媒用通路3gを設けることができる。これにより、気体等の冷却媒体を、冷媒用通路3gの一方の前記開口部から陰極3bの内部を経て他方の開口部へと流動させることができて、陰極3bを冷却することができる。陰極3bの内部での冷媒用通路3gの延在形態及び形状は図示のものに限定されないが、このような冷媒用通路3gは、露出部分3f側の端面からボーリングを行って内部でボーリング孔をつなげることにより形成することができる。
電極3のこのような温度変化に代えて又はそれに加えて、図示は省略するが、電解室2aの底部側から、電解室2aの溶融塩浴に、それよりも低温のアルゴンその他の不活性ガスを供給し、それにより、電解室2bの溶融塩浴の温度調整を行うことも可能である。このような電解室2aの溶融塩浴に不活性ガスを供給するための、図示しない配管等の機構もまた、電解室温度調整手段に相当する。
上述したような電解室2aでの温度調整を行うことにより、貯留室2b内の温度調整管4等の熱交換器による温度調整は不要になることがある。この場合、貯留室2bから温度調整管4を除去して、溶融塩電解槽1が、温度調整管等の熱交換器を有しないものとすることもできる。
但し、電解室2aでの温度調整に加えて、補助的に温度調整管4等の熱交換器を用いることも可能である。温度調整管4を用いる場合、温度調整管4の稼働率は、電流効率向上の観点から、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下とする。
たとえば電解槽2の内部の各箇所の温度を確認し、電気分解の最中での、陽極3aおよび陰極3bのそれぞれの電極冷却機構、不活性ガス供給機構ならびに温度調整管4の使用割合の調整や不使用の選択等により、当該電気分解に応じた電流効率の最適化を達成することができる。
次に、この発明の溶融塩電解方法を試験的に実施し、その効果を確認したので以下に説明する。但し、ここでの説明は単なる例示を目的とするものであり、それに限定されることを意図するものではない。
図1に示す溶融塩電解槽で、次の条件で、溶融塩化マグネシウムの電気分解を行った。溶融塩電解槽は、内壁がAl23の含有率が95%以上の煉瓦からなる電解槽で、電解室が2m3、貯留室が1m3であり、囲い型電極の電極構造で、黒鉛製の陽極及び陰極ならびに二枚のバイポーラ電極を用いて電気分解回数NをN=3とした。溶融塩浴の浴組成と質量については、MgCl2、CaCl2、NaCl、MgF2がそれぞれ質量比で20%、30%、49%、1%からなる溶融塩2900kgとし、溶融塩浴の目標維持温度を660℃とし、電流密度0.48A/cm2で通電し、6か月の期間にわたって運転を行った。理論マグネシウム生産量は21.8kg/hである。
このような電気分解において、比較例では、貯留室に配置した温度調整管のみを用いて溶融塩浴全体の温度を制御した。
これに対して実施例1では、電解室の陽極及び陰極の露出部分を水冷する電極冷却機構と温度調整管の両方を用いて溶融塩浴全体の温度を制御した。実施例2および3では、電解室の陽極の露出部分を水冷する電極冷却機構と温度調整管の両方を用いて溶融塩浴全体の温度を制御した。実施例4および5では、電解室の陰極の露出部分を水冷する電極冷却機構と温度調整管の両方を用いて溶融塩浴全体の温度を制御した。
比較例および実施例1〜5のそれぞれで、電気分解の間に、電極近傍の温度A、溶融金属流路の温度B、温度調整管近傍の温度Cおよび、溶融塩循環路の温度Dを測定したところ、表1に示す結果を得た。これらの温度A〜Dは、K熱電対をアルミナ製の保護管に挿入し、溶融塩浴の温度を測定した。
また、比較例および実施例1〜5の各電気分解での温度調整管の稼働率も表1に示す。この温度調整管の稼働率は、オンオフ制御である温度調整管の稼働率を意味し、電気分解を行った時間のうち、温度調整管が稼働していた時間の割合として算出したものである。
また、比較例および実施例1〜5の各電気分解での電流効率の結果も表1に示す。この電流効率は、以下の式により算出したものであり、表1の「電流効率」は、比較例の電流効率を100とし、実施例1〜5の電流効率を比較例1の電流効率に対する相対値で示したものである。
電流効率=電解槽から回収したマグネシウム質量/理論マグネシウム生産量
理論マグネシウム生産量は、ファラデーの法則から求める金属の理論生成量であり、以下の式により算出する。
理論マグネシウム生産量 =((電流(A)×通電時間(秒))/(マグネシウムイオンの電荷数n×ファラデー定数F))×(電気分解回数N)×マグネシウムの原子量
Figure 2019116671
表1に示すところから、陽極及び陰極の電極冷却機構を用いた実施例1〜5では、比較例に比して、温度A及びBが所期した値まで低下したこと、及び、電流効率が有効に向上したことが解かる。
よって、この発明によれば、電流効率の向上に寄与できることが解かった。
1 溶融塩電解槽
2 電解槽
2a 電解室
2b 貯留室
3 電極
3a 陽極
3b 陰極
3c、3d バイポーラ電極
3e 陽極の露出部分
3f 陰極の露出部分
3g 冷媒用通路
4 温度調整管(鋼製器具)
5 隔壁
5a 溶融塩循環路
5b 溶融金属流路
GL 溶融塩浴の気液界面

Claims (13)

  1. 電解槽の内部を溶融塩浴とし、その内部にて、陽極および陰極を含む電極が配置された電解室で、前記電極への通電に基いて溶融塩を電気分解し、当該電気分解により得られる溶融金属を貯留室に流入させる溶融塩電解方法であって、溶融塩の電気分解に際する溶融塩浴全体の温度制御を、少なくとも電解室での温度調整により行う溶融塩電解方法。
  2. 溶融塩の電気分解の際に前記陽極および/または陰極の温度を変化させることにより、前記電解室の溶融塩浴の温度を調整する請求項1に記載の溶融塩電解方法。
  3. 前記陽極および/または陰極の温度の変化を、溶融塩浴からの当該電極の露出部分を冷却する冷却媒体の流量および/または温度の変更により行う請求項2に記載の溶融塩電解方法。
  4. 前記冷却媒体を液体とする請求項3に記載の溶融塩電解方法。
  5. 溶融塩浴からの陽極の露出部分を、400℃以下にする請求項3又は4に記載の溶融塩電解方法。
  6. 溶融塩浴からの陰極の露出部分を、400℃以下にする請求項3〜5のいずれか一項に記載の溶融塩電解方法。
  7. 溶融塩の電気分解の際に、前記陽極および陰極のうち、少なくとも陽極の温度を変化させる請求項2〜6のいずれか一項に記載の溶融塩電解方法。
  8. 溶融塩の電気分解に際する溶融塩浴の温度制御に、貯留室に配置した熱交換器をさらに用いる請求項1〜7のいずれか一項に記載の溶融塩電解方法。
  9. 前記熱交換器を温度調整管とし、温度調整管の稼働率を50%以下とする請求項8に記載の溶融塩電解方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の溶融塩電解方法を用いて、溶融塩から溶融金属を製造する、溶融金属の製造方法。
  11. 内部を溶融塩浴とし、その内部が、溶融塩を電気分解する電解室と、当該電気分解により得られる溶融金属が流入する貯留室とに区分けされた電解槽と、電解室に配置した陽極及び陰極を含む電極とを備える溶融塩電解槽であって、電解室に、該電解室の溶融塩浴の温度を調整して溶融塩の電気分解に際する溶融塩浴全体の温度を制御する電解室温度調整手段を設けてなる溶融塩電解槽。
  12. 電解室温度調整手段を、溶融塩浴からの陽極および/または陰極の露出部分に冷却媒体を流して該露出部分を冷却する電極冷却機構としてなる請求項11に記載の溶融塩電解槽。
  13. 前記電極冷却機構が、冷却媒体の流量および/または温度を溶融塩の電気分解の際に変更可能に構成されてなる請求項12に記載の溶融塩電解槽。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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